JP3501285B2 - インクの吐出方法 - Google Patents

インクの吐出方法

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JP3501285B2 JP2002370102A JP2002370102A JP3501285B2 JP 3501285 B2 JP3501285 B2 JP 3501285B2 JP 2002370102 A JP2002370102 A JP 2002370102A JP 2002370102 A JP2002370102 A JP 2002370102A JP 3501285 B2 JP3501285 B2 JP 3501285B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えばノズル部か
らインク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェ
ットプリンタに利用されるインクの吐出方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、インク室に連通したノズル部から
インク滴を吐出して記録用紙に記録を行うインクジェッ
トプリンタが普及している。従来、この種のインクジェ
ットプリンタでは、1つのノズルに対応して1つの圧電
素子が設けられていた。この圧電素子は、例えば、イン
ク流路を介してインクが供給されるインク室の外壁をな
す振動板に固設されており、印加される駆動信号の電圧
波形に応じて撓むことでインク室の容積を変化させて吐
出圧力を生じさせ、この吐出圧力によってノズルからイ
ンク滴を吐出させることができるようになっていた。 【0003】この種のインクジェットプリンタにおいて
は、上記のようにインク室の容積を変化させて吐出圧力
を発生させるようになっているので、ノズルから吐出さ
れたインクが柱状になって(尾を引く形で)飛翔し、こ
の飛翔するインクの先頭部分と後尾部分との間に時間差
や速度差が生ずる。このため、先行する主たるインク滴
に付随して、微小な衛星状の不要なインク小滴(以下、
サテライト滴という。)が発生し、これが記録用紙上に
着弾することによって好ましくない印字結果が生ずる。
この場合、比較的大きなインク滴で記録を行う濃い画像
ではサテライト滴の発生は画品位にあまり大きな影響を
与えないが、濃度の淡い画像や中間階調画像を表現する
場合のように小さいインク滴で記録を行う場合には、サ
テライト滴の発生による画品位の低下が著しくなること
が予想される。したがって、特に、小さいサイズのイン
ク滴を吐出する場合におけるサテライト滴の発生が大き
な問題となる。 【0004】この問題に対処するため、従来よりいくつ
かの方策が提案されている。例えば、特開平7−760
87号公報には、1つのノズルについて1つの圧電素子
を設け、この圧電素子に印加する吐出用電圧の変化速度
を2段階に切り替えてインク滴吐出を行う方法が提案さ
れている。この方法は、図9に示したように、当初は第
1の電圧変化速度v1をもって吐出用電圧を増加させ、
途中からv1よりも大きい第2の電圧変化速度v2をも
って吐出用電圧を増加させるものである。なお、図9
で、縦軸は電圧、横軸は時間を表す。この方法によれ
ば、先に吐出されたインクの先頭部分を追いかける形で
引き続いてインクが噴射されるようになるので、インク
柱の先頭部分と後尾部分との間の速度差が小さくなり、
サテライト滴が生じにくくなる。 【0005】また、例えば、特開昭59−133067
号公報には、1つのノズルについて1つの圧電素子を設
け、この圧電素子に互いに独立した2つの電圧パルスを
印加してインク滴吐出を行う方法が提案されている。こ
の方法は、図10に示したように、まず、第1のパルス
P1を圧電素子に加えて第1の圧力変動を生じさせてノ
ズルからのインク滴の噴射を開始し、その後、第1のパ
ルスP1を終了させたのちノズルからインク滴が射出さ
れる前に第2のパルスP2を圧電素子に加えて第2の圧
力変動を生じさせるようにしたものである。なお、図1
0で、縦軸は電圧、横軸は時間を表す。この方法によれ
ば、ノズルから噴射されたインク柱が早期に破断され、
サテライト滴が生じにくくなる。 【0006】なお、例えば、特開昭51−45931号
公報には、1つのノズルに対して2つの圧力発生手段を
設け、これらの2つの圧力発生手段からの振動の重ね合
わせによってインクを振動させてインク滴を吐出させる
ようにしたインク滴吐出装置が提案されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特開平7−76087号公報に記載された方法では、第
1の電圧変化速度v1を第2の電圧変化速度v2よりも
必ず小さくしなければならない。このため、全吐出行程
にわたって高速の電圧変化速度v2で電圧を変化させた
場合に比べると、吐出されるインク滴の飛翔速度が低下
せざるを得なくなる。インク滴の飛翔速度の低下は、そ
の飛翔ルートの直線性の悪化や飛翔速度のばらつき等、
吐出の不安定性を招くことから、記録ドットのずれが生
じて印字品質を低下させるおそれがある。 【0008】また、上記の特開昭59−133067号
公報に記載された方法では、第1のパルスP1を終了さ
せたのち、ある時間間隔Tiをおいて第2のパルスP2
を印加するようになっているので、この時間間隔Tiが
大きいと、インク柱の尾引きが長くなってサテライト滴
の発生を防止しにくくなる。一方、時間間隔Tiが小さ
いと、圧電素子が電圧変化に追随できず、所期の動作が
得られなくなる。一般に、圧電素子は固有の振動特性を
有し、その固有振動数以上の周波数では動作し得ないか
らである。この点は、高い固有振動数をもつ圧電素子を
製作することで解決できると考えられるが、圧電素子の
固有振動数を高めるにしてもそれには限度があり、しか
も製造技術上の困難性を伴ってコスト高にもつながるこ
とから、現実的ではない。また、上記公報の記載では、
第1のパルスP1の電圧値V1よりも第2のパルスP2
の電圧値V2の方が小さくなっているが、インク柱の先
頭部分に後尾部分を追い付かせて一体化させるために
は、第1のパルスP1の電圧値V1よりも第2のパルス
P2の電圧値V2の方を大きくする必要がある。ところ
が、圧電素子への印加電圧を大きくすることは、圧電素
子およびこの圧電素子によって励振される振動板の寿命
を縮める要因になると共に、残留振動が大きくなって周
波数特性が悪化することが予想される。 【0009】また、上記の特開昭51−45931号公
報に記載されたインク滴吐出装置は小さい電源入力で効
率よくインク滴を吐出させることを目的としたものであ
り、この目的を達成するために、2つの圧力発生手段に
高周波駆動信号をそれぞれ印加すると共に、これらの高
周波駆動信号の位相差や振幅を変化させることで2つの
圧力発生手段からの振動をうまく重ね合わせてインクを
振動させ、これによりインク滴を吐出させるようにして
いる。すなわち、このインク滴吐出装置は、サテライト
滴の発生を防止することを目的とはしておらず、また、
そのための構成を備えていない。また、そのような示唆
もない。 【0010】このように、従来は、吐出されるインク滴
の飛翔速度の低下や装置寿命の短縮、あるいは周波数特
性の悪化等を伴うことなく、また、圧電素子の固有振動
特性による制約を受けることなく、サテライト滴の発生
を十分に抑制することは困難であった。 【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、上記のような諸問題を克服しつつイ
ンク滴吐出時のサテライト滴の発生を抑制することがで
きるインクの吐出方法を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明によるインクの吐
出方法は、圧電素子を用いてインク室の容積を変化させ
ることにより、インク室内のインクを、インク室に連通
するノズルからインク滴として吐出する方法であって、
ノズルから吐出されるインク滴の大きさを決定するため
に、ノズル内のインクのメニスカスの位置を後退させる
インクメニスカス後退工程と、インクメニスカス後退工
程で決定されたメニスカス位置から、圧電素子の固有振
動に対応して、インク室がその収縮方向へ最も大きく変
位した後に最も大きく変位した量より小さい量にインク
室が振動しながら収縮するようにインク室の収縮を開始
し、ノズルからインク滴を吐出させる第1のインク室収
縮工程と、第1のインク室収縮工程で収縮したインク室
を更に収縮させるために、第1のインク室収縮工程開始
後、インク室がその収縮方向に最も大きく変位した時点
またはその近傍において、第1のインク室収縮工程に重
畳して、インク室のさらなる収縮を開始する第2のイン
ク室収縮工程とを含むものである。 【0013】本発明によるインクの吐出方法では、ノズ
ル内のインクのメニスカスの位置を後退させるインクメ
ニスカス後退工程により、メニスカスの位置決めが行わ
れ、ノズルから吐出されるインク滴の大きさが決定され
る。次に、インクメニスカス後退工程で決定されたメニ
スカス位置を初期位置として、インク室の収縮が開始さ
れ、ノズルからのインク滴吐出が始まる。そして、イン
ク室がその収縮方向に最も大きく変位した時点またはそ
の近傍において、第1のインク室収縮工程に重畳したイ
ンク室のさらなる収縮が開始される。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 【0015】図1は本発明の一実施の形態に係るインク
ジェットプリンタの要部の概略構成を表すものである。
本実施の形態では、複数のノズルを有するマルチノズル
ヘッドを備えたインクジェットプリンタについて説明す
るが、本発明は単一のノズルを有するシングルノズルヘ
ッドを備えたインクジェットプリンタについても適用可
能である。なお、本発明の実施の形態に係るインクジェ
ットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法は本実
施の形態に係るインクジェットプリンタによって具現化
されるので、以下併せて説明する。 【0016】このインクジェットプリンタ1は、記録用
紙2に対してインク滴を吐出して記録を行う記録ヘッド
11と、この記録ヘッド11にインクを供給するインク
カートリッジ12と、記録ヘッド11の位置と記録用紙
2の紙送りとを制御するヘッド位置・紙送りコントロー
ラ13と、駆動信号21により記録ヘッド11のインク
滴吐出動作を制御するヘッドコントローラ14と、入力
される画像データに所定の画像処理を行い、印画データ
22としてヘッドコントローラ14に供給する画像処理
部15と、制御信号23,24,25によってそれぞれ
ヘッド位置・紙送りコントローラ13、ヘッドコントロ
ーラ14および画像処理部15を制御するシステムコン
トローラ16とを備えている。 【0017】図2は図1における記録ヘッド11の斜視
断面構造を表し、図3は図2における記録ヘッド11を
矢印Zの方向から見た断面構造を表すものである。これ
らの図に示したように、記録ヘッド11は、薄いノズル
プレート板111と、ノズルプレート111上に積層さ
れた流路プレート112と、流路プレート112上に積
層された振動プレート113とを備えて構成されてい
る。これらの各プレートは、例えば、図示しない接着剤
により相互に貼り合わされている。 【0018】流路プレート112の上面側には選択的に
凹部が形成されており、これらの凹部と振動プレート1
13とによって、複数のインク室114とこれらのイン
ク室に連通する共同流路115とを構成している。共同
流路115と各インク室114との連通部分は挟路とな
っており、ここから各インク室114の方向に向かうに
従って流路幅が拡がるような構造となっている。各イン
ク室114の真上部分の振動プレート113上には、そ
れぞれ、例えばピエゾ素子等からなる一対の圧電素子1
16a,116bが互いに一定距離を隔てて固着されて
いる。各圧電素子116a,116bの上下面には、図
示しない電極がそれぞれ積層配置されており、これらの
電極にヘッドコントローラ14(図1)からの駆動信号
を印加して各圧電素子116a,116b、ひいては振
動プレート113をたわませることで、インク室114
の容積を増大(膨張)させたり減少(収縮)させること
ができるようになっている。ここで、インク室114が
本発明における「インク室」に対応する。 【0019】本実施の形態において、圧電素子116
a,116bは、同じ印加電圧に対する変位量(以下、
変位能力という。)が等しくなるように構成されてい
る。そのために本実施の形態では、圧電素子116a,
116bの材質、厚さおよび面積を等しく形成してい
る。これにより、同一の印加電圧に対して同じ容積変化
をインク室114に与えることができる。但し、2つの
圧電素子116a,116bの面積や厚さ等を変えて、
両者の変位能力を異ならせるように構成してもよい。 【0020】各インク室114における共同流路115
に連通した側と反対側の部分は、流路幅が次第に狭まっ
ていく構造になっており、その終端部の流路プレート1
12には、厚み方向に穿たれた流路孔117が設けられ
ている。そして、この流路孔117は、最下層のノズル
プレート111に形成された微小なノズル118へと連
通しており、このノズル118からインク滴が吐出され
るようになっている。本実施の形態では、記録ヘッド1
1には、記録用紙2(図1)の紙送り方向(図2の矢印
X)に沿って、複数のノズル118が1列に等間隔で形
成されている。但し、その他の配列(例えば千鳥状の二
列配列)としてもよい。 【0021】共同流路115は、図1に示したインクカ
ートリッジ12(図2および図3では図示せず)に連通
している。そして、このインクカートリッジ12から共
同流路115を経て各インク室114に常時一定速度で
インクが供給されるようになっている。このインクの供
給は、例えば毛細管現象を利用して行うことができる
が、そのほか、インクカートリッジ12に所定の加圧機
構を設けて加圧することで行うようにしてもよい。 【0022】このような構成の記録ヘッド11は、図示
しないキャリッジ駆動モータおよびこれに付随するキャ
リッジ機構によって記録用紙2の紙送り方向Xと直交す
る方向Y(図2)に往復移動しながらインク滴を吐出す
ることにより、記録用紙2に画像を記録するようになっ
ている。 【0023】図1に示したヘッドコントローラ14は、
例えば、いずれも図示しないが、マイクロプロセッサ
と、このマイクロプロセッサが実行するプログラムが格
納されたROM(Read Only Memory)と、マイクロプロ
セッサによる所定の演算や一時的なデータ記憶等に用い
られるワークメモリとしてのRAM(Random Access Me
mory)と、不揮発性メモリからなる駆動波形記憶部と、
駆動波形記憶部から読み出されたディジタルデータをア
ナログに変換するためのディジタルアナログ(D/A)
コンバータと、D/Aコンバータの出力を増幅するアン
プとを備えて構成される。ここで、駆動波形記憶部は、
記録ヘッド11の各ノズルの圧電素子116a,116
bをそれぞれ駆動するための駆動信号21a,21bの
各電圧波形を示す波形データを組の形で記憶している。
これらの波形データは、例えば図4に示した各種のパラ
メータ(時間パラメータおよび電圧パラメータ)を様々
な値に設定して作成されたものである。但し、各組の駆
動信号21aと駆動信号21bとの間には、後述するよ
うな一定の関係が保たれている。これらの波形データは
マイクロプロセッサによってそれぞれ読み出され、D/
Aコンバータでアナログ信号に変換されたのちアンプで
増幅され、ノズル数nと同数の駆動信号21a,21b
の組として出力される。なお、ヘッドコントローラ14
は、上記のような構成に限られることはなく、これと異
なる構成とすることも可能である。 【0024】これらの駆動信号の組のうち、各駆動信号
21aは対応するノズルの圧電素子116aに印加さ
れ、各駆動信号21bは対応するノズルの圧電素子11
6bに印加されようになっている。なお、図1では、n
組の駆動信号21a,21bをまとめて駆動信号21と
して描いている。 【0025】図4は駆動信号21a,21bの各一周期
分(T)の波形の一例を表すものである。この図の
(a)は駆動信号21a、(b)は駆動信号21bを表
す。ここで、縦軸は電圧、横軸は時間を表し、時間は図
の左から右方向へと進むものとする。これらのうち、駆
動信号21aは、インク滴を吐出する圧力を発生させる
ための吐出用駆動信号であり、基準電圧0Vのほかに引
込電圧Vpおよび吐出電圧Vaを取り得るようになって
いる。駆動信号21bは、インク滴吐出時のサテライト
滴の発生を抑制する圧力を発生させるための補助駆動信
号であり、基準電圧0Vのほかに引込電圧Vpおよび補
助電圧Vbを取り得る。駆動信号21a,21bの組
は、ヘッドコントローラ14によって各吐出周期ごとに
適宜切り替えられて、対応するノズルに供給されるよう
になっている。 【0026】ここで、図5を参照して、駆動信号21a
の波形の意義について説明する。この図5は、駆動信号
の波形と、この駆動信号が印加される圧電素子116a
の挙動と、ノズル118内におけるインクの先端部の位
置(以下、メニスカス位置という。)の変化との関係を
表すものである。この図の(a)は、駆動信号21aを
一般化した波形のほぼ1周期分を表し、同図(b)は
(a)のような波形の駆動信号が圧電素子116aに印
加されたときのインク室114の状態の変化を表し、同
図(c)はそのときのノズル118内におけるメニスカ
ス位置の変化を表す。 【0027】図5(a)において、まず、駆動電圧を基
準電圧0Vから引込電圧Vpに変化させる行程(Aから
Bまで)を第1の前行程とし、引込電圧Vpを一定時間
保持する行程(BからCまで)を第2の前行程とする。
また、駆動電圧を引込電圧Vp1から基準電圧0Vに変
化させる行程(CからDまで)を第1行程とし、これに
要する時間をt1とする。また、基準電圧0Vを保持し
て待機する行程(DからEまで)を第2行程とし、これ
に要する時間をt2とする。さらに、基準電圧0Vから
吐出電圧Vaに変化させる行程(EからFまで)を第3
行程とし、これに要する時間をt3とする。 【0028】本実施の形態において、第3行程の開始時
点である時点Eは、吐出が開始されるタイミングであ
り、このタイミングに先立って第1の前行程、第2の前
行程、第1行程、および第2行程が行われるようになっ
ている。 【0029】まず、時点Aおよびそれ以前においては、
圧電素子116aへの印加電圧は0Vであるので、図5
(b)の状態PAのように、振動プレート113にたわ
みはなく、インク室114の容積は最大となっている。
時点Aにおいて、ノズル118内におけるメニスカス位
置は、図5(c)の状態MAに示したように、ノズル開
口端から所定距離だけ後退した所に位置しているものと
する。 【0030】次に、時点Aの電圧0Vから時点Bの引込
電圧Vpへと駆動電圧をゆっくりと増加させる第1の前
行程を行うと、振動プレート113が内側にたわみ、イ
ンク室114は収縮する(図5(b)の状態PB)。こ
のときのインク室114の収縮速度はゆっくりとしたも
のなので、インク室114の容積の減少分は、ノズル1
18内のメニスカス位置を前進させると同時に、図2に
示した共同流路115へのインクの逆流をも引き起こ
す。このときのインクの前進量と逆流量との比は、主と
して、ノズル118内の流路抵抗と、インク室114と
共同流路115とをつなぐ狭路における流路抵抗との比
によって決まるが、これを最適化することにより、図5
(c)の状態MBで示したように、時点Bでのメニスカ
ス位置がノズル開口端から突出することなく、ノズル開
口端とほぼ同じ位置にくるように設定することができ
る。 【0031】次に、時点Bから時点Cまでの間、駆動電
圧を引込電圧Vpに保持することでインク室114の容
積を一定に保つ第2の前行程を行う。ところが、この間
もインクカートリッジ12からのインク供給は連続的に
行われているので、ノズル118内におけるメニスカス
位置はノズル開口端に向かって変位し、時点Cでは、例
えば図5(c)の状態MCで示したように、ノズル開口
端よりもやや突出した位置まで前進する。 【0032】次に、時点Cの引込電圧Vpから時点Bの
基準電圧0Vへと駆動電圧を減少させる第1行程を行う
と、圧電素子116への印加電圧が0になるので振動プ
レート113のたわみがなくなり、インク室114は膨
張する(図5(b)の状態P D)。このため、ノズル1
18内のメニスカスはインク室114の方向に引き込ま
れ、時点Dでは、例えば図5(c)の状態MDに示した
ように後退する(すなわち、ノズル開口端から遠ざか
る)。なお、時点Cと時点Dとの電位差である引込電圧
Vpの大きさを変更することにより第1行程におけるメ
ニスカスの引き込み量が変化するので、これによりイン
ク滴のサイズを制御することが可能である。インク滴の
サイズは吐出開始時点のメニスカス位置に依存し、メニ
スカス位置が深いほどインク滴サイズが小さくなるから
である。 【0033】次に、時点Dから時点Eまでの時間t2の
間、駆動電圧を基準電圧0Vに固定して振動プレート1
13cをたわみがない状態に維持することでインク室1
14の容積を一定に保つ第2行程を行う(図5(c)の
状態PD〜PE)。ところが、この間もインクカートリッ
ジ12からのインク供給は連続的に行われているので、
ノズル118内のメニスカス位置はノズル開口端に向か
って変位し、時点Eでは、例えば図5(c)の状態ME
に示した位置まで前進する。なお、第2行程の所要時間
t2を変更することによりメニスカス位置の前進量が変
化し、第3行程の開始時点におけるメニスカス位置を調
整することができるので、これにより、吐出されるイン
ク滴のサイズを制御することが可能である。 【0034】次に、時点Eの電圧0Vから時点Fの吐出
電圧Vaへと駆動電圧を急激に増大させる第3行程を行
う。ここで、時点Eは、上記したように、吐出開始タイ
ミングである。このとき、時点Fにおいて振動プレート
113は、図5(b)の状態PFに示したように内側に
大きくたわみ、インク室114は急激に収縮するので、
図5(c)の状態MFに示したように、ノズル118内
のメニスカスはノズル開口端に向かって一気に押され、
ここからインク滴として吐出される。吐出されたインク
滴は空気中を飛翔し、記録用紙2(図2)上に着弾す
る。 【0035】その後、駆動電圧を吐出電圧Vaに保った
まま所定時間経過した時点Gで、再び基準電圧0Vまで
減少させる。これにより時点Hでは、図5(b)の状態
Hに示したように、振動プレート113はたわみのな
い状態に戻る。この状態を次の吐出動作における第1前
行程の開始時点Iまで維持する。駆動電圧を再び0Vに
減少させた直後の時点Hにおいては、図5(c)の状態
Hに示したように、吐出されたインク滴の体積とイン
ク室114の容積の増加分とを加えた体積に相当する分
だけメニスカス位置が後退した状態となるが、その後も
行われるインクの充填(リフィル)により、次回の吐出
動作における第1の前行程の開始時点Iにおけるメニス
カス位置は、図5(c)の状態MIに示したように、当
初の時点Aにおける状態MAと同じになる。 【0036】このようにして1回の吐出動作が終了す
る。以下、このようなサイクル動作を各ノズル118ご
とに並行してそれぞれ繰り返し行うことで、記録用紙2
(図2)への画像記録が連続的に行われる。 【0037】なお、本実施の形態において、第2行程の
所要時間t2は第1行程で引き込まれたメニスカスがノ
ズル開口端に到達するまでの所要時間以下であるとし、
第3行程の吐出電圧Vaはインク滴を吐出させるに足る
範囲に入っているものとしている。また、図4(a)
で、上記の行程CD,DE,EF以外の行程の所要時間
については、それぞれ次のように表記する。AB=τ
1,BC=τ2,FG=t4,GH=t5。 【0038】次に、再び図4に戻って、駆動信号21b
の波形について説明する。本実施の形態では、駆動信号
21bにおけるA〜Dの部分を駆動信号21aと同一波
形としている。一方、0V保持行程DE′の所要時間t
6は、駆動信号21aの第2行程所要時間t2よりも大
きく設定され、駆動信号21bが基準電圧0Vから補助
電圧Vbに立ち上がり始める時点E′は、駆動信号21
aの吐出開始タイミングte(時点E)よりも時間td
だけ遅れている。なお、図4(b)では、駆動信号21
bが基準電圧0Vから補助電圧Vbに変化する行程E′
F′の所要時間をt7、駆動信号21bが補助電圧Vb
に達した時点F′からこの補助電圧Vbの保持終了時点
G′までの所要時間をt8、駆動信号21bが補助電圧
Vbから基準電圧0Vに変化する行程G′H′の所要時
間をt9と表記する。ここで、後述するように、遅延時
間tdを適切に設定する点が本発明の1つの特徴をなし
ているが、これについては後述する。 【0039】次に、図1のインクジェットプリンタ1の
全体動作を簡単に説明する。 【0040】図1において、図示しないパーソナルコン
ピュータ等の情報処理装置から印刷データがインクジェ
ットプリンタ1に入力されると、画像処理部15は、こ
の入力データに対して所定の画像処理(例えば圧縮され
たデータの伸長等)を行ったのち、これを印画データ2
2としてヘッドコントローラ14に送出する。 【0041】ヘッドコントローラ14は、記録ヘッド1
1のノズル数に対応したnドット分の印画データ22を
取得すると、これらの印画データ22を基に、n個のノ
ズルのそれぞれについて、ドットを形成するためのイン
ク滴サイズを判定し、この判定結果から、各ノズルに供
給すべき各1組の駆動信号21a,21bを選択する。
例えば、高濃度を表現する場合にはインク滴サイズを大
きくし得るような駆動波形(t2,Vaが大きく、Vp
が小さい波形)の組を選択し、低濃度を表現する場合や
高解像度表現を行う場合にはインク滴サイズを小さくし
得るような駆動波形(t2,Vaが小さく、Vpが大き
い波形)の組を選択する。また、微妙な中間階調を表現
する場合には、隣接するドット間でインク滴サイズを少
しずつ異ならせるようにし、また、例えば、各ノズル間
でインク吐出特性がばらついている場合には、これを補
正し得るような駆動波形の組を選択する。 【0042】さて、ヘッドコントローラ14は、nドッ
ト分の駆動信号(すなわち、n個のノズル118に供給
する駆動信号)の組を選択したのち、吐出周期の切替タ
イミングにおいて、記録ヘッド11における各ノズル1
18の圧電素子116aに対し、選択した駆動信号21
aを供給すると同時に、各ノズル118の圧電素子11
6bに対し、選択した駆動信号21bを供給する。各ノ
ズルにおける圧電素子116aは、供給された駆動信号
21aの電圧波形に従って図5で説明したような各行程
を行い、インク滴を吐出する。このとき、各ノズルの圧
電素子116bは、供給された駆動信号21bの電圧波
形に従って後述するように変位し、圧電素子116aに
よる吐出動作を補助するための動作を行う。 【0043】次に、図4、図6および図7を参照して、
本実施の形態に係るインクジェットプリンタの特徴的な
作用を説明する。 【0044】従来技術の項において述べたように、イン
ク滴の吐出の際に生ずる付随的なインク小滴であるサテ
ライト滴は、圧電素子により吐出圧力を発生させてイン
ク滴吐出を行う方式において多く発生するもので、柱状
になって飛翔するインクの先頭部分と後尾部分との間に
生ずる時間差や速度差に起因して先頭部分から後尾部分
が分離し、この後尾部分が微小なインク小滴となったも
のと考えられる。 【0045】本実施の形態では、このようなサテライト
滴の発生を防止するため、図4に示したように、駆動信
号21aを時点E(吐出開始タイミングte)で基準電
圧0Vから立ち上げて吐出電圧Vaに変化させることで
インク室114を収縮させると共に、その後駆動信号2
1aが吐出電圧Vaを保ってインク室114が収縮状態
にあるときに、駆動信号21bを基準電圧0Vから補助
電圧Vbへと立ち上げてインク室114をさらに収縮さ
せるようにしている。この点をさらに図6を参照して説
明する。 【0046】図6は駆動信号21a,21bの電圧波形
の変化と圧電素子116a,116bの変位との関係を
表すものである。具体的には、この図の(a)は駆動信
号21aの要部波形を表し、(b)は圧電素子116a
の変位を表し、(c)は駆動信号21bの要部波形を表
し、(d)は圧電素子116bの変位を表す。ここで、
横軸は時間を示し、また、(a),(c)における縦軸
は電圧を示し、(b),(d)における縦軸は変位量を
示す。 【0047】図6(a),(b)に示したように、圧電
素子116aは、時点Eから開始する駆動信号21aの
電圧増加と共にインク室114を収縮させる方向に変位
する。そして、圧電素子116aは、慣性力により、電
圧が吐出電圧Vaに達した時点Fをオーバーランした時
点Pで最大変位状態となり、ここでインク室114は最
収縮状態となる。一方、図6(c),(d)に示したよ
うに、駆動信号21bは圧電素子116aが最大変位状
態となった時点P(すなわち、時点E′)で基準電圧0
Vから補助電圧Vbへと立ち上がり始めるので、これに
より、圧電素子116bはインク室114をさらに収縮
させる方向に変位する。そして、圧電素子116bは、
上記と同様の慣性力により、電圧が補助電圧Vbに達し
た時点F′をオーバーランした時点P′で最大変位状態
となり、インク室114は最収縮状態となる。このよう
に本実施の形態では、圧電素子116aが変位0から最
大変位時点Pに達するまでの時間を遅延時間tdとして
設定している。 【0048】時点Eで駆動信号21aの吐出電圧Vaが
印加された圧電素子116aは、インク室収縮方向に変
位することによりインク室114内に圧力を発生させ、
この圧力によりノズル118からインクを押し出す。こ
の時点では、ノズル118から押し出されたインクはま
だ尾を引いており、インク柱の状態をなしている。一
方、圧電素子116aの最大変位時点で駆動信号21b
の補助電圧Vbが印加された圧電素子116bは、イン
ク室収縮方向に変位することによりインク室114内に
新たな圧力を発生させる。そして、この新たな圧力によ
り、既にノズル118から押し出されつつあるインク柱
が後押しされる。このため、インク柱の先頭部分に後尾
部分が追いついて、両者は一体化して単一のインク滴に
なると同時に、インクの流れに不連続性が発生し、イン
ク柱はその後尾部分の直後で断ち切られる。これによ
り、インク柱の尾が長く伸びることが抑制され、サテラ
イト滴の発生が抑制される。 【0049】なお、圧電素子116aは、吐出電圧Va
が保たれている間、固有振動をするが、駆動信号21a
が時点Gの吐出電圧Vaから時点Hの基準電圧0Vへと
変化すると、圧電素子116aの変位は0に戻り、さら
に、次第に減衰する固有振動を行う。同様に、圧電素子
116bは、補助電圧Vbが保たれている間、固有振動
をするが、駆動信号21bが時点G′の補助電圧Vbか
ら時点H′の基準電圧0Vへと変化すると、圧電素子1
16bの変位は0に戻り、さらに、次第に減衰する固有
振動を行う。 【0050】図7は遅延時間tdを様々に変えた場合の
インク滴の吐出状態を表すものである。この図の(a)
は、遅延時間tdをそれぞれ14,15,16μsec
に設定した場合のインク滴の尾の切断時点の変化を表
し、(b)は、駆動信号21aにより圧電素子116a
のみを変位させて吐出した場合および遅延時間tdをそ
れぞれ14,15,16μsecに設定した場合におけ
る吐出開始タイミングteから36μsec経過後のイ
ンク滴の状態を表すものである。なお、このときの圧電
素子116a,116bの厚さは25μm、振動プレー
ト113の厚さは25μmとし、また、図4に示した駆
動信号21a,21bの各時間パラメータおよび電圧パ
ラメータは次のように設定している。なお、時間パラメ
ータの単位はいずれもμsecであり、電圧パラメータ
の単位はいずれもボルトである。 【0051】τ1=30,τ2=10, t1=9,t2=2,t3=4,t4=20,t5=
8,t6=17,t7=4,t8=20,t9=8, td=15, Vp=35,Va=30,Vb=30 【0052】図7(a)に示したように、遅延時間td
をそれぞれ14,15,16μsecに設定したときの
インク滴の各切断タイミングは、吐出開始タイミングt
eからそれぞれ31.2,29.2,31.6μsec
だけ経過した時点となっている。また、同図(b)に示
したように、吐出開始タイミングteから36μsec
経過後の状態を見てみると、遅延時間tdを14,1
5,16μsecとしたいずれの場合においても、イン
ク滴の尾は圧電素子116aのみで吐出を行った場合よ
りも早く断ち切られている。特に、遅延時間tdを15
μsecにしたときのインク滴の長さは、遅延時間td
をそれぞれ14,16μsecに設定したときよりも短
くなっている。 【0053】以上のことから、駆動信号21bを圧電素
子116bに印加することによってインク滴の尾の切断
時期を早めることができ、サテライト滴の発生が抑制さ
れることが判る。特に、遅延時間tdを15μsecに
設定した場合にはインク滴の尾が最も早く断ち切られ、
サテライト滴の発生を最も効果的に抑制し得ることが判
る。本実施の形態において、この15μsecという遅
延時間は、圧電素子116aが変位を開始してから最大
変位位置に到達するまで所要時間にほぼ等しくなってい
る。すなわち、駆動信号21aの吐出電圧Vaによって
圧電素子116aの変位量が最大になった時点で駆動信
号21bの補助電圧Vbを立ち上げて圧電素子116b
の変位を開始させるように制御することにより、サテラ
イト滴の発生を最も効果的に抑制することができるので
ある。 【0054】このように、本実施の形態によれば、各ノ
ズルに対応した各インク室114ごとに2つの圧電素子
116a,116bを設けると共に、一方の圧電素子1
16aによってインク滴の吐出を開始したのち、この圧
電素子116aの変位によってインク室114が収縮状
態にあるときに、他方の圧電素子116bを変位させて
インク室114をさらに収縮させるようにしたので、イ
ンク滴の尾を早期に断ち切ることができ、この結果、サ
テライト滴の発生を抑制することが可能となる。特に、
圧電素子116aが最も大きく変位した時点で圧電素子
116bの変位を開始させることにより、サテライト滴
の発生を最も効果的に抑制することが可能となる。 【0055】以上、実施の形態を挙げて本発明を説明し
たが、本発明はこの実施の形態に限定されず、種々変更
可能である。 【0056】例えば図6に示した例では、圧電素子11
6aが最も大きく変位した時点で圧電素子116bの変
位を開始させるようにしたが、本発明はこれに限定され
るものではなく、より広く、インク室114が収縮状態
にあるときに(すなわち、図6(b)の時点Eよりも後
で時点Hよりも前に)、圧電素子116bの変位を開始
させるようにしても、相当の効果は得られる。 【0057】また、図4における各時間パラメータおよ
び電圧パラメータの設定値は、上に例示した値に限定さ
れるものではなく、適宜変更可能である。例えば、本実
施の形態では、駆動信号21a,21bの双方における
引込電圧を同じVpとしたが、両者を異ならせてもよ
い。 【0058】また、上記実施の形態では、吐出用圧力発
生手段としてインク供給側の圧電素子116aを用いる
と共に、サテライト滴防止用圧力発生手段としてノズル
側の圧電素子116bを用いることとしたが、これとは
逆に、吐出用圧力発生手段としてノズル側の圧電素子1
16bを用いると共に、サテライト滴防止用圧力発生手
段としてインク供給側の圧電素子116aを用いるよう
にしてもよい。 【0059】また、上記実施の形態では、1つのノズル
について2つの圧電素子を設ける場合について説明した
が、1つのノズルについて3つ以上の圧電素子を設け、
これらの圧電素子を吐出用とサテライト滴抑制用とに区
分し、吐出用圧電素子に吐出用の駆動信号21aを加え
ると共に、サテライト滴抑制用圧電素子にサテライト滴
抑制用の駆動信号21bを印加するようにしてもよい。
この場合、3つ以上の圧電素子の変位能力は、互いに等
しくしてもよいし、あるいは異ならせてもよい。こうす
ることにより、よりきめ細かく、サテライト滴の抑制制
御を行うことができる。 【0060】また、上記実施の形態では、1つのノズル
118に対して1つのインク室114を設けると共に、
この1つのインク室114に対応して2つの圧電素子1
16a,116bを設けるようにしたが、例えば、図8
に示したように、1つのノズル118に対して2つのイ
ンク室114a,114bを設けると共に、各インク室
114a,114bに対応させて圧電素子116a,1
16bを設けるようにしてもよい。なお、図8は、記録
ヘッド11の一部を真上から見た状態を表すものであ
り、図2に示した要素と同一要素には同一の符号を付
し、また、振動プレート113の図示を省略している。
この図に示した構成によれば、一方のインク室114a
における圧電素子116aの挙動が他方のインク室11
4bの状態に与える影響が少ないので、圧電素子116
a,116bの相互間のクロストークを低減することが
でき、より高精度の印字品質を得ることができる。 【0061】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載のイ
ンクの吐出方法によれば、ノズルから吐出されるインク
滴の大きさを決定するために、ノズル内のインクのメニ
スカスの位置を後退させるインクメニスカス後退工程
と、インクメニスカス後退工程で決定されたメニスカス
位置から、圧電素子の固有振動に対応して、インク室が
その収縮方向へ最も大きく変位した後に最も大きく変位
した量より小さい量にインク室が振動しながら収縮する
ようにインク室の収縮を開始し、ノズルからインク滴を
吐出させる第1のインク室収縮工程と、第1のインク室
収縮工程で収縮したインク室を更に収縮させするため
に、第1のインク室収縮工程開始後、インク室がインク
室収縮方向に最も大きく変位した時点またはその近傍に
おいて、第1のインク室収縮工程に重畳して、インク室
の収縮を開始する第2のインク室収縮工程とを含むよう
にしたので、インク滴が長く尾を引く前に早期に断ち切
られ、付随的なインク小滴の発生を抑制することがで
き、記録される画像の品質の低下を防止することができ
るという効果がある。特に、小さいインク滴を用いて表
現する必要がある淡い画像や中間階調画像のように、不
要な付随的インク小滴の影響を受け易い画像において
も、画質の低下を効果的に防止することができる。ま
た、吐出されるインク滴の飛翔速度の低下や装置寿命の
短縮、あるいは周波数特性の悪化等を伴うことがない。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施の形態に係るインクジェットプ
リンタの概略構成を表すブロック図である。 【図2】記録ヘッドの一構造例を表す斜視断面図であ
る。 【図3】記録ヘッドの一構造例を表す断面図である。 【図4】図1におけるヘッドコントローラから出力され
る駆動信号の波形の一例を表す図である。 【図5】図4に示した吐出用の駆動信号波形と、インク
室の状態およびノズル内のメニスカス位置の変化との関
係を説明するための図である。 【図6】図4に示した駆動信号波形と圧電素子の変位量
との関係の一例を表す図である。 【図7】図4に示した駆動信号波形によるインク滴の吐
出状態の一例を表す図である。 【図8】本実施の形態に係るインクジェットプリンタに
用いられる記録ヘッドの変形例を表す平面図である。 【図9】従来のインクジェットプリンタの駆動方法を説
明するための説明図である。 【図10】従来の他のインクジェットプリンタの駆動方
法を説明するための説明図である。 【符号の説明】 1…インクジェットプリンタ、11…記録ヘッド、14
…ヘッドコントローラ、21a,21b…駆動信号、2
2…印画データ、113…振動プレート、114…イン
ク室、115…共同流路、116a,116b…圧電素
子、118…ノズル、Vp…引込電圧、Va…吐出電
圧、Vb…補助電圧、td…遅延時間、te…吐出開始
タイミング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 B41J 2/205

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 圧電素子を用いてインク室の容積を変化
    させることにより、前記インク室内のインクを、前記イ
    ンク室に連通するノズルからインク滴として吐出する方
    法であって、 前記ノズルから吐出されるインク滴の大きさを決定する
    ために、前記ノズル内のインクのメニスカスの位置を後
    退させるインクメニスカス後退工程と、 前記インクメニスカス後退工程で決定されたメニスカス
    位置から、前記圧電素子の固有振動に対応して、前記イ
    ンク室がその収縮方向へ最も大きく変位した後に前記最
    も大きく変位した量より小さい量に前記インク室が振動
    しながら収縮するように前記インク室の収縮を開始し、
    前記ノズルからインク滴を吐出させる第1のインク室収
    縮工程と、 前記第1のインク室収縮工程で収縮したインク室を更に
    収縮させるために、前記第1のインク室収縮工程開始
    後、前記インク室がその収縮方向に最も大きく変位した
    時点またはその近傍において、前記第1のインク室収縮
    工程に重畳して、前記インク室のさらなる収縮を開始す
    る第2のインク室収縮工程とを含むことを特徴とするイ
    ンクの吐出方法。
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