JPH11169804A - 超音波洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな被洗浄物であっても容易に洗浄がで
き、被洗浄面に付着した汚れの塊や頑固な汚れを簡単に
除去することができる超音波洗浄装置の提供。 【解決手段】 振動子１を発振機Ｂで超音波駆動するこ
とにより、振動子１の振動放射面１ａに取り付けられた
ホーン３内の空洞３ｈに超音波音場を形成する。その結
果、空洞３ｈ内の洗浄液に生じるキャビテーションや加
速度が被洗浄物５の汚れに作用して超音波洗浄されると
ともに、ホーン３に取り付けられて超音波振動するブラ
シ４により被洗浄物５の表面の汚れがこすり取られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、超音波を利用して
被洗浄面の汚れを除去する超音波洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の超音波洗浄装置のほとんどは、洗
浄液で満たされた槽内に被洗浄物を浸漬させて洗浄する
バッチ式が一般的である。超音波洗浄では、洗浄液中の
超音波エネルギーによるキャビテーションや加速度が被
洗浄物の汚れに作用し、汚れの層の破砕や剥離などによ
り洗浄が行われる。

【０００３】最近では、半導体製造時のシリコンウェハ
洗浄用に図４に示すようなノズルシャワー式の超音波洗
浄装置が用いられることがある。図４はノズルシャワー
式超音波洗浄装置の概念図であり、内部が空洞となった
ノズル部４０内には供給口４０ａから洗浄水が供給され
る。ノズル部４０の振動部４０ｂを振動子４１で振動さ
せると、ノズル部４０内の洗浄水中に超音波音場が形成
され、超音波エネルギーによる水の粒子の加速度が生じ
る。この超音波音場はノズル先端の排出口４０ｃから流
れ出る水流４２中にも形成されるので、水流４２中に生
じる加速度がウェハＷ表面に付着した汚染物質に作用
し、ウェハ表面が洗浄される。このようなノズルシャワ
ー式超音波洗浄装置では、ウェハ面のミクロンオーダー
の微粒子が除去されるように振動子の周波数は１ＭＨｚ
以上と高く設定されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、バッチ
式の超音波洗浄装置では洗浄槽内に入れることができる
物しか洗浄できないという欠点がある。一方、ノズルシ
ャワー式超音波洗浄装置では、超音波の振動数が１ＭＨ
ｚ以上と高いため、ウェハ面に付着したミクロンオーダ
ーの微粒子の洗浄には効果的だが、逆に、周波数が高く
なるとキャビテーション強度が小さくなるために、塊状
の汚れや頑固な汚れが取れにくいという欠点がある。そ
のため、塊で付着した汚れの剥離などのような粗洗浄に
は向いていない。また、細く絞ったノズル先端から洗浄
水を流出するので、一度に洗浄できる洗浄面積が小さい
という欠点もある。

【０００５】本発明の目的は、従来のバッチ式の超音波
洗浄装置で洗浄できないような大きな被洗浄物であって
も容易に洗浄ができ、被洗浄面に付着した塊状の汚れや
頑固な汚れを簡単に除去することができる超音波洗浄装
置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】発明の実施の形態を示す
図１に対応付けて説明する。 （１）請求項１の発明は、発振機Ｂにより超音波駆動さ
れる振動子１と、洗浄液が供給される空洞３ｈおよびそ
の空洞３ｈに供給された洗浄液を吐出する吐出口３ｄが
形成されて振動子１の振動面１ａに固定されるホーン３
と、ホーン３に取り付けられその軸方向に振動するブラ
シ４とを備えて上述の目的を達成する。 （２）請求項２の発明は、請求項１に記載の超音波洗浄
装置において、ブラシ４をホーン３に着脱可能に取り付
けた。

【０００７】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が発明の実施の形態に限定されるものではない。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図１〜図３を参照して本発
明の実施の形態を説明する。図１は本発明による超音波
洗浄装置の一実施の形態を示す図であり、超音波洗浄装
置は大別して洗浄ノズル部Ａと超音波発生用振動子１を
駆動する発振機Ｂとから成る。振動子１は洗浄ノズル部
Ａのケース２内に収納され、振動子１の振動放射端面１
ａにはホーン３が取り付けられている。ホーン３の長さ
は超音波の波長をλとしたときにλ／２の整数倍に設定
され、その先端部３ａの振動速度は振動子１の振動放射
単面１ａの振動速度より大きくなる。本実施の形態で
は、ホーン３の長さをλ／２に設定し、ホーン３の先端
部３ａに円板状のブラシ４を設けた。このとき、振動子
１の振動放射端面１ａとホーン先端部３ａは振動の腹と
なり、ホーン３とケース２との固定部３ｃが振動の節と
なっている。

【０００９】ケース２内には、洗浄ノズル部Ａの握り部
２ａから振動放射端面１ａの図示左側にかけて空洞２ｃ
が形成され、洗浄液供給口２ｂに接続されたフレキシブ
ルホース等（不図示）を介して空洞２ｃ内に洗浄液が供
給される。なお、洗浄液を供給する洗浄液供給手段につ
いては省略した。空洞２ｃ内に供給された洗浄液はホー
ン３に形成された開口３ｂからホーン３に形成された空
洞３ｈに流入し、先端部３ａの吐出口３ｄから吐出され
る。なお、図１では発振機Ｂをケース２とは別個に設け
たが、発振機Ｂを小型化してケース２内に収納するよう
にしても良い。

【００１０】被洗浄物５の表面を洗浄する際には、洗浄
ノズル部Ａの握り部２ａを握って図１のようにブラシ４
を被洗浄面に当接させる。振動子１の振動放射端面１ａ
が図の左右方向に振動することによって空洞３ｈ内の洗
浄液中に超音波音場が形成され、超音波エネルギーによ
るキャビテーションや加速度が被洗浄物５の表面に付着
した汚染物質に作用し、汚染物質の破砕や剥離が生じ
る。さらに、本実施の形態では、振動子１によってホー
ン３の先端部３ａが左右方向に振動するため、ブラシ４
の毛先が被洗浄面を振動的に叩くことになる。そのた
め、超音波洗浄では除去しにくい塊状の汚れや頑固な汚
れもブラシ４の効果によって除去することが可能とな
る。

【００１１】上述した超音波洗浄装置を、例えば、一般
家庭の浴室洗浄（カビ取りなど）に用いる場合には、洗
浄液として水道水や水と洗剤の混合液を使用し、６０ｋ
Ｈｚ，２０Ｗの超音波を発生させる。また、機械加工工
場で大型部品の局部洗浄に用いる場合には、４０ｋＨ
ｚ，５０Ｗと周波数を下げるとともにパワーを増大させ
て、より大きな汚染粒子や頑固な汚れに対応させるよう
にする。ブラシ４の形状や毛の材質などについては、被
洗浄物の形状や材質に応じて種々のものが考えられる。
このように、振動子１で形成される超音波の周波数はｋ
Ｈｚオーダーとし、上述したノズルシャワー式洗浄装置
のようにミクロンオーダーの汚れ粒子ではなく、比較的
大きな汚れに効果的に作用するように周波数を設定す
る。

【００１２】−第１の変形例− 図２は図１に示す超音波洗浄装置の第１の変形例を示す
図で、洗浄ノズル部Ａのホーン部分の拡大図である。こ
の変形例では、ホーン２０は円錐ホーンを構成してお
り、その先端部２０ａには図１の場合と同様のブラシ４
が設けられている。ホーン２０のように円錐ホーンとす
ると、図１のホーン３の場合に比べて先端部２０ａの振
動速度がより大きくなり、ブラシ４による汚れ除去の効
果が増大する。

【００１３】−第２の変形例− 図３は図１に示した超音波洗浄装置の第２の変形例であ
り、ブラシを試験管洗浄用に構成したものである。ホー
ン３の先端部３ａには、試験管洗浄用のブラシ３０が取
り付けられる。円筒部３１の外周部分に植毛されたブラ
シ３０の軸方向長さはλ／２であり、ホーン３の先端部
３ａおよびブラシ３０の先端は振動の腹となっている。
その他の構成は図１に示した超音波洗浄装置と同様であ
る。洗浄液を流しつつ振動子１を振動駆動させると、ホ
ーン３およびブラシ３０内部が洗浄液で満たされるとも
に試験管６の内部も洗浄液で満たされるため、試験管６
内の洗浄液中にも超音波音場が形成され、超音波エネル
ギーによるキャビテーションや加速度が試験管６の内表
面に付着した汚染物質に作用し、汚染物質の破砕や剥離
が生じる。さらに、ホーン３を介してブラシ３０に図示
左右方向の振動が伝達されためにブラシ３０の毛先が試
験管内面をこすり、超音波洗浄では除去しにくい塊状の
汚れや頑固な汚れを除去することができる。

【００１４】上述したように、本実施の形態では、振動
子１とブラシ４，３０が設けられたホーン３，２０とを
用い、ホーン内の洗浄液中に生じるキャビテーション，
加速度による超音波音波洗浄と、超音波振動するブラシ
４，３０を被洗浄面に接触させることによる汚れ除去と
を同時に行うようにしているため、（ａ）ブラシ４，４
０による塊状の汚れや頑固な汚れの破砕および除去効果
と、（ｂ）超音波による生じるキャビテーションや加速
度による洗浄効果とによって、大きな塊状の汚れも、窪
み等に付着した小さな汚れも効果的に除去することがで
きる。さらに、ブラシを被洗浄面の形状に応じて交換す
ることにより、様々な形状の被洗浄物を洗浄することが
可能となる。

【００１５】また、従来のバッチ式とは異なり、比較的
小型なホーン内に超音波音場を形成してそこに生じるキ
ャビテーションや加速度を被洗浄面に作用させる構造と
しているため洗浄ノズル部Ａが小型化され、洗浄ノズル
部Ａを作業者が手に持って洗浄作業を行うことができ、
被洗浄物が大型であっても容易に超音波洗浄を行うこと
が可能となる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
振動子とホーンとブラシとから超音波洗浄装置を構成し
たので装置の小型化が図られ、作業者が洗浄装置を手に
持って被洗浄面を超音波洗浄することが可能となる。そ
のため、従来のバッチ式超音波洗浄装置の洗浄槽に納ま
りきれないような大型の被洗浄物でも、容易に超音波洗
浄を行うことができる。また、ホーン内の洗浄液中に生
じるキャビテーション，加速度を被洗浄面に作用させて
超音波洗浄を行うと同時に、超音波振動するブラシを被
洗浄面に接触させることによって被洗浄面の汚れを除去
するようにしているため、塊状の汚れや頑固な汚れも除
去できるようになり洗浄能力の向上を図ることができ
る。特に、請求項２の発明のようにブラシを着脱可能と
することにより、被洗浄面の形状に応じたブラシに交換
することが可能となり、様々な形状の被洗浄面に対応す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による超音波洗浄装置の一実施の形態を
示す図である。

【図２】図１に示す超音波洗浄装置の第１の変形例を示
す断面図。

【図３】図１に示す超音波洗浄装置の第２の変形例を示
す断面図。

【図４】従来のノズルシャワー式超音波洗浄装置の概念
図。

【符号の説明】

１ 振動子 ３，２０ ホーン ４，３０ ブラシ ５ 被洗浄物 Ａ 洗浄ノズル部 Ｂ 発振機

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発振機により超音波駆動される振動子
   と、洗浄液が供給される空洞およびその空洞に供給され
   た洗浄液を吐出する吐出口が形成されて前記振動子の振
   動面に固定されるホーンと、前記ホーンに取り付けられ
   その軸方向に振動するブラシとを備えることを特徴とす
   る超音波洗浄装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の超音波洗浄装置におい
   て、 前記ブラシを前記ホーンに着脱可能に取り付けたことを
   特徴とする超音波洗浄装置。