JPH11169491A

JPH11169491A - ゴルフクラブヘッド

Info

Publication number: JPH11169491A
Application number: JP9346867A
Authority: JP
Inventors: Hitoshi Kodama; 斎児玉; Hidehiro Takemoto; 秀博竹本; Takumi Ishimori; 巧石森; Yoshiharu Numata; 喜春沼田
Original assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date: 1997-12-16
Filing date: 1997-12-16
Publication date: 1999-06-29

Abstract

(57)【要約】【課題】ボール打撃時の音響の特性を目的とする範囲
に設定することが可能なゴルフクラブヘッドを提供す
る。【解決手段】内部に中空部２が形成されたヘッド本体
４のフェース部４Ａ以外に、中空部２に通じる開口３が
１つ以上形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ゴルフクラブヘッ
ドに関するもので、特に、中空のウッドタイプのゴルフ
クラブヘッドに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ドライバー、スプーン、バッフィ
ー等のウッドタイプのゴルフクラブヘッドには、パーシ
モンなどの材料が広く使用されている。このようなゴル
フクラブヘッドを用いてボールを打撃した際の音響は、
減衰が速く、かつ音圧の低いものであった。近年、こう
したウッドタイプのゴルフクラブヘッドとしては、ボー
ルのコントロール性、飛距離等の性能を高めるため、ス
テンレス鋼、チタン合金、アルミニウム高力合金などの
金属材料からなる中空タイプとし、体積を大型化したも
のが主流となりつつある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記中
空タイプのゴルフクラブヘッドにあっては、打撃音が内
部にこもった感じになりやすく、また材質や構造によっ
ては打撃音の音圧などの音響特性が不十分なものとな
り、使用者に爽快感を与える打撃音を得ることができな
いことがあった。本発明は、上記事情に鑑みてなされた
もので、ボール打撃時の音響の特性を目的とする範囲に
設定することが可能なゴルフクラブヘッドを提供するこ
とを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題は、内部に中空
部が形成されたヘッド本体のフェース部以外に、中空部
に通じる開口が１つ以上形成されたゴルフクラブヘッド
によって解決することができる。また、前記開口のうち
少なくとも１つが、ボールを打撃時に振動し発音する振
動体により覆われた構造とすると、ボール打撃時の音響
をさらに良好なものとすることができるため好ましい。
この振動体としては、１００〜２００００Ｈｚの範囲に
５つ以上の固有振動数をもつものを用いるのが好まし
く、１０００〜１００００Ｈｚの範囲に２つ以上の固有
振動数をもつものを用いるのがさらに好ましい。また、
前記ヘッド本体は炭素繊維強化プラスチックからなるも
のとするのが好ましい。

【０００５】

【発明の実施の形態】図１および図２は、本発明のゴル
フクラブヘッドの第１実施形態を示すもので、ここに示
すゴルフクラブヘッド１は、内部に中空部２が形成され
たヘッド本体４に、中空部２に通じる開口３が形成され
たものである。また、図１および図２中、符号４Ａはヘ
ッド本体４のフェース部、符号４Ｂはソール部、符号４
Ｃはクラウン部、符号４Ｄは側部を示すものである。

【０００６】ヘッド本体４の材質は、特に限定されるも
のでないが、金属材料や繊維強化プラスチック等を用い
ることができる。金属材料としては、超強靱鋼、マルテ
ンサイト鋼、中炭素５％Ｃｒ鋼、α＋β型チタン合金、
β型チタン合金等を用いることができる。

【０００７】繊維強化プラスチックに好適に用いられる
繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、
ポリエステル繊維等が挙げられ、繊維の形態としては、
織物、不織布を挙げることができる。またこの繊維は、
単一材料のみならず、２種以上の交織材料であってもよ
い。繊維強化プラスチックのマトリクス樹脂としては、
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキ
シ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリアミド
樹脂等の熱可塑性樹脂が使用可能である。またマトリク
ス樹脂中には、タングステン粉末などの高弾性・高密度
化成分を分散させると、ヘッド本体４の振動特性を向上
させ、打撃時の音響を良好なものとすることができるた
め好ましい。これらの材料のなかでも特に、炭素繊維を
使用した炭素繊維強化プラスチックは比強度に優れてい
るため好ましい。

【０００８】開口３は、ボール打撃時にフェース部４Ａ
から中空部２内に伝えられた打撃音をヘッド本体４の外
部に伝え、打撃時に発せられる音響の特性、例えば音
圧、残響時間等を所望の値に設定するためのものであ
る。本実施形態において、開口３はヘッド本体４のソー
ル部４Ｂに設けられている。開口３の形状は特に限定さ
れず、円形、方形など任意の形状としてよい。開口３の
開口面積は、１０ｍｍ²以上とするのが好ましい。この
開口面積が１０ｍｍ²未満であると、ボール打撃時に中
空部２内に伝えられた打撃音が十分にヘッド本体４の外
部に伝えられず、ボール打撃時の音響が音圧、残響時間
等の特性に劣るものとなりやすい。また、この開口面積
は４０００ｍｍ²以下とするのが好ましい。これは、開
口面積が４０００ｍｍ²を越えるとヘッド本体４の機械
的強度が低下するおそれがあるためである。

【０００９】上記構成のゴルフクラブヘッド１にあって
は、ヘッド本体４に、中空部２に通じる開口３を設けた
ので、このゴルフクラブヘッド１を用いてボールを打撃
すると、ボール打撃時に中空部２内に伝えられた打撃音
が中空部２内部にこもることなく、開口３を通してヘッ
ド本体４の外部に伝えられる。このため、ボール打撃時
に発せられる音響の特性が開口３の形状や形成位置に応
じたものとなる。例えば、開口３を開口面積が比較的大
きくなるよう形成すると、ボール打撃時に発せられる音
圧が大きくなる。従って、ボール打撃時に発せられる音
響の特性、例えば音圧、残響時間、高さを、容易に目的
とする範囲に設定することができる。

【００１０】また、開口３をソール部４Ｂに形成するこ
とによって、スイング時にソール部４Ｂから風切り音が
発生しやすくなり、スイング中のヘッド１の位置を聴覚
により認識することができるようになる。このため、使
用者がヘッド１の位置を把握しつつ、しかもボールから
目をはなさずにスイングを行うことができ、スイング技
術の向上を図ることができる。

【００１１】次に、本発明のゴルフクラブヘッドの第２
実施形態について説明する。図３は、本発明のゴルフク
ラブヘッドの第２実施形態を示すもので、ここに示すゴ
ルフクラブヘッド１１は、ヘッド本体４上に、開口３を
覆う振動体５が設けられている点で、上述の第１実施形
態のゴルフクラブヘッド１と異なる。

【００１２】振動体５は、ボール打撃時に発せられる音
響の特性を所望の値に設定するためのもので、ボール打
撃時に振動し発音することができるようにされている。
振動体５は、上記開口３を覆うことができる大きさとさ
れた円形、矩形などの板状体とするのが好ましく、その
厚さは、０．１〜１．０ｍｍとするのが好ましい。

【００１３】振動体５は、１００〜２００００Ｈｚの周
波数範囲に５つ以上の固有振動数を持つものとするのが
好適である。これは、この範囲における固有振動数の数
が５つ未満であると、ボール打撃時に振動体５が振動し
にくくなり、打撃時の音響の音圧、残響時間等の特性が
悪化するためである。また、振動体５は、１０００〜１
００００Ｈｚの周波数範囲に２つ以上の固有振動数を持
つものとするのがさらに好ましい。これは、この範囲に
おける固有振動数の数が２つ未満であると、ボール打撃
時に振動体５が振動しにくくなり、打撃時の音響の上記
特性が悪化するためである。また、振動体５の材料とし
ては、上記ヘッド本体４の材料の例として挙げたものを
用いることができる。

【００１４】振動体５は、接着剤、固定ピンなどにより
ヘッド本体４に固定される。固定位置は、振動体５の周
縁の一部であってもよいし、全周縁にわたっていてもよ
い。

【００１５】上記第２実施形態のゴルフクラブヘッド１
１にあっては、ヘッド本体４上に、ボール打撃時に振動
し発音する振動体５を、開口３を覆うように設けたの
で、ボールを打撃した際に振動体５が発音し、打撃時に
発せられる音響が振動体５の形状や材質に応じたものと
なる。従って、ボール打撃時に発せられる音響の特性、
例えば音圧、残響時間、高さを、ヘッド本体４の材質、
形状に関係なく、目的とする範囲に設定することができ
る。また、ボール打撃時に芝の断片、砂などが開口３を
通して中空部２内部に侵入するのを防止することができ
るという効果も得られる。

【００１６】なお、上記第１実施形態では、開口３の位
置をヘッド本体４のソール部４Ｂとしたが、開口の位置
はこれに限らず、ヘッド本体４のフェース部４Ａ以外の
位置であれば任意としてよい。すなわち、例えば図４に
示すように、開口６を、ヘッド本体４の上部のクラウン
部４Ｃに設けることもできる。この場合には、打撃音が
開口６を通してヘッド本体４の上方に伝わるため、打撃
時の音響が使用者に伝わりやすくなり、使用者に伝えら
れる音響が音圧等の特性に優れたものとなる利点があ
る。この他、開口をヘッド本体４の側部４Ｄに設けるこ
とも可能である。

【００１７】また、開口の数は１つに限らず、２つ以上
としてもよい。開口の数を２つ以上とし、かつ振動体を
設ける場合には、振動体を、すべての開口を覆うように
設けてもよいし、これら開口のうち一部を覆うように設
けてもよい。

【００１８】

【実施例】［試験例１−１］図１および図２に示すもの
と同様のゴルフクラブヘッドを次のようにして作製し
た。１８０℃硬化エポキシ樹脂（三菱レイヨン（株）製
「＃９８２樹脂」）を離型紙上で圧延し、樹脂目付を１
２８ｇ／ｍ²とした。次いで、炭素繊維織物（繊維目
付：２００ｇ／ｍ²、三菱レイヨン（株）製「ＨＲ３１
１０」）を上記エポキシ樹脂に含浸し、厚み０．２３ｍ
ｍの薄板状の炭素繊維プリプレグ（１−１）を得た。こ
のプリプレグ（１−１）を用いて体積が３００ｃｃであ
る中空ヘッド本体を成形した。次いで、このヘッド本体
のソール部に、中空部に通じる開口を形成した。開口は
直径６０ｍｍの円形（開口面積２８２７ｍｍ²）に形成
した。

【００１９】［試験例１−２］開口を設けないこと以外
は試験例１−１と同様にしてゴルフクラブヘッドを作製
した。

【００２０】このようにして得られた試験例１−１およ
び試験例１−２のゴルフクラブヘッドのボール打撃時の
音響解析を行ったところ、試験例１−１のゴルフクラブ
ヘッドでは、試験例１−２のゴルフクラブヘッドに比べ
て打撃時の音響の音圧が２倍、残響時間が１．５倍向上
することが明らかとなった。

【００２１】［試験例２−１］図４に示すものと同様の
ゴルフクラブヘッドを次のようにして作製した。１３０
℃硬化エポキシ樹脂（三菱レイヨン（株）製「＃３４０
樹脂」）を離型紙上で圧延し、樹脂目付を１２８ｇ／ｍ
²とした。次いで、炭素繊維織物（繊維目付：２００ｇ
／ｍ²、三菱レイヨン（株）製「ＴＲ３１１０」）を上
記エポキシ樹脂に含浸し、厚み０．２３ｍｍの薄板状の
炭素繊維プリプレグ（２−１）を得た。このプリプレグ
（２−１）を用いて体積３００ｃｃの中空ヘッド本体を
成形した。次いで、このヘッド本体のクラウン部中央位
置に、中空部に通じる開口を形成した。開口は直径５０
ｍｍの円形（開口面積１９６３ｍｍ²）に形成した。

【００２２】［試験例２−２］また、開口を設けないこ
と以外は試験例２−１と同様にしてゴルフクラブヘッド
を作製した。

【００２３】このようにして得られた試験例２−１およ
び試験例２−２のゴルフクラブヘッドのボール打撃時の
音響解析を行ったところ、試験例２−１のゴルフクラブ
ヘッドでは、試験例２−２のゴルフクラブヘッドに比べ
て、打撃時の音響の音圧が３倍、残響時間が２倍向上す
ることが明らかとなった。

【００２４】［試験例３−１］図３に示すものと同様の
ゴルフクラブヘッドを次のようにして作製した。１３０
℃硬化エポキシ樹脂（三菱レイヨン（株）製「＃３４０
樹脂」）を離型紙上で圧延し、樹脂目付を１２８ｇ／ｍ
²とした。次いで、炭素繊維織物（繊維目付：２００ｇ
／ｍ²、三菱レイヨン（株）製「ＴＲ３１１０」）を上
記エポキシ樹脂に含浸し、厚み０．２３ｍｍの薄板状の
炭素繊維プリプレグ（３−１）を得た。このプリプレグ
（３−１）を用いて体積が３００ｃｃである中空ヘッド
本体を成形した。

【００２５】次いで、このヘッド本体のソール部に開口
を形成した。開口は直径５０ｍｍの円形（開口面積１９
６３ｍｍ²）に形成した。次いで、直径６０ｍｍ、厚み
１ｍｍの円板状の振動体を用意した。この振動体は、チ
タン合金からなり、かつ１００〜２００００Ｈｚの周波
数範囲に８つの固有振動数を持つものとした。この振動
体で開口を覆い、エポキシ樹脂系接着剤を用いて振動体
の周縁部を全周にわたりヘッド本体に接着した。

【００２６】［試験例３−２］また、振動体を設けない
こと以外は試験例３−１と同様にしてゴルフクラブヘッ
ドを作製した。

【００２７】このようにして得られた試験例３−１およ
び試験例３−２のゴルフクラブヘッドのボール打撃時の
音響解析を行ったところ、試験例３−１のゴルフクラブ
ヘッドでは、試験例３−２のゴルフクラブヘッドに比べ
て、ボール打撃時の音響の周波数帯が１．２倍高域側に
現れることがわかった。

【００２８】［試験例４−１］１８０℃硬化エポキシ樹
脂（三菱レイヨン（株）製「＃９８２樹脂」）を離型紙
上で圧延し、樹脂目付を１２８ｇ／ｍ²とした。次い
で、炭素繊維織物（繊維目付：２００ｇ／ｍ²、三菱レ
イヨン（株）製「ＨＲ３１１０」）を上記エポキシ樹脂
に含浸し、厚み０．２３ｍｍの薄板状の炭素繊維プリプ
レグ（４−１）を得た。このプリプレグ（４−１）を用
いて体積が３００ｃｃである中空ヘッド本体を成形し
た。

【００２９】次いで、このヘッド本体のクラウン部に、
２つの開口を形成した。開口はそれぞれ直径２０ｍｍの
円形（開口面積３１４ｍｍ²）に形成した。次いで、こ
の２つの開口を、直径６０ｍｍ、厚み０．５ｍｍの円板
状の１枚の振動体で覆い、エポキシ樹脂系接着剤を用い
て振動体の周縁部を全周にわたりヘッド本体に接着し
た。この振動体としては、チタン合金からなり、かつ１
０００〜１００００Ｈｚの周波数範囲に８つの固有振動
数を持つものを用いた。

【００３０】［試験例４−２］また、振動体を設けない
こと以外は試験例４−１と同様にしてゴルフクラブヘッ
ドを作製した。

【００３１】このようにして得られた試験例４−１およ
び試験例４−２のゴルフクラブヘッドのボール打撃時の
音響解析を行ったところ、試験例４−１のゴルフクラブ
ヘッドでは、試験例４−２のゴルフクラブヘッドに比べ
てボール打撃時の音響の周波数帯が１．３倍高域側に現
れることがわかった。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のゴルフク
ラブヘッドにあっては、中空のヘッド本体に開口を形成
したので、ボール打撃音が中空部内部にこもることな
く、開口を通してヘッド本体の外部に伝えられ、打撃時
に発せられる音響が開口の形状や形成位置に応じたもの
となる。このため、開口の形状、形成位置を適宜設定す
ることによって、ボール打撃時に発せられる音響の特
性、例えば音圧、残響時間、高さを、容易に目的とする
範囲に調節することができる。

【００３３】また、ボール打撃時に振動し発音する振動
体を、開口を覆うように設けることによって、ボールを
打撃した際に振動体が発音し、打撃時に発せられる音響
が振動体の形状や材質に応じたものとなる。従って、ボ
ール打撃時に発せられる音響の特性を、ヘッド本体の材
質、形状に関係なく、目的とする範囲に設定することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のゴルフクラブヘッドの第１実施形態
を示す正断面図である。

【図２】図１に示すゴルフクラブヘッドを示す側断面
図である。

【図３】本発明のゴルフクラブヘッドの第２実施形態
を示す正断面図である。

【図４】本発明のゴルフクラブヘッドの他の実施形態
を示す正断面図である。

【符号の説明】

１、１１・・・ゴルフクラブヘッド、２・・・中空部、３・・・
開口、４・・・ヘッド本体、４Ａ・・・フェース部、５・・・振
動体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者沼田喜春愛知県豊橋市牛川通四丁目１番地の２三菱レイヨン株式会社豊橋事業所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】内部に中空部が形成されたヘッド本体の
フェース部以外に、中空部に通じる開口が１つ以上形成
されていることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項２】内部に中空部が形成されたヘッド本体の
フェース部以外に、中空部に通じる開口が１つ以上形成
され、該開口のうち少なくとも１つが、ボール打撃時に
振動し発音する振動体により覆われていることを特徴と
するゴルフクラブヘッド。
【請求項３】振動体は、１００〜２００００Ｈｚの範
囲に５つ以上の固有振動数をもつものであることを特徴
とする請求項２記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項４】振動体は、１０００〜１００００Ｈｚの
範囲に２つ以上の固有振動数をもつものであることを特
徴とする請求項２または３記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項５】ヘッド本体は、炭素繊維強化プラスチッ
クからなるものであることを特徴とする請求項１〜４の
うちいずれか１項記載のゴルフクラブヘッド。