JPH11167114A - 液晶配向膜とその製造方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方法 - Google Patents

液晶配向膜とその製造方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方法

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JPH11167114A
JPH11167114A JP27730498A JP27730498A JPH11167114A JP H11167114 A JPH11167114 A JP H11167114A JP 27730498 A JP27730498 A JP 27730498A JP 27730498 A JP27730498 A JP 27730498A JP H11167114 A JPH11167114 A JP H11167114A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラビングを用いずに液晶配向特性に優れたマ
ルチドメイン型液晶配向膜を提供する。 【解決手段】 直鎖状炭素鎖または直鎖状シロキサン結
合鎖と感光性基とを少なくとも有するシラン系化学吸着
物質を非水系有機溶剤に溶解させてなる化学吸着液を、
電極を有する基板に接触させ、前記吸着液中の化学吸着
物質分子を基板表面に化学吸着させることにより基板上
に単分子層状の薄膜を形成する薄膜形成工程と、非水系
有機溶媒を用いて前記薄膜を洗浄した後、一定の方向に
基板を立てて洗浄液を液切り乾燥することにより、薄膜
構成分子を液切り乾燥方向に仮配向される第1の工程
と、仮配向させた薄膜面にパターン状の偏光光を照射し
て感光性基部で薄膜構成分子同志を架橋結合させる第2
の工程とからなる配向性付与工程とを備え、前記配向性
付与工程を繰り返して、マルチドメン配向の液晶配向膜
となす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶配向膜とその
製造方法及びそれを用いた液晶表示装置とその製造方法
に関する。さらに詳しくは、テレビジョン(TV)画像
やコンピュータ画像等を表示する液晶を用いた平面表示
パネルに用いる液晶配向膜とその製造方法およびそれを
用いた液晶表示装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カラー表示できる液晶表示装置の
利用が急速に拡大しているが、この装置は、マトリック
ス状に配置された透明電極とこの透明電極の上に形成さ
れた液晶配向膜とを有する一対の基板を、液晶配向膜面
を内側にして一定の間隙を持たせて対向させ、この間隙
内に液晶が封入された構造をしている。
【0003】より具体的には、例えば画素電極と薄膜ト
ランジスタ(TFT)アレイとが形成された第1のガラ
ス基板と、複数個の赤青緑のカラーフィルターが形成さ
れ、さらにその上に共通透明電極が形成された第2のガ
ラス基板のそれぞれの表面に高分子被膜を形成し、この
被膜面にラビングを施して液晶配向性を付与する。次い
で、被膜面(液晶配向膜面)を内側にしてスペーサを介
在させた状態で対向させ、基板の周縁を接着して空セル
(パネル構造体)となす。この空セル内にツイストネマ
チック(TN)などの液晶を注入し密閉して表示素子を
構成し、更にこの素子の両外面に偏向板を配置するとと
もに、第1電極の外側にバックライトを配置して、光学
表示装置としての液晶表示装置が構成されている。
【0004】このような構造の液晶表示装置は、TFT
で電極間電圧をON/OFFし液晶の配向状態を変化さ
せることにより光透過を制御して、任意の映像を表示し
ようとするものである。したがって、光透過経路にあっ
て液晶の配向状態を規制する配向膜は、表示性能を左右
する極めて重要な役割を担っている。
【0005】ところで、液晶配向膜としては、従来より
ポリイミドやその前駆体であるポリアミック酸、ポリビ
ニルアルコール等の高分子材料が広く用いられており、
その作製方法としては、例えばポリイミド等を有機溶剤
に溶解させた溶液を回転塗布法などを用いて基板表面に
塗布し被膜となした後、被膜面をフェルト布等を用いて
ラビングする方法により作製されている。
【0006】しかしながら、この方法によると、基板表
面の凹凸や段差により塗布むらやラビングむらが生じる
とともに、パネル面積が大きくなると(例えば14イン
チディスプレイ)、一層塗布むらやラビングむらが生じ
やすくなる。またラビング時に発生する静電気によりT
FTが損傷されたり、ラビング時に発生するゴミにより
表示むらが生じたりするという問題がある。
【0007】また、ラビング法を用いていわゆるマルチ
ドメイン型の液晶表示装置を製造するには、マスキング
とラビングとを交互に繰り返す煩雑な工程を複数回行わ
なければならない。ラビングを繰り返すこの方法による
と、TFTの損傷やゴミの発生といった上述の問題が一
層深刻になるとともに、工程が複雑であるので液晶パネ
ルの生産効率が大幅に低下するという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決することができる液晶配向膜およびそのような液
晶配向膜の製造方法を提供することを目的とし、またラ
ビングすることなくして、マルチドメインな配向を実現
できる液晶配向膜、並びにこのような配向膜を用いた視
野角の広い液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
の一群の本発明は次のように構成されている。
【0010】(1)電極を有する基板の表面に形成され
た単分子層状の薄膜からなり、薄膜構成分子の一端が基
板表面に結合固定されるとともに、前記分子同志が各領
域ごとに基板に対する分子長軸の傾き及び/又は配向方
位が異なる状態で架橋結合されてなる液晶配向膜。
【0011】単分子層状の薄膜は、分子の一端を基板面
(吸着媒)に結合させ、他端を基板面と離れる方向に配
向させた吸着質(薄膜構成分子)の個々が、基板面に沿
って配列した構造をしている。このような構造の薄膜で
は、薄膜を構成する隣合う個々の分子の間には隙間があ
り、この隙間に液晶分子が入り込むことができるが、そ
の際、上記隙間の形状に適合する形で入り込むことにな
る。すなわち液晶分子は、隙間空間を構成する吸着質分
子の基板に対する傾きや方位等に合致した傾き(プレチ
ルト角)や方位(プレチルト方位)で隙間に入り込む。
よって、薄膜構成分子の長軸の傾きや方位を制御するこ
とにより、液晶分子の配向性(プレチルト角およびプレ
チルト方位)を制御できることになる。
【0012】ところが、一端のみが固定された構成分子
群よりなる単分子層状の薄膜は、熱や外力等が加わると
容易に分子長軸の配向状態が変動するので、液晶分子に
対する配向規制作用が不安定となる。ここにおいて、上
記構成の液晶配向膜では、構成分子の一端が基板に固定
されるとともに、さらに分子長軸の特定の箇所で分子同
志が架橋結合により連結されている。このような構造で
あると、立体構造的に分子配向が安定化する。つまり、
上記構成であると、液晶分子を安定的に配向規制でき、
しかも単分子層状の薄膜であるので、その構成分子個々
が液晶分子の配向に寄与する配向規制力に優れた液晶配
向膜が得られる。
【0013】また上記構成においては、薄膜構成分子の
長軸の傾き及び/又は配向方位を薄膜の各領域ごとで異
ならせて、プレチルト角やプレチルト方位を配向膜の各
領域ごとで制御できるようにしてある。よって、上記構
成によると、いわゆるマルチドメイン配向の液晶配向膜
が実現できることになる。
【0014】以上に加えて、上記構成の液晶配向膜は、
単分子層状の薄膜からなるものであるので極めて薄く
(ナノメートルレベル)、また高分子膜ではないので絶
縁性が小さい。よって、配向膜の形成によりセル厚が増
大せず、また配向膜が光透過や液晶駆動電界を殆ど阻害
しないという極めて好都合な性質を有している。
【0015】このような本発明液晶配向膜に対し、長い
主鎖が絡み合った状態で蜜に構成された従来の液晶配向
膜(例えば前記ポリアミドからなる高分子膜等)では、
表層部分のみが液晶の配向に寄与できるに過ぎないた
め、十分な配向規制力を得難い。またラビングにより配
向性を付与する従来の配向膜では、熱や擦れ等の外部刺
激が加わると配向性が変化または劣化してしまう。更に
ポリアミド等の高分子膜は、膜厚が厚く、しかも電気抵
抗性が高いので、光透過や液晶駆動における阻害要因と
なるという問題を有している。したがって、ポリアミド
等の高分子膜を用いた場合には、上記構成の液晶配向膜
のごとき作用効果は得られない。
【0016】ここで上記プレチルト角とは、液晶分子長
軸の基板平面に対する角度をいい、プレチルト方位と
は、基板平面上における液晶分子長軸の方角をいう。
【0017】なお、本発明者らは、薄膜構成分子の長軸
の傾きや方位を変化させることにより、液晶分子のプレ
チルト角やプレチルト方位を変化させることができるこ
とを確認しているが、薄膜構成分子の長軸の傾きや方位
と液晶分子のプレチルト角とプレチルト方位との関係の
詳細(例えば両者が一致するか否か等)については、十
分に明らかになっていない。
【0018】上記(1)に記載した液晶配向膜は、さら
に次ぎのように構成することができる。
【0019】すなわち、前記各領域を1画素に対応する
区画を複数かつパターン状に分割したものとすることが
できる。この構成によると、マルチドメイン(デュアル
ドメインを含む、以下同様)を実現する液晶配向膜が提
供できる。
【0020】また前記薄膜を、感光性基とケイ素と、直
鎖状炭素鎖または直鎖状シロキサン結合鎖とを含む化学
吸着物質が、基板表面に化学吸着するとともに、化学吸
着分子同志が感光性基部で架橋結合されてなるものとす
ることができる。感光性基とケイ素と、直鎖状炭素鎖ま
たは直鎖状シロキサン結合鎖とを含む化学吸着物質であ
ると、ケイ素を介して基板面と結合でき、感光性基部で
分子相互を架橋結合でき、直鎖状炭素鎖または直鎖状シ
ロキサン結合鎖が長軸の長さを確保するように機能する
ので、基板への化学吸着性や配向性付与の面都合がよ
い。
【0021】また前記薄膜構成分子を、末端にケイ素を
有するものとすることができる。末端のケイ素を介して
基板面に結合した分子群からなる薄膜であると、基板と
の結合が強固で剥離しにくいので、耐久性に優れたもの
となる。
【0022】また前記薄膜構成分子を分子長軸の長さの
異なる複数種類の分子からなるものとし、複数種類の分
子を混交された状態で基板表面に結合させてなる薄膜と
することができる。分子長軸の長さの異なる複数種類の
分子が混交された状態で基板面に沿って配列してなる薄
膜であると、短い分子が長い分子とが組合わさる結果、
分子配向状態が立体構造的に安定化する。また、短い分
子と長い分子との混交比率が変化すると、分子配向状態
が変化するので、所望の配向特性の配向膜となすことが
できる。
【0023】また前記複数種類の分子を、分子構造中に
含まれる直鎖状炭素鎖または直鎖状シロキサン結合鎖の
長さが異なるものとすることができる。直鎖を有する分
子は液晶分子を配向規制する分子として都合がよく、直
鎖の長さを変化させることにより、液晶分子に対する配
向規制特性を変化させることができる。
【0024】(2)上記(1)に記載の液晶配向膜は、
感光性基と直鎖状炭素鎖または直鎖状シロキサン結合鎖
とを含むシラン系化学吸着物質と、非水系有機溶剤とを
含有する化学吸着液を、電極を有する基板面に接触さ
せ、化学吸着液中の化学吸着分子を基板面に化学吸着し
て単分子層状の薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記単
分子層状の薄膜を非水系有機溶剤からなる洗浄液で洗浄
した後、一定の方向に基板を立てて前記洗浄液を液切り
乾燥することにより、薄膜構成分子の配向方向を一定の
方向に仮配向する仮配向工程と、仮配向させた薄膜面に
異なる偏光方向をもったパターン状の偏光光を照射し構
成分子同志を特定方向に架橋結合する架橋結合工程とか
らなる配向性付与工程とを備えることを特徴とする液晶
配向膜の製造方法により製造することができる。
【0025】上記構成の各要素は次のように作用する。
先ずシラン系化学吸着物質と非水系有機溶剤とを含有す
る化学吸着液を電極面に接触させると、電極面に存在す
る水酸基等の親水性基にシラン系化学吸着物質の分子
(化学吸着質分子)が化学吸着して単分子層状の薄膜が
形成される。この薄膜を非水系有機溶剤からなる洗浄液
で洗浄すると、未反応の分子を除去でき、液晶分子が入
り込むことのできる隙間の多い良質な単分子層状の薄膜
となすことができる。なお、この洗浄は続いて行う仮配
向の前処理としても作用する。
【0026】次いで、洗浄液を含んだ状態の薄膜付き基
板を一定の方向に立てて液き切り乾燥すると、薄膜の濡
れ面の上端から下方に向かって(すなわち重力方向に向
かって)乾燥が進行するが、この際薄膜構成分子が乾燥
方向に仮配向する。そして、仮配向した状態であると、
未配向の場合に比べて構成分子同志を一定方向に架橋結
合させ易くなるので、続いて行うパターン状の偏光光の
照射により、薄膜を構成する分子群を効率的に架橋結合
できる。よって、パターン状の架橋結合領域を複数有す
る配向膜を生産性よく製造できる。
【0027】以上から、上記構成の製造方法によると、
薄膜構成分子の基板に対する傾きや方位が異なる複数の
領域を有する配向膜が得られ、この配向膜は、上記複数
の領域ごとにプレチルト角やプレチルト方位が異なると
いう特性を有するものとなる。
【0028】上記(2)の製造方法において、前記架橋
結合工程を、前記仮配向工程で仮配向させた薄膜面に対
し、照射ごとに偏光方向の異なる偏光光を用いかつ照射
ごとに照射領域が異なるようにして2回以上の偏光光照
射を行い、1画素に対応する区画を複数かつパターン状
に分割した分割領域ごとに薄膜構成分子の基板面に対す
る傾き及び/又は配向方位を異ならせる工程とすること
ができる。
【0029】この方法によっても、上記と同様な作用効
果を得ることができ、またこの方法では、照射ごとに偏
光方向の異なる偏光光を用いかつ照射ごとに照射領域が
異なるようにして2回以上の偏光光照射を行うので、画
素に対応する区画を複数かつパターン状に分割した分割
領域ごとに薄膜構成分子の基板面に対する傾き及び/又
は配向方位を異ならせたマルチドメイン配向の液晶配向
膜を製造することができる。
【0030】また、上記(2)の製造方法において、前
記配向性付与工程を、単分子層状の薄膜を非水系有機溶
剤からなる洗浄液で洗浄した後、一定の方向に基板を立
てて前記洗浄液を一定の方向に液切り乾燥して、薄膜構
成分子の配向方向を一定方向に仮配向する第1配向工程
と、前記第1配向工程で仮配向させた方向とほぼ平行な
偏光方向の偏光光を照射する第2配向工程とからなる一
連の工程を2回以上繰り返すものとし、N回目(但しN
は2以上の整数)における液切り乾燥方向を、〔N−
1〕回目までの液切り乾燥方向と異ならせるとともに、
液切り乾燥と対応させて行うN回目の偏光照射における
基板上の照射領域を、〔N−1〕回目までの照射領域と
異ならせて、1画素に対応する区画を複数かつパターン
状に分割した分割領域ごとに薄膜構成分子の長軸の基板
面に対する傾き及び/又は配向方位を異ならせる工程と
することができる。
【0031】この構成における第1配向工程は、前記
(2)に記載の仮配向工程と実質的に同様であるが、こ
の構成では、第1配向工程と、第1工程で仮配向させた
薄膜に対し仮配向方向とほぼ同様な方向の偏光光を照射
する第2工程を繰り返す点に特徴を有する。この構成の
技術的意義は次の通りである。
【0032】前記したごとく仮配向させた後に偏光光を
照射すると、分子同志を特定方向に架橋結合させ易くな
るが、ここでは仮配向方向と平行な偏光光を照射するの
で一層効率的かつ確実に偏光方向に沿って分子同志を架
橋連結することができる。そして分子同志が架橋連結さ
れると立体構造的に配向状態が安定化され、その後再び
液切り乾燥を行っても配向状態が変動しなくなる。第1
工程と第2工程とを繰り返す上記製造方法は、このよう
な性質を利用したものである。すなわち、偏光光が照射
され架橋連結された領域は再度の液切り乾燥処理によっ
て再び仮配向されることがない一方、これ以外の薄膜領
域については、再度の液切り乾燥処理により最初の液切
り乾燥による仮配向が解除され、再度実行した液切り乾
燥の方向に仮配向させることができるので、仮配向と偏
光照射による配向定着操作を繰り返すことにより、マル
チドメイン特性に優れた液晶配向膜を形成しようとする
ものであり、より具体的には分割画素ごとに異なるプレ
チルト角及び/又はプレチルト方位を与えることのでき
るマルチドメイン特性に優れた液晶配向膜を得ようとす
るものである。
【0033】上記製造方法におけるNの大きさには特段
の制限はないが、視野角特性を向上させる目的からはN
を2〜4に設定すれば十分である。なお、分割画素ごと
に異なるプレチルト角及び/又はプレチルト方位を与え
るとは、例えば1画素を2分割した場合を例示にとる
と、一方の分割画素におけるプレチルト角を例えば0.
8°とし、他方分割画素におけるプレチルト角を例えば
4°となるようにしたり、或いは両分割画素の境界面に
対し各々の分割画素のプレチルト方位が逆方向となるよ
うにすることをいう。
【0034】ここで、前記2種類以上のシラン系化合物
として、分子長軸の長さが異なる2種類以上のシラン系
化合物を混合して用いることができる。また、前記シラ
ン系化学吸着物質として、前記2種以上のシラン系化合
物の混合比を変えることにより、最も長い分子の基板に
対する傾きを制御して、液晶配向膜に所望のプレチルト
角及び/又はプレチルト方位を付与することができる。
また、前記2種以上のシラン系化合物の混合比を変えず
に、相互の比較における短い分子の長さを変えることに
より、最も長い分子の基板に対する傾きを制御して、液
晶配向膜に所望の所望のプレチルト角及び/又はプレチ
ルト方位を付与することができる。更に、前記シラン系
化学吸着物質として、直鎖状炭素鎖と直鎖状シロキサン
結合鎖からなる群より選ばれる1つ以上の分子鎖の長さ
を変えることにより分子の長さを異ならせた2種類以上
の前記化合物を混合して用いることができる。更にま
た、2種類以上の前記化合物の混合比を変え、および/
または、各々の化合物の分子長を規制し、最も長い分子
の基板に対する傾きを制御して、液晶配向膜に所望の液
晶配向特性を付与することができる。
【0035】上記における相互の比較における短い分子
や長い分子は、相対的な関係で規定される概念であるの
で、長さに関して特段の制約があるものではない。一般
には短い分子としては炭素数が1〜18の長さの分子を
用い、長い分子としては炭素数が14〜18の分子を用
いる。また、長い分子と短い分子の好ましい混合比は、
相互の関係により決定されるべきものであり、予め制限
を設けることはできないが、一般には両者の混合比とし
ては、長い分子の分子数/短い分子の分子数=10/1
〜1/10の範囲で変化させるのが適当である。この範
囲であれば十分な混合効果が得られるからである。
【0036】また、上記洗浄液としては、水を含まない
非水系有機溶剤を用いるのが好ましい。水を含む溶剤で
あると、溶剤に含まれる水と化学吸着物質が反応し、化
学吸着物質の基板に対する吸着能が低下し、また反応生
成物に起因する配向膜に斑点が生じたりするからであ
る。好ましい非水系の有機溶剤としては、化学吸着物質
に対する溶解能に優れている等の理由から、アルキル
基、ふっ化炭素基、塩化炭素基及びシロキサン基からな
る群より選ばれる少なくとも一つの有機基を含む溶剤が
例示できる。
【0037】また、前記シラン系化学吸着物質として
は、感光性基と、直鎖状炭素鎖と直鎖状シロキサン結合
鎖からなる群より選ばれる1つ以上の分子鎖と、クロロ
シリル基、アルコキシシリル基及びイソシアネートシリ
ル基からなる群より選ばれる1つ以上の有機基とを含む
化合物を用いるのが好ましい。この化合物は基板との反
応性が優れるとともに、偏光光の照射により分子同志を
架橋結合できるので、薄膜を構成する化学吸着質として
都合がよい。この化合物における感光性基としては、シ
ンナモイル基、カルコン基、メタクリル基等を例示する
ことができる。
【0038】また、前記化合物としては、前記直鎖状炭
素鎖または直鎖状シロキサン結合鎖の末端または一部
に、3フッ化炭素基(−CF3 )、メチル基(−CH3
)、ビニル基(−CH=CH2 )、アリル基(−CH
=CH−)、アセチレン基(炭素−炭素の3重結合)、
フェニル基(−C6 H5 )、アリール基(−C6 H4
−)、ハロゲン原子、アルコキシ基(−OR;Rはアル
キル基を表す)、シアノ基(−CN)、アミノ基(−N
H2 )、水酸基(−OH)、カルボニル基(=CO)、
エステル基(−COO−)及びカルボキシル基(−CO
OH)からなる群より選ばれる少なくとも一つの有機基
を有するものが好ましい。これらの化合物を用いると、
所望のプレチルト角が得られ易いからである。
【0039】また、上記製造方法においては、前記薄膜
形成工程の前に、基板面にSiO基を有する下地層を形
成する工程を付加することができる。SiO基を有する
下地層を形成した基板は、SiO基が親水性基として作
用するので、化学吸着物質を高密度に化学吸着させるこ
とができる点で優れる。
【0040】(3)以上で説明した液晶配向膜を用いた
液晶表示装置は次のように構成することができる。
【0041】少なくとも、対向する一対の基板と、前記
一対の基板のうち少なくとも表示電極を有する基板の表
面に形成された液晶配向膜と、前記対向する一対の基板
間に設けたセルギャップ内に収容された液晶とを備える
液晶表示装置であって、前記液晶配向膜は、基板表面に
化学吸着質分子が結合し、かつ化学吸着質分子同志が架
橋結合してなる単分子層状の薄膜であり、かつ1画素が
パターン状に分割された分割画素ごとに吸着質分子長軸
の基板面に対する傾き及び/又は配向方位が異なるもの
であり、前記セルギャップ内に収容された液晶分子のプ
レチルト角及び/又はプレチルト方位は、前記吸着質分
子長軸の基板面に対する傾き及び/又は配向方位により
制御されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0042】上記構成の液晶表示装置においては、前記
対向する一対の基板の間隙に収容された液晶をネマティ
ック液晶とし、前記セルギャップを液晶分子が90°ま
たは180°〜270°にねじれ配向するように設定す
ることができる。
【0043】また、前記液晶表示装置を、片方の基板面
に一対の表示電極が形成されたインプレーンスイッチン
グ型の液晶表示装置とすることもできる。
【0044】(4)上記(3)に記載した液晶表示装置
は、感光性基と直鎖状炭素鎖または直鎖状シロキサン結
合鎖とを含むシラン系化学吸着物質と、非水系有機溶剤
とを含有する化学吸着液を表示電極を有する基板面に接
触させ、前記化学吸着液中の化学吸着物質分子を分子長
軸方向の一端で基板面に化学吸着させて単分子層状の薄
膜を形成する薄膜形成工程と、前記単分子層状の薄膜を
非水系有機溶剤からなる洗浄液で洗浄した後、一定の方
向に基板を立てて前記洗浄液を液切り乾燥することによ
り、薄膜構成分子の配向方向を一定方向に仮配向する仮
配向工程と、仮配向させた薄膜面に異なる偏光方向もっ
たパターン状の偏光光を照射し化学吸着物質分子同志を
架橋結合することにより、薄膜構成分子の長軸の基板面
に対する傾き及び/又は配向方位が異なる液晶配向膜付
き基板となす配向性付与工程と、前記液晶配向膜付き基
板と、少なくとも対向電極を有する対向基板とを、表示
電極の形成された面を内側にして所定のセルギャップを
設けて重ね合わせた後、両基板の間に液晶を配置する液
晶セル形成工程とを少なくとも備える液晶表示装置の製
造方法により製造することができる。
【0045】この製造方法においては、前記両基板の間
に配置する液晶として、ネマティック液晶を用い、前記
薄膜構成分子の長軸の基板面に対する傾き及び/又は配
向方位、並びにセルギャップを、液晶分子が90°また
は180°〜270°にねじれ配向するように作りこむ
ことができる。この製造方法によると、視野角の広いマ
ルチドメイン型の液晶表示装置を生産性よく製造でき、
しかも液晶配向膜の配向特性が劣化しにくいので長期に
わって優れた表示性能を発揮する液晶表示装置が製造で
きる。
【0046】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を本発明にか
かるマルチドメイン型液晶表示装置の製造方法を例にし
て説明する。
【0047】マトリックス状に形成された第1の電極群
とTFTとが形成された第1の基板に直接、または下地
層としてSiO2 層を形成した後、感光性基と直鎖状炭
素鎖または直鎖状シロキサン結合鎖とを有するシラン系
化学吸着物質を非水系有機溶媒に溶解してなる化学吸着
液を接触させ、吸着液中の化学吸着物質分子を基板表面
に化学吸着させる。これにより化学吸着物質分子がその
一端を基板表面に結合してなる単分子層状の薄膜を形成
することができる。ここで、化学吸着液の接触は、好ま
しくは低湿度雰囲気(例えば相対湿度35%以下)で行
う。
【0048】続いて、上記薄膜付き基板を非水系有機溶
剤を満たした溶剤槽に浸漬して未反応分子を洗い流し、
しかる後、基板を溶剤槽から引き上げ一定の方向に立て
た状態で液切り乾燥させる。これにより、薄膜を構成す
る吸着分子を液切り乾燥方向に仮配向させることができ
る。
【0049】次ぎに仮配向させた薄膜面に、偏光板に第
1のパターン状のマスクを重ねかつ偏光方向を仮配向方
向と平行にした調整したパターン状の偏光光を照射す
る。これにより薄膜構成分子(吸着分子)の感光性基を
選択的に光重合させることができ、基板表面の薄膜構成
分子(吸着分子)同志を特定方向に架橋結合したパター
ン状の領域を形成できる。なお、パターン状の偏光光の
照射に際しては、パターンを構成する各々の領域が異な
る画素に照射されるように調整して照射する。
【0050】その後、上記で架橋結合した薄膜付き基板
をもう一度溶剤槽に浸漬し、今度は1回目とは引き上げ
方向を変えて引き上げて、基板をこの方向に立てて第2
回めの液切り乾燥を行い、薄膜構成分子をこの方向に再
配向させる。なお、第1回目に架橋結合させたパターン
状の領域の薄膜構成分子については、架橋結合により配
向状態が固定されているので、もはや再配向することは
ない。
【0051】続いて、第1回目における未照射部分に前
記パターンと異なる第2のパターン状のマスクを重ね、
再配向方向と平行な方向のパターン状の偏光光を照射
し、第1回目と同様に選択的に光重合して薄膜構成分子
を架橋結合させる。以下、必要に応じて、同様な操作を
繰り返し薄膜面にパターン状に配向方向(基板に対する
構成分子の傾き及び/又は方位)の異なる複数の領域を
形成させる。これにより本発明にかかる液晶配向膜付き
第1の基板が完成する。
【0052】次に、前記第1の電極群を有する第1の基
板と別途用意した第2の電極群を有する第2の基板(配
向膜を有していても有していなくともよい)を、電極面
を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わせし、基板
の周縁を接着固定し、しかる後、第1と第2の基板の間
に例えばネマチック液晶を注入し液晶セルとなす。この
液晶セルに常法に従って偏光板およびバックライトを配
置して本発明にかかるマルチドメイン型液晶表示装置を
作製する。
【0053】上記製造方法に従って作製された液晶表示
装置は、分割画素ごとにプレチルト角及び/又はプレチ
ルト方位が異なるものであるが、このような特性は液晶
配向膜を構成する吸着質分子(薄膜構成分子)の基板に
対する傾き及び/又は方位を各領域ごとに異ならせる手
段により実現されている。薄膜構成分子の基板に対する
傾き及び/又は方位を各領域ごとに異ならせる手段や態
様については、上記〔課題を解決する手段〕で詳説し
た。よって、ここでの説明は省略するが、薄膜構成分子
の方位は、液切り乾燥方向や偏光方向によって制御で
き、薄膜構成分子の基板に対する傾きは、分子長の異な
る複数種類の吸着質分子を混合して用いる方法等により
制御できる。また、液切り乾燥における立てかけ角度を
変化させることによっても薄膜構成分子の基板に対する
傾きをある程度制御できる。
【0054】以下、本発明の実施の形態を実施例に基づ
いて具体的に説明する。
【0055】
【実施例】〔実施例1〕表面にITO(indium tin oxi
de)からなる透明電極の形成されたガラス基板(水酸基
を多数含むもの)を準備し、基板面をよく洗浄脱脂した
後、電極面を覆うようにして100nmの膜厚のSiO
2膜をスパッタリング法にて形成した。
【0056】他方、感光性基と直鎖状炭素鎖(炭化水素
基等でよい)とケイ素とを含むシラン系化学吸着物質
(界面活性剤ともいう)として、C6 H5 CH=CHC
OC6H4 O(CH2 )6 OSiCl3 で表される化合
物を用意し、この化合物を脱水処理したヘキサデカン
(非水系有機溶剤)に約1重量%濃度で溶解し、化学吸
着液となした。
【0057】次ぎに図1に示すように、上記化学吸着液
2を溶剤槽に満たし、乾燥雰囲気中(相対湿度30%以
下)で前記溶剤槽に前記ガラス基板1を約1時間浸漬し
た。なお、浸漬に代えて塗布する方法を用いることもで
きる。その後、溶剤槽から基板1を取り出し、脱水処理
したn−ヘキサン3(非水系有機溶剤)を用い10分程
度の浸漬洗浄を3回繰り返した後、基板を立てた状態で
重力と略平行方向な方向(5の方向)に引き上げて液切
り乾燥し(図2)、さらに基板面が重力と平行する状態
に保持し水分を含む空気中に暫く静置した。なお、この
静置により未反応の吸着分子のCl基がOH基と置換し
吸着質分子の化学吸着性が失活する。このようにして、
液切り乾燥方向に仮配向した化学吸着分子からなる単分
子層状の薄膜(膜厚約1.8nm)を形成した(図
3)。図3中、4aは感光性基部を表す。
【0058】上記で作製した単分子層状の薄膜(化学吸
着単分子膜4)について、FTIR(Fourier transfor
m infrared spectroscopy)法と液晶テストセル配向法で
調べたところ、薄膜を構成する吸着質分子が液切り乾燥
方向に配向されていることが確認された。
【0059】また、上記で作製した単分子層状の薄膜
(化学吸着単分子膜4)をFTIR(Fourier transfor
m infrared spectroscopy)で分析し、クロロシラン系化
学吸着物質のSiCl基と基板表面の水酸基とが脱塩酸
反応し、下記式(化1)の結合が生成されたこと、およ
び空気中の水分と反応して下記式(化2)の結合が生成
されたことを確認した。
【化1】
【化2】
【0060】次に、部分的に遮光するマスク7aと偏光
板(ポラロイド社HNP’B)を重ねたホトマスク7を
用い、偏光方向6が引き上げ方向5とほぼ平行(例え
ば、引き上げ方向に対して3°ずらす。ただし完全に平
行に合わせても良い。)になるように重ね合わせて、超
高圧水銀灯を用い365nmの紫外光(UV光)8を1
00mJ/cm2 になるよう照射した(図4)。図中、
10は透明電極を表す。
【0061】UV光照射後の薄膜をFTIRを用いて分
析したところ、偏光されたUV光を照射した部分では化
学吸着分子が偏光方向に配向されると共に、化学吸着物
質分子のビニル基部分の炭素結合手(化3参照)を介し
て吸着分子同志が架橋結合4’していることが確認され
た(図5参照)。
【化3】
【0062】その後、前記溶剤槽に再び基板を浸漬(約
5分間)し、前記引き上げ方向5とは全く反対方向5’
に基板を引き上げ液切り乾燥した。この基板表面の薄膜
について、FTIR分析を行ったところ、既にUV照射
された架橋結合部分4’は全く変化がなかったが、未照
射部の化学吸着分子4”は、2回目の洗浄液からの引き
上げ方向5’と反対方向すなわち液切り乾燥方向に吸着
分子が再配向されていることが確認された(図6)。
【0063】次に、既に照射された部分を部分的に遮光
するマスク7’aと偏光板(ポラロイド社HNP’B)
を重ねたホトマスク7’を用い、偏光方向が引き上げ方
向5’とほぼ平行(例えば、引き上げ方向5’に対して
3°ずらして合わせた)になるように重ね合わせて、超
高圧水銀灯を用い365nmの紫外光(UV光)8を1
00mJ/cm2 になるよう照射した(図7)。
【0064】その後、FTIRを用いて分析したとこ
ろ、偏光されたUV光で照射された部分の化学吸着膜
4”内では、化学吸着された分子が第2の偏光方向9’
に再配向されると共に、光重合が進行し化学吸着物質分
子のビニル基部分の炭素結合手(化3)を介して吸着分
子同志が架橋結合4''' していることが確認された(図
8)。
【0065】次に、上記で作製した化学吸着膜(液晶配
向膜)付き基板2枚を用い、化学吸着膜を対向させ、か
つそれぞれの露光部分がアンチパラレル配向するように
して、セルギャップが20ミクロンの液晶セルを組み立
て、ネマチック液晶(ZLI4792;メルク社製)を
注入して液晶の配向状態を調べた。その結果、注入した
液晶分子が化学吸着された分子に沿ってそれぞれ基板に
対しておよそプレチルト角1゜であり、プレチルト方位
が洗浄液からの引き上げた方向5、5’と逆方向9、
9’で偏光方向6と平行方向に配向していることが確認
された。この結果は、FTIRによる分析結果と一致す
るものであった。以上から、化学吸着膜を構成する物質
の組成を変えずに洗浄液の液切り乾燥方向および偏光照
射の偏光方向を変えることにより、液晶分子に対する配
向規制方向を変化させることができることが実証でき
た。
【0066】なお、このとき被膜を構成する分子の末端
にケイ素を含んでいると耐剥離性の高い液晶配向膜を製
造する上で都合がよかった。
【0067】またクロロシリル基の代わりに、アルコキ
シシリル基及びイソシアネートシリル基から選ばれる少
なくとも一つの有機基を含む物質を用いても同様の配向
膜を製造できた。
【0068】更に、シラン系化学吸着物質として、直鎖
状炭素鎖(直鎖状シロキサン結合鎖(−SiO−)の場
合でも同様に扱えた。)の末端または一部に、3フッ化
炭素基(−CF3 )、メチル基(−CH3 )、ビニル基
(−CH=CH2 )、アリル基(−CH=CH−)、ア
セチレン基(炭素−炭素の3重結合)、フェニル基(−
C6 H5 )、アリール基(−C6 H4 −)、ハロゲン原
子、アルコキシ基(−OR;Rはアルキル基を表す)、
シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH2 )、水酸基
(−OH)、カルボニル基(=CO)、エステル基(−
COO−)及びカルボキシル基(−COOH)から選ば
れる少なくとも一つの有機基を含むものを用いると、導
入した有機基の種類に応じてプレチルト角が変化し、広
範囲にプレチルト角を制御できることが確認された。
【0069】また、非水系の有機溶剤として、アルキル
基、ふっ化炭素基、塩化炭素基及びシロキサン基から選
ばれる少なくとも一つの有機基を含む溶剤を用いると、
配向制御性に優れた液晶配向膜が製造できた。
【0070】(実施例2)化学吸着物質としてC6 H5
CH=CHCOC6 H4 O(CH2 )6 OSiCl3 と
CH3 (CH2 )18SiCl3 とをそれぞれ1:0.1
および1:0.2(重量比)で混合して用いたこと以外
は、上記実施例1と同様にして液晶配向膜を作製すると
ともに、実施例1と同様の解析を行った。
【0071】その結果、重量混合比1:0.1のもので
は、実施例1と同様それぞれの部分で配向方向(プレチ
ルト方位)が逆であり、それぞれにおけるプレチルト角
は1.5°及び1.4°であった。また、重量混合比
1:0.2のものでは、それぞれの部分で配向方向が逆
であり、プレチルト角はそれぞれ2.1°及び2.3°
であった。
【0072】以上から、長さの異なる2種の化学吸着分
子を混合してなる化学吸着物質を用いると、少なくとも
何れか一方の化学吸着分子が感光性基を有すれば、偏光
光の照射により感光性基を介して吸着分子同志を所望の
方向に重合でき、これにより化学吸着膜に液晶配向性を
付与できることが確認できた。また、重量混合比を変え
ることで液晶のプレチルト角を変化させることができる
ことが確認できた。
【0073】また、化学吸着物質として、直鎖状炭素鎖
の代わりに直鎖状シロキサン結合鎖を組み込んだ化学吸
着剤を用いた場合においても、直鎖状炭素鎖とはプレチ
ルト角が異なるものの、重量混合比を変えることで液晶
のプレチルト角を変化させることができた。
【0074】さらにまた、クロロシラン系化学吸着物質
のクロロシリル基の代わりに、アルコキシシリル基及び
イソシアネートシリル基から選ばれる少なくとも一つの
有機基を含む物質を用いてもほぼ同様の配向膜が得られ
た。
【0075】(実施例3)化学吸着物質としてC6 H5
CH=CHCOC6 H4 O(CH2 )6 OSiCl3 と
CH3 (CH2 )22SiCl3 を組み合わせ、およびC
6 H5 CH=CHCOC6 H4 O(CH2 )6 OSiC
l3 とCH3 (CH2 )14SiCl3 を組み合わせ、そ
れぞれ1:0.1(重量比)で混合して用いたこと以外
は、上記実施例2と同様にして液晶配向膜を作製し、実
施例2と同様の解析を行った。
【0076】その結果、C6 H5 CH=CHCOC6 H
4 O(CH2 )6 OSiCl3 とCH3 (CH2 )22S
iCl3 の組み合わせにおいては、上記実施例2と同様
それぞれの部分で配向方向が逆で、プレチルト角はそれ
ぞれ1.1°であった。また、C6 H5 CH=CHCO
C6 H4 O(CH2 )6 OSiCl3 とCH3 (CH2
)14SiCl3 の組み合わせでは、それぞれの部分で
配向方向は逆で、プレチルト角はそれぞれ0.8°であ
った。
【0077】以上から、混合比を変えずに、薄膜構成分
子の長さを変えることにより、液晶のプレチルト角を変
化させることができる。
【0078】(実施例4)化学吸着物質としてC6 H5
CH=CHCOC6 H4 O(CH2 )6 OSiCl3 と
CF3 (CF2 )7 (CH2 )2 SiCl3 を組み合わ
せ、1:0.1(重量比)で混合して用いたこと以外
は、上記実施例2と同様に行った。
【0079】その結果、実施例2の場合とと同様それぞ
れの部分で配向方向が逆で、プレチルト角はそれぞれ8
9°であった。このことから、フッ素原子を組み込んだ
化合物を他の化学吸着物質と混合して用いることによ
り、垂直(ホメオトロピック)配向特性を有する液晶配
向膜となすことができるることが確認できた。
【0080】(実施例5)実施例1では下地層として予
め基板表面にSiO2 膜を形成した基板に対し吸着質を
吸着させたが、実施例5では、SiO2 膜に代えて、S
iCl基を含む無機シラン系化学吸着剤を基板表面に接
触させる処理を行った基板を用いた。
【0081】具体的には、SiCl基を含む無機シラン
系化学吸着剤としては、SiCl4を用い、この化合物
を脱水したヘキサデカンに溶かした約3重量%濃度の溶
液に、乾燥雰囲気(湿度5%)中で実施例1に記載した
電極を有す基板1を10分間浸漬した。これにより図9
で示されるような>SiCl2 や−SiCl3 より成る
単分子層状の被膜11を形成した。その後よく脱水した
シクロヘキサンで洗浄して余分のSiCl4 を除去した
後、水と反応させて、図10に示したように、ガラス表
面及びITO電極表面共に水酸基を多数含むシロキサン
単分子膜12(下地層)を形成した。
【0082】その後、上記方法で下地層を形成した基板
を用い、実施例1と同様の工程を行い液晶配向膜付き基
板を作製した。そして液晶配向膜についてFTIR分析
を行った。その結果、実施例1と同様、基板表面全体に
配向膜が均一に形成できていることが確認できた。
【0083】なお、上記方法により、被膜11を基板上
に形成できるのは、ガラス表面やITO電極表面には、
ある程度の水酸基(−OH)が存在するからである。
【0084】また、下地層を全く形成しない基板を用い
たこと以外は実施例1と同様にして配向膜付き基板を作
製し、液晶を用いて配向性を調べた。その結果、ガラス
基板上では液晶分子が良好に配向していたが、ITO電
極上では配向に乱れがあり、この乱れは実用に耐えない
程度であった。なお、この原因としては、ガラス表面に
は比較的多数のOH基が存在するものの、電極表面のO
H基密度が小さいために、吸着分子が十分に吸着できな
いためと考えられる。
【0085】なお、別途で行った実験により、SiCl
4 の代わりにCl(SiCl2 O)n SiCl3 (nは
1〜3の整数)で表される物質を用いるとITO表面に
水酸基を増やす効果がより大きいことが確認された。こ
れらの物質は、SiCl4 に比べて沸点が高いので取扱
い易いという利点がある。
【0086】(実施例6)次に、上記液晶配向膜を用い
て実際に液晶表示デバイスを製造しようとする場合の製
造プロセスについて図11を用いて説明する。
【0087】まず、図11に示すように、マトリックス
状に配置された第1の電極群21とこの電極を駆動する
トランジスタ群22を有する第1の基板23上に、Si
O2被膜を形成した後、実施例1と同様の手順にしたが
って化学吸着液を塗布し基板表面に薄膜(化学吸着単分
子膜)を形成した。
【0088】次いで、非水系有機溶剤であるクロロホル
ムを用いて薄膜を洗浄し、ゲートベースライン方向に基
板を立てて洗浄液から引き上げ、液切り乾燥して1回目
の液切り方向に薄膜構成分子を配向させた。その後、前
記電極群の個々の電極をそれぞれ市松状に4分割した分
割画素の特定の一つ(第1の分割画素群)にのみ露光で
きるような遮光パターンのマスクと、偏光板HNP´B
(ポラロイド社製)とを重ねた露光用マスクを、第1の
分割画素群に位置合わせし、液切り乾燥方向と偏光方向
が平行になるようにして、垂直方向より500Wの超高
圧水銀灯を用いて365nm(i線)の波長の光(偏光
板通過後3.6mJ/cm2 )で45秒の照射を行った
(1回目)。
【0089】なお、分割画素は、1つの電極を4分割し
た区画を意味し、分割画素群とは、マトリックス状に配
置された多数の電極からなる「電極群」に対応させた概
念であり、電極群の各々の電極の特定の分割画素を包含
する意味で使用されている。生産性を高めるため、この
分割画素群に対し同時に光照射を行うことになる。
【0090】第1回目の処理に続き、第1回目の処理済
基板を再び同上洗浄液に5分間浸漬し、今度は1回目と
は反対方向に基板を引き上げて2回目の液切り乾燥を行
い、未露光部の薄膜構成分子を2回目の液切り乾燥方向
に配向させた。次いで、1回目と同様にして、露光用マ
スクを第2の分割画素群に位置合わせし、2回目の液切
り乾燥方向と偏光方向とが平行になるようにして偏光光
を照射した(2回目)。
【0091】さらにもう一度、同上洗浄液に基板を5分
間浸漬し、1回目及び2回目と直交する方向に基板を引
き上げて3回目の液切り乾燥を行い、1回目及び2回目
における未露光部の薄膜構成分子を3回目の液切り乾燥
方向に配向させた。次いで、1回目と同様にして、露光
用マスクを第3の分割画素群に位置合わせし、3回目の
液切り乾燥方向と偏光方向とが平行になるようにして偏
光光を照射した(3回目)。
【0092】最後にもう一度、同上洗浄液に5分間浸漬
し、3回目と反対方向に基板を引き上げて4回目の液切
り乾燥を行い、1〜3回目における未露光部の薄膜構成
分子を4回目の液切り乾燥方向に配向させた。そして、
1回目と同様にして、露光用マスクを第4の分割画素群
に位置合わせし、4回目の液切り乾燥方向と偏光方向と
が平行になるようにして偏光光を照射した(4回目)。
【0093】以上の処理により、薄膜構成分子が図12
に示したような方向にそれぞれ配向してなる液晶配向膜
27が作製できた。図中、40はゲートベースラインの
方向を、41は液晶の配向方向、42は一画素を示す。
【0094】他方、カラーフィルター群24および第2
の電極25を有する第2の基板26表面に、上記と同様
な方法で、液晶配向膜27の各画素にそれぞれ対応する
画素の配向方向がアンチパラレルとなるようにして液晶
配向膜27’を作製した。
【0095】次に、前記第1の基板23と第2の基板2
6とを電極面を対向させ、スペーサー28を介在させて
重ね合わせ、その周縁を接着剤29で密閉固定してセル
ギャップ5ミクロンの空セルを作製した。この後、セル
内にネマチック液晶30を注入し液晶セルとなし、さら
に偏光板31、32を配置してマルチドメイン型液晶表
示装置を完成した(図11)。
【0096】なお、上記液晶セル内に注入された液晶の
プレチルト角は、ほぼ1°であり、全領域においてほぼ
均一であった。また、配向方向(プレチルト方位)は図
12に示したように分割画素ごとに異なり、各々の分割
画素間で90°づつずれる方向に配向していた。
【0097】上記液晶表示装置について、バックライト
33を照射しながら、ビデオ信号を用いて各々のトラン
ジスタを駆動させ矢印Aの方向に映像を表示させ、視野
角を調べたところ、左右上下とも140度程度の視野角
が確保できていた。
【0098】〔その他の事項〕実施例5に示した方法と
同様の方法により、第1の基板と第2の基板のそれぞれ
の液晶配向膜の配向性およびセルギャップを、セル内に
注入する液晶分子との関係において、90°ねじれ配向
するように設定したところ、視野角が広いTN型マルチ
ドメイン液晶表示装置が作製できた。
【0099】また、一対の電極が片方の基板表面に形成
されているIPS(inplane switching ) 型TFTアレ
イを第1の基板として用い、画素2分割型のマルチドメ
イン配向膜付き基板となし、この基板を用いて液晶表示
装置を作製して表示特性を調べた。その結果、視野角特
性に優れたIPSマルチドメイン型液晶表示装置が実現
できることが確認できた。
【0100】また、上記実施例では、露光に用いる光と
して超高圧水銀灯のi線である365nmの光を用いた
が、薄膜構成分子の光の吸収度合いに応じて436n
m、405nm、254nmの光や、KrFエキシマレ
ーザーで得られる248nmの光を用いることも可能で
ある。このうち、248nmや254nmの光は大部分
の物質に吸収されるので配向付与効率が高い。
【0101】また、化学吸着物質分子の化学構造内に組
み込むものとしては、感光性基、直鎖状炭素鎖または直
鎖状シロキサン結合鎖、ケイ素など以外に、さらに特定
の表面エネルギーを有するネマティック液晶構造や強誘
電液晶構造を組み込むのもよく、これによりさらに配向
規制力を高めることも可能である。
【0102】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によると、液
晶分子に対する配向規制特性や耐久性に優れ、しかも光
透過や電界を阻害しない極薄の配向膜を提供できる。ま
た本発明によると、配向性付与にラビング操作を必要と
しないので、基板面の凹凸に起因する配向欠陥やラビン
グ時のゴミに起因する表示欠陥等のラビングに伴う諸問
題を一挙に解消できる。
【0103】更に、本発明製造方法によると、優れた配
向規制力を有し、しかも配向膜の各領域ごとでプレチル
ト角やプレチルト方位を制御できる液晶配向膜を歩留ま
りよく製造できる。そして、このような液晶配向膜を用
いることにより、視野角特性に優れたマルチドメイン型
液晶表示装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における単分子層状の薄膜を
作製する化学吸着工程を説明するための図である。
【図2】本発明の実施例1における薄膜洗浄工程を説明
するための図である。
【図3】本発明の実施例1における薄膜構成分子の仮配
向状態(1回目の液切り乾燥後)を示す概念図である。
【図4】本発明の実施例1における偏光光照射工程を説
明するための図である。
【図5】本発明の実施例1における第1回目の偏光光照
射の様子を分子レベルで説明するための拡大概念図であ
る。
【図6】本発明の実施例1における2回目の液切り乾燥
後の薄膜の状態を分子レベルで説明するための概念図で
ある。
【図7】本発明の実施例1における2回目の偏光光照射
後の薄膜の配向状態を分子レベルで説明するための概念
図である。
【図8】本発明の実施例1における2回目の偏光光照射
後の薄膜構成分子の配向方向を説明するため図である。
【図9】基板面に無機シラン系化学吸着分子が化学吸着
した様子(空気中の水分との反応前)を示す図である。
【図10】図9に示した無機シラン系化学吸着分子が水
分と反応してOHリッチな化合物に変化することを示す
図である。
【図11】本発明にかかる液晶表示装置製造を説明する
ための断面模式図である。
【図12】本発明の実施例6における、4分割マルチド
メイン画素の液晶配向方向を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 化学吸着液 3 洗浄用非水系有機溶剤 4 第1回目の液切り乾燥により仮配向された薄膜 4a 感光性基部 4’ 第1回目の光照射後の薄膜構成分子群 4” 第2回目の液切り乾燥により仮配向された薄膜 4''' 第2回目の光照射後の薄膜構成分子群 5 第1回目の引き上げ方向 5’ 第2回目の引き上げ方向 6 偏光方向 7 偏光板と遮光部を重ねた第1の露光用ホトマス
ク 7a 遮光マスク 7’ 偏光板と遮光部を重ねた第2の露光用ホトマス
ク 7’a 遮光マスク 8 UV照射光 9 第1の配向方向 9’ 第2の配向方向 10 透明電極 11 吸着されたクロロシラン分子 12 シロキサンからなる下地層 21 第1の電極群 22 トランジスタ群 23 第1の基板 24 カラーフィルター群 25 第2の電極 26 第2の基板 27 液晶配向膜 27’ 液晶配向膜 28 スペーサー 29 接着剤 30 液晶 31,32 偏光板 33 バックライト 40 ゲートベースラインの方向 41 液晶の配向方向

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極を有する基板の表面に形成された単
    分子層状の薄膜からなり、薄膜構成分子が一端で基板表
    面に化学結合されるとともに、薄膜面上の各領域ごとで
    分子長軸の基板面に対する傾き及び/又は配向方位を異
    なせた状態で薄膜構成分子同志が重合されてなる液晶配
    向膜。
  2. 【請求項2】 前記各領域は、1画素に対応する区画を
    複数かつパターン状に分割したものである、請求項1に
    記載の液晶配向膜。
  3. 【請求項3】 前記薄膜は、感光性基とケイ素と、直鎖
    状炭素鎖または直鎖状シロキサン結合鎖とを含む化学吸
    着物質が、基板表面に化学吸着するとともに、化学吸着
    質分子同志が感光性基部で架橋結合されてなるものであ
    る、請求項1または2に記載の液晶配向膜。
  4. 【請求項4】 前記薄膜構成分子は、末端にケイ素を有
    するものである、請求項3に記載の液晶配向膜。
  5. 【請求項5】 前記薄膜は、分子長軸の長さの異なる複
    数種類の分子で構成され、前記複数種類の分子が混交さ
    れた状態で基板表面に結合されている、請求項1ないし
    4に記載の液晶配向膜。
  6. 【請求項6】 前記複数種類の分子は、分子構造中に含
    まれる直鎖状炭素鎖または直鎖状シロキサン結合鎖の長
    さが異なるものである、請求項5に記載の液晶配向膜。
  7. 【請求項7】 感光性基と、直鎖状炭素鎖または直鎖状
    シロキサン結合鎖とを含むシラン系化学吸着物質と、非
    水系有機溶剤とを含有する化学吸着液を、電極を有する
    基板面に接触させ、化学吸着液中の化学吸着質分子を基
    板面に化学吸着して単分子層状の薄膜を形成する薄膜形
    成工程と、 前記単分子層状の薄膜を非水系有機溶剤からなる洗浄液
    で洗浄した後、一定の方向に基板を立てて前記洗浄液を
    液切り乾燥することにより、薄膜構成分子の配向方向を
    一定の方向に仮配向する仮配向工程と、仮配向させた薄
    膜面に異なる偏光方向をもったパターン状の偏光光を照
    射し、構成分子同志を特定方向に架橋結合させる架橋結
    合工程とからなる配向性付与工程と、 を備えることを特徴とする液晶配向膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記架橋結合工程が、前記仮配向工程で
    仮配向させた薄膜面に、照射ごとに偏光方向の異なる偏
    光光を用いかつ照射ごとに照射領域が異なるようにして
    2回以上の偏光照射を行い、1画素に対応する区画を複
    数かつパターン状に分割した分割領域ごとに薄膜構成分
    子の基板面に対する傾き及び/又は配向方位を異ならせ
    る工程である、請求項7に記載の液晶配向膜の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記配向性付与工程が、単分子層状の薄
    膜を非水系有機溶剤からなる洗浄液で洗浄した後、一定
    の方向に基板を立てて前記洗浄液を一定の方向に液切り
    乾燥することにより、薄膜構成分子の配向方向を一定方
    向に仮配向する第1配向工程と、前記第1配向工程で仮
    配向させた方向とほぼ平行な偏光方向の偏光光を照射す
    る第2配向工程とからなる一連の工程を2回以上繰り返
    すものであり、 N回目(但しNは2以上の整数)における液切り乾燥方
    向を、〔N−1〕回目までの液切り乾燥方向と異ならせ
    るとともに、N回目の液切り乾燥に続い行うN回目の偏
    光照射における基板上の照射領域を、〔N−1〕回目ま
    での照射領域と異ならせることにより、1画素に対応す
    る区画を複数かつパターン状に分割した分割領域ごとに
    薄膜構成分子の長軸の基板面に対する傾き及び/又は配
    向方位を異ならせる工程である、請求項7に記載の液晶
    配向膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記シラン系化学吸着物質として、2
    種類以上のシラン系化合物を混合して用いる、請求項7
    ないし9に記載の液晶配向膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記2種類以上のシラン系化合物とし
    て、分子長軸の長さが異なる2種類以上のシラン系化合
    物を混合して用いる、請求項10に記載の液晶配向膜の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 前記シラン系化学吸着物質として、前
    記2種以上のシラン系化合物の混合比を変えることによ
    り、最も長い分子の基板に対する傾きを制御して、液晶
    配向膜に所望のプレチルト角及び/又はプレチルト方位
    を付与することを特徴とする請求項11に記載の液晶配
    向膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記2種以上のシラン系化合物の混合
    比を変えずに、相互の比較における短い分子の長さを変
    えることにより、最も長い分子の基板に対する傾きを制
    御して、液晶配向膜に所望の所望のプレチルト角及び/
    又はプレチルト方位を付与することを特徴とする請求項
    11に記載の液晶配向膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記シラン系化学吸着物質として、感
    光性基と、直鎖状炭素鎖と直鎖状シロキサン結合鎖から
    なる群より選ばれる1つ以上の分子鎖と、クロロシリル
    基、アルコキシシリル基及びイソシアネートシリル基か
    らなる群より選ばれる1つ以上の有機基と、を含む化合
    物を用いる、請求項7ないし13に記載の液晶配向膜の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記化合物は、更に前記直鎖状炭素鎖
    または直鎖状シロキサン結合鎖の末端または一部に、3
    フッ化炭素基(−CF3 )、メチル基(−CH3 )、ビ
    ニル基(−CH=CH2 )、アリル基(−CH=CH
    −)、アセチレン基(炭素−炭素の3重結合)、フェニ
    ル基(−C6 H5 )、アリール基(−C6 H4 −)、ハ
    ロゲン原子、アルコキシ基(−OR;Rはアルキル基を
    表す)、シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH2 )、
    水酸基(−OH)、カルボニル基(=CO)、エステル
    基(−COO−)及びカルボキシル基(−COOH)か
    らなる群より選ばれる少なくとも一つの有機基を有する
    ものである、請求項14に記載の液晶配向膜の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記シラン系化学吸着物質として、直
    鎖状炭素鎖と直鎖状シロキサン結合鎖からなる群より選
    ばれる1つ以上の分子鎖の長さを変えることにより分子
    の長さを異ならせた2種類以上の前記化合物を混合して
    用いる、請求項14または15に記載の液晶配向膜の製
    造方法。
  17. 【請求項17】 2種類以上の前記化合物の混合比を変
    え、および/または、各々の化合物の分子長を規制する
    ことにより、最も長い分子の基板に対する傾きを制御
    し、液晶配向膜に所望の液晶配向特性を付与することを
    特徴とする、請求項14または15に記載の液晶配向膜
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 非水系の有機溶剤として、アルキル
    基、ふっ化炭素基、塩化炭素基及びシロキサン基からな
    る群より選ばれる少なくとも一つの有機基を含む溶剤を
    用いる、請求項7ないし17に記載の液晶配向膜の製造
    方法。
  19. 【請求項19】 前記薄膜形成工程の前に、基板面にS
    iO基を有する下地層を形成する工程を付加したことを
    特徴とする、請求項7ないし18に記載の液晶配向膜の
    製造方法。
  20. 【請求項20】 少なくとも、対向する一対の基板と、
    前記一対の基板のうち少なくとも表示電極を有する基板
    の表面に形成された液晶配向膜と、前記対向する一対の
    基板間に設けたセルギャップ内に収容された液晶とを備
    える液晶表示装置であって、 前記液晶配向膜は、基板表面に化学吸着質分子が結合
    し、かつ化学吸着質分子同志が架橋結合してなる単分子
    層状の薄膜であり、かつ1画素がパターン状に分割され
    た分割画素ごとに吸着質分子長軸の基板面に対する傾き
    及び/又は配向方位が異なるものであり、 前記セルギャップ内に収容された液晶分子のプレチルト
    角及び/又はプレチルト方位は、前記吸着質分子長軸の
    基板面に対する傾き及び/又は配向方位により制御され
    ている、 ことを特徴とする液晶表示装置。
  21. 【請求項21】 前記対向する一対の基板の間隙に収容
    された液晶がネマティック液晶であり、 前記セルギャップが、液晶分子が90°または180°
    〜270°にねじれ配向するように設定されている、 請求項20に記載の液晶表示装置。
  22. 【請求項22】 前記液晶表示装置が、片方の基板面に
    一対の表示電極が形成されたインプレーンスイッチング
    型の液晶表示装置である、請求項20に記載の液晶表示
    装置。
  23. 【請求項23】 感光性基と直鎖状炭素鎖または直鎖状
    シロキサン結合鎖とを含むシラン系化学吸着物質と、非
    水系有機溶剤とを含有する化学吸着液を表示電極を有す
    る基板面に接触させ、前記化学吸着液中の化学吸着物質
    分子を分子長軸方向の一端で基板面に化学吸着させて単
    分子層状の薄膜を形成する薄膜形成工程と、 前記単分子層状の薄膜を非水系有機溶剤からなる洗浄液
    で洗浄した後、一定の方向に基板を立てて前記洗浄液を
    液切り乾燥することにより、薄膜構成分子の配向方向を
    一定方向に仮配向する仮配向工程と、 仮配向させた薄膜面に異なる偏光方向もったパターン状
    の偏光光を照射し化学吸着物質分子同志を架橋結合する
    ことにより、薄膜構成分子の長軸の基板面に対する傾き
    及び/又は配向方位が異なる液晶配向膜付き基板となす
    配向性付与工程と、 前記液晶配向膜付き基板と、少なくとも対向電極を有す
    る対向基板とを、表示電極の形成された面を内側にして
    所定のセルギャップを設けて重ね合わせた後、両基板の
    間に液晶を配置する液晶セル形成工程と、 を少なくとも備える液晶表示装置の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記両基板の間に配置する液晶とし
    て、ネマティック液晶を用い、 前記薄膜構成分子の長軸の基板面に対する傾き及び/又
    は配向方位、並びにセルギャップを、液晶分子が90°
    または180°〜270°にねじれ配向するように作り
    こむことを特徴とする請求項23に記載の液晶表示装置
    の製造方法。
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