JPH11166600A - サイレントチェーン伝動装置及びそれに用いられるサイレントチェーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイレントチェーン伝動装置において、サイ
レントチェーンの移動経路を、回転方向の異なるスプロ
ケット間に設定できるようにすること。 【解決手段】 サイレントチェーン伝動装置１は、スプ
ロケット２，３と、多数枚の駆動リンクプレート８，
８’，９からなるリンク７を連結したサイレントチェー
ン４とを備えており、リンクの幅方向の両外側に位置す
る外側駆動リンクプレート８，８’の歯１１と、外側駆
動リンクプレート間に位置する内側駆動リンクプレート
９の歯１０とを互いに逆向きに配設して、その歯１１，
１０に噛合するようにスプロケットをサイレントチェー
ンの上下両側に配設する。したがって、サイレントチェ
ーンの両側のスプロケットは、互いに逆回転可能である
から、サイレントチェーンを回転方向の異なるスプロケ
ット間に配設することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、サイレントチェー
ンの両側にスプロケットが噛合することのできる、サイ
レントチェーン伝動装置及びその装置に用いられるサイ
レントチェーンに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、サイレントチェーン伝動装置１０
０（図８乃至図１０参照）は、スプロケット１０１と、
このスプロケット１０１に噛合する歯１０２が形成され
た多数枚の駆動リンクプレート１０３からなるリンク１
０４同士を連結ピン１０５によって順次連結したサイレ
ントチェーン１０６とを備えている。また、サイレント
チェーン１０６は、リンク１０４の幅方向の両外側に設
けられたガイドプレート１０７をスプロケット１０１の
両外側面に対向させてスプロケット１０１から外れない
ように規制されている。さらに、サイレントチェーン１
０６は、テンションガイド１０８に押圧、かつ案内され
て移動し、スプロケット１０１との噛合が保持されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとしている課題】ところが、従来の
サイレントチェーン伝動装置１００は、スプロケット１
０１がサイレントチェーン１０６の片側にしか配設され
ていないため、回転方向が同一のスプロケットとの間で
しか動力の伝達ができないという問題を有している。

【０００４】これにともなって、サイレントチェーン伝
動装置１００は、ローラチェーンと異なって、スプロケ
ットの配設位置に合わせてサイレントチェーンの移動経
路を設定することができないという問題も有している。

【０００５】そこで、本発明の目的は、サイレントチェ
ーンの両側にスプロケットを配設し、回転方向の異なる
スプロケット間での動力の伝達ができるとともに、サイ
レントチェーンの移動経路をスプロケットの配設位置に
合わせて設定することのできるサイレントチェーン伝動
装置およびその装置に用いられるサイレントチェーンを
提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上述の事情に
鑑みてなされたものであって、スプロケット（２）
（３）と、該スプロケット（２）（３）に噛合する歯
（１０）（１１）が形成された多数枚の駆動リンクプレ
ート（９）（８）（８’）からなるリンク（７）を連結
ピン（６）によって連結したサイレントチェーン（４）
とを備えたサイレントチェーン伝動装置（１）におい
て、前記サイレントチェーン（４）は、前記リンク
（７）の幅方向の両外側に位置する外側駆動リンクプレ
ート（８）（８’）の歯（１１）と、前記外側駆動リン
クプレート（８）（８’）の間に位置する内側駆動リン
クプレート（９）の歯（１０）とを互いに逆向きに配設
してなり、前記外側駆動リンクプレート（８）（８’）
の歯（１１）及び前記内側駆動リンクプレート（９）の
歯（１０）にそれぞれ噛合するように、前記スプロケッ
ト（２）（３）を、前記サイレントチェーン（４）の長
手方向の上下両側にそれぞれ配設したことを特徴とする
サイレントチェーン伝動装置（１）にある。

【０００７】また、前記内側駆動リンクプレート（９）
の歯（１０）に噛合する前記スプロケット（２）の歯
（１３）の幅方向外側面（１３ａ）と前記外側駆動リン
クプレート（８’）の側面（８’ｂ）とが、対向してい
ることを特徴とする。

【０００８】さらに、前記外側駆動リンクプレート
（８）（８’）の歯（１１）に噛合するスプロケット
（３）の歯（１２）が、当該スプロケット（３）の軸方
向に離間して１対形成されていることを特徴とする。

【０００９】また、前記外側駆動リンクプレート（８）
（８’）の歯（１１）に噛合するスプロケット（３）の
１対の歯（１２）の幅方向内側面（１２ａ）と前記内側
駆動リンクプレート（９）の側面（９ｂ）とが、対向し
ていることを特徴とする。

【００１０】さらに、前記連結ピン（６）が、最も両外
側の外側駆動リンクプレート（８）に回転不能に固定さ
れていることを特徴とする。

【００１１】また、リンク（７）の長手方向の上側又は
下側の一方に歯（１１）を有し前記リンク（７）の幅方
向の両外側に配設された外側駆動リンクプレート（８）
（８’）と、前記リンク（７）の長手方向の上側又は下
側の他方に歯（１０）を有し前記外側駆動リンクプレー
ト（８）（８’）の間に配設された内側駆動リンクプレ
ート（９）とを有することを特徴とする、サイレントチ
ェーン伝動装置に用いられるサイレントチェーンにあ
る。

【００１２】［作用］サイレントチェーン伝動装置
（１）は、サイレントチェーン（４）の両側にスプロケ
ット（２）（３）が噛合して、サイレントチェーン
（４）の両側で動力の伝達を行なう。両側に配設された
スプロケット（２）（３）の回転方向は互いに逆であ
る。サイレントチェーン（４）は、ローラチェーンと同
様に、スプロケット（２）（３）の配設位置に合わせた
移動経路に沿って移動する。

【００１３】また、サイレントチェーン（４）は、内側
駆動リンクプレート（９）に噛合するスプロケット
（２）の歯（１３）の幅方向外側面（１３ａ）と、外側
駆動リンクプレート（８’）の側面（８’ｂ）との案内
によって、あるいは、外側駆動リンクプレート（８）
（８’）に噛合するスプロケット（３）の１対の歯（１
２）の幅方向内側面（１２ａ）と、内側駆動リンクプレ
ート（９）の側面（９ｂ）との案内によって、移動す
る。

【００１４】さらに、移動中の内側駆動リンクプレート
（９）は、外側駆動リンクプレート（８）（８’）に噛
合しているスプロケット（３）の歯（１２）がスプロケ
ット（３）の軸（１４）と平行な方向に１対形成されて
いるので、１対の歯（１２）（１２）の間に空間ができ
ており、この空間によって、スプロケット（３）との干
渉が回避されて移動する。サイレントチェーン（４）
は、最も両外側の外側駆動リンクプレート（８）が連結
ピン（６）に回転不能に固定されているため、分解する
ことなく円滑に移動する。

【００１５】なお、上述したカッコ内の符号は、図面を
参照するために示すものであって、本発明の構成をなん
ら限定するものではない。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
乃至図７に基づいて説明する。

【００１７】サイレントチェーン伝動装置１の構成を説
明する。

【００１８】サイレントチェーン伝動装置１は、複数の
スプロケット２，３と、サイレントチェーン４と、テン
ショナーガイド５とを備えている。なお、サイレントチ
ェーン４は循環移動し、図１において、下側が循環移動
領域の内側になっているものとする。さらに、幅とは、
図２乃至図４において、左右方向のことを言う。

【００１９】スプロケットには、サイレントチェーン４
の移動領域の内側に配設された内スプロケット２と、移
動領域の外側に配設された外スプロケット３とがある。

【００２０】サイレントチェーン４は、連結ピン６によ
って順次連結された複数のリンク７を備えている。各リ
ンク７は、リンク７の幅方向の両側に位置する複数枚の
外側駆動リンクプレート８，８’と、外側駆動リンクプ
レート８，８’の間に位置する内側駆動リンクプレート
９とを備えている。内側、外側駆動リンクプレート９，
８，８’には、内、外スプロケット２，３に噛合する歯
１０，１１が互いに逆向きに形成されている。外スプロ
ケット３の歯１２は、外スプロケット３の軸１４と平行
な方向に離間して１対突設されて、外側駆動リンクプレ
ート８，８’の歯１１と噛合するようになっている。内
スプロケット２の歯１３は、内側駆動リンクプレート９
の歯１０と噛合するようになっている。なお、連結ピン
６は、両外側の外側駆動リンクプレート８に圧入、加締
等によって回転不能に固定されている。

【００２１】外側駆動リンクプレート８，８’の背端面
８ａ，８’ａは、内側駆動リンクプレート９の歯１０の
先端より、連結ピン６側の近い位置に形成されている。
同様に、内側駆動リンクプレート９の背端面９ａは、外
側駆動リンクプレート８，８’の歯１１の先端より、連
結ピン６側の近い位置に形成されている。このため、外
スプロケット３の歯１２の幅方向内側面１２ａと内側駆
動リンクプレート９の側面９ｂとが対向している。同様
に、内スプロケット２の歯１３の幅方向外側面１３ａと
外側駆動リンクプレート８’の側面８’ｂとが対向して
いる。サイレントチェーン４の外側には、テンショナー
ガイド５が配設されている。

【００２２】サイレントチェーン伝動装置１の作用を説
明する。

【００２３】サイレントチェーン４は、スプロケット
２，３によって循環移動させられる。内、外スプロケッ
ト２，３は、少なくとも一方が駆動スプロケットであ
り、互いに逆回転する。このため、スプロケットを所望
の回転方向にして使用することができる。さらに、サイ
レントチェーン４は、両側に配設されたスプロケットに
案内されて移動するため、ローラチェーンと同様に、屈
曲方向を自由に設定することができる。また、サイレン
トチェーン４は、内スプロケット２を通過するとき、内
スプロケット２の歯１３の外側面１３ａと外側駆動リン
クプレート８’の側面８’ｂとを案内にして移動する。
さらに、外スプロケット３を通過するとき、外スプロケ
ット３の１対の歯１２の内側面１２ａと、内側駆動リン
クプレート９の側面９ｂとを案内にして移動する。この
ため、サイレントチェーン４は、内側、外側駆動リンク
プレート９，８，８’から外れるようなことが殆どな
い。

【００２４】テンショナーガイド５は、内側駆動リンク
プレート９の背端面９ａを押圧して、サイレントチェー
ン４に適切な張力を付与し、サイレントチェーン４と、
内、外スプロケット２，３とを確実に噛合させるととも
に、外側駆動リンクプレート８’の側面８’ｂと共働し
て、サイレントチェーン４の循環移動の案内をしてい
る。

【００２５】

【発明の効果】請求項１に係る本発明は、サイレントチ
ェーンの両側にスプロケットが配設され、サイレントチ
ェーンの両側で動力の伝達が行なわれるため、サイレン
トチェーンを円滑に移動させることができて、かつロー
ラチェーンと同様に、スプロケットの配設位置に合わせ
てサイレントチェーンの移動経路を設定することができ
る。また、ガイドシューによって案内させるものと比し
て、騒音が少なく、かつ摺動抵抗がほとんどなく、動力
伝達損失を少なくすることができる。さらに、サイレン
トチェーンの両側で互いに逆回転するスプロケットとの
間で動力の伝達を行なうことができ、サイレントチェー
ンを複数本使用することなく、動力の伝達を行なうこと
ができる。

【００２６】請求項２に係る発明は、内側駆動リンクプ
レートの歯に噛合するスプロケットの歯の幅方向外側面
と、外側駆動リンクプレートの側面とが対向しているの
で、サイレントチェーンが、スプロケットと外側駆動リ
ンクプレートの側面とを案内にして移動することがで
き、サイレントチェーンの外れを防止することができ
る。

【００２７】請求項３に係る発明は、外側駆動リンクプ
レートの歯に噛合するスプロケットの歯がスプロケット
の軸方向に離間して１対形成されているので、その１対
の歯の間に空間ができ、この空間によって、スプロケッ
トと内側駆動リンクプレートとの干渉を回避することが
できる。

【００２８】請求項４に係る発明は、外側駆動リンクプ
レートの歯に噛合するスプロケットの１対の歯の幅方向
内側面と、内側駆動リンクプレートの側面とが対向して
いるので、サイレントチェーンが、スプロケットと内側
駆動リンクプレートの側面とを案内にして移動すること
ができ、サイレントチェーンの外れを防止することがで
きる。

【００２９】請求項５に係る発明は、連結ピンが、両外
側の外側駆動リンクプレートに回転不能に固定されてい
るので、内側駆動リンクプレートの脱落を防止して、サ
イレントチェーンの動力を確実に伝達をすることができ
る。

【００３０】請求項６に係る発明は、リンクの上下両側
に歯が突出しているので、両側にスプロケットを噛合さ
せることができて、互いに回転方向の異なるスプロケッ
トに動力の伝達を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態のサイレントチェーン伝動装
置の正面図である。

【図２】図１中、２−２矢視断面図である。

【図３】図１中、３−３矢視断面図である。

【図４】図１中、４−４矢視断面図である。

【図５】サイレントチェーンの平面図である。

【図６】サイレントチェーンの正面図である。

【図７】図６の右側面図である。

【図８】従来のサイレントチェーン伝動装置の正面図で
ある。

【図９】図８中、９−９矢視断面図である。

【図１０】図８中、１０−１０矢視断面図である。

【符号の説明】

１ サイレントチェーン伝動装置 ２ 内スプロケット ３ 外スプロケット ４ サイレントチェーン ６ 連結ピン ７ リンク ８ 外側駆動リンクプレート ８’ 外側駆動リンクプレート ８ａ 背端面 ８’ａ 背端面 ８’ｂ 側面 ９ 内側駆動リンクプレート ９ａ 背端面 ９ｂ 側面 １０ 内側駆動リンクプレートの歯 １１ 外側駆動リンクプレートの歯 １２ 外スプロケットの歯 １２ａ 内側面 １３ 内スプロケットの歯 １３ａ 外側面 １４ 外スプロケットの軸

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スプロケットと、該スプロケットに噛合
   する歯が形成された多数枚の駆動リンクプレートからな
   るリンクを連結ピンによって連結したサイレントチェー
   ンとを備えたサイレントチェーン伝動装置において、 前記サイレントチェーンは、前記リンクの幅方向の両外
   側に位置する外側駆動リンクプレートの歯と、前記外側
   駆動リンクプレートの間に位置する内側駆動リンクプレ
   ートの歯とを互いに逆向きに配設してなり、前記外側駆
   動リンクプレートの歯及び前記内側駆動リンクプレート
   の歯にそれぞれ噛合するように、前記スプロケットを、
   前記サイレントチェーンの長手方向の上下両側にそれぞ
   れ配設したことを特徴とするサイレントチェーン伝動装
   置。
2. 【請求項２】 前記内側駆動リンクプレートの歯に噛合
   する前記スプロケットの歯の幅方向外側面と前記外側駆
   動リンクプレートの側面とが、対向していることを特徴
   とする請求項１に記載のサイレントチェーン伝動装置。
3. 【請求項３】 前記外側駆動リンクプレートの歯に噛合
   する前記スプロケットの歯が、当該スプロケットの軸方
   向に離間して１対形成されていることを特徴とする請求
   項１又は２に記載のサイレントチェーン伝動装置。
4. 【請求項４】 前記外側駆動リンクプレートの歯に噛合
   する前記スプロケットの１対の歯の幅方向内側面と前記
   内側駆動リンクプレートの側面とが、対向していること
   を特徴とする請求項３に記載のサイレントチェーン伝動
   装置。
5. 【請求項５】 前記連結ピンが、両外側の外側駆動リン
   クプレートに回転不能に固定されていることを特徴とす
   る請求項１乃至４のいずれか記載のサイレントチェーン
   伝動装置。
6. 【請求項６】リンクの長手方向の上側又は下側の一方に
   歯を有し前記リンクの幅方向の両外側に配設された外側
   駆動リンクプレートと、前記リンクの長手方向の上側又
   は下側の他方に歯を有し前記外側駆動リンクプレートの
   間に配設された内側駆動リンクプレートとを有すること
   を特徴とする請求項１記載のサイレントチェーン伝動装
   置に用いられるサイレントチェーン。