JPH11166209A - 合成鋼床版桁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で床版と桁との強度合成可能に容
易に構成でき、合理的で低コストな合成鋼床版桁を提供
する。 【解決手段】 鋼板製の上面板３１Ｂと下面板３１Ａが
橋軸方向に所定間隔で複数配設された橋軸方向と略直交
する内リブ３１Ｃを介して結合されて床版鋼殻体３１が
形成される一方、主桁２１の上面に橋軸方向に沿って板
ジベル２３が立設固定され、板ジベル２３は下面板３１
Ａを貫通して床版鋼殻体３１内に貫入し、当該板ジベル
２３と内リブ３１Ｃとの重合部位にはそれぞれ切り欠き
２３Ｂが形成されて干渉が回避され、床版鋼殻体３１の
内部にコンクリート３２が充填打設されて合成鋼床版３
０が形成されると共に主桁２１と結合一体化されて構成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼板とコンクリートと
により形成される合成鋼床版と鋼桁によって橋梁や高架
道路を構成する鋼合成床版桁に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、橋梁や高架道路を構成する床版に
は、鉄筋により補強されたコンクリートによるいわゆる
ＲＣ床版と、鋼板を用いる鋼床版とがある。

【０００３】ＲＣ床版は、その概念的な断面図を図６に
示すが、現場で桁組上に型枠を組むと共にその型枠内に
鉄筋６１Ａを組んでコンクリートを打設するものである
ため、現場での作業に手間がかかり工期が長くなる。ま
た、床版６１と桁６２の強度を合成できないために独立
して強度を有する必要があって不経済なものである。

【０００４】一方、鋼床版は、その概念的な断面図を図
７に示すが、鋼板によって形成されたデッキプレート７
１の下面に補強リブ部材（縦リブ７２）や主桁７３が一
体に配設されて鋼床版桁として構成され、所定の大きさ
に製造工場にて組み上げられたものが施工現場に搬送さ
れて橋脚上に据え付けられ、いわゆるプレハブ工法によ
って施工される。これによれば、ＲＣ床版に比較して軽
量に構成でき、また、施工現場での工数が少なく工期も
短くできる。しかし、ほとんど全体が比熱の小さい鋼鉄
によって形成されて熱容量が小さいために外気温度の影
響による温度変化が著しく、特に冬季に放射冷却等によ
って冷え込むと路面が凍結し易いという問題があり、ま
た、工場での制作に手間がかかるために必ずしも低コス
トとはならないものであった。

【０００５】これらの中間的存在として、ＲＣ床版を所
定の大きさに製造工場において制作し、施工現場に搬送
して鋼桁上に設置するプレキャストスラブ合成桁と呼ば
れるものがある。この構成では、床版と桁との結合は桁
上に設けられたスタッドボルト等のジベルによって行わ
れるのが一般的である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プレキ
ャストスラブ合成桁では、施工現場での工数が少なく工
期も短くできると共に路面の凍結の問題も解消される
が、床版と桁の強度の合成を行う場合には、多数のジベ
ルが必要となってこれと鉄筋との干渉を回避しなければ
ならないため、配筋が複雑となって構成が困難となると
いう問題があった。

【０００７】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であって、簡単な構造で床版と桁との強度合成可能に容
易に構成でき、合理的で低コストな合成鋼床版桁を提供
することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決する為の手段】上記目的を達成する本発明
の合成鋼床版桁は、桁部材の上面に床版が結合一体化さ
れてなる床版桁において、鋼板製の上面板と下面板が橋
軸方向に所定間隔で複数配設された橋軸方向と略直交す
る板状の接合部材を介して結合されて床版鋼殻体が形成
される一方、前記桁部材の上面には略橋軸方向に沿って
板状のジベル部材が立設固定されており、前記ジベル部
材は前記下面板を貫通して前記床版鋼殻体内に貫入し、
当該ジベル部材と前記接合部材との重合部位は少なくと
も何れか一方が切り欠かれて干渉が回避され、前記床版
鋼殻体の内部にコンクリートが充填打設されて合成鋼床
版が形成されると共に前記合成鋼床版と前記桁部材とが
結合一体化されて構成されていることを特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本願発
明の実施の形態について説明する。図１は本願発明に係
る合成鋼床版桁の一例を適用した橋梁の部分断面斜視
図，図２はその縦断面図であるＡ−Ａ断面図，図３はＢ
−Ｂ断面図，図４は横断面図であるＣ−Ｃ断面図であ
る。

【００１０】図示橋梁１は、主桁２１と横桁２２とで形
成された桁組２０の上に合成鋼床版３０が一体に結合さ
れて合成鋼床版桁１０が構成されると共に、この合成鋼
床版桁１０が橋脚２に支承３を介して支持されて構成さ
れている。

【００１１】桁組２０は、幅方向左右に一対の主桁２１
が配設される（図１及び図３には一方のみ示す）と共
に、これら主桁２１の間に横桁２２が所定間隔で配設さ
れて構成されている。主桁２１及び横桁２２は、それぞ
れ鋼板によって断面形状が所定高さのＩ形に形成されて
おり、横桁２２は側端縁が主桁２１の腹板に溶接によっ
て固定され、当該桁組２０はその主桁２１と横桁２２の
交差結合部位で橋脚２に支持されている。

【００１２】主桁２１の上フランジ２１Ｕの上面の幅方
向中央には、ジベル部材としての板ジベル２３が主桁２
１の延設方向に連続して立設されている。

【００１３】板ジベル２３は、後述する合成鋼床版３０
の床版鋼殻体３１の上面板３１Ｂと干渉することのない
所定高さとされ、その板面にはコンクリートとの結合一
体化を促進させるための結合孔２３Ａが所定間隔で開口
形成されている。また、その上縁部の合成鋼床版３０の
内リブ３１Ｃと対応する部位には、所定深さの切り欠き
２３Ｂが形成されている。

【００１４】合成鋼床版３０は、下面板３１Ａと上面板
３１Ｂとがその間に介設された接合部材としての内リブ
３１Ｃによって所定の間隔に維持されて形成された床版
鋼殻体３１の内部に、コンクリート３２が充填打設され
て構成されている。

【００１５】床版鋼殻体３１は、所定厚さの鋼板による
下面板３１Ａの上面に、複数の内リブ３１Ｃが橋軸方向
に所定間隔で配設されて溶接固定され、この内リブ３１
Ｃの上面に所定厚さの鋼板による上面板３１Ｂが溶接固
定されて形成されている。また、主桁２１と対応する下
面板３１Ａ部位は、橋軸方向に連続するスリット３１Ｄ
が形成されて幅方向に分断されて不連続となっている。

【００１６】内リブ３１Ｃは、本構成例では断面Ｔ字形
の形鋼であって、長手方向を橋軸と直交する方向として
その下縁で溶接固定されて設けられているものである。
また、その主桁２１と対応する（下面板３１Ａのスリッ
ト３１Ｄと対応する）部位には切り欠き３１Ｅが形成さ
れている。尚、Ｔ形鋼に限るものではなく、Ｌ形やＣ形
であっても良いものである。

【００１７】上面板３１Ｂは、内リブ３１Ｃの配設間隔
で単位板に分割されており、各単位板が内リブ３１Ｃの
上面及び隣接する単位板に溶接されて、連続する平板状
となると共に内リブ３１Ｃとも結合されているものであ
る。

【００１８】床版鋼殻体３１は、桁組２０の上面（主桁
２１の上フランジ２１Ｕの上面）に載置された後、その
内部にコンクリート３２が充填打設され、これによって
コンクリート３２の上下を鋼板（即ち床版鋼殻体３１）
が覆った状態の合成鋼床版３０が形成される。

【００１９】ここで、主桁２１の上面に立設された板ジ
ベル２３は、床版鋼殻体３１の下面板３１Ａのスリット
３１Ｄを介して床版鋼殻体３１の内部に侵入し、板ジベ
ル２３の上縁の切り欠き２３Ｂは内リブ３１Ｃの切り欠
き３１Ｅと合致している。即ち、本構成では、板ジベル
２３と内リブ３１Ｃの対応する位置が相互に切り欠かれ
て干渉を避けるように形成されているものである。尚、
何れか一方のみに切り欠きを形成する構成であっても良
い。

【００２０】このように、桁組２０の上に載置された床
版鋼殻体３１の内部へコンクリート３２が充填打設さ
れ、これによって合成鋼床板３０が形成されると共に当
該合成鋼床板３０が桁組２０と強度合成可能に結合一体
化され、合成鋼床版桁１０が構成されている。尚、コン
クリート３２の打設は、側端開口部を介して行ったり、
専用の開口を設けて行うものである。

【００２１】而して、上記のごとき構成の合成鋼床版桁
１０では、合成鋼床版３０は、コンクリート３２を床版
鋼殻体３１の下面板３１Ａ及び上面板３１Ｂが補強し、
また、橋軸と直交する方向に配設された内リブ３１Ｃが
橋幅方向の引っ張り力に抗する補強部材として作用す
る。これにより、面倒な鉄筋の配筋作業が不要であるた
め、短時間で容易に製造でき、コストを低減できる。ま
た、コンクリート３２の熱容量が大きいため、凍結し難
いものである。

【００２２】また、床版鋼殻体３１の内部へコンクリー
ト３２が充填打設する工程は、床版鋼殻体３１を桁組２
０の上に載置した後行われるものであるため、比較的軽
量な床版鋼殻体３１を現場に搬送すれば良く、搬送や据
え付けが容易に行える。

【００２３】更に、合成鋼床版３０と桁組２０との結合
一体化は、主桁２１の上面に立設された板ジベル２３が
合成鋼床版３０のコンクリート３２の内部に埋没される
ことによって行われ、強度合成可能に強固に結合するこ
とができ、合理的な構成と成し得るものである。

【００２４】尚、主桁２１の上面に立設された板ジベル
２３は、主桁２１の平面図である図５（Ａ）及び（Ｂ）
に示すように、正弦曲線状や凹凸状に屈曲させて形成す
ることにより、より大きな剪断力を伝達可能に結合でき
るものである。また、板ジベル２３には大きな結合力を
得るため結合孔２３Ａを設けてあるが、逆にジベルを突
設して形成しても良いものである。

【００２５】

【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る合成鋼
床版桁によれば、鋼板製の上面板と下面板が橋軸方向に
所定間隔で複数配設された橋軸方向と略直交する板状の
接合部材を介して結合されて床版鋼殻体が形成される一
方、桁部材の上面には略橋軸方向に沿って板状のジベル
部材が立設固定されており、ジベル部材は下面板を貫通
して床版鋼殻体内に貫入し、当該ジベル部材と接合部材
との重合部位は少なくとも何れか一方が切り欠かれて干
渉が回避され、床版鋼殻体の内部にコンクリートが充填
打設されて合成鋼床版が形成されると共に合成鋼床版と
桁部材とが結合一体化されて構成されていることによ
り、簡単な構成で合成鋼床版と桁部材を強固に結合する
ことができるために強度の合成が可能となって軽量で高
強度な合理的な構成と成し得てコストを低減できると共
に、合成鋼床版は、コンクリートを床版鋼殻体が補強し
ており面倒な鉄筋の配筋作業が不要であるために短時間
で容易に低コストに製造でき、コンクリートの熱容量が
大きいために凍結し難いものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明に係る合成鋼床版桁の一例を適用した
橋梁の部分断面斜視図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】図２のＢ−Ｂ断面図である。

【図４】図１のＣ−Ｃ断面図である。

【図５】（Ａ），（Ｂ）は板ジベルの屈曲例を示す主桁
の平面図である。

【図６】従来例としてのＲＣ床版の概念的な断面図であ
る。

【図７】従来例としての鋼床版の概念的な断面図であ
る。

【符号の説明】

１０ 合成鋼床版桁 ２０ 桁組 ２１ 主桁（桁部材） ２３ 板ジベル（ジベル部材） ３０ 合成鋼床版 ３１ 床版鋼殻体 ３１Ａ 下面板 ３１Ｂ 上面板 ３１Ｃ 内リブ（接合部材） ３２ コンクリート

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 桁部材の上面に床版が結合一体化されて
   なる床版桁において、 鋼板製の上面板と下面板が橋軸
   方向に所定間隔で複数配設された橋軸方向と略直交する
   板状の接合部材を介して結合されて床版鋼殻体が形成さ
   れる一方、前記桁部材の上面には略橋軸方向に沿って板
   状のジベル部材が立設固定されており、前記ジベル部材
   は前記下面板を貫通して前記床版鋼殻体内に貫入し、当
   該ジベル部材と前記接合部材との重合部位は少なくとも
   何れか一方が切り欠かれて干渉が回避され、前記床版鋼
   殻体の内部にコンクリートが充填打設されて合成鋼床版
   が形成されると共に前記合成鋼床版と前記桁部材とが結
   合一体化されて構成されていることを特徴とする合成鋼
   床版桁。