JPH11165628A - 負圧式倍力装置 - Google Patents

負圧式倍力装置

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JPH11165628A
JPH11165628A JP9327730A JP32773097A JPH11165628A JP H11165628 A JPH11165628 A JP H11165628A JP 9327730 A JP9327730 A JP 9327730A JP 32773097 A JP32773097 A JP 32773097A JP H11165628 A JPH11165628 A JP H11165628A
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JP
Japan
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valve
negative pressure
pressure chamber
housing
chamber
Prior art date
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Application number
JP9327730A
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English (en)
Inventor
Kaoru Tsubouchi
内 薫 坪
Akihiko Miwa
輪 昭 彦 三
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空間部から変圧室への大気の流入をスムーズ
に行う負圧式倍力装置を提供すること。 【解決手段】 ハウジングと、可動壁3と、ハウジング
との間に空間部63を形成するプレート61と、その軸
方向において伸縮自在で、定圧室4内に配設されるとと
もに空間部63と変圧室5とを連通する空気路25と、
空間部63と空気路25とを介して変圧室5を負圧源或
いは大気とに選択的に連通させる電磁弁装置26と出力
ロッド11とを備えた負圧式倍力装置において、空気路
25の一端部25aをプレート61にのみ気密的に係合
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブレーキ力を助勢す
る負圧式倍力装置に関するものであり、特に自動車に適
用される負圧式倍力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の負圧式倍力装置は、特開平09−
226562号公報に開示されるように、内部に少なく
とも一つの圧力室を形成するハウジングと、前記ハウジ
ング内に前進及び後退可能に設置されるとともに前記圧
力室をその前方側に位置するとともに負圧源に連通され
る定圧室とその後方側に位置するとともに前記負圧源及
び大気に選択的に連通される変圧室とに分割する可動壁
と、前記ハウジングの前方部分に配設され、前記定圧室
に向かって膨出する有底筒状部と、前記定圧室内に配設
され、有底筒状を呈するとともにその開口前端部から外
方に延在する環状フランジ部を備え、前記有底筒状部の
外周部及び底部と前記ハウジングの前記有底筒状部の周
りで前記環状フランジ部に対向する対向部分との間に前
記定圧室と気密的に隔離された空間部を形成するプレー
ト部材と、その軸方向において伸縮自在で、前記定圧室
内に配設されるとともにその一端部が前記プレート部材
の底部と前記ハウジングの有底筒状部の底部とで挟持さ
れ、前記空間部と前記変圧室とを連通する導入路と、前
記導入路の一端部に形成され、前記空間と前記導入路の
内部とを連通する溝と、前記ハウジングの前記対向部分
に形成され、前記定圧室と前記ハウジング外とを連通す
る第1導入口と、前記ハウジングで前記対向部分の外周
部に形成され、前記定圧室と前記ハウジング外とを連通
する第2導入口と、前記第1導入口に連通する第1導管
と、前記第2導入口に連通する第2導管と、前記第1導
管と前記第2導管とを連通させることにより、前記第1
導管と前記第2導管と前記空間部と前記溝と前記導入路
の内部とを介して前記変圧室と前記定圧室とを連通させ
るとともに、前記第1導管と前記第2導管との連通を遮
断して前記変圧室と前記定圧室との連通を遮断し、前記
第1導管を大気に連通することによって前記変圧室を前
記第1導管と前記空間部と前記溝と前記導入路の内部と
を介して大気に連通させる切換手段と、前記導入路内部
に配設されると共に前記プレート部材の底部と前記有底
筒状部とを貫通し、前記可動壁の移動による推進力を装
置外に出力する出力部材と、を備えたものである。
【0003】この従来の負圧式倍力装置は、切換手段が
作動されて空間部と大気が第1導管を介して連通される
と、空間部に流入した大気が空間部から導入路の一端部
に形成された溝を介して導入路の内部に流入し、ついで
変圧室へと流れ込む。変圧室に大気が導入されることに
より、定圧室と変圧室との間に差圧が生じて可動壁が前
進し、この可動壁の前進に伴う推進力を出力部材によっ
て装置外部へと出力する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の負圧式倍力装置は、空間部から導入路の内部へ
と大気が流入するには導入路の一端部に形成された細い
溝を通過しなければならないことから、空間部から導入
路、ひいては変圧室への大気の導入がスムーズに行われ
ない虞が有るものであった。
【0005】又、導入路の一端部はハウジングの有底筒
状部とプレート部材の底部とで挟持される構成とされて
いるが、負圧式倍力装置においては、定圧室に膨出する
部分を筒状部とすることにより、この筒状部を介して定
圧室内にまでマスタシリンダの後端部分が配設されるよ
う構成されるものが有る。このような構成を採る負圧式
倍力装置においては、導入路の一端部が安定して保持さ
れないといった不具合が生じる虞が有る。
【0006】又、ハウジングの有底筒状部にはマスタシ
リンダの後端部分が配設されることから、負圧式倍力装
置のハウジングの有底筒状部周りにはハウジングを補強
する為に略有底筒状を呈する補強板が配設される場合が
有る。しかしながら、上述した従来の負圧式倍力装置に
おいては、空間部がプレート部材の外方フランジ部とハ
ウジングの外方フランジ部に対向する部分との間におい
ても形成されていることから、この従来の負圧式倍力装
置に補強板を設置する場合、空間部形成の為に定圧室の
前方側部分において多大なスペースを要し、定圧室の容
積を減少させるとともに定圧室内の空間利用を阻害する
ことになる。
【0007】又、切換手段がハウジングとは別体でハウ
ジングの外に配設されていることから、負圧式倍力装置
の大型化を招いている。
【0008】本発明は、空間部から変圧室への大気の流
入をスムーズに行う負圧式倍力装置を提供することを、
その技術的課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、内部に少なくとも一つの圧力室を形成するハウジン
グと、前記ハウジング内に前進及び後退可能に設置さ
れ、前記圧力室をその前方側に位置するとともに負圧源
に連通される定圧室とその後方側に位置するとともに前
記負圧源及び大気に選択的に連通される変圧室とに分割
する可動壁と、前記定圧室内に配設され、前記ハウジン
グとの間に前記定圧室と気密的に隔離された空間部を形
成するプレート部材と、前記定圧室内に配設されると共
にその一端部が前記プレート部材にのみ当接され、前記
空間部と前記変圧室とを連通する導入路と、前記空間部
と前記導入路とを介して前記変圧室を前記負圧源或いは
大気とに選択的に連通させる切換手段と、前記可動壁の
移動による推進力を装置外に出力する出力部材とを備え
た負圧式倍力装置を構成した。
【0010】好ましくは、前記可動壁に結合されたバル
ブハウジングと、前記バルブハウジングの内部に前記バ
ルブハウジングに対して移動可能に設置され、ブレーキ
操作によって移動可能な入力部材と、前記バルブハウジ
ング内に配設され、前記入力部材の移動に応じて前記変
圧室を前記定圧室に連通する負圧弁及び前記入力部材の
移動に応じて前記変圧室を大気に連通する大気弁を備え
た弁機構とを備えた負圧式倍力装置が望ましい。
【0011】好ましくは、前記バルブハウジング内に配
設され、その一端開口が前記バルブハウジングの前方端
部で開口するとともにその他端開口が前記負圧弁に連通
する負圧通路と、前記バルブハウジングに配設され、前
記弁機構により前記定圧室と前記変圧室との連通及び前
記変圧室と大気との連通が遮断された状態で前記切換手
段により前記空間部が大気に連通された際に前記負圧通
路から前記変圧室への一方向の連通を許容する一方向弁
とを備え、前記出力部材は前記導入路内に配設され、前
記バルブハウジングの前方端部に当接すると共に前記負
圧通路の前記一端開口を遮蔽する当接部を備え、前記導
入路の前記一端部は前記プレート部材に係合されるとと
もに他端部は前記当接部に係合され、前記当接部に配設
されるとともに前記負圧通路と前記導入路とを連通する
連通路とを備える負圧式倍力装置が望ましい。
【0012】好ましくは、前記可動壁は、前記圧力室を
その前方側の前室とその後方側で前記負圧源及び大気に
選択的に連通される後室とに分割する第1可動壁と、前
記前室内に前進及び後退可能に設置されるとともに前記
前室をその前方側に位置する前記定圧室とその後方側に
位置する前記変圧室とに分割する第2可動壁とを有し、
前記第1可動壁に結合されたバルブハウジングと、前記
バルブハウジングの内部に前記バルブハウジングに対し
て前進及び後退可能に設置され、ブレーキ操作によって
移動可能な入力部材と、前記バルブハウジング内に配設
され、前記入力部材の移動に応じて前記後室を前記負圧
源に連通する負圧弁及び前記入力部材の移動に応じて前
記後室を大気に連通する大気弁とを備えた弁機構とを備
えた負圧式倍力装置が望ましい。
【0013】好ましくは、前記出力部材は前記導入路内
に配設され、前記導入路の他端部は前記第2可動壁に当
接する負圧式倍力装置が望ましい。
【0014】好ましくは、前記定圧室内に配設され、前
記第2可動壁との間に前記定圧室から気密的に分離され
た前記変圧室を形成する隔離部材を有する負圧式倍力装
置が望ましい。
【0015】好ましくは、前記プレートは前記導入路の
前記一端部が組付けられる開口を有し、前記導入路の前
記一端部はその外周に前記プレートの前記開口の周縁部
分が係合する環状溝を有している負圧式倍力装置が望ま
しい。
【0016】好ましくは、前記導入路の前記一端部は前
記プレート部材に係合され、前記導入路の前記他端部と
前記プレートとの間に、前記他端部を前記第2可動壁に
向けて付勢して前記他端部を前記第2可動壁に当接させ
る付勢部材を備えた負圧式倍力装置が望ましい。
【0017】好ましくは、前記導入路の前記一端部と前
記他端部との間に配設され、前記一端部を前記プレート
に向けて付勢して前記プレートに当接させるとともに前
記他端部を前記第2可動壁に向けて付勢して前記他端部
を前記第2可動壁に当接させる付勢部材を具備した負圧
式倍力装置が望ましい。
【0018】好ましくは、前記ハウジングはその前方部
分に前記定圧室に向けて膨出する第1筒状部を有し、前
記プレート部材は前後方向に延在する第2筒状部を有
し、前記第筒状部の外周部と前記第2筒状部の内周部と
の間に配設されるシール部材とを備えた負圧式倍力装置
が望ましい。
【0019】好ましくは、前記切換手段と前記空間部と
を連通する導入管を有し、前前記導入管は前記シール部
材を介して前記空間部に気密的に連通される負圧式倍力
装置が望ましい。
【0020】好ましくは、前記切換手段は前記ハウジン
グに一体的に配設される負圧式倍力装置が望ましい。
【0021】好ましくは、前記ハウジングはその前方側
のフロントシェルとその後方側のリアシェルとを有して
おり、前記フロントシェルと前記リアシェルとの組付け
に際し、前記フロントシェルは少なくとも前記出力部材
と前記プレート部材と前記導入路とを一体的に有し、前
記リアシェルは少なくとも前記可動壁と前記バルブハウ
ジングとを一体的に有している負圧式倍力装置が望まし
い。
【0022】好ましくは、前記ハウジングはその前方側
のフロントシェルとその後方側のリアシェルとを有して
おり、前記フロントシェルと前記リアシェルとの組付け
に際し、前記フロントシェルは少なくとも前記プレート
部材と前記導入路とを一体的に有し、前記リアシェルは
少なくとも前記第1可動壁と前記バルブハウジングとを
一体的に有している負圧式倍力装置が望ましい。
【0023】好ましくは、前記ハウジングはその前方側
のフロントシェルとその後方側のリアシェルとを有して
おり、前記フロントシェルと前記リアシェルとの組付け
に際し、前記フロントシェルは少なくとも前記プレート
部材を一体的に有し、前記リアシェルは少なくとも前記
第1可動壁と前記バルブハウジングとを一体的に有して
いる負圧式倍力装置が望ましい。
【0024】好ましくは、前記フロントシェルは前記切
換手段を一体的に有している負圧式倍力装置が望まし
い。
【0025】好ましくは、前記切換手段は電磁弁装置で
ある負圧式倍力装置が望ましい。
【0026】請求項1の負圧式倍力装置は、切換手段を
作動して変圧室を導入路と空間部とを介して大気と連通
させることにより、変圧室と定圧室との間に発生した気
圧差を利用して可動壁を作動させて出力を発揮させる。
【0027】請求項2の負圧式倍力装置は、請求項1の
作用に加えて、ブレーキ操作に伴い入力部材がバルブハ
ウジング内で移動されることによって弁機構が作動さ
れ、変圧室と定圧室との連通が遮断されるとともに変圧
室が大気に連通される。変圧室への大気の流入により、
変圧室と定圧室との間に発生した気圧差を利用して可動
壁を作動させて出力を発揮させる。
【0028】請求項3の負圧式倍力装置は、請求項2の
作用に加えて、弁機構により定圧室と変圧室とが連通さ
れて変圧室と大気との連通が遮断される場合に、切換手
段が作動されると、一方向弁により負圧通路と変圧室と
の連通が許容されて、大気が空間部、導入路、連通路、
負圧通路とを介して変圧室に導入される。
【0029】請求項4の負圧式倍力装置は、請求項1の
作用に加えて、切換手段を作動し、変圧室を導入路と空
間部とを介して大気と連通させることによって、変圧室
と定圧室との間に発生した気圧差を利用して第2可動壁
を作動させて出力を発揮させる。又、ブレーキ操作に伴
い入力部材がバルブハウジング内で移動されることによ
って弁機構が作動され、定圧室と後室との連通が遮断さ
れるとともに後室が大気に連通される。後室への大気の
流入により、定圧室と後室との間に発生した気圧差を利
用して第1可動壁を作動させて出力を発揮させる。
【0030】請求項5の負圧式倍力装置は、請求項4の
作用に加えて、出力部材は導入路内に配設され、導入路
の他端部は第2可動壁に係合している。
【0031】請求項6の負圧式倍力装置は、請求項4又
は請求項5の作用に加えて、第2可動壁と隔離部材との
間で変圧室が形成される。
【0032】請求項7の負圧式倍力装置は、請求項1〜
請求項6の何れか一に記載の作用に加えて、プレートの
開口の周縁部分が導入路の一端部の環状溝に係合される
ことにより、プレートと導入路とが組付けられる。
【0033】請求項8の負圧式倍力装置は、請求5又は
請求項6の作用に加えて、導入路の一端部はプレート部
材に係合され、他端部は付勢部材によって付勢されるこ
とにより、第2可動壁に当接される。
【0034】請求項9の負圧式倍力装置は、請求項5又
は請求項6の作用に加えて、導入路の両端部が付勢部材
によって付勢されることにより、一端部がプレートに、
他端部が第2可動壁に気密的に当接される。
【0035】請求項10の負圧式倍力装置は、請求項1
〜請求項9の何れか一に記載の作用に加えて、プレート
部材とハウジングとはシール部材を介して気密的に当接
される。
【0036】請求項11の負圧式倍力装置は、請求項1
0の作用に加えて、切換手段は空間部に導入管を介して
連通されており、導入管はシール部材を介して空間部に
気密的に連通されている。
【0037】請求項12の負圧式倍力装置は、請求項1
〜11の何れか一に記載の負圧式装置の作用に加えて、
前記切換手段はハウジングに一体的に配設される。
【0038】請求項13の負圧式倍力装置は、請求項3
の作用に加えて、少なくとも出力部材とプレート部材と
導入路とを一体的に備えたフロントシェルユニットと、
可動壁とバルブハウジングとを一体的に備えたリアシェ
ルユニットとを組付ける。
【0039】請求項14の負圧式倍力装置は、請求項8
の作用に加えて、少なくともプレート部材と導入路とを
一体的に備えたフロントシェルユニットと、第1可動壁
とバルブハウジングとを一体的に備えたリアシェルユニ
ットとを組付ける。
【0040】請求項15の負圧式倍力装置は、請求項9
の作用に加えて、少なくともプレート部材を一体的に備
えたフロントシェルユニットと、第1可動壁とバルブハ
ウジングとを一体的に備えたリアシェルユニットと組付
ける。
【0041】請求項16の負圧式倍力装置は、請求項1
3〜15の何れか一に記載の作用に加えて、フロントシ
ェルは切換手段を一体的に備えている。
【0042】請求項17の負圧式倍力装置は、請求項1
〜16の何れか一に記載の作用に加えて、切換手段は電
磁弁装置である。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態により
具体的に説明する。
【0044】(実施の形態1)図1は本発明の一実施の
形態の負圧式倍力装置1の断面図である。図1に示すよ
うに、負圧式倍力装置1の前方にはリザーバタンク51
を備えたマスタシリンダ52が配設されており、マスタ
シリンダ52には液圧管路を介してABS(アンチロッ
クブレーキシステム)、TRC(トラクションコントロ
ール)及び制動操舵制御のアクチュエータ部53が接続
され、アクチュエータ部53には液圧管路を介して各車
輪FL,FR,RL,RRに配設されたホイールシリン
ダ54〜57が夫々接続されている。
【0045】図2は図1の弁機構40近辺の拡大図であ
る。図1、図2に示すように、負圧式倍力装置1のハウ
ジング2は、前方側(図1中左方側)部分のフロントシ
ェル2aと後方側(図1中右方側)部分のリアシェル2
bとから成り、ハウジング2内には、ハウジング2内の
圧力室を前方圧力室と後方圧力室とに分割する隔壁60
と、前方圧力室内でその外周部を気密的に固定され、前
後方向(図1中左右方向)に移動可能なフロント第1可
動壁3aと、後方圧力室内でその外周部を気密的に固定
され、前後方向に移動可能なリア第1可動壁3bとを備
えている。
【0046】フロント第1可動壁3aによって、ハウジ
ング2内の前方圧力室は第1前室4aと第1後室5aと
に互いに気密的に分離され、第2可動壁3bによって、
ハウジング2内の後方圧力室は第2前室4bと第2後室
5bとに互いに気密的に分離されている。更に、第1前
室4aは、後述する補助可動壁(第2可動壁)19によ
って定圧室4aaと補助変圧室23とに互いに気密的に
分離されている。
【0047】定圧室4aaはインレット2cを介して負
圧源である図示しない車両のエンジンのインテークマニ
ホールドと連通し、常に負圧を発生している。第2前室
4bはフロント第1可動壁3aの円筒部に形成された孔
によって定圧室4aaに連通され、従って、第2前室4
bも常時負圧に保たれる定圧室として機能している。
【0048】第1後室5aは、フロント第1可動壁3a
の外周縁のビード部の内周面に形成された溝と隔壁60
に形成された孔及びリア第1可動壁3bの外周縁のビー
ド部の外周面に形成された溝によって第2後室5bに連
通されている。
【0049】ハウジング2には、その後方より樹脂材料
製のバルブハウジング6が挿入され、バルブハウジング
6には第1可動壁3a、3bがその内周端において気密
的に固定されている。第1可動壁3a、3bとバルブハ
ウジング6とはハウジング2内を前後方向に移動するパ
ワーピストン7を形成している。
【0050】バルブハウジング6の内部には、図示しな
い車両のブレーキ操作部材である、例えばブレーキペダ
ルに図1においてその後端にて連結された入力ロッド8
が挿入されている。入力ロッド8は後述する入力部材9
に一体的にバルブハウジング6内を前後方向に移動可能
なように連結されている。
【0051】入力部材9は入力ロッド8からの入力をリ
アクションディスク10に伝達する役割を果たす。リア
クションディスク10と当接した出力ロッド11は、リ
アクションディスク10を介して入力を受けて移動する
ことによってマスタシリンダ52のピストン(図示省
略)を作動させる。
【0052】入力ロッド8には戻しスプリング12を受
ける第1リテーナ13が固定されている。バルブハウジ
ング6にはコントロールバルブ14の後端部14bを支
持する第2リテーナ15が第1リテーナ13,戻しスプ
リング12を介して入力ロッド8から弾撥力を受けなが
ら固定されている。コントロールバルブ14は図2中で
後端部14bの内周において第2リテーナ15に係合し
ており、外周においてはバルブハウジング6との間でシ
ール機能を発生している。コントロールバルブ14の前
端部であるシール部14aを支持するリテーナと第2リ
テーナ15との間にはバルブスプリング16が介装され
ている。
【0053】上記構成を採ることによって、コントロー
ルバルブ14のシール部14aのエアバルブ部14aa
は入力ロッド8の非作動状態において、入力部材9の後
端に形成されたエアバルブ弁座9aと係合している。
又、入力ロッド8の作動状態においては、シール部14
aのバキュームバルブ部14abがバルブハウジング6
に設けたバキュームバルブ弁座6aと係合可能となって
いる。即ち、エアバルブ部14aaとエアバルブ弁座9
aとは大気弁を構成し、バキュームバルブ部14abと
バキューム弁座6aとは負圧弁を構成しており、コント
ロールバルブ14、入力部材9のエアバルブ弁座9a、
バルブハウジング6のバキュームバルブ弁座9aとは弁
機構40を構成している。
【0054】バルブハウジング6に設置されたキー溝6
bにはキー17が挿入され、非作動状態でダンパ部材1
8を介してハウジング2に当接している。更に、バルブ
ハウジング6には、定圧室4aaと負圧弁とを連通する
ためのバキュームパス6cと、第2後室5bと大気弁と
を連通するためのエアパス6dとが形成されている。バ
キュームパス6cは、定圧室4aaに開口する一端開口
部がバルブハウジング6の前方端部に形成されるととも
にその他端開口が負圧弁に連通されており、エアパス6
dの第2後室5bに開口する一端開口部がバルブハウジ
ング6の側面部に形成されるとともにその他端開口が大
気弁に連通されている。
【0055】出力ロッド11は、前方側(図2中左側)
の第1部材111と、後方側(図2中右側)の第2部材
112とから構成されている。第2部材112は、リア
クションディスク10を収容するとともにバルブハウジ
ング6の前端部に嵌合される有底筒状部112aと、第
1部材111に係合される係合軸部112bとを有して
いる。第1部材111は、軸部111aと、第2部材1
12の係合軸部112bが挿入される係合穴111bと
を備えている。
【0056】前室4a中には、その内周部において出力
ロッド11の第1部材111と係合する補助可動壁19
と、出力ロッド11の第2部材112にシール部材20
を介して気密的に係合する隔離壁21とが設置されてい
る。補助可動壁19と隔離壁21とはシール部材22に
より気密的に係合され、両者の間に補助変圧室23を形
成している。隔離壁21はシール部材22を介してリタ
ンスプリング24によってハウジング2から付勢力を受
けており、又、パワーピストン7もシール部材22及び
隔離壁21を介してリタンスプリング24によって後方
に付勢されている。
【0057】補助可動壁19の内周部は、第1部材11
1の後端部に気密的に固定されている。隔離壁21は、
第2部材112の有底筒状部112aの前端面に当接
し、係合軸部112bの外周にシール部材20を介して
気密的に嵌合される係合部21aを一体的に有してい
る。係合部21aは可撓性を有している。
【0058】シール部材22は可撓性を備え、その内周
部が補助可動壁19に気密的に係合され、その外周部が
隔離壁21の外周部分にリテーナ27により気密的に係
合されている。従って、補助変圧室23は、出力ロッド
11と、補助可動壁19と、隔離壁21と、シール部材
22とで気密的に囲まれている。
【0059】更に、シール部材22は、内周部と外周部
との間に後方に開口する湾曲部22aを有している。湾
曲部22aは、前方に突出する外周環状部22aaと、
外周環状部22aaの内周側で前方に突出する内周環状
部22abと、外周環状部22aaの前方端部と内周環
状部22abの前方端部とを接続する接続部22acか
ら構成されている。リテーナ27は、リテーナ27の前
面部でシール部材22の湾曲部22aの外周側近傍に、
前方に向けて延在する環状突出部27aを備えている。
【0060】図3は図2の出力ロッド11近辺の拡大図
である。図1〜図3に示すように、ハウジング2はフロ
ントシェル2aの前方内面側中央部分に定圧室4aaに
向けて膨出する有底筒状の膨出部2abを有している。
更に、ハウジング2には、膨出部2abの筒状部2ac
の周りでハウジング2に当接する略有底筒状を呈する補
強板90が配設されている。
【0061】定圧室4aa内には膨出部2abに対向す
るプレート61が配設されている。膨出部2abの筒状
部2ac(第1筒状部)の前方外周部とプレート61の
筒状部61cの前方内周部との間には補強板90の内筒
部を介してシール部材62が配設されており、膨出部2
abの筒状部2acの外周部2acとプレート61の筒
状部61cとの間と、膨出部2abの底部2adの後面
とプレート61の底部61dの前面との間に定圧室4a
aと気密的に分離された空間部63が形成されている。
【0062】補助可動壁19とプレート61の底部61
dとの間には、補助変圧室23と空間部63とを連通す
る導入路としての空気路25が配設されている。空気路
25は弾性材から成るとともに蛇腹状を呈し、可撓性を
備え前後方向(図3中左右方向)に伸縮自在とされてい
る。空気路25のフランジ状を呈する前方側端部25a
の後面及び後方側端部25bの前面にはそれぞれ環状プ
レート64、65が配設されており、環状プレート6
4、65の間にはリタンスプリング28が配設されてい
る。
【0063】リタンスプリング28は、空気路25の前
方側端部25aをプレート61の底部61dに向けて付
勢し、且つ、後方側端部25bを補助可動壁19に向け
て付勢している。従って、空気路25の前方側端部25
aはプレート61の底部61dの後面に気密的に当接し
ており、後方側端部25bは補助可動壁19の前面に気
密的に当接している。更にリタンスプリング28は、補
助可動壁19を後方に向けて付勢している。
【0064】プレート61は底部61dに空気路25の
内部と空間部63とを連通する開口61aを有してお
り、補助可動壁19は空気路25の内部と補助変圧室2
3とを連通する連通路19aを有している。従って、補
助変圧室23と空間部63とは、連通路19a、空気路
25の内部、開口61aを介して連通している。
【0065】出力ロッド11の第1部材111は、フロ
ントシェル2aの膨出部2abの底部2acに形成され
た穴2aa、プレート61の開口61a、空気路25の
内部を通ってハウジング2外に突出しており、第2部材
112の係合軸部112bは補助変圧室23を貫通して
いる。即ち、出力ロッド11は、空気路25内に配設さ
れるとともに、空間部63、空気路25、補助変圧室2
3を貫通しているものである。第1部材111はシール
部材68を介してフロントシェル2aを気密的に貫通し
ている。
【0066】ハウジング2のフロントシェル2aの前方
側には、電磁弁装置26が気密的に配設されている。電
磁弁装置26とプレート61とは導入管としてのチュー
ブ66により接続されている。チューブ66の一端部は
電磁弁装置26の後述する変圧ポート26cに接続さ
れ、他端部はプレート61に形成された連通穴61bに
気密的に取り付けられている。従って、電磁弁装置26
の変圧ポート26cと空間部63とは、チューブ66を
介して連通されている。
【0067】プレート61の筒状部61cの前方外周部
分には略環状のリテーナ67が配設されており、このリ
テーナ67とリテーナ27との間には、リタンスプリン
グ24が配設されている。リタンスプリング24は、そ
の付勢力でもってリテーナ67を介してプレート61を
ハウジング2の前方に向けて付勢することにより、プレ
ート61の筒状部61cの前方部分をシール部材62及
び補強板90を介してハウジング2に気密的に当接させ
ている。更に、リタンスプリング24は、リテーナ27
及びシール部材22を介して隔離壁21を後方に付勢
し、隔離壁21をパワーピストン7のバルブハウジング
6に当接させるとともに、パワーピストン7を後方に付
勢している。
【0068】図4は、図1の電磁弁装置26の拡大図で
ある。図4に示すように、負圧式倍力装置1の補助変圧
室23を選択的に負圧源或いは大気とに接続する切換手
段としての電磁弁装置26は、シール部材29を介して
ハウジング2のフロントシェル2aの前面と気密的に係
合している。電磁弁装置26はその内部に、定圧室4a
aに連通した定圧ポート26a、クリーナ部材30を有
する大気導入用エアクリーナ31に連通した大気ポート
26b、チューブ66と接続した変圧ポート26c、定
圧室4aaと補助変圧室23とを連通及び遮断する定圧
弁座26d、大気と補助変圧室23とを連通及び遮断す
る大気弁座26e、先端部に弁体であるバルブ26fを
備えた弁体部26g、固定コア26h、可動コア26
i、固定コア26hを貫通しその前端側で可動コア26
iに当接可能とされるロッド部26jと、固定コア26
hと可動コア26iとの外周を覆うように配設されるソ
レノイド26kとを有している。
【0069】電磁弁装置26は、電磁弁装置26を介し
てチューブ66、ひいては空気路25へ流入する大気の
流入用で電磁弁装置26の外周を迂回する大気流入路を
形成する大気導入用エアクリーナ31をその外周部に備
えている。大気導入用エアクリーナ31は、図示しない
チューブを介して不図示の車両内部空間に連通してい
る。
【0070】可動コア26iひいてはロッド部26jと
隔壁との間に、可動コア26iを固定コア26hから離
間させる方向であってロッド部26jを弁体部26gか
ら離間させる方向(図4中左方)に付勢するスプリング
26lが配設されている。
【0071】ソレノイド26kはターミナル26mによ
って図示しない車両の電源と接続され、図示しない車両
のコントローラによって前記電源より電力が供給され作
動される。
【0072】弁体部26gは、スプリング26nによっ
て図4中において左方に付勢され、バルブ26fが定圧
弁座26dから離間されるとともに大気弁座26eに当
接されている。又、ロッド部26jと弁体部26gは図
4に示す電磁弁装置26の非作動状態では非当接とされ
ている。
【0073】この状態においては、バルブ26fが定圧
弁座26dと非係合状態となっているため、補助変圧室
23は、空気路25の内部、空間部63、チューブ6
6、変圧ポート26c、バルブ26fと定圧弁座26d
との隙間、および定圧ポート26aとを介して定圧室4
aa、ひいては負圧源に連通している。
【0074】一方、前記したように図示しない車両のコ
ントローラによってソレノイド26kに電源より電力が
供給されると、ソレノイド26kは可動コア26iを固
定コア26hに吸引作動し、可動コア26iが固定コア
26hに向かって(図4中右方)摺動するため、可動コ
ア26iがロッド部26jを押圧するとともに可動コア
26iとロッド部26jとが一体的に図4中右方に向か
って移動する。
【0075】可動コア26iにより付勢されたロッド部
26jの後端部が弁体部26gの前端部に当接するとと
もに、ロッド部26jは弁体部26gを後方(図4中右
方)に向けて押圧し、バルブ26fが定圧弁座26dに
当接し、且つ、バルブ26fと大気弁座26eとが非係
合状態となる。
【0076】従って、補助変圧室23には、空気路25
の内部,空間部63、チューブ66、変圧ポート26
c,バルブ26fと大気弁座26eとの隙間、連通孔2
6o、大気ポート26b、大気導入用エアクリーナ31
とを介して、不図示の車両内部空間から大気が導入され
る。
【0077】負圧式倍力装置1のフロントシェル2aと
リアシェル2bとの組付けにおいて、先ずフロントシェ
ル2aには、インレット2c、空間部63の形成部分
(プレート61、シール62)、チューブ66、電磁弁
装置26が配設され、リアシェル2bには、パワーピス
トン7、弁機構40、入力ロッド8、リアクションディ
スク10、出力ロッド11、補助変圧室23の形成部分
(補助可動壁19、隔離部材21、リテーナ27)が配
設される。
【0078】次いで、プレート64、65及びリタンス
プリング28が組付けられた空気導入路25が、出力ロ
ッド11を内包しつつ出力ロッド11にガイドされ、リ
アシェル2bに組付けられた補助可動壁19上に設置さ
れる。更に、リタンスプリング24がリテーナ27上に
設置される。
【0079】各部材がフロントシェル2aとリアシェル
2bとにそれぞれ設置された後、フロントシェル2aと
リアシェル2bとが組付けられる。フロントシェル2a
とリアシェル2bとが組付けられることにより、出力ロ
ッド11がフロントシェル2aの穴2aを通ってハウジ
ング2外に突出し、空気路25がプレート61と、補助
可動壁19との間に介在され、リタンスプリング24が
リテーナ67とリテーナ27との間に介在される。
【0080】図1のアクチュエータ部53は、その内部
に、ブレーキ液が流動する液圧管路と、液圧管路におい
てブレーキ液の流動を遮断する電磁弁装置と、ブレーキ
液が貯溜されるリザーバと、ブレーキ液を吸引吐出する
ポンプユニットと、電磁弁装置やポンプユニット等を制
御する電子制御装置(ECU)等を備えている。
【0081】次いで負圧式倍力装置1の作動について説
明する。図5は、縦軸は出力を表し、横軸は入力を表し
た負圧式倍力装置1の特性線図である。図1〜図5に示
すように、運転者が図示しない車両のブレーキ操作部材
を操作していない初期状態においては、リタンスプリン
グ24の付勢力により隔離壁21とバルブハウジング6
とは当接しており、コントロールバルブ14のシール部
14aのエアバルブ部14aaは入力部材9のエアバル
ブ弁座9aと係合状態、又、シール部14aのバキュー
ムバルブ部14abはバルブハウジング6のバキューム
バルブ弁座6aとは非係合状態にあるため、第2後室5
bは、エアパス6d、バキュームバルブ部14abとバ
キュームバルブ弁座6aとの隙間、バキュームパス6
c、フロント第1可動壁3aの内周部と隔離壁21の外
周部との間の空間、定圧室4aa、及びインレット2a
を介して負圧源である図示しない車両のエンジンのイン
テークマニホールドと連通している。
【0082】運転者により、車両のブレーキ操作部材で
ある、例えばブレーキペダルが操作されると、これと連
結した入力ロッド8が入力を受けて前方に移動する。従
って、入力ロッド8に固定された入力部材9も入力ロッ
ド8と一体となって前方に移動する。
【0083】入力部材9の移動によって、コントロール
バルブ14ひいてはシール部14aもバルブスプリング
16の付勢力によって入力部材9と共に前方に移動し、
やがてシール部14aのバキュームバルブ部14abが
バルブハウジング6のバキュームバルブ弁座6aに当接
して第2後室5bが定圧室4aaと遮断されるため、後
室5a、5bは車両の負圧源との連通も断たれる。
【0084】更に入力部材9が前方に移動すると、シー
ル部14aのエアバルブ部14aaと入力部材9のエア
バルブ弁座9aとの係合が解消されて、第2後室5bが
エアパス6d、及びエアバルブ部14aaとエアバルブ
弁座9aとの隙間を介して大気と連通する。従って、両
後室5a、5bへの大気の流入によって、定圧室4aa
及び第2前室4bと後室5a、5bとの間にそれぞれ気
圧差が発生するため、この気圧差による荷重を受けた両
第1可動壁3a、3bとこれに連結されたバルブハウジ
ング6、即ち、パワーピストン7がハウジング2内を前
進し、リアクションディスク10を介して出力ロッド1
1の第2部材112を前方に押圧する。
【0085】第2部材112が前方に押圧移動されるこ
とにより、有底円筒状部112aの前方側端面が隔離壁
21を押圧するとともに、第2部材112の係合軸部1
12bの段差部分112cが補助可動壁19及び補助可
動壁19に結合している第1部材111を前方に押圧す
る。即ち、パワーピストン7は出力ロッド11に増幅さ
れた入力を出力することになる。
【0086】出力ロッド11にパワーピストン7の推進
力が出力され、出力ロッド11が前方に移動されるとマ
スタシリンダ52のピストンが押圧されて、ブレーキ液
がアクチュエータ部53を介してホイールシリンダ54
〜57に流出し車両のホイールFL、FR、RL、RR
に制動力が付与される。
【0087】これ以降は、リアクションディスク10か
ら、入力部材9を介して入力ロッド8が受ける反力によ
って、シール部14aのエアバルブ部14aaと入力部
材9のエアバルブ弁座9aが、シール部14aのバキュ
ームバルブ部14abとバルブハウジング6のバキュー
ムバルブ弁座6aとが選択的に係合して、入力ロッド8
に加えられた運転者の入力に応じて負圧式倍力装置1の
助勢力が制御される。パワーピストン7の推進力、即
ち、出力ロッド11の出力に伴う反力と、ブレーキペダ
ルを操作することによって発生し、入力部材8に伝達さ
れた入力はリアクションディスク10に加えられバラン
スする。
【0088】後室5a、5bへの大気の流入によって後
室5a、5b内が大気圧に達すると、パワーピストン7
はもはや前進せず、これ以降の負圧式倍力装置1の出力
は、入力ロッド8及び入力部材9がリアクションディス
ク10を介して出力ロッド11を前方に押圧することに
よってなされる。即ち、入力と出力とが等しくなる。
【0089】この入力部材9が出力ロッド11を押圧す
る場合、先ず、入力部材9によってリアクションディス
ク10を介して出力ロッド11の第2部材112が前方
に押圧される。次いで、第2部材112が前方に押圧移
動されることにより、有底円筒状部112aの前方側端
面が隔離壁21の係合部21aを押圧して係合部21a
を前方へ変形させつつ、第2部材112の係合軸部11
2bの段差部分112cが補助可動壁19及び補助可動
壁19に結合している第1部材111を前方に押圧す
る。
【0090】出力ロッド11の前進に伴う補助可動壁1
9の前進は、シール部材22の湾曲部22aの変形のみ
に留まり、隔離壁21を前方に移動させるには至らな
い。又、出力ロッド11の前進によって係合部21aが
前方へ変形することにより、隔離壁21全体が前方へ移
動されることはない。従って、入力部材9が出力ロッド
11を押圧する際には、隔離壁21の当接部21bはパ
ワーピストン7の可動壁3に当接した状態を維持してい
る。
【0091】この通常作動の状態においては、ソレノイ
ド26kが非作動状態であるため、補助変圧室23は定
圧室4aaと連通しており、補助可動壁19の前後にお
いて気圧差がなく、補助可動壁19は非作動状態となっ
ている。この時の入力ロッド8に働くブレーキ操作力
と、出力ロッド11に働くブレーキ出力との関係は図5
において線図Aにて示される。
【0092】例えば、車両の左旋回時に車両がオーバー
ステアの状態となったことをアクチュエータ部53のE
CUが検知すると、運転者のブレーキ操作無しに、アク
チュエータ部53のポンプユニットから旋回外側前輪、
即ち、右側前輪FRにブレーキ液圧を付与する周知の制
動操舵制御(オーバーステア抑制制御)の作動が開始さ
れる。
【0093】アクチュエータ部53において制動操舵制
御の作動が開始される一方で、電源からソレノイド26
kに対して電力を供給し、負圧式倍力装置1の通常出力
以上の出力を発揮させる自動作動も開始される。
【0094】電力の供給を受けたソレノイド26kは電
磁力を発生させて、可動コア26iをスプリング26
l、26nの付勢力に抗して後方に移動させる。
【0095】可動コア26iの移動によって補助変圧室
23に大気が導入されるため、補助可動壁19の前後に
おいて気圧差が発生し、シール部材22の湾曲部22a
の外周筒状部22aa、接続部22ac、内周筒状部2
2abがリテーナ27の筒状部27aの内周面に順に当
接されつつシール部材22及びシール部材22に結合さ
れている補助可動壁19が前方に移動される。
【0096】補助可動壁19が移動することによって、
補助可動壁19に結合されている出力ロッド11の第1
部材111のみが前方に移動される。又、補助可動壁1
9は、空気路25aを縮めながら前進する。
【0097】第1部材111に定圧室4aaと補助変圧
室23との差圧による荷重が付与され、第1部材111
が前方に移動されると、マスタシリンダ52のピストン
が押圧されて、負圧式倍力装置1によって加圧されたブ
レーキ液がマスタシリンダ52からアクチュエータ部5
3のポンプユニット及び非制動操舵制御車輪FL、R
L、RRの各ホイールシリンダ54、56、57に向け
て付与される。
【0098】アクチュエータ部53のポンプユニット
は、この負圧式倍力装置1によって加圧されたブレーキ
液を吸引すると共に右側前輪FRのホイールシリンダ5
5に向けてブレーキ液を吐出する。従って、右側前輪F
Rに制動力が付与されることになる。
【0099】この時の負圧式倍力装置1における入力ロ
ッド8に働く入力と、第1部材111に働く出力との関
係は図5において点Pにて示される。即ち、負圧式倍力
装置1は、入力0の状態で出力Pを出力することにな
る。
【0100】補助可動壁19の移動量は、好ましくは、
制動操舵制御でアクチュエータ部53のポンプユニット
がブレーキ系への加圧供給に必要なブレーキフルード供
給量から決定される。又、ABS機能を有するブレーキ
装置を流用して制動操舵制御を付加し、且つ、制動操舵
制御の際にポンプユニットがマスタシリンダからブレー
キ液を吸引して制御対象車輪に向けてブレーキ液を吐出
する構成において、このポンプユニットの前段加圧機能
として必要な圧力から決定される。一例としては、補助
可動壁19の移動量は5〜15mmで、出力Pによるブ
レーキ液の加圧力は3〜10kg/cm2 である。本発
明においては、補助可動壁19の径の大きさを適宜設定
することにより、これらの必要圧力を供給し得るもので
あり、図5における点Pでの出力は制動操舵制御のポン
プ作動に対して前段加圧機能に相応しい出力値となる。
【0101】従って、制動操舵制御の作動開始時におい
ては、負圧式倍力装置1の自動作動により加圧されたブ
レーキ液がマスタシリンダ52からアクチュエータ部5
3のポンプユニットへ吸入されることによって、ポンプ
ユニットの吸入吐出作動をよりスムーズにでき、ひいて
は、旋回外側前輪のブレーキ液圧をスムーズに増圧する
ことができる。又、非制御車輪FL、RL、RRに付与
される液圧は小さなものであることから、制動操舵制御
に関して何ら支障を与えるものではない。
【0102】制動操舵制御の作動の結果、旋回外側前輪
のブレーキ液圧を一時的に増圧することにより、車両の
オーバーステア状態を回避することができる。
【0103】この制動操舵制御の作動の際には、負圧式
倍力装置1の自動作動は、制動操舵制御において前段加
圧機能を行っていることになるものである。
【0104】制動操舵制御が解除されたことをアクチュ
エータ部53のマイクロコンピュータが検知すると、電
源からソレノイド26kへの電力の供給を停止するた
め、ソレノイド26kはもはや可動コア26iへの電磁
力を発生せず、可動コア26iはロッド部26jを介し
たスプリング26lの付勢力によって前方に戻される。
加えて、弁体部26gがスプリング26nの付勢力によ
って前方に付勢され、バルブ26fが定圧弁座26dか
ら離間されるとともに大気弁座26eに当接されること
になる。
【0105】可動コア26iと弁体部26gの前方への
移動によって補助変圧室23は大気と遮断されて再び定
圧室4aaと連通し、補助可動壁19、及び補助可動壁
19を介してシール部材22は、リタンスプリング28
により後方に押し戻される。即ち、負圧式倍力装置1の
前段加圧作動が終了される。
【0106】制動操舵制御中において、運転者によりブ
レーキペダルが操作されると、これと連結した入力ロッ
ド8が入力を受けて前方に移動する。従って、入力ロッ
ド8に固定された入力部材9も入力ロッド8と一体とな
って前方に移動する。
【0107】入力部材9の移動によって、コントロール
バルブ14ひいてはシール部14aもバルブスプリング
16の付勢力によって入力部材9と共に前方に移動し、
やがてシール部14aのバキュームバルブ部14abが
バルブハウジング6のバキュームバルブ弁座6aに当接
して、後室5a、5bは定圧室4aa、第2前室4bと
遮断されるため車両の負圧源との連通も断たれる。
【0108】更に入力部材9が前方に移動すると、シー
ル部14aのエアバルブ部14aaと入力部材9のエア
バルブ弁座9aとの係合が解消されて、後室5a、5b
が大気と連通する。従って、後室5a、5bへの大気の
流入によって、定圧室4aa、第2前室4bと後室5
a、5bとの間にそれぞれ気圧差が発生するため、この
気圧差による荷重を受けた第1可動壁3a、3bとこれ
に連結されたバルブハウジング6、即ち、パワーピスト
ン7が、リアクションディスク10を介して出力ロッド
11の第2部材112を前方に押圧するとともに、当接
部21aを介して隔離壁21を前方に押圧する。
【0109】制動操舵制御中であることから、出力ロッ
ド11の第1部材111はパワーピストン7及び第2部
材112に対して所定量前方に移動している。従って、
パワーピストン7及び第2部材112の移動当初におい
ては、第2部材112の係合軸部112bの段差部分1
12cと補助可動壁19及び第1部材111とが当接す
ることはなく、パワーピストン7及び第2部材112が
ハウジング2に対して所定量前進した際に、段差部分1
12cが補助可動壁19及び補助可動壁19に結合して
いる第1部材111に当接することになる。第2部材1
12と第1部材111との当接後は、前述した通常のブ
レーキ作動となる。
【0110】以上説明したように、本実施の形態の負圧
式倍力装置1においては、空気路25の前方側端部25
aがプレート61にのみ気密的に当接する構成とされて
いることから、空間部63から空気路25への、或いは
空気路25から空間部63への大気の流入がスムーズに
行われる。
【0111】更に、負圧式倍力装置1の組付けに際し
て、インレット2c、空間部63の形成部分(プレート
61、シール62)、チューブ66、電磁弁装置26を
備えたフロントシェル2aと、パワーピストン7、弁機
構40、入力ロッド8、リアクションディスク10、出
力ロッド11、補助変圧室23の形成部分(補助可動壁
19、隔離部材21、リテーナ27)を備えるリアシェ
ル2bとにユニット化し、フロントシェル2aユニット
とリアシェル2bユニットとの間にリタンスプリング2
4と空気路25とを設置してフロントシェル2aユニッ
トとリアシェル2bユニットとを組付けることで容易に
負圧式倍力装置1が組付けられる。
【0112】更に、空気路25の前端部25aがプレー
ト61にのみ気密的に当接されていることから、例え
ば、負圧式倍力装置1が、膨出部2abが筒状を呈する
とともにこの筒状部を介して定圧室4aa内にまで不図
示のマスタシリンダの後端部分が配設されるように構成
される場合でも、空気路25とプレート61とは安定し
て当接される。
【0113】更に、電磁弁装置26がハウジング2に一
体的に当接されていることから、負圧式倍力装置1の小
型化及び部品点数の削減を可能としている。
【0114】従って、空間部63から補助変圧室23へ
の大気の流入をスムーズに行う負圧式倍力装置1を提供
することを可能としている。
【0115】更には、負圧式倍力装置1の組付けの簡素
化及び作業能率の向上を可能としている。
【0116】本実施の形態においては、補助変圧室23
は、出力ロッド11、補助可動壁19、シール部材2
2、隔離壁21とで囲まれて形成されているが、特にこ
の構成に限定されるものではなく、例えば、第2可動壁
と第2可動壁に気密的に係合する隔離部材としてのダイ
ヤフラムとで囲まれて形成される補助変圧室を有する本
発明の負圧式倍力装置、或は、第2可動壁の後方で隔離
部材としてのダイヤフラムのみで囲まれて形成される補
助変圧室を有する本発明の負圧式倍力装置においても同
様の作用効果が得られる。
【0117】又、本実施の形態においては、電磁弁装置
26は定圧室4aaを介して負圧源に連通されている
が、特にこの構成に限定されるものではなく、例えば、
電磁弁装置が直接的に負圧源に連通される本発明の負圧
式倍力装置においても同様の作用効果が得られる。
【0118】又、本実施の形態においては、タンデム式
の負圧倍力装置を構成しているが、特にこの構成に限定
されるものではなく、例えば、シングル型の負圧式倍力
装置に本発明を適用したものにおいても、同様の作用効
果が得られる。
【0119】又、本実施の形態においては、隔離壁21
とシール部材22とが別体で構成されているが、特にこ
の構成に限定されるものではなく、例えば、隔離部材と
シール部材とが可撓性部材により一体的に形成された本
発明の負圧式倍力装置においても同様の作用効果が得ら
れる。
【0120】又、本実施の形態においては、空気路25
はリタンスプリング28によってその両端部25a、2
5bが付勢されているが、特にこの構成に限定されるも
のではなく、例えば、自身が付勢力を有する導入路を用
いた本発明の負圧式倍力装置においても同様の作用効果
が得られる。
【0121】又、本実施の形態においては、フロントシ
ェル2aとリアシェル2bとの組付けの際にリアクショ
ンディスク10、出力ロッド11、補助変圧室23の形
成部分がリアシェル2bに配設されているが、特にこの
構成に限定されるものではなく、例えば、フロントシェ
ル2aにリアクションディスク10、出力ロッド11、
補助変圧室23の形成部分が配設される本発明の負合式
倍力装置においても同様の作用効果が得られる。
【0122】又、本実施の形態においては、切換手段と
して電磁弁装置26が用いられているが、特にこの構成
に限定されるものではなく、例えば、機械式弁装置が用
いられた本発明の負圧式倍力装置においても同様の作用
効果が得られる。
【0123】又、本実施の形態においては、出力ロッド
11が第1部材111と第2部材112とに分割可能と
されているが、特にこの構成に限定するものではなく、
例えば、一体化された出力ロッドを用いる本発明の負圧
式倍力装置においても同様の作用効果が得られる。
【0124】(実施の形態2)図6は本発明の一実施の
形態の負圧式倍力装置の空気路25近傍の断面図であ
る。実施の形態1と同様の部材には同符号が付してあ
る。空気路25の構成以外は実施の形態1と同様である
ので詳細な説明は省略する。
【0125】図6に示すように、ハウジング2はフロン
トシェル2aの前方内面側中央部分に定圧室4aaに向
けて膨出する有底筒状の膨出部2abを有している。更
に、ハウジング2には、膨出部2abの筒状部2acの
周りでハウジング2に当接する略有底筒状を呈する補強
板90が配設されている。
【0126】定圧室4aa内には膨出部2abに対向す
るプレート61が配設されている。膨出部2abの筒状
部2ac(第1筒状部)の前方外周部とプレート61の
筒状部61cの前方内周部との間にはシール部材62が
配設されており、膨出部2abの筒状部2acの外周部
とプレート61の筒状部61cの内周部との間と、膨出
部2abの底部2adの後面とプレート61の底部61
dの前面との間に定圧室4aaと気密的に分離された空
間部63が形成されている。
【0127】補助可動壁19とプレート61の底部61
dとの間には、補助変圧室23と空間部63とを連通す
る導入路としての空気路25が配設されている。空気路
25は弾性材からなるとともに蛇腹状を呈し、可撓性を
備え前後方向(図6中左右方向)に伸縮自在とされてい
る。空気路25の前方側端部25aの外周部には環状溝
25aaが形成されており、環状溝25aaにはプレー
ト61の底部61dに形成された開口61aの周縁部分
61aaが気密的に係合されている。空気路25の後方
側端部25bの前面には環状プレート65が配設されて
おり、プレート61の底部61dと環状プレート65と
の間にはリタンスプリング80が配設されている。
【0128】空気路25の後方側端部25bは後方側
(図6中右方)に向かって先細るテーパ状を呈してお
り、補助可動壁19の後方側端部25bが当接する内周
部分19bは後方側端部25bに対応した凹部状を呈す
るとともに、その凹部の周縁部分には前方に向けて突出
する突出部19cを有している。
【0129】リタンスプリング80は、空気路25の後
方側端部25bを補助可動壁19の内周部分19bに向
けて付勢している。従って、空気路25の後方側端部2
5bは補助可動壁19の前面の内周部分19bに気密的
に当接している。更に、突出部19cにより後方側端部
25bの内周部分19bからの位置ずれを抑制してい
る。
【0130】プレート61は筒状部61cの前方側外周
部分に外方フランジ部61eを備えており、フランジ部
61eとリテーナ27との間にリタンスプリング24が
配設されている。リタンスプリング24は、その付勢力
でもってフランジ部61eを、ひいてはプレート61を
ハウジング2の前方に向けて付勢することにより、プレ
ート61のフランジ部61eの前面外周部を補強板90
の外筒部後端部に、ひいてはハウジング2に当接させて
いる。
【0131】負圧式倍力装置1のフロントシェル2aと
リアシェル2bとの組付けにおいて、先ずフロントシェ
ル2aには、インレット2c、空間部63の形成部分
(プレート61、シール62)、チューブ66、電磁弁
装置26、プレート65及びリタンスプリング28を備
えた空気路25が配設され、リアシェル2bには、パワ
ーピストン7、弁機構40、入力ロッド8、リアクショ
ンディスク10、出力ロッド11、補助変圧室23の形
成部分(補助可動壁19、隔離部材21、リテーナ2
7)が配設される。
【0132】次いで、リタンスプリング24がリテーナ
27上に設置される。各部材がフロントシェル2aとリ
アシェル2bとにそれぞれ設置された後、フロントシェ
ル2aとリアシェル2bとが組付けられる。フロントシ
ェル2aとリアシェル2bとが組付けられることによ
り、出力ロッド11が空気路25、フロントシェル2a
の穴2aを通ってハウジング2外に突出し、空気路25
の後端部25bが補助可動壁19の凹部19bに当接さ
れて空気路25がプレート61と補助可動壁19との間
に介在され、リタンスプリング24がフランジ部61c
とリテーナ27との間に介在される。
【0133】従って、負圧式倍力装置1の組付けに際し
て、インレット2c、空間部63の形成部分(プレート
61、シール62)、チューブ66、電磁弁装置26、
プレート65及びリタンスプリング28を備えた空気路
25とを備えるフロントシェル2aと、パワーピストン
7、弁機構40、入力ロッド8、リアクションディスク
10、出力ロッド11、補助変圧室23の形成部分(補
助可動壁19、隔離部材21、リテーナ27)を備える
リアシェル2bとにユニット化され、フロントシェル2
aユニットとリアシェル2bユニットとの間にリタンス
プリング24を設置してフロントシェル2aユニットと
リアシェル2bユニットとを組付けることで容易に負圧
式倍力装置1が組付けられる。
【0134】更に、空気路25の前端部25aがプレー
ト61にのみ気密的に係合されていることから、例え
ば、負圧式倍力装置1が、膨出部2abが筒状を呈する
とともにこの筒状部を介して定圧室4aa内にまで不図
示のマスタシリンダの後端部分が配設されるように構成
される場合でも、空気路25とプレート61とは安定し
て係合される。
【0135】その他の作用効果は実施の形態1と同様で
あるので説明は省略する。
【0136】(実施の形態3)図7は、本発明の一実施
の形態の負圧式倍力装置のプレート61部分の拡大断面
図である。実施の形態1及び実施の形態2と同様の部材
には同符号が付してある。プレート61の構成と、空間
部63と電磁弁装置26とのチューブ66による接続構
成以外は実施の形態1及び実施の形態2と同様であるの
で詳細な説明は省略する。
【0137】図7に示すように、ハウジングはフロント
シェル2aの前方内面側中央部分に定圧室4aaに向け
て膨出する有底筒状の膨出部2abを有している。更
に、ハウジング2には、膨出部2abの筒状部2acの
周りでハウジング2に当接する略有底筒状を呈する補強
板90が配設されている。補強板90は、内筒部90a
と、外筒部90bと、内筒部90aの前方端部と外筒部
90bの前方端部とを接続する環状の底面部90cとか
ら形成されている。
【0138】定圧室4aa内には膨出部2abに対向す
るプレート61が配設されている。膨出部2abの筒状
部2ac(第1筒状部)の前方側外周部とプレート61
の段付き筒状部61cの前方側内周部との間には環状の
シール部材62が配設されており、膨出部2abの筒状
部2acの外周部2acとプレート61の筒状部61c
との間と、膨出部2abの底部2adの後面とプレート
61の底部61dの前面との間に定圧室4aaと気密的
に分離された空間部63が形成されている。
【0139】プレート61の筒状部61cの前端部と補
強板90の底部90cの後面とは所定の距離で離間され
て非当接とされている。シール部材62の前面には環状
プレートが配設されており、この環状プレートを介して
シール部材62の内周部が補強板90の内筒部90aの
後端部に当接されている。
【0140】シール部材62にはチューブ66の他端部
が嵌入されるとともに前後方向(図7中左右方向)に延
在する組付け穴62aが形成されている。チューブ66
は、補強板90の外筒部90bに形成された外筒部90
bの軸方向垂直方向(図7中上下方向)に延在する連通
孔90baを貫通して軸方向垂直方向に延在されてお
り、チューブ66の一端部はフロントシェル2aの前方
部に一体的且つ気密的に組付けられる電磁弁装置26の
変圧ポートに連通され、他端部はシール部材62と補強
板90の底部90cとの間の空間部分を通ってシール部
材62の組付け穴62aに前方側から挿入されて空間部
63に連通される。
【0141】従って、電磁弁装置26と空気路25の内
部とはチューブ66、空間部63、開口61aとを介し
て連通している。
【0142】リタンスプリング80は、その前端部がプ
レート61の筒状部61cの外周側段差部に当接してプ
レート61を前方に付勢し、プレート61の内周側段差
部に係合しているシール部材62を介して補強板90の
内筒部90aの後端部、ひいてはフロントシェル2aに
当接させている。
【0143】以上説明してきたように、本実施の形態の
負圧式倍力装置によれば、空間部63が、膨出部2ab
の筒状部2acの外周部2acとプレート61の筒状部
61cとの間と、膨出部2abの底部2adの後面とプ
レート61の底部61dの前面との間で形成されている
ことから、定圧室4aa内にプレート61と膨出部2a
bとで形成される空間部63を小さく形成することがで
きる。従って、定圧室4aaの空間を有効に利用するこ
とができる。
【0144】更に、チューブ66の他端部が膨出部2a
bとプレート61との気密保持用のシール部材62の組
付け穴62aに嵌入されることによりチューブ66と空
間部63とが気密的に連通されていることから、チュー
ブ66と空間部63との連通に伴う気密保持部材をシー
ル部材62の他に必要とすることがない。従って、部品
点数の増加を抑制すると共に組付け作業性の向上を図る
ことが可能となる。
【0145】その他の作用効果は実施の形態1及び実施
の形態2と同様であるので説明は省略する。
【0146】(実施の形態4)図8は、本発明の一実施
の形態の負圧式倍力装置の断面図であり、図9は図8の
出力ロッド近辺部分の拡大断面図である。実施の形態1
と同様の部材には同符号が付してある。図8、図9に示
すように、負圧式倍力装置1のハウジング2は、前方側
(図8中左方側)部分のフロントシェル2aと後方側
(図8中右方側)部分のリアシェル2bとから成り、ハ
ウジング2内でその外周部を気密的に固定され、前後方
向(図8中左右方向)に移動可能とされるとともに、ハ
ウジング2内の圧力室をその前方に位置する定圧室4と
その後方に位置する変圧室5とに気密的に分割する可動
壁3を備えている。定圧室4はインレット2cを介して
負圧源である図示しない車両のエンジンのインテークマ
ニホールドと連通し、常に負圧を発生している。
【0147】ハウジング2には、その後方より樹脂材料
製のバルブハウジング6が挿入され、バルブハウジング
6には可動壁3がその内周端において気密的に固定され
ている。可動壁3とバルブハウジング6とはハウジング
2内を前後方向に移動するパワーピストン7を形成して
いる。
【0148】バルブハウジング6の内部には、図示しな
い車両のブレーキ操作部材である、例えばブレーキペダ
ルに図8においてその後端にて連結された入力ロッド8
が挿入されている。入力ロッド8は後述する入力部材9
に一体的に移動可能なように連結されている。
【0149】入力部材9は入力ロッド8からの入力をリ
アクションディスク10に伝達する役割を果たす。リア
クションディスク10と当接した出力ロッド11は、リ
アクションディスク10を介して入力を受けて移動する
ことによってマスタシリンダのピストン(図示省略)を
作動させる。
【0150】入力ロッド8には戻しスプリング12を受
ける第1リテーナ13が固定されている。バルブハウジ
ング6にはコントロールバルブ14の後端部14bを支
持する第2リテーナ15が第1リテーナ13、戻しスプ
リング12を介して入力ロッド8から弾撥力を受けなが
ら固定されている。コントロールバルブ14は図8中で
後端部14bの内周において第2リテーナ15に係合し
ており、外周においてはバルブハウジング6との間でシ
ール機能を発生している。コントロールバルブ14の前
端部であるシール部14aを支持するリテーナと第1リ
テーナ13との間にはバルブスプリング16が介装され
ている。
【0151】上記構成を採ることによって、コントロー
ルバルブ14のシール部14aのエアバルブ部14aa
は入力ロッド8の非作動状態において、入力部材9の後
端に形成されたエアバルブ弁座9aと係合している。
又、入力ロッド8の作動状態においては、シール部14
aのバキュームバルブ部14abがバルブハウジング6
に設けたバキュームバルブ弁座6aと係合可能となって
いる。即ち、エアバルブ部14aaとエアバルブ弁座9
aとは大気弁を構成し、バキュームバルブ部14abと
バキューム弁座6aとは負圧弁を構成しており、コント
ロールバルブ14、入力部材9のエアバルブ弁座9a、
バルブハウジング6のバキュームバルブ弁座9aとは弁
機構40を構成している。
【0152】バルブハウジング6に設置されたキー溝6
bにはキー17が挿入され、非作動状態でダンパ部材1
8を介してハウジング2に当接している。更に、バルブ
ハウジング6には、定圧室4と負圧弁とを連通するため
のバキュームパス6cと、変圧室5と大気弁とを連通す
るためのエアパス6dとが形成されている。
【0153】バキュームパス6cは、定圧室4に開口す
る一端開口部がバルブハウジング6の前方端部に形成さ
れるとともにその他端開口が負圧弁に連通されており、
エアパス6dの定圧室5に開口する一端開口部がバルブ
ハウジング6の側面部に形成されるとともにその他端開
口が大気弁に連通されている。加えて、バルブハウジン
グ6の側面部分には、バキュームパス6cと変圧室5と
を連通する孔6eが形成されており、バルブハウジング
6の外周部にはバキューム通路6cから変圧室5への連
通のみを許容する一方向弁70が孔6eに対向して配設
されている。一方向弁70は弾性材から形成されてい
る。
【0154】出力ロッド11は、軸部11aと、リアク
ションディスク10を収容するとともにバルブハウジン
グ6の前端部に嵌合される有底筒状部11bと、有底筒
状部11bの底部から前方に突出する環状突出部11b
aと、環状突出部11baの外周に形成された当接部と
しての外方フランジ部11bbとを有している。環状突
出部11baの内周部には環状溝11bcが形成されて
おり、外方フランジ部11bbの外周部に形成された環
状溝にはシールリング11bdが配設されている。
【0155】出力ロッド11は、有底筒状部11bがリ
アクションディスク10を介してバルブハウジング6の
前方部中央部分に嵌合され、フランジ部11bbがバル
ブハウジング6の前方部分内周にシールリング11bd
を介して気密的に嵌合されることにより、バルブハウジ
ング6に対して前後方向に摺動可能に組付けられてい
る。出力ロッド11のフランジ部11bdがバルブハウ
ジング6に組付けられることにより、バキュームパス6
cの一端開口部がフランジ部11bd、即ち、出力ロッ
ド11により遮蔽されることになる。
【0156】ハウジング2はフロントシェル2aの前方
内面側中央部分に定圧室4aaに向けて膨出する有底筒
状の膨出部2abを有している。更に、ハウジング2に
は、膨出部2abの筒状部2acの周りでハウジング2
に当接する略有底筒状を呈する補強板90が配設されて
いる。
【0157】定圧室4aa内には膨出部2abに対向す
るプレート61が配設されている。膨出部2abの筒状
部2ac(第1筒状部)の外周部とプレート61の筒状
部61cの前方内周部との間にはシール部材62が配設
されており、膨出部2abの筒状部2acの外周部とプ
レート61の筒状部61cの内周部との間と、膨出部2
abの底部2adの後面とプレート61の底部61dの
前面との間に定圧室4aaと気密的に分離された空間部
63が形成されている。
【0158】出力ロッド11の環状突出部11baとプ
レート61の底部61dとの間には、バキューム通路6
cと空間部63とを連通する導入路としての空気路25
が配設されている。空気路25は弾性材からなるととも
に蛇腹状を呈し、可撓性を備え前後方向(図9中左右方
向)に伸縮自在とされている。
【0159】空気路25の前方側端部25aの外周部に
は環状溝25aaが形成されており、環状溝25aaに
はプレート61の底部61dに形成された開口61aの
周縁部分61aaが気密的に係合されている。空気路2
5の後方側端部25bは出力ロッド11の環状突出部1
1baに形成された環状溝11bcに気密的に係合され
ている。
【0160】空気路25の内部と空間部63とはプレー
ト61の開口61aを介して連通しており、出力ロッド
11にはバキューム通路6cと空気路25の内部とを連
通する連通路11beが形成されている。従って、バキ
ューム通路6cと空間部63とは、連通路11be、空
気路25の内部、及び開口61aを介して連通してい
る。
【0161】出力ロッド11の軸部11aは、フロント
シェル2aの膨出部2abの底部2acに形成された穴
2aa、プレート61の開口61a、空気路25の内部
を通ってハウジング2外に突出している。即ち、出力ロ
ッド11は、空気路25内に配設されるとともに、空間
部63と空気路25とを貫通しているものである。出力
ロッド11の軸部11aはシール部材68を介してフロ
ントシェル2aを気密的に貫通している。
【0162】ハウジング2のフロントシェル2aの前方
側には、電磁弁装置26が気密的に配設されている。電
磁弁装置26とプレート61とはチューブ66により接
続されている。チューブ66の一端部は電磁弁装置26
の変圧ポートに接続され、他端部はプレート61に形成
された連通穴61bに気密的に取り付けられている。従
って、電磁弁装置26の変圧ポートと空間部63とは、
チューブ66を介して連通されている。
【0163】プレート61の筒状部61cの前方外周部
分にはフランジ部61eが配設されており、このフラン
ジ部61eと可動壁3との間には、リタンスプリング2
4が配設されている。リタンスプリング24は、その付
勢力でもってフランジ部61eをハウジング2の前方に
向けて付勢することにより、プレート61の筒状部61
cの前方部分をシール部材62及び補強板90を介して
ハウジング2に気密的に当接させている。更に、リタン
スプリング24は、可動壁3を後方に付勢し、ひいては
パワーピストン7を後方に付勢している。
【0164】電磁弁装置26は、実施の形態の電磁弁装
置と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0165】負圧式倍力装置1のフロントシェル2aと
リアシェル2bとの組付けにおいて、先ずフロントシェ
ル2aには、インレット2c、空間部63の形成部分
(プレート61、シール62)、チューブ66、電磁弁
装置26、空気路25及びリアクションディスク10を
備えた出力ロッド11とが配設され、リアシェル2bに
は、パワーピストン7、弁機構40、入力ロッド8とが
配設される。
【0166】次いで、リタンスプリング24がプレート
61のフランジ部61c上に設置される。各部材がフロ
ントシェル2aとリアシェル2bとにそれぞれ設置され
た後、フロントシェル2aとリアシェル2bとが組付け
られる。フロントシェル2aとリアシェル2bとが組付
けられることにより、出力ロッド11がバルブハウジン
グ6の前方側部分に組付けられ、リタンスプリング24
がフランジ部61cと可動壁3との間に介在される。
【0167】次いで負圧式倍力装置1の作動について説
明する。図10は、縦軸は出力を表し、横軸は入力を表
した負圧式倍力装置1の特性線図である。又、電磁弁装
置26に関しては図4を用いて説明する。図4及び図8
〜図10に示すように、運転者が図示しない車両のブレ
ーキ操作部材を操作していない初期状態においては、コ
ントロールバルブ14のシール部14aのエアバルブ部
14aaは入力部材9のエアバルブ弁座9aと係合状
態、又、シール部14aのバキュームバルブ部14ab
はバルブハウジング6のバキュームバルブ弁座6aとは
非係合状態にあるため、変圧室5は、エアパス6d、バ
キュームバルブ部14abとバキュームバルブ弁座6a
との隙間、バキュームパス6c、連通路11be、空気
路25の内部、空間部63、チューブ66、電磁弁26
の変圧ポート26c、バルブ26fと定圧弁座26dと
の間、定圧ポート26a、定圧室4、及びインレット2
aを介して負圧源である図示しない車両のエンジンのイ
ンテークマニホールドと連通している。
【0168】運転者により、車両のブレーキ操作部材で
ある、例えばブレーキペダルが操作されると、これと連
結した入力ロッド8が入力を受けて前方に移動する。従
って、入力ロッド8に固定された入力部材9も入力ロッ
ド8と一体となっ前方に移動する。
【0169】入力部材9の移動によって、コントロール
バルブ14ひいてはシール部14aもバルブスプリング
16の付勢力によって入力部材9と共に前方に移動し、
やがてシール部14aのバキュームバルブ部14abが
バルブハウジング6のバキュームバルブ弁座6aに当接
して変圧室5が定圧室4と遮断されるため、変圧室5は
車両の負圧源との連通も断たれる。
【0170】更に入力部材9が前方に移動すると、シー
ル部14aのエアバルブ部14aaと入力部材9のエア
バルブ弁座9aとの係合が解消されて、変圧室5がエア
パス6d、及びエアバルブ部14aaとエアバルブ弁座
9aとの隙間を介して大気と連通する。従って、変圧室
5への大気の流入によって、定圧室4と変圧室5との間
に気圧差が発生するため、この気圧差による荷重を受け
た可動壁3とこれに連結されたバルブハウジング6、即
ち、パワーピストン7がハウジング2内を前進し、リア
クションディスク10を介して出力ロッド11を前方に
押圧する。即ち、パワーピストン7は出力ロッド11に
増幅された入力を出力することになる。出力ロッド11
にパワーピストン7の推進力が出力され、出力ロッド1
1が前方に移動されると車両のホイールに制動力が付与
される。
【0171】これ以降は、リアクションディスク10か
ら、入力部材9を介して入力ロッド8が受ける反力によ
って、シール部14aのエアバルブ部14aaと入力部
材9のエアバルブ弁座9aが、シール部14aのバキュ
ームバルブ部14abとバルブハウジング6のバキュー
ムバルブ弁座6aとが選択的に係合して、入力ロッド8
に加えられた運転者の入力に応じて負圧式倍力装置1の
助勢力が制御される。パワーピストン7の推進力、即
ち、出力ロッド11の出力に伴う反力と、ブレーキペダ
ルを操作することによって発生し、入力部材8に伝達さ
れた入力はリアクションディスク10に加えられバラン
スする。
【0172】変圧室5への大気の流入によって変圧室5
内が大気圧に達すると、パワーピストン7はもはや前進
せず、これ以降の負圧式倍力装置1の出力は、入力ロッ
ド8及び入力部材9がリアクションディスク10を介し
て出力ロッド11を前方に押圧することによってなされ
る。即ち、入力と出力とが等しくなる。
【0173】この通常作動の状態において入力ロッド8
に働くブレーキ操作力と、出力ロッド11に働くブレー
キ出力との関係は図10において線図Aにて示される。
【0174】例えば、車両前方に障害物が現れ、図示し
ない車両のコントローラが例えば、CCDカメラによる
画像の処理、又は、測距センサによって車両前方に障害
物が存在することが検出された時に緊急ブレーキが必要
であることを判断する方法によって緊急ブレーキの必要
性を判断したとき、運転者のブレーキ操作とは別に電源
からソレノイド26kに対して電力を供給し、負圧式倍
力装置1の通常出力以上の出力を発揮させる自動作動も
開始される。
【0175】電力の供給を受けたソレノイド26kは電
磁力を発生させて、可動コア26iをスプリング26
l、26nの付勢力に抗して後方に移動させる。
【0176】可動コア26iの移動によって変圧室5に
大気が導入される為、可動壁3の前後において気圧差が
発生し、可動壁3が前方に移動される。可動壁3が移動
することにより、出力ロッド11が空気路25aを縮め
ながら前方に移動される。
【0177】出力ロッド11に定圧室4と変圧室5との
差圧による荷重が付与されて出力ロッド11が前方に移
動されると、マスタシリンダのピストンが押圧されて、
負圧式倍力装置1によって加圧されたブレーキ液がマス
タシリンダから各車輪のホイールシリンダに向けて付与
される。
【0178】この時の負圧式倍力装置1における入力ロ
ッド8に働く入力と、出力ロッド11に働く出力との関
係は図10において点P0 にて示される。即ち、負圧式
倍力装置1は、入力0の状態で出力P0 を出力すること
になる。
【0179】尚、入力f1 での入力ロッド8への操作に
より負圧式倍力装置1が出力P1 を出力するとともに、
出力ロッド11からの反力と入力ロッド8及びパワーピ
ストン7からの入力がバランスした状態では、バキュー
ムバルブ弁座6a及びエアバルブ弁座9aとがシール部
14aに係合した状態となり、バキュームパス6cとエ
アパス6dとは遮断されている。この状態で電磁弁装置
26が作動された場合、空気路25からバキュームパス
6cに流入した大気は、バルブハウジング6に形成され
た孔6eから一方向弁70を変圧室5側に押し開いて変
圧室5へと流入する。
【0180】変圧室5に大気が導入されるため、可動壁
3の前後において気圧差が発生し、可動壁3が前方に移
動される。可動壁3が移動することによって、出力ロッ
ド11が空気路25aを縮めながら前方に移動される。
【0181】出力ロッド11に定圧室4と変圧室5との
差圧による荷重が付与されて出力ロッド11が前方に移
動されると、マスタシリンダのピストンが押圧されて、
負圧式倍力装置1によって加圧されたブレーキ液がマス
タシリンダから各車輪のホイールシリンダに向けて付与
される。
【0182】この時の負圧式倍力装置1における入力ロ
ッド8に働く入力と、出力ロッド11に働く出力との関
係は図10において線図Bにて示される。即ち、負圧式
倍力装置1は、入力f1 の状態で出力P2 を出力するこ
とになる。
【0183】運転者によってブレーキ操作が解除される
と、弁機構40の作動により変圧室5と大気との連通が
遮断されると共に変圧室5が定圧室3と連通され、変圧
室5と定圧室3との間の気圧差が減少される。
【0184】更に、緊急ブレーキの必要がなくなったこ
とをコントローラが検知すると、電源からソレノイド2
6kへの電力の供給を停止するため、ソレノイド26k
はもはや可動コア26iへの電磁力を発生せず、可動コ
ア26iはロッド部26jを介したスプリング26lの
付勢力によって前方に戻される。加えて、弁体部26g
がスプリング26nの付勢力によって前方に付勢され、
バルブ26fが定圧弁座26dから離間されるとともに
大気弁座26eに当接されることになる。
【0185】可動コア26iと弁体部26gの前方への
移動によって空間部63、空気路25の内部、バキュー
ムパス6cは大気と遮断されて再び定圧室4と連通し、
弁機構40及び電磁弁装置26の作動により、パワーピ
ストン7はリタンスプリング24により後方に押し戻さ
れる。即ち、負圧式倍力装置1の自動作動が終了され
る。
【0186】以上説明したように、負圧式倍力装置1の
組付けに際して、インレット2c、空間部63の形成部
分(プレート61、シール62)、チューブ66、電磁
弁装置26、空気路25及びリアクションディスク10
を備えた出力ロッド11とを備えるフロントシェル2a
と、パワーピストン7、弁機構40、入力ロッド8、リ
アクションディスク10、出力ロッド11を備えるリア
シェル2bとにユニット化され、フロントシェル2aユ
ニットとリアシェル2bユニットとの間にリタンスプリ
ング24を設置してフロントシェル2aユニットとリア
シェル2bユニットとを組付けることで容易に負圧式倍
力装置1が組付けられる。
【0187】その他の作用効果は実施の形態1と同様で
あるので説明は省略する。
【0188】本実施の形態においては、シングル式の負
圧式倍力装置を構成しているが、特にこの構成に限定さ
れるものではなく、例えば、タンデム型の負圧式倍力装
置に本発明を適用したものにおいても、同様の作用効果
が得られる。
【0189】又、本実施の形態においては、弾性部材か
ら成る一方向弁70を用いているが、特にこの構成に限
定するものではなく、例えば、電気的に作動される弁装
置を用いた本発明の負圧式倍力装置においても同様の作
用効果が得られる。
【0190】以上、本発明を上記実施の態様に則して説
明したが、本発明は上記態様にのみ限定されるものでは
なく、本発明の原理に準ずる各種態様を含むものであ
る。
【0191】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、導入路の一端
部がプレートにのみ係合されることから、空間部から導
入路へ或いは導入路から空間部への大気の流入がスムー
ズに行われることになる。
【0192】従って、空間部から変圧室への大気の流入
をスムーズに行う負圧式倍力装置を提供することを可能
としている。
【0193】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加えて、負圧式倍力装置のよりよい形態を示し
ている。
【0194】請求項3の発明によれば、請求項2の発明
の効果に加えて、導入路と変圧室との連通のよりよい形
態を示している。
【0195】請求項4の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加えて、負圧式倍力装置のよりよい形態を示し
ている。
【0196】請求項5の発明によれば、請求項4の発明
の効果に加えて、導入路のよりよい形態を示している。
【0197】請求項6の発明によれば、請求項4又は請
求項5の発明の効果に加えて、変圧室のより良い形態を
示している。
【0198】請求項7の発明によれば、請求項1〜請求
項6の何れか一に記載の発明の効果に加えて、導入路と
プレートとのよりよい組付け形態を示している。
【0199】請求項8の発明によれば、請求項5又は請
求項6の発明の効果に加えて、導入路の他端部と第2可
動壁とのよりよい組付け形態を示している。
【0200】請求項9の発明によれば、請求項5又は請
求項6の発明の効果に加えて、導入路の両端部とプレー
ト及び第2可動壁とのよりよい組付け形態を示してい
る。
【0201】請求項10の発明によれば、請求項1〜請
求項9の何れか一に記載の発明の効果に加えて、定圧室
内において空間部を小さくすることができ、定圧室内の
空間の有効利用を可能としている。
【0202】請求項11の発明によれば、請求項10の
発明の効果に加えて、部品点数の抑制及び組付け性の向
上を可能としている。
【0203】請求項12の発明によれば、請求項1〜請
求項11の何れか一に記載の発明の効果に加えて、負圧
式倍力装置の小型化を可能としている。
【0204】請求項13の発明によれば、請求項3の発
明の効果に加えて、負圧式倍力装置の組付け性の向上を
図ることを可能としている。
【0205】請求項14の発明によれば、請求項8の発
明の効果に加えて、負圧式倍力装置の組付け性の向上を
図ることを可能としている。
【0206】請求項15の発明によれば、請求項9の発
明の効果に加えて、負圧式倍力装置の組付け性の向上を
図ることを可能としている。
【0207】請求項16の発明によれば、請求項13〜
15の何れか一に記載の発明の効果に加えて、更に負圧
式倍力装置の組付け性の向上を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の負圧式倍力装置1の断面図。
【図2】図1の弁機構40の近辺部分拡大図。
【図3】図2の出力ロッド11の近辺部分拡大図。
【図4】図1の電磁弁装置26の拡大図。
【図5】実施の形態1の負圧式倍力装置1の特性線図。
【図6】実施の形態2の負圧式倍力装置の出力ロッド1
1の近辺の拡大断面図。
【図7】実施の形態3の負圧式倍力装置のプレート61
の近辺の拡大断面図。
【図8】実施の形態4の負圧式倍力装置1の断面図。
【図9】図8の弁機構40の拡大図。
【図10】実施の形態4の負圧式倍力装置1の特性線
図。
【符号の説明】
1 負圧式倍力装置 2 ハウジング 2a フロントシェル 2b リアシェル 2ab 膨出部 2ac 筒状部 3 可動壁 3a、3b 第1可動壁 4、4aa 定圧室 4a 第1前室 4b 第2前室 5 変圧室 5a 第1後室 5b 第2後室 6 バルブハウジング 6a バキューム
バルブ弁座 6c 第1バキュームパス 9 入力部材 9a エアバルブ
弁座 11 出力ロッド 11bb フランジ部 11be 連通
路 14 コントロールバルブ 14aa エアバルブ部 14ab バキ
ュームバルブ部 19 補助可動壁(第2可動壁) 21 隔離壁 23 補助変圧室 25 空気路 25a 一端部 25b 他端部 25aa 環状溝 26 電磁弁装置 28 リタンスプリング 40 弁機構 61 プレート 61a 開口 61aa 開口
周縁部 61c 筒状部 62 シール部材 63 空間部 66 チューブ 70 一方向弁 80 リタンスプリング 90 補強板

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に少なくとも一つの圧力室を形成す
    るハウジングと、 前記ハウジング内に前進及び後退可能に設置され、前記
    圧力室をその前方側に位置するとともに負圧源に連通さ
    れる定圧室とその後方側に位置するとともに前記負圧源
    及び大気に選択的に連通される変圧室とに分割する可動
    壁と、 前記定圧室内に配設され、前記ハウジングとの間に前記
    定圧室と気密的に隔離された空間部を形成するプレート
    部材と、 前記定圧室内に配設されると共にその一端部が前記プレ
    ート部材にのみ当接され、前記空間部と前記変圧室とを
    連通する導入路と、 前記空間部と前記導入路とを介して前記変圧室を前記負
    圧源或いは大気とに選択的に連通させる切換手段と、 前記可動壁の移動による推進力を装置外に出力する出力
    部材と、 を備えた負圧式倍力装置。
  2. 【請求項2】 前記可動壁に結合されたバルブハウジン
    グと、前記バルブハウジングの内部に前記バルブハウジ
    ングに対して移動可能に設置され、ブレーキ操作によっ
    て移動可能な入力部材と、前記バルブハウジング内に配
    設され、前記入力部材の移動に応じて前記変圧室を前記
    定圧室に連通する負圧弁及び前記入力部材の移動に応じ
    て前記変圧室を大気に連通する大気弁を備えた弁機構と
    を備えた請求項1の負圧式倍力装置。
  3. 【請求項3】 前記バルブハウジング内に配設され、そ
    の一端開口が前記バルブハウジングの前方端部で開口す
    るとともにその他端開口が前記負圧弁に連通する負圧通
    路と、前記バルブハウジングに配設され、前記弁機構に
    より前記定圧室と前記変圧室との連通及び前記変圧室と
    大気との連通が遮断された状態で前記切換手段により前
    記空間部が大気に連通された際に前記負圧通路から前記
    変圧室への一方向の連通を許容する一方向弁とを備え、
    前記出力部材は前記導入路内に配設され、前記バルブハ
    ウジングの前方端部に当接すると共に前記負圧通路の前
    記一端開口を遮蔽する当接部を備え、前記導入路の前記
    一端部は前記プレート部材に係合されるとともに他端部
    は前記当接部に係合され、前記当接部に配設されるとと
    もに前記負圧通路と前記導入路とを連通する連通路とを
    備える請求項2の負圧式倍力装置。
  4. 【請求項4】 前記可動壁は、前記圧力室をその前方側
    の前室とその後方側で前記負圧源及び大気に選択的に連
    通される後室とに分割する第1可動壁と、前記前室内に
    前進及び後退可能に設置されるとともに前記前室をその
    前方側に位置する前記定圧室とその後方側に位置する前
    記変圧室とに分割する第2可動壁とを有し、前記第1可
    動壁に結合されたバルブハウジングと、前記バルブハウ
    ジングの内部に前記バルブハウジングに対して前進及び
    後退可能に設置され、ブレーキ操作によって移動可能な
    入力部材と、前記バルブハウジング内に配設され、前記
    入力部材の移動に応じて前記後室を前記負圧源に連通す
    る負圧弁及び前記入力部材の移動に応じて前記後室を大
    気に連通する大気弁とを備えた弁機構とを備えた請求項
    1の負圧式倍力装置。
  5. 【請求項5】 前記出力部材は前記導入路内に配設さ
    れ、前記導入路の他端部は前記第2可動壁に当接する請
    求項4の負圧式倍力装置。
  6. 【請求項6】 前記定圧室内に配設され、前記第2可動
    壁との間に前記定圧室から気密的に分離された前記変圧
    室を形成する隔離部材を有する請求項4又は請求項5の
    負圧式倍力装置。
  7. 【請求項7】 前記プレートは前記導入路の前記一端部
    が組付けられる開口を有し、前記導入路の前記一端部は
    その外周に前記プレートの前記開口の周縁部分が係合す
    る環状溝を有している請求項1〜6の何れか一に記載の
    負圧式倍力装置。
  8. 【請求項8】 前記導入路の前記一端部は前記プレート
    部材に係合され、前記導入路の前記他端部と前記プレー
    トとの間に、前記他端部を前記第2可動壁に向けて付勢
    して前記他端部を前記第2可動壁に当接させる付勢部材
    を備えた請求項5又は請求項6の負圧式倍力装置。
  9. 【請求項9】 前記導入路の前記一端部と前記他端部と
    の間に配設され、前記一端部を前記プレートに向けて付
    勢して前記プレートに当接させるとともに前記他端部を
    前記第2可動壁に向けて付勢して前記他端部を前記第2
    可動壁に当接させる付勢部材を具備した請求項5又は請
    求項6の負圧式倍力装置。
  10. 【請求項10】 前記ハウジングはその前方部分に前記
    定圧室に向けて膨出する第1筒状部を有し、前記プレー
    ト部材は前後方向に延在する第2筒状部を有し、前記第
    筒状部の外周部と前記第2筒状部の内周部との間に配設
    されるシール部材とを備えた請求項1〜請求項9の何れ
    か一に記載の負圧式倍力装置。
  11. 【請求項11】 前記切換手段と前記空間部とを連通す
    る導入管を有し、前前記導入管は前記シール部材を介し
    て前記空間部に気密的に連通される請求項10の負圧式
    倍力装置。
  12. 【請求項12】 前記切換手段は前記ハウジングに一体
    的に配設される請求項1〜請求項11の何れか一に記載
    の負圧式倍力装置。
  13. 【請求項13】 前記ハウジングはその前方側のフロン
    トシェルとその後方側のリアシェルとを有しており、前
    記フロントシェルと前記リアシェルとの組付けに際し、
    前記フロントシェルは少なくとも前記出力部材と前記プ
    レート部材と前記導入路とを一体的に有し、前記リアシ
    ェルは少なくとも前記可動壁と前記バルブハウジングと
    を一体的に有している請求項3の負圧式倍力装置。
  14. 【請求項14】 前記ハウジングはその前方側のフロン
    トシェルとその後方側のリアシェルとを有しており、前
    記フロントシェルと前記リアシェルとの組付けに際し、
    前記フロントシェルは少なくとも前記プレート部材と前
    記導入路とを一体的に有し、前記リアシェルは少なくと
    も前記第1可動壁と前記バルブハウジングとを一体的に
    有している請求項8の負圧式倍力装置。
  15. 【請求項15】 前記ハウジングはその前方側のフロン
    トシェルとその後方側のリアシェルとを有しており、前
    記フロントシェルと前記リアシェルとの組付けに際し、
    前記フロントシェルは少なくとも前記プレート部材を一
    体的に有し、前記リアシェルは少なくとも前記第1可動
    壁と前記バルブハウジングとを一体的に有している請求
    項9の負圧式倍力装置。
  16. 【請求項16】 前記フロントシェルは前記切換手段を
    一体的に有している請求項13〜15の何れか一に記載
    の負圧式倍力装置。
  17. 【請求項17】 前記切換手段は電磁弁装置である請求
    項1〜16の何れか一に記載の負圧式倍力装置。
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