JPH11165247A - 面取方法および装置 - Google Patents

面取方法および装置

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JPH11165247A
JPH11165247A JP33423397A JP33423397A JPH11165247A JP H11165247 A JPH11165247 A JP H11165247A JP 33423397 A JP33423397 A JP 33423397A JP 33423397 A JP33423397 A JP 33423397A JP H11165247 A JPH11165247 A JP H11165247A
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grinding
edge
plate
article
grinding wheel
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Shigeru Kirino
茂 桐野
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Crystal Optics Inc
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CRYSTAL KOGAKU KK
Crystal Optics Inc
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Constituent Portions Of Griding Lathes, Driving, Sensing And Control (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 正確な面取形状を能率的に作製することので
きる面取方法および装置を提供する。 【解決手段】 周面に凹状の研削溝12を有する研削砥
石10を周面方向に回転させながら、研削溝12を板状
物品Pの端縁fに押圧して、板状物品Pの端縁fを研削
する研削工程で、研削砥石10の研削溝12を板状物品
Pの端縁fに対して、互いに近接離間するY方向および
これと直交し研削砥石10の軸方向に沿うZ方向に相対
的に移動させて、端縁fに対する研削溝12の研削位置
を順次変えながら、板状物品Pの端縁fを所望の曲面状
に研削加工することで、板状物品Pの端縁fに曲面状の
面取加工を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、面取方法および装置に
関し、詳しくは、ガラス基板の端縁を丸めるなどの面取
加工を施す方法とその方法に用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置に用いられるガラス基板
は、端縁に鋭い角が存在しないように端縁を丸く曲面状
に加工する、いわゆる面取加工が施されている。この面
取加工には研削加工が採用される。面取加工に用いられ
る研削砥石として、所望の面取形状に対応する断面の凹
溝状をなす研削溝が、円柱状をなす研削砥石の外周面に
形成されたものがある。研削砥石をその周面方向に高速
回転させながら、研削溝をガラス基板の端縁に押し当て
ることで、ガラス基板の端縁が研削溝の形状に対応する
断面形状に面取加工されることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】面取形状と同じ断面形
状を有する研削溝をガラス基板の端縁に押し付ける従来
の面取方法では、ガラス基板の端縁に形成する面取形状
が設計変更される毎に、研削溝の形状も変更しなければ
らない。そのために、いちいち研削砥石を製造し直すの
は大変に不経済である。研削砥石をドレッシング加工し
て研削溝の形状を変更することも可能であるが、それで
も、研削溝の形状を変えるドレッシング加工の手間と時
間がかかる。
【0004】しかも、面取加工を繰り返すと、研削砥石
の研削溝が磨耗によってすり減り、研削溝の断面形状が
変わってしまうという問題がある。これは、例えば、ガ
ラス基板の断面矩形状をなす端縁に断面半円形の研削溝
で面取加工を行うと、端縁の尖った隅角部に当たる部分
の研削溝のみが堀り込まれるように磨耗してしまい、研
削溝の断面形状が半円形から矩形に近い形状へと歪んで
しまう。形状が歪んだ研削溝では、予め設定された正確
な形状の面取加工を行うことができない。形状が歪んだ
研削溝は、前記した同様のドレッシング加工で正確な形
状に整形し直す必要があり、当然、ドレッシング加工の
手間が増える。
【0005】本発明の課題は、前記した従来技術の問題
点を解消し、正確な面取形状を能率的に作製することの
できる面取方法および装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の面取方法は、板
状物品の端縁に曲面状の面取加工を施す方法である。周
面に凹状の研削溝を有する研削砥石を周面方向に回転さ
せながら、研削溝を板状物品の端縁に押圧して、板状物
品の端縁を研削する工程を含む。この研削工程で、研削
砥石の研削溝を板状物品の端縁に対して、互いに近接離
間するY方向およびこれと直交し研削砥石の軸方向に沿
うZ方向に相対的に移動させて、端縁に対する研削溝の
研削位置を順次変えながら、板状物品の端縁を所望の曲
面状に研削加工する。
【0007】本発明の面取装置は、板状物品の端縁に曲
面状の面取加工を施す装置であって、板状物品を保持す
る手段と、周面に凹状の研削溝を有し、周面方向に回転
自在な研削砥石と、研削砥石の研削溝と前記保持手段に
保持された板状物品の端縁とを、互い近接離間するY方
向およびこれと直交し研削砥石の軸方向に沿うZ方向に
相対的に移動させる移動手段とを備える。
【0008】各構成要件について具体的に説明する。 〔板状物品〕各種製品あるいは製品を構成する部品とな
る板状の物品であって、少なくとも一部の端縁に面取加
工が必要とされる物品であれば任意の物品に適用でき
る。板状物品の材料は、ガラス、金属、セラミック、合
成樹脂、その他の材料が用いられる。
【0009】板状物品の端縁で構成される平面外形は、
矩形のほか、各種の多角形でもよく、円形や楕円形な
ど、外形の一部または全体が曲線状をなすものであって
もよい。板状物品は平坦な面状のものであってもよい
し、屈曲面や曲面を有するものであっても構わない。し
たがって、板状物品の端縁は、単純な直線状の場合のほ
か、一つの面内で曲線状あるいは屈曲線状をなす場合、
さらには、三次元的な屈曲線あるいは曲線である場合も
ある。 〔面取形状〕板状物品の端縁に形成する面取形状は、板
状物品および面取加工の目的に合わせて設定される。例
えば、円弧状のほか、楕円弧や放物線、双曲線などの各
種曲線形状が採用される。また、曲率半径の異なる複数
の円弧を組み合わせたり、複数種の曲線を組み合わせた
面取形状を構成することもできる。 〔研削砥石〕基本的には、通常の面取加工に用いられる
ものと同様の材料および構造からなるものが使用でき
る。
【0010】研削砥石の材料には、粗加工用、仕上げ加
工用などの様々な規格あるいは種別があり、加工の目的
に合わせて適切な砥石材料を選択する。また、複数種類
の研削砥石を加工段階毎に取り替えて使用することもで
きる。研削砥石は、概略円柱状あるいは円筒状をなし、
周面に沿って凹状の研削溝を有している。
【0011】研削溝の形状は、板状物品の端縁に形成す
る面取形状に一致させておく必要はないが、形成すべき
面取形状の最大曲率半径よりも曲率半径の大きな曲線形
状を有するのが好ましい。具体的な研削溝の形状として
は、半円形などの単純な図形状に設定しておけば、作製
が容易であり、研削工程における移動経路の算出設定も
比較的に簡単になる。半円形以外の各種曲面状であって
も構わない。一部に直線形状部分が含まれていてもよ
い。
【0012】研削砥石は、モータ等の駆動力を伝達し周
面方向に回転させて、研削溝を板状物品の端縁に押圧す
ることで、板状物品の端縁が研削加工される。研削砥石
の保持機構や回転駆動機構については、通常の研削砥石
と同様でよい。 〔相対移動〕研削工程において、研削砥石の研削溝を板
状物品の端縁に対して相対的に移動させる。相対的に移
動させるとは、板状物品の端縁を静止させておいて研削
砥石側を移動さる場合、逆に、研削砥石側を静止した状
態で回転させておき板状物品の端縁を移動させる場合、
さらには、研削砥石と板状物品の端縁との両方を移動さ
せる場合がある。
【0013】まず、両者を互いに近接離間するY方向に
相対移動させる。研削溝が端縁に近接する方向に移動す
れば、研削溝の端縁への押圧力が増え、端縁の研削量も
増える。さらに、上記Y方向と直交し研削砥石の軸方向
に沿うZ方向にも相対移動させる。
【0014】上記Y方向およびZ方向の相対移動を組み
合わせることで、端縁に対する研削溝の研削位置、すな
わち、研削溝の断面形状において、研削溝と端縁とが接
触して端縁が研削される研削点の位置を順次変えること
ができる。板状物品の端縁は、順次移動する研削点の集
合で表される包絡線あるいは研削位置の移動軌跡に対応
する断面形状に研削されることになる。
【0015】板状物品の端縁を所望の曲面状に研削加工
するには、形成する曲面形状に合わせて、研削溝と端縁
との相対的な移動軌跡が所望の移動軌跡を描くように、
前記Y方向およびZ方向の相対移動量を制御する。具体
的には、マイクロコンピュータ等の演算処理機構が組み
込まれた制御装置に、端縁の面取形状データや研削溝の
形状データなどを入力して、幾何学的な演算処理を行え
ば、Y方向およびZ方向の相対移動量を求めることがで
きる。
【0016】上記したY方向およびZ方向の相対移動に
よって、端縁の特定断面における面取形状の形成が行え
る。但し、通常の板状物品では、端縁がその断面と直交
する方向に延びているから、端縁全体の面取加工を行う
には、端縁に沿うX方向の相対移動も必要となる。端縁
が直線的に延びている場合には、X方向の相対移動も直
線的でよいが、端縁が屈曲線状あるいは曲線状に延びて
いる場合には、X方向の相対移動は、経時的に方向を変
える屈曲線状あるいは曲線状の移動になる。
【0017】XYZ各方向の相対移動を、研削砥石ある
いは板状物品のうちの一方側のみで行えば、他方につい
ては複雑な移動機構が必要なくなるので構造を簡単にで
きる。例えば、研削砥石側で、YZ方向の移動と、X方
向の移動のうち直線的移動を行うようにするとともに、
板状物品側で、X方向の移動に含まれる、板状物品を研
削砥石の軸方向と直交する面内で旋回させる移動を行わ
せることができる。
【0018】さらに、前記XYZ方向の移動では、研削
砥石の回転軸は同じ姿勢のままで平行移動させるが、研
削砥石の回転軸を傾けるように、研削砥石すなわち研削
溝を移動させることもできる。これによって、端縁に対
して研削溝が当接する姿勢を変えることができる。 〔移動手段〕前記した相対移動を行わせるための移動手
段は、通常の工作機械その他の機械装置における軸方向
への移動機構を組み合わせて構成することができる。具
体的には、ラックピニオン機構、ボールネジ機構、カム
機構、ギア機構、電磁式あるいは油空圧式のシリンダ機
構、ベルト機構、チェーン機構、リンク機構その他の機
構が組み合わせられる。XYZ各方向の移動手段とし
て、同種の移動機構を組み合わせてもよいし、それぞれ
の要求特性に合わせて違う移動機構を組み合わせてもよ
い。研削砥石の回転軸を傾けるには、回転軸あるいはそ
の軸受構造を傾動自在に設けておけばよい。 〔保持手段〕板状物品は、端縁の面取加工の邪魔になら
ない形態で保持しておく。板状物品のうち、面取加工を
行わない側の辺を保持したり、板状物品の端縁から離れ
た中央側の面を保持したりすることができる。具体的に
は、機械的なクランプ機構や、真空吸着機構、磁気的な
吸着機構などが使用できる。 〔研削溝の位置補正〕研削加工を行うと、研削砥石の研
削溝は磨耗する。
【0019】前記したように、端縁に対する研削溝の研
削位置を順次変えていれば、研削溝の断面形状は全体が
均等に磨耗する。したがって、研削溝の断面形状そのも
のが変形したり歪んだりすることが防止できる。しか
し、同じ断面形状でも研削溝が磨耗すれば、端縁に対す
る研削溝のY方向の位置関係が違ってくる。具体的に
は、研削溝が磨耗するほど、Y方向における研削溝と端
縁との距離が増える。
【0020】この研削溝の磨耗によるY方向の位置ずれ
を補正することが好ましい。すなわち、研削工程におい
て、端縁から研削溝に加わる抵抗力を検出し、抵抗力の
変動に対応して研削溝のY方向の位置を補正することが
できる。抵抗力の検出は、荷重センサなどを利用するこ
とができる。研削砥石にモータ等から加わる回転トルク
の変動をトルクコンバータなどで検出すれば、抵抗力の
減少を回転トルクの増加として捉えることができる。
【0021】抵抗力の減少は、研削溝の磨耗の増大を表
す研削溝の磨耗量に対応して、Y方向における研削溝と
端縁との距離を短くする方向に研削砥石を移動させれ
ば、研削溝の磨耗による影響を補正することができる。
このような研削溝の磨耗に対応するY方向の補正量の演
算は、前記した制御装置において処理される。
【0022】
【発明の実施形態】〔面取装置の基本構造〕図1に示す
面取装置は、研削砥石10を備える。研削砥石10は、
概略円筒状をなし、中心に挿通されボルト等で固定され
た回転軸14に支持されており、周面方向に回転駆動さ
れる。
【0023】研削砥石10の軸方向中央には、周面に沿
って凹状の研削溝12が設けられている。研削溝12の
断面形状はほぼ半円形をなしている。研削砥石10は、
回転軸14の軸方向と平行なZ方向、および、これと直
交し研削砥石10の半径方向になるY方向の両方に移動
自在に支持されている。研削砥石10の回転軸14に
は、トルクコンバータなどからなるトルク検出器100
が取り付けられており、回転軸14すなわち研削砥石1
0に加わるトルクを検出して、検出データを電気信号に
変換する。トルク検出器100で検出されたデータは、
マイクロコンピュータや電子回路からなる制御部110
に入力される。制御部110は、予め入力されたプログ
ラムや検出されたトルクデータなどをもとに演算処理し
て、前記したYZ方向の移動を行うための送り機構12
0に対して制御信号を出力し、研削砥石10の移動を制
御する。
【0024】板状物品Pとして、液晶装置用のガラス基
板となる平坦な板材を用いる。板状物品Pは、切断加工
などの手段で矩形状に形成されている。切断面である板
状物品Pの端縁fは、鋭い角状をなしている。 〔面取加工〕図2に示すように、板状物品Pの角状をな
す端縁fに面取加工を施して、端縁fの断面形状を概略
半円形に丸める。
【0025】板状物品Pの端縁fに対して、高速回転す
る研削砥石10を接近させ、研削溝12を端縁fに押し
当てれば、端縁fのうち研削溝12と接触する個所g
が、削り取られる。断面形状の異なる研削溝12と端縁
fとが接触するので、接触個所gすなわち同時に研削さ
れる範囲は、点状あるいは点に近い狭い領域のみとな
る。このことは、研削個所から研削溝12に加わる反力
あるいは抵抗力が相対的に小さくなることを意味してお
り、研削砥石10に加える回転トルクが小さくて済むこ
とや、難研削材料でも容易に研削できるという利点が生
じる。
【0026】研削溝12の移動を、Y方向およびZ方向
の両方に制御する。研削砥石10の任意点の移動軌跡t
が図示する弧状の軌跡を描くように、研削砥石10を移
動させる。研削溝12が移動すると、移動する研削溝1
2の断面形状の集合あるいは包絡面の形状にしたがっ
て、端縁fが研削加工される。具体的には、端縁fの形
状が断面半円形に加工される。端縁fに対する研削溝1
2の接触点すなわち研削点はg1 〜g3 へと順次移動す
る。
【0027】板状物品Pの一つの側辺の全長に対して端
縁fの面取加工を行うには、板状物品Pの端縁fに沿う
方向、すなわち図1あるいは図2における紙面と直交す
る方向(以下、X方向と呼ぶ)にも、研削砥石10およ
び研削溝12を移動させる。研削砥石10は、前記した
Y方向、Z方向およびX方向の移動を組み合わせた三次
元的な移動を行うことになる。
【0028】上記研削加工では、研削溝12の上端から
下端までの全長にわたる各点が平均して端縁fに当接し
て研削を行う。その結果、研削溝12の全長で磨耗が均
等に進行するので、研削溝12は、同じ断面形状のまま
で徐々に深くなる方向に形状を変える。板状物品Pの面
取加工を繰り返しても、研削溝12の断面形状は常に一
定である。その結果、研削加工される端縁fの面取形状
も、予め設定された所定形状を正確に維持することがで
きる。
【0029】但し、研削溝12の磨耗量に合わせて、板
状物品Pの端縁fに対する研削溝12のY方向の位置
を、徐々に端縁f側へと移動させる。この研削溝12の
磨耗量に対応する位置補正は以下のように行う。 〔研削溝の位置補正〕研削加工中に、回転軸14に加わ
るトルクの変動をトルク検出器100で検出して、制御
部110で監視しておく。
【0030】研削溝12が磨耗すると、研削溝12を端
縁fに対して同じ位置まで送り込んでも、実質的には磨
耗量の分だけ送り込み量が少なくなる。その結果、端縁
fからの反力あるいは抵抗力が小さくなる。抵抗力が小
さくなれば、回転軸14に加わっているトルクの損失も
少なくなるから、回転軸14で検出されるトルクは増え
る。
【0031】そこで、研削工程において、端縁fに対す
る研削溝12の移動位置が同じであるのに、トルク検出
器100で検出されるトルクが増えれば、研削溝12の
磨耗が進行しているものと判断できる。そこで、制御部
110から送り機構120に指令を出して、研削溝12
すなわち研削砥石10を端縁f側に移動させる。その結
果、前記トルクが元の大きさに戻れば、研削溝12の磨
耗に対応する位置の補正は完了したことになる。言い換
えると、検出されるトルクが常に一定になるように、研
削溝12の位置をY方向で徐々に端縁fに向かって移動
させるように補正を加える。
【0032】前記したように、研削溝12そのものの断
面形状は、磨耗が進行しても同一形状のままであるか
ら、前記したトルク検出による研削溝12の位置修正を
行いさえすれば、板状物品Pの端縁fに対する面取加工
を長期間にわたって繰り返しても、常に、同じ品質性能
で面取加工を行うことが可能になる。 〔板状物品の隅角部の丸め加工〕図3に示すように、板
状物品Pの平面形状において隅角部が丸くなるように加
工することができる。
【0033】すなわち、矩形状をなし隅角部r0 が直角
に尖った板状物品P0 に対して、一側辺に沿って研削溝
12による面取加工を行い、研削溝12が隅角部r0
近づいたときに、研削砥石10に対して、板状物品10
を水平面で旋回させるように移動させる。この水平面で
の旋回も、研削溝12と端縁fとが端縁fに沿う方向に
移動することになるから、前記したX方向の移動に含ま
れる。
【0034】上記作業の結果、板状物品Pの隅角部rが
円弧状に削り取られて丸くなり、隅角部rの丸め加工が
果たされる。 〔面取形状の別の実施形態〕前記した断面半円形の研削
溝12を用いて、前記した断面半円形の面取形状だけで
なく、より複雑な曲面状の面取加工も可能である。
【0035】図4に示す実施形態では、断面半円形の研
削溝12を用いて、端縁fの下部を比較的に大きな曲率
半径に、上部を比較的に小さく曲率半径になるように面
取加工を行っている。研削溝12の移動軌跡tは、上方
側では小さな曲率半径で湾曲し、下方側では大きな曲率
半径で湾曲している。このように、研削溝12の移動軌
跡tあるいはYZ方向の移動量を適宜に設定することに
よって、研削溝12の断面形状とは全く異なる断面形状
を有する面取形状の加工も可能になる。
【0036】なお、上記した研削原理の説明から判るよ
うに、研削溝12で形成できる面取形状は、研削溝12
の曲率半径よりも小さな曲率半径部分で構成される曲面
であり、そのような条件を満足していれば自由な形状を
構成することができる。 〔面取装置の全体構成〕図5に平面配置を示す面取装置
Mは、前記した各種の面取加工を効率的に実行すること
ができる。図中、左上に示すXY方向の座標は、前記実
施形態で説明したX方向およびY方向に対応する。Z方
向は、紙面と直交する方向になる。
【0037】研削砥石10は、第1支持台20に取り付
けられ、モータ22からベルトを介して回転駆動され
る。第1支持台10は、モータ34で駆動されるボール
ネジ機構32を介して、第2支持台30に支持されてお
り、研削砥石10の軸方向と平行な方向すなわちZ方向
に昇降自在に取り付けられている。
【0038】第2支持台30は、第3支持台40に対し
てY方向に移動自在に配置されている。具体的には、第
3支持台40に設置されたレール上を第2支持台30が
滑動する。第3支持台40に設置されたアクチュエータ
42で押動される第2支持第30は、Y方向に移動す
る。第3支持台40は、X方向に沿って設置されたレー
ル44の上を滑動する。すなわち、モータ46の回転力
をボールネジ機構を介して第3支持台40に伝達するこ
とで、第3支持台40がX方向に移動する。
【0039】以上の結果、研削砥石10は、X方向、Y
方向およびZ方向の直交する3方向に自由に直線移動す
ることが可能になる。勿論、XYZの3方向の移動を組
み合わせれば、平面上での曲線移動や3次元的な移動を
行うこともできる。つぎに、前記した第3支持台40が
滑動するレール44に沿って、研削砥石10の側方に、
板状物品Pを保持する保持枠材50が配置されている。
保持枠材50の下面には真空吸着盤52を備え、この真
空吸着盤52の下面に板状物品Pを吸着保持することが
できる。真空吸着盤52に支持された板状物品Pの1側
辺の端縁fが、前記X方向に移動する研削砥石10の研
削溝12の移動経路に配置される。
【0040】真空吸着盤52は、保持枠材50に備える
旋回モータ54にギヤ機構を介して水平面内で旋回自在
に取り付けられている。その結果、真空吸着盤52に支
持された板状物品Pも水平面内で旋回可能である。保持
枠材50の一端が、Y方向に沿って配置されたレール5
6に摺動自在に支持されており、モータ58の回転力を
ボールネジ機構を介して保持枠材50に伝達すること
で、保持枠材50および板状物品PがY方向に移動す
る。板状物品PをY方向に移動させることで、板状物品
Pの端縁fを研削砥石10の研削溝12に挿入配置した
り、研削溝12から取り外したりする操作が行える。
【0041】次に、第3支持台30が移動するレール4
4の端部近く(図では左端近く)には、砥石取替部60
が配置されている。砥石取替部60には、取り替え用の
研削砥石10が収容されている。砥石取替部60には、
砥石取替機構62を備えている。第1支持台20に取り
付けられた研削砥石10が砥石取替部60の位置にくる
と、砥石取替機構62が作動して、別の研削砥石10に
交換することができる。具体的には、磨耗が進行して使
用不可能になった研削砥石10を取り替えたり、粗加工
用の研削砥石10を仕上げ加工用の研削砥石10に取り
替えたりする作業が行える。
【0042】以上に説明した、各作動機構は全て、図示
しない制御配線を経て制御部110に接続されており、
制御部110の指令にもとづいて動作が制御される。ま
た、第1支持台20には、研削砥石10またはモータ2
0の回転軸に対してトルクを検出するためのトルクコン
バータ(図示せず)が装備され、制御配線を経て制御部
110に接続されている。 〔研削砥石の回転軸を傾ける実施形態〕図6に示す実施
形態では、研削溝12をY方向およびZ方向に移動させ
ると同時に、研削砥石10の回転中心軸Cを、板状物品
Pの面と直交する方向C0 から角度θだけ傾斜した状態
1 まで傾くように移動させながら研削を行う。図示し
ないが、傾斜角度θを回転中心軸C0 に対して反対向き
に測った方向にも回転中心軸を傾斜させる。
【0043】上記のように、板状物品Pに対して研削砥
石10および研削溝12を傾けて相対的な姿勢を変える
運動を加えると、前記実施形態のように同じ姿勢のまま
で平行移動させる方法に比べて、板状物品Pに対する研
削溝12の当接状態あるいは研削加工形状を、より広い
範囲で変更できることになる。また、研削加工形状は同
じでも、端縁fと研削溝12との当接位置および姿勢が
変わるので、研削溝12の磨耗を均等化できるなどの利
点が得られる。
【0044】
【発明の効果】本発明の面取方法および装置では、研削
砥石の研削溝と板状物品の端縁とを、前記Y方向および
Z方向に相対的に移動させ、端縁に対する研削溝の研削
位置を順次変えながら、板状物品の端縁を所望の曲面状
に研削加工することにより、一定形状の研削溝で、様々
な曲面形状の面取加工を行うことができる。面取形状を
変更する毎に、研削砥石を取り替えたり、研削溝の形状
修正加工を行う面倒が解消される。
【0045】また、研削溝の磨耗が全体で均等に進行す
るので、面取加工を繰り返しても、研削溝の形状が変形
したり歪んだりすることがなく、加工される端縁の面取
形状も正確で安定したものとなる。研削溝の形状を修正
するドレッシング加工を不要にできたり、ドレッシング
加工が必要になる期間を延長したりすることができ、ド
レッシング加工の手間を省いて、面取加工の生産性を高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を表す面取装置の概略構成
【図2】 加工状態を説明する拡大図
【図3】 板状物品の隅角部の加工状態を示す説明図
【図4】 別の実施形態を表す加工状態の説明図
【図5】 面取装置の全体構造を示す平面図
【図6】 別の実施形態を表す加工状態の説明図
【符号の説明】
10 研削砥石 12 研削溝 14 回転軸 P 板状物品 f 端縁 g 研削点

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板状物品の端縁に曲面状の面取加工を施す
    方法であって、 周面に凹状の研削溝を有する研削砥石を周面方向に回転
    させながら、前記研削溝を前記板状物品の端縁に押圧し
    て、板状物品の端縁を研削する工程を含み、 前記研削工程で、前記研削砥石の研削溝を前記板状物品
    の端縁に対して、互いに近接離間するY方向およびこれ
    と直交し研削砥石の軸方向に沿うZ方向に相対的に移動
    させて、前記端縁に対する前記研削溝の研削位置を順次
    変えながら、前記板状物品の端縁を所望の曲面状に研削
    加工する面取方法。
  2. 【請求項2】前記研削工程において、 前記端縁から前記研削溝に加わる抵抗力を検出し、抵抗
    力の変動に対応して研削溝のY方向の位置を補正する請
    求項1に記載の面取方法。
  3. 【請求項3】前記研削工程において、 前記研削砥石の回転軸を傾ける請求項1または2に記載
    の面取方法。
  4. 【請求項4】板状物品の端縁に曲面状の面取加工を施す
    装置であって、 前記板状物品を保持する手段と、 周面に凹状の研削溝を有し、周面方向に回転自在な研削
    砥石と、 前記研削砥石の研削溝と前記保持手段に保持された板状
    物品の端縁とを、互い近接離間するY方向およびこれと
    直交し研削砥石の軸方向に沿うZ方向に相対的に移動さ
    せる移動手段とを備える面取装置。
  5. 【請求項5】前記移動手段が、前記研削砥石の研削溝と
    前記板状物品の端縁とを、端縁に沿うX方向にも相対的
    に移動させる請求項4に記載の面取装置。
  6. 【請求項6】前記移動手段が、前記板状物品を前記研削
    砥石の軸方向と直交する面内で旋回させる板状物品旋回
    手段を備える請求項4または5に記載の面取装置。
  7. 【請求項7】前記研削溝が、前記板状物品の端縁に形成
    される曲面状の面取加工の曲率半径よりも大きな曲率半
    径の断面形状を有する請求項4〜6の何れかに記載の面
    取装置。
  8. 【請求項8】前記板状物品の端縁から前記研削砥石に加
    わる抵抗力を検出する検出手段と、 前記抵抗力の変動に対応して、前記移動手段のY方向の
    移動を制御し、前記研削溝のY方向の位置を補正する制
    御手段とをさらに備える請求項4〜7の何れかに記載の
    面取装置。
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