JPH11164687A - 固定化酵素の製造方法 - Google Patents

固定化酵素の製造方法

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JPH11164687A
JPH11164687A JP9352398A JP35239897A JPH11164687A JP H11164687 A JPH11164687 A JP H11164687A JP 9352398 A JP9352398 A JP 9352398A JP 35239897 A JP35239897 A JP 35239897A JP H11164687 A JPH11164687 A JP H11164687A
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enzyme
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copolymer
immobilized
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Yoshihide Kawamura
佳秀 川村
Azusa Okano
あづさ 岡野
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Fuji Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機合成に適した触媒作用を具備する固定化
酵素であって、酵素の脱離が少なく、しかも優れた発現
活性を有する固定化酵素の製造方法を提供する。 【解決手段】 再生粒状多孔質キトサン担体に対し、ビ
ニルアルコールのアルキルエーテルと無水マレイン酸と
の共重合体溶液を、該担体1乾燥重量部に対し0.05
〜0.60乾燥重量部反応させた後、該溶液を除去し、
次いで酵素水溶液を加え酵素を固定化した固定化酵素の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、担体に固定化され
た酵素を利用して、アミドやエステル等の合成,転移、
及び加水分解等の触媒反応を極性溶剤、特に水を含む極
性溶剤中で行って種々のペプチドや脂質等を有機合成す
る際に優れた性能を具備した固定化酵素を提供するため
の固定化酵素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機合成に酵素を利用する研究が
活発に行われている。それは酵素が常温,常圧で反応す
るため熱的に不安定な物質の合成が可能であると共に、
反応が省エネルギーでクリーンで、反応の特異性に優
れ、位置選択的、基質選択的反応や、不斉合成反応が可
能である等の多くの特徴があるからである。特に極性溶
剤中での酵素の反応は、水に不溶性のアミドやエステル
の加水分解、非極性溶剤に不溶性の糖エステルの合成,
転移,加水分解等々の応用が効率的にできる利点があ
る。
【0003】生産と精製に多大な労力を必要とする酵素
を工業的に利用する上で、効率の高い固定化酵素の開発
は重要な課題である。例えばリパーゼの固定化に関して
「ジャーナル オブ アメリカン オイル ケミスツ
ソサエティー」(Journal of Americ
an Oil Chemist’s Societ
y)、第67巻、890−910(1990)の総説
で、代表的な固定化用担体として珪藻土,シリカ,多孔
質ガラス等の無機系担体、各種合成樹脂及び合成樹脂系
イオン交換体,イオン交換基が導入されたセルロースや
架橋デキストリン等の天然多糖類系の担体があげられて
いる。これら担体に固定化されたリパーゼは極性溶剤中
で溶解度が高く、極性溶剤、特に水を含んでいる極性溶
剤中ではリパーゼが担体から容易に脱離してしまい、長
期にわたって安定した活性を得ることができない欠点が
あった。
【0004】この欠点を解決するためにはリパーゼを共
有結合によって固定化することが好ましく、本出願人は
例えば特開平7−87974号公報で、キトサン酸性水
溶液を塩基性溶液中に落下して得た再生粒状多孔質キト
トサンを脂肪族ポリアルコールのグリシジルエーテルと
反応させ、次いで高級脂肪酸の酸ハロゲン化物もしくは
酸無水物を反応させた担体にリパーゼを固定化させた固
定化リパーゼを開示したが、この固定化リパーゼでも水
を含む極性溶剤中でのリパーゼの脱離があり、長期にわ
たって安定した活性を維持させることは困難である。
【0005】従来より、酵素を担体に固定化させるのに
担体をグルタルアルデヒド溶液で処理し、これに酵素を
固定化させることが極めて一般的に行われている。グル
タルアルデヒドは酵素を固定化させるとき水中でしかも
5℃〜室温程度のゆるやかな温度条件で反応させること
が出来、比較的に酵素の失活も少ない長所があるが、巨
大分子である酵素と担体を架橋反応させるのには鎖長が
短いので効率よく架橋反応させ難く、特に水を含む極性
溶剤中では酵素の脱離が多いという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の欠点
を解決し極性溶剤、特に水を含む極性溶剤中でペプチド
や脂質等を有機合成する際に適した、優れた触媒作用を
具備した固定化酵素を得るための製造方法を提供するも
ので、酵素の脱離が少なくしかも優れた発現活性を有す
る固定化酵素の製造方法である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、再生粒状多孔
質キトサン担体に対し、ビニルアルコールのアルキルエ
ーテルと無水マレイン酸との共重合体溶液を、該担体1
乾燥重量部に対し0.05〜0.60乾燥重量部反応さ
せた後、該溶液を除去し、次いで酵素水溶液を加え、酵
素を固定化した固定化酵素の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる再生粒状多孔
質キトサン担体は、酵素や基質の拡散に優れしかも強度
が高く、カラム等に充填して使用するのに取り扱いが容
易なことから酵素を固定化させる担体として好適であ
る。再生粒状多孔質キトサン担体は下記の如き方法等で
得られる。特公平1−16420号公報に開示されてい
る方法、即ち、平均分子量が10,000〜230,0
00の範囲である低分子量キトサンを酸性水溶液に溶解
し、該溶解液を塩基性溶液中に落下して再生粒状多孔質
キトサンを製造する。本発明では得られた再生粒状多孔
質キトサンを特公昭63−54285号公報,特公平5
−11492号公報,特公平6−67479号公報及び
特許公報第2660649号公報等で開示されている方
法によって、有機ジイソシアネートで架橋処理をする、
アルキレン−(2,3エポキシプロピルジアセチルアン
モニウムハライド)で処理する、脂肪族ポリアルコール
のグリシジルエーテルで処理後高級脂肪酸の酸ハロゲン
化物もしくは酸無水物で処理する等の方法もしくは本願
の実施例に記載の方法によって、再生粒状多孔質キトサ
ンを架橋もしくは化学修飾等させて再生粒状多孔質キト
サン担体(以下、該担体という)を得る。本発明で用い
られる該担体は上述の方法で得られるものに限定される
ものではなく、又、該担体を本発明で用いるときは、最
終段階での湿潤状態のものでも、水分を除いて乾燥され
たものでもよい。
【0009】本発明で用いられるビニルアルコールのア
ルキルエーテルと無水マレイン酸との共重合体(以下、
該共重合体という)としては、メチルビニルエーテル無
水マレイン酸共重合体,エチルビニルエーテル無水マレ
イン酸共重合体等があげられ、活性基である無水マレイ
ン酸の含有量、さらには該重合体溶液を調整したときの
溶液粘度が高くなることを防ぐため平均分子量は10,
000〜2,000,000好ましくは100,000
〜1,000,000の範囲のものが好適である。
【0010】該共重合体を溶解させる溶媒としては、該
重合体が溶解する溶媒であれば制限されないが、該共重
合体は水又はアルコールに溶解させると無水結合が開い
て遊離の脂肪族や対応するハーフエステルができ、該担
体や酵素との結合に支障を生ずるので、無水結合の開環
にあまり影響のない様に取り扱う必要がある。又、該共
重合体は酸性水溶液で反応性が高くなるのでこれに溶解
させてもよい。有機溶剤としてはアセトン,メチルエチ
ルケトン,テトラヒドロフラン,酢酸エチル,ジメチル
アセトアミド,ジメチルホルムアミド,メチルセルソル
ブ等が溶解度もよく、化学反応も起こらないのでよい。
【0011】該共重合体を上述の溶媒に湿潤状態の該担
体の1重量部に対し0.2〜20重量部、好ましくは
0.5〜15重量部含有するごとく溶解させて溶液とす
る。0.2重量部未満であると該担体との反応量が少な
く、その結果として酵素の固定化が十分でなく、20重
量部を越えると該担体と反応する該共重合体が増えるの
にかかわらず該担体との反応量が制限され、又該共重合
体の粘度が高くなり取り扱いの点からも好ましくない。
【0012】該共重合体溶液中に該担体を攪拌しながら
反応させる際の反応温度は25〜90℃で、該共重合体
を有機溶剤に溶解した溶液を用いるときには室温で溶解
可能であるので25〜50℃、水又は弱酸性の水に溶解
した溶液を用いるときは該共重合体が50℃以上の温度
で可溶であるので50〜90℃が好ましい。そして反応
時間は0.5〜5時間で、特に水又は弱酸性の水に溶解
した溶液を用いるときは長時間反応させると該共重合体
の無水結合が加水分解で開いて次工程での酵素の固定化
に資する無水結合が消失するので、この範囲以上の時間
の処理は避けなければならない。
【0013】上述の処理により、該担体に共重合体を結
合させた後、用いられた溶液を除き、十分に水洗して未
反応の該共重合体を除去し活性化再生粒状多孔質キトサ
ン担体(以下、該活性化担体という)を得る。
【0014】このような処理をしたときの該共重合体の
反応量は、該担体1乾燥重量部に対して0.05〜0.
60乾燥重量部、好ましくは0.10〜0.50乾燥重
量部となる。0.05乾燥重量部未満では、得られた固
定化酵素を極性溶剤または水を含む極性溶剤中で反応に
供する際に、酵素の脱離が起こり好ましくない。また、
0.60乾燥重量部より多く反応させると、酵素の固定
化率低減や発現活性が低下したり、該共重合体が高分子
であるため反応が進まないといった問題を生ずる場合が
あり好ましくない。
【0015】次いで得られた該活性化担体に酵素水溶液
を加えて振とう又は攪拌しながら該活性化担体に酵素を
固定化させ、水洗を行い未反応の酵素を除去し、水等を
必要に応じ他の薬品に置換し、湿潤固定化酵素、又は真
空乾燥して乾燥固定化酵素を得る。このときの処理温度
は5〜50℃、時間は1〜48時間の範囲内で行われる
が、酵素が安定かつ十分に固定化される条件であればよ
く、特に制限されるものではない。
【0016】酵素の種類としてはリパーゼ,ホスホリパ
ーゼ,コレステロールエステラーゼ等の脂質関連の酵
素、パパイン,トリプシン,ペプシン,サーモライシ
ン,トランスグルタミナーゼ,酸性プロテアーゼ等の蛋
白質,ペプチド関連の酵素,アミラーゼ,グルコアミラ
ーゼ,シクロデキストリングルコノトランスフェラーゼ
等の糖質関連の酵素等があげられるが特に制限されるも
のではない。又、これら酵素の水溶液濃度は酵素が溶解
する濃度であればよく、特に制限されず通常は酵素は緩
衝液に溶解させる。そして得られた該活性化担体に酵素
が固定化された後の担体の処理は通常実施されている処
理方法による。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。
尚、実施例における各測定値は以下に記載の試験方法に
より求めた。
【0018】1.共重合体の反応量測定法 (1) 再生粒状多孔質キトサン担体約2gの乾燥重量を測
定する。 (2) 該担体をビニルアルコールのアルキルエーテルと無
水マレイン酸との共重合体溶液で活性化し、得られた活
性化再生粒状多孔質キトサン担体の乾燥重量を測定す
る。 (3) 次式より担体1乾燥重量部に対する反応した該共重
合体の乾燥重量部の比率(共重合体の反応量)を求め
る。
【数1】
【0019】2.リパーゼの固定化率測定法 (1) オリーブ油(関東化学(株)製)約20gを界面活
性剤(アデカトールSO−120、旭電化工業(株)
製)20g、純水60mlと混ぜ、エマルジョン基質と
する。 (2) 該基質25mlに純水10mlを加え37℃で10
分間予備加熱する。 (3) 固定化操作に使用するリパーゼ水溶液0.1mlを
基質に加え37℃で5分間反応させる。 (4) アセトンを50%含むエタノールを80ml加え、
攪拌し酵素反応を停止する。 (5) 50mMのNaOHで酵素反応により遊離した脂肪
酸を滴定し、滴定量を求める。 (6) ブランクとして上記と同様の操作において、(3) の
操作で、リパーゼ水溶液のかわりに純水を0.1ml加
え、滴定量を求める。 (7) 固定化操作前のリパーゼ水溶液のエマルジョン脂質
分解発現活性値A(u/ml水溶液)を次式より求め
る。
【数2】 (8) 固定化操作後の濾液のエマルジョン脂質分解発現活
性値B(u/ml水溶液)を上記(7) と同様に測定す
る。 (9) 固定化率は(7) と(8) で求めたAとBより次式で求
める。
【数3】
【0020】3.リパーゼ発現活性測定法 (1) 300mMのモノラウリンと40%の水を含有する
アセトン溶液5mlに10mgの乾燥固定化リパーゼを
添加し、37℃で15分間攪拌しながら反応を行う。 (2) 固定化リパーゼを濾別し脂質分解液を得る。 (3) 脂質分解液0.5mlと0.5mlの0.2規定の
塩酸を混合し、37℃で10分間静置してリパーゼを失
活させ、リパーゼ反応液を得る。 (4) 次の組成からなる試験液を調製する。 50mM−トリス塩酸緩衝液(pH7.5) 0.05%界面活性剤(トリトンX−100、ローム・
アンド・ハース製) 1mM−MgC12 1mM−アデノシン3リン酸 1u/mlグリセロールキナーゼ 5u/mlグリセロフォスフェートオキシターゼ 0.03%4−アミノアンチピリン 0.03%3,5−ジメトキシ−N−エチル−(2−ヒ
ドロキシ−3−スルフォブロピル)−アニリン,ナトリ
ウム塩 4.5u/mlパーオキシダーゼ (5)(3)で得られたリパーゼ反応液を2%の界面活性剤
(トリトンX−100)で11倍に希釈後、20μlと
り、(4) で示した試験液0.5mlに添加し37℃で1
0分間発色反応を行う。 (6) 0.5%ドデシル硫酸ナトリウムを1ml加えて6
00nmの吸光度を測定する。 (7) 脂質分解発現活性値を次式で求める。
【数4】
【0021】4.リパーゼの脱離量測定法 (1) 300mMのモノラウリンと40%の水を含有する
アセトン溶液5mlに10mgの乾燥固定化リパーゼを
添加し、37℃で15分間攪拌しながら反応を行う。 (2) 固定化リパーゼを濾別し脂質分解液を得る。 (3)(2)の脂質分解液0.5mlを前記3.のリパーゼ発
現活性測定法の(3) 〜(6) に記載した同じ方法により測
定する。 (4)(2)の脂質分解液の脂質分解量Dを次式より求める。
【数5】 (5)(2)の脂質分解液4.5mlを再び37℃で15分間
攪拌しながら反応を行う。 (6)(5)の脂質分解液0.5mlを前記3.のリパーゼ発
現活性測定法の(3) 〜(6) に記載した同じ方法により測
定する。 (7)(5)で得られた脂質分解液の脂質分解量Eを(4) に記
載した式より求める。 (8) リパーゼの脱離量を次式より求める。
【数6】
【0022】5.サーモライシンの固定化率測定法 (1) 固定化操作に使用するサーモライシン水溶液の固定
化操作前の280nmの吸光度を測定する。 (2) 固定化操作後のサーモライシン水溶液の280nm
の吸光度を測定する。 (3) 次式によりサーモライシンの固定化率を計算する。
【数7】
【0023】6.サーモライシンの発現活性測定法 (1) 1%のトウモロコシ抽出ゼインZS−70E(サン
エイ糖化(株))と30%の水を含むエタノール溶液を
調製し、基質溶液とする。 (2) 1gの湿潤固定化サーモライシンに基質溶液5ml
を加え50℃で30分間攪拌し、加水分解反応を行う。 (3) 固定化サーモライシンを濾別し、ゼイン分解液を得
る。 (4) ゼイン分解液を0.2mlとり真空デシケーター内
で乾固させる。 (5) 乾固した試料に、1%ドデシル硫酸ナトリウム水溶
液を0.5ml加えて50℃で5分間加温、攪拌した処
理液を調製する。 (6) 処理液0.125mlに0.2125Mのリン酸緩
衝液(pH8.2)を1ml加え50℃で5分間加温
し、0.1%の2,4,6−トリニトロベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム塩二水和物水溶液を1ml加え、50℃
で1時間発色反応を行う。 (7) 0.1規定の塩酸を2ml加え攪拌し、発色反応を
停止し、処理液の340nmの吸光度を測定する。 (8)(6)の操作で、処理液の代わりに1%ドデシル硫酸ナ
トリウム水溶液を0.125ml加えて反応を行い、
(7) の操作を行い、ブランクの340nmの吸光度を測
定する。 (9)(6)の操作で、処理液の代わりに標準液として1%ド
デシル硫酸ナトリウム水溶液に溶解した1.5mMのL
−ロイシン水溶液を0.125ml加えて反応し、(7)
の操作を行い、濃度既知のロイシン水溶液の340nm
の吸光度を測定する。 (10)発現活性を次式で求める。
【数8】
【0024】7.サーモライシンの脱離量測定法 (1) 1%のトウモロコシ抽出ゼインZS−70E(サン
エイ糖化(株))と30%の水を含むエタノール溶液を
調製し、基質溶液とする。 (2) 1gの湿潤固定化サーモライシンに基質溶液5ml
を加え50℃で30分間攪拌し、加水分解反応を行う。 (3) 固定化サーモライシンを濾別し、ゼイン分解液Fを
得る。 (4)(2)の操作の後、固定化サーモライシンを濾別し、濾
液のみを再度50℃で30分間攪拌し、加水分解反応を
行い、ゼイン分解液Gを得る。 (5) 前記6.の(4) 〜(7) の操作を行い、ゼイン分解液
F,Gそれぞれの340nmの吸光度を測定する。 (6) サーモライシンの脱離量を次式より求める。
【数9】
【0025】〔実施例1〕脱アセチル化度80%で平均
分子量60,000のキトサン120gを3.5%酢酸
水溶液1880gに溶解した。該溶液を、7%水酸化ナ
トリウム,20%エタノール,73%水よりなる塩基性
凝固溶液中に滴下し、平均粒径0.1mmの再生粒状多
孔質キトサンを凝固再生させた。次いで中性になるまで
十分水洗し粒状多孔質キトサン1000ml(湿潤)を
得た。
【0026】この再生粒状多孔質キトサン500ml
(湿潤)に水500mlとエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル(エポキシ当量87.13)2.62gを
加えて60℃で1時間架橋反応を行い、反応終了後十分
に水洗し架橋粒状多孔質キトサンを得た。この架橋粒状
多孔質キトサンを200ml(湿潤)秤量し、これに含
まれている水をジメチルアセトアミドと置換,除去し
た。次いで、ジメチルアセトアミド200mlに塩化ス
テアロイルを15.1gとトリエチルアミンを5.1g
加えた溶液中で、25℃で18時間攪拌しながら反応さ
せた。反応終了後に反応に用いた溶液の残液を除去した
後、ジメチルアセトアミドで洗浄し、次いでジメチルア
セトアミドを純水で置換,除去し湿潤状態の再生粒状多
孔質キトサン担体を得た。
【0027】メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重
合体である商品名ガントレット(GANTREZ)AN
−119(CAF CHEMICALS CORPOR
ATION製)を濃度が各々0.1,0,2,0.5,
0.8,1.0,5.0,15.0,20.0,25.
0重量部になるように各々を500mM酢酸緩衝液(p
H6.0)100mlに入れ、80℃で5分間振とうし
て溶解液を9種準備した。
【0028】得られた9種の溶解液各々に湿潤状態の再
生粒状多孔質キトサン担体を4gづつ入れて80℃で1
時間攪拌しながら反応させた。次いで、未反応の該共重
合体を水で十分洗浄して除去して該共重合体の反応量が
0.02,0.05,0.10,0.17,0.20,
0.25,0.29,0.30,と0.32の9種の活
性化再生粒状多孔質キトサン担体を得た。得られた活性
化再生粒状多孔質キトサン担体1gの各々を、10mg
のクロモバクテリウムビスコスム(Chromobac
terium Viscosum)属由来の酵素リパー
ゼ(商品名リパーゼT−01,旭化成工業(株)製)を
25mlの10mMリン酸緩衝液(pH7)に溶解させ
た酵素水溶液中に入れ24時間振とうし活性化再生粒状
多孔質キトサン担体に酵素リパーゼを固定化させ、各々
を水洗し未反応の酵素リパーゼを除去した後、活性化再
生粒状多孔質キトサン担体に含まれる水をアセトンで置
換,除去し、真空乾燥し乾燥状態の固定化リパーゼ、試
料No.1〜No.9を得た。
【0029】比較として、上述と同様にして得た再生粒
状多孔質キトサン担体の1g(湿潤)をメチルビニルエ
ーテル無水マレイン酸共重合体溶液で反応させないで、
2.5%のグルタルアルデヒドを水溶液25mlに入れ
て225℃で1時間反応させ、次いで未反応のグルタル
アルデヒドを水洗除去し、活性化再生粒状多孔質キトサ
ン担体を得た。これを前述と同一条件でリパーゼT−0
1を固定化させ乾燥状態の固定化リパーゼ,試料No.
10を得た。得られた試料No.1からNo.10の各
々についてリパーゼの固定化率,発現活性,酵素脱離量
を測定し、その結果を表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】この結果から明らかな如く、再生粒状多孔
質キトサン担体をこの1乾燥重量部に対してメチルビニ
ルエーテル無水マレイン酸共重合体0.05〜0.32
乾燥重量部反応されている活性化再生粒状多孔質キトサ
ン担体を用いて酵素リパーゼを固定化して得た固定化リ
パーゼの試料No.2〜No.9は、リパーゼの固定化
率,発現活性が高く、水を含む極性溶剤中での反応にお
いてもリパーゼの脱離量が極めて少ない優れた性能を具
備していることが明らかで、特に試料No.3〜No.
9が良好な結果を示しており、試料No.1はリパーゼ
の脱離量が多い。
【0032】比較としての試料No.10はメチルビニ
ルエーテル無水マレイン酸共重合体溶液で処理されてい
ない固定化リパーゼであり、水を含む極性溶剤中での反
応で酵素の脱離量が多く好ましくない。
【0033】〔実施例2〕実施例1と同様に得た架橋粒
状多孔質キトサンを200ml(湿潤)秤量し、これに
含まれている水をジメチルアセトアミドで十分置換,除
去した。次いで、これをジメチルアセトアミド200m
lに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート40
gを加えた溶液中で、25℃で2時間攪拌しながら反応
させた。反応終了後反応に用いた溶液の残液を除去した
後、ジメチルアセトアミドで洗浄し、次いでジメチルア
セトアミドを水で置換,除去し湿潤状態の再生粒状多孔
質キトサン担体を得た。
【0034】メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重
合体である商品名ガントレットAN−119を濃度が各
々0.1,0,2,0.5,0.8,1.0,5.0,
15.0,20.0,25.0重量部になるように各々
を100mlのアセトンに入れて25℃で5分間振とう
して溶解液を9種準備した。
【0035】得られた9種の溶解液各々に湿潤状態の再
生粒状多孔質キトサン担体を4gづつ入れて25℃で1
時間攪拌しながら反応させた。次いで、未反応の該共重
合体を水で十分洗浄して除去して該共重合体の反応量が
0.02,0.05,0.10,0.20,0.31,
0.40,0.50,0.58と0.62の9種の活性
化再生粒状多孔質キトサン担体を得た。得られた活性化
再生粒状多孔質キトサン担体1gの各々を、20mMの
塩化カルシウムと5Mの臭化ナトリウムを含む25mM
の酢酸緩衝液(pH7.5)の10mlにバチルス・サ
ーモプロテオリティカス・ロッコウ(Bacillus
thermoproteolyticus Rokk
o)由来の酵素である商品名サーモライシン(大和化成
(株)製)を1重量%になるように溶解させた液中に入
れ、25℃で24時間振とうして、活性化再生粒状多孔
質キトサン担体に酵素のサーモライシンを固定化させ
た。その後各々を、未反応のサーモライシンを水で除去
し、次いで担体中に含まれている20mMの塩化カルシ
ウムと5Mの臭化ナトリウムを含む25mM酢酸緩衝液
(pH7.5)で十分に置換,除去して湿潤状態の固定
化サーモライシン,試料No.11〜No.19を得
た。
【0036】比較として、上述と同様にして得た再生粒
状多孔質キトサン担体の1g(湿潤)をメチルビニルエ
ーテル無水マレイン酸共重合体溶液で反応させずに、
2.5%グルタルアルデヒド水溶液25mlに入れて2
5℃で1時間反応させ、次いで未反応のグルタルアルデ
ヒドを水洗除去し、活性化再生粒状多孔質キトサン担体
を得た。これを前と同一の条件でサーモライシンを固定
化させ、湿潤状態の固定化サーモライシン,試料No.
20を得た。得られた試料No.11〜No.20の各
々についてサーモライシンの固定化率,発現活性,脱離
量を測定し、その結果を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】この結果から明らかな如く、再生粒状多孔
質キトサン担体をこの1乾燥重量部に対しメチルビニル
エーテル無水マレイン酸共重合体が0.05〜0.62
乾燥重量部反応されている活性化再生粒状多孔質キトサ
ン担体を用いて酵素のサーモライシンを固定化して得た
固定化サーモライシンの試料No.12〜No.19は
サーモライシンの脱離量が極めて少なく優れた性能を具
備していることが明らかである。特に試料No.13〜
No.17がサーモライシンの固定化率,発現活性が高
く、水を含む極性溶剤中での反応においても脱離量が極
めて少なく、良好な結果を示している。試料No.11
はサーモライシンの脱離量が多く、試料No.19は固
定化率,発現活性が劣っている。
【0039】比較としての試料No.20はメチルビニ
ルエーテル無水マレイン酸共重合体で処理されていない
固定化サーモライシンであり、水を含む極性溶剤中での
反応で酵素の脱離量が極めて多く好ましくない。
【0040】
【発明の効果】本発明は、再生粒状多孔質キトサン担体
を、ビニルアルコールのアルキルエーテルと無水マレイ
ン酸との共重合体溶液で処理し、該担体1乾燥重量部に
対し、該共重合体を0.05〜0.60乾燥重量部反応
させた後、該溶液を除去し、通常の水洗処理をして活性
化再生粒状多孔質キトサン担体とし、次いで酵素水溶液
を加え酵素を該活性化担体に固定して得られる固定化酵
素の製造方法で、本発明の方法で得た固定化酵素は使用
時に特に水を含む極性溶剤中の系においても酵素の脱離
が少なく、しかも優れた発現活性を具備する効果があ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 9/54 C12R 1:01)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再生粒状多孔質キトサン担体をビニルア
    ルコールのアルキルエーテルと無水マレイン酸との共重
    合体溶液で処理し、該担体1乾燥重量部に対し、該共重
    合体を0.05〜0.60乾燥重量部反応させた後、該
    溶液を除去し、次いで酵素水溶液を加え酵素を固定化す
    ることを特徴とする固定化酵素の製造方法。
  2. 【請求項2】 ビニルアルコールのアルキルエーテルと
    無水マレイン酸との共重合体がメチルビニルエーテル無
    水マレイン酸共重合体であることを特徴とする請求項1
    記載の固定化酵素の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7172682B2 (en) 2003-01-24 2007-02-06 Rensselaer Polytechnic Institute Enzyme immobilization for electroosmotic flow

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