JP2002233362A - ラッカーゼ活性の安定化方法および安定化されたラッカーゼ組成物 - Google Patents

ラッカーゼ活性の安定化方法および安定化されたラッカーゼ組成物

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JP2002233362A
JP2002233362A JP2001067723A JP2001067723A JP2002233362A JP 2002233362 A JP2002233362 A JP 2002233362A JP 2001067723 A JP2001067723 A JP 2001067723A JP 2001067723 A JP2001067723 A JP 2001067723A JP 2002233362 A JP2002233362 A JP 2002233362A
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laccase
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acid
carboxymethyl
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Hiroomi Kojima
博臣 小嶋
Takuya Uozumi
拓也 魚住
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Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】ラッカーゼをカルボキシル基を有する水溶
性高分子、例えばアルギン酸、ペクチン酸、ヒアルロン
酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、
キサンタンガム、アラビアゴム、ローカストビーンガ
ム、タマリンド種子ガム、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチル
キチン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシビニル
ポリマー、ポリアクリル酸グルタミン酸残基を含むポリ
アミノ酸、及び/又はその塩類の水溶液に加え混合した
ものを乾燥させる。 【効果】保存性の優れたラッカーゼ組成物を得る事が出
来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラッカーゼ活性の
維持方法および安定化されたラッカーゼ組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)
は酸素の存在下フェノール性化合物を酸化する酵素とし
て知られており、多くの分野での利用が期待されてい
る。例えばリグニン分解作用によるパルプ製造時のリグ
ニンの除去(特開平5−247865号報)、人工うる
しへの応用(特開昭31−67278号報)、染毛剤
(特開平6−172145号報)、漂白剤(特開昭64
−60693号報)、消臭剤(特開昭63−30926
9号報)等が挙げられる。しかしながら本酵素の安定性
は著しく低く、低温保存以外の方法で安定化を図ること
は極めて困難であった。そのため安定化を図る種々の添
加剤の検討がなされてきた。例えばWO98/4047
1においてポリアルコール類を添加して、ラッカーゼの
至適pHよりもアルカリ側で保存する方法が開示されて
いる。しかしながら本法では、多くのラッカーゼの至適
pHは酸性側にあるため十分な効果を得るためには使用
時に至適pH付近にpHを調製し直す必要がある。
【0003】一方、酵素を安定化する技術は担体に固定
化する方法が知られている。例えば活性炭、シリカゲ
ル、ガラスビーズ等の多孔性物質に吸着法により固定化
する方法、カチオン性、あるいはアニオン性イオン交換
樹脂等にイオン結合もしくは共有結合法により固定化す
る方法、ポリアクリルアミド等のゲルに包括する方法が
る。さらにはゼラチンやポリビニルアルコール等のポリ
マーで酵素を被覆する方法、すなわちマイクロカプセル
化技術が知られている。また、カルボキシル基を有する
水溶性高分子が含まれる水溶液を用いてプロテアーゼ、
カルボキシラーゼ、リパーゼ、セルラーゼなどの酵素の
安定化を図った先例が特開昭44−8072号報、特開
昭46−1835号報、特開昭62−269686号
報、特表平4−501653号報、特開平11−563
57号報に記載されている。しかしながら、ラッカーゼ
を安定化する技術の記載は極めて少ない。ラッカーゼは
他の酵素と異なり乾燥状態でも溶液状態でも不安定であ
る。特表平11−502255号報に唯一開示されてい
るのみである。本報告によると酵素タンパク質の特定の
アミノ酸残基と共有的に反応することのできる、化学的
に反応性のある基により官能化されているポリマーに、
ラッカーゼを共有結合することによって目的を達成する
ものである。しかしながらこの方法は、酵素とポリマー
の化学反応を伴うことから操作自体が非常に煩雑であ
り、また操作時において酵素が失活しないような工夫を
要する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、かかる事
情に鑑みラッカーゼ組成物の製造工程、並びに製剤の保
存、管理においてラッカーゼを安定化させ、その活性を
長期間維持することができるラッカーゼ組成物を得る方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため鋭意検討を行った結果、ラッカーゼとカルボキ
シル基を有する水溶性高分子の混合溶液を、水分を15
%以下に乾燥させることにより得られる組成物中におい
て、保存期間中のラッカーゼの失活を抑えることができ
ることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】以下、本発明について説明する。本発明に
使用されるラッカーゼは微生物、もしくは植物によって
産生されるラッカーゼであり、その起源に関わりなく使
用することができる。ここで使用されるカルボキシル基
を有する水溶性高分子としては、例えばアルギン酸、ペ
クチン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイ
チン硫酸、ヘパリン、キサンタンガム、アラビアゴム、
ローカストビーンガム、タマリンド種子ガム等の天然の
多糖類、およびその塩類、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチル
キチン、カルボキシメチルデンプン等のカルボキシル基
を人工的に導入した多糖類、およびその塩類、カルボキ
シビニルポリマー、ポリアクリル酸等の合成高分子、お
よびその塩類、グルタミン酸残基又は/及びアスパラギ
ン酸残基を含むポリアミノ酸、タンパク質、ポリグルタ
ミン酸、ポリアスパラギン酸等、およびその塩類が挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。またこれ
ら水溶性高分子を複数組み合わせて用いることも可能で
ある。
【0007】本発明に用いられるカルボキシル基を人工
的に導入した多糖類のカルボキシル基の置換度は、多い
ほど良い。例えばカルボキシメチルセルロースナトリウ
ムを用いた場合、セルロース単位当たりのカルボキシメ
チル基の置換度(エーテル化度)は0.7以上、好まし
くは1以上のものが良い。本発明において用いられる水
溶性高分子とラッカーゼの質量比は、ラッカーゼ1質量
に対して水溶性高分子は10以上、好ましくは100以
上が良い。水溶性高分子の質量比が少ないと十分な効果
が得られない。本発明の組成物には種々の添加剤を加え
ることもできる。例えば溶解性向上のために硫酸アンモ
ニウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、尿素、ブドウ
糖、ショ糖、乳糖、ソルビトール、デキストリン、グル
タミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、アニオン
界面活性剤等を添加することができる。これらの成分の
組成物中への添加量としては0.1〜99質量%が好ま
しい。さらに好ましくは1〜50質量%である。少なす
ぎると使用時の溶解性が悪く、多すぎるとラッカーゼの
安定性に影響を及ぼす恐れがある。
【0008】本発明における組成物には酵素の安定化剤
として、溶液状態での酵素の安定化作用を有する公知の
各種アミノ酸、糖、ポリオール類を併用してもよい。本
発明の組成物には、上記成分の他にpH調整剤、防腐
剤、香料、色素等の原料の配合も可能である。
【0009】本発明における組成物の水分量は15%以
下、好ましくは10%以下に乾燥するのがよい。組成物
中の水分量が15%を超えると保存期間中のラッカーゼ
の失活を抑えることができない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、実施例を示し本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるも
のではない。また各々の評価基準は以下に示した通りで
ある。
【0011】[ラッカーゼ活性の測定方法]ラッカーゼ
活性は、以下の方法で測定した。すなわちラッカーゼ、
および50mMの酢酸緩衝液を含む水溶液2mlを30
℃に保温、至適pHにおいて52.5ppmのシリング
アルダジン(Syringaldazine)溶液0.
1mlを添加して、530nmの吸光度を経時的に測定
した。1分間に1μmolのシリングアルダジンを酸化
する活性量を1ユニット(以下、Uと略す)と定義し
た。
【0012】[保存安定性評価方法]各ラッカーゼ組成
物をプラスチック製シャーレに入れ、50℃の恒温槽に
1ヶ月間放置した。各試料の酵素活性の残存率は下記の
式で求めた。 酵素活性残存率(%)=(保存後のラッカーゼ活性/保
存スタート時のラッカーゼ活性)×100
【0013】ラッカーゼ0.01g(5000U/g)
を表1に示す水溶性高分子水溶液100gに加えて混
和、テフロン(登録商標)製プレート上に均一に塗布
し、室温で24時間乾燥した。乾燥したものを軽く崩
し、フレーク状とした製品を得た。各々の製品のラッカ
ーゼ活性0.2Uに相当する量(8〜60ミリグラム)
を1ミリリットルの精製水に溶解して、そのうち0.1
ミリリットルを上記ラッカーゼ活性の測定に供した。表
中CMC−Naはダイセル化学工業(株)製カルボキシ
メチルセルロースナトリウムである。
【0014】
【表1】
【0015】ラッカーゼ0.01g(5000U/g)
にCMC−Naの5質量%水溶液、および添加剤を加え
て混和、テフロン製プレート上に均一に塗布し、室温で
24時間乾燥した。収量、酵素活性残存率を表2に示し
た。
【0016】
【表2】
【0017】ラッカーゼ0.01g(5000U/g)
に君津化学工業製アルギン酸ナトリウム(以下、キミツ
アルギンと略す)の2質量%水溶液100gを加えて混
和、テフロン製プレート上に均一に塗布し、室温で24
時間乾燥した。収量、酵素活性残存率を表3に示した。
【0018】
【表3】
【0019】ラッカーゼ0.01g(5000U/g)
にキミツアルギンの2質量%水溶液100g、および添
加剤を加えて混和、テフロン製プレート上に均一に塗布
し、室温で24時間乾燥した。収量、酵素活性残存率を
表4に示した。
【0020】
【表4】
【0021】ラッカーゼ0.01g(5000U/g)
に、表5に示す水溶性高分子の水溶液、および添加剤を
加えて混和、60℃に加温したテフロン製ホットプレー
ト上に均一に塗布し、10分間乾燥した。収量、酵素活
性残存率を表5に示した。実施例32,33,35,3
6はそれぞれ実施例14,16,25,27と同一組成
であるが、乾燥時60℃に過熱したため酵素活性残存率
は下がった。しかし比較例2,3に比べ顕著に保存安定
性が高いことを示している。
【0022】
【表5】
【0023】ラッカーゼ0.01g(5000U/g)
にCMC−Naの5質量%水溶液、および添加剤を加え
て混和、テフロン製プレート上に均一に塗布し、室温で
24時間乾燥した。乾燥後25℃、45〜85%RHの
温湿度下に24時間放置して組成物中の水分量を調整し
た。調温調湿後の収量、水分量、および酵素活性残存率
を表6に示した。各ラッカーゼ組成物は保存期間中に水
分の蒸発を防ぐためにガラスバイアルに入れ密封して保
存した。
【0024】
【表6】
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、高い保存安定性を有す
るラッカーゼ組成物、およびその製造方法が提供され
る。本ラッカーゼ組成物は乾燥した状態で通常の環境下
でも高い安定性を有していることから、使用時までラッ
カーゼ活性を失活することなくラッカーゼの効果を有効
に活用でき、染毛剤、悪臭消臭剤、漂白剤、人工漆、パ
ルプ製造時のリグニンの除去剤として有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル基を有する水溶性高分子が含
    まれる水溶液にラッカーゼを混和後、水分を15%以下
    に乾燥することを特徴とするラッカーゼ活性の安定化方
    法。
  2. 【請求項2】カルボキシル基を有する水溶性高分子が含
    まれる水溶液にラッカーゼを混和後、水分を15%以下
    に乾燥したラッカーゼ組成物。
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