JPH11164651A - 生菌数の低減された飲用または食用葉製品の製造方法 - Google Patents

生菌数の低減された飲用または食用葉製品の製造方法

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JPH11164651A
JPH11164651A JP9335406A JP33540697A JPH11164651A JP H11164651 A JPH11164651 A JP H11164651A JP 9335406 A JP9335406 A JP 9335406A JP 33540697 A JP33540697 A JP 33540697A JP H11164651 A JPH11164651 A JP H11164651A
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JP
Japan
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electron beam
leaf
sterilization
tea leaves
cut
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JP9335406A
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English (en)
Inventor
Toru Hayashi
徹 林
Setsuko Suzuki
節子 鈴木
Genzou Sasaki
玄造 佐々木
Motoko Nakaoka
素子 中岡
Miyoshi Miike
美佳 三池
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RYOOKOKU SHOJI KK
National Food Research Institute
Original Assignee
RYOOKOKU SHOJI KK
National Food Research Institute
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色、香り、味等の品質に劣化を生じさせるこ
となく微生物数が低減された茶葉等の葉製品を提供す
る。 【解決手段】 飲用もしくは食用の葉原料またはその切
断物もしくは破砕物に、縦方向および横方向の振動を同
時に与えることによって、該葉原料またはその切断物も
しくは破砕物を回動させる。回動されている葉原料33
またはその切断物もしくは破砕物33に、160〜23
0keVのエネルギの電子線31を照射する。電子線3
1の照射によって、品質を劣化させることなく葉原料3
3またはその切断物もしくは破砕物33の殺菌を行なう
ことができる。この殺菌方法は、加熱蒸気殺菌等の他の
方法に比べて、殺菌能力等において優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線による殺菌
工程を用いて生菌数の低減された飲用または食用の葉製
品を製造する方法に関し、特に、茶葉等の飲用または食
用の葉製品について、品質の劣化を抑えて生菌数を低減
したものを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】茶葉、ヨモギ葉、ハーブ葉などの植物葉
は、飲用または食用として種々の嗜好品、加工食品に用
いられている。
【0003】近年、これら植物葉の栄養的機能性、風味
等を活かした多くの食品が開発、製造されるようになっ
てきた。一方、近年、食品の安全性、製造物の責任に対
する社会的要求がますます高まってきており、その最終
製品中に含まれる微生物の数は厳しくコントロールして
いかなければならない。このような背景から、茶葉等の
飲用もしくは食用の植物葉に存在する微生物の問題がク
ローズアップされてきている。たとえば、茶葉は、その
製造において通常蒸し工程を経るにもかかわらず、かな
りの数の微生物に汚染されている。そのような茶葉で
も、熱湯を注いで飲用に供する場合には、微生物による
汚染はそれほど問題にならない。しかし、茶葉またはそ
れを粉末にした抹茶等を、洋菓子や和菓子などでそれほ
ど厳しい殺菌工程を経て製造することのできないものに
用いる場合、茶葉または抹茶等に含まれる微生物の問題
は深刻になってくる。従来、茶葉を用いた食品中に含ま
れる微生物の数を厳しく制限しようとすると、添加され
る茶葉の量も制限され、十分な茶葉による栄養的機能
性、風味等を付与できなくなることがあった。
【0004】このような食品衛生を考慮すると、茶葉等
の飲用または食用に供される葉製品についても十分な殺
菌処理を施すべきである。殺菌処理のための候補とし
て、たとえば、乾熱または湿熱による加熱殺菌、加熱水
蒸気殺菌、マイクロ波殺菌、オゾン殺菌、電磁波殺菌、
またはそれらの組合せが考えられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した殺菌
方法では、茶葉等の葉製品の微妙な風味や鮮やかな色を
劣化させることなく十分な殺菌を行なうことは困難であ
った。たとえば茶葉は、微妙な風味およびその色により
品質価値が決まるため、色の変化、香りの変化、脂質の
酸化等は、品質価値の著しい低下に繋がる。特に、加熱
による殺菌処理は、変色および香りの変化を顕著に生じ
させる。また、オゾン殺菌によっても色および香りが退
行する。また、食用である葉製品に対しては、ガス殺
菌、強力な放射線による殺菌は禁じられている。
【0006】本発明の目的は、茶葉などの葉製品につい
て、味、香り、色などの品質をそれほど劣化させること
なく微生物数が顕著に減じられたものを提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、茶葉等の葉
製品の殺菌に低エネルギの電子線を用いることがより好
ましいことを見出した。そして、葉を回動させながら電
子線を照射することによって葉の全面に万遍なく電子線
を照射すれば、比較的低いエネルギの電子線によって効
果的な殺菌処理を行なえることを見出し、本発明を完成
させるに至った。
【0008】本発明は、飲用もしくは食用の葉原料また
はその切断物もしくは破砕物に、振動、超音波、風力、
攪拌等の物理的作用を与えることにより、葉原料または
その切断物もしくは破砕物を回動させながら、100万
電子ボルト未満のエネルギの電子線を葉原料またはその
切断物もしくは破砕物に照射する工程を備えることを特
徴とする。
【0009】本発明において、電子線を照射する工程の
後、得られた葉原料またはその切断物もしくは破砕物を
粉砕して粉末の葉製品を得ることができる。
【0010】本発明は、特に、蒸し工程および乾燥工程
を経た茶葉について生菌数の低減された製品を製造する
ため適している。しかし、本発明の製造方法は、茶葉製
品に限定されることなく、ヨモギ葉、ハーブ葉など飲用
または食用として供される任意の葉製品に適用できるも
のである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、電子線が照射さ
れる材料は、飲用もしくは食用として供される葉または
その切断物である。そのような葉は、茶葉、ヨモギ葉、
ハーブ葉などを含む。茶葉には、緑茶葉などの非醗酵茶
葉、ウーロン茶葉などの半醗酵茶葉、紅茶葉などの全醗
酵茶葉等がある。電子線が照射されるべき葉原料は、洗
浄および乾燥工程などの前処理工程を経たものとするこ
とができる。茶葉の場合、一般に、蒸し工程および乾燥
工程等の処理工程を経た茶葉に電子線が照射される。本
発明において、電子線は、植物から収穫され適当な前処
理工程を経た葉そのものに照射してもよいし、そのよう
な葉を適当な大きさに切断または破砕したものに照射し
てもよい。茶葉等の葉原料をそのように切断または破砕
する場合、たとえば、3mm四方〜8mm四方の大きさ
にすることが好ましい。そのような大きさの材料は、本
発明において電子線を万遍なく照射するのにより適して
いる。
【0012】本発明において、葉原料またはその切断物
もしくは破砕物に、100万電子ボルト未満のエネルギ
で取出された電子線が照射される。本発明では、本質的
に透過力が弱いものであり、葉原料の表層部にしか到達
することができないという性質を持った電子線を用いる
ことができる。電子線源としては、スキャン型電子線照
射装置とエリアビーム型電子線照射装置とがあるが、本
発明にはエリアビーム型電子線照射装置を用いることが
好ましい。葉原料において、微生物は一般にその表面に
存在する。したがって、本発明では、その表面に存在す
る微生物の殺菌を目的として、100万電子ボルト未満
のエネルギの電子線(ソフトエレクトロン)を好ましく
利用することができる。ここで、ソフトエレクトロンと
してはエネルギが160〜250keVの電子線が好ま
しい。対象とする葉の微生物による汚染の度合、葉の種
類、大きさ、形状などを考慮してこの範囲内で適切なエ
ネルギの電子線を選択することができる。たとえば、茶
葉に対しては、180keV〜220keVのソフトエ
レクトロンを好ましく照射することができる。
【0013】葉原料への電子線の照射時間は、ビーム量
によって異なってくるが、微生物による汚染の程度、葉
の種類、形状、その量などを考慮して適宜決定すればよ
い。一方、葉原料が受ける電子線の線量は、1〜30k
Gyの範囲が好ましい。上述したエネルギの範囲または
線量の範囲において、効果的な殺菌を行なうことができ
る。
【0014】本発明において、電子線は、大気雰囲気下
で直接原料に照射することができる。取出される電子線
のエネルギが比較的低いため、原料は包装部材等によっ
て覆われることなく直接電子線に晒されるのが望まし
い。また、原料に電子線を照射するにあたり、原料を非
酸化性雰囲気で覆ってもよい。非酸化性雰囲気には、窒
素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、真空等
がある。電子線の照射時に、窒素ガス、または不活性ガ
スを原料に吹きかけながら電子線を照射してもよいし、
電子線が照射されるチャンバ内を窒素ガス雰囲気、不活
性ガス雰囲気または真空としてもよい。非酸化性雰囲気
で原料を覆いながら電子線を照射することによって、
色、香り等の品質の劣化をさらに抑制することができ
る。
【0015】本発明では、葉原料の表面に電子線を万遍
なく照射するため、葉原料またはその破砕物もしくは切
断物を回動させる。このような回動は、たとえば、原料
に、互いに平行でない少なくとも2方向、たとえば横方
向と縦方向、または水平方向と垂直方向に振動を与える
ことによりもたらすことができる。また、超音波、風
力、ミキシング等の作用により回動させることも可能で
ある。
【0016】本発明では、たとえば図1および図2に示
す回動装置を用いることができる。回動装置の上部に
は、トレー載置台2が設けられ、その上に試料トレー1
が載置される。トレー載置台2の下には、振動器4およ
び振とう器5が直列に並べられている。振動器4および
振とう器5から発生する振動および振とうは、トレー載
置台2に接続される伝動具3によって伝えられる。伝動
具3には、スプリングが好ましく用いられる。振動器4
および振とう器5には、電源スイッチ6を介して電力が
供給される。さらに、作動用スイッチ7(振動器作動
用)および作動用スイッチ8(振とう器作動用)、なら
びにスピードコントローラ9(振動器用)およびスピー
ドコントローラ10(振とう器用)が設けられ、振動器
4および振とう器5についてそれぞれその操作が制御で
きるようになっている。振動器4および振とう器5は、
箱11内に収容され、箱11には、上記スイッチおよび
コントローラ、ならびに電源ランプ12、振動器ランプ
13、振とう器ランプ14、ヒューズ15およびアジャ
ストボルト16が設けられている。本実験例で用いられ
た装置本体(箱で覆った部分)は、幅35cm×奥行3
0cm×高さ30cm(試料トレー上端までの高さは4
5cm)の寸法を有していた。トレーはプラスチック製
であった。トレーの寸法は幅30cm×奥行9cm×深
さ3.5cmであった。トレー載置台上のトレーの振幅
は3cm、上下動は0.2cmに設定された。なお、本
発明に用いることのできる回動装置の材質、寸法、構
成、設定条件等は、上述したものに限定されることな
く、その使用目的等に応じて適宜変更することができ
る。
【0017】電子線による殺菌工程においては、まず、
回動装置を電子線発生装置の下に置くとともに、装置を
起動させるため、電源(図示省略)と接続する。次い
で、殺菌を必要とする葉の適当量を試料トレー1に収容
する。このトレー1をトレー載置台2に取付け、電源ス
イッチ6をONにする。さらに、振動器作動用スイッチ
7および振とう器作動用スイッチ8をそれぞれONにし
て振とう器および振動器を同時に作動させる。振動器4
および振とう器5によって発生した振動と振とうは、伝
動具3を介してトレー載置台2に伝えられ、それによっ
て試料トレー1内の葉は縦方向の振動と横方向の振とう
が与えられ、回動する。スピードコントローラ9とスピ
ードコントローラ10によってそれぞれ振動器4および
振とう器5の動きを調節する。この調節により、試料ト
レー1内の葉が均一かつ適当に回動するようになる。縦
方向の振動は、たとえば10〜100サイクル/秒の範
囲とすることができ、横方向の振とうはたとえば1〜1
00サイクル/秒の範囲とすることができる。葉の形
状、大きさ、比重、量等に応じて、これらの速度を調節
し、適当な回動状態を与えることができる。なお、振動
と振とうのどちらか一方のみを与える場合、それらの速
度を変化させても、すべての葉を回動させて電子線を均
一に照射することは困難となり、殺菌効率が著しく低下
する。
【0018】上述した装置により葉を回動させながら電
子線発生装置からソフトエレクトロンを照射して殺菌を
行なう。この場合、電子線発生装置の照射窓からトレー
底面までの距離は30cm程度までであり、好ましくは
5〜20cm程度である。この距離が短すぎると、葉表
面を均一に殺菌することが難しくなる傾向にあり、離れ
すぎると十分な殺菌効果が得られなくなる傾向にある。
葉を回動させながらソフトエレクトロンを所定時間照射
することによって効果的な殺菌が行なわれる。
【0019】電子線照射装置には、たとえば図3に示す
ような装置を用いることができる。電子線照射装置20
において、電子線は、フィラメント電源22に接続され
たタングステンフィラメント21から発生する。発生さ
れた電子は、直流高圧電源25に接続された加速電極2
4を有する加速管23によって加速される。加速電圧
は、分圧抵抗26によって調節することができる。加速
管23を通過する電子流31は、走査コイル27を経て
走査管28に導かれる。加速管23および走査管28内
は真空ポンプ29によって真空状態に保たれている。走
査管28に導かれた電子流は薄い金属箔、たとえばチタ
ン箔からなる照射窓箔32を介して外に取出される。本
発明において、この取出される電子線のエネルギ(加速
電圧)は、1MeV未満である。取出された電子流31
(電子線)は殺菌処理をすべき原料33に照射される。
原料33は、照射窓箔32から適当な距離において、上
述したような装置によって回動されている。
【0020】電子線発生装置から照射されたソフトエレ
クトロンが原料に当たるときのエネルギは、下記の計算
式により求めることができる。
【0021】電子のエネルギ(keV)=元のエネルギ
(keV)−阻止能(keV・cm 2 /g)×物質の厚
さ(cm)×比重(g/cm3 ) たとえば、電子線発生装置出口直近(チタン窓箔の内
側)での電子エネルギが160keVのとき、該装置出
口(チタン窓箔の外側)での電子エネルギは、上式に、
チタンの阻止能:2287keV・cm2 /g(ICRU R
EPORT 37,Stopping Powers for Electrons and Positr
ons ,84頁,1984年10月1日発行参照)、物質
(チタン窓箔)の厚さ:0.005cm、比重:4.5
4g/cm 3 を代入して、108.1keVとして算出
される。
【0022】殺菌すべき原料が電子線発生装置から5c
m離れた位置にある場合、原料に当たるときの電子エネ
ルギは、空気の阻止能:3637keV・cm2 /g
(ICRUREPORT 37,Stopping Powers for Electrons and
Positrons ,120頁,1984年10月1日発行参
照)、物質の厚さ:5cm、比重:1.20×10-3
/cm3 を上式に代入して、86.3keVとして算出
される。該装置から原料が20cm離れた位置にある場
合、原料に当たるときの電子エネルギは、同様の計算に
より20.8keVとなる。
【0023】一方、電子線発生装置からの電子エネルギ
が250keVであり、該装置から原料までの距離が5
cmの場合、原料に当たるときの電子エネルギは、同様
の計算により、194.2keVとなる。また、電子線
発生装置からの電子エネルギが250keVであり、該
装置から原料までの距離が20cmの場合、原料に当た
るときのエネルギは149.6keVとなる。
【0024】葉製品の製造において、上述してきた殺菌
工程の後は、粉砕工程、包装工程等の種々の工程を必要
に応じて行なうことができる。たとえば、粉末状の葉製
品を製造する場合、本発明に従って葉原料またはその切
断物もしくは破砕物を電子線処理した後、粉砕工程に供
することができる。一般に、粉砕した粉状の葉製品を電
子線によって殺菌処理するよりも、粉砕する前の葉原料
またはそれを適当な大きさに切断もしくは破砕したもの
を回動させながら電子線により殺菌処理した方が、より
低い電子線エネルギまたはより少ない電子線照射量で効
果的な殺菌を行なうことができる。これは、一般に微生
物が原料の表面にのみ存在しており、適当な大きさの原
料を回動させながらその表面に効果的に電子線を照射す
ることによって、殺菌効率を向上させ、その結果エネル
ギまたは線量を低く抑えることができるからである。粉
砕された葉の形状および粒度等は、特に制限されるもの
ではなく、たとえば粒径2〜15μmの微粉末のものか
ら、粒径100μmあるいはそれ以上の粗いものまで広
い範囲のものが含まれる。たとえば、本発明に従って茶
葉を粉砕した場合、飲用の抹茶もしくは粉茶、飲料の原
料としての抹茶もしくは粉茶、加工食品の原料としての
抹茶もしくは粉茶が得られる。また、電子線による殺菌
工程の後、処理された原料に種々の添加物を加えてもよ
い。これら粉砕工程、添加物混合工程、さらには容器や
袋等に充填する包装工程においては、電子線により殺菌
された材料に微生物が混入しないよう留意することが望
ましい。たとえば、通常の技術により、クリーンルーム
等の微生物が低減された環境下においてこれらの工程を
行なうことができる。本発明によれば、香り、色および
味等の品質が優れかつ生菌数の低減された従来にない茶
葉製品等の葉製品を製造することができる。以下、実施
例により本発明をより詳細に説明していくが、本発明は
これらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
【実施例】通常の加工用緑茶葉製造工程に従って、茶葉
を蒸しかつ乾燥した後、切断を行ない適当な大きさの茶
葉を得た。得られた茶葉の大きさは、5mm四方程度で
あった。上記工程を経た3種類の茶葉(一番茶、四番
茶、およびモガ)のそれぞれについて一般生菌数を測定
するとともに、種々の方法によって殺菌処理を行なっ
た。
【0026】本発明に従う方法では、図3に示すような
電子線照射装置の下に図1および2に示すような回動装
置を設置し、茶葉を回動させながら電子線を照射した。
電子線照射装置として、日新ハイボルテージ株式会社製
バン・デ・グラーフタイプ電子加速器を用いた。装置の
定格加速電圧は0.2〜4.0MeVであった。それぞ
れの殺菌処理において、200keVのエネルギ(加速
電圧)の電子線を照射した。ビーム電流は8μAであっ
た。回動装置の試料トレーに、7gの茶葉を薄く伸ばし
て載置した。電子線照射窓から茶葉までの距離は、約1
5cmであった。これに、約5サイクル/秒の横振動お
よび約30サイクル/秒の縦振動を与えて、茶葉を回動
させながら、大気雰囲気下で上記エネルギの電子線を照
射した。各茶葉に対し、7.5分、15分、30分それ
ぞれ電子線を照射した。殺菌処理して得られた各サンプ
ルについて、それぞれ一般生菌数、大腸菌群、褐変度お
よび香りについて調べた。
【0027】一般生菌数については、標準寒天混釈平板
培養法を用いた。すなわち、それぞれのサンプルに滅菌
生理食塩水を添加し、10倍および100倍、または3
0倍および300倍の混釈培養液を調製した。それぞれ
の希釈混合液を2枚のシャーレに無菌的に1mlずつ接
種した。次いで、滅菌後保温(45〜55℃)しておい
た標準寒天培地をシャーレに約20ml分注し、混釈
後、表面を無菌的に乾燥し、35℃±1℃で、48±2
時間培養した。その後、コロニーが発生しているシャー
レ中のすべてのコロニーを数え、平均値を取った。
【0028】大腸菌群については、デゾキシコレート混
釈培養法による推定試験およびBGLBガス発生試験法
による推定試験を行なった。デゾキシコレート混釈培養
法では、一般生菌数の場合と同様に希釈混合液を調製
し、10倍または30倍希釈混合液をシャーレに無菌的
に1mlずつ接種した。溶解後保温(45〜55℃)し
ておいたデゾキシコレート培地を約20ml分注し、混
釈後、表面を無菌的に乾燥し、35℃±1℃で、20±
2時間培養した。明らかな赤色コロニーが2枚の平板に
1個でも発育した場合、陽性と判定した。BGLBガス
発生試験法では、一般生菌数の場合と同様にして希釈混
合液を調製し、10倍または30倍希釈混合液を、BG
LB培地が分注されたダラム管入り試験管に無菌的に1
mlずつ接種した。35℃±1℃において48±2時間
培養した後、ガスの発生の有無について調べた。ガスが
発生した場合、陽性と判定した。
【0029】褐変度の試験においては、それぞれのサン
プルを70℃で15時間保存した後、肉眼にて褐変がな
く色のよい順に1〜5まで5段階で評価指数を付けた。
1は殺菌処理を施していない無処理の褐変度、2は1と
比較してわずかに褐変していること、3は1と比較して
やや褐変していること、4は1と比較してかなり褐変が
認められること、5は1と比較して非常に褐変している
ことを示す。
【0030】香気成分評価試験はパージ・アンド・トラ
ップ法およびGC/MS分析を用いて以下のように行な
った。香気成分の捕集は、図4に示すパージ・アンド・
トラップ装置40を用いて行なった。それぞれのサンプ
ル4gを入れたパージ・トラップ用ガス容器41の中央
の濾紙(8mmi.d.)42を入れたペトリ皿(9m
mi.d.×6mm)43を置き、濾紙42上に内部照
準として0.05%シクロヘキサノール水溶液15μl
を添加後、密封して、40℃に10分間保持した。その
後、ガスボンベ44から窒素ガスを40ml/分の流量
で10分間パージした後、Tenax TA(60〜8
0メッシュ、200mg)を充填したガラスカラム45
で30分間香気成分を捕集した。香気成分を捕集したガ
ラスカラムをガスクロマトグラフに装着し、200℃で
10分間加熱して捕集成分を脱着した。キャリアガスに
よって導入を行ない、液体酸素で冷却することによっ
て、捕集成分をキャピラリカラムの一部にクライオフォ
ーカシングさせた。ガスクロマトグラフは質量分析計に
接続されており、GC/MSによって捕集成分の分析を
行なった。成分の同定は、ライブラリサーチシステム
(ITD 800、FinniganMAT製)による
検索と、標品の質量スペクトルおよびKorats I
ndex(KI値)から行なった。一般にお茶の劣化の
指標となる1−ペンテン−3−オール、2−ペンテン−
1−オール、および酢酸、ならびに加熱臭の指標となる
ジメチルスルフィドについて分析を行ない、香りの劣化
の指標とした。GC/MS分析におけるこれらの物質の
ピーク面積強度を求め、それぞれのサンプルの香気成分
について比較した。これらの物質の量が多いことは、香
りの劣化が進んでいることを意味する。
【0031】比較例として、茶葉に他の殺菌処理方法を
施し、処理後の一般生菌数を測定した。用いた他の殺菌
方法は、高周波殺菌(20kHz、6分間)、磁場殺菌
(10,000G、24時間)、遠赤外線殺菌(200
℃、2分間)、遠赤外線(80℃、10分間)+エタノ
ール蒸気(10分間)殺菌、加熱水蒸気殺菌(260
℃、1atm、10秒)、紫外線殺菌(60W、15分
×4)および紫外線(60W、60分間)+アルコール
蒸気(60分間)+オゾン(3.5cc/秒、60分
間)殺菌であった。なお、上述した香りについての試験
では、殺菌処理をなにも施していないもの、上述したよ
うに電子線処理を行なったもの、および殺菌効果が電子
線処理とほぼ同じになる加熱処理(140℃,20分)
を施したものについて比較を行なった。
【0032】得られた結果を以下の表に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】表1〜3から明らかなように、電子線によ
る殺菌処理は、他の方法による殺菌処理に比べて明らか
に優れていた。官能評価の結果、電子線による殺菌処理
後のサンプルは、品質の劣化がほとんどないと判断され
た。一方、遠赤外線を用いる殺菌(dおよびe)、加熱
水蒸気殺菌(f)および紫外線+アルコール+オゾン殺
菌(h)では、官能評価においてサンプルは劣化してい
るという判断が下された。また、香りの劣化の指標とな
る香気成分の変化は、図5および図6に示すとおりであ
った。図に示すように、電子線処理のものは未処理のも
のに比べて香気成分の量の変化がほとんど見られなかっ
た。一方、加熱処理では、指標となる香気成分の量が顕
著に増加しており、香りが劣化していることを示してい
た。
【0037】以上のようにして殺菌処理した茶葉を、石
臼で碾いて粒径が2〜15μmの抹茶を得た。得られた
抹茶について、一般生菌数を測定した結果、茶葉の場合
と同様の結果が得られた。すなわち、殺菌工程を経てい
ない茶葉からの抹茶には、原料茶葉とほぼ同じ数の一般
生菌数が検出された。また、電子線処理以外の方法で殺
菌処理したものについても上記とほぼ同じ数の一般生菌
数が検出された。一方、電子線処理した茶葉からの抹茶
では、7.5分電子線処理のものについて1gあたり1
0個程度の一般生菌数が検出されたが、15分および3
0分の電子線処理のものについては1gあたりの一般生
菌数は0であった。電子線処理後の茶葉を粉砕すること
により、好ましい品質を保持しかつ生菌数が顕著に低減
された抹茶が得られた。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、低エネルギの電子線に
よって葉製品の殺菌を効果的に行なうことができる。本
発明によれば、加熱水蒸気殺菌、オゾン殺菌等の他の殺
菌方法に比べて葉製品の品質の劣化を顕著に抑えること
ができる。たとえば、本発明により製造される茶葉製品
は、殺菌処理を施さなかったものに匹敵する香り、色お
よび味等の品質を維持しながら、生菌数が顕著に減らさ
れたものとなっている。本発明は、葉製品について、そ
の好ましい品質を維持しながら厳しい衛生基準を満足さ
せることのできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる回動装置の一具体例を示す正面
図であり、点線部は内部の振動器と振とう器を示してい
る。
【図2】図1に示す回動装置の側面図であり、点線部は
内部の振動器と振とう器を示している。
【図3】本発明に用いる電子線照射装置の一具体例を示
す模式図である。
【図4】実施例において香りの試験に用いられたパージ
・アンド・トラップ装置を示す模式図である。
【図5】香り試験の結果を示す図である。
【図6】香り試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 試料トレー 2 トレー載置台 3 伝動具 4 振動器 5 振とう器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 玄造 広島市西区商工センター5丁目7番5号 リヨーコクシヨウジ株式会社内 (72)発明者 中岡 素子 広島市西区商工センター5丁目7番5号 リヨーコクシヨウジ株式会社内 (72)発明者 三池 美佳 広島市西区商工センター5丁目7番5号 リヨーコクシヨウジ株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 飲用もしくは食用の葉原料またはその切
    断物もしくは破砕物に、振動、超音波、風力、攪拌等の
    物理的作用を与えることにより、前記葉原料またはその
    切断物もしくは破砕物を回動させながら、100万電子
    ボルト未満のエネルギの電子線を前記葉原料またはその
    切断物もしくは破砕物に照射する工程を備えることを特
    徴とする、生菌数の低減された飲用または食用葉製品の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記電子線を照射する工程の後、得られ
    た前記葉原料またはその切断物もしくは破砕物を粉砕し
    て粉末の葉製品を得る工程を備えることを特徴とする、
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記葉原料が蒸し工程および乾燥工程を
    経た茶葉であることを特徴とする、請求項1または2に
    記載の製造方法。
JP9335406A 1997-12-05 1997-12-05 生菌数の低減された飲用または食用葉製品の製造方法 Pending JPH11164651A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005095573A (ja) * 2003-08-21 2005-04-14 Kozo Fujita 殺菌装置及び粉砕殺菌装置
JP2015002715A (ja) * 2013-06-21 2015-01-08 株式会社大石茶園 桑葉加工品及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2015002715A (ja) * 2013-06-21 2015-01-08 株式会社大石茶園 桑葉加工品及びその製造方法

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