JPH11162099A - ハードディスク装置 - Google Patents

ハードディスク装置

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JPH11162099A
JPH11162099A JP34379197A JP34379197A JPH11162099A JP H11162099 A JPH11162099 A JP H11162099A JP 34379197 A JP34379197 A JP 34379197A JP 34379197 A JP34379197 A JP 34379197A JP H11162099 A JPH11162099 A JP H11162099A
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cutting
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリーンチャンバー内に使用されるステンレ
ス鋼からのイオウを含むガスの発生を抑え耐食性低下を
防止しかつステンレス材表面の介在物によるパーティク
ルコンタミネーションを防止する。 【解決手段】 スピンドルモータにより回転されるハー
ドディスク8、このハードディスク8に対してアクセス
する磁気ヘッド32等をクリーンチャンバー内に収容し
てなるハードディスク装置において、クリーンチャンバ
ーの内部空間で構成される部材のうち、ステンレス鋼は
快削性ステンレス鋼からなり、この快削性ステンレス鋼
は、組成成分に関してイオウを0.25%以上含有し、
マンガンとイオウの比率Mn/Sが1.8以下であり、
かつ、快削性ステンレス鋼が酸洗いされていることを特
徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータシス
テムにおける補助記憶装置として用いられるハードディ
スク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、ハードディスク装置は、ベース部
材とカバー部材とでクリーンチャンバーを構成し、クリ
ーンチャンバー内の清浄空間内にハードディスクを収容
し、ヘッドアームにより支持された磁気ヘッドによりハ
ードディスクに対するアクセスを行うように構成されて
いる。
【0003】より具体的には、クリーンチャンバー内
に、スピンドルモータの少なくともロータハブを回転自
在に収容し、これに1枚或いは複数枚のハードディスク
を装着している。また、クリーンチャンバー内に、ボイ
スコイルモータを含むヘッドアッセンブリが収容され、
ボイスコイルモータにより回動されるアームの先端の磁
気ヘッドをハードディスク表面に対してトレースするこ
とによりデータの読み書きを可能にしている。
【0004】この種ハードディスク装置においては、記
録密度を高めると共にヘッドとディスク表面間への塵埃
粒子の噛み込みに起因するクラッシュを防止する必要
上、クリーンチャンバー内における空気の清浄度を高い
レベルに保持する必要があり、大気と遮蔽して塵埃の流
入を阻止するだけでなく、チャンバー内における塵埃粒
子いわゆるコンタミネーションの発生を抑制する必要が
ある。
【0005】クリーンチャンバー内の構成部品,例えば
スピンドルモータにおけるシャフトやロータハブ、ヘッ
ドアッセンブリのシャフトやアーム部材或いは各種の止
めねじ等の部品として、一般的な鉄や構造用鋼に比べて
錆びにくいステンレス鋼が多用されるようになっている
のもこのような理由によるところが大きい。
【0006】一方、ハードディスク装置のような精密機
械に使用される部品には、高い寸法精度が要求されるこ
とから、材料自体が優れた成形加工性を有することが求
められている。中でも切削加工は最もよく利用される加
工法であり、材料の被削性を改善する為に種々快削元素
を添加した快削鋼が多用されている。上述したステンレ
ス鋼は比較的削りにくい材料であるが、快削元素として
イオウ(S)や,テルル(Te)、セレン(Se)等を
添加することにより被削性を改善している。快削性成分
としてイオウを0.25%以上含有するステンレス鋼は
コストが安くて良好な切削性が得られることから一般に
よく使用されている。このイオウは主にマンガンサルフ
ァイド(MnS)として鋼中に存在し、このマンガンと
イオウとの比率Mn/Sは製造安定面,切削加工面から
通常4前後に設定されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】ところで、被削性を向上させるために多用
されているイオウは、上述したとおり主にマンガンと結
合してマンガンサルファイドとして存在するが、このマ
ンガンサルファイドは大気中の水分と反応して腐食性ガ
スである硫化水素(H2S)を発生することがあり、比
率Mn/Sを4前後に設定した通常のステンレス鋼では
上述したハードディスク装置のクリーンチャンバー内で
の使用に支障がある。
【0008】一方、比率Mn/Sが1.8以下のステン
レス鋼にあっては、前述したようなイオウを含むガスの
発生はほとんどない。これは比率Mn/Sを下げること
で、Mnの組成が少なく、化学的に活性なマンガンサル
ファイドが生成しにくくなり量が減ると同時に安定なク
ロムサルファイド(CrS)が増加するためである。
【0009】しかし、比率Mn/Sが1.8以下のステ
ンレス鋼の場合、湿潤環境下での化学的安定性が増すも
のの、そのままの状態では錆の発生の問題がある。しか
も、快削性成分であるイオウを含むパーティクルの発生
もあり、腐食性パーティクルによるコンタミネーション
の可能性がある。
【0010】ここで、上述したような快削性成分として
イオウを0.25%以上含有し比率Mn/Sが4前後の
ステンレス鋼に対し、熱処理いわゆるベーキングすれ
ば、イオウガスを強制的に放出させることが可能であ
り、コンタミネーションの抑制効果は期待できるが、量
産性が悪く、しかも設備コストに問題がある。
【0011】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に留意して成されたものであり、その目的とする
ところは、クリーンチャンバー内に使用されるステンレ
ス鋼からのイオウを含むガスの発生を抑え耐食性低下を
防止でき、しかもステンレス材表面の介在物によるパー
ティクルコンタミネーションを防止したハードディスク
装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のハードディスク装置にあっては、スピンド
ルモータにより回転されるハードディスク、該ハードデ
ィスクに対してアクセスする磁気ヘッド等をクリーンチ
ャンバー内に収容してなるハードディスク装置であっ
て、前記クリーンチャンバーの内部空間に露出する部材
のうち、ステンレス鋼は快削性ステンレス鋼からなり、
該快削性ステンレス鋼は、組成成分としてイオウを0.
25%以上含有しかつマンガンとイオウの比率Mn/S
が1.8以下であり、かつ、該快削性ステンレス鋼が酸
洗いされていることを特徴とするものである。
【0013】この場合、酸洗いを、快削性ステンレス鋼
の表面に残存する汚れ,錆,スケールを除去することの
可能な酸水溶液により行うことが望ましく、主に硝酸溶
液により行うのがよい。また、快削性ステンレス鋼は、
前記酸洗いの後に、中和処理し、クロメート処理すると
なおよい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照しつつ説明する。図1はハードディスク装置の一部
(カバー部材)を取り除いた状態の概略の平面構成を,
図2は断面構成を示している。
【0015】このハードディスク装置は、ベース部材2
とこの上面を覆うカバー部材4とからなるクリーンチャ
ンバーを有し、このクリーンチャンバー内に清浄環境が
保たれるよう外部より隔離された内部空間6が形成され
ている。クリーンチャンバー内の内部空間6には中央開
口を有する少なくとも1枚(具体例では2枚)のハード
ディスク8がスピンドルモータ10により回転出来るよ
うに収容されている。
【0016】スピンドルモータ10は、ベース部材2に
植設されたシャフト12と、このシャフト12の上部に
一対の軸受14により回転自在に支持されたカップ状の
ロータハブ16と、シャフト12の下部に固着されロー
タハブ16に装着されたロータマグネット18に僅かな
間隙を介して対向したステータ20とを備えており、シ
ャフト12の上端がねじによりカバー部材4に固着され
支持されている。2枚のハードディスク8はその中央開
口をロータハブ16の外周面に嵌合させ、両者間にスペ
ーサ22を介在させた状態でクランプ部材24を用いて
ロータハブ16に固定されている。
【0017】また、クリーンチャンバーの内部空間6内
には、ヘッドアッセンブリ26が収容されている。この
ヘッドアッセンブリ26は、ベース部材2に植設された
ピボットシャフト28に複数対(具体例では2対)のヘ
ッドアーム30を回動自在に支持すると共に、各ヘッド
アーム30の先端に磁気ヘッド32を取付け、ヘッドア
ーム30の基部側に設けたボイスコイル34への通電に
より上下固定ヨーク板36に対してヘッドアーム30を
揺動操作する構成になっており、ヘッドアーム30が揺
動することにより、磁気ヘッド32がハードディスク8
表面上をトレースし、ハードディスク8に対するデータ
の読み書きを可能にしている。
【0018】上記内部空間6内には、上述したように、
ハードディスク8を回転駆動するためのスピンドルモー
タ10やハードディスク8に対する磁気ヘッド32のト
レースを駆動制御するヘッドアッセンブリ26等が収容
されているが、これらの収容部品の内、ロータハブ16
やシャフト12,28等、ステンレス鋼で構成されてい
るもの、つまり内部空間6内で構成されるステンレス部
品には、快削性ステンレス鋼材が用いられている。
【0019】この快削性ステンレス鋼材は、組成成分と
してイオウ(S)を0.25%以上含有し、良好な快削
性を得ている。この快削性元素であるイオウは主にマン
ガンサルファイド(MnS)等として鋼中に存在する
が、このマンガン(Mn)とイオウとの比率Mn/Sは
1.8以下、望ましくは1.5以下に設定され、化学的
に活性なマンガンサルファイドの量が少なくなる状態に
保たれている。
【0020】さらに、上記条件に設定されたステンレス
鋼材は、所望形状になるよう切削加工が施された後、硝
酸等の水溶液を用いて酸洗いされ、ステンレス鋼表面が
洗浄される。すなわち、加工時に使用する切削油中の塩
素やイオウの除去、加工時に発生するスケールの除去、
並びに快削成分であるマンガンサルファイド等の微粒子
が除去される。これにより、本ステンレス鋼材に特有の
高耐食性が発揮され、並びにパーティクルによるコンタ
ミネーションの発生が防止される。
【0021】なお、前記酸洗いは、快削性ステンレス鋼
表面の汚損やスケール或いは快削成分を除去できるもの
であれば他の溶液を使用することもでき、例えば硫酸,
塩酸,フッ化水素酸の水溶液等を用いることもできる。
【0022】酸洗いが施されたステンレス鋼は、上述し
たように、耐食性を向上し、パーティクルコンタミネー
ションを防止することが出来るが、耐食性を更に向上さ
せる場合には、酸洗い後のステンレス鋼に対しアルカリ
中和処理した後、クロメート処理すれば、ステンレス鋼
表面に強制的に酸化皮膜を形成でき、耐食性が格段に高
まる。
【0023】次に、本発明の効果を以下の実施例にて説
明する。 〔実施例1〕イオウ0.3%,マンガン0.4%(Mn
/S=1.33)を含有する18クロムステンレス鋼を
切削加工して、図3に示す形状のロータハブ40すなわ
ちハードディスク装置のクリーンチャンバー内に収容さ
れるスピンドルモータのロータハブを形成する。このロ
ータハブ40をアルカリ脱脂した後、50℃の10%硝
酸水溶液にて40分間酸洗いを行い、水洗,湯洗,純水
洗を行い、熱風乾燥させる。こうして得られたロータハ
ブに銀板(ステンレス板に銀メッキしたもの)を巻き付
け、さらにアルミホイルで包み、120℃にて4時間保
持する。その後銀板を取り出し、変色の度合いを目視に
て調査する(銀板変色試験)。
【0024】次に、酸洗いしたロータハブ20個を80
℃×90%の雰囲気下に360時間保存した後、ロータ
ハブを取り出し、光学顕微鏡にて錆の有無を調査する。
さらに酸洗いしたロータハブ3個の表面を導電性テープ
にて脱着し、テープ上に付着した異物を任意に50個走
査型電子顕微鏡/エネルギー分散X線解析装置(SEM
/EDX)にて分析し、イオウを含むパーティクルの数
を調査する。以上の評価を行ったところ図4のa)の結
果を得た。図4において、錆の発生数とは、20個のロ
ータハブのうち錆を発生したロータハブの個数のことで
あり、また、イオウを含むパーティクル数とは、50個
の異物のうちその異物がイオウを含むパーティクルであ
った場合の個数のことである。
【0025】〔実施例2〕実施例1で作成したロータハ
ブをアルカリ脱脂後、50℃5%硝酸水溶液にて40分
間酸洗いを行い、水洗,湯洗,純水洗を行い、熱風乾燥
させる。こうして得られたロータハブを同様に評価した
ところ図4のb)の結果を得た。
【0026】〔実施例3〕実施例1で作成したロータハ
ブをアルカリ脱脂後、10%硝酸と2%フッ酸の混合酸
溶液に3分間浸漬して酸洗いを行い、水洗,湯洗,純水
洗を行って後、熱風乾燥させる。こうして得られたロー
タハブを同様に評価したところ図4のc)の結果を得
た。
【0027】〔比較例1〕実施例1に示すロータハブを
酸洗いせず、そのまま塩化メチレン洗浄と中性洗剤によ
る水洗浄を行う。このロータハブを用いて同様の評価を
行ったところ図4のd)の結果を得た。
【0028】〔実施例4〕実施例1にて酸洗いを行った
ロータハブを80℃20%水酸化ナトリウム溶液に30
分間浸漬させ、さらに70℃の5%重クロム酸ナトリウ
ム水溶液に30分間浸漬し、クロメート処理した後、同
様の評価を行ったところ図4のe)の結果を得た。
【0029】図4の結果から明らかなように実施例1〜
4は、比較例と比べて耐食性が向上し、かつイオウを含
むパーティクルの付着も認められない。そして、ハード
ディスク装置に悪影響のあるイオウを含むガスの発生も
なく、本発明の効果は顕著であった。
【0030】以上、本発明の具体例について説明した
が、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本
発明の要旨を逸脱することなく種々の変更、修正が可能
である。
【0031】
【発明の効果】本発明のハードディスク装置は、以上説
明したように構成されているので、次に記載の効果を奏
する。請求項1記載のハードディスク装置にあっては、
クリーンチャンバーの内部空間で構成される部材のうち
ステンレス鋼が、快削成分としてイオウを0.25%以
上含有する快削性ステンレス鋼により構成されているの
で、被削性が良好となり、所望形状の部材が高精度に得
られ、しかも組成成分のマンガンとイオウの比率Mn/
Sが1.8以下に抑えられているので、ステンレス鋼中
における化学的に活性なマンガンサルファイドの量が少
なくなる状態に保たれ、ステンレス鋼単独でのイオウを
含むガスの発生を抑えることができる。加えて、ステン
レス鋼は酸洗いされるので、加工時のスケールや快削成
分である微粒子をステンレス鋼表面より除去することが
でき、耐食性の向上と共にパーティクルによるコンタミ
ネーションを防止することができる。
【0032】また、請求項4記載のハードディスク装置
にあっては、酸洗いされた前記快削性ステンレス鋼に対
し、中和処理後にクロメート処理を施すようにしている
ので、ステンレス鋼の耐食性を更に向上することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するハードディスク装
置のカバー部材を取り除いた状態の平面図である。
【図2】同ハードディスク装置の切断正面図である。
【図3】実験試料であるスピンドルモータのロータハブ
の一部除去した正面図である。
【図4】実施例及び比較例の実験結果を示す図である。
【符号の説明】
2 ベース部材 4 カバー部材 6 内部空間 8 ハードディスク 10 スピンドルモータ 40 ロータハブ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピンドルモータにより回転されるハー
    ドディスク、該ハードディスクに対してアクセスする磁
    気ヘッド等をクリーンチャンバー内に収容してなるハー
    ドディスク装置であって、 前記クリーンチャンバーの内部空間で構成される部材の
    うち、ステンレス鋼は快削性ステンレス鋼からなり、 該快削性ステンレス鋼は、組成成分に関してイオウを
    0.25%以上含有し、マンガンとイオウの比率Mn/
    Sが1.8以下であり、 かつ、該快削性ステンレス鋼が酸洗いされていることを
    特徴とするハードディスク装置。
  2. 【請求項2】 前記酸洗いは、快削性ステンレス鋼の表
    面に残存する汚れ,錆,スケールを除去することの可能
    な酸水溶液により行われることを特徴とする請求項1記
    載のハードディスク装置。
  3. 【請求項3】 前記酸洗いは、主に硝酸溶液により行わ
    れることを特徴とする請求項1記載のハードディスク装
    置。
  4. 【請求項4】 前記快削性ステンレス鋼は、前記酸洗い
    の後に、中和処理され、さらにクロメート処理されるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハード
    ディスク装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001298899A (ja) * 2000-04-11 2001-10-26 Nippon Densan Corp 動圧軸受モータ及びこれを用いたディスク駆動装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001298899A (ja) * 2000-04-11 2001-10-26 Nippon Densan Corp 動圧軸受モータ及びこれを用いたディスク駆動装置

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