JPH11161140A - ホログラム記録材料 - Google Patents

ホログラム記録材料

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JPH11161140A
JPH11161140A JP32503297A JP32503297A JPH11161140A JP H11161140 A JPH11161140 A JP H11161140A JP 32503297 A JP32503297 A JP 32503297A JP 32503297 A JP32503297 A JP 32503297A JP H11161140 A JPH11161140 A JP H11161140A
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JP
Japan
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hologram recording
recording material
hologram
epoxy oligomer
thermosetting epoxy
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JP32503297A
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English (en)
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Hiromitsu Ito
浩光 伊藤
Makoto Kume
誠 久米
Yasushi Oe
靖 大江
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光開始剤の増感剤に用いられるイオン性染料が
バインダーやモノマーが溶解する一般的な有機溶剤には
解け難くく増感剤を適当量混合できないためホログラム
記録材料の感度の低下、また混合しても相溶性がないた
めに凝集、析出する問題点を解決し、化学的安定性、例
えば、耐光性、耐熱性、保存安定性に優れ、且つ感光性
が高くしかも感光速度の大きなホログラム記録材料を提
供する。 【解決手段】熱硬化性エポキシオリゴマー(A)と、光
重合性化合物(B)と、光開始剤(C)と、色素増感剤
(D)とからなるホログラム記録材料は、可視光領域に
て増感可能なイオン性色素増感剤(D)が、熱硬化性エ
ポキシオリゴマーの構造中にイオン結合していることに
より、増感剤効率の向上、増感剤の揮発防止、ホログラ
ム記録材料の高感度化および高解像度化や化学的安定化
など優れた特性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体積位相型ホログ
ラム形成に用いられるホログラム記録材料にかかり、可
視光、特にアルゴンレーザ光、或いは電子線に対して高
感度で、さらに耐候性及び保存安定性に優れ、かつ解像
度、回折効率、透明性などのホログラム特性値が良好な
ホログラムを提供するためのホログラム記録材料に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ホログラムは3次元立体像の再生
が可能であることから、その優れた意匠性、装飾効果か
ら書籍、雑誌等の表紙、POPディスプレイ、ギフト等
に利用されている。また、ホログラムはサブミクロン単
位での情報と等価であると言えることから、有価証券、
クレジットカード等の偽造防止用のマークなどにも利用
されている。特に体積位相型ホログラムは、ホログラム
記録媒体中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる空間的
な干渉縞を形成することによって、像を通過する光ビー
ムを吸収することなく位相を変調することが出来るた
め、近年においては、ディスプレイ用途の他に、自動車
搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)に代表さ
れるホログラム光学素子(HOE)への応用が期待され
ている。
【0003】ところで体積位相型ホログラム記録材料
は、可視発振波長を持つレーザ光に高感度で感光し、し
かも高い解像性を示すことが要求される。また、実際に
作製したホログラムの回折効率、再生光の波長再現性や
バンド幅(再生光ピークの半値幅)等の特性が、その使
用目的に合うことが要求される。特にHOE用ホログラ
ム記録材料には、回折効率が空間周波数5000〜60
00本/mmで90%以上、再生光のピークの半値幅
(バンド幅)が20〜30nm、再生波長のピーク波長
は、撮影波長から5nm以内であることが望ましく、さ
らに、長期にわたって保存安定性に優れていることも必
要とされている。
【0004】ホログラム作製に関する一般的原理は、い
くつかの文献や専門書、たとえば「ホログラフィックデ
ィスプレイ」(辻内順平編;産業図書)第2章に記載さ
れている。これらによれば、二光束のコヒーレントな一
般には、レーザ光の一方を記録対象物に照射し、それか
らの全反射光を受け取れる位置に感光性の記録媒体、例
えば写真用乾板が置かれる。記録媒体には、対象物から
の反射光の他に、もう一方のコヒーレントな光が、対象
物に当たらずに直接照射される。対象物からの反射光を
対象光、また直接媒体に照射される光を参照光といい、
参照光と対象光との干渉縞が画像情報として記録され
る。次に、作製されたホログラムを適切な照明下で観測
すると、照明光源からの光は、記録の際に対象物から記
録媒体に最初に到達した反射光の波面を再現するように
ホログラムによって回折され、その結果、対象物の実像
と似た物体像が三次元的に観測される。参照光と対象光
を同じ方向から記録媒体に入射させて形成されるホログ
ラムは透過型ホログラムとして知られている。一方、互
いに記録媒体の反対側から入射させて形成したホログラ
ムは、一般に反射型ホログラムとして知られている。透
過型ホログラムは、例えば米国特許第3506327号
公報、米国特許第3894787号公報などで開示され
ているような公知の方法によって得ることができる。ま
た、反射型ホログラムは、例えば米国特許第35324
06号公報に開示された公知の方法で作製できる。
【0005】像として形成されたホログラムを比較する
値としては屈折率変調がある。これは、記録媒体に媒体
となす角度が同じになるように二光束を照射し、回折格
子を作製した時、その回折格子によって回折される入射
光の割合すなわち回折効率並びに記録媒体の厚さより特
定される値である。屈折率変調は、体積型ホログラムの
露光部および未露光部、すなわち光が干渉して強め合う
部分と弱め合う部分で生じる屈折率の変化の定量的尺度
であり、コーゲルニック(H. Kogelnik )の理論式[ B
ell.Svt.Tech.J.,48,2909,
(1969).]によって求めることができる。一般
に、反射位相型ホログラムは透過型ホログラムに比べて
解像度が高い、すなわち1mm当たりに形成される干渉
縞の数が多いために記録が困難であり、高い屈折率変調
を得ることが難しい。
【0006】このような体積位相型ホログラムの記録材
料としては、従来、漂白処理銀塩および重クロム酸ゼラ
チン系の感光材料が一般に使用されてきた。重クロム酸
ゼラチン系の感光材料は、その高い回折効率と低ノイズ
特性によって、体積位相型ホログラムを記録するのに最
も広く用いられる材料である。しかし、この感光材料は
貯蔵寿命が短く、作製の度に調製しなければならない。
また、湿式現像を行うため、ホログラム作製の際に必要
となるゼラチンの膨潤および収縮過程においてホログラ
ムの変形を伴う。このため、再現性が悪いという問題点
も有している。また、銀塩感材は、記録後に煩雑な処理
を必要とし、これもまた安定性および作業性の観点から
満足できる感光材料ではない。さらに、これらの感光材
料は、何れも耐環境特性、例えば耐湿性、耐候性に劣る
という問題点を有していた。
【0007】これに対して、耐環境特性に優れ、かつ、
高解像度、高回折効率などのホログラム記録材料の有す
べき特性を備えた材料として、ポリ−N−ビニルカルバ
ゾールを用いたホログラム記録材料があげられる。例え
ば、架橋剤として環状シス−α−ジカルボニル化合物と
増感剤からなるホログラム記録材料(特開昭60−45
283号公報)、1,4,5,6,7,7−ヘキサクロ
ロ−5−ノルボルネン−無水−2,3−ジカルボン酸と
色素からなるホログラム記録材料(特開昭60−227
280号公報)、2,3−ノルボルナンジオンとチオフ
ラビンからなるホログラム記録材料(特開昭60−26
0080号公報)、チオフラビンTとヨードホルムから
なるホログラム(特開昭62−123489号公報)等
が提案されている。これらのホログラム記録材料は、や
はり湿式現像を必要とするため、煩雑な処理工程を必要
とし、再現性に劣るという問題点を有している。また、
ポリ−N−ビニルカルバゾールを主剤とした感光材料で
あるため、化学的安定でかつ高解像度、耐環境特性に優
れているものの、ポリ−N−ビニルカルバゾールは結晶
化して非常に白化しやすく、透明性の再現性がわるく、
また溶剤も限られてしまうという問題を有している。さ
らに、感度特性において、なお一層の向上が望まれてい
る。
【0008】高感度で光硬化出来る材料として、3−ケ
トクマリン類とジアリールヨードニウム塩との組み合わ
せから成る光開始剤を用いた光硬化樹脂組成物(特開昭
60−88005号公報)、さらに、該光重合開始剤と
担持重合体としてポリメチルメタクリレートとを組み合
わせたホログラム記録材料(特開平4−31590号公
報)が提案されており、化学的に安定でかつ高解像度、
高感度を有しているものの、湿式処理により空隙を形成
させるため、再生波長のピーク波長のばらつきやピーク
波長の半値幅の拡大、また、現像の際、膨潤溶媒に担持
ポリマーが若干溶解するため、現像むらが起き易いとい
う問題を有していた。さらに、ホログラム中に空隙が多
数存在することから、耐熱性及び耐熱圧性に劣るという
問題点を有していた。
【0009】かかる問題に対して、湿式処理を伴わない
1回の処理工程でホログラムの作製が可能な光重合型ホ
ログラム記録材料が、米国特許第3993485号公報
および米国特許第3658526号公報で開示されてい
る。前者は2つのタイプの感光材料があり、第1の例と
しては、反応性および屈折率のことなる2つの重合可能
な不飽和エチレン性モノマーと光重合開始剤の組み合わ
せ、例えばシクロヘキシルメタクリレート、N- ビニル
カルバゾールおよびベンゾインメチルエーテルからな
り、これを2枚のガラス板に狭持し、二光束光学系で露
光することによってホログラム記録できる感光性樹脂組
成物である。また、第2の例としては、同程度の屈折率
を持つ重合可能な不飽和エチレン性モノマーとそれが重
合する際に架橋剤として働く不飽和エチレン性モノマ
ー、および2つのモノマーと屈折率を異にする非反応性
化合物と重合開始剤の4成分、例えばブチルメタクリレ
ート、エチレングリコールジメタクリレート、1- フェ
ニルナフタレンおよびベンゾインメチルエーテルからな
り、第1例と同様にしてホログラムを作製することがで
きる感光性樹脂組成物である。何れの感光性樹脂組成物
を用いても、二光束によってできる干渉縞の光強度が強
くなる部分でより反応性の高いモノマーの重合が進むと
共に、モノマーの濃度勾配が生じ、反応性の高いモノマ
ーは光強度の強い部分に、また反応性の低いモノマーあ
るいは非反応性化合物は光強度の弱い部分に拡散する。
このようにして干渉縞が屈折率の差で記録され、体積位
相型ホログラムが形成される。
【0010】しかしながら、従来のこのようなホログラ
ム記録用感光性樹脂組成物にあっては、次のような問題
点がある。すなわち、第1の例で示されたものは、反応
性の低いモノマーもある程度の重合が起こり、高い屈折
率変調が得られない。第2の例では、非反応性化合物で
ある1- フェニルナフタレンがホログラム完成後も、低
分子量の化合物として系内に存在し、保存安定性がな
い。また、何れの例においても低分子量の混合物であ
り、粘度が低いため基板に挟持しにくいことや厚膜を形
成しにくいことなど、作業性および再現性に多いに問題
が残っている。
【0011】後者の米国特許第3658526号公報
は、ポリマーマトリックス中に光重合可能なエチレン性
モノマーおよび光重合開始剤を配合したホログラム記録
材料からなる安定なホログラムの製造方法を開示してお
り、化学作用放射線の1回露光によって、永久的な体積
位相型ホログラムが得られる。形成されるホログラム
は、引き続く化学作用放射線の全面照射によって、定着
される。ここで開示されたホログラム記録材料は作業性
や再現性などの点で多くの利点を与えようとすものであ
るが、その回折効率は低い。このホログラム記録材料に
おいては、完成したホログラムの屈折率変調は、0. 0
01から0. 003の範囲である。その結果、形成され
たホログラムの再生像は限られた輝度しか持たない。ホ
ログラム記録層を厚くすることによってある程度の輝度
を持たせることも可能ではあるが、この解決方法は、製
造者に対して多量のホログラム記録材料を使用させる結
果になると共に、ある媒体、例えば車載用のヘッドアッ
プディスプレイなどのような合わせガラス中に固定させ
て用いる場合などに支障をきたす。また、これによって
形成されたホログラムは、一般に長時間保存によって回
折効率の低下が起こることも留意されるべきである。
【0012】この米国特許第3658526号公報に開
示されたホログラム記録材料の製造法も含めた改良技術
として、米国特許第4942112号公報および米国特
許第5098803号公報、また特開平2−3081号
公報および特開平2−3082号公報が開示されてい
る。熱可塑性樹脂、重合可能な不飽和エチレン性モノマ
ーおよび光重合開始剤を基本組成とし、屈折率変調を向
上させるために熱可塑性樹脂または重合可能な不飽和エ
チレン性モノマーのどちらか一方に芳香環を有する化合
物を用いて屈折率差を持たせる工夫をしている。しかし
ながら、米国特許第3658526号公報で開示されて
いるものと同様に、高分子量の樹脂をバインダーマトリ
クッスとして使用しているため、露光時のモノマーの拡
散性が制限され、多くの露光量が必要となると共に高い
回折効率を得ることができない。また、この点を改善す
るために、非反応性の可塑剤を添加しているが、この使
用によって、形成されたホログラムの被膜強度に問題点
を有すると共に、非反応性である可塑剤がホログラム完
成後も、低分子量の化合物として系内に存在し、保存安
定性がない。これに加えて、これを保持する担体が熱可
塑性樹脂であるため、耐熱性に劣る欠点を有している。
【0013】これに対して上記欠点の改良技術である特
開平5−107999号公報によれば、上記特許におけ
る可塑剤の代わりに、カチオン重合性モノマーおよびカ
チオン重合開始剤を配合したものであり、ホログラム形
成後に非反応性の可塑剤が残留する事による問題点は解
決される。しかしながら、ホログラム形成後に定着のた
めにかなりの光照射を必要とすると共に、定着の際に低
分子量のカチオン重合性モノマーが拡散するために、形
成されたホログラムに歪が生じ、高い回折効率を得るこ
とができない。また、従来技術同様に、これを保持する
担体が熱可塑性樹脂であるため、耐熱性に劣る欠点を有
している。さらに、保持するための担体として、熱可塑
性樹脂を用いない系では、粘度が低いため基板に挟持し
にくいことや厚膜を形成しにくいことなど、作業性およ
び再現性に多いに問題が残っている。
【0014】さらに、エポキシ樹脂とラジカル重合性不
飽和エチレン性モノマーおよび光ラジカル重合剤からな
るホログラム記録用感光性樹脂組成物が特開平5−94
014号公報に開示されている。実施例を見る限り2種
類のエポキシ樹脂が使用されているが、紫外線硬化性エ
ポキシ樹脂を用いた場合には、ラジカル重合およびカチ
オン重合を別々の波長域の光で行うなどの煩雑な作業を
要すると共に、モノマーの拡散性を調製するために、前
露光によって粘度を上げるなどの微調整を必要とし、作
業性および再現性が困難である。また、熱硬化性エポキ
シ樹脂および硬化剤を用いた場合には、定着のためのエ
ポキシ樹脂の硬化にかなりの紫外線硬化と加熱時間を要
するため、作業性が非常に悪い。加えて、ここで開示さ
れた改良技術においては高い回折効率を得ることができ
ない。かくして、ホログラム記録用の改良された光重合
型ホログラム記録材料及び、それを用いた光学素子に対
する必要性が存在している。
【0015】この点を考慮し、さらに改良されたホログ
ラム記録材料として平7ー261640号公報が開示さ
れている。上記特許によれば常温常圧で固体のエポキシ
オリゴマーとエチレン性モノマーとの組合わせからな
り、耐環境性、特に耐熱性に優れたホログラム記録材料
が開示されている。
【0016】ところで、現在様々なタイプの感光性樹脂
が実用化されているが、ケイ皮酸エステル系の感光性樹
脂は最も古くから開発され、現在もプリント回路などの
作製に使用されているフォトレジストである。一方アク
リル系のオリゴマーやポリマーは光硬化型の印刷イン
キ、ソルダーレジスト、ドライフィルムなど多岐にわた
り使用されている。これらは、いずれの場合にも、未増
感状態での感度は低く、それぞれ、ケイヒ酸エステル系
の有効な増感剤としては5−ニトロアセナフテン、N−
アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミ
ドなどが、アクリル系の光重合開始剤としてはベンゾイ
ン類、ケタール類、アントラキノン類などが添加されて
いる。しかしながら感光性樹脂の塗布工程、プレベーク
工程(さらにはポストベーク工程)において、低分子増
感剤や安定剤がポリマーフィルム表面に滲みだし、さら
には大気中に昇華する場合もある。また塗膜硬化後のソ
ルダーレジストや他の表面被覆材料においては、その使
用中に未反応の光重合開始剤が表面に析出することがあ
る。このような現象は感光性樹脂の感度や作業性の再現
性を低下させるばかりでなく、作業環境の悪化や部品の
信頼性の低下をまねくこととなる。
【0017】近年、これらの問題を解決する方法の1つ
として、増感剤の高分子化が研究されてきている。増感
剤の高分子化は、有機化合物の光化学反応においては、
反応系からの生成物の単離や精製の簡便さ、増感剤の回
収や再利用及び増感剤効率の向上の面から、また感光性
樹脂においては、増感剤の揮発防止、ポリマーの高感度
化および高解像度化の観点から、さらに他の高分子材料
への応用においては、材料特性の向上やポリマーの安定
化などの理由から、増感剤の高分子化とその活用が注目
されている。最近の高分子増感剤の研究では、単純な増
感剤の高分子化に留まらず、その導入率をコントロール
したり、反応場を設計することにより、低分子増感剤と
比較しても、優れた増感効果を示す高分子増感剤や反応
系が見いだされ始めている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のホログ
ラム記録材料を含め、従来開示されたホログラム記録材
料は、ホログラムを得るための記録媒体作製時に、適当
な溶媒でバインダーやモノマー、開始剤系を均一に溶解
するか、或いは溶媒を用いずにモノマー等の液体組成分
でバインダーや開始剤系等の固形組成分を溶解させて均
一にする必要がある。バインダーやモノマーは一般的な
有機溶媒に溶解するものの、水やアルコール系溶媒には
溶解しない。一方、光開始剤の増感剤として有用な(チ
オ)キサンテン色素をはじめとするイオン性染料は、水
やアルコール系溶媒には溶解するもののバインダーやモ
ノマーが溶解する一般的な有機溶剤には少々解けるか、
全く解けないものが殆どであるため、増感剤を適当量混
合することができず、得られる感材の感度が低下する問
題点を有しており、また、それらを混合しても相溶性が
ないために凝集、析出してしまう問題点がある。
【0019】本発明はこのような問題点に着眼してなさ
れたもので、その課題とするところは化学的安定性、例
えば、耐光性、耐熱性、保存安定性に優れ、且つ感光性
が高くしかも感光速度の大きなホログラム記録材料を提
供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったも
のである。
【0021】すなわち、請求項1記載の発明は、(A)
溶媒可溶性で単位構造中にグリシジル基及びイオン性解
離基を各々少なくとも1個以上有するカチオン重合可能
な熱硬化性エポキシオリゴマーと、(B)常温、常圧で
液体でかつ常圧で沸点が100℃以上であるラジカル重
合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ以上有
する光重合性化合物と、(C)化学作用放射線に露光さ
れるとラジカル重合を活性化させるラジカル種及びカチ
オン重合を活性化させるブレンステッド酸もしくはルイ
ス酸を発生する光開始剤と、(D)光開始剤を可視光領
域にて増感可能なイオン性色素増感剤とからなるホログ
ラム記録材料において、色素増感剤(D)が、熱硬化性
エポキシオリゴマーの構造中にイオン結合で担持されて
いることを特徴とするホログラム記録材料である。
【0022】請求項2に記載のホログラム記録材料は、
請求項1の発明に基づき、熱硬化性エポキシオリゴマー
(A)が、エポキシ当量400以上で且つ常温常圧で固
体であることを特徴とする。
【0023】請求項3に記載のホログラム記録材料は、
請求項1または2のいずれかの発明に基づき、熱硬化性
エポキシオリゴマー(A)が非芳香族熱硬化性エポキシ
オリゴマーであることを特徴とする。
【0024】請求項4に記載のホログラム記録材料は、
請求項1または2のいずれかの発明に基づき、熱硬化性
エポキシオリゴマー(A)がビスフェノールA型エポキ
シオリゴマーであることを特徴とする。
【0025】請求項5記載のホログラム記録材料は、請
求項1ないし4のいずれかの発明に基づき、光開始剤
(C)が芳香族オニウム塩、鉄アレーン錯体またはトリ
アジン化合物であることを特徴とする。
【0026】請求項6に記載のホログラム記録材料は、
請求項1ないし4のいずれかの発明に基づき、光開始剤
(C)がジアリールヨードニウム塩であることを特徴と
する。
【0027】請求項7記載のホログラム記録材料は、請
求項1ないし6のいずれかの発明に基づき、イオン性色
素増感剤(D)がシアニン系色素であることを特徴とす
る。
【0028】請求項8記載のホログラム記録材料は、請
求項1ないし6のいずれかの発明に基づき、イオン性色
素増感剤(D)がスクアリリウム系色素であることを特
徴とする。
【0029】請求項9記載のホログラム記録材料は、請
求項1ないし6のいずれかの発明に基づき、イオン性色
素増感剤(D)が(チオ)キサンテン系色素であること
を特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明のホログラム記録材料からなるホログラム
記録用媒体1の構成を説明する概略図であり、図2はホ
ログラム撮影用の二光束光学系を説明する概略説明図で
ある。
【0031】本発明で用いる成分(A)溶媒可溶性で単
位構造中にグリシジル基及びイオン性解離基を各々少な
くとも1個以上有するカチオン重合可能な熱硬化性エポ
キシオリゴマーは、通常の熱硬化性エポキシオリゴマー
にイオン性解離基を導入することによって得ることがで
きる。この通常の熱硬化性エポキシオリゴマーとして
は、例えばビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビ
スフェノールB、ビスフェノールAF、ビスフェノール
S、ブロモ化ビスフェノールA、水添ビスフェノール
A、水添ビスフェノールAD、水添ビスフェノールB、
水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールAF、水添
ブロモ化等の各種ビスフェノール化合物とエピクロロヒ
ドリンとの縮合反応により製造される。具体例とし、市
販品を挙げると、エピコート1001、1002、10
04、1007、1009、1010、1100L (油
化シェルエポキシ社)やAraldite6071、6084、
6097、6099(CIBA社)やDow661、664、
667(Dow Chemical 社)やYDB 500、406、4
08、412及びZX1417、1413、ST5100、
5080(東都化成社)やEBPS-300(日本化薬社)など
があるが、これらに限定されるものではない。また、こ
れ等の2種以上の組合わせで用いることもできる。
【0032】また、イオン性解離基としては、カルボキ
シル基、スルホン基、アミノ基、ホスホニウム塩残基、
スルホニウム塩残基及び各種金属イオン含有基等を挙げ
ることができるがこれらに限定されるものではない。こ
れらのイオン性解離基を上記のエポキシオリゴマーに導
入する方法は、イオン性解離基を有する化合物とエポキ
シオリゴマーとの反応により得ることができる。
【0033】本発明で用いる成分(B)ラジカル重合可
能な光重合性化合物としては、構造単位中にエチレン性
の不飽和結合を少なくとも1個以上含むものであり、1
官能であるビニルモノマーの他に多官能ビニルモノマー
を含むものであり、またこれらの混合物であってもよ
い。具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マ
レイン酸、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリ
ルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
等の高沸点ビニルモノマー、さらには、脂肪族ポリヒド
ロキシ化合物、例えば、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−
デカンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、
マンニトールなどのジあるいはポリ(メタ)アクリル酸
エステル類、あるいは、脂環式ポリヒドロキシ化合物、
例えば、ジシクロペンタノール、ジシクロペンテノー
ル、トリシクロデカンジメチロール等のモノ或いはジ
(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。また、
好ましくは、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レートまたはポリプロピレングリコールジ(メタ)アク
リレートを挙げることができるが、これらに限定される
ものではない。
【0034】本発明の成分(C)化学作用放射線に露光
されるとラジカル重合を活性化させるラジカル種及びカ
チオン重合を活性化させるブレンステッド酸もしくはル
イス酸を発生する光開始剤としては、J. Photopol. Sc
i. Technol., 2 , 283 (1989)に記載される化合物、例
えば鉄アレーン錯体、トリアロゲノメチル置換s ートリ
アジン、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウ
ム塩、セレノニウム塩アルソニウム塩等を挙げることが
できるが、中でもジアリールヨードニウム塩が好まし
い。本発明で用いられるジアリールヨードニウム塩の例
としては、Macromolecules,10,13
07(1977).に記載の化合物、例えば、ジフェニ
ルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p
−アニシル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニ
ル)ヨードニウム、ビス(p −tert−ブチルフェニル)
ヨードニウム、ビス(p −クロロフェニル)ヨードニウ
ムなどのヨードニウムのクロリド、ブロミド、あるいは
ホウフッ化塩、ヘキサフルオロフォスフェート塩、ヘキ
サフルオロアルセネート塩等を挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。
【0035】本発明の成分(D)光開始剤を可視光領域
にて増感可能なイオン解離性色素増感剤としては、(チ
オ)キサンテン系色素、シアニン系色素、スクアリリウ
ム系色素、スチリル系色素、ローダシアニン系色素等を
挙げることができる。
【0036】まず、(チオ)キサンテン系色素の具体例
として、ローダミン110、ローダミン123、ローダ
ミン6G、ローダミン116、ローダミンB、ローダミ
ン19、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ロ
ーズベンガル、アクリジンレッド3B、ピロニンG、ロ
ーダミンシャルラッハG、C.I.ベーシックレッド
1、ロジン2G、ローダミン4G、C.I.ベーシック
バイオレット10、ローダミン120F、C.I.アシ
ッドレッド52、ローダミンSなどを挙げることができ
るが、これらに限定されるものではない。
【0037】また、シアニン系色素の具体例としては、
日本感光色素研究所社製のNK−863、NK−398
9、NK−719、NK−6、NK−85、NK−10
46、NK−723、NK−1538、NK−220
3、NK−1952、NK−1420、NK−261
0、NK−76、NK−382、NK−1056、NK
−616、NK−716、NK−5、NK−138、N
K−741、NK−1836、NK−3988、NK−
322、NK−2764、NK−3620、NK−39
62、NK−3618、NK−1210、NK−215
0、NK−734等を挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。
【0038】また、スクアリリウム系色素の具体例とし
ては、日本感光色素研究所社製のNK−3912、NK
−3892、NK−3905、NK−2848、NK−
2990、NK−3906等を挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。
【0039】また、スチリル系色素の具体例としては、
2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エチニ
ル]−3−メチルベンゾリウム ヨージト、2−[2−
[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エチニル]−1−
エチルナフト[1,2−d]チアゾリウム ヨージト、
2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エチニ
ル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウム
ヨージト、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニ
ル]エチニル]−3−エチルベンゾセレナゾリウム ヨ
ージト、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニ
ル]エチニル]−3−エチルベンゾチアゾリウム ヨー
ジト、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]
エチニル]−1−エチルピリジウム ヨージト、2−
[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エチニル]
−1−エチルキノリニウム ヨージト、2−[2−[4
−(ジメチルアミノ)フェニル]−1,3−ブタジエニ
ル]−1−エチルナフト[1,2−d]チアゾリウム
ヨージト、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニ
ル]−1,3−ブタジエニル]−1−エチルチルキノリ
ウム ヨージト、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)
フェニル]−1,3−ブタジエニル]−3−エチルベン
ゾチアゾリウム ヨージト、4−[4−[4−(ジメチ
ルアミノ)フェニル]−1,3−ブタジエニル]−1−
エチルキノリウムヨージト、2−[2−[4−(ジメチ
ルアミノ)フェニル]エチニル]−1−エチルキノリウ
ム ヨージト、4−[2−[4−(ジメチルアミノ)フ
ェニル]エチニル]−1−エチルキノリウム ヨージト
等を挙げることができるが、これらに限定されるもので
はない。
【0040】さらにローダシアニン系色素の具体例とし
ては、2−[[3−アリル−5−[2−(5,6−ジメ
チル−3−プロピル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデ
ン)エチリデン]−4−オキソ−2−チアゾリジニリデ
ン]メチル]−3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾ
リウム ヨージト、3−エチル−2−[[3−エチル−
5−[2−(1−エチル−4(1H)−キノリニリデ
ン)エチリデン]−4−オキソ−2−チアゾリジニリデ
ン]メチル]ベンゾキサゾリウム ブロミド、3−エチ
ル−2−[[3−エチル−5−[2−(1−エチル−2
(1H)−キノリニリデン)エチリデン]−4−オキソ
−2−チアゾリジニリデン]メチル]ベンゾチアゾリウ
ム ヨージト、2−[[3−アリル−5−[2−(1−
エチル−4(1H)−キノリニリデン)エチリデン]−
4−オキソ−2−チアゾリジニリデン]メチル]−3−
エチル−4,5−ジフェニルチアゾリウム ブロミド等
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0041】このように本発明によれば、イオン性色素
増感剤をバインダーである熱硬化性エポキシオリゴマー
に担持させることにより、このイオン性色素増感剤のエ
ポキシオリゴマー、モノマー、溶剤等に対する相溶性が
上がり、より一層のホログラム記録材料の高感度化を達
成することができる。
【0042】さらに本発明のホログラム記録材料には、
必要に応じて熱重合禁止剤、連鎖移動剤、酸化防止剤な
どの添加物を加えることもできる。
【0043】上記のこれらの各成分を適宜選択し、任意
の割合で混合して得た感光液をスピンコーター、ロール
コーター、バーコーターなどの公知の塗工手段を用い
て、ガラス板やポリカーボネート板、ポリメチルメタク
リレート板、ポリエステルフィルムなどの基板2上に皮
膜形成し、ホログラム記録用媒体1を作製する 。この
時、感光層3上には酸素遮断膜として保護層4を設けて
も良い。保護層4には、例えば上記の基板2と同等なも
の、あるいはポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、ポリビニルアルコールまたはポリエチレ
ンテレフタレートなどのフィルムやガラスなどを用いる
ことができる。なお、感光液を塗布する際には、必要に
応じて適当な溶剤で希釈しても良いが、その場合には基
板上に塗布した後に、乾燥を要する。
【0044】図2は反射型ホログラム撮影用の二光束光
学系を説明する概略図であり、レーザ5から発振された
レーザ光6は、ミラー7、ビームスプリッター8、スペ
イシャルフィルター9、レンズ10を介して本発明のホ
ログラム記録材料からなるホログラム記録用媒体1に照
射される。なお、本発明は、詳細な説明及び図示をしな
いが透過型ホログラムの作製についても同様に可能であ
り、これにより優れたホログラム特性を有する透過型ホ
ログラムを得ることができる。
【0045】本発明のホログラム記録材料に適した光源
としては、ヘリウム−カドミウムレーザ、アルゴンレー
ザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−ネオンレーザなどが
利用できるが、これに限定されることはない。
【0046】
【実施例】以下、具体的な実施例により本発明をさらに
詳細に説明する。 <実施例1>熱硬化性エポキシオリゴマー(商品名「エ
ピコート1007」 油化シェルエポキシ社製)100
g、N,N−ジメチルホルムアミド200gに溶解し、
無水コハク酸7gとピリジンを加え、均一になるまで攪
拌した。さらに60℃で2時間加熱した。放冷後、メタ
ノール中に沈殿させ、目的のイオン性解離基(ここでは
カルボキシル基)を有するエポキシオリゴマーを得た。
このイオン性解離基を有するエポキシオリゴマー20g
及びシアニン色素(商品名「NK−2125」日本感光
色素研究所社製)0.1gをDMF50mlに溶解し、
40℃で3時間攪拌した。放冷後、この溶液をメタノー
ルに注ぎ、着色したエポキシオリゴマーを得た。これを
N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、メタノールに
注ぎ、着色したエポキシオリゴマーを得る操作を数回行
い、精製した。
【0047】このポリマー100重量部、トリエチレン
グリコールジアクリレート50重量部及びジフェニルヨ
ードニウムヘキサフルオロフォスフェート10重量部を
2−ブタノン100重量部に混合溶解したものを感光液
とした。この感光液を、乾燥膜厚が約15μmになるよ
うにアプリケーターを用いてガラス基板に塗布、乾燥し
感光層を形成した。その後、感光層上をポリビニルアル
コール(PVA)膜で覆い、ホログラム記録用媒体を作
製した。
【0048】ホログラム記録用媒体を、図2に示すホロ
グラム撮影用の二光束光学系により光源としてクリプト
ンレーザ(647.1nm)を用いて露光しホログラム
画像を形成した後、100℃で30分加熱処理を行っ
た。
【0049】得られたホログラムの回折効率は、日本分
光工業(株)製の分光光度計により測定した。この分光
光度計は、幅3mmのスリットを有したフォトマルチメ
ーターを、試料を中心にした半径20cmの円周上に設
置できるものである。測定条件は幅0.3mmの単色光
を試料に45度の角度で入射し、試料からの回折光を検
出した。正反射光以外で最も大きな値と、試料を置かず
に直接入射光を受光したときとの比を回折効率とした。
その評価結果を表1に示す。
【0050】<実施例2−4>実施例1のイオン性色素
増感剤であるシアニン系色素「NK−2125」日本感
光色素研究所社製の代わりに、それぞれスクアリリウム
系色素「NK−3905」日本感光色素研究所社製、ス
チリル系色素「2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フ
ェニル]−1,3−ブタジエニル]−1−エチルナフト
[1,2−d]チアゾリウム ヨージト」(Dye
1)、またはローダシアニン系色素「3−エチル−2−
[[3−エチル−5−[2−(1−エチル−2(1H)
−キノリニリデン)エチリデン]−4−オキソ−2−チ
アゾリジニリデン]メチル]ベンゾチアゾリウム ヨー
ジト」(Dye2)を用い、それ以外は実施例1と同様
にエポキシオリゴマーに色素を導入し、ホログラムを作
製して回折効率を測定した。その評価結果を表1に示
す。
【0051】<比較例>熱硬化性エポキシオリゴマー
(商品名「エピコート1007」油化シェルエポキシ社
製)100重量部、トリエチレングリコールジアクリレ
ート50重量部及びジフェニルヨードニウムヘキサフル
オロフォスフェート10重量部、スクアリリウム系色素
「NK−3905」日本感光色素研究所社製50重量部
を2−ブタノン100重量部に混合溶解したものを感光
液とした。この感光液を厚さが約15μmになるように
アプリケーターを用いてガラス基板に塗布し感光層を形
成したが、加熱乾燥したところ、スクアリリウム系色素
「NK−3905」が2−ブタノンにほとんど溶解しな
いため、可視光レーザによるホログラム作製はできなか
った。
【0052】
【表1】
【0053】<実施例5>熱硬化性エポキシオリゴマー
(商品名「エピコート1007」 油化シェルエポキシ
社製)100g、N,N−ジメチルホルムアミド200
gに溶解し、2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウム1
0gとNaOH5gを水50mlに溶かして加えた。こ
れを100℃で5時反応させた後、冷却した。これを水
中に注ぎ沈殿させ、目的のイオン性解離基(ここではス
ルホン酸基)を有するエポキシオリゴマーを得た。この
イオン性解離基を有するエポキシオリゴマー20g及び
シアニン色素(商品名「NK−529」日本感光色素研
究所社製)0.1gをDMF50mlに溶解し、40℃
で3時間攪拌した。放冷後、この溶液をメタノールに注
ぎ、着色したエポキシオリゴマーを得た。これをN,N
−ジメチルホルムアミドに溶解し、メタノールに注ぎ、
着色したエポキシオリゴマーを得る操作を数回行い、精
製した。
【0054】このポリマー100重量部、モノマー(商
品名「ビスコート#192」大阪有機化学工業社製)5
0重量部及びジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフ
ォスフェート10重量部を2−ブタノン100重量部に
混合溶解したものを感光液とした。この感光液を、乾燥
膜厚が約15μmになるようにアプリケーターを用いて
ガラス基板に塗布、乾燥し感光層を形成した。その後、
感光層上をポリビニルアルコール(PVA)膜で覆い、
ホログラム記録用媒体を作製した。実施例1と同様に回
折効率を測定した。その評価結果を表2に示す。
【0055】<実施例6−9>実施例5のシアニン色素
(商品名「NK−529」日本感光色素研究所社製)の
代わりに、それぞれシアニン色素(商品名「NK−13
8」日本感光色素研究所社製)、スクアリリウム系色素
(商品名「NK−3912」日本感光色素研究所社
製)、スチリル系色素「4−[4−[4−(ジメチルア
ミノ)フェニル]−1,3−ブタジエニル]−1−エチ
ルキノリウム ヨージト」(Dye3)、またはスチリ
ル系色素「2−[[3−アリル−5−[2−(1−エチ
ル−4(1H)−キノリニリデン)エチリデン]−4−
オキソ−2−チアゾリジニリデン]メチル]−3−エチ
ル−4,5−ジフェニルチアゾリウム ブロミド」(D
ye4)を用いる以外は実施例1 から実施例5と同様に
して各種色素を担持したエポキシオリゴマーを調製し実
施例1−5と同様にホログラムを作製して回折効率を測
定した。その評価結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】<実施例10>熱硬化性エポキシオリゴマ
ー(商品名「エピコートZX1413」東都化成社製)
100g、N,N−ジメチルホルムアミド200gに溶
解し、2−ブロモエタルアミン10gとNaOH5gを
水50mlに溶かして加えた。これを100℃で5時反
応させた後、冷却した。これを水中に注ぎ沈殿させ、目
的のイオン性解離基(ここではアミノ基)を有するエポ
キシオリゴマーを得た。このイオン性解離基を有するエ
ポキシオリゴマー20g及び(チオ)キサンテン系色素
「エリスロシンB」0.1gをDMF50mlに溶解
し、40℃で3時間攪拌した。放冷後、この溶液をメタ
ノールに注ぎ、着色したエポキシオリゴマーを得た。こ
れをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、メタノー
ルに注ぎ、着色したエポキシオリゴマーを得る操作を数
回行い、精製した。
【0058】このポリマー100重量部、モノマー(商
品名「HX220」日本化薬社製)50重量部及びジフ
ェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート10
重量部を2−ブタノン100重量部に混合溶解したもの
を感光液とした。この感光液を、乾燥膜厚が約15μm
になるようにアプリケーターを用いてガラス基板に塗
布、乾燥し感光層を形成した。その後、感光層上をポリ
ビニルアルコール(PVA)膜で覆い、ホログラム記録
用媒体を作製した。実施例1と同様に回折効率を測定し
た。その評価結果を表3に示す。
【0059】<実施例11>実施例10のイオン性色素
増感剤である(チオ)キサンテン系色素「エリスロシン
B」の代わりに「ローズベンガル」を用いる以外は、実
施例10と同様に感光液を調製し、ホログラムを作製し
た。その結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】実施例1−11のホログラムは25℃、6
0%RHで180日間及び150℃で10時間の環境下
に放置しても回折効率の低下は認められなかった。
【0062】
【発明の効果】(A)溶媒可溶性で単位構造中にグリシ
ジル基及びイオン性解離基を各々少なくとも1個以上有
するカチオン重合可能な熱硬化性エポキシオリゴマー
と、(B)常温、常圧で液体でかつ常圧で沸点が100
℃以上であるラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合
を少なくとも1つ以上有する脂肪族モノマーと、(C)
化学作用放射線に露光されるとラジカル重合を活性化さ
せるラジカル種及びカチオン重合を活性化させるブレン
ステッド酸もしくはルイス酸を発生する光開始剤、
(D)光開始剤を可視光領域にて増感可能なイオン性色
素増感剤からなるホログラム記録材料において、イオン
性色素増感剤(D)が、熱硬化性エポキシオリゴマーの
構造中にイオン結合で担持されていることにより、増感
剤効率の向上、増感剤の揮発防止、ホログラム記録材料
の高感度化および高解像度化や化学的安定化など優れた
特性を示すホログラム記録材料であり、これを用いた耐
候性及び保存安定性に優れ、かつ解像度、回折効率、透
明性などのホログラム特性値が良好なホログラムが作製
可能なホログラム記録用媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム記録材料からなるホログラ
ム記録用媒体の構成を説明する概略図である。
【図2】ホログラム撮影用の二光束光学系を説明する概
略図である。
【符号の説明】
1 ホログラム記録用媒体 2 基板 3 感光層 4 保護層 5 レーザ 6 レーザ光 7 ミラー 8 ビームスプリッター 9 スペイシャルフィルター 10 レンズ 11 レンズ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)溶媒可溶性で単位構造中にグリシジ
    ル基及びイオン性解離基を各々少なくとも1個以上有す
    るカチオン重合可能な熱硬化性エポキシオリゴマーと、
    (B)常温、常圧で液体でかつ常圧で沸点が100℃以
    上であるラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少
    なくとも1つ以上有する光重合性化合物と、(C)化学
    作用放射線に露光されるとラジカル重合を活性化させる
    ラジカル種及びカチオン重合を活性化させるブレンステ
    ッド酸もしくはルイス酸を発生する光開始剤と、(D)
    光開始剤を可視光領域にて増感可能なイオン性色素増感
    剤とからなるホログラム記録材料において、 前記イオン性色素増感剤(D)が、熱硬化性エポキシオ
    リゴマーの構造中にイオン結合で担持されていることを
    特徴とするホログラム記録材料。
  2. 【請求項2】前記熱硬化性エポキシオリゴマー(A)
    が、エポキシ当量400以上で且つ常温常圧で固体であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録材
    料。
  3. 【請求項3】前記熱硬化性エポキシオリゴマー(A)が
    非芳香族熱硬化性エポキシオリゴマーであることを特徴
    とする請求項1または2に記載のホログラム記録材料。
  4. 【請求項4】前記熱硬化性エポキシオリゴマー(A)が
    ビスフェノールA型エポキシオリゴマーであることを特
    徴とする請求項1または2に記載のホログラム記録材
    料。
  5. 【請求項5】前記光開始剤(C)が芳香族オニウム塩、
    鉄アレーン錯体またはトリアジン化合物であることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のホログラ
    ム記録材料。
  6. 【請求項6】前記光開始剤(C)がジアリールヨードニ
    ウム塩であることを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れかに記載のホログラム記録材料。
  7. 【請求項7】前記イオン性色素増感剤(D)がシアニン
    系色素であることを特徴とする請求項1ないし6のいず
    れかに記載のホログラム記録材料。
  8. 【請求項8】前記イオン性色素増感剤(D)がスクアリ
    リウム系色素であることを特徴とする請求項1ないし6
    のいずれかに記載のホログラム記録材料。
  9. 【請求項9】前記イオン性色素増感剤(D)が(チオ)
    キサンテン系色素であることを特徴とする請求項1ない
    し6のいずれかに記載のホログラム記録材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070148556A1 (en) * 2003-12-22 2007-06-28 Yoshihito Maeno Photosensitive composition for volume hologram recording

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20070148556A1 (en) * 2003-12-22 2007-06-28 Yoshihito Maeno Photosensitive composition for volume hologram recording

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