JPH11160318A - 小動物の腫瘍抗原の検出法及び診断法 - Google Patents

小動物の腫瘍抗原の検出法及び診断法

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JPH11160318A
JPH11160318A JP34191997A JP34191997A JPH11160318A JP H11160318 A JPH11160318 A JP H11160318A JP 34191997 A JP34191997 A JP 34191997A JP 34191997 A JP34191997 A JP 34191997A JP H11160318 A JPH11160318 A JP H11160318A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 近年、ぺットフードの改良および治療薬の進
歩にともない、飛躍的に小動物の寿命が延び、小動物に
おける腫瘍の発生が急激に増えている。そのため小動物
における腫瘍の早期発見のための簡便な腫瘍の検出また
は測定法の開発が待たれている。 【解決手段】 小動物の全血、血漿又は血清等の体液中
の、モノクローナル抗体NCC−ST−439が認識す
る抗原を測定することを特徴とする小動物の腫瘍抗原の
検出法及び小動物の腫瘍診断法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小動物の腫瘍抗原
を検出または小動物の腫瘍を診断する方法に関する。さ
らに詳しくは、小動物の体液中の、モノクローナル抗体
NCC−ST−439が認識する抗原(以下単に小動物
腫瘍NS抗原という)の濃度を測定することにより、小
動物の腫瘍抗原を検出する方法及び腫瘍であるか否かを
診断する方法(術後の再発を検出又は確認する方法を含
む)に関する。
【0002】
【従来の技術】腫瘍マーカーを用いた診断法は、ヒトで
は良く研究・利用されており、体外診断用医薬品も販売
されている。ヒトでは、以下に例示する様々な抗原をマ
ーカーとして用いている。 I.癌胎児性蛋白;CEA(癌胎児性抗原)、AFP
(α−フェトプロテイン)、BFP(塩基性フェトプロ
テイン)等 II.癌関連抗原 1)糖鎖抗原 CA19−9、CA50、NCC−ST
−439等 2)その他の癌関連抗原 TPA(組織ポリペプチド抗
原)IAP(免疫抑制酸性蛋白)、CA15−3等 III.酵素 ;エステラーゼ1 等 IV.ホルモン ;ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)
等 V.癌遺伝子産物;c−erbB−2遺伝子産物 等 VI.その他 ;急性相反応物質 等
【0003】しかし上述の腫瘍マーカーはいずれもヒト
の腫瘍のマーカーであり、一般的に、ヒトと小動物とは
パラレルに結果が反映しないと言われている。そして現
在のところ、腫瘍マーカーを利用して、小動物の腫瘍抗
原の検出又は腫瘍の診断が行われた実績は無い。
【0004】小動物の腫瘍は、乳腺腫瘍、皮膚腫瘍、リ
ンパ・造血器系腫瘍等が多く、獣医師は、もっぱら問診
・視診、触診を行っている。腫瘍が疑われる場合には、
腫瘤表面のスタンプまたは針バイオプシーによる細胞診
を行いその後、X線や超音波検査により腫瘤の構造や周
囲組織への影響と肺や肝臓などへの遠隔転移の有無を確
認している。悪性腫瘍であれば(1)外科治療(2)化
学療法(3)免疫療法等の治療方針を決め、オーナーと
相談して治療の方向を決めている。小動物の腫瘍診断薬
が現在ない状態なので前述の方法が一般的状況であっ
た。また、根治を目的とした外科的手術を行った後の早
期再発確認も診断マーカーがないため、再発後再度前述
の方法を繰り返えさざるを得なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、ぺットフードの
改良および治療薬の進歩にともない、飛躍的に小動物の
寿命が延びた。このため高齢化が進み、小動物の特異感
染疾病(原虫、線虫、条虫等の消化管寄生虫、ノミ、ダ
ニ等による外部寄生虫による感染症)の問題からヒトで
いう高齢病と同じ疾患(肥満、糖尿病、腫瘍、心疾患、
白内障、歯科疾患、循環器系疾患、慢性腎疾患等)が問
題になってきている。特に腫瘍の発生率は、犬では9歳
を越すと飛躍的に多くなる。小動物における腫瘍の早期
発見は、小動物自身から、自覚症状をオーナーに訴える
ことができないため、オーナーの観察力、また動物病院
の獣医師の的確なオーナーへの問診・視診、触診に頼ら
ざるを得ないのが現状である。そのため小動物における
腫瘍の早期発見のための簡便な腫瘍の検出または測定法
の開発が待たれている。
【0006】前記したように、ヒトでは様々な腫瘍抗原
を測定して、腫瘍の診断が行われているにも拘わらず、
従来小動物の腫瘍抗原を測定して、小動物の腫瘍の検出
又は診断をした実績が報告されていないのは小動物にお
ける腫瘍測定に適する腫瘍抗原が見いだされていなっか
ったためと思われる。また、ヒトの腫瘍抗原の測定に使
用されるモノクローナル抗体が小動物の腫瘍抗原の測定
に使用されていないのは、一般に、該モノローナル抗体
はヒトの抗原を用いて、作成されており、ヒトの抗原に
特異的なもので有るから、種の違う他の生物の体液に、
該モノクローナル抗体が認識する抗原が生存するとは考
えられなかったものと思われる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、小動物の
腫瘍を容易に診断できる腫瘍マーカーを見いだすべく種
々検討した。ヒトの腫瘍診断に使用されている他のマー
カーでは小動物の腫瘍の診断は困難であったが、小動物
腫瘍NS抗原を測る方法は、特異的に小動物の癌、特に
犬の乳癌の診断に利用できることを見いだし、本発明を
完成した。
【0008】即ち、本発明は、下記(1)ないし(1
0)に関するものである。 (1)小動物の体液中の、小動物腫瘍NS抗原を測定す
ることを特徴とする小動物の腫瘍抗原の検出法。 (2)小動物腫瘍NS抗原を抗原抗体反応を用いて測定
する、(1)記載の検出法。 (3)モノクローナル抗体NCC−ST−439を用い
る(2)記載の検出法。 (4)体液が全血、血漿又は血清である(1)、(2)
又は(3)記載の検出法。 (5)小動物が、犬又は猫である(1)ないし(4)の
いずれかに記載の検出法。 (6)上記(1)ないし(5)における小動物腫瘍NS
抗原が、末端にシアル酸が存在する糖鎖を有する抗原で
ある(1)ないし(5)のいずれかに記載の検出法 (7)上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の検出
法による小動物の腫瘍の診断法。 (8)腫瘍が乳癌である(7)に記載の診断法。 (9)小動物腫瘍NS抗原を測定するための抗体を含む
ことを特徴とする小動物の腫瘍抗原の検出又は小動物の
腫瘍の診断用試薬。 (10)上記(9)記載の診断用試薬を含む小動物の腫
瘍の診断用キット。
【0009】小動物の体液としては、測定に使用できる
ものであればいずれでもよく、全血、血漿、血清、髄
液、尿、唾液等が利用できる。また、糞便も生理食塩水
等に懸濁した後、遠心分離やろ過等を行うことによって
得られる糞便抽出液も本発明で言う体液に含まれる。好
ましい体液としては血液であり、さらに好ましくは、血
清あるいは血漿である。
【0010】小動物とは、家畜といわれる、牛、豚、鶏
以外のすべての愛玩動物を指し、犬猫は、最もその代表
といえる。小動物腫瘍NS抗原を測定する方法は、該抗
原を測定できる方法で有れば特に限定されないが、通常
は抗原抗体反応を利用して測定するのが好ましい。
【0011】本発明で検出又は診断のための標的となる
抗原を見いだすために使用されたモノクローナル抗体N
CC−ST−439は、特公平1−52400公報等に
記載されたIgMクラスの抗体であり、下記の性質を有
するモノクローナル抗体である。 (1)ヒトでは分子量100万以上(ゲル濾過法)の糖
蛋白質抗原と反応し、認識する抗原決定基は末端にシア
ル酸が存在する糖鎖である。 (2)ヒト胃癌、ヒト大腸癌、ヒト膵癌、ヒト乳癌、ヒ
ト肺癌、ヒト胆管癌、ヒト子宮癌、ヒト食道癌と反応す
る。 (3)正常のヒト顎下腺、ヒト近位尿細管上皮、ヒト気
管支腺、ヒト扁平上皮角化層、ヒト膵ラ氏島、ヒト肝細
胞膜、ヒト十二脂腸腺と反応する。 (4)ヒト腸上皮化生胃粘膜と反応する。 (5)正常なヒト前立腺、ヒト胆管上皮、ヒト上皮とは
反応しない。 この抗体は上記公報に記載されているように、細胞融合
法で、概略下記のようにして製造される。即ち、モノク
ローナル抗体NCC−ST−439の認識する抗原例え
ば、ヒト胃低分化型腺癌の癌細胞もしくはホモジネート
等を用いて、マウス又はラット等を免疫し、免疫された
動物から抗体産生細胞を得、これと骨髄腫細胞を融合
し、得られた融合細胞をクローン化し、上記モノクロー
ナル抗体を産生する融合細胞を選択し、これを培養し
て、抗体を回収すれば良い。免疫法、融合法、融合細胞
の選択等は通常の方法で行うことが出来る。このモノク
ローナル抗体NCC−ST−439は日本化薬株式会社
により、販売されている。モノクローナル抗体NCC−
ST−439が認識する抗原はシアル酸基を有する糖鎖
を抗原決定基(エピトープ)として有するものであるこ
とが知られている(Jpn.J.Cancer Re
s.(Gann),76,43−52;Januar
y,1985)。従って小動物腫瘍NS抗原が、シアル
酸基を有する糖鎖を抗原決定基(エピトープ)として有
する抗原であることは明らかである。以上の知見からす
れば本発明において使用される該抗原の検出用又は診断
用に使用できる抗体はモノクローナル抗体NCC−ST
−439のみに限定されないことは明らかである。同一
の抗原決定基と反応する抗体であれば抗体の種類は問わ
ない。さらにモノクローナル抗体であってもポリクロー
ナル抗体であっても良い。抗体を作成する動物種も限定
されない。マウス、ラット、家兎、ヤギ、ヒツジ、ブ
タ、ウマ、鶏等の動物由来の抗体も使用できる。
【0012】抗原抗体反応を用いる測定は、「役に立つ
免疫実験法」(西岡ら、講談社サイエンティフィック、
1984)、「酵素免疫測定法」(石川ら、医学書院、
1987)等に記載されるように種々の方法が知られて
いるが、本発明において測定法は特に限定されない。例
えば、抗体を担持した血球や合成ラテックス等による凝
集反応や比濁反応、ラジオアイソトープ、酵素、蛍光物
質、着色粒子や金属あるいは非金属の有色コロイド等を
結合した標識抗体を用いる測定法、表面プラズモン共鳴
を用いる測定法等が使用できる。これらはいずれも小動
物腫瘍NS抗原に対する抗体を含む試薬を検出用又は診
断用試薬として使用することができるもので、該抗体は
物理吸着により坦体に坦持されていても、また坦体又は
標識物質などと化学的に結合されていてもよい。本発明
において該抗体を含む小動物の腫瘍抗原の検出又は腫瘍
の診断用試薬と言った場合、該抗体を、上記のように坦
体に物理吸着もしくは化学結合したものも、また場合に
より、坦体に坦持せずにフリーの型で含むものもいずれ
の形で含むものもすべてを含む意味で使用する。
【0013】凝集反応や比濁反応に用いる非生体粒子と
しては、カオリン、ベントナイト、活性炭粒子、ポリス
チレンラテックス、ポリアクロレインラテックス等があ
り、磁性鉄の表面をポリマーで覆った様な複合粒子であ
っても良い。また、粒子表面にアミノ基、カルボキシル
基、アルデヒド基、エポキシ基、水酸基、トレシル基等
の官能基を有するものを使用することもある。好ましい
粒子の直径は、0.05〜20μmである。抗体は、粒
子懸濁液に添加することで物理吸着により粒子上に担持
される。また、抗体はアミノ基やチオール基を有してお
り、架橋試薬や縮合剤を使用することにより共有結合で
粒子上に担持できる。例えば、グルタルアルデヒドや水
溶性カルボジイミドを用いて抗体を粒子上のアミノ基や
カルボキシル基に結合することができる。さらに、抗体
は酵素処理や化学処理して抗体断片にし使用しても良
い。例えばFab’にしてヒンジ部分のチオール基を用
いて粒子上に共有結合させることもできる。抗体を担持
した粒子は必要に応じ、動物血清、アルブミン、スキム
ミルク、カゼイン等を含んだ緩衝液でブロック処理を行
い、適当な緩衝液に懸濁して測定試薬とする。
【0014】凝集反応にはガラス板法やマイクロタイタ
ー法があり、検体と上記測定試薬を混合し、その凝集像
により判定を行う。比濁法では、検体と上記測定試薬を
混合し、比濁計でその濁度の変化量を測定し、標準抗原
から得られた濁度の変化量と比較することにより、抗体
中の抗原濃度を求めることができる。
【0015】標識抗体(あるいは標識抗原と抗体)を用
いる測定方法には非常に多くのバリエーションがあり、
いずれであってもよく、例えば標識抗原と検体中の抗原
を競合させながら液層中の抗体と反応させる二抗体法、
標識抗原と検体中の抗原を競合させながら固相化抗体に
反応させる第一抗体固相法、検体中の抗原と抗体を予め
反応させた後に未反応の抗体を固相化抗原と反応させて
測定する結合阻害法等も使用できる。ここでは固相サン
ドイッチ法に基づく測定法について説明する。
【0016】抗体を固定化する固相には、プラスチック
の試験管、プラスチックやガラスのビーズ、プラスチッ
ク製のマイクロプレート、磁性粒子、ニトロセルロース
やナイロンのメンブレン等を用い、抗体は凝集反応や比
濁反応で述べたように物理吸着あるいは共有結合で固相
化する。
【0017】標識抗体に用いる標識物質としては、125
Iや131I等のラジオアイソトープ、ペルオキシダー
ゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダー
ゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−リン酸
脱水素等のような酵素、フルオロセンインイソチオシア
ネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネートや
Eu3+等の蛍光物質、金コロイド、セレンコロイド、着
色したポリマー粒子、染料や顔料粒子等の着色粒子等が
ある。
【0018】抗体へのヨウ素の結合には、クロラミンT
法、ヨードゲン法、ラクトペルオキシダーゼを用いる方
法、ボルトン−ハンター試薬を用いる方法等がある。酵
素と抗体を結合する方法としては、グルタルアルデヒド
法、過ヨウ素酸酸化法、マレイミド法、ピリジルジスル
フィド法等がある。Eu3+の様に直接標識するのではな
く、キレート試薬を抗体に結合させ、それを介して標識
する方法もある。さらにアビジン−ビオチンや抗体等の
生物学的親和性を利用して標識する方法もある。着色粒
子に関しては、物理吸着や化学結合が用いられる。
【0019】酵素標識抗体の場合に検出できるシグナル
を得るためには、さらに酵素の基質を必要とする。基質
としては発色基質、蛍光基質、発光基質がある。ペルオ
キシダーゼの発色基質には1,2−フェニレンジアミ
ン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン、
2,2’−アジノジ−(3−エチルベンズチアゾリン−
6−スルホン酸)等、蛍光基質には4−ヒドロキシフェ
ニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン
酸等、発光基質にはルミノール、イソルミノール等が知
られる。アルカリフォスファターゼの発色基質には、4
−ニトロフェニルリン酸、NADPによる酵素サイクリ
ングを介する4−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレ
ット等、蛍光基質には4−メチルウムベリフェリルリン
酸等が挙げられ、発光基質としては3−(2’−スピロ
アダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’’−ホスホ
リルオキシ)−1,2−ジオキセタン等が使用出来る。
β−D−ガラクトシダーゼの発色基質には2−ニトロフ
ェニル−β−Dガラクトシド等、蛍光基質には4−メチ
ルウムベリフェリル−β−Dガラクトシド等が挙げられ
る。
【0020】着色粒子で標識した抗体は、ニトロセルロ
ース膜等に固定化した抗体と組み合わせてイムノクロマ
ト法やフロースルー法で用いることも出来る。
【0021】測定操作の代表例として、抗体結合ビーズ
を用いた2ステップ固相サンドイッチ法に基づく酵素免
疫測定について述べるが、これに限定されるものではな
い。まず検体である小動物の体液例えば血清等を適当な
緩衝液で希釈した溶液にモノクローナル抗体NCC−S
T−439を坦持したビーズを入れて、ビーズに結合し
たモノクローナル抗体NCC−ST−439と小動物腫
瘍NS抗原を反応させる。その後、検体を含む緩衝液を
除き、さらにビーズを生理食塩水等で洗って未反応の抗
原を除去する。洗浄したビーズを酵素標識したモノクロ
ーナル抗体NCC−ST−439を含む溶液に入れ、ビ
ーズ上にトラップされた抗原と反応させる。酵素標識モ
ノクローナル抗体NCC−ST−439を含む溶液を除
き、再びビーズを洗って、未反応の酵素標識モノクロー
ナル抗体NCC−ST−439を除去する。標識した酵
素によって発色する基質を含む溶液にビーズを入れ、発
色させる。発色強度は、試料中の抗原量を反映するの
で、抗原濃度を測定することができる。この測定法は日
本化薬(株)の販売しているラナザイムSTー439を
用いることにより、簡単に行うことができる。上記から
明らかなように本発明の小動物腫瘍NS抗原の検出法も
しくは測定法には、小動物腫瘍NS抗原を測定するため
の抗体を含む診断用試薬及びその他必要に応じて、緩衝
剤、緩衝剤溶解液、酵素標識抗体、酵素標識抗体溶解
液、発色剤、基質液、反応停止剤、標準液などから選ば
れる一種以上の試薬をセットとした小動物の腫瘍の診断
用キットを使用することが出来る。
【0022】正常な小動物の場合、その体液中の小動物
腫瘍NS抗原濃度は低く、腫瘍の発症により上昇する。
従って、小動物の体液中の抗原を上記の方法等で求める
ことにより小動物の腫瘍の診断を行なうことができる。
例えば、後記実施例に示したように、正常犬の血清中の
小動物腫瘍NS抗原は4.4U/mL以下であり、一
方、腫瘍発症犬の血清中の値は、21.6U/mL以上
であった。測定した犬の血清中の小動物腫瘍NS抗原濃
度が、20U/mL以上で有れば、腫瘍が疑われる。
【0023】なお、一般にはカットオフ値を設定して判
定する。正常とわかっている複数の小動物と腫瘍を発症
している複数の小動物のそれぞれについて体液を採取
し、それらの体液中の抗原濃度を測定し、両者を最も良
く峻別できる値を求めることによりカットオフ値が設定
できる。診断対象である小動物の抗原濃度がカットオフ
値以上の場合に、腫瘍を疑う。さらに手術によって治癒
した小動物については、抗原濃度は下がるので定期的に
抗原濃度を測定し、上昇してくれば再発が疑われる。即
ち再発のモニタリングにも使用できる。小動物の体液が
犬の血清の場合、カットオフ値は5ないし20U/ml
の間に設定するのが好ましい。
【0024】本発明によれば、小動物の腫瘍の診断を的
確に且つ簡便に行なうことができ、術後の再発のチェッ
クも可能となる。
【0025】
【実施例】実施例によって本発明を具体的に説明する
が、本発明がこれら実施例のみによって限定されるもの
ではない。
【0026】実施例1(犬の体液の小動物腫瘍NS抗原
濃度の測定) 正常犬および乳癌発症犬の前腕ぎょう側皮静脈から採血
し、凝固後、遠心分離して血清を得た。血清中の抗原濃
度は、日本化薬(株)製のNCC−ST−439抗原測
定用試薬キットであるラナザイム ST−439を小動
物腫瘍NS抗原濃度の測定に用いて、同キットの操作方
法に従って測定した。なお同キットは、2ステップ固相
サンドイッチに基づいた酵素免疫測定法を用いて抗原を
測定する試薬である。測定結果を表1に示す。
【0027】 表1.正常犬および(乳癌)と確定された犬の血清中の小動物腫 瘍NS抗原濃度 個体 小動物腫瘍NS抗原 CEA CA15−3 No. (U/mL) (ng/mL) (U/mL) 1 7.4 ― ― 2 6.2 ― ― 正 3 3.0 0.5以下 3.0以下 常 4 4.4 0.5以下 3.0以下 犬 5 2.2 0.5以下 3.0以下 6 2.7 0.5以下 3.0以下 7 5.2 ― ― 8 4.0 ― ― 9 2.5 ― ― 52 21.6 ― ― 143 70.7 0.5以下 3.0以下 サンダー 30.2 0.5以下 3.0以下 乳 マリ 30.0 0.5以下 3.0以下 癌 ナナ 50.5 0.5以下 3.0以下 犬 ラッキー 25.3 ― ― エス 35.7 ― ― シルク 30.5 ― ― スズ 22.8 ― ― 次に上記実験結果の平均値とその範囲を次表に示す。
【0028】 表2.各種抗原濃度平均値とその範囲 正常犬(n=9) 乳癌犬(n=9) 本抗原 平均値±標準偏差 4.2±1.8 35.3±15.8 (U/mL) 範 囲 (2.2〜7.4) (21.6〜70.7 ) CEA 平均値±標準偏差 0.5以下 0.5以下 (ng/mL) 範 囲 CA15−3 平均値±標準偏差 3.0以下 3.0以下(U/mL) 範 囲 注)表中「本抗原」は「小動物腫瘍NS抗原」を意味する。
【0029】正常犬9匹と乳癌犬9匹の小動物腫瘍NS
抗原濃度の測定結果を比較した。正常犬での値は、2.
2〜7.4U/mLの範囲であった。一方(乳癌犬)
は、21.6〜70.7U/mLの範囲であり、正常犬
と乳癌犬との小動物腫瘍NS抗原濃度では、明らかな差
が見られた。犬の乳癌の診断に有用であることが判る。
なおCEA及びCA15−3はそれぞれ、市販の測定キ
ットを用いて測定した。また参考のため上記の抗原の市
販キットでのヒトでの基準値(カットオフ値)を記載す
ると次の通りである。 NCC−ST−439ヒト基準値 :7.0U/mL CEAヒト基準値 :2.5ng/mL CA15−3ヒト基準値 :30.0U/mL
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、簡便な方法で小動物の
腫瘍抗原の検出又は腫瘍の診断と術後の再発チェックを
行なうことができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小動物の体液中の、モノクローナル抗体
    NCC−ST−439が認識する抗原を測定することを
    特徴とする小動物の腫瘍抗原の検出法。
  2. 【請求項2】 モノクローナル抗体NCC−ST−43
    9が認識する抗原を抗原抗体反応を用いて測定する、請
    求項1記載の検出法。
  3. 【請求項3】 モノクローナル抗体NCC−ST−43
    9を用いる請求項2記載の検出法。
  4. 【請求項4】 体液が全血、血漿又は血清である請求項
    1、2又は3記載の検出法。
  5. 【請求項5】 小動物が、犬又は猫である請求項1ない
    し4のいずれかに記載の検出法。
  6. 【請求項6】 抗原が、末端にシアル酸が存在する糖鎖
    を有する抗原である請求項1ないし5のいずれかに記載
    の検出法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の検
    出法による小動物の腫瘍の診断法。
  8. 【請求項8】 腫瘍が乳癌である請求項7に記載の診断
    法。
  9. 【請求項9】 モノクローナル抗体NCC−ST−43
    9が認識する抗原を測定するための抗体を含むことを特
    徴とする小動物の腫瘍抗原の検出又は小動物の腫瘍の診
    断用試薬。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の診断用試薬を含む小動
    物の腫瘍の診断用キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110317274A (zh) * 2018-03-30 2019-10-11 积水医疗株式会社 与ncc-st-439抗原特异性反应的单克隆抗体及其制造方法

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