JP2004524522A - 膵臓及び胃腸疾患の検出方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は抗体を使用して血清及び糞便で胃及び膵臓疾患を検出する方法に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は膵臓及び胃腸疾患の検出方法、特に膵癌、慢性膵炎、胃病及び炎症性腸疾患の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓疾患、例えば膵癌又は慢性膵炎は胃腸疾患、例えば胃病又は炎症性腸疾患と同じくヒト及び動物の身体の重大な脅威である。この種の疾病の早期のなるべく特異的な診断は、効果的な治療のために不可欠である。これまで胃腸管のほとんどすべての疾患は、標準的方法として試料採取による侵襲的方法(内視鏡法、大腸鏡法、ERCP[内視鏡的膵胆管造影法]等)に造影法(ソノグラフ法、X線撮影、コンピュータ断層撮影等)を援用して診断した。この診察の前段階で幾つかの実験室的方法が、特定の内臓例えば膵臓の不全について解明することができる日常的方法として確立されている。ところがこれら実験室的方法はたいてい費用がかかり、多くの場合新鮮な材料(胃液、膵液、十二指腸液等)で短時間の内に実施しなければならない。さもなければ試料の酵素組成により特異的因子の検出がもはやできないことが多いからである(このことはとりわけ酵素基質反応に当てはまる)。患者の血清で特定のパラメータを決定する場合、この値はしばしば希望通りに確実なものでなく(大きな個人内及び個人間変動)、極めて低い感受性を示す。
【0003】
また幾つかの少数の疾患(慢性膵炎、胃のヘリコバクターピロリ感染症、腸内細菌異常等)で最近、呼吸試験(例えば13C−尿素呼吸試験、H2−グルコース呼吸試験、13C−トリグリセリド呼吸試験等)を確立することができたが、かなり高価な設備(例えば質量分析計)を備えねばならず、例えば高価な13C−標識に制約されて費用をこれ以上引き下げることができないので、その実施はこれまで少数のセンターでしかできない。
従ってこれらの方法は適当な予備スクリーニング・プログラムへの採用に適さないことが多い。
【0004】
患者の糞便で特定の疾患を検出することができる診断テストは、これまでごく少数しかない。例えば腸癌のスクリーニング法としての糞便中の潜血の検出のための潜血試験、慢性膵炎の診断のための糞便中の膵臓エラスターゼの検出及び胃のヘリコバクターピロリ感染の検出のために最近開発されたヘリコバクターピロリ糞便試験がこれに数えられる。最後の2つの試験では抗体技術により検出が行われる。
【0005】
膵臓エラスターゼの試験に関しては、この試験は重い膵臓外分泌不全の診断のための有用な方法であるが、しかし中度ないし軽度の機能障害は検出が比較的不良であることが認められる。
【0006】
悪性の疑いのある膵臓病変の確実な非侵襲的鑑別方法は依然として存在しない。膵癌の非侵襲的診断のための候補として、とりわけ特定の遺伝子突然変異を検出するマーカーが検討されている(K−Ras、p16、p53)。個々の遺伝子は癌発生の時間的経過の中で様々に活動するから、異なる確率で癌腫の発生に関連する。
【0007】
例えばK−Ras突然変異はすでに前癌段階、即ち癌種の「発生」の段階で検出されるが、腫瘍抑制遺伝子p16及びp53は癌種が存在すると不活性化される。ところが癌種の発生に早期に関与する遺伝子は、腫瘍発生の前段階即ち「前癌」状態や腫瘍のない慢性膵炎患者でも検出されることがあり、それが予測力を制限するという欠点がある。このためこれらの種々の腫瘍マーカー又は膵癌に対するその他の特異的マーカーの組合わせを得ようとする。
【0008】
CA19−9、即ち患者の血清で経過マーカー及び再発指標として決定される腫瘍マーカーの、経過パラメータとして利用される検出にも同じことが当てはまる。研究が示すところによれば、7人中ちょうど5人の慢性膵炎患者でCA19−9の血清値が増加しており、膵癌の手術を行った後、血清のCA19−9レベルの正常化が現われたのは10−29%の場合に過ぎない。
【0009】
これまでPCR法による市販のK−Ras検出キットが提供されているが(Eluc−igene K−Ras7;Zeneca Diagnostics)、この技術は時間がかかり、高価であり、検出に偽陰性の又は偽陽性の影響を及ぼす恐れのある環境からのDNA汚染を回避するために、すべての分子生物学的方法のように研究材料及び試験方法の実施を極めて入念に(無菌で)取扱うことが必要である。
【0010】
膵癌の診断のための別のマーカーとして、カルボキシペプチダーゼA(CPA)の検出が有効である。この酵素はもっぱら膵臓で前駆体(「プロ酵素」)プロカルボキシペプチダーゼA(PCPA)として形成される。プロペプチドの分解によって、酵素は活性カルボキシペプチダーゼに変えられる。
【0011】
膵臓腫瘍患者の血清でPCPAの増加が検出される。また健全な膵臓のカルボキシペプチダーゼAは他の膵臓酵素(エラスターゼ、アミラーゼ等)と比較して分泌が少ない(酵素分泌の割合は約5%)。従って膵臓の病的変異(膵炎、膵癌)は検出限界以下の酵素の低下及び/又は「未成熟」プロ酵素(PCPA)の増加をもたらすと予想される。もう一つの利点は、カルボキシペプチダーゼAが無傷で腸通過に耐え、糞便中で定量されることである。
【0012】
体液又は糞便中のCPA又はPCPAの決定のための市販の検出キットはまだない。
【0013】
全体として、多くの胃腸疾患の慢性的異変の確実な非侵襲的診断は依然として存在しないことが確認される。
【0014】
慢性炎症性腸疾患、例えばクローン病又は潰瘍性大腸炎では最初の症状の発現から診断に至るまでに一般に大変長い期間が経過し、それが多くの場合治療の実施を非常に難しくし、不可能にさえする。クローン病と潰瘍性大腸炎は、現在十分な診断法も治療法もない病因不明な慢性炎症性腸疾患(CED)である。クローン病又は潰瘍性大腸炎の診断のために現在行われる方法は、炎症パラメータの確定並びに体液及び糞便の微生物学的及び血清学的検査である。場合によってはソノグラフ的及び内視鏡的検査法がこれに加わる。さらに放射性同位元素、例えば111インジウム、99テクネチウムを使用し、それに関連して白血球をこれらの同位元素で標識して検出する方法が開発された。この方法はクローン病及び潰瘍性大腸炎に対して高い感受性と特異性を有するが、技術的に複雑であり、高価であり、患者にとって厄介である。特定の患者群、例えば幼児や妊婦にはこの診断法を行うことができない。
【0015】
そこで抗体検定に基づき特定の病像の特異的検出をすでに早期に行うことができる比較的温和な方法が開発された。例えば米国特許公報第5,455,160号は胃腸管の腫瘍疾患並びにクローン病及び潰瘍性大腸炎の診断方法を記載する。この刊行物は抗カルプロテクチン抗体の使用、特に患者の糞便中のカルプロテクチンの定量のための酵素免疫検定の使用を開示する。その場合カルプロテクチン量の増加は前記の疾病を示唆する。
【0016】
ドイツ国特許第4107765号明細書は体液及び糞便のいずれとも反応する高特異的膵臓エラスターゼ1−抗体を得る方法を記載する。この方法により得られる抗体は糞便による慢性及び急性膵炎の診断に適している。
【0017】
Si−Tahar(Gastroenterology 118(2000),1061−1071)により、SLPI(分泌性白血球プロテイナーゼ阻害剤)即ちプロテアーゼ阻害機能を有する11.7kDaの大きさのタンパク質は腸への有害な影響、例えば微生物感染に対する有力な治療薬であることが知られている。
【0018】
国際公開公報WO94/06454によりHIV感染に対する予防薬としてのSLPIの使用が知られている。国際特許出願WO99/17800には粉末状SLPIの薬剤としての使用が記載されている。そこで特に説明されている粉末状の投薬形態は、吸入療法によるSLPIの使用に利用される。米国特許第5,633,227号により喘息又はアレルギー性鼻炎の治療のためのSLPIの使用が明らかである。日本国特許第07103977号明細書によりSLPI又はSLPI−エラスターゼ複合体のための免疫学的サンドイッチ型検定が明らかである。その場合アミノ酸残基1から54及び55から107を有するSLPI断片が認識される。上記の系により呼吸道の疾患を検出できることが説明される。また日本国特許第03279862号明細書により抗体に基づくSLPI検定法が明らかである。
【0019】
SLPIについては、このタンパク質がキモトリプシン形プロテアーゼ(例えば膵臓エラスターゼ)及びトリプシン形プロテアーゼに対して阻害活性を有することが知られている。前者の活性については、これがSLPIのC末端領域に、後者の活性はN末端領域に属することが知られている。米国特許第5,851,983号明細書はこの認識に基づき調製された短縮及び融合タンパク質並びにこのタンパク質の製薬上の応用の可能性を記載する。最後に国際公開公報WO96/08275は別のSLPI断片及びトリプターゼの阻害のためのこの断片の使用を開示する。
【発明の開示】
【0020】
そこで本発明の根底にある技術問題は、膵臓及び胃腸疾患、特に膵癌、慢性膵炎、胃病及び炎症性腸疾患に対する、簡単に実施され、温和で安価な、かつ迅速に実施される検出方法を提供することである。
【0021】
本発明はヒト又は動物の身体の血清又は糞便を採取し、免疫学的手段と接触させることによってSLPI(分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤)、その断片又は複合体を検出し、特に血清又は糞便中のSLPI、その断片又は複合体の濃度を決定して行う、膵癌、慢性膵炎、胃病及び炎症性腸疾患からなるグループから選ばれるヒト又は動物の身体の疾病の検出方法を提供することによってこの問題を解決する。本発明に基づき意外なことに免疫学的手段、特にモノクローナル又はポリクローナル抗体を使用して、SLPI、その断片又は複合体の有無、特に現存するSLPIの濃度を、健康な対象者と比較して決定することにより、ヒト又は動物の身体の血清又は糞便で上記の疾病の検出が可能であることを示すことができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
慢性膵炎又は膵癌を罹患する患者は、本発明に基づき糞便にSLPIが健康な者に比して特に高い濃度で現われることによって診断される。健康なヒト又は動物の身体の糞便はSLPIが極めて少ないか又はまったくない。本発明に基づき患者の糞便で慢性膵炎又は膵癌を決定できるだけでなく、さらに疾患の度合もSLPI濃度決定によって定量することができる。糞便中のSLPI濃度は糞便中に存在するエラスターゼ1濃度と相関することを示すことができた。特に慢性膵炎患者の糞便中のSLPI濃度はエラスターゼ1濃度と、また健康な対照者のSLPI濃度はこの対照者のエラスターゼ1濃度と相関することを示すことができた。同じことが膵癌患者のSLPI濃度にも当てはまる。従ってこのSLPI濃度は同じくこの患者のエラスターゼ1濃度と相関する。
【0023】
本発明はとりわけSLPIが腸内で決して直ちに分解されないことを示すことができたという点で、意外である。むしろ慢性膵炎及び膵癌患者では糞便中のSLPIを検出することができる。
【0024】
そこで本発明は特にヒト又は動物の身体の糞便中のSLPIの検出による膵臓疾患の免疫学的検出方法に関する。
【0025】
さらに本発明に基づき胃病、例えば胃炎又は潰瘍のない健康な対照者の血清中のSLPI濃度は、このような疾病を持つ患者より小さいことを示すことができた。そこで本発明に基づき膵臓及び胃腸疾患の免疫学的検出のための本方法を胃病の診断にも利用することができる。その場合正常な健康な対照者に比して高い血清中SLPI濃度が検出される。そこで本発明はまた特にヒト又は動物の身体の血清中のSLPIの検出による胃腸疾患の免疫学的検出方法に関する。
【0026】
本発明に関連して「免疫学的手段」の概念は、抗原、特にSLPI、SLPI含有複合体、例えば異価又は同価の組成のタンパク質−タンパク質複合体もしくはSLPI断片の検出のための抗体の使用を意味する。以下で本発明に関連してSLPIの概念は、例えばSLPI−エラスターゼ1複合体のような他のタンパク質との複合体又はSLPIの断片、例えばC又はN末端断片をも意味する。このような断片は例えばアミノ酸残基1から54(N末端断片)又は55から107(C末端断片)を有する。上記の位置データについては、米国特許第5,851,983号及びそこに配列番号4で示された番号表示を参照されたい。米国特許第5,851,983号及び国際公開公報WO96/08275に開示されたSLPI断片に関する開示内容は、ここに本発明の開示内容に完全に包含されており、そこに挙げられた断片と本発明方法の組合わせに対して保護が請求されることを明確にしている。
【0027】
本発明に関連して抗体の概念は、特異的にSLPI、SLPI含有複合体例えばSLPI−エラスターゼ1複合体又はSLPI断片を認識し、結合する限り、モノクローナル抗体もポリクローナル抗体も意味する。好ましい実施形態では抗体又はその断片は他の抗原を結合しない。もちろん抗体又は断片は修飾することができ、例えば他の分子又はその部分例えば色素標識、放射性標識、測定可能な反応を開始する酵素、例えばホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、酵素基質、蛍光物質、化学発光物質、細胞毒素、スペーサー、支持物質等とコンジュゲート、会合もしくは共有又は非共有結合することができる。標識、コンジュゲート又は未修飾抗体は可溶の形もしくは例えば支持体マトリクス又は小球に固定化した形をとることができる。例えば酵素で標識した抗体を第2の酵素増幅系で使用することができる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では免疫学的手段の使用とは、試料即ち血清又は糞便、特に均質化した糞便を、特異的に抗原即ちSLPIを認識する少なくとも1つの抗体を含む免疫学的試薬と接触させることを意味する。
【0029】
そこで発明はヒト又は動物の身体の糞便又は血清中のSLPIの定性的及び/又は定量的決定のための抗SLPI抗体の使用に関する。こうして本発明に基づき抗SLPI抗体を使用して血清で胃腸疾患を、また糞便で膵癌又は慢性膵炎を特異的に検出することが可能である。
【0030】
免疫学的手段を使用する本発明方法はサンドイッチ型ELISA、間接的又は競合的ELISAとして実施することが好ましい。その場合HTP法(high through put)を使用することが特に好ましい。
【0031】
本発明に基づくサンドイッチ型ELISAに関連して、異なるSLPIエピトープに、また代替として同じSLPIエピトープに向けられた少なくとも2つの異なるモノクローナル抗体が必要である。少なくとも2つの抗体は均質又は不均質系に溶解し及び/又は支持体に固定されている。
【0032】
本発明に基づき免疫学的手段を3つの異なる抗体の系として構成することももちろん可能であり、その場合抗体の1つは不均質相にあり、他の2つの抗体は可溶である。2つの可溶の抗体の1つは標識を有し、他の抗体は標識なしである。この実施形態では可溶の抗体は標識無しの抗体に向けられている。
【0033】
本発明に基づき免疫学的手段を使用して行われる方法は、特に好ましい実施形態では血清又は好ましくは均質化し、場合によっては希釈した糞便を、SLPIに対して特異的な少なくとも2つの抗体とともにインキュベートすることが必要である。好ましい実施形態では2つの抗体の1つは固相に結合されている。これは常法で行われる。別の抗体は可溶の形であることが好ましく、好ましい実施形態では標識を有する。本発明に基づき別の抗体を使用する場合は、好ましい実施形態ではそのうちの1つだけが標識を有する。
【0034】
本発明の一実施形態では非特異的にSLPIと結合し得る抗体、又は特に好ましくは特異的にSLPIと結合し得る抗体が固相に結合される。固相に結合されたこの抗体は続いて血清又は糞便とともに、場合によっては洗浄処理の後に第2の抗体とともにインキュベートする。第2の抗体は特異的にSLPIと結合することができ、可溶の形であって標識を有する。固相に結合された抗体が非特異的にSLPIと結合し得る抗体であるならば、固相にはSLPIだけでなく他の抗原も結合する。ところが特異的にSLPIと結合する第2の抗体は、特異的にSLPI又はSLPIと第1の抗体の複合体とだけ反応するから、SLPI分子だけが特異的に標識付き抗体を有し、こうして固相と液相の分離の後に定量することができる。
【0035】
このようにして本発明に基づき例えばサンドイッチ型ELISAに関連して、標識なしのSLPI特異的な第1の抗体を例えば担体に結合し、試験溶液又は懸濁液を加えることができる。その際試験溶液又は懸濁液中にあるSLPIは第1の抗体に結合される。続いて第2の標識付き抗SLPI抗体を加える。この抗体はSLPI又はSLPIと第1の抗体の複合体と特異的に反応する。第2の抗体に標識することによって、標準液を使用してSLPI量を決定することができる。
【0036】
SLPIに特異的に結合する第1の抗体を固相に固定すれば、固相にSLPIだけが特異的に結合される。第2の可溶の抗体とともにインキュベートすると、この第2の抗体もSLPIと反応する。固相と液相を分離した後、第2の抗体に標識することによってSLPIの正確な定量を行うことができる。
【0037】
発明の特に好ましい実施形態ではSLPIに特異的又は非特異的に結合する第1の抗体でマイクロタイタープレートを被覆し、続いて血清又は糞便を被覆されたマイクロタイタープレートと接触させ、未結合の成分を洗い流した後、標識付きの、例えばビオチン標識付きの第2の抗SLPI抗体をマイクロタイタープレートに加え、第2の抗体がSLPIに結合し得る条件でマイクロタイタープレートをインキュベートする。続いて固相と液相を分離し、標識を直接検出するか、又は酵素で標識した第2の抗体を使用して基質を加え、基質の変化を定量的に決定する。そこでビオチンで標識した第2の抗体を次のインキュベーションでペルオキシダーゼ(POD)とストレプトアビジンのコンジュゲートと反応させることができる。ペルオキシダーゼは基質ABTS(2,2’−アジノ−ビス−(3−エチルベンゾチオアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩)を酸化することができる。酸化したABTSを続いて測光法で決定することができる。
【0038】
本発明の特に好ましい実施形態では第1の抗体が常法のようにELISAイムノプレ−トのくぼみの底をなすのではなく、支持体マトリクス例えば不織構造、織構造又は膜構造に直接組み込むことによってマトリクスに結合される。好ましいマトリクスは中空線維膜又は細孔を有する平面膜である。発明の有利な実施形態ではこの平面膜にイオン交換基を設けることもできる。
【0039】
ポリクローナル抗体は、分離し完全に精製したSLPI又はその断片で動物を免疫感作し、周知のようにポリクローナル抗体を含む抗血清を得ることによって作られる。モノクローナル抗体は周知の方法で作られる。本発明に基づき使用される抗SLPI抗体は市販の抗体であってもよい。
【0040】
本発明に基づき検出可能な胃病は胃炎又は潰瘍症状である。本発明に基づき検出可能な炎症性疾患は例えばヘリコバクターピロリ感染に原因し、もしくはクローン病又は潰瘍性大腸炎症状である。
【0041】
本発明の特に好ましい実施形態では患者の血清又は糞便でSLPIを検出するときに、同時にエラスターゼ1濃度も検出する。ヒトの膵臓エラスターゼ1は腸通過に無傷で耐え、糞便でタンパク質として定量することができる。糞便中のエラスターゼ1濃度は膵臓外分泌機能を反映する。糞便グラム当りエラスターゼ200μg以上の値は正常な膵臓外分泌機能を指示し、糞便グラム当りエラスターゼ200μg以下の値は膵臓外分泌不全を指示する。急性膵炎の場合、急性炎症段階でエラスターゼ1が血清に放出されるから、血清中のエラスターゼの定量によってこの疾病の診断又は解明が可能である。従って血清中の高いエラスターゼ1濃度は膵炎を示唆する。
【0042】
発明のその他の有利な実施形態は従属請求項で明らかである。
【0043】
以下の実施例と当該の図に基づき発明を詳述する。
【実施例】
【0044】
実施例1
慢性膵炎患者の糞便中のSLPIの検出
慢性膵炎のない患者42人、膵癌患者6人及び慢性膵炎患者19人からそれぞれ100mgの糞便を採取し、秤量し、抽出用緩衝液(リン酸塩緩衝食塩溶液、pH7.2、洗浄剤及びアジ化トリウム)で抽出し、希釈した。
【0045】
糞便試料懸濁液を室温で試験管振とう装置により何回も激しく混合することによって抽出を行う。完全な抽出を保証するために、糞便をよく均質化しなければならない。少なくとも5分間の抽出の後に最後にもう1回混合する。粒子の沈降の後に糞便試料抽出物を次のように希釈する。
【0046】
SLPIの測定のために1:100の希釈率で、またエラスターゼ1の比較測定のために1:500の希釈率で試料抽出物の希釈を行った。
【0047】
R&D System社(R&D System GmbH、ドイツ国ヴィースバーデン)のSLPI−ELISA(Quantikline(R)、カタログ番号DP100,6/99)でSLPI濃度を決定した。
【0048】
このELISAは96個のくぼみを具備し、マウスの抗ヒトSLPIモノクローナル抗体で被覆したポリスチレン・マイクロタイタープレートを使用する。抽出物をピペットでくぼみに移した後、SLPIは固定化したモノクローナル抗体により結合される。未結合の物質を洗い流した後、酵素と結合された、ヒトSLPIに対して特異的なポリクローナル抗体(ホースラディッシュペルオキシダーゼと結合した抗ヒトSLPIポリクローナル抗体)をくぼみに入れる。未結合の抗体−酵素試薬を洗い流した後、基質溶液をくぼみに入れ、結合したSLPIの尺度として発色を測定する。
膵臓エラスターゼ1の濃度をSCHeBo−Tech(R)社のエラスターゼ1−ELISA(ドイツ国ギーセン、カタログ番号07、2000年4月、EP0547059B1)により決定した。
【0049】
図1及び2に示す下記の結果が生じた。
【0050】
図1は慢性膵炎のない患者群、膵癌患者群及び慢性膵炎患者群について作図した患者の糞便中のSLPI濃度(糞便グラム当りピコグラムSLPI)を示す。対照群の成員は糞便中にSLPIがまったく又は僅かしかないが、慢性膵炎及び膵癌の2つの患者群は糞便中のSLPI濃度がはるかに高いことがはっきり示される。
【0051】
図2は同じ患者群で行ったエラスターゼ1の濃度測定を示す。健康な対照群は明らかに200μg/糞便gを超えるエラスターゼ含量を有するが、慢性膵炎及び膵癌の2つの患者群は糞便中のエラスターゼ1濃度が著しく減少している。
【0052】
実施例2
実施例2a
胃病がある又はない患者の血清中のSLPIの検出
胃の所見が正常な患者(oB)17人と胃又は小腸の潰瘍(胃潰瘍及び十二指腸潰瘍)の患者33人からそれぞれ5mlの血液を採取し、室温で3000rpmにより10分間遠心分離して血清を得た。
SLPIの測定のために希釈率1:100で血清試料の希釈を行なった。
【0053】
血清中のSLPI濃度をR&D社(R&D System GmbH、ドイツ国ウィースバーデン)のSLPI−ELISA(Quantikine(R)、カタログ番号DP100,6/99)により決定した。ELISAは実施例1で説明したように行った。
【0054】
図3は対照群と患者のSLPI濃度(ng/ml)を示す。
【0055】
結果:
患者群は対照群と比較して著しく高いSLPI濃度を示した。
【0056】
実施例2b
胃の所見が正常な患者(対照)17人、慢性胃炎患者16人及び潰瘍病患者18人からそれぞれ5mlの血液を採取し、室温で3000rpmにより10分間遠心分離して血清を得た。
【0057】
SLPIの測定のために希釈率1:100で血清試料の希釈を行った。
【0058】
血清中のSLPI濃度をR&D社(R&D System GmbH、ドイツ国ウィースバーデン)のSLPI−ELISA(Quantikine(R)、カタログ番号DP100,6/99)により決定した。
【0059】
ELISAは実施例1で説明したように行った。
【0060】
慢性胃炎患者も潰瘍病(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍)の患者も血清中のSLPI濃度が著しく高かった。
【0061】
図4は胃の所見が正常な患者、慢性胃炎患者及び潰瘍病(Ulcus)患者の血清中のSLPI濃度(ng/ml)を示す。図がはっきり示すように、健康な対照群は慢性胃炎及び潰瘍病の患者群よりはるかに小さなSLPI濃度を有する。
結果:
SLPI血清濃度は胃腸病のマーカーとしても適している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】糞便中のSLPI濃度のヒストグラムを示す。
【図2】糞便中のエラスターゼ1濃度のヒストグラムを示す。
【図3】血清中のSLPI濃度のヒストグラムを示す。
【図4】血清中のSLPI濃度のヒストグラムを示す。
【0001】
本発明は膵臓及び胃腸疾患の検出方法、特に膵癌、慢性膵炎、胃病及び炎症性腸疾患の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓疾患、例えば膵癌又は慢性膵炎は胃腸疾患、例えば胃病又は炎症性腸疾患と同じくヒト及び動物の身体の重大な脅威である。この種の疾病の早期のなるべく特異的な診断は、効果的な治療のために不可欠である。これまで胃腸管のほとんどすべての疾患は、標準的方法として試料採取による侵襲的方法(内視鏡法、大腸鏡法、ERCP[内視鏡的膵胆管造影法]等)に造影法(ソノグラフ法、X線撮影、コンピュータ断層撮影等)を援用して診断した。この診察の前段階で幾つかの実験室的方法が、特定の内臓例えば膵臓の不全について解明することができる日常的方法として確立されている。ところがこれら実験室的方法はたいてい費用がかかり、多くの場合新鮮な材料(胃液、膵液、十二指腸液等)で短時間の内に実施しなければならない。さもなければ試料の酵素組成により特異的因子の検出がもはやできないことが多いからである(このことはとりわけ酵素基質反応に当てはまる)。患者の血清で特定のパラメータを決定する場合、この値はしばしば希望通りに確実なものでなく(大きな個人内及び個人間変動)、極めて低い感受性を示す。
【0003】
また幾つかの少数の疾患(慢性膵炎、胃のヘリコバクターピロリ感染症、腸内細菌異常等)で最近、呼吸試験(例えば13C−尿素呼吸試験、H2−グルコース呼吸試験、13C−トリグリセリド呼吸試験等)を確立することができたが、かなり高価な設備(例えば質量分析計)を備えねばならず、例えば高価な13C−標識に制約されて費用をこれ以上引き下げることができないので、その実施はこれまで少数のセンターでしかできない。
従ってこれらの方法は適当な予備スクリーニング・プログラムへの採用に適さないことが多い。
【0004】
患者の糞便で特定の疾患を検出することができる診断テストは、これまでごく少数しかない。例えば腸癌のスクリーニング法としての糞便中の潜血の検出のための潜血試験、慢性膵炎の診断のための糞便中の膵臓エラスターゼの検出及び胃のヘリコバクターピロリ感染の検出のために最近開発されたヘリコバクターピロリ糞便試験がこれに数えられる。最後の2つの試験では抗体技術により検出が行われる。
【0005】
膵臓エラスターゼの試験に関しては、この試験は重い膵臓外分泌不全の診断のための有用な方法であるが、しかし中度ないし軽度の機能障害は検出が比較的不良であることが認められる。
【0006】
悪性の疑いのある膵臓病変の確実な非侵襲的鑑別方法は依然として存在しない。膵癌の非侵襲的診断のための候補として、とりわけ特定の遺伝子突然変異を検出するマーカーが検討されている(K−Ras、p16、p53)。個々の遺伝子は癌発生の時間的経過の中で様々に活動するから、異なる確率で癌腫の発生に関連する。
【0007】
例えばK−Ras突然変異はすでに前癌段階、即ち癌種の「発生」の段階で検出されるが、腫瘍抑制遺伝子p16及びp53は癌種が存在すると不活性化される。ところが癌種の発生に早期に関与する遺伝子は、腫瘍発生の前段階即ち「前癌」状態や腫瘍のない慢性膵炎患者でも検出されることがあり、それが予測力を制限するという欠点がある。このためこれらの種々の腫瘍マーカー又は膵癌に対するその他の特異的マーカーの組合わせを得ようとする。
【0008】
CA19−9、即ち患者の血清で経過マーカー及び再発指標として決定される腫瘍マーカーの、経過パラメータとして利用される検出にも同じことが当てはまる。研究が示すところによれば、7人中ちょうど5人の慢性膵炎患者でCA19−9の血清値が増加しており、膵癌の手術を行った後、血清のCA19−9レベルの正常化が現われたのは10−29%の場合に過ぎない。
【0009】
これまでPCR法による市販のK−Ras検出キットが提供されているが(Eluc−igene K−Ras7;Zeneca Diagnostics)、この技術は時間がかかり、高価であり、検出に偽陰性の又は偽陽性の影響を及ぼす恐れのある環境からのDNA汚染を回避するために、すべての分子生物学的方法のように研究材料及び試験方法の実施を極めて入念に(無菌で)取扱うことが必要である。
【0010】
膵癌の診断のための別のマーカーとして、カルボキシペプチダーゼA(CPA)の検出が有効である。この酵素はもっぱら膵臓で前駆体(「プロ酵素」)プロカルボキシペプチダーゼA(PCPA)として形成される。プロペプチドの分解によって、酵素は活性カルボキシペプチダーゼに変えられる。
【0011】
膵臓腫瘍患者の血清でPCPAの増加が検出される。また健全な膵臓のカルボキシペプチダーゼAは他の膵臓酵素(エラスターゼ、アミラーゼ等)と比較して分泌が少ない(酵素分泌の割合は約5%)。従って膵臓の病的変異(膵炎、膵癌)は検出限界以下の酵素の低下及び/又は「未成熟」プロ酵素(PCPA)の増加をもたらすと予想される。もう一つの利点は、カルボキシペプチダーゼAが無傷で腸通過に耐え、糞便中で定量されることである。
【0012】
体液又は糞便中のCPA又はPCPAの決定のための市販の検出キットはまだない。
【0013】
全体として、多くの胃腸疾患の慢性的異変の確実な非侵襲的診断は依然として存在しないことが確認される。
【0014】
慢性炎症性腸疾患、例えばクローン病又は潰瘍性大腸炎では最初の症状の発現から診断に至るまでに一般に大変長い期間が経過し、それが多くの場合治療の実施を非常に難しくし、不可能にさえする。クローン病と潰瘍性大腸炎は、現在十分な診断法も治療法もない病因不明な慢性炎症性腸疾患(CED)である。クローン病又は潰瘍性大腸炎の診断のために現在行われる方法は、炎症パラメータの確定並びに体液及び糞便の微生物学的及び血清学的検査である。場合によってはソノグラフ的及び内視鏡的検査法がこれに加わる。さらに放射性同位元素、例えば111インジウム、99テクネチウムを使用し、それに関連して白血球をこれらの同位元素で標識して検出する方法が開発された。この方法はクローン病及び潰瘍性大腸炎に対して高い感受性と特異性を有するが、技術的に複雑であり、高価であり、患者にとって厄介である。特定の患者群、例えば幼児や妊婦にはこの診断法を行うことができない。
【0015】
そこで抗体検定に基づき特定の病像の特異的検出をすでに早期に行うことができる比較的温和な方法が開発された。例えば米国特許公報第5,455,160号は胃腸管の腫瘍疾患並びにクローン病及び潰瘍性大腸炎の診断方法を記載する。この刊行物は抗カルプロテクチン抗体の使用、特に患者の糞便中のカルプロテクチンの定量のための酵素免疫検定の使用を開示する。その場合カルプロテクチン量の増加は前記の疾病を示唆する。
【0016】
ドイツ国特許第4107765号明細書は体液及び糞便のいずれとも反応する高特異的膵臓エラスターゼ1−抗体を得る方法を記載する。この方法により得られる抗体は糞便による慢性及び急性膵炎の診断に適している。
【0017】
Si−Tahar(Gastroenterology 118(2000),1061−1071)により、SLPI(分泌性白血球プロテイナーゼ阻害剤)即ちプロテアーゼ阻害機能を有する11.7kDaの大きさのタンパク質は腸への有害な影響、例えば微生物感染に対する有力な治療薬であることが知られている。
【0018】
国際公開公報WO94/06454によりHIV感染に対する予防薬としてのSLPIの使用が知られている。国際特許出願WO99/17800には粉末状SLPIの薬剤としての使用が記載されている。そこで特に説明されている粉末状の投薬形態は、吸入療法によるSLPIの使用に利用される。米国特許第5,633,227号により喘息又はアレルギー性鼻炎の治療のためのSLPIの使用が明らかである。日本国特許第07103977号明細書によりSLPI又はSLPI−エラスターゼ複合体のための免疫学的サンドイッチ型検定が明らかである。その場合アミノ酸残基1から54及び55から107を有するSLPI断片が認識される。上記の系により呼吸道の疾患を検出できることが説明される。また日本国特許第03279862号明細書により抗体に基づくSLPI検定法が明らかである。
【0019】
SLPIについては、このタンパク質がキモトリプシン形プロテアーゼ(例えば膵臓エラスターゼ)及びトリプシン形プロテアーゼに対して阻害活性を有することが知られている。前者の活性については、これがSLPIのC末端領域に、後者の活性はN末端領域に属することが知られている。米国特許第5,851,983号明細書はこの認識に基づき調製された短縮及び融合タンパク質並びにこのタンパク質の製薬上の応用の可能性を記載する。最後に国際公開公報WO96/08275は別のSLPI断片及びトリプターゼの阻害のためのこの断片の使用を開示する。
【発明の開示】
【0020】
そこで本発明の根底にある技術問題は、膵臓及び胃腸疾患、特に膵癌、慢性膵炎、胃病及び炎症性腸疾患に対する、簡単に実施され、温和で安価な、かつ迅速に実施される検出方法を提供することである。
【0021】
本発明はヒト又は動物の身体の血清又は糞便を採取し、免疫学的手段と接触させることによってSLPI(分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤)、その断片又は複合体を検出し、特に血清又は糞便中のSLPI、その断片又は複合体の濃度を決定して行う、膵癌、慢性膵炎、胃病及び炎症性腸疾患からなるグループから選ばれるヒト又は動物の身体の疾病の検出方法を提供することによってこの問題を解決する。本発明に基づき意外なことに免疫学的手段、特にモノクローナル又はポリクローナル抗体を使用して、SLPI、その断片又は複合体の有無、特に現存するSLPIの濃度を、健康な対象者と比較して決定することにより、ヒト又は動物の身体の血清又は糞便で上記の疾病の検出が可能であることを示すことができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
慢性膵炎又は膵癌を罹患する患者は、本発明に基づき糞便にSLPIが健康な者に比して特に高い濃度で現われることによって診断される。健康なヒト又は動物の身体の糞便はSLPIが極めて少ないか又はまったくない。本発明に基づき患者の糞便で慢性膵炎又は膵癌を決定できるだけでなく、さらに疾患の度合もSLPI濃度決定によって定量することができる。糞便中のSLPI濃度は糞便中に存在するエラスターゼ1濃度と相関することを示すことができた。特に慢性膵炎患者の糞便中のSLPI濃度はエラスターゼ1濃度と、また健康な対照者のSLPI濃度はこの対照者のエラスターゼ1濃度と相関することを示すことができた。同じことが膵癌患者のSLPI濃度にも当てはまる。従ってこのSLPI濃度は同じくこの患者のエラスターゼ1濃度と相関する。
【0023】
本発明はとりわけSLPIが腸内で決して直ちに分解されないことを示すことができたという点で、意外である。むしろ慢性膵炎及び膵癌患者では糞便中のSLPIを検出することができる。
【0024】
そこで本発明は特にヒト又は動物の身体の糞便中のSLPIの検出による膵臓疾患の免疫学的検出方法に関する。
【0025】
さらに本発明に基づき胃病、例えば胃炎又は潰瘍のない健康な対照者の血清中のSLPI濃度は、このような疾病を持つ患者より小さいことを示すことができた。そこで本発明に基づき膵臓及び胃腸疾患の免疫学的検出のための本方法を胃病の診断にも利用することができる。その場合正常な健康な対照者に比して高い血清中SLPI濃度が検出される。そこで本発明はまた特にヒト又は動物の身体の血清中のSLPIの検出による胃腸疾患の免疫学的検出方法に関する。
【0026】
本発明に関連して「免疫学的手段」の概念は、抗原、特にSLPI、SLPI含有複合体、例えば異価又は同価の組成のタンパク質−タンパク質複合体もしくはSLPI断片の検出のための抗体の使用を意味する。以下で本発明に関連してSLPIの概念は、例えばSLPI−エラスターゼ1複合体のような他のタンパク質との複合体又はSLPIの断片、例えばC又はN末端断片をも意味する。このような断片は例えばアミノ酸残基1から54(N末端断片)又は55から107(C末端断片)を有する。上記の位置データについては、米国特許第5,851,983号及びそこに配列番号4で示された番号表示を参照されたい。米国特許第5,851,983号及び国際公開公報WO96/08275に開示されたSLPI断片に関する開示内容は、ここに本発明の開示内容に完全に包含されており、そこに挙げられた断片と本発明方法の組合わせに対して保護が請求されることを明確にしている。
【0027】
本発明に関連して抗体の概念は、特異的にSLPI、SLPI含有複合体例えばSLPI−エラスターゼ1複合体又はSLPI断片を認識し、結合する限り、モノクローナル抗体もポリクローナル抗体も意味する。好ましい実施形態では抗体又はその断片は他の抗原を結合しない。もちろん抗体又は断片は修飾することができ、例えば他の分子又はその部分例えば色素標識、放射性標識、測定可能な反応を開始する酵素、例えばホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、酵素基質、蛍光物質、化学発光物質、細胞毒素、スペーサー、支持物質等とコンジュゲート、会合もしくは共有又は非共有結合することができる。標識、コンジュゲート又は未修飾抗体は可溶の形もしくは例えば支持体マトリクス又は小球に固定化した形をとることができる。例えば酵素で標識した抗体を第2の酵素増幅系で使用することができる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では免疫学的手段の使用とは、試料即ち血清又は糞便、特に均質化した糞便を、特異的に抗原即ちSLPIを認識する少なくとも1つの抗体を含む免疫学的試薬と接触させることを意味する。
【0029】
そこで発明はヒト又は動物の身体の糞便又は血清中のSLPIの定性的及び/又は定量的決定のための抗SLPI抗体の使用に関する。こうして本発明に基づき抗SLPI抗体を使用して血清で胃腸疾患を、また糞便で膵癌又は慢性膵炎を特異的に検出することが可能である。
【0030】
免疫学的手段を使用する本発明方法はサンドイッチ型ELISA、間接的又は競合的ELISAとして実施することが好ましい。その場合HTP法(high through put)を使用することが特に好ましい。
【0031】
本発明に基づくサンドイッチ型ELISAに関連して、異なるSLPIエピトープに、また代替として同じSLPIエピトープに向けられた少なくとも2つの異なるモノクローナル抗体が必要である。少なくとも2つの抗体は均質又は不均質系に溶解し及び/又は支持体に固定されている。
【0032】
本発明に基づき免疫学的手段を3つの異なる抗体の系として構成することももちろん可能であり、その場合抗体の1つは不均質相にあり、他の2つの抗体は可溶である。2つの可溶の抗体の1つは標識を有し、他の抗体は標識なしである。この実施形態では可溶の抗体は標識無しの抗体に向けられている。
【0033】
本発明に基づき免疫学的手段を使用して行われる方法は、特に好ましい実施形態では血清又は好ましくは均質化し、場合によっては希釈した糞便を、SLPIに対して特異的な少なくとも2つの抗体とともにインキュベートすることが必要である。好ましい実施形態では2つの抗体の1つは固相に結合されている。これは常法で行われる。別の抗体は可溶の形であることが好ましく、好ましい実施形態では標識を有する。本発明に基づき別の抗体を使用する場合は、好ましい実施形態ではそのうちの1つだけが標識を有する。
【0034】
本発明の一実施形態では非特異的にSLPIと結合し得る抗体、又は特に好ましくは特異的にSLPIと結合し得る抗体が固相に結合される。固相に結合されたこの抗体は続いて血清又は糞便とともに、場合によっては洗浄処理の後に第2の抗体とともにインキュベートする。第2の抗体は特異的にSLPIと結合することができ、可溶の形であって標識を有する。固相に結合された抗体が非特異的にSLPIと結合し得る抗体であるならば、固相にはSLPIだけでなく他の抗原も結合する。ところが特異的にSLPIと結合する第2の抗体は、特異的にSLPI又はSLPIと第1の抗体の複合体とだけ反応するから、SLPI分子だけが特異的に標識付き抗体を有し、こうして固相と液相の分離の後に定量することができる。
【0035】
このようにして本発明に基づき例えばサンドイッチ型ELISAに関連して、標識なしのSLPI特異的な第1の抗体を例えば担体に結合し、試験溶液又は懸濁液を加えることができる。その際試験溶液又は懸濁液中にあるSLPIは第1の抗体に結合される。続いて第2の標識付き抗SLPI抗体を加える。この抗体はSLPI又はSLPIと第1の抗体の複合体と特異的に反応する。第2の抗体に標識することによって、標準液を使用してSLPI量を決定することができる。
【0036】
SLPIに特異的に結合する第1の抗体を固相に固定すれば、固相にSLPIだけが特異的に結合される。第2の可溶の抗体とともにインキュベートすると、この第2の抗体もSLPIと反応する。固相と液相を分離した後、第2の抗体に標識することによってSLPIの正確な定量を行うことができる。
【0037】
発明の特に好ましい実施形態ではSLPIに特異的又は非特異的に結合する第1の抗体でマイクロタイタープレートを被覆し、続いて血清又は糞便を被覆されたマイクロタイタープレートと接触させ、未結合の成分を洗い流した後、標識付きの、例えばビオチン標識付きの第2の抗SLPI抗体をマイクロタイタープレートに加え、第2の抗体がSLPIに結合し得る条件でマイクロタイタープレートをインキュベートする。続いて固相と液相を分離し、標識を直接検出するか、又は酵素で標識した第2の抗体を使用して基質を加え、基質の変化を定量的に決定する。そこでビオチンで標識した第2の抗体を次のインキュベーションでペルオキシダーゼ(POD)とストレプトアビジンのコンジュゲートと反応させることができる。ペルオキシダーゼは基質ABTS(2,2’−アジノ−ビス−(3−エチルベンゾチオアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩)を酸化することができる。酸化したABTSを続いて測光法で決定することができる。
【0038】
本発明の特に好ましい実施形態では第1の抗体が常法のようにELISAイムノプレ−トのくぼみの底をなすのではなく、支持体マトリクス例えば不織構造、織構造又は膜構造に直接組み込むことによってマトリクスに結合される。好ましいマトリクスは中空線維膜又は細孔を有する平面膜である。発明の有利な実施形態ではこの平面膜にイオン交換基を設けることもできる。
【0039】
ポリクローナル抗体は、分離し完全に精製したSLPI又はその断片で動物を免疫感作し、周知のようにポリクローナル抗体を含む抗血清を得ることによって作られる。モノクローナル抗体は周知の方法で作られる。本発明に基づき使用される抗SLPI抗体は市販の抗体であってもよい。
【0040】
本発明に基づき検出可能な胃病は胃炎又は潰瘍症状である。本発明に基づき検出可能な炎症性疾患は例えばヘリコバクターピロリ感染に原因し、もしくはクローン病又は潰瘍性大腸炎症状である。
【0041】
本発明の特に好ましい実施形態では患者の血清又は糞便でSLPIを検出するときに、同時にエラスターゼ1濃度も検出する。ヒトの膵臓エラスターゼ1は腸通過に無傷で耐え、糞便でタンパク質として定量することができる。糞便中のエラスターゼ1濃度は膵臓外分泌機能を反映する。糞便グラム当りエラスターゼ200μg以上の値は正常な膵臓外分泌機能を指示し、糞便グラム当りエラスターゼ200μg以下の値は膵臓外分泌不全を指示する。急性膵炎の場合、急性炎症段階でエラスターゼ1が血清に放出されるから、血清中のエラスターゼの定量によってこの疾病の診断又は解明が可能である。従って血清中の高いエラスターゼ1濃度は膵炎を示唆する。
【0042】
発明のその他の有利な実施形態は従属請求項で明らかである。
【0043】
以下の実施例と当該の図に基づき発明を詳述する。
【実施例】
【0044】
実施例1
慢性膵炎患者の糞便中のSLPIの検出
慢性膵炎のない患者42人、膵癌患者6人及び慢性膵炎患者19人からそれぞれ100mgの糞便を採取し、秤量し、抽出用緩衝液(リン酸塩緩衝食塩溶液、pH7.2、洗浄剤及びアジ化トリウム)で抽出し、希釈した。
【0045】
糞便試料懸濁液を室温で試験管振とう装置により何回も激しく混合することによって抽出を行う。完全な抽出を保証するために、糞便をよく均質化しなければならない。少なくとも5分間の抽出の後に最後にもう1回混合する。粒子の沈降の後に糞便試料抽出物を次のように希釈する。
【0046】
SLPIの測定のために1:100の希釈率で、またエラスターゼ1の比較測定のために1:500の希釈率で試料抽出物の希釈を行った。
【0047】
R&D System社(R&D System GmbH、ドイツ国ヴィースバーデン)のSLPI−ELISA(Quantikline(R)、カタログ番号DP100,6/99)でSLPI濃度を決定した。
【0048】
このELISAは96個のくぼみを具備し、マウスの抗ヒトSLPIモノクローナル抗体で被覆したポリスチレン・マイクロタイタープレートを使用する。抽出物をピペットでくぼみに移した後、SLPIは固定化したモノクローナル抗体により結合される。未結合の物質を洗い流した後、酵素と結合された、ヒトSLPIに対して特異的なポリクローナル抗体(ホースラディッシュペルオキシダーゼと結合した抗ヒトSLPIポリクローナル抗体)をくぼみに入れる。未結合の抗体−酵素試薬を洗い流した後、基質溶液をくぼみに入れ、結合したSLPIの尺度として発色を測定する。
膵臓エラスターゼ1の濃度をSCHeBo−Tech(R)社のエラスターゼ1−ELISA(ドイツ国ギーセン、カタログ番号07、2000年4月、EP0547059B1)により決定した。
【0049】
図1及び2に示す下記の結果が生じた。
【0050】
図1は慢性膵炎のない患者群、膵癌患者群及び慢性膵炎患者群について作図した患者の糞便中のSLPI濃度(糞便グラム当りピコグラムSLPI)を示す。対照群の成員は糞便中にSLPIがまったく又は僅かしかないが、慢性膵炎及び膵癌の2つの患者群は糞便中のSLPI濃度がはるかに高いことがはっきり示される。
【0051】
図2は同じ患者群で行ったエラスターゼ1の濃度測定を示す。健康な対照群は明らかに200μg/糞便gを超えるエラスターゼ含量を有するが、慢性膵炎及び膵癌の2つの患者群は糞便中のエラスターゼ1濃度が著しく減少している。
【0052】
実施例2
実施例2a
胃病がある又はない患者の血清中のSLPIの検出
胃の所見が正常な患者(oB)17人と胃又は小腸の潰瘍(胃潰瘍及び十二指腸潰瘍)の患者33人からそれぞれ5mlの血液を採取し、室温で3000rpmにより10分間遠心分離して血清を得た。
SLPIの測定のために希釈率1:100で血清試料の希釈を行なった。
【0053】
血清中のSLPI濃度をR&D社(R&D System GmbH、ドイツ国ウィースバーデン)のSLPI−ELISA(Quantikine(R)、カタログ番号DP100,6/99)により決定した。ELISAは実施例1で説明したように行った。
【0054】
図3は対照群と患者のSLPI濃度(ng/ml)を示す。
【0055】
結果:
患者群は対照群と比較して著しく高いSLPI濃度を示した。
【0056】
実施例2b
胃の所見が正常な患者(対照)17人、慢性胃炎患者16人及び潰瘍病患者18人からそれぞれ5mlの血液を採取し、室温で3000rpmにより10分間遠心分離して血清を得た。
【0057】
SLPIの測定のために希釈率1:100で血清試料の希釈を行った。
【0058】
血清中のSLPI濃度をR&D社(R&D System GmbH、ドイツ国ウィースバーデン)のSLPI−ELISA(Quantikine(R)、カタログ番号DP100,6/99)により決定した。
【0059】
ELISAは実施例1で説明したように行った。
【0060】
慢性胃炎患者も潰瘍病(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍)の患者も血清中のSLPI濃度が著しく高かった。
【0061】
図4は胃の所見が正常な患者、慢性胃炎患者及び潰瘍病(Ulcus)患者の血清中のSLPI濃度(ng/ml)を示す。図がはっきり示すように、健康な対照群は慢性胃炎及び潰瘍病の患者群よりはるかに小さなSLPI濃度を有する。
結果:
SLPI血清濃度は胃腸病のマーカーとしても適している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】糞便中のSLPI濃度のヒストグラムを示す。
【図2】糞便中のエラスターゼ1濃度のヒストグラムを示す。
【図3】血清中のSLPI濃度のヒストグラムを示す。
【図4】血清中のSLPI濃度のヒストグラムを示す。
Claims (12)
- 膵癌、慢性膵炎、胃病及び炎症性腸疾患からなるグループから選ばれたヒト又は動物の身体の疾病の検出方法において、身体の血清又は糞便から得られ、この中に存在するSLPI(分泌性白血球プロテアーゼ阻害剤)、その断片又は複合体を免疫学的手段と接触させることによって検出する方法。
- 免疫学的手段と接触させる前に、糞便を均質化する請求項1に記載の方法。
- 免疫学的手段が抗SLPI抗体、特に標識抗体、その断片又は複合体である請求項1又は2に記載の方法。
- SLPI−抗体反応をELISA検定によって検出する請求項3に記載の方法。
- 胃病が胃炎又は潰瘍に起因する請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- 炎症性腸疾患がクローン病又は潰瘍性大腸炎である請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
- 身体の血清又は糞便中のSLPI−抗体反応のほかにエラスターゼ1濃度も検出する請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
- 抗体がモノクローナル抗体である請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
- 複合体がSLPI−エラスターゼ1複合体である請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
- SLPIの断片がアミノ酸残基1から54を有するSLPIのN末端領域である請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
- SLPIの断片がアミノ酸残基55から107を有するSLPIのC末端領域である請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
- 膵癌、慢性膵炎、胃病及び炎症性腸疾患からなるグループから選ばれたヒト又は動物の身体の疾病をヒト又は動物の身体の糞便又は血清で検出するための抗SLPI断片又は抗SLPI複合体抗体の使用。
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