JPH11160002A - 巻尺の回転ドラム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】自動巻取式巻尺のテープ巻取り時は、ケースに
内装されているテープ巻回用の回転ドラムから極めて不
快に感ずる回転音（摺動音）が発生する。このことか
ら、巻尺の現構造を変えることなく、また、部品を増や
すことなく、回転ドラムの外側面に設けられている摺動
部とケース内側壁との摺動音を低減することができる巻
尺の回転ドラムを提供することを目的とする。 【解決手段】回転ドラム本体３の本体外側面３ａ上にケ
ース内側壁２方向に突出する滑らかな頂部５２形状の複
数の突起５を設ける。これにより、ケース内側壁２との
接触や摺動によって発生する音を低減することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テープ巻取りバネを有
する巻尺の回転ドラムに関し、特にテープ巻取時の回転
音を低減することができる回転ドラムに関するものであ
る。

【０００２】

【従来技術と問題点】今日、巻尺の多くは、回転ドラム
に設けられている付勢手段によってテープを常に巻取り
方向に付勢している構造のものが主流であり、これは測
定時にテープを引き出すことによって、巻取りエネルギ
ーが付勢手段に蓄積されるようになっている。この引き
出したテープを収納する場合は、テープを持っている手
を離すことにより、あるいはブレーキ機構を解除するこ
とにより、付勢手段の巻取りエネルギーによって自動的
にテープがケース内に巻取られる。

【０００３】このような自動巻取式の巻尺は、テープの
完全なる巻取りを行うために回転ドラムの摺動抵抗にも
打ち勝つ強力なコイルバネを用いており、テープの巻取
りスピードも極めて速いものとなっている。このため、
テープ巻取時の回転ドラムスピードの上昇も速く、ま
た、この極めて速い回転スピードによって、回転ドラム
から発せられる回転音も大きい音であり、使用者に取っ
ては極めて不快に感ずる音となっている。

【０００４】この回転ドラムから発せられる回転音は、
回転ドラムの外側面に設けられているリブとケース内側
壁とが摺動するときに発せられる摺動音と、ケース内側
壁に設けられている軸と回転ドラムの軸受孔周壁とが接
触するときの接触音、また摺動するときに発せられる摺
動音である。

【０００５】そして、後述のケースの内側壁に設けられ
ている軸と回転ドラムの軸受孔の周壁との接触や摺動に
よって発生する音は、出願人によって別途提案がなされ
解決されているが、前述の回転ドラムの外側面に設けら
れている摺動部とケース内側壁とが摺動するときに発せ
られる摺動音は、巻尺の構造上少なからず発生する音で
あるため、改善が行われているものの未だ十分とはいえ
ないのが現状である。

【０００６】

【目的】本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもの
で、巻尺の従来の基本構造を変えることなく、また部品
を増やすことなく、回転ドラムの外側面に設けられてい
るリブ等の摺動部とケース内側壁との摺動音を低減する
ことができる巻尺の回転ドラムを提供することを目的と
するものである。

【０００７】

【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、ケース内側壁に設けた軸にテープ巻取りバネを有
する回転ドラムが回動自在に軸装された巻尺において、
該回転ドラムの外側面上にケース内側壁方向に突出する
複数の突起を設けたことを特徴とする巻尺の回転ドラム
である。回転ドラムは、樹脂や金属によって形成されて
おり、また、テープ巻取りバネの収納部に蓋体が設けら
れている回転ドラムもある。

【０００８】回転ドラムをさらに詳しく説明すると、回
転ドラムには、測定メモリが印刷されたテープを巻取る
コイルバネが設けられており、このコイルバネは、内端
をケース内側壁に設けられている軸のほぼ中央に立設さ
れたバネの係止軸、あるいは回転ドラムにアッセンブリ
された係止軸に係止されその係止軸に巻取られており、
また、コイルバネの外端は、回転ドラムのテープ巻胴部
に臨みテープ端部に連結されている。また、回転ドラム
はケース内側壁に設けられている軸に回動自在に軸装さ
れて、テープを引き出すことによってコイルバネに巻取
りエネルギーが蓄積され、収納時にテープを自動的にケ
ース内に巻取るようになっている。

【０００９】そして、回転ドラムの外側面上に設ける突
起は、ケース内側壁方向に向かって突出するもので、望
ましくは、回転ドラムを軸装し巻尺を組み上げたときに
突起の頂部がケース内側壁の壁面と最近接、あるいは、
ほぼ接触状態となるようにするのがよい。また、突起の
頂部は球状の一部のような滑らかな曲面形状としたり、
また、ほぼ平滑な平面形状、さらには、曲面形状と平面
形状を組み合わせたりすればよいが、特にその形状は限
定するものではなく、摺動音の発生や摺動抵抗等を考慮
して好適な頂部形状とすればよい。

【００１０】さらに、突起の形状・長さ・大きさ・出張
り寸法・数・素材（樹脂／金属）も特に限定するもので
はなく好適なものとすればよい。回転ドラムの外側面上
に設ける突起の設置位置は、摺動音や摺動抵抗が増大し
てしまうことがなければ特にその設置パターンを限定す
るものではなく、同心円状のパターンで突起を設けるよ
うにしてもよい。その際、回転ドラムの直径に応じ、径
が異なる同心円を複数組み合わせて波紋状に設けるよう
にしてもよい。また、渦巻状のパターンで突起を設ける
ようにしてもよく、好適なパターンで設置すればよい。
さらには、規則的あるいは不規則的に点在させてもよ
い。

【００１１】そして、設置する全ての突起の突出高を一
定にしたり、また、適当に変化させてうねり状態にする
ようにしてもよい。また、それぞれの突起の離間距離等
も特に限定するものではなく好適な離間距離とすればよ
い。そして、回転ドラムのテープ巻取りバネの収納部に
蓋体が設けられている場合には、上述の回転ドラムの外
側面上に設けている突起と同パターンの突起を蓋体にも
設けるようにするのが望ましい。突起の頂部とケース内
壁との位置関係、また、突起の形状や突起頂部の形状も
上述に準じたものとすればよい。

【００１２】

【作用】本発明の巻尺の回転ドラムは以上のような構造
であることから、引き出されたテープの巻取りに際して
は、テープの引き出しにより収縮状態になったコイルバ
ネが、元の状態に復帰しようと戻り始めると共に回転ド
ラムも回転し始め、テープを巻回していく。その回転は
一挙に上昇し、回転ドラムはケース内側壁に設けられて
いる軸を中心に高速回転する。

【００１３】そして、高速回転によって回転ドラムの外
側面上に設けた突起が、強くケース内側壁の壁面と接
触、また、摺動し始めるが、突起の頂部が滑らかである
と共に摺動の際の接触面積が少ないため、ケース内側壁
との接触や摺動により発生する音を減少させることがで
きる。また、回転ドラムに蓋体を設けている場合も、蓋
体の外側面上に設けた突起が上述と同様に作用する。

【００１４】

【実施例】本発明の巻尺の回転ドラムを図面に従って説
明すると、１は巻尺のハーフケース、２はハーフケース
１のケース内側壁、３は本発明に係わる回転ドラムの回
転ドラム本体、４は回転ドラム本体３に設けられた軸受
孔、５は回転ドラム本体３の本体外側面３ａに設けられ
た突起、６はハーフケース１のケース内側壁２に設けら
れ回転ドラム３を軸装する軸で、また、軸６のほぼ中央
にはテープ巻取用のコイルバネ１０の内端を係止する係
止軸６２が立設されている。７は蓋体３１に設けられた
軸受孔、８は蓋体３１の蓋体外側面３１ａに設けられた
突起である。

【００１５】図１は、本発明に係わる回転ドラムを示す
側面図であり、突起５が回転ドラム本体３の本体外側面
３ａ上に同心円状のパターンで設けられたものである。
そして、回転ドラム３が高速回転して、本体外側面３ａ
上に設けられている突起５がケース内側壁２と接触、ま
た、摺動し始めても突起５の頂部５２が滑らかであると
共に摺動の際の接触面積が少ないため、ケース内側壁２
との接触や摺動により発生する音を減少させる。図２
は、他のパターンの一例を示す回転ドラムの側面図であ
り、（ａ）は突起が渦巻状のパターンで設けられたもの
で、（ｂ）は突起が規則的な点在状態で設けられたもの
である。

【００１６】図３は、ハーフケースを取り外した巻尺の
側面図であり、これは回転ドラム３に蓋体３１が設けら
れているもで、回転ドラム本体３と同様に蓋体３１の蓋
体外側面３１ａ上にも突起８が設けられている。そし
て、蓋体外側面３１ａ上に設けた突起８が、回転ドラム
本体３の本体外側面３ａ上に設けた突起５と同様に作用
する。図４は、本発明に係わる回転ドラムを内装してい
る巻尺の中心上部断面図である。

【００１７】

【効果】本発明の巻尺の回転ドラムは以上のような構造
であることにより、巻尺の従来の基本構造を変えること
なく、また、部品を増やすことなく、ケース内側壁と回
転ドラムの側面に設けられている摺動部との摺動音を減
低することができる。これにより、巻尺の使用に際し回
転ドラムから発せられる回転音も不快に感ずることなく
測定作業を実施することができる。また、不快音によっ
て気が散り測定ミスをする等の二次的不良の防止にも効
果を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係わる回転ドラムを示す側面図

【図２】 他のパターンの一例を示す回転ドラムの側面
図

【図３】 ハーフケースを取り外した巻尺の側面図

【図４】 本発明に係わる回転ドラムを内装している巻
尺の中心上部断面図

【符号の説明】

１−ハーフケース，１１−ハーフケース，２−ケース内
側壁，２１−ケース内側壁，３−回転ドラム本体，３ａ
−本体外側面，３１−蓋体，３１ａ−蓋体外側面，４−
軸受孔，５−突起，５１−突起，５２−頂部，６−軸，
６１−軸，６２−係止軸，７−軸受孔，８−突起，８１
−突起，８２−頂部，９−テープ，９１−フック，１０
−コイルバネ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ケース内側壁に設けた軸にテープ巻取りバ
   ネを有する回転ドラムが回動自在に軸装された巻尺にお
   いて、該回転ドラムの外側面上にケース内側壁方向に突
   出する複数の突起を設けたことを特徴とする巻尺の回転
   ドラム
2. 【請求項２】前記突起が同心円状のパターンで設けられ
   ていることを特徴とする請求項１の巻尺の回転ドラム
3. 【請求項３】前記突起が渦巻状のパターンで設けられて
   いることを特徴とする請求項１の巻尺の回転ドラム
4. 【請求項４】前記突起が点在状態に、規則的あるいは不
   規則的に設けられていることを特徴とする請求項１の巻
   尺の回転ドラム
5. 【請求項５】前記突起の突出高さを一定とせず、それぞ
   れの突出高さに変化を持たせていることを特徴とする請
   求項１の巻尺の回転ドラム
6. 【請求項６】前記回転ドラムの蓋体の外側面上に、ケー
   ス内側壁方向に突出する複数の突起を設けたことを特徴
   とする請求項１の巻尺の回転ドラム