JPH11159568A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JPH11159568A
JPH11159568A JP32647197A JP32647197A JPH11159568A JP H11159568 A JPH11159568 A JP H11159568A JP 32647197 A JP32647197 A JP 32647197A JP 32647197 A JP32647197 A JP 32647197A JP H11159568 A JPH11159568 A JP H11159568A
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JP
Japan
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rubber elastic
fluid
elastic film
main body
liquid chamber
Prior art date
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Pending
Application number
JP32647197A
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English (en)
Inventor
Atsushi Muramatsu
篤 村松
Yoshihiko Hagino
吉彦 萩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体封入式防振装置において、可動板や加振
板等として流体室の壁部の一部を構成するゴム弾性膜の
ストローク量やばね特性等の設定可能範囲の拡大を図
り、以て、防振特性のチューニング自由度を拡張せしめ
ること。 【解決手段】 ゴム弾性膜72を、厚肉の本体部分84
と、薄肉で且つ本体部分84の表面上に突出する溝形断
面の可撓壁部92を含んで構成した。従って、硬いばね
特性を発揮し得る本体部分84と軟らかいばね特性を発
揮し得る可撓壁部92のそれぞれの形状や大きさ等を変
更することによって、ゴム弾性膜72全体のばね特性を
広い範囲でチューニングできる。また、可撓壁部92が
本体部分から突出する袋状形態とされていることによ
り、ゴム弾性膜72のサイズを大きくすることなく、弾
性変形可能な表面積を実質的に大きく設定することが出
来ると共に、該可撓壁部92における膨出/収縮変形を
活用することも出来る。それによって、ゴム弾性膜72
のストローク量ひいては流体室の容積乃至は圧力の制御
量を大きく確保することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、内部に封入された流体の流動作
用や圧力制御によって防振特性を得ることの出来る流体
封入式防振装置に係り、特に、流体室の壁部の一部を構
成する新規な構造のゴム弾性膜を備えた流体封入式防振
装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振装置の一種として、防振連結される一方
の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に
取り付けられる第二の取付部材を、本体ゴム弾性体で連
結すると共に、非圧縮性流体が封入された流体室が、第
二の取付部材で支持されたゴム弾性膜で壁部の一部を構
成されることによって形成されてなる流体封入式防振装
置が知られており、例えば自動車用エンジンマウントや
ボデーマウント等への採用が検討されている。
【0003】かくの如き流体封入式防振装置として、よ
り具体的には、例えば特開昭61−62633号公報や
特開平5−272575号公報等において、壁部の一部
が本体ゴム弾性体で構成されて入力振動が直接的に及ぼ
される主液室を含んで流体室が構成されていると共に、
該主液室の壁部の別の一部がゴム弾性膜で構成されてお
り、高周波振動の入力時に、該ゴム弾性膜の弾性変形に
基づいて受圧室の内圧変化を吸収せしめて低動ばね化に
よる防振効果を発揮せしめるようにしたものが記載され
ている。また、例えば特開平7−71506号公報や特
開平5−272575号公報等には、壁部の一部が本体
ゴム弾性体で構成されて入力振動が直接的に及ぼされる
主液室と、壁部の一部がゴム弾性膜で構成されて、主液
室とは独立形成された副液室を含んで流体室が構成され
ていると共に、それら主液室と副液室を相互に連通する
オリフィス通路が形成されており、ゴム弾性膜による副
液室の壁ばね剛性やオリフィス通路の断面積と長さの比
等に応じた所定の周波数域の入力振動に対して、オリフ
ィス通路を通じての流体流動作用に基づく防振効果を発
揮せしめるようにしたものが記載されている。更にま
た、例えば実開平3−73741号公報や特開平9−4
9541号公報,特許公報第2510915号等には、
電磁駆動手段や空気圧駆動手段等の加振手段によって、
流体室の壁部の一部を構成するゴム弾性膜を加振するこ
とにより、流体室の内圧を制御せしめて防振性能を調節
するようにしたものが記載されている。
【0004】ところで、このような流体封入式防振装置
においては、一般に、流体室の壁部の一部を構成するゴ
ム弾性膜が、防振性能に大きな影響を与えることとな
る。それ故、ゴム弾性膜には、防振装置に求められる性
能を実現するために、そのばね特性等に関して各種の性
能が要求される。具体的には、例えば、ゴム弾性膜で
は、弾性変形可能なストローク量を大きく設定すること
が要求される場合がある。また、ゴム弾性膜では、変形
初期における十分に軟らかいばね定数と、変形量が大き
くなった場合のばね定数の急な立ち上がりによる非線形
なばね特性が要求される場合がある。更にまた、ゴム弾
性膜では、大きな弾性変形ストローク量の全体に亘っ
て、十分に軟らかく且つ略一定のばね特性が要求される
場合がある。
【0005】しかしながら、従来では、前記公報等にも
記載されているように、流体室の壁部の一部を構成する
ゴム弾性膜として、単純な平板形状を有するものが採用
されているに過ぎず、加えて、防振装置のサイズ等の点
から大きさが制限されるために、上述の如き各種の要求
特性を達成することが困難な場合が多かった。
【0006】また、ゴム弾性膜において、軟らかいばね
定数を実現したり、大きな弾性変形ストローク量を確保
したりするために、外周部分を薄肉化することも提案さ
れているが、そうすると、歪みが外周部分に集中的に発
生し易く、そのために、十分な耐久性を確保することが
難しかったのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、ゴム弾性膜において、ばね特性の設定自由
度や弾性変形ストローク量が、サイズの大型化を伴うこ
となく、有利に確保され得て、広い範囲で防振特性を容
易にチューニングすることの出来る流体封入式防振装置
を提供することにある。
【0008】また、本発明は、ゴム弾性膜における歪み
の集中が軽減乃至は防止されて、優れた耐久性が発揮さ
れる流体封入式防振組立体を提供することも、目的とす
る。
【0009】
【解決手段】そして、このような課題を解決するため
に、本発明の特徴とするところは、防振連結される一方
の部材に取り付けられる第一の取付部材と、他方の部材
に取り付けられる第二の取付部材が、本体ゴム弾性体で
連結されていると共に、非圧縮性流体が封入された流体
室が、前記第二の取付部材で支持されたゴム弾性膜で壁
部の一部を構成されることにより形成されてなる流体封
入式防振装置において、前記ゴム弾性膜が、円板形状の
本体部分を有していると共に、該本体部分よりも薄肉で
該本体部分の表面上に突出する溝形断面の可撓壁部が、
該本体部分を周方向に延びて一体形成されており、かか
る可撓壁部の溝形内部が、該本体部分における該可撓壁
部の突出側とは反対側の表面上に開口せしめられている
ことにある。
【0010】このような本発明に従う構造とされた流体
封入式防振装置においては、ゴム弾性膜における弾性変
形が、その本体部分の弾性変形と、可撓壁部の弾性変形
とによって生ぜしめられる。そこにおいて、かかる可撓
壁部は、ゴム弾性膜の本体部分よりも薄肉とされている
ことから軟らかいばね特性を容易に設定することが出来
るのであり、しかも、この可撓壁部が、本体部分の表面
上に突出して周方向に形成されていることから大きな面
積を有利に設定することが可能となる。
【0011】それ故、かかる可撓壁部の存在によって、
ゴム弾性膜を大型化しなくても、弾性変形可能な面積を
有利に確保することが出来るのであり、以て、ゴム弾性
膜において軟らかいばね特性と大きな弾性変形ストロー
ク量を容易に設定することが可能となることから、流体
封入式防振装置の防振特性を、広い範囲でチューニング
することが出来、要求される防振性能が有利に実現可能
となるのである。
【0012】また、本発明に従って構成されたゴム弾性
膜においては、可撓壁部によって軟らかいばね特性が有
利に実現されることから、本体部分のばね特性を硬く設
定することが出来るのであり、それ故、可撓壁部の弾性
変形ストローク範囲で軟らかく、それを越えて本体部分
の弾性変形ストローク域に入ると硬くなる、非線形的な
ばね特性も有利に設定可能であって、防振特性のチュー
ニング自由度が極めて有利に確保され得るのである。
【0013】しかも、本発明に従って構成されたゴム弾
性膜における可撓壁部は、本体部分の大きさが制限され
た状況下でも、本体部分の表面上に突出形成されている
ことによって、実質的に大きな面積な設定することが出
来ることから、変形歪を広く分散させることが出来、耐
久性も有利に得ることが出来るのである。
【0014】なお、可撓壁部の溝幅や肉厚等は、ゴム弾
性膜に要求される特性等に応じて適宜に設定されるもの
であって、限定されるものでなく、溝長さ方向に可撓壁
部の溝幅を変化させること等も可能である。また、ゴム
弾性膜の第二の取付部材による支持構造も特に限定され
るものでないが、例えば、ゴム弾性膜の外周縁部に環状
金具を接着し、この環状金具を第二の取付部材に対し
て、圧入やかしめ等で固着すること等によって、ゴム弾
性膜の外周縁部を第二の取付部材によって支持せしめた
構造等が、有利に採用され得る。
【0015】また、ゴム弾性膜における本体部分は、少
なくとも可撓壁部よりも厚く、大きなばね剛性が設定さ
れていれば良いが、例えば、かかる本体部分を、外周部
分から内側に行くに従って次第に厚肉とした構成が好適
に採用される。このような本体部分を採用すると、ゴム
弾性膜において、周方向長さき相違等に起因する外周部
分と中央部分とのばね特性の違いを軽減乃至は解消せし
めることが出来ることから、ゴム弾性膜の変形の中央部
分への集中が緩和されて、ゴム弾性膜の耐久性の向上が
図られ得る。
【0016】さらに、ゴム弾性膜における可撓壁部は、
周方向に延びる形態をもって、一条若しくは複数条形成
されることとなり、例えば、周方向に同心的な環状形態
をもって複数条形成され得るが、好ましくは、かかる可
撓壁部が、前記本体部分の周方向に渦巻状に形成され
る。このような渦巻状の可撓壁部を採用すれば、ゴム弾
性膜の本体部分も渦巻状形態をもって形成されることと
なり、ゴム弾性膜の外周部分から中央部分に至る全体的
に略均一なばね特性を設定することが容易となる。しか
も、可撓壁部と本体部分の何れにおいても、渦巻状とさ
れることによって、渦巻方向において長さを有利に確保
することが出来ることから、単位長さ当たりの弾性変形
量が小さく押えられて、耐久性が一層有利に確保され得
る。
【0017】なお、かくの如き渦巻状に延びる一条若し
くは複数条の可撓壁部を採用する場合には、より好まし
くは、かかる渦巻状の可撓壁部間において、同じく渦巻
状に延びる本体部分の幅寸法が、その全長に亘って略一
定となるように、可撓壁部の幅寸法や渦巻形状等を設定
することが望ましい。このように本体部分の幅寸法を略
一定とすることによって、本体部分における局部的な歪
の集中がより効果的に防止され得る。
【0018】また、本発明においては、ゴム弾性膜の外
周縁部が第二の取付部材によって固定的に支持されると
共に、該本体部分が、その外周部分から内側に行くに従
って一方の面側に突出したテーパ形状とされてなる構造
が、好適に採用される。このような構造とされたゴム弾
性膜を採用すれば、本体部分のテーパ角度を調節するこ
とによっても、ゴム弾性膜の弾性変形特性ひいては防振
装置の防振特性をチューニングすることが可能となる。
【0019】さらに、本発明は、前記公報等に記載の各
種構造の流体封入式防振装置に適用可能であり、例え
ば、前記特開昭61−62633号公報等に記載の如き
主液室の壁部の一部がゴム弾性膜によって構成されて内
圧吸収機構が構成された流体封入式防振装置等にも有利
に適用され得る。また、本発明は、本体ゴム弾性体によ
って壁部の一部が構成された主液室と、ゴム弾性膜によ
って壁部の一部が構成された副液室を含んで、流体室が
構成されると共に、それら主液室と副液室を相互に連通
する第一のオリフィス通路が形成されてなる構造の流体
封入式防振装置にも、有利に適用され得る。更にまた、
本発明は、かくの如き、第一のオリフィス通路によって
相互に連通された主液室と副液室を備えた流体封入式防
振装置において、更に、ゴム弾性膜を挟んで、副液室と
は反対側に位置して、壁部の一部が可撓性膜で構成され
てなる平衡室を形成すると共に、該平衡室を主液室に連
通する第二のオリフィス通路を設けてなる構造の流体封
入式防振装置にも、有利に適用され得る。そこにおい
て、本発明に従う構造とされたゴム弾性膜は、本体部分
だけでなく可撓壁部にも弾性変形が生ぜしめられ、かか
る可撓壁部の弾性変形が、その湾曲変形だけでなく、溝
内外への膨出と縮小による弾性的な拡縮変形としても生
ぜしめられることから、かかるゴム弾性膜の弾性変形ス
トローク量、ひいてはゴム弾性膜によって壁部の一部が
構成された主液室や副液室の容積変化許容量を十分に大
きく設定することが可能となり、防振特性のチューニン
グ範囲が広く確保され得るのである。
【0020】さらに、本発明は、前記実開平3−737
41号公報等に記載の如きアクティブタイプの防振装置
にも有利に適用され得、本発明によって可撓壁部を設け
てなるゴム弾性膜によって、加振手段によって加振され
るゴム弾性膜が有利に構成され得る。そこにおいて、か
かるゴム弾性膜では、可撓壁部によって軟らかいばね特
性が有利に実現されて、加振手段による反応性が向上さ
れることにより、流体室の内圧制御等による防振特性の
制御性の向上が図られ得ると共に、歪の集中が軽減され
て優れた耐久性も発揮され得る。なお、ゴム弾性膜に加
振力を及ぼす加振手段としては、永久磁石とコイルを用
いたボイスコイルタイプやムービングマグネットタイプ
等の電磁駆動手段や、電歪素子や磁歪素子を用いた歪素
子タイプの駆動手段、或いはゴム弾性膜の背後に密閉さ
れた作用空気室を形成し、この作用空気室に及ぼされる
負圧等の空気圧変動をゴム弾性膜に作用せしめる空気圧
駆動手段等、各種の加振手段が、何れも採用可能であ
る。
【0021】また、本発明においては、ゴム弾性膜の中
央部分に対して剛性部材を固着すると共に、かかるゴム
弾性膜における剛性部材の固着部位の外周側において、
可撓壁部を形成せしめてなる構造が、有利に採用され得
る。このような構造のゴム弾性膜においては、剛性部材
が固着されて変形が規制された中央部分によって、流体
室に対するピストン作用が有利に発揮されるのであり、
特に、上述の如く、加振手段によってゴム弾性膜を加振
するアクティブタイプの防振装置に対して、一層有利に
適用され得、剛性部材を直接的に加振せしめることによ
って、流体室の内圧制御性の更なる向上が達成可能とな
る。なお、剛性部材としては、例えば剛性樹脂や金属材
料等からなるプレート等が有利に採用され得る。
【0022】さらに、本発明は、前記特開昭61−62
633号公報等に記載されているように、防振連結され
る一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と、他方
の部材に取り付けられる第二の取付部材が、ブロック状
の本体ゴム弾性体の主たる振動入力方向両端部分に固着
されてなる構造の流体封入式防振装置の他、前記特許公
報第2510915号等等に記載されているように、防
振連結される一方の部材に取り付けられるロッド状の第
一の取付部材の外周側に離隔位置して、他方の部材に取
り付けられる筒状の第二の取付部材が配設されると共
に、それら第一の取付部材と第二の取付部材の間に全体
として略筒状の本体ゴム弾性体が介装されてなる構造の
円筒形の流体封入式防振装置等にも、適用可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0024】先ず、図1には、本発明の一実施形態とし
ての自動車用エンジンマウント10が、示されている。
このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての
第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取
付金具14が離間配置されており、本体ゴム弾性体16
により弾性連結されている。そして、第一の取付金具1
2が、防振連結される一方の部材である自動車のパワー
ユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14
が、防振連結される他方の部材である自動車のボデーに
取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに
対して防振支持せしめるようになっている。なお、その
ような装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金
具14の間には、それら両金具12,14が接近する方
向(図1中の略上下方向)にパワーユニット荷重が及ぼ
されて本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられると共
に、かかるパワーユニット荷重の入力方向と略同じ方向
に、防振すべき主たる振動が入力されるようになってい
る。
【0025】より詳細には、第一の取付金具12は、全
体として中実のブロック形状を有しており、軸方向中央
部分において軸直角方向外方に広がる円環板形状のスト
ッパ部18を備えている。また、このストッパ部18よ
りも軸方向下側の部分が、逆円錐台形状の本体部20と
されている一方、ストッパ部18よりも軸方向上側の部
分が、軸方向上方に向かってロッド状に延び出し、上端
面に開口するねじ穴を有する取付部22とされている。
そして、この取付部22のねじ穴に螺着される図示しな
い取付ボルトによって、第一の取付金具12が、図示し
ないパワーユニットに対して固定的に取り付けられるよ
うになっている。
【0026】また、この第一の取付金具12の本体部2
0は、本体ゴム弾性体16に対して固着されている。本
体ゴム弾性体16は、全体として略円錐台形状を有して
いると共に、大径側端面に開口する凹所24を備えてい
る。そして、この本体ゴム弾性体16の小径側端部から
軸方向に入り込むようにして、第一の取付金具12の本
体部20が配設されて本体ゴム弾性体16に固着されて
いる。なお、第一の取付金具12のストッパ部18の外
周面も、本体ゴム弾性体16で被覆されており、ストッ
パ部18から上方に向かって突出する環状の緩衝ゴム2
6が、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。ま
た、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、金属
スリーブ28が固着されている。要するに、本体ゴム弾
性体16は、第一の取付金具12と金属スリーブ28を
有する一体加硫成形品として形成されている。
【0027】一方、第二の取付金具14は、全体として
大径の円筒形状を有しており、軸方向中間部分に形成さ
れた円環状の段差部30を挟んで、軸方向上側が大径部
32、軸方向下側が小径部34とされている。また、こ
れら大径部32と小径部34には、それらの内周面を略
全体に亘って覆う薄肉のシールゴム層36,38が形成
されている。更に、小径部34の軸方向下側の開口部に
は、弾性変形が容易に許容される薄肉ゴム膜からなる可
撓性膜としての略円板形状のダイヤフラム40が配設さ
れており、このダイヤフラム40の外周縁部が小径部3
4の内周面に固着されることによって第二の取付金具1
4の小径側開口部が流体密に閉塞されている。なお、ダ
イヤフラム40は、シールゴム層38と一体形成されて
いる。
【0028】そして、かかる第二の取付金具14は、そ
の大径部32が、本体ゴム弾性体16に加硫接着された
金属スリーブ28に外挿され、絞り加工等により、該金
属スリーブ28の外周面に対して流体密に嵌着固定され
ることによって、本体ゴム弾性体16の大径側端部に対
して取り付けられている。また、これにより、第一の取
付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体1
6を介して、弾性的に連結されていると共に、第二の取
付金具14の大径側開口部が、本体ゴム弾性体16によ
って流体密に閉塞されている。
【0029】また、第二の取付金具14の大径部32に
は、略逆カップ形状を有し且つ底部42に大径の中央穴
44が設けられたストッパ金具46が、その軸方向下端
の開口筒部48において外嵌固定されている。そして、
このストッパ金具46の底部42の中央穴44を通じ
て、第一の取付金具12の取付部22が上方に突出せし
められていると共に、第一の取付金具12のストッパ部
18が、かかるストッパ金具46の底部42に対して、
振動入力方向で離隔して対向位置せしめられており、該
ストッパ部18が底部42に対して、緩衝ゴム26を介
して当接せしめられることにより、第一の取付金具12
と第二の取付金具14の離隔方向への相対的変位量が制
限されるようになっている。
【0030】さらに、第二の取付金具14の大径部32
に外嵌固定された、ストッパ金具46の開口筒部48に
は、ブラケット50が外嵌固定されている。このブラケ
ット50は、筒状部52の下側開口部に対して、軸直角
方向外方に広がる環板状の取付板54が一体形成されて
おり、筒状部52においてストッパ金具46の開口筒部
48に外嵌固定されていると共に、取付板54に設けら
れたボルト穴56に挿通される図示しないボルトによっ
て、図示しないホデーに対して固定的に取り付けられる
ようになっている。
【0031】また一方、第二の取付金具14の内部に
は、該第二の取付金具14の軸方向両側の開口部が本体
ゴム弾性体16とダイヤフラム40で流体密に閉塞され
ることによって、非圧縮性流体が封入された流体室58
が形成されている。なお、封入流体としては、水やアル
キレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコ
ーン油等が何れも採用可能であり、特に、本実施形態で
は、流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るため
に、0.1Pa・s以下の粘度を有する低粘性流体が好
適に採用される。
【0032】さらに、かかる流体室58の内部には、合
成樹脂や金属等の硬質材で形成された仕切部材60が収
容配置されており、この仕切部材60で流体室58が仕
切られることにより、仕切部材60の上方に位置する主
液室62と、仕切部材60の下方に位置する平衡室64
が形成されている。ここにおいて、主液室62は、壁部
の一部が本体ゴム弾性体16で構成されており、振動入
力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて内圧変
化が生ぜしめられるようになっている。一方、平衡室6
4は、壁部の一部がダイヤフラム40で構成されてお
り、ダイヤフラム40の変形に基づいて容積変化が容易
に許容されるようになっている。
【0033】また、仕切部材60は、略厚肉円筒形状を
有する筒部材66に対して、略厚肉円板形状を有する蓋
部材68が嵌め込まれ、筒部材66の上側開口部が蓋部
材68により流体密に覆蓋されることによって形成され
ており、全体として略逆カップ形状を有している。そし
て、筒部材66の上端部外周面に突設されたフランジ状
の環状支持片70が、第二の取付金具14の段差部30
に重ね合わされ、該段差部30と本体ゴム弾性体16の
大径側端面との間で挟持されることにより、仕切部材6
0が第二の取付金具14によって固定的に支持されてい
る。
【0034】更にまた、筒部材66の軸方向中央部分に
は、全体として略円板形状を有するゴム弾性膜としての
隔壁ゴム弾性板72が配設されており、この隔壁ゴム弾
性板72によって、仕切部材60の内部が、底部(蓋部
材68)側と開口部側とに、流体密に仕切られている。
これにより、仕切部材60の内部には、隔壁ゴム弾性板
72と仕切部材60の底部との間において、隔壁ゴム弾
性板72にて平衡室64と流体密に仕切られた副液室7
4が形成されている。そして、この副液室74には、主
液室62や平衡室64と同じ非圧縮性流体が封入されて
いる。
【0035】さらに、蓋部材68には、外周面に開口し
て周方向に延びる第一の周溝76が形成されており、こ
の第一の周溝76が筒部材66で覆蓋されることによ
り、周方向に所定長さで延びて両端部が主液室62と副
液室74に接続せしめられ、それら主液室62と副液室
74の間での流体流動を許容する第一のオリフィス通路
78が形成されている。また、筒部材66には、外周面
に開口して周方向に延びる第二の周溝80が形成されて
おり、この第二の周溝80が第二の取付金具14の小径
部34で覆蓋されることにより、周方向に所定長さで延
びて両端部が主液室62と平衡室64に接続せしめら
れ、それら主液室62と平衡室64の間での流体流動を
許容する第二のオリフィス通路82が形成されている。
【0036】そして、振動入力時に主液室62に内圧変
動が惹起されて、主液室62と副液室74の間および主
液室62と平衡室64の間にそれぞれ相対的な内圧差が
生ぜしめられることにより、第一のオリフィス通路78
および第二のオリフィス通路82を通じての流体流動が
生ぜしめられるようになっている。以て、これら第一の
オリフィス通路78および第二のオリフィス通路82を
通じて主液室62と副液室74との間および主液室62
と平衡室64の間を流動せしめられる流体の共振作用等
の流動作用に基づいて、所定の防振効果が発揮されるよ
うになっている。なお、特に本実施形態では、第一のオ
リフィス通路78を通じて流動せしめられる流体の共振
作用に基づいて、シェイク等の低周波振動に対して有効
な減衰効果が発揮される一方、第二のオリフィス通路8
2を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づい
て、アイドル振動等の高周波振動に対して低動ばねによ
る有効な振動絶縁効果が発揮されるように、それら第一
のオリフィス通路78および第二のオリフィス通路82
の通路長さや断面積等が、主液室62や副液室74,平
衡室64の各壁ばね剛性や封入流体の粘度等を考慮し
て、適当に設定されている。ここにおいて、壁ばね剛性
とは、室内容積の変化に対する抵抗をいい、例えば室内
容積の単位量だけ変化させるのに必要な圧力変化で表す
ことが出来る。
【0037】ここにおいて、平衡室64と副液室74を
仕切る隔壁ゴム弾性板72は、図2及び図3にも示され
ているように、厚肉の円板形状を有する本体部分84を
有している。また、本体部分84の外周縁部には、円環
形状のリング金具86が加硫接着されていると共に、下
方に突出して周方向に連続的に延びる環状のシールリッ
プ88が一体形成されている。そして、リング金具86
が、筒部材66に嵌め込まれ、筒部材66の内周面に突
設された環状の当接片90と蓋部材68の外周縁部の間
で挟持されることによって、隔壁ゴム弾性板72の外周
縁部が、仕切部材60に位置決め固着され、該仕切部材
60を介して、第二の取付金具14によって固定的に支
持されている。また、隔壁ゴム弾性板72の外周縁部に
突設されたシールリップ88が、リング金具86と当接
片90の間で挟圧されており、隔壁ゴム弾性板72の外
周縁部と仕切部材60の取付部位における流体密性が確
保されている。そして、そのような組付状態下、隔壁ゴ
ム弾性板72には、副液室74側および平衡室64側へ
の弾性変形が許容されるようになっている。
【0038】さらに、本体部分84は、外周部分から径
方向内方に行くに従って次第に肉厚寸法が大きくなるよ
うに、厚さが径方向に変化して設定されている。これに
より、振動入力時に副液室74の内圧が本体部分84の
上面に及ぼされて、本体部分84が平衡室64側に押圧
変形された際、本体部分84における変形歪みの集中が
緩和されて、本体部分84が全体的に弾性変形せしめら
れるようになっている。また、本体部分84は、外周部
分から径方向内方に行くに従って上方に向かって突出す
る方向に傾斜した略傘形状とされている。これにより、
振動入力時に副液室74の内圧が本体部分84の上面に
及ぼされて、本体部分84が平衡室64側に押圧変形さ
れた際、本体部分84に圧縮変形が生ぜしめられて或る
程度のばね剛性が発揮されると共に、本体部分84の引
張変形が軽減されて耐久性の向上が図られるようになっ
ている。
【0039】また、本体部分84には、略逆U字形の逆
向き溝形断面をもって上面に突出する可撓壁部92が一
体形成されている。この可撓壁部92は、少なくとも本
体部分84よりも薄肉で弾性変形が容易なゴム弾性膜に
よって形成されており、本体部分84の外周部分から中
心側に向かって周方向に渦巻状に延びる形態をもって、
周方向に当間隔で3つ形成されている。また、それぞれ
の可撓壁部92の内部凹所は、その全体に亘って、本体
部分84を貫通して下面に開口し、平衡室64に連通せ
しめられており、以て、渦巻き状に延びる3つの凹溝9
4が形成されて、それぞれ平衡室64の一部を構成して
いる。特に、これら3つの可撓壁部92(凹溝94)
は、本体部分84の外周縁部と中心部を除く径方向中間
部分の広い範囲に亘って形成されているのであり、換言
すれば、本体部分84は、小径円形状の略平坦な中央部
分96と大径円環形状の外周部分98とが、それぞれ周
方向に傾斜して略一定幅:Bで渦巻き状に延びる3本の
帯板状の弾性連結部100によって一体的に連結されて
なる構造とされている。これにより、各弾性連結部10
0の長さが有利に設定されることから、振動入力時に副
液室74の内圧が本体部分84の上面に及ぼされた際、
各弾性連結部100における単位長さ当たりの弾性変形
量、即ち発生応力が抑えられ得、それによって、耐久性
が有利に確保されるようになっている。
【0040】要するに、隔壁ゴム弾性板72は、本体部
分84と各可撓壁部92によって、副液室74と平衡室
64を仕切る隔壁を構成しているのであり、そこにおい
て、各可撓壁部92は、本体部分84よりも軟らかいば
ね特性を有していると共に、本体部分84から突設され
て、広い表面積が付与されているのである。
【0041】上述の如き構造とされたエンジンマウント
10においては、振動入力時に副液室74と平衡室64
の内圧差に基づく圧力が隔壁ゴム弾性板72に及ぼされ
た際、各可撓壁部92によって軟らかいばね特性が発揮
され得ることから、可撓壁部92の肉厚や大きさ、形状
等を調節することにより、副液室74の壁ばね剛性ひい
ては第一のオリフィス通路78を通じて流動せしめられ
る流体の流動作用に基づいて発揮される防振特性を広い
範囲に亘って容易に調節することが出来るのであり、防
振特性の設計自由度の向上が達成されるのである。
【0042】特に、可撓壁部92には、溝状乃至は袋状
構造とされていることから、弾性的な湾曲乃至は屈曲変
形だけでなく、平衡室64側に向かって外方に膨らんで
凹溝94内の容積を増大せしめる膨出変形と、凹溝94
側に向かって内方に縮んで凹溝94内の容積を減少せし
める収縮変形も生ぜしめられるのであり、それによっ
て、隔壁ゴム弾性板72の外径サイズを大きくすること
なく、隔壁ゴム弾性板72の弾性変形に基づく平衡室6
4の容積変化許容量を、十分に大きく設定することが出
来る。それ故、例えば入力振動振幅が大きい場合等にお
いても、平衡室64の容積変化量を大きく設定し、第一
のオリフィス通路78を通じて流動せしめられる流体量
を十分に確保して、流体の流動作用に基づく防振効果を
有効に発揮せしめることが可能となるのである。
【0043】しかも、可撓壁部92は、本体部分84か
ら上方に突出して形成されていると共に、周方向に延び
て形成されていることにより、大きな表面積が設定され
得ることから、可撓壁部92の弾性変形に基づく平衡室
64の容積変化量を大きく設定しても、可撓壁部92の
単位面積当たりの変形量を小さく抑えることが出来るの
であり、歪みを抑えて良好なる耐久性を確保することが
出来るのである。特に、本実施形態のエンジンマウント
10では、本体部分84が、実質的に、略一定幅:Bで
渦巻き状に延びる3本の弾性連結部100によって構成
されていることから、歪みの集中化が一層有利に回避さ
れて、更なる耐久性の向上が達成され得るのである。
【0044】加えて、隔壁ゴム弾性板72においては、
振動入力によって、可撓壁部92の弾性変形に基づく副
液室74の容積変化許容量を越えた圧力変化が副液室7
4に及ぼされた際には、本体部分84によって硬いばね
特性が発揮されることから、入力振動の振幅乃至は副液
室74の容積変化量に応じて非線形のばね特性が発揮さ
れることとなる。それ故、例えばアイドル振動等の高周
波振動の入力時には、可撓壁部92の弾性変形に基づい
て副液室74の容積変化が容易に許容されて、主液室6
2と副液室74の間での第一のオリフィス通路78を通
じての流体流動に基づく防振効果が有効に発揮される一
方、アイドル振動よりも振幅が大きいシェイク等の低周
波振動の入力時には、本体部分84の硬いばね特性によ
って副液室74の壁ばね剛性が大きくされて、主液室6
2と平衡室64の間での第二のオリフィス通路82を通
じての流体流動が有効に生ぜしめられることにより、第
二のオリフィス通路82を流動せしめられる流体の流動
作用に基づく防振効果が有効に発揮されるのである。
【0045】次に、図4には、本発明の第二の実施形態
としての自動車用エンジンマウント104が、示されて
いる。なお、本実施形態において、前記第一の実施形態
のものと同様な構造とされた部材および部位について
は、それぞれ、図中に、第一の実施形態のものと同一の
符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略す
る。
【0046】すなわち、本実施形態のエンジンマウント
104にあっては、仕切部材60を構成する筒部材66
において、軸方向中間部分に位置して軸直角方向に円板
形状をもって広がり、筒部材66の中心孔を軸方向両側
に流体密に仕切る隔壁板106が一体形成されている。
そして、この隔壁板106の外周部分と、蓋部材68の
間で、隔壁ゴム弾性板72の外周縁部に加硫接着された
リング金具86が挟持されることにより、仕切部材60
に対して固定的に支持せしめられている。それにより、
隔壁ゴム弾性板72を挟んで、副液室74と反対側、即
ち隔壁ゴム弾性板72と隔壁板106の対向面間には、
流体室58に対してシールされた作用空気室108が形
成されている。なお、隔壁ゴム弾性板72は、その本体
部分84に対して、中央部分が上方に向かって突出する
テーパが付されていることにより、隔壁板106から離
隔して配設されて、弾性変形が許容されるようになって
いる。
【0047】さらに、筒部材66には、隔壁板106の
上面に開口して作用空気室108に接続せしめられたエ
ア給排孔110が、筒部材66の内部を貫通して外周面
に開口して形成されている。なお、エア給排孔110に
おける筒部材66の外周面側開口部には、ポート112
が一体形成されており、マウント装着状態下において、
このポート112にてエア管路114が接続されるよう
になっている。そして、エア管路114を通じて、作用
空気室108が、切換弁116を介して、負圧源118
と大気中とに択一的に接続されることとなる。
【0048】従って、本実施形態のエンジンマウント1
04においては、防振しようとする入力振動に応じて切
換弁を切換制御せしめて作用空気室108に負圧と大気
圧を交互に及ぼすことにより、隔壁ゴム弾性板72の下
面の全体に対して空気圧による加振力が及ぼされるので
あり、その結果、隔壁ゴム弾性板72が加振されること
となる。それによって、副液室74に圧力変化が生ぜし
められ、この圧力変化が、更に、第二のオリフィス通路
82を通じて主液室62に及ぼされることによって、主
液室62の内圧が制御せしめられて、マウント防振特性
の能動的な制御が可能となるのであり、入力振動に対す
るアクティブな防振効果が発揮され得るのである。
【0049】そこにおいて、かかる隔壁ゴム弾性板72
においては、可撓壁部92が、本体部分84から上方に
突出して形成されていると共に、周方向に延びて形成さ
れていることにより、大きな表面積が設定されており、
それによって、作用空気室108による空気圧の作用面
積が大きくされている。しかも、可撓壁部92は、弾性
的な湾曲乃至は屈曲変形だけでなく、膨出/収縮変形も
生ぜしめられることにより、弾性変形に基づく副液室7
4の容積変化許容量が大きく確保され得る。それ故、隔
壁ゴム弾性板72のサイズの大型化を伴うことなく、作
用空気室108の空気圧制御に基づく隔壁ゴム弾性板7
2の弾性変形量が大きく確保され得て、副液室74ひい
ては主液室62の体積変化量が有利に確保されるのであ
り、以て、液圧制御による防振特性の制御効果の向上が
達成され得るのである。
【0050】また、隔壁ゴム弾性板72においては、可
撓壁部92によって大きな表面積が付与されていると共
に、本体部分84が、実質的に、略一定幅:Bで渦巻き
状に延びる3本の弾性連結部100によって構成されて
いることから、歪の局部的な集中が回避されると共に、
単位面積当たりの歪量が有利に軽減され得て、優れた耐
久性が発揮されるのである。
【0051】以上、本発明の実施形態について詳述して
きたが、これらは文字通りの例示であって、本発明は、
これらの実施形態の記載によって、何等、限定的に解釈
されるものではない。
【0052】例えば、ゴム弾性膜に形成される可撓壁部
の形状は、前記実施形態に記載の渦巻形状に限定される
ものでない。具体的には、1〜2本、或いは4本以上の
可撓壁部を形成しても良く、また、全長に亘って一定の
断面形状をもって可撓壁部を形成しても良い。更に、可
撓壁部は、副液室と反対側に突出して形成しても良く、
また複数本の可撓壁部を形成する場合には、それらを全
てをゴム弾性膜の一方の表面上に突出させる必要はな
い。また、渦巻状の他、同心的な複数の円環形状をもっ
て可撓壁部を形成すること等も可能であり、それによっ
ても、ゴム弾性膜の実質的な表面積の増大等による前述
の如き各種の効果が達成され得る。
【0053】さらに、可撓壁部を複数本設ける場合に
は、各可撓壁部の肉厚や形状を相互に異ならせることも
可能であり、それによって、複数段階に或いは全体的に
非線形なばね特性等を実現することが出来、防振特性の
チューニング自由度の更なる拡張が図られ得る。
【0054】また、ゴム弾性膜の本体部分は、要求され
る防振特性等に応じて、全体を略一定の厚さで形成して
も良く、また、前記実施形態に記載のように、必ずしも
上方に凸となるテーパを付する必要はない。
【0055】さらに、前記第一及び第二の実施形態のエ
ンジンマウントにおいては、要求される防振特性等に応
じて、仕切部材60に蓋部材68を設けることなく、副
液室74を形成しないで、主液室62の壁部の一部を隔
壁ゴム弾性板72によって構成することも可能である。
【0056】また、前記第一及び第二の実施形態のエン
ジンマウントにおいては、要求される防振特性等に応じ
て、平衡室64や第二のオリフィス通路82を設けなく
ても良い。
【0057】加えて、前記実施形態では、何れも、本発
明を自動車用エンジンマウントに適用したものの具体例
を示したが、本発明は、その他、FF型自動車等に好適
に採用される円筒型エンジンマウントや自動車用ボデー
マウント,デフマウント,サスペンションブッシュ等、
或いは自動車以外の各種の防振装置に対して、何れも、
同様に適用され得ることは、勿論である。
【0058】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、ゴ
ム弾性膜が、硬いばね特性を発揮する本体部分と軟らか
いばね特性を発揮する可撓壁部を含んで構成されている
ことから、それら本体部分と可撓壁部のそれぞれの形状
や大きさ等を適当に設定することによって、ゴム弾性膜
全体のばね特性、ひいては防振装置の防振特性を、広い
範囲に亘って容易にチューニングすることが出来るので
ある。
【0060】しかも、ゴム弾性膜の表面積が、可撓壁部
によって、サイズの大型化を伴うことなく有利に確保さ
れることから、ゴム弾性膜の弾性変形に基づく流体室の
容積変化許容量や制御量を大きく設定することが可能と
されると共に、歪みの集中が緩和されて優れた耐久性が
実現され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントを構成する隔
壁ゴム弾性板を示す底面図である。
【図3】図2における III−III 断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態としての自動車用エン
ジンマウントを示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10,104 エンジンマウント 12 第一の取付金具 14 第二の取付金具 16 本体ゴム弾性体 58 流体室 60 仕切部材 62 主液室 64 平衡室 72 隔壁ゴム弾性板 74 副液室 78 第一のオリフィス通路 82 第二のオリフィス通路 84 本体部分 92 可撓壁部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防振連結される一方の部材に取り付けら
    れる第一の取付部材と、他方の部材に取り付けられる第
    二の取付部材が、本体ゴム弾性体で連結されていると共
    に、非圧縮性流体が封入された流体室が、前記第二の取
    付部材で支持されたゴム弾性膜で壁部の一部を構成され
    ることにより形成されてなる流体封入式防振装置におい
    て、 前記ゴム弾性膜が、円板形状の本体部分を有していると
    共に、該本体部分よりも薄肉で該本体部分の表面上に突
    出する溝形断面の可撓壁部が、該本体部分を周方向に延
    びて一体形成されており、かかる可撓壁部の溝形内部
    が、該本体部分における該可撓壁部の突出側とは反対側
    の表面上に開口せしめられていることを特徴とする流体
    封入式防振装置。
  2. 【請求項2】 前記ゴム弾性膜における前記本体部分の
    厚さ寸法が、外周部分から内側に行くに従って次第に厚
    肉とされている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 【請求項3】 前記ゴム弾性膜における前記可撓壁部
    が、前記本体部分の周方向に渦巻状に形成されている請
    求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 前記ゴム弾性膜が、前記本体部分の外周
    縁部において、前記第二の取付部材により固定的に支持
    されていると共に、該本体部分が、その外周部分から内
    側に行くに従って一方の面側に突出したテーパ形状とさ
    れている請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防
    振装置。
  5. 【請求項5】 前記流体室が、前記本体ゴム弾性体によ
    って壁部の一部が構成された主液室と、前記ゴム弾性膜
    によって壁部の一部が構成された副液室を含んで構成さ
    れていると共に、それら主液室と副液室を相互に連通す
    る第一のオリフィス通路が形成されている請求項1乃至
    4の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  6. 【請求項6】 前記流体室が、前記ゴム弾性膜を挟ん
    で、前記副液室とは反対側に位置して形成された、壁部
    の一部が可撓性膜で構成されてなる平衡室を含んで構成
    されていると共に、該平衡室を前記主液室に連通せしめ
    る第二のオリフィス通路が形成されている請求項5に記
    載の流体封入式防振装置。
  7. 【請求項7】 前記ゴム弾性膜に対して加振力を及ぼす
    加振手段が設けられている請求項1乃至6の何れかに記
    載の流体封入式防振装置。
  8. 【請求項8】 前記ゴム弾性膜の中央部分に対して剛性
    部材が固着されていると共に、かかるゴム弾性膜におけ
    る該剛性部材の固着部位の外周側において、前記可撓壁
    部が形成されている請求項1乃至7の何れかに記載の流
    体封入式防振装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008032055A (ja) * 2006-07-26 2008-02-14 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置

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JP2008032055A (ja) * 2006-07-26 2008-02-14 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式防振装置

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