JPH11158449A - 粘着剤組成物 - Google Patents

粘着剤組成物

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JPH11158449A
JPH11158449A JP22141598A JP22141598A JPH11158449A JP H11158449 A JPH11158449 A JP H11158449A JP 22141598 A JP22141598 A JP 22141598A JP 22141598 A JP22141598 A JP 22141598A JP H11158449 A JPH11158449 A JP H11158449A
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雅幸 藤田
Yoshiki Nakagawa
佳樹 中川
Masato Kusakabe
正人 日下部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子量分布が狭く低粘度で、末端に高い比率
でアルケニル基を有するビニル系重合体を用いることに
よりハイソリッド化が可能で速硬化性の粘着剤組成物を
提供する。 【解決手段】 (A)アルケニル基を少なくとも1個有
するビニル系重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合
物、を必須成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粘着剤組成物に関す
る。さらに詳しくは、末端にアルケニル基を有するビニ
ル系重合体と、ヒドロシリル基含有化合物を必須成分と
し、速硬化性で、かつ重合体の粘度が低いためにハイソ
リッド化が可能な粘着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系粘着剤は粘着付与樹脂を添加
しなくともバランスのとれた粘着特性を有し、天然ゴム
系粘着剤と並んで大量に生産されている。アクリル系粘
着剤は、分子量、分子量分布の問題から、特に凝集力が
不足するため、一般に架橋によりこれを改善している。
架橋方法としては、各種の形式が開発されており、例え
ば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、多価
カルボン酸、ポリアミン化合物、フェノール樹脂、イオ
ウ化合物等の架橋剤を加える方法、または、アルケニル
基を有するアクリル系重合体を縮合触媒存在下に架橋さ
せる方法等が提案されている。特に、アルケニル基を有
するアクリル系重合体を主成分とする粘着剤は、シロキ
サン結合により架橋硬化するために、耐候性に優れると
いう特徴を有する。
【0003】しかし、シロキサン架橋による硬化には湿
分の吸収が必要であるため、特に湿度の低い冬季におい
て硬化不良が大きな問題となる。シロキサン架橋系の高
い耐候性を犠牲にせずに、上記の硬化不良の問題を解決
するために、ヒドロシリル化反応を硬化反応として利用
するアクリル系粘着剤が提案されており、例えば特開平
3−95266号公報、特開平4−93376号公報、
特開平4−145188号公報等が具体例として挙げら
れる。ヒドロシリル化を硬化反応に用いる硬化系では、
湿分の吸収を必要とせず加熱するだけで均一な硬化物を
得ることができる上に、硬化速度も非常に速いためライ
ン生産される粘着剤用途に好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のヒドロシリル化
反応を用いるアクリル系粘着剤では、主成分としてアル
ケニル基を有するアクリル系重合体が、また、硬化剤と
してヒドロシリル基含有化合物が用いられる。アルケニ
ル基含有アクリル系重合体は、アクリル系モノマーとと
もにアルケニル基を有するビニル系モノマーを共重合す
る以外に、水酸基やカルボキシル基等の官能基を有する
ビニル系モノマーを共重合し、これらの官能基と反応す
る基およびアルケニル基を有する化合物を反応させるこ
とによっても得ることができる。
【0005】硬化物に粘着剤として必要な弾性的な性質
を付与するためには、該重合体を高分子量化する必要が
あるとともに、共重合させるアルケニル基あるいはこれ
に誘導可能な官能基含有モノマーの使用量を少なくし、
架橋点間分子量を大きくする必要があった。しかしなが
ら該重合体を高分子量体にすると、ビニル系重合体がフ
リーラジカル重合により合成されているため、分子量分
布が広くなり高粘度化、あるいは固形化してしまい、こ
のため粘着剤として使用するためには、かなり多量の溶
剤を使用して低粘度化しなければならないという問題が
ある。またフリーラジカル重合ではアルケニル基あるい
はこれに誘導可能な官能基含有モノマーは重合体中にほ
ぼランダムに導入される。このため上記のアルケニル基
あるいはこれに誘導可能な官能基含有モノマーの使用量
を少なくすることは、アルケニル基が含有されない重合
体の生成率が高くなることを意味し、これらは架橋体に
組み込まれないために硬化物物性の制御範囲を著しく制
限するものとなる。また低粘度でかつアルケニル基導入
率の高いビニル系重合体を得ようとした場合、アルケニ
ル基あるいはこれに誘導可能な官能基含有モノマーをか
なり高い割合で使用しなければならなくなるため、その
架橋物は架橋点の間隔が小さくなり、粘着剤に必要な弾
性的性質が得られないという問題がある。すなわち、重
合体の低粘度、重合体の高アルケニル基導入率、架橋体
の弾性的性質を十分満足させる系が設定できないという
問題がある。
【0006】溶剤型の粘着剤においては、フィルム等の
基材に塗工した後に、溶剤を揮散させるのに多量の熱エ
ネルギーを消費し、火災発生の原因になったり、人体に
悪影響を及ぼすので、無溶剤化あるいはハイソリッド化
が求められている。前記の問題点を解消し、かつ高性能
の粘着剤を得るための方法として、重合体の分子量が比
較的小さく、充分低粘度であり、架橋または鎖延長を起
こすアルケニル基が重合体の末端に導入されたアクリル
系共重合体を粘着剤のベースポリマーに用いることが考
えられる。しかしこれまで、末端にアルケニル基を有す
る(メタ)アクリル系重合体を製造することは困難であ
った。
【0007】特開平5−255415号公報にはジアル
ケニルジスルフィドを連鎖移動剤としてビニル系モノマ
ー、ジエン系モノマーを乳化重合するラテックスの製造
方法が開示されている。また、特開平1−247403
号公報には、アリル基含有ジスルフィド、チウラムジス
ルフィドを開始剤に用いることを特徴とする末端にアル
ケニル基を有するアクリル系重合体の製造法が開示され
ているが、これらの方法では、末端に確実にアルケニル
基を導入することは容易ではない。特開平6−2119
22号公報には、水酸基を有するポリスルフィド系連鎖
移動剤を開始剤に対して大過剰に用いて両末端に水酸基
を有するビニル系重合体を得、さらに水酸基を変換する
ことによる、末端にアルケニル基を有するビニル系重合
体の製造について記載されている。この方法において
は、末端に比較的高い比率でアルケニル基が導入される
が、高価な連鎖移動剤を大量に使用するので製造工程上
問題がある。
【0008】従って本発明においては上記の問題を解決
する、分子量分布が狭く低粘度で、末端に高い比率でア
ルケニル基をするビニル系重合体を主成分とする、ハイ
ソリッド化が可能で、速硬化性である粘着剤組成物を提
供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の構成から
なる新規な粘着剤組成物を提供するものであり、これに
より上記課題が解決される。 1)以下の2成分: (A)一般式(1)に示すアルケニル基を末端に有する
ビニル系重合体、 CH2=C(R1)− (1) 式中、R1は水素またはメチル基を表す(B)ヒドロシ
リル基含有化合物、を必須成分とする粘着剤組成物。 2)(A)成分の(メタ)アクリル系重合体の、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均
分子量と数平均分子量の比が1.8未満である以下であ
る1)記載の粘着剤組成物。 3)(A)成分が以下の工程: (1)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法によ
り重合することにより、一般式(2)で示す末端構造を
有するビニル系重合体を製造し、 −C(R2)(R3)(X) (2) 式中、R2およびR3はビニル系モノマーのエチレン性不
飽和基に結合した基を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ
素を表す。 (2)前記重合体の末端ハロゲンを一般式(1)のアル
ケニル基を有する置換基に変換する;ことにより得られ
るビニル系重合体である1)または2)記載の粘着剤組
成物。 4)(A)成分が以下の工程:(1)ビニル系モノマー
をリビングラジカル重合法により重合することにより、
ビニル系重合体を製造し、(2)続いて重合性の低いア
ルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させ
る;ことにより得られるビニル系重合体である1)また
は2)記載の粘着剤組成物。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の粘着剤組成物は以下の2
成分: (A)一般式(1)に示すアルケニル基を末端に有する
ビニル系重合体、 CH2=C(R1)− (1) 式中、R1は水素またはメチル基を表す(B)ヒドロシ
リル基含有化合物、を必須成分とするものである。
【0011】以下に本発明の粘着剤組成物について詳述
する。 [(A)成分のビニル系重合体について](A)成分の
ビニル系重合体の架橋性基である、一般式(1)のアル
ケニル基は、まず一般式(3) CH2=C(R1)−R4− (3) 式中、R1は上述したものと同様である。R4は、直接結
合または炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表す。で
表される炭化水素系の基が挙げられる。R4としては−
(CH2n−(nは0〜10の整数)、−CH2CH
(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−等が具体的
には例示される。
【0012】また一般式(1)のアルケニル基として
は、下記一般式(4)で示されるエーテル結合を有する
アルケニル基、一般式(5)および(6)で示されるエ
ステル結合を有するアルケニル基および一般式(7)で
示されるカーボネート結合を有するアルケニル基など酸
素原子を介して主鎖に結合されるアルケニル基も挙げる
ことができる。 CH2=C(R1)−R5−O− (4) CH2=C(R1)−R5−OC(O)− (5) CH2=C(R1)−R5−C(O)O− (6) CH2=C(R1)−R5−OC(O)O− (7) 式中、R1は上述したものと同様である。R5は、直接結
合または1個以上のエーテル結合を含有していてもよい
炭素数1〜20の2価の有機基を表す。
【0013】上記一般式(4)、(5)、(6)および
(7)において、R5としては例えば −(CH2n−、(nは0〜20の整数)、−CH2
H(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−;−CH
2OCH2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2−、−C
2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2OCH2CH2
2−;o−,m−,p−C64−、o−,m−,p−
CH2−C64−、o−,m−,p−CH2−C64−C
2− 等が具体的には例示される。
【0014】また、一般式(8)で示される電子吸引基
を有する基も一般式(1)のアルケニル基として挙げら
れる。 CH2=C(R1)−R5−C(R6)(R7)− (8) 式中、R1、R5は上述したものと同様である。R6およ
びR7はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引
基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭
素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を表す。
6およびR7の電子吸引基としては、−CO2R(エス
テル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2
(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN
(ニトリル基)、−NO2(ニトロ基)等が挙げられ
る。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6
〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル
基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基もし
くはフェニル基である。R6およびR7としては、−CO
2R、−C(O)Rおよび−CNが特に好ましい。
(A)成分のビニル系重合体の主鎖を形成するモノマー
としては特に限定されず、各種のものを用いることがで
きる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イ
ソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−te
rt−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、
(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチ
ル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アク
リル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニ
ル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ド
デシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリ
ル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)
アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸
−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒド
ロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプ
ロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アク
リル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエ
チル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメト
キシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド
付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2
−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−2
−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオ
ロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメ
チル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2
−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸−2
−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸−
2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸−
2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アク
リル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メ
チルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及
びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレ
ン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフ
ッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノ
マー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノ
アルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、
フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステ
ル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミ
ド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシル
マレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミ
ド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シク
ロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有
ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド
等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、
桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピ
レン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役
ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、
アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用
いても良いし、複数を共重合させても構わない。なお上
記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル
酸および/またはメタクリル酸を表す。
【0015】一般式(1)に示すアルケニル基を少なく
とも1個有するビニル系重合体で、上記のモノマーの中
で(メタ)アクリル酸系モノマーを40重量%以上用い
て合成することにより得られた(メタ)アクリル系重合
体が、物性面からより好ましい。アルケニル基を少なく
とも1個有するビニル系重合体の分子量分布、すなわち
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比
(Mw/Mn)については特に制限はない。しかし、硬
化性組成物とした際の粘度を低く抑えて取扱いを容易に
し、なおかつ十分な硬化物物性を得るためには、分子量
分布は狭いのが好ましい。分子量分布の値としては1.
8未満が好ましく、より好ましくは1.7以下、さらに
好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.5以下、
さらに好ましくは1.4以下、さらに好ましくは1.3
以下である。分子量分布の測定は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)で測定するのが最も一
般的である。移動相としてはクロロホルムやTHFを、
カラムとしてはポリスチレンゲルカラムを用い、数平均
分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
【0016】アルケニル基を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体の分子量については特に制限はないが、50
0〜100000の範囲にあるのが好ましい。分子量が
500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発
現されにくく、また、100000以上であると、取り
扱いが困難になる。アルケニル基を少なくとも1個有す
るビニル系重合体は、種々の重合法により得ることがで
き、その方法は特に限定されない。しかし、モノマーの
汎用性、制御の容易性の点からラジカル重合法によっ
て、直接アルケニル基を導入したり、1段階あるいは数
段階の反応でアルケニル基に変換できる特定の官能基を
有するビニル系重合体を得、この特定の官能基をアルケ
ニル基に変換することによりアルケニル基を少なくとも
1個有するビニル系重合体を得る方法がより好ましい。
【0017】アルケニル基を含む特定の官能基を有する
ビニル系重合体を合成する方法において用いられるラジ
カル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化
物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニ
ル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル
重合法」と末端などの制御された位置に特定の官能基を
導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類で
きる。
【0018】「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法
であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマー
は確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率
の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーを
かなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特
定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなると
いう問題点がある。またフリーラジカル重合であるた
め、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0019】「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の
官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうこと
により末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる
「連鎖移動剤法」と重合生長末端が停止反応などを起こ
さずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重
合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類す
ることができる。「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い
重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかな
り大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であ
り、処理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一
般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合で
あるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得ら
れないという問題点もある。
【0020】これらの重合法とは異なり、「リビングラ
ジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカ
ップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御
の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応
が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.
1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマー
と開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロー
ルすることができる。
【0021】従って「リビングラジカル重合法」は、分
子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる
上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任
意の位置に導入することができるため、上記特定の官能
基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ま
しいものである。なお、リビング重合とは狭義において
は、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく
重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化された
ものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長し
ていく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義
も後者である。
【0022】「リビングラジカル重合法」は近年様々な
グループで積極的に研究がなされている。その例として
は、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル
ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、19
94年、116巻、7943頁に示されるようなコバル
トポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュール
ズ(Macromolecules)、1994年、2
7巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物
などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物
等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラ
ジカル重合」(Atom Transfer Radi
cal Polymerization:ATRP)な
どがあげられる。
【0023】「リビングラジカル重合法」の中でも、有
機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等
を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマー
を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リ
ビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反
応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触
媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有
するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好まし
い。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMat
yjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.So
c.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)1995
年、28巻、7901頁,サイエンス(Scienc
e)1996年、272巻、866頁、WO96/30
421号公報,WO97/18247号公報あるいはS
awamotoら、マクロモレキュールズ(Macro
molecules)1995年、28巻、1721頁
などが挙げられる。
【0024】この原子移動ラジカル重合では、有機ハロ
ゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有す
る有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有する
カルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化
合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始
剤として用いられる。この重合法を用いて架橋性のビニ
ル系重合体を得るために、開始点を2個以上有する有機
ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開
始剤として用いられる。それらの具体例としては、 o−,m−,p−XCH2−C64−CH2X、o−,m
−,p−CH3C(H)(X)−C64−C(H)
(X)CH3、o−,m−,p−(CH32C(X)−
64−C(X)(CH32 (ただし、上記式中、C64はフェニレン基を表す。X
は塩素、臭素、またはヨウ素を表す) RO2C−C(H)(X)−(CH2n−C(H)
(X)−CO2R、RO2C−C(CH3)(X)−(C
2n−C(CH3)(X)−CO2R、RC(O)−C
(H)(X)−(CH2n−C(H)(X)−C(O)
R、RC(O)−C(CH3)(X)−(CH2n−C
(CH3)(X)−C(O)R (上記式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリー
ル基またはアラルキル基を表す。nは0〜20の整数を
表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素を表す) XCH2−C(O)−CH2X、H3C−C(H)(X)
−C(O)−C(H)(X)−CH3、(H3C)2
(X)−C(O)−C(X)(CH32、C65
(H)(X)−(CH2n−C(H)(X)C65 (上記式中、Xは塩素、臭素またはヨウ素を表し、nは
0〜20の整数を表す) XCH2CO2−(CH2n−OCOCH2X、CH3
(H)(X)CO2−(CH2n−OCOC(H)
(X)CH3、(CH32C(X)CO2−(CH2n
OCOC(X)(CH32 (上記式中、nは1〜20の整数を表す) XCH2C(O)C(O)CH2X、CH3C(H)
(X)C(O)C(O)C(H)(X)CH3、(C
32C(X)C(O)C(O)C(X)(CH32
o−,m−,p−XCH2CO2−C64−OCOCH2
X、o−,m−,p−CH3C(H)(X)CO2−C6
4−OCOC(H)(X)CH3、o−,m−,p−
(CH32C(X)CO2−C64−OCOC(X)
(CH32、o−,m−,p−XSO2−C64−SO2
X (上記式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す) 重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限
定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9
族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯
体錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1
価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケ
ルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好まし
い。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第
一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸
化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる
場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及
びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘
導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジ
エチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノ
エチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加され
る。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニル
ホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒とし
て好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場
合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添
加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィ
ン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルの
ビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PP
32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホス
フィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として
好適である。
【0025】この重合において用いられるビニル系のモ
ノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをす
べて好適に用いることができる。上記重合反応は、無溶
媒又は各種の溶媒中で行うことができる。溶媒として
は、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエ
ーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等のエーテル
系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコ
ール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオ
ニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶
媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合
して用いることができる。また、エマルジョン系もしく
は超臨界流体CO2を媒体とする系においても重合を行
うことができる。
【0026】重合は、0〜200℃の範囲で行うことが
でき、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。一般
式(1)で示されるアルケニル基を少なくとも1個有す
るビニル系重合体の製造方法は、以下の(A)〜(C)
において具体的に例示して説明するがこれらに限定され
るものではない。 (A)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際
に、重合体主鎖に直接アルケニル基を導入する方法。 (B)一般式(2)で表されるハロゲンを少なくとも1
個有するビニル系重合体を用いて、このハロゲンをアル
ケニル基含有官能基に置換する方法。 (C)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体を
用いて、この水酸基をアルケニル基含有官能基に置換す
る方法。
【0027】上記合成法(A)の重合体主鎖に直接アル
ケニル基を導入する方法としては特に限定されないが、
具体的には次に述べる(A−a)〜(A−b)の方法な
どを挙げることができる。 (A−a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体
を合成する際に、所定のビニル系モノマーとともに、下
記一般式(9)等で表される一分子中に重合性のアルケ
ニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合
物をも反応させる方法。 H2C=C(R1)−R8−R9−C(R1)=CH
2 (9) 式中、R1は水素またはメチル基を表し、互いに同一で
あっても異なっていてもよい。R8は−C(O)O−
(エステル基)、またはo−,m−もしくはp−フェニ
レン基を表す。R9は直接結合、または1個以上のエー
テル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有
機基を表す。R8がエステル基のものは(メタ)アクリ
レート系化合物、R8がフェニレン基のものはスチレン
系の化合物である。上記一般式(9)におけるR9とし
ては、メチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン
基;o−,m−,p−フェニレン基;ベンジル基等のア
ラルキル基;−CH2CH2−O−CH2−や−O−CH2
−等のエーテル結合を含むアルキレン基等が例示され
る。
【0028】上記一般式(9)の化合物の中でも、入手
が容易であるという点から下記のものが好ましい。 H2C=C(H)C(O)O(CH2n−CH=CH2
2C=C(CH3)C(O)O(CH2n−CH=CH
2 上記の各式において、nは0〜20の整数を表す。 H2C=C(H)C(O)O(CH2n−O−(CH2
mCH=CH2、H2C=C(CH3)C(O)O(C
2n−O−(CH2mCH=CH2 上記の各式において、nは1〜20の整数、mは0〜2
0の整数を表す。 o−,m−,p−ジビニルベンゼン、o−,m−,p−
2C=CH−C64−CH2CH=CH2、o−,m
−,p−H2C=CH−C64−CH2−C(CH3)=
CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2
CH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C6
4−OCH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=C
H−C64−OCH2−C(CH3)=CH2、o−,m
−,p−H2C=CH−C64−OCH2CH2CH=C
2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C64
C(CH3)=CH2、o−,m−,p−H2C=C(C
3)−C64−CH2CH=CH2、o−,m−,p−
2C=C(CH3)−C64−CH2C(CH3)=CH
2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C64−C
2CH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=C(C
3)−C64−OCH2CH=CH2、o−,m−,p
−H2C=C(CH3)−C64−OCH2−C(CH 3
=CH2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6
4−OCH2CH2CH=CH2 上記の各式において、C64はフェニレン基を表す。
【0029】なお、上記重合性のアルケニル基および重
合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる
時期としては特に制限はないが、リビングラジカル重合
において、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反
応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ま
しい。 (A−b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体
を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマ
ーの反応終了後に、第2のモノマーとして、重合性の低
いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応さ
せる方法。
【0030】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式(10)に示される化合物等が挙げられ
る。 H2C=C(R1)−R10−C(R1)=CH2 (10) 式中、R1は水素またはメチル基を表し、互いに同一で
も異なっていてもよい。R10は1個以上のエーテル結合
を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表
す。
【0031】上記一般式(10)に示される化合物とし
ては特に限定されないが、入手が容易であるということ
から、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、
1,9−デカジエンが好ましい。上記合成法(A)の重
合体主鎖に直接アルケニル基を導入することによる、ア
ルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合
成方法においては、一分子当たりに導入されるアルケニ
ル基の制御がより容易である点から(A−b)の方法が
好ましい。
【0032】上記合成法(B)における一般式(2)で
表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合
体の合成法は原子移動ラジカル重合法が好ましい。この
重合体のハロゲンをアルケニル基含有官能基に置換する
方法としては特に限定されないが、具体的には次に述べ
る(B−a)〜(B−d)の方法などを挙げることがで
きる。
【0033】(B−a)一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体にアルケニル
基を有する各種の有機金属化合物を作用させてハロゲン
を置換する方法。このような有機金属化合物としては、
有機リチウム、有機ナトリウム、有機カリウム、有機マ
グネシウム、有機錫、有機ケイ素、有機亜鉛、有機銅等
が挙げられる。特に上記一般式(2)のハロゲンと選択
的に反応し、カルボニル基との反応性が低いという点
で、有機錫、有機銅化合物が好ましい。
【0034】アルケニル基を有する有機錫化合物として
は、特に制限はないが、下記一般式(11)で示される
化合物が好ましい。 H2C=C(R1)C(R11)(R12)Sn(R133 (11) 式中、R1は上述したものと同様である。R11およびR
12は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数
6〜10のアリール基、または炭素数7〜10のアラル
キル基を表し、これらは互いに同じであっても異なって
いてもよい。R13は、炭素数1〜10のアルキル基、ア
リール基、またはアラルキル基を表す。
【0035】上記一般式(11)の有機錫化合物の具体
例を示すならば、アリルトリブチル錫、アリルトリメチ
ル錫、アリルトリ(n−オクチル)錫、アリルトリ(シ
クロヘキシル)錫等が例示される。 アルケニル基を有
する有機銅化合物としては、ジビニル銅リチウム、ジア
リル銅リチウム、ジイソプロペニル銅リチウム等が例示
される。
【0036】(B−b)一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(12)等で表されるアルケニル基を有する安定化カ
ルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。 M+-(R6)(R7)−R5−C(R1)=CH2 (12) 式中、R1、R5、R6およびR7は上述したものと同様で
ある。M+はアルカリ金属イオンまたは4級アンモニウ
ムイオンを表す。
【0037】アルカリ金属イオンとしてはリチウムイオ
ン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが、また、4級
アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウ
ムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリメチ
ルベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルア
ンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等
が具体例として挙げられる。
【0038】上記一般式(12)のカルバニオンは、そ
の前駆体に対して塩基性化合物を作用させ、活性プロト
ンを引き抜くことによって得ることができる。一般式
(12)のカルバニオンの前駆化合物としては以下のよ
うな化合物が例示できる。 H2C=CH−CH(CO2CH32、H2C=CH−C
H(CO2252、H2C=CH−(CH2nCH
(CO2CH32、H2C=CH−(CH2nCH(CO
2252、o−,m−,p−H2C=CH−C64
CH(CO2CH32、o−,m−,p−H2C=CH−
64−CH(CO2252、o−,m−,p−H2
C=CH−C64−CH2CH(CO2CH32、o−,
m−,p−H2C=CH−C64−CH2CH(CO22
52、H2C=CH−CH(C(O)CH3)(CO2
25)、H2C=CH−(CH2nCH(C(O)C
3)(CO 225)、o−,m−,p−H2C=CH
−C64−CH(C(O)CH3)(CO225)、o
−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2CH(C
(O)CH3)(CO225)、H2C=CH−CH
(C(O)CH32、H2C=CH−(CH2nCH
(C(O)CH32、o−,m−,p−H2C=CH−
64−CH(C(O)CH32、o−,m−,p−H
2C=CH−C64−CH2CH(C(O)CH32、H
2C=CH−CH(CN)(CO225)、H2C=C
H−(CH2nCH(CN)(CO225)、o−,
m−,p−H2C=CH−C64−CH(CN)(CO2
25)、o−,m−,p−H2C=CH−C64−C
2CH(CN)(CO225)、H2C=CH−CH
(CN)2、H2C=CH−(CH2nCH(CN)2
o−,m−,p−H2C=CH−C64−CH(C
N)2、o−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2
CH(CN)2、H2C=CH−(CH2nNO2、o
−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2NO2、o
−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2CH2
2、H2C=CH−CH(C65)(CO225)、
2C=CH−(CH2nCH(C65)(CO2
25)、o−,m−,p−H2C=CH−C64−CH
(C65)(CO225)、o−,m−,p−H2C=
CH−C64−CH2CH(C65)(CO 225) 上記式中、nは1〜10の整数を表す。
【0039】上記化合物からプロトンを引き抜き一般式
(12)のカルバニオンとするためには各種の塩基性化
合物が使用される。これらの塩基性化合物としては以下
のような化合物が例示できる。ナトリウム、カリウム、
リチウム等のアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、カ
リウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエ
トキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、
ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−ter
t−ブトキシド等の金属アルコキシド;炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム
等の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水
酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリ
チウム、エチルリチウム等の水素化物;n−ブチルリチ
ウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロ
ピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等の有機
金属;アンモニア;トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミン等のアルキルアミン;テトラメチ
ルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミ
ン等のポリアミン;ピリジン、ピコリン等のピリジン系
化合物等塩基性化合物の使用量は前駆物質に対して当量
または小過剰量用いればよく、好ましくは1〜1.2当
量である。
【0040】上記のカルバニオンとして4級アンモニウ
ム塩も使用できる。この場合、カルボン酸化合物のアル
カリ金属塩であるものを調製し、これに4級アンモニウ
ムハライドを作用させることによって得られる。4級ア
ンモニウムハライドとしては、テトラメチルアンモニウ
ムハライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリ
メチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルドデ
シルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウム
ハライド等が例示される。
【0041】上記前駆化合物と塩基性化合物を反応させ
る際に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、ト
ルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメ
トキシベンゼン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、ク
ロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブ
チルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系
溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカー
ボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等の
スルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0042】上記の前駆体に塩基性化合物を作用させる
ことにより一般式(12)で表されるカルバニオンが調
製され、一般式(2)のハロゲン末端を有するビニル系
重合体と反応させることにより、目的とする一般式
(1)で表されるアルケニル基を末端に有するビニル系
重合体を得ることができる。 (B−c)一般式(2)で表されるハロゲンを少なくと
も1個有するビニル系重合体に、金属単体あるいは有機
金属化合物を作用させてエノレートアニオンとし、しか
る後に、アルケニル基を有する求電子化合物と反応させ
る方法。
【0043】金属単体としては、生成するエノレートア
ニオンが他のエステル基を攻撃したり転移するような副
反応を起こしにくいという点で亜鉛が特に好ましい。ア
ルケニル基を有する求電子化合物としては各種のものを
使用することができる。例えば、ハロゲンやアセチル基
のような脱離基を有するアルケニル基含有化合物、アル
ケニル基を有するカルボニル化合物、アルケニル基を有
するイソシアネート化合物、アルケニル基を有する酸ハ
ロゲン化物等である。これらのうち、ハロゲンやアセチ
ル基のような脱離基を有するアルケニル基含有化合物を
用いると、主鎖に炭素以外の原子が導入されず、ビニル
系重合体の耐候性が失われないので好ましい。
【0044】(B−d)一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(13)等で表されるアルケニル基含有オキシアニオ
ン又は下記一般式(14)等で表されるアルケニル基含
有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲ
ンをアルケニル基含有置換基に置換する方法。 CH2=C(R1)−R5−O-+ (13) 式中、R1、R5およびM+は上述したものと同様であ
る。 CH2=C(R1)−R5−C(O)O-+ (14) 式中、R1、R5およびM+は上述したものと同様であ
る。
【0045】一般式(13)および(14)で表される
オキシアニオンの前駆化合物としては以下のような化合
物: H2C=CH−CH2−OH、H2C=CH−CH(C
3)−OH、H2C=C(CH3)−CH2−OH、H2
C=CH−(CH2n−OH(nは、2〜20の整数を
表す。)、H2C=CH−CH2−O−(CH22−O
H、H2C=CH−C(O)O−(CH22−OH、H2
C=C(CH3)−C(O)O−(CH22−OH、o
−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2−OH、o
−,m−,p−H2C=CH−CH2−C64−CH2
OH、o−,m−,p−H2C=CH−CH2−O−C6
4−CH2−OH等のアルコール性水酸基含有化合物;
o−,m−,p−H2C=CH−C64−OH、o−,
m−,p−H2C=CH−CH2−C64−OH、o−,
m−,p−H2C=CH−CH2−O−C64−OH等の
フェノール性水酸基含有化合物;H2C=CH−C
(O)−OH、H2C=C(CH3)−C(O)−OH、
2C=CH−CH2−C(O)−OH、H2C=CH−
(CH2n−C(O)−OH(nは、2〜20の整数を
表す。)、H2C=CH−(CH2n−OC(O)−
(CH2m−C(O)−OH(m及びnは、同一又は異
なって、0〜19の整数を表す。)、o−,m−,p−
2C=CH−C64−C(O)−OH、o−,m−,
p−H2C=CH−CH2−C64−C(O)−OH、o
−,m−,p−H2C=CH−CH2−O−C64−C
(O)−OH、o−,m−,p−H2C=CH−(C
2n−OC(O)−C64−C(O)−OH(nは、
0〜13の整数を表す。)等のカルボキシル基含有化合
物;等が挙げられる。
【0046】上記の化合物からプロトンを引き抜き上記
一般式(13)あるいは(14)のアニオンとするため
には各種の塩基性化合物が使用され、その具体例として
は、前述の一般式(12)のカルバニオンを調製する際
に用いられる塩基性化合物がすべて好適に使用される。
また、反応溶媒についてもカルバニオンを調製する際に
用いられるものがすべて好適に使用される。
【0047】上記合成法(B)の中では、高い比率でア
ルケニル基を導入することができることから、有機ハロ
ゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始
剤、遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル
重合法によって得られた一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを
(B−d)の方法により変換することによりアルケニル
基を導入する方法が好ましい。(B−d)の方法の中で
は一般式(14)等で表されるアルケニル基含有カルボ
キシレートアニオンを反応させる方法がより好ましい。
【0048】有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スル
ホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビ
ニル系モノマーを重合する原子移動ラジカル重合法を用
いることを特徴とするビニル系重合体の製造法におい
て、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物を開始剤と
して用いれば、片末端にアルケニル基を有し、他の末端
が上記一般式(2)の構造を有するビニル系重合体を得
ることができる。このようにして得られる重合体の停止
末端のハロゲンをアルケニル基含有置換基に変換すれ
ば、両末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を得
ることができる。その変換方法としては、既に記載した
方法を使用することができる。
【0049】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
しては特に制限はないが、例えば、下記一般式(15)
に示す構造を有するものが例示される。 R1415C(X)−R16−R9−C(R1)=CH2 (15) 式中、R1、R9およびXは上述したものと同様である。
14、R15は水素または炭素数1〜20のアルキル基、
炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラル
キル基、または他端において相互に連結したものを表
す。R16は−C(O)O−(エステル基)、−C(O)
−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基を
表す。
【0050】一般式(15)で表されるアルケニル基を
有する有機ハロゲン化物の具体例としては、 XCH2C(O)O(CH2nCH=CH2、H3CC
(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2、(H3
C)2C(X)C(O)O(CH2nCH=CH2、CH
3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH
2
【0051】
【化1】
【0052】上記の各式において、Xは塩素、臭素、ま
たはヨウ素を表す。nは0〜20の整数を表す。 XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=C
2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(C
2mCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O
(CH2nO(CH2mCH=CH2、CH3CH2
(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=
CH2
【0053】
【化2】
【0054】上記各式において、Xは塩素、臭素、また
はヨウ素を表す。nは1〜20の整数を、mは0〜20
の整数を表す。 o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=C
2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(C
2n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2
(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2 上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表
す。nは0〜20の整数を表す。 o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−O−(C
2m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)
(X)−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=
CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6
4−(CH2n−O−(CH2mCH=CH2 上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表
す。nは1〜20の整数を表し、mは0〜20の整数を
表す。 o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH
=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64
O−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH 3CH
2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=C
2 上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表
し、nは0〜20の整数を表す。 o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−
(CH2m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)
(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2 m−C
H=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−
64−O−(CH 2n−O−(CH2m−CH=CH
2 上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
表す。nは1〜20の整数を表し、mは0〜20の整数
を表す。
【0055】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
してはさらに一般式(16)で示される化合物が挙げら
れる。 H2C=C(R1)−R9−C(R14)(X)−R17−R15 (16) 式中、R1、R9、R14、R15、Xは上述したものと同様
である。R17は、直接結合、−C(O)O−(エステル
基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,
p−フェニレン基を表す。
【0056】R9は直接結合、または炭素数1〜20の
2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても
良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結
合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化
アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって
炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R17とし
てC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずし
もなく、直接結合であってもよい。R9が直接結合でな
い場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R
17としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が
好ましい。
【0057】上記一般式(16)の化合物は、具体的に
は下記の化合物を例示できる。 CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、C
2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C
(H)(X)CH3、CH2=CHC(X)(CH32
CH2=CHC(H)(X)C25、CH2=CHC
(H)(X)CH(CH32、CH2=CHC(H)
(X)C65、CH2=CHC(H)(X)CH2
65、CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、C
2=CH(CH22C(H)(X)−CO2R、CH2
=CH(CH23C(H)(X)−CO2R、CH2=C
H(CH28C(H)(X)−CO2R、CH2=CHC
2C(H)(X)−C65、CH2=CH(CH22
(H)(X)−C65、CH2=CH(CH23
(H)(X)−C65 上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表
す。Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基を表す。
【0058】アルケニル基を有するハロゲン化スルホニ
ル化合物は、具体的には下記の化合物を例示できる。 o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−C64
SO2X、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n
O−C64−SO2X 上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表
す。nは0〜20の整数を表す。
【0059】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物、
またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤として用
いると、片末端がアルケニル基、他の末端が上記一般式
(2)で示されるハロゲン末端の重合体を得ることがで
きる。この重合体の一般式(2)で表されるハロゲンを
置換できる、同一または異なった官能基を合計2個以上
有する化合物を用いて、ハロゲン末端どうしをカップリ
ングさせることによっても、末端にアルケニル基を有す
るビニル系重合体を得ることができる。
【0060】末端ハロゲンを置換できる、同一または異
なった官能基を合計2個以上有するものとしては特に制
限はないが、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン
酸、ポリチオール、およびそれらの塩、アルカリ金属硫
化物等が好ましい。これら化合物の具体例としては下記
の化合物を例示できる。エチレングリコール、1,2−
プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メ
チル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、
2,3−ブタンジオール、ピナコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12
−ドデカンジオール、1,2−シクロペンタンジオー
ル、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロ
ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジオール、グリセロール、1,
2,4−ブタントリオール、カテコール、レゾルシノー
ル、ヒドロキノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、
1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキ
シナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,
2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−イソプ
ロピリデンフェノール、3,3’−(エチレンジオキ
シ)ジフェノール、α,α’−ジヒドロキシ−p−キシ
レン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオー
ル等のポリオール;および、上記ポリオール化合物のア
ルカリ金属塩;エチレンジアミン、1,3−ジアミノプ
ロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノ
ブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,
5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プ
ロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−
ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9
−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,1
2−ジアミノドデカン、4,4’−メチレンビス(シク
ロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサ
ン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミ
ノシクロヘキサン、1,2−フェニレンジアミン、1,
3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミ
ン、α,α’−ジアミノ−p−キシレン等のポリアミ
ン;および上記ポリアミン化合物のアルカリ金属塩;シ
ュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン
酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、1,8−オクタン
ジカルボン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10
−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボ
ン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,2−シク
ロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−シクロ
ヘキサントリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、
1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸等のポリカ
ルボン酸;および上記ポリカルボン酸のアルカリ金属
塩;1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチ
オール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジ
チオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキ
サンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8
−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2
−メルカプトエチルエーテル、p−キシレン−α,α’
−ジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−
ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、等
のポリチオール;および、上記ポリチオール化合物のア
ルカリ金属塩;硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カ
リウム。
【0061】上記のポリオール、ポリアミン、ポリカル
ボン酸、ポリチオールを用いる際は、置換反応を促進さ
せるために、塩基性化合物が併用され、その具体例とし
ては、既に例示したものが挙げられる。上記合成法
(C)の水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体
を用いて、この水酸基をアルケニル基含有官能基に置換
する方法としては特に限定されないが、具体的には次に
述べる(C−a)〜(C−d)の方法などを挙げること
ができる。
【0062】(C−a)水酸基を少なくとも1個有する
ビニル系重合体の水酸基に、水酸化ナトリウム、ナトリ
ウムメトキシド等の塩基を作用させた後に、塩化アリル
のようなアルケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方
法。 (C−b)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合
体とアリルイソシアネート等のアルケニル基含有イソシ
アネート化合物とを反応させる方法。
【0063】(C−c)ピリジン等の塩基存在下、水酸
基を少なくとも1個有するビニル系重合体を(メタ)ア
クリル酸クロリド等のアルケニル基含有酸ハロゲン化物
と反応させる方法。 (C−d)酸触媒の存在下、水酸基を少なくとも1個有
するビニル系重合体とアクリル酸等のアルケニル基含有
カルボン酸とを反応させる方法。
【0064】(C)の方法で用いる水酸基を少なくとも
1個有するビニル系重合体の製造方法は以下に示す(D
−a)〜(D−f)のような方法が例示されるが、これ
らの方法に限定されるものではない。 (D−a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体
を合成する際に、下記一般式(17)等で表される一分
子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化
合物を第2のモノマーとして反応させる方法。 H2C=C(R1)−R8−R9−OH (17) 式中、R1、R8およびR9は上述したものと同様であ
る。
【0065】なお、一分子中に重合性のアルケニル基お
よび水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限は
ないが、特にゴム的な性質を期待する場合には重合反応
の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2の
モノマーとして反応させるのが好ましい。 (D−b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体
を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマ
ーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に
重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物
を反応させる方法。
【0066】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式(18)に示される化合物等が挙げられ
る。 H2C=C(R1)−R10−OH(18) 式中、R1およびR10は上述したものと同様である。上
記一般式(18)に示される化合物としては特に限定さ
れないが、入手が容易であるということから、10−ウ
ンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールの
ようなアルケニルアルコールが好ましい。 (D−c)特開平4−132706号公報などに開示さ
れるような方法で、原子移動ラジカル重合により得られ
る一般式(2)で表される炭素−ハロゲン結合を少なく
とも1個に有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分
解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、
末端に水酸基を導入する方法。 (D−d)原子移動ラジカル重合により得られる一般式
(2)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個
有するビニル系重合体に、一般式(9)に挙げられるよ
うな水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハ
ロゲンを置換する方法。 M+-(R6)(R7)−R5−OH (19) 式中、R5、R6およびR7は上述したものと同様であ
る。
【0067】(D−e)原子移動ラジカル重合により得
られる一般式(2)で表される炭素−ハロゲン結合を少
なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のよ
うな金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノ
レートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又
はケトン類を反応させる方法。 (D−f)一般式(2)で表されるハロゲンを少なくと
も1個有するビニル系重合体に、下記一般式(20)等
で表される水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式
(21)等で表される水酸基含有カルボキシレートアニ
オンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に
置換する方法。 CH2=C(R1)−R5−O-+ (20) 式中、R1、R5およびM+は上述したものと同様であ
る。 CH2=C(R1)−R5−C(O)O-+ (21) 式中、R1、R5およびM+は上述したものと同様であ
る。
【0068】本発明では(D−a)〜(D−b)のよう
な水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場
合、制御がより容易である点から(D−b)の方法がさ
らに好ましい。また(D−c)〜(D−f)のような一
般式(2)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも
1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することに
より水酸基を導入する場合は、制御がより容易である点
から(D−f)の方法がさらに好ましい。 [(B)成分のヒドロシリル基含有化合物について]
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としては特に制
限はなく、各種のものを用いることができる。すなわ
ち、一般式(22)または(23)で表される鎖状ポリ
シロキサン; R18 3SiO−[Si(R182O]a−[Si(H)
(R19)O]b−[Si(R 19)(R20)O]c−SiR
18 3 (22) HR18 2SiO−[Si(R182O]a−[Si(H)
(R19)O]b−[Si(R19)(R20)O]c−SiR
18 2H (23) 式中、R18およびR19は炭素数1〜6のアルキル基、ま
たは、フェニル基、R20は炭素数1〜10のアルキル基
またはアラルキル基を表す。aは0≦a≦100、bは
2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を表
す。一般式(24)で表される環状シロキサン;
【0069】
【化3】
【0070】式中、R21およびR22は炭素数1〜6のア
ルキル基、または、フェニル基、R23は炭素数1〜10
のアルキル基またはアラルキル基を表す。dは0≦d≦
8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を表し、
かつ3≦d+e+f≦10を満たす。等の化合物を用い
ることができる。
【0071】これらは単独で用いても2種以上を混合し
て用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でもビ
ニル系重合体との相溶性の観点から、フェニル基を有す
る下記一般式(25)、(26)で表される鎖状シロキ
サンや、一般式(27)、(28)で表される環状シロ
キサンが好ましい。 (CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[S
i(C652O]h−Si(CH33 (25) (CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[S
i(CH3){CH2C(H)(R24)C65}O]h
Si(CH33 (26) 式中、R24は水素またはメチル基を表す。gは2≦g≦
100、hは0≦h≦100の整数を表す。C65はフ
ェニル基を表す。
【0072】
【化4】
【0073】式中、R24は水素、またはメチル基を表
す。iは2≦i≦10、jは0≦j≦8、かつ3≦i+
j≦10を満たす整数を表す。C65はフェニル基を表
す。(B)成分の少なくとも1個のヒドロシリル基を有
する化合物としてはさらに、分子中に2個以上のアルケ
ニル基を有する低分子化合物に対し、一般式(22)か
ら(28)に表されるヒドロシリル基含有化合物を、反
応後にも一部のヒドロシリル基が残るようにして付加反
応させて得られる化合物を用いることもできる。分子中
に2個以上のアルケニル基を有する化合物としては、各
種のものを用いることができる。例示するならば、1,
4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘ
プタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエ
ン、1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物、O,
O’−ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリル
ビスフェノールA等のエーテル系化合物、ジアリルフタ
レート、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメリ
テート、テトラアリルピロメリテート等のエステル系化
合物、ジエチレングリコールジアリルカーボネート等の
カーボネート系化合物が挙げられる。
【0074】上記一般式(22)から(28)に示した
過剰量のヒドロシリル基含有化合物に対し、ヒドロシリ
ル化触媒の存在下、上に挙げたアルケニル基含有化合物
をゆっくり滴下することにより該化合物を得ることがで
きる。このような化合物のうち、原料の入手容易性、過
剰に用いたシロキサンの除去のしやすさ、さらには
(A)成分の重合体への相溶性を考慮して、下記のもの
が好ましい。
【0075】
【化5】
【0076】[硬化物の作成方法]重合体(A)と硬化
剤(B)は任意の割合で混合することができるが、硬化
性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比が
5〜0.2の範囲にあることが好ましく、さらに、2.
5〜0.4であることが特に好ましい。モル比が5以上
になると硬化が不十分でべとつきのある強度の小さい硬
化物しか得られず、また、0.2より小さいと、硬化後
も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、
クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が
得られない。
【0077】重合体(A)と硬化剤(B)との硬化反応
は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、
反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒が
添加される。このようなヒドロシリル化触媒としては、
有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および
遷移金属触媒が挙げられる。ラジカル開始剤としては特
に制限はなく各種のものを用いることができる。例示す
るならば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチ
ルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペ
ルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペ
ルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベン
ゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロ
イルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安
息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジ
イソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのよう
なペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
のようなペルオキシケタール等が挙げられる。
【0078】また、遷移金属触媒としては、例えば、白
金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体
に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸
とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−
オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジ
シロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の
例としては、RhCl(PPh33,RhCl3,Ru
Cl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2
・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これ
らの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用して
もかまわない。触媒量としては特に制限はないが、
(A)成分のアルケニル基1molに対し、10-1〜1
-8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10-3
〜10-6molの範囲で用いるのがよい。10-8mol
より少ないと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリ
ル化触媒は高価であるので10-1mol以上用いないの
が好ましい。
【0079】本発明の粘着剤組成物はビニル系重合体を
主成分とするものであるため、粘着付与樹脂を添加する
必要は必ずしもないが、必要に応じて、各種のものを使
用することができる。具体例を挙げるならば、フェノー
ル樹脂、変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フ
ェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、石油樹
脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエ
ステル樹脂等である。
【0080】本発明の粘着剤組成物には、物性を調製す
るために各種の添加剤、例えば、老化防止材、可塑剤、
物性調整剤、溶剤などを配合してもよい。ビニル系重合
体は本来、耐久性に優れた重合体であるので、老化防止
剤は必ずしも必要ではないが、従来公知の酸化防止剤、
紫外線吸収剤を適宜用いることができる。
【0081】可塑剤としては物性の調整、性状の調節等
の目的により、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレ
ート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベ
ンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチル
アジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族二塩基
酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、
トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキ
レングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;塩
化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフ
ェニル等の炭化水素系油等を単独、または2種以上混合
して使用することができるが、必ずしも必要とするもの
ではない。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合す
ることも可能である。
【0082】溶剤としては、例えばトルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、
酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチ
ルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。それらの溶
剤は重合体の製造時に用いてもよい。また、本発明の粘
着剤組成物には、各種支持体(プラスチックフィルム、
紙等)に対する接着性を向上させるために各種接着性改
良剤を添加してもよい。例示するならば、メチルトリメ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチル
メトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等の
アルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノ
キシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン
等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ンγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を
有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリ
シロキサン類等である。
【0083】前記粘着剤組成物はテープ、シート、ラベ
ル、箔等に広く適用することができる。例えば、合成樹
脂製または変成天然物製のフィルム、紙、あらゆる種類
の布、金属箔、金属化プラスチック箔、アスベストまた
はガラス繊維布などの基質材料に溶剤型、エマルション
型またはホットメルト型等の形で前記粘着剤組成物を塗
布し、加熱硬化させればよい。硬化条件については特に
制限はないが、一般に0℃〜200℃、好ましくは30
℃〜150℃、さらに好ましくは80℃〜150℃で硬
化させるのがよい。これにより短時間で粘着剤を得るこ
とができる。
【0084】以下に本発明を実施例に基づき説明する
が、下記実施例に限定されるものではない。
【0085】
【実施例】(合成例1)末端にハロゲンを有するポリ(アクリル酸−n−ブチ
ル)の合成 50mlフラスコに臭化第一銅0.63g(4.4mm
ol)、ペンタメチルジエチレントリアミン0.76g
(4.4mmol)、アセトニトリル5ml、2,5−
ジブロモアジピン酸ジエチル1.6g(4.4mmo
l)、アクリル酸ブチル44.7g(349mmol)
を仕込み、凍結脱気をおこなった後、窒素雰囲気下で7
0℃7時間反応させた。活性アルミナのカラムを通して
銅触媒を除去精製することにより末端にBr基を有する
重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC
測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)で10
700、分子量分布1.15であった。末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブ
チル)の合成 窒素雰囲気下、200mlフラスコに上記で得た末端に
ハロゲンを有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)35
g、ペンテン酸カリウム2.2g(16.1mmo
l)、DMAc35mLを仕込み、70℃で4時間反応
させた。反応混合液中の未反応のペンテン酸カリウムお
よび生成した臭化カリウムを水抽出精製により除去し
た。この重合体と等重量の珪酸アルミ(協和化学製:キ
ョ−ワ−ド700PEL)をトルエンに混合し、100
℃で撹拌した。4時間後、珪酸アルミを濾過し、濾液の
揮発分を減圧下加熱して留去することによって重合体を
精製し、末端にアルケニル基を有する重合体を得た。得
られた重合体の粘度は43Pa・sであり、数平均分子
量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換
算)で11300、分子量分布1.12であった。また
1H−NMR分析より求めた重合体1分子あたりのアル
ケニル基の個数は1.82個であった。 (実施例1)合成例1の重合体100重量部、平均組成
式が(CH33Si(OSi(CH3)(CH2CH(C
3)C65))1.5(OSi(CH3)H)6OSi(C
3 3であるヒドロシリル基含有化合物3.9重量部
(SiH基とアルケニル基のモル比=1.5)、白金
(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体5×1
-4当量(対アルケニル基)、ジメチルマレエート30
当量(対白金原子)、テルペンフェノール系タッキファ
イヤー(YSポリスターT115;安原ケミカル製)の
40%トルエン溶液175重量部(タッキファイヤーと
して70重量部)をよく混合し、粘着剤組成物を得た。
100℃に加熱したホットプレート上にこの組成物を1
滴落とし、スパチュラでかき混ぜ、固化するまでの時間
を測定した(スナップアップタイム)。スナップアップ
タイムは120秒であった。PETフィルム上に100
μmのコーターを用いて組成物を塗布し、すぐに100
℃のオーブンに入れ15分間加熱することにより硬化さ
せた。得られた粘着剤をSUS基材に貼り付け、所定の
サイズに切り出すことにより180度引き剥がし粘着力
試験用の試験体を作製した。100mm/分の速度で1
80度引き剥がし粘着力をおこなった結果、22N/2
5mmであった。 (実施例2)合成例1の重合体100重量部、平均組成
式が(CH33Si(OSi(CH3)(CH2CH(C
3)C65))1.5(OSi(CH3)H)6OSi(C
3 3であるヒドロシリル基含有化合物3.9重量部
(SiH基とアルケニル基のモル比=1.5)、白金
(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体5×1
-4当量(対アルケニル基)、ジメチルマレエート30
当量(対白金原子)、ロジンエステル系タッキファイヤ
ー(スーパーエステルA−100;荒川化学工業製)の
40%トルエン溶液175重量部(タッキファイヤーと
して70重量部)をよく混合し、粘着剤組成物を得た。
100℃に加熱したホットプレート上にこの組成物を1
滴落とし、スパチュラでかき混ぜ、固化するまでの時間
を測定した(スナップアップタイム)。スナップアップ
タイムは28秒であった。PETフィルム上に100μ
mのコーターを用いて組成物を塗布し、すぐに100℃
のオーブンに入れ15分間加熱することにより硬化させ
た。得られた粘着剤をSUS基材に貼り付け、所定のサ
イズに切り出すことにより180度引き剥がし粘着力試
験用の試験体を作製した。100mm/分の速度で18
0度引き剥がし粘着力をおこなった結果、15N/25
mmであった。 (参考例1)合成例1の重合体100重量部、平均組成
式が(CH33Si(OSi(CH3)(CH2CH(C
3)C65))1.5(OSi(CH3)H)6OSi(C
3 3であるヒドロシリル基含有化合物3.9重量部
(SiH基とアルケニル基のモル比=1.5)、白金
(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体10-4
当量(対アルケニル基)をよく混合し、硬化性組成物を
得た。130℃に加熱したホットプレート上にこの組成
物を1滴落とし、スパチュラでかき混ぜ、固化するまで
の時間を測定した(スナップアップタイム)。スナップ
アップタイムは26秒であった。
【0086】上記硬化性組成物を型枠に流し込み、減圧
脱泡後、100℃に加熱し、硬化物をえ得た。硬化物を
トルエンに24時間浸漬、加熱乾燥し、浸漬前後の重量
変化から求めたゲル分は90%であった。本発明の粘着
剤組成物は、主成分であるアルケニル基を有するビニル
系重合体の分子量分布が狭いので低粘度であり、ハイソ
リッド化が可能である。またアルケニル基の導入率が高
いので高ゲル分の硬化物が得られ、速硬化でもある。粘
着剤としても十分使用可能な物性を有している。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の2成分:(A)一般式(1)に示す
    アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体、 CH2=C(R1)− (1) 式中、R1は水素またはメチル基を表す。(B)ヒドロ
    シリル基含有化合物、を必須成分とする粘着剤組成物。
  2. 【請求項2】(A)成分のビニル系重合体の分子量分布
    が1.8未満である請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】(A)成分のビニル系重合体が(メタ)ア
    クリル系重合体である請求項1又は2のいずれか1項記
    載の粘着剤組成物。
  4. 【請求項4】(A)成分のビニル系重合体の製造法がリ
    ビングラジカル重合法であることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
  5. 【請求項5】(A)成分のビニル系重合体の製造法が原
    子移動ラジカル重合法であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項記載の粘着剤組成物。
  6. 【請求項6】(A)成分が一般式(1)に示すアルケニ
    ル基を分子鎖末端に少なくとも1個有するビニル系重合
    体である請求項1〜5のいずれか1項記載の粘着剤組成
    物。
  7. 【請求項7】(A)成分が以下の工程: (1)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法によ
    り重合することにより、一般式(2)で示す末端構造を
    有するビニル系重合体を製造し、 −C(R2)(R3)(X) (2) 式中、R2およびR3はビニル系モノマーのエチレン性不
    飽和基に結合した基を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ
    素を表す。 (2)前記重合体の末端ハロゲンを一般式(1)のアル
    ケニル基を有する置換基に変換する;ことにより得られ
    るビニル系重合体である請求項1〜6のいずれか1項記
    載の粘着剤組成物。
  8. 【請求項8】(A)成分が以下の工程: (1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法によ
    り重合することにより、ビニル系重合体を製造し、
    (2)続いて重合性の低いアルケニル基を少なくとも2
    個有する化合物を反応させる;ことにより得られるビニ
    ル系重合体である請求項1〜6のいずれか1項記載の粘
    着剤組成物。
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JP2010235845A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Lintec Corp 感圧接着剤組成物及び感圧接着性積層体

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WO2007083709A1 (ja) 2006-01-18 2007-07-26 Kaneka Corporation 硬化性組成物
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