JPH11156703A - ラッピングプレートおよびその製造方法 - Google Patents

ラッピングプレートおよびその製造方法

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JPH11156703A
JPH11156703A JP32585197A JP32585197A JPH11156703A JP H11156703 A JPH11156703 A JP H11156703A JP 32585197 A JP32585197 A JP 32585197A JP 32585197 A JP32585197 A JP 32585197A JP H11156703 A JPH11156703 A JP H11156703A
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JP
Japan
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temperature
pores
surface roughness
plate
lapping plate
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JP32585197A
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English (en)
Inventor
靖樹 ▲吉▼冨
Yasuki Yoshitomi
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い剛性を有し、表面粗さを小さくすること
ができ、かつ酸洗浄において表面荒れが起こりにくいラ
ッピングプレートを提供する。 【解決手段】 鏡面を形成したときに光学顕微鏡により
該鏡面において観察される気孔の密度が1mm2 あたり
1000個以下でありかつ平均結晶粒径が3μm〜10
0μmである焼結組織を有し、かつ純度が99.9%以
上であるアルミナ焼結体からなるラッピングプレート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラッピング工程に
用いられるアルミナ製ラッピングプレートおよびその製
造方法に関し、特に、シリコンウェハ、GaAsなどの
化合物半導体ウェハ等の半導体ウェハの研磨工程に使用
されるアルミナ焼結体製ラッピングプレートおよびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコンウェハ、GaAsなどの化合物
半導体ウェハ等の半導体ウェハの研磨工程に使用される
ラッピングプレートには、石英ガラスが用いられてい
た。その後、ラッピングプレートの材質として、石英ガ
ラスの代わりにアルミナが使用されるようになってき
た。
【0003】アルミナは、石英ガラスよりも剛性が高い
材料である。ウェハの大型化に伴って、より高い平坦度
が要求されるようになっきたが、剛性が高く弾性変形し
にくいアルミナは、そのような要求に答えるものであっ
た。また、ラッピング時に発生する熱により、プレート
の表面と裏面との間で温度差が生じると、プレートに反
りが発生し、ウェハの平坦度を悪化させるようになる。
熱伝導率のより高いアルミナは、この点においても、ラ
ッピングプレートの材質としてより適当なものであっ
た。
【0004】しかし、研磨すべきウェハの径がさらに大
きくなるにつれ、求められる平坦度もさらに厳しくなっ
てきた。これまで、純度99〜99.5%程度のアルミ
ナ焼結体がラッピングプレートに使用されてきたが、そ
のようなアルミナ材には、以下のような課題が残されて
きた。
【0005】まず、ラッピングプレート自体の剛性をさ
らに高くすることが望まれた。より大型のウェハをラッ
ピングする場合、より高いヤング率を有するラッピング
プレートが望まれる。鋳込成形、CIP成形などを用い
て製造された従来の製品は、370GPa程度のヤング
率を有するが、それよりもさらに高いヤング率を有する
ラッピングプレートが望まれている。
【0006】また、ラッピングプレート自体の表面粗さ
をさらに小さくできることが望まれた。ウェハの研磨加
工にはノウハウが多いが、特に、ウェハ貼りつけのノウ
ハウに応じて、ラッピングプレートの表面粗さを要求ど
おりコントロールできることが望まれる。特に、必要に
応じて、より小さな表面粗さのウェハ貼りつけ面を調製
できることが望まれている。しかし、従来製品では、た
とえば平均表面粗さRa0.1μm以下の仕様を達成す
ることは困難であった。
【0007】さらに、ラッピングプレートの使用当初、
表面粗さを小さくできたとしても、ラッピング後に行な
うフッ酸、フッ硝酸等の溶剤によるプレートの洗浄にお
いて、プレートに表面荒れが生じるという問題があっ
た。プレート洗浄に使用される溶剤によって浸食されに
くく、プレートの平坦度を洗浄後も好ましいレベルで維
持できるラッピングプレートが望まれた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した課題を解決し、以下のような特性を有するラッピン
グプレートを提供することにある。
【0009】(1) より高い剛性を有する。 (2) 表面粗さをより小さくすることができる。
【0010】(3) プレートを洗浄した後、顕著な表
面荒れが進まず、好ましいレベルの表面粗さを維持でき
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、アルミナ焼
結体からなるラッピングプレートに関し、同一純度の製
品であれば一般に密度が高いほどヤング率が高くなるこ
とを見いだした。また本発明者は、ヤング率の高い高密
度の製品を得るためには、焼結組織において、結晶粒の
周りに存在する気孔(ポア)の数を少なくすることが有
効であり、密度とポアの数には相関関係があることを見
いだした。また本発明者は、ラッピングプレートの表面
粗さは結晶粒の周りに存在するポアの影響を受け、ポア
が多ければ表面粗さをより小さくすることが困難になる
ことを見出した。さらに本発明者は、ラッピングプレー
トが洗浄によって浸食されやすいのは、ポア部および不
純物が偏析する粒界部が特に溶剤によってエッチングさ
れやすいことに起因すると考えた。そして、本発明者
は、アルミナ焼結体からなるラッピングプレートについ
て、素材の純度をより高め、ポア数を減らし、しかも粒
径を所定の範囲に制御することによって、表面粗さをよ
り低くコントロールすることができしかも洗浄によって
浸食されにくい焼結組織が得られることを見いだした。
以上の知見に基づいて完成された本発明は、以下のとお
りである。
【0012】本発明によるラッピングプレートは、気孔
の密度が1mm2 あたり1000個以下でありかつ平均
結晶粒径が3μm〜100μmである焼結組織を有し、
かつ純度が99.9%以上であるアルミナ焼結体からな
ることを特徴とする。
【0013】本発明によるアルミナ焼結体からなるラッ
ピングプレートの製造方法は、純度が99.9%以上の
アルミナ粉末をバインダとともに予備成形する工程と、
得られた予備成形体に加湿処理を施す工程と、加湿され
た予備成形体を加圧成形する工程と、得られた成形体を
焼成する工程とを備える。該焼成工程において、最高温
度を1550℃以上とし、該最高温度に達するまでの
間、1000℃〜1200℃の温度において0.5〜5
時間保持し、かつ1000℃〜1500℃の温度領域に
おいて昇温速度を5℃/時間〜30℃/時間とする。
【0014】
【発明の実施の形態】ラッピングプレートは、定盤、と
きにポリッシングプレートとも呼ばれる部材であり、主
として、材料の表面仕上げの改善、寸法誤差の調整等の
ために行なう研磨に使用される。ラッピングプレート
は、研磨装置に設置され、必要に応じて所定の平坦度と
されたラッピングプレート表面によって研磨すべき材料
を保持するため用いられる。本発明は、研磨装置に用い
られる上定盤および下定盤のいずれにも適用できる。本
発明によるラッピングプレートは、シリコンウェハ、G
aAsなどの化合物半導体ウェハ等の半導体ウェハの研
磨工程に好ましく使用できるが、その用途は、それらに
制限されるものではない。
【0015】本発明によるアルミナセラミックス製ラッ
ピングプレートは、高い剛性、表面粗さの制御と維持の
ために、特有の焼結組織および純度を有するものであ
る。上述した目的を達成するため、本発明における焼結
組織に必要な条件は、1mm2あたり1000個以下の
気孔密度および3μm〜100μmの平均結晶粒径であ
る。また本発明において、アルミナ焼結体に必要なアル
ミナ純度は99.9%以上である。以下、このような焼
結組織および純度についてさらに詳しく説明する。
【0016】アルミナ焼結体の焼結組織には、通常気孔
が残存するが、本発明では、この焼結組織における気孔
の密度を1mm2 あたり1000個以下としている。気
孔の密度が1000個/mm2 以下である焼結組織はよ
り高い密度を有し、それにより、アルミナ焼結体はより
高い剛性を有する。また、気孔の密度が1000個/m
2 以下である焼結組織は、ラッピングプレートの表面
粗さをより小さくすることを可能にする。たとえば、粒
度のより小さい砥粒を用いてラッピングプレートの表面
を研磨していけば、本発明によるラッピングプレートの
表面粗さは、より低いレベルまで到達することができ
る。さらに、気孔密度が1000個/mm 2 以下の焼結
組織においては、洗浄工程において気孔部の局部的な浸
食が抑制され、表面荒れが少なくなる。一方、気孔密度
が1000個/mm2 を超える焼結組織は、高い剛性お
よび小さな表面粗さに対する厳しい要求を十分満足する
ものではない。1000個/mm2 を超えて気孔密度が
多い焼結体をいくら粒度の小さい砥粒を用いて研磨して
も、得られる表面粗さには限界があり、より低いレベル
まで表面粗さを小さくすることは困難である。また、気
孔の密度が1000個/mm2 を超えると、気孔に起因
して表面積が大きくなり、気孔の局部的な腐食による表
面荒れを効果的に抑制することが困難になってくる。本
発明において、1000個/mm2 以下で存在する気孔
の数は、たとえば10〜500個/mm 2 とすることが
好ましく、2〜300個/mm2 とすることがより好ま
しい。
【0017】本発明において、焼結組織における気孔の
密度は、焼結体に鏡面を形成したときに光学顕微鏡によ
り該鏡面において観察される気孔の密度として定義する
ことができる。鏡面研磨された焼結材料の表面につい
て、光学顕微鏡により反射光を観測すれば、焼結組織に
おける気孔(ポア)の数を的確に把握することができ
る。光学顕微鏡による観察において、気孔の部分は黒っ
ぽい影がついた部分として観察できる。一方、気孔が実
質的に存在しない部分は、反射光により明るい部分とし
て観察される。図1に、その様子を模式的に示す。図1
(a)は、鏡面上に観察される気孔の密度が1000個
/mm2 以下である場合を示している。気孔の部分は、
図に示すように、黒い点として観察される。図1(b)
は、そのような気孔密度が1000個/mm2 を超える
場合を示している。図1(b)では、図1(a)よりも
多い黒い点が示されている。気孔の数が多い場合、とき
に図1(b)に示すように、より大きな黒い影が観察さ
れるようになる。このような光学顕微鏡による観察にお
いて、倍率はたとえば100倍〜500倍とすることが
できる。気孔の密度は、顕微鏡によって観察された黒い
影の数を、1mm2 あたりの個数に換算することによっ
て求めることができる。なお、観察すべき鏡面に金等を
蒸着した方が、気孔が実質的に存在しない部分と気孔の
部分とのコントラストがより顕著になり、光学顕微鏡に
おいて気孔の部分をより見やすくすることができる。そ
のような方法を用いる場合、金を蒸着するためのチャン
バに入る適当な大きさのサンプルをラッピングプレート
から切出して鏡面研磨を行ない、金を蒸着することが望
ましい。一方、金等を蒸着しない場合は、ラッピングプ
レート自体の所定の部分を鏡面研磨し、形成された鏡面
を光学顕微鏡によって観察することができる。
【0018】本発明者は、溶剤洗浄によるラッピングプ
レートの表面荒れは、溶剤による結晶粒界および気孔部
の局部的な腐食に起因することを見いだした。さらに研
究の結果、このような局部的な腐食が進んだ場合には、
結晶粒の脱離(脱粒)が生じ、表面荒れがより顕著にな
ることがわかった。さらに、結晶粒界の局部的な腐食
は、不純物の偏析にも起因し、気孔の局部的な腐食は、
表面積が大きいことにも起因することがわかった。以上
のような知見から、溶剤洗浄によるラッピングプレート
の表面荒れの防止には、結晶粒を大きくすることによっ
て脱粒を抑え、焼結体の純度を高め、かつ上述したよう
に気孔を少なくすることが必要であると結論づけられ
た。本発明によるラッピングプレートでは、焼結組織の
気孔密度が上述した数以下であり、しかも平均結晶粒径
が3μm〜100μmの範囲内である。溶剤洗浄におい
てラッピングプレートの面粗さが崩れてラッピング条件
が変わるような脱粒を生じさせないためには、3μm以
上の平均結晶粒径を確保する必要がある。平均結晶粒径
が3μm以上であれば、洗浄による脱粒を抑制すること
ができ、溶剤洗浄によるプレート表面粗さの崩れを効果
的に抑制することができる。一方、平均結晶粒径が10
0μmを超えると、アルミナ焼結体の曲げ強度が低下
し、構造部材として好ましくなかった。本発明におい
て、4μm〜100μmの平均結晶粒径はより好ましい
ものである。
【0019】本発明において、ラッピングプレートを構
成するアルミナ焼結体のアルミナ純度は、99.9%以
上である。このような高い純度とすることによって、上
述したような表面荒れを効果的に抑制することができ
る。純度が99.9%を下回るものは、溶剤洗浄におい
て不純物の偏析に起因する結晶粒界の局部的な腐食が相
対的に進みやすく、ラッピングプレートの表面粗さにつ
いて厳しい要求を洗浄後に満足することが困難になる恐
れがある。
【0020】本発明によるラッピングプレートは、上述
した焼結組織のために、到達できる表面粗さがより小さ
くなり、したがって必要に応じて調整できる表面粗さの
範囲がより広くなっている。本発明によるラッピングプ
レートは、ユーザの必要に応じて、従来よりも小さな表
面粗さに仕上げることができる。ユーザの必要に応じて
仕上げられるラッピングプレートの表面粗さは、任意で
あるが、たとえば、平均表面粗さRa0.1μm以下の
ラッピングプレート表面を得ることができる。
【0021】図2は、ラッピングプレートの形状の具体
例を示している。図2に示す具体例は、円板の形状を有
するものである。なお、本発明によるラッピングプレー
トは、このような具体例に特に限定されるものではな
い。
【0022】本発明によるアルミナ焼結体製ラッピング
プレートは、上述した本発明による製造方法を用いて調
製することができる。この製造方法では、高純度のアル
ミナ焼結体を得るため、純度が99.9%以上のアルミ
ナ粉末をバインダとともに予備成形する。用いるアルミ
ナ粉末の平均粒径は、たとえば0.1〜2μmとするこ
とができる。予備成形に至るまでは、通常の方法に従
い、アルミナ粉末、水または有機溶媒等の媒質、バイン
ダ、および必要に応じて分散剤等の添加物を混合し、ス
ラリを得た後、得られたスラリについてスプレードライ
法等により造粒を行ない、得られた顆粒を圧縮成形して
予備成形体を得ることができる。バインダとしては、ポ
リビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセル
ロース(CMC)等の水溶性のものを好ましく用いるこ
とができる。造粒により得られる顆粒の平均粒径は、た
とえば40〜120μmとすることができる。顆粒の圧
縮成形には、金型成形、冷間等方圧成形(CIP)等の
通常の成形方法を用いることができる。予備成形体を得
るための圧力は、たとえば0.1〜0.5t/cm2
することができる。
【0023】得られた予備成形体には、加湿処理が施さ
れる。加湿処理には、たとえば所定の温度下に予備成形
体を置き、成形体に水蒸気を浸透させる方法を用いるこ
とができる。たとえば、室温において80%以上の湿度
下で放置することにより、予備成形体に水蒸気を吸収さ
せることができる。また短時間で加湿処理を行ないたい
場合、オートクレーブ等を用いて温度を上げ、飽和に近
い蒸気圧下で加圧しながら加湿を行なってもよい。加湿
処理により、予備成形体中の水分量を0.5重量%以上
とすることが好ましく、たとえば、水分量を1.5〜
2.0重量%とすることがより好ましい。このような加
湿処理により、予備成形体中のバインダは水分を吸収し
てガラス転位温度を低下させるようになる。その結果、
成形体を構成する顆粒は塑性変形しやすくなり、後に行
なわれる加圧成形によって顆粒同士の密着性が向上す
る。このようにして密着性が向上した成形体について焼
結を行なえば、気孔数が少なく密度の高い、より均質な
焼結体を得ることができる。
【0024】次いで、加湿された予備成形体を加圧成形
する。加圧成形には、CIP等の等方圧成形を好ましく
用いることができる。成形のための圧力は、たとえば1
〜2t/cm2 とすることができる。得られた成形体
は、必要に応じて適度な乾燥を行なった後、焼成工程に
供される。焼成工程は、バインダ除去のための加熱工程
および焼結のための加熱工程を含む。焼成工程におい
て、最高到達温度は1550℃以上であり、たとえば1
550℃〜1700℃が好ましく、1550℃〜165
0℃がより好ましい。さらに、この最高温度に達するま
での間、焼結過程の収縮開始温度域である1000℃〜
1200℃において、0.5〜5時間保持し、収縮温度
域である1000℃〜1500℃の温度領域において昇
温速度を5〜30℃/時間とする。焼成最高温度を15
50℃以上とすることによって、焼結組織における結晶
粒径を大きくし、上述した脱粒が少ない組織を得ること
ができる。また、上述したような温度保持および昇温を
行なうことによって、結晶粒径をほぼ均一に大きくし
て、均質な組織を得るとともに、気孔数を均一に減らす
ことができる。
【0025】以上説明したように、予備成形体に加湿処
理を施しかつ上述したような焼成パターンを用いること
によって、気孔数が少なく、かつ洗浄における表面荒れ
が抑制されるラッピングプレート製品を得ることができ
る。上述したように、予備成形体を加湿処理することに
よって、後の加圧成形により密度の高い成形体を得るこ
とができる。しかし、加湿処理だけでは、気孔数をさら
に顕著に減らすことは困難である。焼成時に水分がなく
なり、緻密化が進行する状態においては、まだかなりの
数の気孔が結晶粒付近に残存している。この残存する気
孔を減らすことによって、より密度が高く剛性の高い製
品が得られる。まず、この残存する気孔を除去するた
め、焼結温度を上げ、焼成最高温度を1550℃以上と
する。このように焼成温度を上げることで、結晶粒を成
長させ、それに伴って気孔を徐々に製品外に排出させる
ことができる。ただし、気孔は粒成長とともに粒界を介
して外に出るため、緻密化達成時点で多くの気孔が内在
すると、この効果は薄くなる。そこで、さらに上述した
ような温度保持および昇温の過程をとる。
【0026】昇温時は、製品表面からの熱伝達におい
て、製品内部よりも製品表面の方が高温となる。この温
度差は、焼結過程における昇温勾配が急になるほど大き
くなる。製品の収縮は表面から開始し、内部よりも表面
の方が先に緻密化を完了させるようになる。その際、内
部が緻密化しておらず、気孔が残った状態で表面が完全
に緻密化してしまうと、焼成後に気孔が内部に残存する
結果になる。このような状態が顕著になると、製品の密
度が十分に向上せず、ヤング率が低下する。この状態を
改善するため、焼成工程において保持時間を追加し、焼
成温度勾配を最適化することによって、収縮開始点近傍
からそれ以降において製品内部と表面との温度差をでき
るだけなくすようにしている。すなわち、1000〜1
200℃の温度において0.5〜5時間程度保持を行な
い、1000〜1500℃の温度域における昇温速度を
5〜30℃/時間とすることによって、温度差の生成を
抑制し、製品全体において緻密化が均等に起こるように
している。このような昇温過程を設け、しかも焼成温度
を1550℃以上とすることによって、気孔の密度が1
000個/mm2 以下でありかつ平均結晶粒径が3〜1
00μmである焼結組織を得ることができる。
【0027】本発明では、3〜100μmの比較的大き
な結晶粒を有しながらかつ気孔密度を減らすことが重要
である。そのような焼結組織を得るため、上述したよう
により高い最高焼結温度および特定の昇温パターンが用
いられる。たとえば、平均粒径が比較的小さい原料粉末
を用いて、1500℃までの温度において焼結を行なう
ことにより、粒成長を抑制しながら緻密化を行ない、気
孔の少ない焼結組織を得ることができる場合がある。し
かしこのように焼結温度が1500℃以下の場合、結晶
粒の成長がそれほど進まないために、得られる焼結組織
における平均結晶粒は非常に小さくなり、たとえば1μ
m以下になる。そのような場合、上述した洗浄において
脱粒が生じやすく、表面荒れが発生しやすくなる。この
ような脱粒を抑制するためには、焼結最高温度を155
0℃以上とし、粒成長を進めて平均結晶粒径を3〜10
0μmの範囲とすることが必要である。以上示したきた
ように、焼成パターンを制御することによって、製品の
密度を向上させ、気孔数を減らしながら、粒径を所定の
範囲において大きくすることが可能になる。以下に、実
施例によって本発明をさらに説明する。
【0028】
【実施例】以下に示す工程に従って、本発明によるラッ
ピングプレートを製作した。
【0029】平均粒径0.6μmのアルミナ原料粉末1
00重量部に対して、水を60重量部、ポリカルボン酸
アンモニウム系分散剤0.3重量部、およびPVAバイ
ンダ(クラレ製PVA205、重合度500、けん化度
88mol%)2重量部を添加し、ボールミルで16時
間混合することによりスラリを得た。次に、得られたス
ラリをスプレードライヤで噴霧乾燥して、平均粒径80
μmの球状顆粒を調製した。得られた顆粒をゴム型に投
入し、静水圧0.1〜0.5t/cm2 でCIP加圧
し、予備成形体を作製した。次に、温度25℃の恒温室
内において、水を張って飽和蒸気圧(湿度100%)に
保ったデシケータ中に予備成形体を入れ、その水分含量
が1.8重量%となるよう適当な時間デシケータ中に予
備成形体を保持した。次に、水分を含有する予備成形体
を、静水圧1.0〜1.5t/cm 2 でCIP加圧した
後、温度100℃で3時間乾燥した。このようにして得
られた成形体を、旋盤で円盤形状に加工した。
【0030】得られた加工体を、ガス炉において次の温
度パターンで焼成した。
【0031】
【表1】
【0032】得られた焼結体について、研削加工によ
り、厚みおよび外径を調整した後、平均粒径2〜10μ
mのダイヤモンド砥粒でウェハ貼りつけ面およびその裏
面を研磨し、ラッピングプレートを得た。得られたラッ
ピングプレートについて、気孔数、純度、平均結晶粒
径、表面粗さおよび表面粗さの洗浄による変化、ヤング
率、ならびに密度を調べた。
【0033】比較例として、上記実施例と同様の方法に
おいて、加湿処理および昇温過程における温度保持をと
もに行なわなかったもの(比較例1)、用いた粉末の純
度が99.5%と低かったもの(比較例2)、加湿処理
を行なわなかったもの(比較例3)、加湿処理を行なう
一方昇温における温度保持を行なわなかったもの(比較
例4)、ならびに焼成最高温度を1500℃と低くした
もの(比較例5)をそれぞれ調製した。このようにして
得られたラッピングプレートについて、気孔数、純度、
平均結晶粒径、表面粗さおよび表面粗さの洗浄による変
化、ヤング率ならびに密度を調べた。
【0034】実施例および比較例について、それぞれの
結果を、製造条件とともに表2に示す。表2から明らか
なように、気孔数、純度および粒径が本発明の範囲内で
ある実施例1〜3は、得られる到達面粗さが低くしかも
フッ硝酸洗浄後においてもその表面粗さはほとんど変化
していない。また実施例1〜3は、高い密度を有し、高
いヤング率を示している。一方、平均結晶粒径が小さい
比較例1および純度の低い比較例2は、到達面粗さが小
さくなるものの、洗浄後の面粗さは顕著に悪くなってい
る。また気孔数が多い比較例3〜5は、到達面粗さが大
きく、フッ硝酸浸漬後も面粗さが顕著に変化しており、
また、実施例1〜3に比べてヤング率が低いものになっ
ている。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、高い剛性を有し、洗浄
による表面荒れが起きにくく、かつ製作時の面粗さがコ
ントロールしやすいアルミナセラミック製ラッピングプ
レートを提供することができる。本発明によれば、フッ
酸、フッ硝酸、硝酸などの洗浄剤に対して浸食されにく
く、使用において高い寸法精度を維持できるラッピング
プレートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学顕微鏡によって気孔が観察される様子を模
式的に示す図である。
【図2】ラッピングプレートの形状について具体例を示
す斜視図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気孔の密度が1mm2 あたり1000個
    以下でありかつ平均結晶粒径が3μm〜100μmであ
    る焼結組織を有し、かつ純度が99.9%以上であるア
    ルミナ焼結体からなることを特徴とする、ラッピングプ
    レート。
  2. 【請求項2】 純度が99.9%以上のアルミナ粉末を
    バインダとともに予備成形する工程と、 得られた予備成形体に加湿処理を施す工程と、 加湿された予備成形体を加圧成形する工程と、 得られた成形体を焼成する工程とを備え、 前記焼成工程において、最高温度を1550℃以上と
    し、前記最高温度に達するまでの間、1000℃〜12
    00℃の温度において0.5〜5時間保持し、かつ10
    00℃〜1500℃の温度域における昇温速度を5℃/
    時間〜30℃/時間とすることを特徴とする、アルミナ
    焼結体からなるラッピングプレートの製造方法。
JP32585197A 1997-11-27 1997-11-27 ラッピングプレートおよびその製造方法 Pending JPH11156703A (ja)

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