JPH11155894A - 超音波治療装置及びその照射条件設定方法 - Google Patents

超音波治療装置及びその照射条件設定方法

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JPH11155894A
JPH11155894A JP9326193A JP32619397A JPH11155894A JP H11155894 A JPH11155894 A JP H11155894A JP 9326193 A JP9326193 A JP 9326193A JP 32619397 A JP32619397 A JP 32619397A JP H11155894 A JPH11155894 A JP H11155894A
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ultrasonic
area
irradiation
heat generation
high heat
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JP9326193A
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Inventor
Katsuhiko Fujimoto
克彦 藤本
Yasuyuki Etsu
泰行 鉞
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 体内に集束する強力超音波により治療対象領
域内をスキャンしながら焼灼治療する超音波治療装置に
おいて、超音波エネルギー通過領域に於ける高発熱領域
での発熱を抑制した照射条件を設定する。 【解決手段】 高発熱領域検出部45は、超音波エネル
ギー通過領域に存在する高発熱領域と超音波焦点との位
置関係を検出し、遮蔽状態検出部47は、超音波エネル
ギー通過領域内のエネルギー遮蔽状態を検出する。シス
テムコントローラ41は、検出された位置関係及び遮蔽
状態に基づいて照射条件テーブル43を参照して照射条
件(投入電力・照射時間・インターバル)を決定し、こ
の照射条件に従って駆動回路15を駆動しアプリケータ
3のピエゾ素子17から強力超音波を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波を使用して生
体内の腫瘍などを治療する超音波治療装置およびその照
射条件設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、MIT(Minimally Invasive Tre
atment)とよばれる最少侵襲治療の流れが医療の各分野
で注目を集めている。
【0003】このMITの例として、結石症の治療法で
ある体外衝撃波砕石術(ESWL)が知られている。こ
の治療法は、衝撃波の持つ物理的特性を生かした非観血
的治療法であり、体外において発生された衝撃波を体内
の結石に伝播集束させて破砕し、破砕された結石を自然
排出させるものである。
【0004】この結石破砕装置に使用される衝撃波発生
源としては、水中放電方式・電磁誘導方式・微小爆発方
式・ピエゾ方式等があり、特にピエゾ方式では衝撃波
(強力超音波)の圧力が小さいという短所があるが、焦
点が小さく人体に対する影響が少ない・消耗品がなく運
用コストが低い・強力超音波圧力を任意にコントロール
できる・ピエゾ素子毎の駆動電圧を位相制御することで
焦点位置を任意にコントロールできる等、優れた長所が
ある(特開昭60−145131号公報、USP−45
26168号)。
【0005】一方、癌治療の分野でもMITは1つのキ
ーワードとなっており、特に癌の場合、その治療の多く
を外科的手術に頼っている現状から、本来その臓器が持
つ機能や外見上の形態を大きく損なう場合が極めて多
く、生命を長らえたとしても患者にとって大きな負担が
残る。このため、患者の治療後の生活の質:QOL( Q
uality Of Life)を考慮した侵襲の少ない治療法及び治
療装置の開発が強く望まれている。
【0006】このような流れの中、癌の治療技術の一つ
として以前よりハイパーサーミア療法(加温治療法)が
注目されていた。これは、癌細胞と正常細胞の熱感受性
の違いを利用して、患部を42.5〜43℃以上に加温
・維持することで癌細胞のみを選択的に死滅させる治療
法である。加温の方法としてはマイクロ波等の電磁波を
用いる方法が先行しているが、この方法では生体の電気
的特性により深部の腫瘍を選択的に加温することは困難
であり、深さ5cm以上の腫瘍に対しては良好な治療成績
は望めない。そこで、深部腫瘍の治療には集束性が良く
深達度の高い超音波エネルギーを利用する方法が考えら
れいる(特開昭61−13955号公報)。
【0007】また、上記加温治療法を更に進めて、ピエ
ゾ素子より発生した超音波を患部に鋭く集束させて腫瘍
部分を80℃以上に加熱し、腫瘍組織を瞬時に熱変性壊
死させるような治療法も考えられている(USP−51
50711)。
【0008】本治療法では、従来のハイパーサーミアと
は異なり、焦点近傍の限局した領域に非常に強い強度
(数百〜数千W/cm2 )の超音波が投入されるため、
焦点近傍の狭い領域のみが瞬時に熱変性壊死させられ
る。しかも、集束タイプの超音波を使用しているため、
焦点最大エネルギー強度に対して焦点手前側約3cmの領
域では約3桁以上も小さい平均強度となり、これによっ
て手前側超音波エネルギー通過領域組織への副作用の少
ない、安全な治療法を提供できるという利点がある。
【0009】図8は、この超音波法を行う超音波治療装
置における超音波照射シーケンスを説明する図である。
まず、治療対象の患部の大きさ及び超音波治療装置に固
有な焦点領域の大きさから、患部を含む焼灼領域全体を
焦点を移動しながら焼灼するために必要な総照射数Nが
求められる。
【0010】このとき、一つの焦点領域は、一照射で焼
灼されるものとし、一照射は、図8(a)に示すよう
に、投入電力P[W]、パルス幅である照射時間t[s
ec]、投入エネルギーはP×t[J]であり、照射間
隔(インターバル)をTとする。図8(b)は、超音波
治療装置に入力する高周波パルスのイメージを示すもの
であるが、実際の周波数は、数百kHz〜数MHzのオ
ーダである。
【0011】図8(c)は、第1の照射により焼灼され
たある焦点領域の温度の時間経過を示すものであり、照
射時間中は投入電力の大きさにほぼ比例する傾きで温度
が上昇し、その後熱容量と熱抵抗による時定数で周囲へ
熱エネルギーが放散されるものと考えることができる。
【0012】図8(d)は、超音波エネルギーが体表か
ら焦点領域へ到達するまでに通過するエネルギー通過領
域における温度の時間経過を示すものである。このエネ
ルギー通過領域は、焦点位置すなわち照射数が異なって
もほぼ同じエネルギー通過領域を通過するので、それぞ
れの照射時間中は温度上昇し、インターバルの期間は放
熱により温度が低下する。このため、照射数が増加する
に従って、先立つ照射による温度上昇分が十分放熱しな
い内に次の照射による温度上昇が起きるという蓄熱効果
により照射回数が大きくなるに従って徐々に最高温度は
高くなる傾向にある。
【0013】さて、以上のような超音波治療装置による
治療に対して、我々のこれまでの検討によれば、体表面
での超音波エネルギー吸収が他の通過領域組織に対して
極端に大きく、皮膚表面が非常に発熱しやすい事が確認
されており、この問題点を解決するための手法として、
本件出願人は特開平7−184907号公報に体表変性
を避けるための照射条件に関する手法を提案している。
更にこの特許出願の中で、肋骨等遮蔽時の焦点強度低下
の際の照射条件設定に関しても既に述べてある。
【0014】しかしながら今回新たに、超音波通過経路
中の脂肪等の組織中及び特性の異なる組織境界にて体表
と同様に超音波エネルギー吸収が大きく、発熱増加現象
が起こることを実験的に確認しており、この発熱増加現
象による組織変性を回避する必要があると考えられる。
【0015】この発熱増加現象は、音響インピーダンス
の異なる2つの媒体の境界面近傍での超音波エネルギー
の通過・反射に伴って発生するキャビテーション(気
泡)による減衰特性の上昇が主因と考えられるが、詳細
は不明である。また境界領域組織での多重反射による見
かけ上の減衰増加も考えられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来の照
射条件設定法では、体内に存在する超音波エネルギー吸
収の大きな領域である高発熱領域に於ける発熱防止対策
がなされていないために、従来の照射条件設定法で設定
された照射条件で強力超音波の照射を行うと、この高発
熱領域での発熱/変性が起きる恐れがあるという問題点
があった。
【0017】また、一旦変性がエネルギー通過領域に惹
起されると、変性した組織による超音波吸収が増加し、
その領域以降にエネルギーが透過しにくくなるため、十
分なエネルギーが患部領域に到達しなくなると言う二重
の問題点があった。
【0018】以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、体
内の組織境界面等の超音波エネルギー通過領域内の高発
熱領域における発熱を抑制しうる超音波治療装置を提供
することである。
【0019】また本発明の目的は、超音波エネルギー通
過領域内の高発熱領域における発熱/変性を抑制し、患
部領域に所要の超音波エネルギーを確実に到達させるこ
とのできる超音波治療装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、超音波発生源から発生された超音波を患部
領域に設定された焦点に集束させて患部を治療する超音
波治療装置において、体内の超音波エネルギー吸収の大
きな領域である高発熱領域と焦点との位置関係を検出す
る高発熱領域検出手段と、この高発熱領域検出手段によ
って検出された高発熱領域と焦点との位置関係に従っ
て、前記超音波発生源への投入電力、照射時間、又はイ
ンターバルのいずれかの照射条件またはこれらの任意の
組合せを設定する照射条件設定手段と、を有することを
要旨とする超音波治療装置である。
【0021】また本発明は、超音波発生源から発生され
た超音波を患部領域に設定された焦点に集束させて患部
を治療する超音波治療装置において、設定された照射条
件にて治療が適切に実行される領域と治療不適当な領域
の少なくとも一つを診断画像上に重ねて表示する機能を
有することを要旨とする超音波治療装置である。
【0022】また本発明は、超音波発生源から発生され
た超音波を患部領域に設定された焦点に集束するように
超音波治療装置において、前記超音波が通過する超音波
エネルギー通過領域に存在する超音波エネルギー吸収の
大きな領域である高発熱領域の安全性を確保するため
に、安全域と危険域との境界を診断画像上に重ねて表示
する機能を有することを要旨とする超音波治療装置であ
る。
【0023】また本発明は、超音波発生源から発生され
た超音波を患部領域に設定された焦点に集束するように
照射する超音波治療装置の照射条件設定方法において、
前記超音波が通過する超音波エネルギー通過領域に存在
する超音波エネルギー吸収の大きな領域である高発熱領
域を識別する第1の工程と、前記識別された高発熱領域
と焦点との位置関係を検出する第2の工程と、前記検出
された高発熱領域と焦点との位置関係に基づいて前記超
音波発生源への投入電力、照射時間、又はインターバル
のいずれかの照射条件またはこれらの任意の組合せを設
定する第3の工程と、を有することを要旨とする超音波
治療装置の照射条件設定方法である。
【0024】本発明によれば、超音波エネルギー通過領
域に存在する脂肪組織及び組織境界等の高発熱領域に於
ける発熱を抑制し、焦点領域に確実に超音波エネルギー
を到達させることができる。また、本発明によればその
照射条件設定状態を一目で確認できるため、従来の超音
波治療装置及び照射条件設定方法に比較して、より安全
かつ確実な超音波照射治療を実現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明に係る超音波治療装
置の実施形態を説明するシステム構成図である。この超
音波治療装置は、患部領域内に設定された焦点をある照
射間隔(インターバル)で各次々に移動させながら超音
波パルスを各焦点に短時間(照射時間)づつ照射するも
のである。
【0026】図1において、超音波治療装置1は、超音
波発生部であるアプリケータ3、アプリケータ支持機構
5、及びアプリケータ3を制御して超音波パルスを発生
させる超音波治療装置本体7、超音波診断装置9、コン
ソールパネル11、超音波診断画像及び各種の情報を表
示する表示装置としてのCRT13、超音波治療装置本
体7からの制御信号に基づいて高周波パルスを発生しア
プリケータ3に供給する駆動回路15を備えている。
【0027】アプリケータ3は、高周波パルスを強力超
音波に変換するピエゾ素子(群)17、強力超音波を患
者19に導くカップリング液21、カップリング液21
の容器であるカップリング膜23、患者体内の断層画像
を取得する超音波プローブ25、超音波プローブ25の
突出量を変えるプローブ移動機構27、超音波プローブ
25の移動量を検出するエンコーダ29を備えている。
【0028】アプリケータ支持機構5は、図示されない
床に固定されたスタンド31、スタンド31から伸延し
その先端部に設けられたアプリケータ3を自在に動かす
ことができるアーム33、システムコントローラ41か
らの制御信号を受けてスタンド31及びアーム33を制
御するスタンドコントローラ35を備えて構成されてい
る。
【0029】超音波治療装置本体7は、システム全体を
制御するシステムコントローラ41と、照射条件を予め
記憶した照射条件テーブル43と、脂肪層や体内の媒質
の境界である超音波エネルギーを吸収して発熱しやすい
高発熱領域を検出する高発熱領域検出部45と、肋骨等
の遮蔽媒体の存在及び遮蔽媒体によるアプリケータから
入射する超音波エネルギーの遮蔽率を計算する遮蔽状態
検出部47と、治療可能/不能領域描画部49と、超音
波診断装置9と共用されるディジタルスキャンコンバー
タ51とを備えている。
【0030】なお、図1において、カップリング膜23
は患者19の体表55に接するように配置され、患者1
9の体内には、患部(腫瘍)57と、超音波エネルギー
を吸収しやすく発熱が高い体内高発熱領域61とがあ
り、超音波治療装置1の焦点59は患部57に設定され
ている。
【0031】アプリケータ3に設けられたピエゾ素子1
7は、治療用強力超音波を照射する1つまたは複数(こ
の例では1つ)の素子から成る。治療時にはまず患者1
9を寝台(図示せず)に乗せて所定位置に固定する。そ
してアプリケータ3を患者19の体表55に載せ、カッ
プリング膜23を図示しない超音波ゼリー等を使用して
体表55に接触させる。そして、システムコントローラ
41からの信号によりピエゾ素子17を駆動するための
高周波パルス信号を発生する駆動回路15を起動する。
【0032】駆動回路15の発生する高周波パルス信号
は図示されないインピーダンスマッチング回路を介して
ピエゾ素子17を振動させ、強力超音波を発生する。発
生された超音波はカップリング液21及びカップリング
膜23を介して患者19体内の患部(腫瘍)57内に一
致させられた焦点59に集束され、患部57の焼灼治療
が行われる。
【0033】超音波プロープ25は微弱超音波の送受信
を行い、その体内からの反射波を再度超音波プローブ2
5にて取得し、超音波診断装置9にて再構成することで
断層像として画像化することができる。この超音波画像
上に、プローブ移動機構27によるプローブ突出量情報
等を検出するエンコーダ29からの信号を基にして算出
された焦点位置や自動的に検出もしくはコンソールパネ
ル11上で入力された体表55/体内高発熱領域61の
位置や設定焼灼領域等の情報をデジタルスキャンコンバ
ータ(DSC)51によってスーパーインポーズし、C
RT13上に表示する。
【0034】そして、この焦点59と体表55との位置
関係、焦点59と体内高発熱領域61との位置関係及び
コンソールパネル11にて術者により設定された照射条
件データに従って照射条件テーブル43より対応する照
射条件を読み出し、その条件に従って、駆動回路15の
高周波パルス発生制御(電力、照射時間、インターバル
等の制御)を行うと共に、システムコントローラ41よ
りスタンドコントローラ35を介してスタンド31の移
動制御を行い、アーム33によって接続されたアプリケ
ータ3を移動させる。これによって、集束超音波焦点の
位置も一緒に移動する。
【0035】図2は、横軸を体表からの焦点位置である
焦点深さとし、縦軸を超音波発生源であるピエゾ素子
(群)17へ投入される高周波電力と高周波パルス幅
(照射時間)との積である投入エネルギーとするグラフ
である。そして、超音波照射の際に考慮すべき各種の閾
値である焦点焼灼閾値63、体表変性閾値65、及び体
内高発熱領域変性閾値67が示されている。
【0036】焦点焼灼閾値63のグラフは、超音波照射
による焦点領域の温度上昇値が例えば45°Cであり、
通常35°Cの組織温度が80°Cとなって瞬間的に患
部が焼灼されるために必要な投入エネルギーを焦点深さ
に対して示すものである。
【0037】すなわち、この焦点焼灼閾値63以上の投
入エネルギーであれば、焦点領域を瞬間的に焼灼できる
が、この投入エネルギー未満であれば、超音波照射によ
る短時間の温度上昇では十分焼灼出来たとは言えず、患
部に生存する細胞が残る可能性があることとなる。また
焦点焼灼閾値63を大きく上回る投入エネルギーでは、
キャビテーションが発生しやすいので、実際には焦点焼
灼閾値63のエネルギーが必要最低限かつ至適照射条件
となる。
【0038】さらに、焦点焼灼閾値63のグラフは、ほ
ぼ体内における超音波の減衰率α(≒0.5[dB/M
Hz/cm])を反映するが、アプリケータが接する体
表から焦点に至るまでに肋骨等の遮蔽媒体が存在すれ
ば、その遮蔽率に応じて投入エネルギーを変化(増減)
させなければならない。
【0039】体表変性閾値65のグラフは、超音波照射
による体表組織(皮膚)の温度上昇値が例えば10°C
で変性を受けない安全な範囲の境界にあるときの焦点深
さに対する投入エネルギーを示す。すなわち、この体表
変性閾値65以上の投入エネルギーであれば温度上昇が
10°Cを上回るので体表に変性を起こす恐れがあり、
この閾値未満の投入エネルギーであれば体表の安全を図
ることができる。
【0040】体内高発熱領域変性閾値67のグラフは、
体表変性閾値65のグラフと同様な安全性の範囲を示す
グラフであり、例えば体内の脂肪層や音響特性の異なる
媒体間の境界層等の体内高発熱領域が体表からある深さ
に存在するとき、超音波照射による体内高発熱領域の温
度上昇値が例えば10°Cで変性を受けない安全な範囲
の境界にあるための焦点深さに対する投入エネルギーを
示す。すなわち、この体内高発熱領域変性閾値67以上
の投入エネルギーであれば体内温度上昇が10°Cを上
回るので高発熱領域に変性を起こす恐れがあり、この閾
値未満の投入エネルギーであれば高発熱領域は安全であ
るとすることができる。
【0041】以上説明した3本のグラフ、焦点焼灼閾値
63、体表変性閾値65、及び体内高発熱領域変性閾値
67から読みとれることは、焦点焼灼閾値63のグラフ
を焦点深さが深い方から浅い方(右から左へ)見ていっ
たとき、最初に体内高発熱領域閾値または体表変性閾値
65と交わる点までは、体内高発熱領域及び体表に変性
を起こす可能性のない治療適正領域であり、それより浅
い領域は、体内高発熱領域または体表いずれかに変性を
起こす可能性のある治療不適性領域であるということで
ある。
【0042】尚、図2において斜線で示す領域(下方の
境界が63、左方の境界が65、67である領域)は、
治療最適領域であり、この領域に患部の位置(体表から
の患部の深さ)、投入エネルギーなどの条件を設定して
超音波を照射することにより、体表や体内の境界層に対
する超音波治療の影響を最低限に抑えつつ患部を瞬間的
に十分焼灼することができる。
【0043】また体表からの焦点深さに対して焦点焼灼
閾値63のグラフが示す値が投入すべきエネルギーであ
ることである。但し、この投入エネルギーは、高周波電
力(超音波の強さ)とパルス幅との積として、任意の組
合せを実現可能なものではなく、体内高発熱領域におけ
る温度上昇が超音波強度に対して比例せず、非線形的に
発熱が増加する場合があり、後述の対策が必要となるこ
とがある。
【0044】なお、図2のグラフは、標準の照射間隔
(インターバル、例えば3秒)における体表変性閾値6
5および体内高発熱領域変性閾値67であり、インター
バルが延びると、照射から次の照射までの時間に放熱さ
れる熱量が多くなるため、体内高発熱領域変性閾値67
高くなる。
【0045】図3は、標準のインターバルからインター
バルを長くした場合の体表変性閾値65および体内高発
熱領域変性閾値67をそれぞれ追加的に示した図であ
る。同図に示すように、実線で示された標準インターバ
ルの体表変性閾値65aに対して、インターバルを長く
するに従って、破線で示す体表変性閾値65b、一点鎖
線で示す体表変性閾値65cへとグラフが上方(左方)
へシフトする。
【0046】同様に、実線で示された標準インターバル
の体内高発熱領域変性閾値67aに対して、インターバ
ルを長くするに従って、破線で示す体内高発熱領域変性
閾値67b、一点鎖線で示す体内高発熱領域変性閾値6
7cへとグラフが上方(左方)へシフトする。
【0047】さらにアプリケータ内の水を図示されない
放熱器へ循環させて冷却すると、体表をアプリケータで
冷却することが出来るため、インターバルによる体表冷
却が有効性を増し、体表変性閾値65のグラフはさらに
上へ移動し、治療可能な範囲が広がる。
【0048】焦点焼灼閾値63については、超音波を所
定時間、所定回数照射させる毎に焦点を移動させてスキ
ャンするため、焦点とならない領域に入射する超音波エ
ネルギーは小さく、インターバルの変化による閾値の変
化は考慮しないこととする。
【0049】また体内高発熱領域の体表からの深さ、又
は焦点と高発熱領域との距離によって、体内高発熱領域
変性閾値67は異なってくる。すなわち、ある深さに存
在する体内高発熱領域の体内高発熱領域変性閾値67a
〜67cは、その領域の深さ68から立ち上がる2次曲
線によって示されるので、それより深い70の位置に存
在する体内高発熱領域の体内高発熱領域変性閾値69a
〜69cは、右側に位置する。
【0050】このため、超音波治療装置本体7が備える
照射条件テーブル43としては、例えば、インターバル
が3秒(標準)、10秒、20秒毎に、且つ体内高発熱
領域の深さが体表から5mm刻みに、且つ焦点深さが5
mm刻みに、図3のグラフ、すなわち焦点焼灼閾値6
3、体表変性閾値65、及び体内高発熱領域変性閾値6
7のグラフを数表化した複数のテーブルを備えることが
望ましい。
【0051】次に示す表1は焦点焼灼閾値63のテーブ
ル例である。焦点焼灼閾値のテーブルは、例えば焦点位
置の体表からの深さ5mm毎に設けられる。
【0052】
【表1】
【0053】次に示す表2は、深さ30mmに存在する
体内高発熱領域の体内高発熱領域変性閾値67のテーブ
ル例である。体内高発熱領域変性閾値のテーブルは、例
えば体内高発熱領域の存在位置の深さ5mm毎に設けら
れる。
【0054】
【表2】
【0055】次に示す表3は、体表変性閾値65のテー
ブル例である。体表変性閾値のテーブルは、例えば焦点
位置の体表からの深さ5mm毎に、かつ照射インターバ
ルの所定の時間毎に設けられる。
【0056】
【表3】
【0057】次に図1の全体構成図、図4及び図5のフ
ローチャートを参照して、上記超音波治療装置の照射条
件設定の手順に関して詳述する。
【0058】ここで、照射条件は、アプリケータ3に設
けられたピエゾ素子(群)17に供給する高周波電力
P、1つの焦点に照射が継続する照射時間t、ある位置
に定められた焦点の照射から別の位置の焦点の照射まで
の照射間隔(インターバル)Tである。
【0059】また治療対象の患部の状況を反映するとと
もに、これによって照射条件を選択する治療対象パラメ
ータとしては、体表からの患部深さ、体表からの高発熱
領域の深さ、体表から患部までの超音波エネルギー通過
領域内に肋骨等の遮蔽媒体が存在することによる遮蔽状
態(遮蔽率:k)を採用する。
【0060】図4によれば、手順としては、まず術前診
断・治療計画立案過程において、患部(腫瘍)のサイズ
から焼灼範囲が決定され、この焼灼範囲と超音波治療装
置1固有の焦点領域のサイズから照射ポイント数Nが決
まる(ステップS10)。
【0061】次いで、患者19を超音波治療装置1に設
定し(ステップS12)、アプリケータ3を患者体表5
5に接触させ、超音波プロープ25、超音波診断装置9
にて患者19体内の患部(腫瘍)57をCRT13上に
描出する(ステップS14)。次に焦点59もしくは図
示しない設定焼灼領域が患部57に一致するようにスタ
ンドコントローラ35・スタンド31からアーム33を
介してアプリケータ3を移動制御する(ステップS1
6)。もしくは、焦点移動、患部描出後、焼灼領域が患
部全体をカバーする様に領域を設定する。
【0062】次いで、後に詳細に説明される照射条件の
設定/確認が行われ(ステップS100)、設定された
照射条件に従って照射治療が行われる(ステップS1
8)。
【0063】図5及び図6は、照射条件の設定/確認の
詳細を説明するフローチャートである。まず、超音波診
断画像に基づいて、焼灼すべき領域(患部)の体表から
の深さである焦点深さが計測され、この焦点深さに基づ
いて、標準インターバル(例えば3秒)における照射条
件テーブルを参照して、投入エネルギーを求め、この投
入エネルギーを標準照射時間(例えば、1秒)で除し
て、基準投入電力Pを算出する(ステップS102)。
【0064】次いで、超音波診断画像に基づいて遮蔽状
態を検出し(ステップS104)、検出結果が遮蔽有で
あれば、ステップS108へ移る。遮蔽が無ければ、ス
テップS108〜S112をスキップしてステップS1
14へ移る。
【0065】ステップS110では、照射された超音波
エネルギーが遮蔽媒体によって遮られる割合である遮蔽
率kを決定する。次いで、このkを用いて投入電力を1
/(1−k)倍して補正する(ステップS112)。
【0066】遮蔽状態の検出方法としては、プローブ移
動機構27により超音波プローブ25を上昇させてカッ
プリング膜23が体表55に接する範囲全体を超音波診
断可能とすると共に、超音波プローブ25の走査面を回
転させて患者19の3次元的な超音波画像を収集し、超
音波エネルギー通過領域内の肋骨等の遮蔽媒体の存在を
検出することができる。またこの画像に基づいて、肋骨
の幅及び肋間距離等を測定し、遮蔽率kを決定すること
ができる。
【0067】また、この超音波画像を表示させて、操作
者が遮蔽状態を判定し、遮蔽の有無、及び照射された超
音波エネルギーが遮蔽媒体で遮蔽される遮蔽率k等を見
積もって入力してもよい。
【0068】次いで、超音波画像から焦点位置に対する
体表55の位置及び体内の高発熱領域61の位置を検出
する(ステップS114)。
【0069】体表55の位置の検出は、プローブ移動機
構27により超音波プローブ25を体表55まで突出さ
せて、その突出量をエンコーダ29にて検出する。そし
て、システムコントローラ41上で予め判明している焦
点位置と、エンコーダ29が検出した突出量とを用い
て、体表55から焦点位置までの距離である焦点深さを
計算することで比較的容易に自動検出可能であるし、勿
論、手動での設定も可能である。
【0070】体内高発熱領域61の検出は、診断用超音
波のエコー発生位置の深さにより補正されたエコー強度
により、特に強いエコーを発する脂肪層や組織境界等の
体内高発熱領域61を検出することができる。勿論、手
動での設定も可能である。
【0071】次いで、この検出された体内高発熱領域6
1の深さに基づいて、照射条件テーブル43の該当する
深さの体内高発熱領域変性閾値を記憶した部分を参照
し、投入電力Pが体内高発熱領域変性閾値を超えるか否
かを判定するとともに、照射条件テーブル43の体表変
性閾値を記憶した部分を参照し、投入電力Pが体表変性
閾値を超えるか否かを判定する(ステップS116)。
【0072】ステップS116の判定で、体内高発熱領
域変性閾値、体表変性閾値を共に超えていなければ、こ
こまでに求められた投入電力P、照射時間、インターバ
ルをシステムコントローラ41に記憶させて(ステップ
S128)、照射条件の設定/確認を終了する。
【0073】ステップS128の判定で、体内高発熱領
域変性閾値または体表変性閾値のいずれか一方または双
方を超えていれば、標準照射時間から照射時間を延ばす
とともに投入電力低下を行って、安全に治療できる条件
を求める。このため、照射時間がある所定の限度まで延
長されているか否かを判定し(ステップS118)、限
度まで延長されていなければ、照射条件テーブルの複数
照射時間から次に長い照射時間を選択することにより照
射時間を延長し、この延長した割合に逆比例するように
投入電力Pを低下させる(ステップS120)。そし
て、この低下した投入電力を用いて、再度ステップS1
16の判定を行う。
【0074】ここで、照射時間のある所定の限度とは、
投入電力と照射時間との積である投入エネルギーが一定
であっても、照射時間が長くなると放熱により温度上昇
値が低下し、組織細胞が生存する確率が無視できなくな
り焼灼が不十分となる限度から求められる。
【0075】ステップS118の判定で、照射時間が所
定の限度まで延長されていれば、標準インターバルから
インターバルを延長し、照射から次の照射までの放熱時
間延長による体内高発熱領域変性閾値上昇によって、投
入電力が体内高発熱領域変性閾値または体表変性閾値を
超えないような条件を求める。このため、照射条件テー
ブルの複数インターバルから次に長いインターバルを選
択することによりインターバルを延長し(ステップS1
22)、照射条件テーブルの該当するインターバルの体
内高発熱領域変性閾値または体表変性閾値を記憶した部
分を参照し、投入電力Pが体内高発熱領域変性閾値また
は体表変性閾値を超えるか否かを判定する(ステップS
124)。
【0076】ステップS124の判定で、体内高発熱領
域変性閾値及び体表変性閾値の双方を超えていなけれ
ば、ここまでに求められた投入電力P、照射時間、イン
ターバルをシステムコントローラ41に記憶させて(ス
テップS128)、照射条件の設定/確認を終了する。
【0077】ステップS124の判定で、体内高発熱領
域変性閾値または体表変性閾値を超えていれば、インタ
ーバルが照射条件テーブルに記憶されているデータの限
度まで延長されているか否かを判定し(ステップS12
6)、限度まで延長されていなければ、ステップS12
4へ移る。
【0078】ステップS126の判定で、インターバル
が限度まで延長されていれば、安全な超音波治療は出来
ない、すなわち治療不能であるとして、照射条件設定/
確認を終了する。
【0079】以上のステップの実行により、半自動もし
くは自動的に照射条件を至適な値に設定して治療を行う
ことが可能で、従来技術よりも簡便に確実な焼灼治療を
実現、提供できる。また更に、焦点手前側のエネルギー
通過領域での発熱を最小限に抑制できるため、より安全
な照射を行うことが可能となる。
【0080】本実施形態では、まず照射時間及びインタ
ーバルを固定(標準値)にして、投入電力を可変とし、
投入電力のみでは補償しきれないような場合に照射時
間、インターバルを可変として投入エネルギー値を制御
する方法をとっていた。しかし、体内高発熱領域61で
の温度上昇が強度に対して非線形性を有する場合には焦
点加熱条件設定の投入電力制御だけでは強度増加に伴う
非線形温度上昇促進のために、より高発熱領域での変性
閾値が厳しい方向に向かうため、投入電力制御に焦点深
さの関数による制限(上限)を設ける方法も考えられ
る。
【0081】本実施形態では、体表55及び体内高発熱
領域61での温度上昇(熱変性)を実験値より予測して
作成した照射条件テーブルを用いて照射条件を設定した
が、体表での実際の温度上昇を熱電対その他の温度ピッ
クアップにて取得することで、実測できない体内高発熱
領域61の温度上昇をより正確に推定し、この正確な推
定値を照射条件にフィードバックする方法も考えられ
る。これにより、非線形温度上昇の影響を受けやすい組
織、例えば脂肪組織での発熱をより効果的に抑制でき、
更に安全に治療を行うことが可能となる。
【0082】または、体内高発熱領域61に直接熱電対
を刺入して、実測しながらの治療も考えられる。これら
の実測データを基に照射条件データを修正し、照射条件
にフイードバックすることで、更に正確な照射条件設定
が可能となる。これにより、実際の温度上昇データに基
づく照射条件の補正が可能となり、更に緻密な照射条件
制御が行え、さらに超音波照射治療の安全性が向上す
る。
【0083】本実施形態では、照射条件設定を照射条件
テーブルより読み出して照射制御を行う手法に関して説
明したが、各照射条件・データに基づいて各条件の関係
を数式(関数)として設定しておき、境界面等の超音波
強度/耐投入エネルギー条件をシステムコントローラ4
1上で各点毎に算出しながら照射制御を行う手法を用い
ても良い。
【0084】照射条件テーブルは、データ数、パラメー
タ数が多いため、システムメモリを圧迫するが、記憶し
た関係式を用いてその都度計算を実行することにより、
メモリ使用量を低減することができる。
【0085】次に、図7を参照して、以上説明した照射
条件設定の際の画面表示例を説明する。図7(a)は投
入電力設定が正しく行われているかどうかを視覚的にC
RT13表示するための、投入電力設定表示画面の例で
ある。体表から浅い浅部には、照射条件を変えても体表
での温度上昇が許容値を超えるため治療不能となる領域
があり、この治療不能領域77をクロスハッチングで表
示している。すなわち、この領域に存在する腫瘍は、本
超音波治療装置による照射治療が不適当であることを視
覚的に示している。
【0086】また、初期設定焦点位置(治療深さ)に従
って投入電力設定条件を帯状に表示している。焦点マー
カー75と重なった斜めハッチング領域は、現在このパ
ワー条件が設定されており(ここではP2)、確かに焦
点マーカー75位置と設定照射条件が正しく一致してい
ることを視覚的に示している。
【0087】本表示によって、治療不能領域及び現在の
パワー設定が患部位置に対して正しく設定されているか
どうかを視覚的に理解できるようになるため、確実な照
射条件設定及び確認が可能となる。このため、確実な設
定に基づく誤照射のないより安全な超音波照射治療を実
現できる。
【0088】この際、設定焼灼領域73の全部が同じ照
射領域に入っていないが、初期焦点位置決め位置を予め
腫瘍のほぼ中央部と決めておけば、その前後の深さによ
る照射条件変更制御を自動的に行うことが可能となる。
もしくは、現在の焦点マーカー位置(ここに照射条件が
設定されている)と設定焼灼領域73との位置関係が明
らかになっていれば、その深さ方向位置関係より自動的
に残りの領域の照射条件を設定することが可能となる。
【0089】本実施形態では画像上での設定条件表示法
を示したが、画像に限らず、文字表示、音声等による告
知等も可能である。
【0090】図7(b)は体内高発熱領域61の位置と
焦点75との位置関係及び投入電力(設定照射条件)に
対する安全照射境界81を表示する方法の一例を示して
いる。この例では安全照射境界81の上方(つまり超音
波強度がより低い領域)に体内高発熱領域61が表示さ
れていれば、正しく設定されているという事を視覚的に
示すことが出来る。これによって、焦点手前側のエネル
ギー通過領域に存在する高発熱領域61での発熱等によ
る副作用を抑制し、焦点領域のみを焼灼変性することが
できる安全な超音波治療を実現することが出来る。
【0091】尚、これらの画像は、全て前述の照射条件
設定データ(図2、3)を基にして作成/表示されるも
のとする。即ち、各照射条件が変更されれば、システム
コントローラの制御により表示も連動して変更される。
【0092】以上好ましい実施形態について説明した
が、これは本発明を限定するものではない。実施形態で
は、照射条件テーブルの数値を焦点位置、高発熱領域深
さ共に体表から5mm毎に記憶させたが、他の刻みとし
てもよいし、3、10、20秒以外の異なるインターバ
ルに対応するそれぞれの変性閾値を照射条件テーブル記
憶させて利用してもよい。
【0093】さらに、実施形態で説明した焦点焼灼条件
は、同一焦点位置は1回の超音波照射により焼灼するも
のとしたが、同一焦点位置に対してインターバルをとっ
て複数回の超音波照射により焼灼することもできる。
【0094】この場合、組織細胞のサバイバル曲線によ
り各照射における投入電力はさらに小さくすることがで
き、焦点焼灼閾値を満足しながら、高発熱領域変性閾値
以下の投入電力となる範囲を拡大し治療可能な範囲を拡
大することができる。このためには、同一焦点位置に2
回、3回、…と複数回照射する際の焦点焼灼閾値及び高
発熱領域変性閾値を記憶した照射条件テーブルを別途設
けて参照すればよい。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、焦
点手前側に存在する脂肪組織及び組織境界等の高発熱領
域に於ける発熱を抑制し、焦点領域に確実に超音波エネ
ルギーを到達させることができる超音波治療装置を提供
することができる。
【0096】また本発明によれば、超音波治療装置にお
ける照射条件の設定状態を超音波診断装置のモニタ上で
容易に確認できるため、従来の超音波治療装置に対し
て、より安全かつ確実な超音波治療装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波治療装置の実施形態の構成
を示すブロック図である。
【図2】照射条件設定において考慮される焦点焼灼閾
値、体表変性閾値、高発熱領域変性閾値を説明するグラ
フである。
【図3】インターバル変化による体表変性閾値の変化、
インターバル及び高発熱領域の体表からの深さによる高
発熱領域変性閾値の変化を説明するグラフである。
【図4】実施形態における超音波治療全体の流れを示す
フローチャートである。
【図5】照射条件設定/確認の詳細手順を説明するフロ
ーチャートである。
【図6】照射条件設定/確認の詳細手順を説明するフロ
ーチャートである。
【図7】照射条件設定中の超音波画面表示の一例を示す
図である。
【図8】超音波治療時に設定すべき各照射条件、投入電
力P、照射時間t、インターバルTを説明する図であ
る。
【符号の説明】
1…超音波治療装置、3…アプリケータ、5…アプリケ
ータ支持機構、7…超音波治療装置本体、9…超音波診
断装置、11…コンソールパネル、13…CRT、15
…駆動回路15、17…ピエゾ素子(群)、19…患
者、21…カップリング液、23…カップリング膜、2
5…超音波プローブ、27…プローブ移動機構、29…
エンコーダ29、31…スタンド、33…アーム33、
35…スタンドコントローラ、41…システムコントロ
ーラ、43…照射条件テーブル、45…高発熱領域検出
部、47…遮蔽状態検出部、49…治療可能/不能領域
描画部、51…ディジタルスキャンコンバータ(DS
C)。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波発生源から発生された超音波を患
    部領域に設定された焦点に集束するように照射する超音
    波治療装置において、 前記超音波が通過する超音波エネルギー通過領域に存在
    する超音波エネルギー吸収の大きな領域である高発熱領
    域と焦点との位置関係を検出する高発熱領域検出手段
    と、 この高発熱領域検出手段によって検出された高発熱領域
    と焦点との位置関係に従って、前記超音波発生源への投
    入電力、照射時間、又はインターバルのいずれかの照射
    条件またはこれらの任意の組合せを設定する照射条件設
    定手段と、 を有することを特徴とする超音波治療装置。
  2. 【請求項2】 前記超音波のエネルギー通過領域内の遮
    蔽媒体の存在状態を示すエネルギー遮蔽状態を検出する
    遮蔽状態検出手段を更に備えて成り、 この遮蔽状態検出手段により検出されたエネルギー遮蔽
    状態及び前記高発熱領域検出手段によって検出された高
    発熱領域と焦点との位置関係に従って、前記照射条件設
    定手段が前記超音波発生源への投入電力、照射時間、又
    はインターバルのいずれかの照射条件またはこれらの任
    意の組合せを設定することを特徴とする請求項1記載の
    超音波治療装置。
  3. 【請求項3】 超音波発生源から発生された超音波を患
    部領域に設定された焦点に集束するように照射する超音
    波治療装置において、 前記超音波が通過する超音波エネルギー通過領域に存在
    する超音波エネルギー吸収の大きな領域である高発熱領
    域と焦点との位置関係及び又は前記超音波のエネルギー
    通過領域内の遮蔽媒体の存在状態を示すエネルギー遮蔽
    状態を入力する入力手段と、 この入力手段によって入力された高発熱領域と焦点との
    位置関係及び又は遮蔽状態に従って、前記超音波発生源
    への投入電力、照射時間、又はインターバルのいずれか
    の照射条件またはこれらの任意の組合せを設定する照射
    条件設定手段と、 を有することを特徴とする超音波治療装置。
  4. 【請求項4】 前記照射条件決定手段は、前記焦点を患
    部領域内でスキャンする際の照射ポイント数による照射
    領域及びエネルギー通過領域での蓄熱効果及びインター
    バルによる放熱効果に基づいて、前記照射条件を変更す
    る機能を有することを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれか1項記載の超音波治療装置。
  5. 【請求項5】 前記照射条件設定手段は、前記スキャン
    の際の焦点深さ方向移動に連動して、照射条件を変更す
    る機能をさらに有することを特徴とする請求項4記載の
    超音波治療装置。
  6. 【請求項6】 前記照射条件設定手段は、前記高発熱領
    域と焦点との位置関係・遮蔽状態・総照射発数の各設定
    条件に対応する照射条件データを記憶した照射条件テー
    ブルを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5
    のいずれか1項記載の超音波治療装置。
  7. 【請求項7】 超音波発生源から発生された超音波を患
    部領域に設定された焦点に集束するように照射する超音
    波治療装置において、設定された照射条件にて焼灼適正
    領域と焼灼不適正領域の少なくとも一つを診断画像上に
    重ねて表示する機能を有することを特徴とする超音波治
    療装置。
  8. 【請求項8】 超音波発生源から発生された超音波を患
    部領域に設定された焦点に集束するように照射する超音
    波治療装置において、 前記超音波が通過する超音波エネルギー通過領域に存在
    する超音波エネルギー吸収の大きな領域である高発熱領
    域の安全性、又は安全域と危険域との境界を示す情報を
    表示する機能を有することを特徴とする超音波治療装
    置。
  9. 【請求項9】 前記超音波が通過する超音波エネルギー
    通過領域に存在する超音波エネルギー吸収の大きな領域
    である高発熱領域の安全性、又は安全域と危険域との境
    界を示す情報は、超音波診断画像上の対応する位置に重
    ねて表示されることを特徴とする請求項8記載の超音波
    治療装置。
  10. 【請求項10】 超音波発生源から発生された超音波を
    患部領域に設定された焦点に集束するように照射する超
    音波治療装置の照射条件設定方法において、 前記超音波が通過する超音波エネルギー通過領域に存在
    する超音波エネルギー吸収の大きな領域である高発熱領
    域を識別する第1の工程と、 前記識別された高発熱領域と焦点との位置関係を検出す
    る第2の工程と、 前記検出された高発熱領域と焦点との位置関係に基づい
    て前記超音波発生源への投入電力、照射時間、又はイン
    ターバルのいずれかの照射条件またはこれらの任意の組
    合せを設定する第3の工程と、 を有することを特徴とする超音波治療装置の照射条件設
    定方法。
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