JP4286743B2 - 集束超音波照射システム - Google Patents

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Description

本発明は、超音波を使用し生体内の腫瘍などを治療する集束超音波照射システムに関する。
従来、癌治療法として外科的切除術は盛んに用いられてきたが、患者に対し肉体的及び精神的負担を強いる場合があった。一方、外科的切除術が非適応である症例に対しては、抗がん剤投与による薬物療法が利用されているが、その副作用を発生する場合があった。そこで、患者への肉体的及び精神的負担の少ない、最小侵襲治療(Minimary invasive treatment: MIT)と呼ばれる治療法が一つのキーワードとなっている。例えば、癌領域に穿刺した穿刺針からエタノールを注入し癌組織を壊死に導く経皮的エタノール注入療法や、穿刺針からマイクロ波やラジオ波を照射して、加熱を行いたんばく質の熱変性を惹起させ、癌細胞を殺傷する穿刺療法が開発されている。しかしながら、上記にあげた経皮的エタノール注入療法や穿刺療法では、癌細胞に穿刺針を刺すという意味で、侵襲的であり、癌細胞の播種の恐れがあるとの問題点も指摘されている。
他方、生体外から生体内のターゲット領域に向けて電磁波等を照射し、癌細胞を加熱しアポトーシスを誘導させて壊死に導くハイパーサーミア療法が開発された。これは、腫瘍組織と正常組織の熱感受性の違いを利用して、患部を42.5℃以上に加温・維持することで癌細胞を選択的に死滅させる治療法である。特に、生体内深部の腫瘍に対しては、深達度の高い超音波エネルギを利用する方法が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。また、上記加温治療法を更に進めて、凹面形状のピエゾ素子により発生した超音波を患部に集束させて短時間で加熱し熱変性壊死させる治療法も考えられている(例えば、特許文献2参照。)。また、上記治療法では、超音波のエネルギを集束させることにより、幅1〜3mm程度の限局した領域のみを60℃以上に加温し、数秒以内で熱変性壊死に導くことが可能である。この技術は、主に、肝腫瘍、乳腺腫瘍、子宮筋腫等の腫瘍、脳腫瘍及び泌尿器科系の腫瘍への適応が検討されている。
さらに、最近では、固定焦点位置である使い難さを解消するため、複数個の超音波発生素子、及び位相制御可能な駆動源を用いることにより、電子制御(フェーズドアレイ)により超音波焦点を形成した位置を変更する技術や、焦点サイズを拡大しかつ焦点ピーク圧力を低下させることにより適切な焦点性状を得る技術が考えられている(例えば、特許文献3参照。)。また、いずれの方式による超音波照射でも、照射対象を、X線CT装置、MRI装置や超音波診断装置等のイメージング装置を用いて照射対象を診断画像上に表示させ、超音波焦点を示すマーカー等を照射対象上に重ね合わせて表示することによりターゲッティングを行い、正確に照準をあわせてから超音波を照射するという過程を経る(例えば、特許文献4または特許文献5参照。)。つまり、上述のような集束超音波照射システムは、ターゲット領域内の照射ポイントに、順次超音波焦点位置を一致させ集束超音波を照射するものであり、これにより、照射効果の確実性を向上させるとともに安全性を確保している。
一方、近年、癌領域を正確、かつ明瞭に画像化するために、診断に用いる生体内画像再構成装置の高度化が進んできている。例えば、超音波診断装置では、反射超音波信号強度に基づいて断層像を構成するBモード像が従来の主流であったが、最近では造影超音波により癌領域をより鮮明に描出できるようになった。同様に、X線CT装置や核磁気共鳴診断装置(MRI)においても、造影剤の効果を画像化することで、より鮮明な癌の診断が可能になってきている。
特開昭61−13955号公報 米国特許第5150711号明細書 特開平6−78930号公報 特許第891949号公報 特許第3325300号公報
ところが、上述の集束超音波照射システムでは、未照射領域と照射済領域とを区別することが困難であったため、例えば、照射の途中で患者が動いたりした場合、或いは、未照射領域に対して追加照射を行う場合に、未照射領域に対してのみ照射を行う方法がなかった。このため、ターゲット領域内を過不足なく照射することが著しく困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、造影剤等の効果を画像化する生体内画像再構成装置を用いて、ターゲット領域内の照射対象に対し、過不足なく照射することが可能な集束超音波照射システムを提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、表示手段に表示された生体内画像を参照して、前記生体内画像中に治療すべきターゲット領域を指定することにより指定された部位に焦点を合わせて集束超音波の照射を行う照射手段を備える集束超音波照射システムであって、造影剤による造影効果もしくは薬剤による薬剤集積効果の表れる部位を染影部として前記生体内画像上に表示する生体内画像再構成装置と、前記染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、請求項1に記載の集束超音波照射システムであって、前記生体内画像再構成装置は、前記造影効果もしくは前記薬剤集積効果の表れる部位を前記造影効果もしくは前記薬剤集積効果のレベルに応じた輝度で前記染影部として前記生体内画像上に表示し、前記制御手段は、前記輝度に基づいて前記染影部を検出し、前記検出した染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御することを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、表示手段に表示された生体内画像を参照して、前記生体内画像中に治療すべきターゲット領域を指定することにより指定された部位に対し焦点を合わせて集束超音波の照射を行う照射手段を備える集束超音波照射システムであって、前記指定された部位に対する前記照射手段による集束超音波の照射を少なくとも一度試みた後に、造影剤による造影効果もしくは薬剤による薬剤集積効果の表れる前記集束超音波の未照射部位を染影部として前記生体内画像上に表示するための生体内画像再構成装置と、前記未照射部位の染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、請求項3に記載の集束超音波照射システムであって、前記生体内画像再構成装置は、前記造影効果もしくは前記薬剤集積効果の表れる前記集束超音波の未照射部位を前記造影効果もしくは前記薬剤集積効果のレベルに応じた輝度で前記染影部として前記生体内画像上に表示し、前記制御手段は、前記輝度に基づいて前記未照射部位の染影部を検出し、前記検出した未照射部位の染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御することを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、表示手段に表示された生体内画像を参照して、前記生体内画像中に治療すべきターゲット領域を指定することにより指定された部位に焦点を合わせて集束超音波の照射を行う照射手段を備える集束超音波照射システムであって、生体内に向けて診断用超音波を照射し、前記診断用超音波の反射波が高調波となる部分を造影剤による造影効果の表れる部位に対応する染影部として前記生体内画像上に表示する超音波診断装置と、前記染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、請求項5に記載の集束超音波照射システムであって、前記超音波診断装置は、前記造影効果の表れる部位を前記高調波の強度に応じた輝度で前記染影部として前記生体内画像上に表示し、前記制御手段は、前記輝度に基づいて前記染影部を検出し、前記検出した染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御することを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、表示手段に表示された生体内画像を参照して、前記生体内画像中に治療すべきターゲット領域を指定することにより指定された部位に焦点を合わせて集束超音波の照射を行う照射手段を備える集束超音波照射システムであって、前記指定された部位に対する前記照射手段による集束超音波の照射を少なくとも一度試みた後に、生体内に向けて診断用超音波を照射し、前記診断用超音波の反射波が高調波となる部分を造影剤による造影効果の表れる前記集束超音波の未照射部位に対応する染影部として前記生体内画像上に表示する超音波診断装置と、前記未照射部位の染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
また、請求項記載の発明は、請求項7に記載の集束超音波照射システムであって、前記超音波診断装置は、前記造影効果の表れる前記集束超音波の未照射部位を前記高調波の強度に応じた輝度で前記染影部として前記生体内画像上に表示し、前記制御手段は、前記輝度に基づいて前記未照射部位の染影部を検出し、前記検出した未照射部位の染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御することを特徴としている。
請求項1に記載の集束超音波照射システムによれば、染影部とターゲット領域の重複部分に対し集束超音波を照射することにより、ターゲット領域の造影効果もしくは薬剤集積効果の表れる部位に対し過不足なく集束超音波を照射することができる。
請求項2に記載の集束超音波照射システムによれば、生体内画像の輝度情報に基づいて染影部とターゲット領域の重複部分に対し集束超音波を照射することにより、ターゲット領域の造影効果もしくは薬剤集積効果の表れる部位に対し過不足なく集束超音波を照射することができる。
請求項3に記載の集束超音波照射システムによれば、集束超音波の未照射部位の染影部とターゲット領域の重複部分に対し集束超音波を照射することにより、ターゲット領域の造影効果もしくは薬剤集積効果の表れる集束超音波の未照射部位に対し過不足なく集束超音波を照射することができる。
請求項4に記載の集束超音波照射システムによれば、生体内画像の輝度情報に基づいて集束超音波の未照射部位の染影部とターゲット領域の重複部分に対し集束超音波を照射することにより、ターゲット領域の造影効果もしくは薬剤集積効果の表れる集束超音波の未照射部位に対し過不足なく集束超音波を照射することができる。
請求項5に記載の集束超音波照射システムによれば、超音波診断装置において反射波が高調波となる染影部とターゲット領域の重複部分に対し集束超音波を照射することにより、ターゲット領域の造影効果の表れる部位に対し過不足なく集束超音波を照射することができる。
請求項6に記載の集束超音波照射システムによれば、生体内画像の輝度情報に基づいて超音波診断装置において反射波が高調波となる染影部とターゲット領域の重複部分に対し集束超音波を照射することにより、ターゲット領域の造影効果の表れる部位に対し過不足なく集束超音波を照射することができる。
請求項7に記載の集束超音波照射システムによれば、超音波診断装置において反射波が高調波となる集束超音波の未照射部位の染影部とターゲット領域の重複部分に対し集束超音波を照射することにより、ターゲット領域の造影効果の表れる集束超音波の未照射部位に対し過不足なく集束超音波を照射することができる。
請求項8に記載の集束超音波照射システムによれば、生体内画像の輝度情報に基づいて超音波診断装置において反射波が高調波となる集束超音波の未照射部位の染影部とターゲット領域の重複部分に対し集束超音波を照射することにより、ターゲット領域の造影効果の表れる集束超音波の未照射部位に対し過不足なく集束超音波を照射することができる。
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。本発明は、生体内画像再構成装置を含む集束超音波を照射する集束超音波照射システムに好適に適用されるものである。
(構成)
本発明に係る一実施の形態について説明をする。図1は、本発明に係る一実施の形態としての集束超音波照射システムの電気的構成を示すブロック図である。
図1に示す集束超音波照射システムは、超音波アプリケータ1と、この超音波アプリケータ1を駆動する装置本体2と、入力手段としての操作パネル3と、生体内画像を再構成する生体内画像再構成装置4とを具備する。
生体内画像再構成装置4は、生体内画像または造影剤を用いた造影効果もしくは薬剤を用いた薬剤集積効果の表れる部位を染影部として表示する生体内画像を再構成する。そのために、生体の組織、及び、造影剤または薬剤による造影後の染影部を検出する検出手段としての機能と、前記検出結果に基づいて生体内画像または染影部を描出した生体内画像を再構成する画像再構成手段としての機能とを有する。具体的には、超音波診断装置、X線CT装置、核磁気共鳴診断装置(いわゆるMRI)、もしくは、核医学診断装置などを用いることが可能である。また、染影部の検出は、造影剤または薬剤が血液とともに移動して集まる様子などを検出することにより行う。例えば、造影剤の検出は、超音波診断装置では造影超音波法、X線CT装置では造影CT法、核磁気共鳴診断装置では造影MRI法による。核医学診断装置では例えばPET(ポジトロン断層影像法)により薬剤を検出する。
超音波アプリケータ1は、複数個の振動子からなる超音波発生素子(ピエゾ素子)群11を含み、生体に対する集束超音波の照射を担う。図2に超音波アプリケータ1の一例を示すが、超音波アプリケータ1は、周方向に分割された複数個の振動子をアニュラーリング状に2次元配列した超音波発生素子(ピエゾ素子)群11、超音波発生素子群11による超音波を生体Sまで導くためのカップリング材13、カップリング材13を保持し生体Sとの直接の接触媒体となる膜14、及び、装置本体と電気的に接続するためのケーブル類12から構成されている。図2は、生体内画像再構成装置4が超音波診断装置の場合を例として示しているので、診断用超音波プローブ(以下、単に「プローブ」という。)41を備えており、プローブ41は、超音波発生素子群11の中心孔に挿入配置され、複数の超音波振動子(図示しない)を備え、患者等の生体に診断用超音波を照射し反射された反射波をエコー信号として受信するものである。したがって、プローブ41は、生体内画像再構成装置4が、X線CT装置、核磁気共鳴診断装置、もしくは、核医学診断装置の場合には無くてもよい。
ここで、カップリング材13は、超音波発生素子群11から発生する超音波を生体Sに、ここでは焦点Fへ効率良く伝播するような媒質が選択される。加えて、カップリング材13は、超音波発生素子群11で発生した熱を遮断し、生体Sへ伝えないようにするための断熱効果も併せ持っている。そこで、超音波発生素子群11で発生した熱を逃がす冷却手段15を、超音波発生素子群11の超音波放射面と反対側、即ち超音波カップリング材13に対して反対側の面に付加してある。
また、超音波アプリケータ1は、例えば、メカニカルアーム等(図示せず)に取り付けられていて、アプリケータ位置検出手段23により、その位置が検出されるようになっている。ただし、上記生体内画像再構成装置4が、超音波診断装置で、図2に示すような超音波アプリケータ1の場合には、特にメカニカルアームへの取り付けや位置検出がされない構成としてもよい。
操作パネル3は、装置本体2に接続されかつ操作者からの指示情報を装置本体2に出力するためのもので、ターゲット領域の設定などを行うためにマウス3aやトラックボール3bなどが接続あるいは設置されている。
装置本体2は、駆動部22、アプリケータ位置検出手段23、モニタ手段27及び制御部21を含んで構成される。
モニタ手段27は、生体内画像再構成装置4で再構成された画像、及び、後述するターゲット領域等の表示を行う。
アプリケータ位置検出手段23は、例えば図示しないメカニカルアーム等の各所に取り付けられたポテンショメータ等で構成される。
駆動部22は、超音波アプリケータ1の超音波発生素子群11を駆動するためのもので、インピーダンス整合回路群24、駆動手段群25及び位相制御手段群26で構成される。これらは、超音波振動子の個数のチャンネルに分けられ各チャンネル毎に各超音波発生素子を動作させるようになされていて、制御部21により、照射計画に基づいて集束超音波を照射するように制御される。いわゆる、公知のフェーズドアレイ技術を用いて、各超音波発生素子の発生する超音波の位相を調整することにより焦点位置を制御するようになされている。本発明の「照射手段」は、超音波発生素子群11及び駆動部22で構成される。
つまり、超音波発生素子群11が照射計画に基づいて集束超音波を照射するように、インピーダンス整合回路群24を介して駆動手段群25からの電気エネルギを供給するように、駆動手段群25は信号波形を増幅する役割を有するが、駆動手段群25に入力される信号波形は、各チャンネル毎に初期位相が調整されていて、それにより照射計画に基づく位置に焦点Fが形成されるようになっている。この初期位相の調整は、制御部21のコントロールにより位相制御手段群26によって行われる。図1では、位相制御手段群26の出力は、駆動手段群25、すなわち超音波発生素子群11の個数と同一である。一方、位相制御手段群26の入力は一系統となっている。この入力には、制御部21で発生させた駆動信号波形が入力される。位相制御手段群26においても、制御部21により、出力周波数や波形が制御されている。
制御部21は、操作パネル3からの入力を受け付けるとともに、集束超音波照射システムの各部の制御を行う。また、生体内画像再構成装置4で再構成された画像のモニタ手段27への表示を制御する表示制御手段としての機能を有する。また、その表示制御手段は、マウス3aやトラックボール3bによるターゲット領域の位置,大きさ,形状などの情報の入力を受けて、ターゲット領域を重畳させてモニタ手段27に表示させる機能を備え、これによりモニタ手段27には生体内画像にターゲット領域を重畳表示でき、その位置、大きさなどをマウス3aやトラックボール3bを使って任意に変更できる。
また、制御部21は、操作パネル3からの照射計画作成指令を受けて、ターゲット領域情報と生体内画像再構成装置4からの染影部を表示した生体内画像の情報とから照射計画を作成する照射計画作成手段としての機能を有する(詳細後述)。さらに、作成された照射計画に基づいて集束超音波を照射するように、アプリケータ位置検出手段23からの位置情報と生体内画像再構成装置4の検出手段に対するメカニカルアームの取り付け位置情報とから(生体内画像再構成装置4が超音波診断装置で、図2に示すような超音波アプリケータ1の場合には、超音波プローブ41と超音波発生素子群11の相対位置関係から)、焦点位置を計算し、その焦点位置に合わせて照射するように駆動部22を制御する照射駆動制御手段(制御手段)としての機能を有する。
そして、制御部21は、上述の機能を実現するために、CPU(図示せず)と、各種のプログラム及びそのプログラムを実行するときに必要な各種データを記憶すると共に、各種のプログラムを実行するときのワークエリアを構成するシステムメモリ(図示せず)と、を含んで構成される。
(手順)
次いで、本実施の形態の集束超音波照射システムで行われる生体Sへの集束超音波の照射の手順について説明する。図3は、集束超音波照射の手順を示すフローチャートである。
まず、操作者は、生体Sへ造影剤または薬剤を注入し(図3ステップS101、以下単に「S101」と略して記す。以降、他のステップも同様に略して記す。)、生体内画像再構成装置4は、造影剤または薬剤による造影後の染影部を検出し(S102)、染影部を表示する生体内画像を再構成する(S103)。ここで、染影部の検出は、造影剤や薬剤が血管や毛細血管等に入り込んで、血液とともに移動して集まる様子などを検出することにより行う。例えば、癌には、血管が豊富にあることが筆者らをはじめ、様々な検討により明らかになってきているが、その血管が造影剤や薬剤により造影されるので癌を染影部として検出できるのである。
次に、制御部21が染影部が表示された生体内画像をモニタ手段27に表示させると(S104)、操作者は、染影部が表示された生体内画像を見て、照射を行うべき領域であるターゲット領域を入力する(S105)。ここで、染影部は、生体内画像再構成装置4によるが、生体の組織とは異なる輝度で(超音波診断装置などでは白く、PETなどでは黒く)表示されるため、照射が必要な領域(例えば癌を示す領域)が操作者にわかりやすいようになっている。したがって、操作者は、まず、ターゲット領域設定の旨の入力を操作パネル3から行い、輝度値言い換えれば表示の明るさに基づいて、マウス3a等の入力により表示されている超音波断層像上に描く。つまり、制御部21は、マウス3a等による入力を受けて、モニタ手段27に、ターゲット領域として、生体内画像上に重畳表示する。また、予め輝度値の閾値を定めておき、染影部が白く表示される場合にはその閾値以上、または、染影部が黒く表示される場合にはその閾値以下の輝度値の部分を染影部として表示すれば、さらに照射が必要な領域が明確になり操作者が判断しやすい。
そして、集束超音波の照射が必要な領域に確実に照射がなされるように、照射計画を作成する(S106)。
例えば、操作者が、照射計画作成の旨の指示を操作パネル3から入力すると、制御部21は、照射計画作成指令を受けて、ターゲット領域情報と染影部を表示する生体内画像情報を取り込んで、生体内画像情報から染影部を検出して、検出した染影部がターゲット領域内にあるか否かを判定し、ターゲット領域内にある場合に、その染影部を集束超音波照射の対象領域とする。そして、対象領域の全域に集束超音波が照射されるように、対象領域を格子状に複数個に分割し、分割された個々の対象領域を所定のエネルギ所定の順序で照射するように照射計画を作成する。図4には、生体内画像再構成装置4が超音波診断装置の場合の生体内画像を示し、ターゲットと、染影部(染影部は斜線部で表示。図5、6についても同様に表示する。)と、対象領域を格子状に分割した様子を示した。
ここで、生体内画像情報からの染影部の検出は、上述したように染影部は、生体の組織とは異なる輝度で(超音波診断装置などでは白く、PETなどでは黒く)表示されるため生体内画像情報の示す輝度情報に基づいて検出する。この輝度情報による検出は、予め輝度値の閾値を定めておき、染影部が白く表示される場合にはその閾値以上、または、染影部が黒く表示される場合にはその閾値以下の輝度値の部分を染影部として検出すればよい。
また、生体内画像再構成装置4として超音波診断装置を用い、超音波診断装置で染影部をいわゆる「ハーモニックイメージング」により検出する場合について述べる。この場合、図2に示したプローブ41から診断用超音波を照射し、検出手段としてのプローブ41でその反射波を検出し、その反射波が造影剤の微小気泡から発生する高調波成分の場合に染影部とし、超音波診断装置内の画像再構成手段により生体画像上にその染影部を表示する画像を再構成する。したがって、制御部21における生体内画像情報からの染影部の検出を、生体内画像情報と周波数情報を関連付けておき、周波数情報から検出するようにしてもよい。もちろん、超音波診断装置内において検出した高調波の強度に応じた輝度で生体内画像を再構成して、上述のように制御部21で染影部を生体内画像情報の示す輝度情報に基づいて検出してもよい。
また、対象領域を分割するのは、通常、対象領域は、焦点Fのサイズに比べて大きいため、分割して照射する必要があるからである。また、この分割は、画面では2次元的に表示されるが、実際には3次元的になされていて、例えば、表示されている生体内画像の前後のターゲット領域情報とフレーム像データを取り込み3次元的に分割する、または、表示されている生体内画像を中心面とする球体状に3次元的に分割するといった方法で行えばよい。また、所定の順序は、端から順次焦点Fの位置をスキャンしていく方法や、超音波発生素子群2から遠方の領域より順次スキャンしていく方法、焦点Fのスキャン軌跡が一筆書きのように連続するように設定する方法等でよい。
また、図6に示すように対象領域が焦点Fのサイズに比べて小さい場合には、操作パネル3やマウス3a等を用いて、生体内画像に焦点Fを重畳して表示させるようにし、焦点Fの位置を対象領域に合わせることで、そこに照射するように照射計画として作成してもよい。この場合にも、対象領域が染影部として表示されているので、焦点Fの位置を容易に合わせることも可能である。
また、近傍に大きな血管がある場合は、血流が染影部として描出される。この場合には、図2に示す超音波アプリケータ1を用い、非染影時の超音波のドップラー情報をともに表示し、ドップラー情報により検出された血管領域については照射計画に含めないようにするようにすることもできる。
また、ターゲット領域、染影部、焦点Fを示す像をそれぞれを異なる表示色または輝度で判別可能に表示すれば、操作者にわかり易く表示することができる。
そして、集束超音波の照射を作成した照射計画に基づいて行う(S107)。例えば、操作者が、照射実行の旨の指示を操作パネル3から入力すると、制御部21は、作成された照射計画に基づいて集束超音波を照射するように、アプリケータ位置検出手段23からの位置情報と生体内画像再構成装置4に対するメカニカルアーム等の取り付け位置情報とから(生体内画像再構成装置4が超音波診断装置で、図2に示すような超音波アプリケータ1の場合には、超音波プローブ41と超音波発生素子群11の相対位置関係から)、焦点位置を計算し、その焦点位置に合わせて照射するように、インピーダンス整合回路群24、駆動手段群25及び位相制御手段群26を制御し、作成した照射計画に基づいて、格子状に分割された各領域に対し、所定の順序で、各領域に集束超音波の焦点Fを合わせて、所定のエネルギで照射を行う。
したがって、上述の実施の形態によれば、照射対象に対し、過不足なく効率的に照射することができる。
さらに、集束超音波照射を行っている際に、患者が動いてしまったり、照射対象領域近傍の臓器の動き等により、照射対象領域が最初に設定した位置から動いてしまった場合について説明する。本発明は、このような場合にも以下に示すように好適に作用する。つまり、打ち残しの領域(超音波照射がされなかった領域)に対して的確に焦点位置を合せることにより、最終的に打ち残しの発生を抑止することが可能である。
例えば、操作者は、患者が動いたと気づいた場合、もしくは、モニタ画面上から患者の動きを検知した場合など、超音波照射を一時的に中断する。この患者の動きについては、カメラを使用して検出したり、歪みゲージ等のセンサを用いて自動的に検出するようにしてもよい。そして、上述のS101と同様に、造影剤または薬剤の注入を実施する。
ここで、造影剤や薬剤による染影について述べる。集束超音波の照射を行うと、熱凝固作用により壊死した組織では毛細血管は途絶されることが、筆者らをはじめ、様々な検討により明らかになってきている。このため、この場合のS102では、集束超音波照射が完了した領域では、熱凝固が起きたことにより毛細血管が途絶されているため非染影部として、超音波照射が未だ行われていない領域(未照射部位)は、熱凝固が起きていないので、染影部として検出され、この検出結果に基づいて上述のS103と同様に、染影部を表示する生体内画像を再構成し、上述のS104と同様に、生体内画像をモニタ手段27に表示させる。
そして、ターゲット領域を必要に応じて再入力する(S105)。ターゲット領域を必要に応じて再設定するとしたのは、対象領域がターゲット領域からはずれてしまうほど患者が動いたような場合には再設定を必要とするが、患者の動きが小さければ初めに設定したターゲット領域を用いることが可能だからである。上述のS106と同様に、照射計画を作成し、上述のS107と同様に、集束超音波の照射を作成した照射計画に基づいて行う。
このようにして、重ね照射など無駄な照射をなくすとともに、ターゲット領域内の超音波未照射部分について確実に照射を行うことが可能となる。
またさらに、従来は、一連の照射計画に則った照射が終了したら、腫瘍縮小効果等の照射による効果を、後日ダイナミックCTなどによって確認し、そして、目的とした縮小効果が達成されなかったり、未照射領域がある場合には、再度集束超音波照射を行うといった方法が行われてきたが、照射計画に則って一連の超音波照射が終了したあと、照射残しがある場合に本発明を適用する場合について説明する。
一連の照射計画に則った照射の終了後、操作者は、造影剤または薬剤を注入し、上述と同様に生体内画像再構成装置4で生体内画像を再構成し、モニタ手段27に表示させる。すると、未照射部位、もしくは、十分な超音波エネルギが印加されていない部位は熱凝固が進んでいないため、染影部として表示される。したがって、患者、または、ターゲット領域が最初に設定した位置から動いてしまった場合と同様にして、打ち残しの領域に対して的確に焦点位置を合せて、最終的に打ち残しの発生を抑止することが可能となる。
本発明に係る一実施の形態の集束超音波照射システムの電気的構成を示すブロック図である。 図1に示す集束超音波照射システムに用いる超音波アプリケータの構成を示す概略断面図である。 本実施の形態の集束超音波照射システムで行われる集束超音波照射の手順を示すフローチャートである。 図1に示すモニタ手段で表示する画像の一例を示す図ある。 図1に示すモニタ手段で表示する画像の一例を示す図ある。 図1に示すモニタ手段で表示する画像の一例を示す図ある。
符号の説明
1 超音波アプリケータ
11 超音波発生素子群
12 ケーブル類
13 カップリング材
14 膜
15 冷却手段
2 装置本体
21 制御部
22 駆動部
23 アプリケータ位置検出手段
24 インピーダンス整合回路群
25 駆動手段群
26 位相制御手段群
27 モニタ手段
3 操作パネル
3a マウス
3b トラックボール
4 生体内画像再構成装置
41 診断用超音波プローブ
F 焦点
S 生体

Claims (8)

  1. 表示手段に表示された生体内画像を参照して、前記生体内画像中に治療すべきターゲット領域を指定することにより指定された部位に焦点を合わせて集束超音波の照射を行う照射手段を備える集束超音波照射システムであって、
    造影剤による造影効果もしくは薬剤による薬剤集積効果の表れる部位を染影部として前記生体内画像上に表示する生体内画像再構成装置と、
    前記染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする集束超音波照射システム。
  2. 前記生体内画像再構成装置は、前記造影効果もしくは前記薬剤集積効果の表れる部位を前記造影効果もしくは前記薬剤集積効果のレベルに応じた輝度で前記染影部として前記生体内画像上に表示し、
    前記制御手段は、前記輝度に基づいて前記染影部を検出し、前記検出した染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する請求項1に記載の集束超音波照射システム。
  3. 表示手段に表示された生体内画像を参照して、前記生体内画像中に治療すべきターゲット領域を指定することにより指定された部位に対し焦点を合わせて集束超音波の照射を行う照射手段を備える集束超音波照射システムであって、
    前記指定された部位に対する前記照射手段による集束超音波の照射を少なくとも一度試みた後に、造影剤による造影効果もしくは薬剤による薬剤集積効果の表れる前記集束超音波の未照射部位を染影部として前記生体内画像上に表示するための生体内画像再構成装置と、
    前記未照射部位の染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする集束超音波照射システム。
  4. 前記生体内画像再構成装置は、前記造影効果もしくは前記薬剤集積効果の表れる前記集束超音波の未照射部位を前記造影効果もしくは前記薬剤集積効果のレベルに応じた輝度で前記染影部として前記生体内画像上に表示し、
    前記制御手段は、前記輝度に基づいて前記未照射部位の染影部を検出し、前記検出した未照射部位の染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する請求項に記載の集束超音波照射システム。
  5. 表示手段に表示された生体内画像を参照して、前記生体内画像中に治療すべきターゲット領域を指定することにより指定された部位に焦点を合わせて集束超音波の照射を行う照射手段を備える集束超音波照射システムであって、
    生体内に向けて診断用超音波を照射し、前記診断用超音波の反射波が高調波となる部分を造影剤による造影効果の表れる部位に対応する染影部として前記生体内画像上に表示する超音波診断装置と、
    前記染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする集束超音波照射システム。
  6. 前記超音波診断装置は、前記造影効果の表れる部位を前記高調波の強度に応じた輝度で前記染影部として前記生体内画像上に表示し、
    前記制御手段は、前記輝度に基づいて前記染影部を検出し、前記検出した染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する請求項に記載の集束超音波照射システム。
  7. 表示手段に表示された生体内画像を参照して、前記生体内画像中に治療すべきターゲット領域を指定することにより指定された部位に焦点を合わせて集束超音波の照射を行う照射手段を備える集束超音波照射システムであって、
    前記指定された部位に対する前記照射手段による集束超音波の照射を少なくとも一度試みた後に、生体内に向けて診断用超音波を照射し、前記診断用超音波の反射波が高調波となる部分を造影剤による造影効果の表れる前記集束超音波の未照射部位に対応する染影部として前記生体内画像上に表示する超音波診断装置と、
    前記未照射部位の染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする集束超音波照射システム。
  8. 前記超音波診断装置は、前記造影効果の表れる前記集束超音波の未照射部位を前記高調波の強度に応じた輝度で前記染影部として前記生体内画像上に表示し、
    前記制御手段は、前記輝度に基づいて前記未照射部位の染影部を検出し、前記検出した未照射部位の染影部と前記指定されたターゲット領域との重複部分に対し前記焦点を合わせて集束超音波の照射を行うように前記照射手段を制御する請求項に記載の集束超音波照射システム。
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