JPH11155575A - SigB - Google Patents

SigB

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JPH11155575A
JPH11155575A JP9330755A JP33075597A JPH11155575A JP H11155575 A JPH11155575 A JP H11155575A JP 9330755 A JP9330755 A JP 9330755A JP 33075597 A JP33075597 A JP 33075597A JP H11155575 A JPH11155575 A JP H11155575A
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JP
Japan
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polypeptide
polynucleotide
sigb
dna
seq
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP9330755A
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English (en)
Inventor
Andrew P Fosberry
アンドリュー・ピー・フォスベリー
Elizabeth J Lawlor
エリザベス・ジェイ・ローラー
Richard O Nicholas
リチャード・オー・ニコラス
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SmithKline Beecham Ltd
SmithKline Beecham Corp
Original Assignee
SmithKline Beecham Ltd
SmithKline Beecham Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規なSigBおよび該タンパク質をコード
するDNAの提供。 【解決手段】 (a)特定の256のアミノ酸配列より
なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対し
て少なくとも70%の同一性を有するポリヌクレオチ
ド; (b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレ
オチド; (c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なく
とも15個の連続した塩基を有してなるポリヌクレオチ
ド;からなる群より選択されるポリヌクレオチドを有し
てなる単離ポリヌクレオチドを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一つに、新規に同
定されたポリヌクレオチドおよびポリペプチド;該ポリ
ヌクレオチドおよびポリペプチドの変種および誘導体;
該ポリヌクレオチドおよび該ポリペプチド、およびその
変種および誘導体の製造方法;該ポリペプチドのアゴニ
ストおよびアンタゴニスト;ならびに該ポリヌクレオチ
ド、ポリペプチド、変種、誘導体、アゴニストおよびア
ンタゴニストの使用に関するものである。特に、これら
の点および他の点に関して、本発明は、以下、細菌性
「SigB」と称する、SigBオペロンのポリヌクレ
オチドおよびポリペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子発現の調節が転写のレベルで頻繁
に起こっている。これらの遺伝子を転写するRNAポリ
メラーゼは、マルチサブユニットコア酵素および付加タ
ンパク質またはシグマ因子(全酵素にプロモーター因子
を認識させ、これらの特異的部位で転写を開始させる)
から構成される。細胞は多重的シグマ因子を含有し、細
胞中のその相対的レベルにより遺伝子発現の基本的制御
が得られる。バシラス・サチリス(Bacillus subtili
s)は少なくとも10個の異なるシグマ因子を有する
[Haldenwang,1995]。バシラス・サチリスが指数関
数的増殖を停止するか、または多くの環境的ストレス
(例えば、熱、塩、エタノールおよび過酸化物)に付さ
れると、シグマ−Bは遺伝子のサブセットの転写を指令
するように活性化される[Boylanら、1993a、b]。
スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)は、バ
シラス(Bacillus)種に属する病原体である。宿主に
て、スタフィロコッカス・アウレウス細胞は、前記した
環境的ストレスに類似するいくつかの一連のストレスに
暴露される。さらには、感染遺伝子座にある細菌性集合
体は遅増殖または非増殖性細菌を含有しているようであ
る。かくしてシグマ−Bの等価物が、スタフィロコッカ
ス・アウレウスの宿主環境に対する適合にて極めて重要
な役割を果たしていると思われる。
【0003】少なくとも4種のタンパク質がシグマ−B
を調節するとわかっている。3種(RsbV、RsbW
およびRsbX)タンパク質は、シグマ−B(sig
B)についての構造遺伝子と共転写される遺伝子の産物
である。第4のタンパク質(RsbU)はrsbV遺伝
子のすぐ上流にある。RsbWはシグマ−Bに結合し、
シグマ−B依存性転写を遮断する。RsbVはRsbW
との複合体を形成し、RsbWによるシグマ−Bの隔離
を減少させることができる。加えて、RsnWはRsb
VをRsbWと相互反応できない形態にリン酸化するこ
ともできる[Dufour&Haldenwang,1995]。RsbU
は、直接または関節的に、シグマ−BのRsbWからの
RsbV−依存性放出を促進する[Voelkerら、199
5]。
【0004】明らかに、化合物を抗生物質活性について
スクリーンするのに用いることのでき、感染、機能不全
および疾患の発生病理におけるその役割を測定するのに
用いることのできる因子が必要とされている。かくし
て、感染、機能不全または疾患の予防、改善または治癒
において役割を果たしうる因子を同定し、特徴付ける必
要がある。本発明のポリペプチドは、公知シグマ因子に
対してアミノ酸配列相同性を有する。
【0005】引用文献 Boylan,S.A.,Redfild,A.R.&Price,C.W.
(1993a),Transcription factor sigma B of Bac
illus subtilus controls a large stationary-phase r
egulon.Journal of Bacteriology 175,3957-63.B
oylan,S.A.,Redfild,A.R.,Brody,M.S.&
Price,C.W.(1993b),Stress-induced activati
on of the sigma B transcription factor of Bacill
us subtilus. Journal of Bacteriology 175,7931-
7.Dufour,A&Haldenwang,W.G.(1995),Inter
actions between a Bacillus subtilis anti-sigma fa
ctor(RsbW)and its antagonist(RsbV).
Journal of Bacteriology 176,1813-20.Haldenwan
g,W.G.(1995),The sigma factors of Bacillus
subtilis.Microbiological Reviews 59,1-30.Voe
lker,U.,Dufour,A&Haldenwang,W.G.(199
5),The Bacillus subtilisrsbU gene product
is necessary for RsbX−dependent regulation of
sigma B. Journal of Bacteriology 177,114-22.
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の一つの目的
は、ポリペプチド、とりわけ図2に示すアミノ酸配列お
よびバシラス・サチリス(Bacillus subtilis)Sig
Bなどの他のタンパク質の既知アミノ酸配列間の相同性
により、新規SigBペプチドとして同定されたポリペ
プチドを提供することである。本発明のさらなる目的
は、さらに、SigBポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチド、特に本明細書においてSigBと称するポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のこの態様のとり
わけ好ましい具体例では、該ポリヌクレオチドは、図1
(配列番号1)に示す配列のSigBポリペプチドをコ
ードする領域またはそのフラグメント、アナログまたは
誘導体を有する。本発明の別の特に好ましい具体例に
は、図2(配列番号2)のアミノ酸配列を含んでなるス
タフィロコッカス・アウレウス(Stphylococcus aureu
s)由来の新規シグマ因子、またはそのフラグメント、
アナログまたは誘導体がある。本発明のこの態様によれ
ば、NCIMB受託番号40771に含まれるスタフィ
ロコッカス・アウレウス菌株、スタフィロコッカス・ア
ウレウスWCUH29により発現可能な成熟ポリペプチ
ドをコードする単離核酸分子が提供される。
【0008】本発明のこの態様によれば、mRNA、c
DNA、ゲノムDNA、および本発明のこの態様のさら
なる具体例では、生物学的、診断学的、予防的、臨床的
もしくは治療的に有用なその変種、アナログもしくは誘
導体、または変種、アナログおよび誘導体のフラグメン
トを含め、そのフラグメントを包含する、SigB、特
にスタフィロコッカス・SigBをコードする単離され
た核酸分子、およびそれらからなる組成物が提供され
る。
【0009】本発明の別の態様によれば、特に遺伝的免
疫処置の治療または予防を目的として、本発明のポリヌ
クレオチドの使用が提供される。本発明のこの態様の特
に好ましい具体例には、SigBの天然の対立遺伝子変
種およびそれによりコードされるポリペプチドがある。
本発明のこの態様によれば、本明細書においてSigB
と称されるスタフィロコッカスの新規ポリペプチド、な
らびに生物学的、診断学的、予防的、臨床的もしくは治
療的に有用なそのフラグメント、変種および誘導体、お
よび前記したフラグメントおよびアナログの変種および
誘導体、およびそれらの組成物が提供される。
【0010】本発明のこの態様の特に好ましい具体例に
は、SigB遺伝子の天然の対立遺伝子によりコードさ
れるSigBポリペプチドの変種がある。本発明のこの
態様の好ましい具体例では、前記したSigBポリペプ
チドの製造方法を提供する。本発明のさらに別の態様に
よれば、例えば、抗体を含め、抗菌剤として有用なかか
るポリペプチドの阻害物質が提供される。
【0011】本発明のこの態様および他の態様のある種
の好ましい具体例によれば、とりわけ、上気道疾患(例
えば、中耳炎、細菌性気管炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺
炎)、下気道疾患(例えば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓疾
患(例えば、感染性心内膜炎)、胃腸疾患(例えば、分
泌性下痢、脾臓膿瘍、腹膜後膿瘍)、CNS疾患(例え
ば、大脳膿瘍)、眼疾患(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角
膜炎、眼内炎、前中隔および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎
および尿管疾患(例えば、副睾丸炎、腎内および腎周囲
膿瘍、トキシックショック症候群)、皮膚疾患(例え
ば、膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細
菌性筋炎)、骨および関節疾患(例えば、敗血症性関節
炎、骨髄炎)を治療するために、SigB発現を評価
し;遺伝的変異をアッセイし;およびSigBポリペプ
チドまたはポリヌクレオチドを生物に投与し、細菌、特
にスタフィロコッカスに対する免疫学的応答を誘起す
る、生成物、組成物および方法が提供される。
【0012】本発明のこのおよび他の態様のある種の好
ましい具体例によれば、SigBポリペプチド配列にハ
イブリダイゼーションするポリヌクレオチドが提供され
る。本発明のこの態様のある種のさらに好ましい具体例
において、SigBポリペプチドに対する抗体が提供さ
れる。本発明の別の態様によれば、好ましくは、静菌剤
または殺菌剤でもある、SigBアゴニストが提供され
る。本発明のさらに別の態様によれば、好ましくは、静
菌剤または殺菌剤でもある、SigBアンタゴニストが
提供される。本発明のさらなる態様では、細胞に、また
は多細胞生物に投与するための、SigBポリヌクレオ
チドまたはSigBポリペプチドを含んでなる組成物を
提供する。開示した本発明の精神および観点内での種々
の変更および修飾は、以下の記載を読むこと、および本
明細書のその他の部分を読むことにより、当業者に容易
に明らかとなろう。
【0013】
【発明の実施の形態】定義 以下の説明は、本明細書、とりわけ実施例において汎用
される特定の用語の理解を容易にするために示すもので
ある。説明は便宜上示すものであり、本発明を限定する
ものではない。本明細書で用いるSigB結合分子は、
例えば酵素基質、細胞膜成分および古典的なレセプター
を含め、本発明のSigBポリペプチドまたはポリヌク
レオチドと特異的に結合または相互作用する分子または
イオンをいう。本発明のポリペプチドと、結合または相
互作用分子を含め、そのような分子間の結合は、本発明
のポリペプチドに対して独占的であることが好ましく、
またはその結合は本発明のポリペプチドに高度に特異的
であることもまた好ましく、またはその結合は本発明の
ポリペプチドを包含するタンパク質群に高度に特異的で
あることも好ましく、または本発明のポリペプチドを含
む、少なくともその一つが数種のタンパク質に特異的で
あってもよい。結合分子はまた、本発明のポリペプチド
に特異的に結合する抗体および抗体由来の物質をも包含
する。
【0014】「遺伝的エレメント」は、一般に、ポリペ
プチドをコードする領域、もしくは複製、転写もしくは
翻訳、もしくは宿主細胞においてポリペプチドを発現す
るのに重要なその他の過程を制御するポリヌクレオチド
領域を有してなるポリヌクレオチド、またはポリペプチ
ドをコードする領域およびそれらに機能的に連結した発
現を制御する領域の両方を有してなるポリヌクレオチド
を意味する。遺伝的エレメントは、エピソームエレメン
ト、すなわち、宿主細胞ゲノムと物理的に独立した分子
として、複製するベクター内に含まれていてもよい。該
エレメントはプラスミド内に含まれていてもよい。遺伝
的エレメントはまた、自然の状態ではなく、むしろ単
離、クローニングおよび宿主細胞への導入のような操作
の後に、精製DNAの形態で宿主細胞ゲノム内またはと
りわけベクター内にも含まれていてもよい。
【0015】「宿主細胞」は外来性ポリヌクレオチド配
列により形質転換もしくはトランスフェクションされ
た、または形質転換またはトランスフェクションするこ
とのできる細胞である。当該分野にて周知であるように
「同一性」または「類似性」は、配列を比較して測定さ
れるような、二つまたはそれ以上のポリペプチド配列間
または二つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の
関係である。当該分野において、「同一性」とはまた、
時には、かかる配列の鎖の間の合致により決定されるよ
うなポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の関連
性の程度をも意味する。「同一性」および「類似性」は
共に容易に算出できる(Computational Molecular Biol
ogy,Lesk,A.M.編、オックスフォード・ユニバーシティ
ー・プレス、ニューヨーク、1988年;Biocomputing:In
formatics and Genome Projects,Smith,D.W.編、アカ
デミック・プレス、ニューヨーク、1993年;Computer A
nalysis of Sequence Data,パートI,Griffin,A.M.お
よびGriffin,H.G.編、ヒューマナ・プレス、ニュージャ
ージー、1994年;Sequence Analysis in Molecular Bio
logy,von Heinje,G.、アカデミック・プレス、1987
年;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.お
よびDevereux,J.編、Mストックトン・プレス、ニュー
ヨーク、1991年)。2つのポリヌクレオチドまたは2つ
のポリペプチド間の同一性および類似性を測定するため
の多くの方法がある一方で、その両方の用語は当業者に
周知である(SequenceAnalysis in MolecularBiolo
gy,von Heinje,G.,AcademicPress,1987;Squen
ce AnalysisPrimer,Gribskov,M.およびDevereu
x,J.,編、M StocktonPress,New York,1991;
およびCarillo,H.,およびLipman,D.,SIAM
J.,AppliedMath.,48:1073(1988))。2つの配
列間で同一性または類似性を測定するのに通常用いられ
る方法は、Carillo,H.およびLipman,D.,SIA
M J.Applied Math.,48:1073(1988)に開示され
ている方法を包含するが、これに限定されるものではな
い。同一性を決定するための好ましい方法は、試験する
配列間で最も良く適合するように設計される。同一性お
よび類似性を測定する方法は、コンピュータープログラ
ムに組み込まれている。二つの配列間の同一性および類
似性を測定する好ましいコンピュータープログラム法
は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、Nuc
leic Acids Research 12(1):387(1984)、BLASTP、BLA
STNおよびFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:
403(1990)))を包含するが、これらに限定されるも
のではない。
【0016】「単離」とは、「人工的に」天然の状態か
ら変化させられた、すなわち、天然物の場合、その本来
の環境から変化または除去あるいはその両方が行われた
ことを意味する。例えば、生体に天然に存在するポリヌ
クレオチドまたはポリペプチドは、「単離」されていな
いが、その天然状態で共存する物質から分離された同じ
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書に用
いる用語としての「単離」がなされている。単離の一部
として、または単離の後に、かかるポリヌクレオチド
は、例えば、突然変異誘発のために、DNAなどの他の
ポリヌクレオチドに結合し、宿主における伸長および発
現のために、融合タンパク質を形成したりすることがで
きる。単離ポリヌクレオチドは単独で、またはベクター
などの他のポリヌクレオチドと結合して、培養物中また
は全生物中の宿主細胞に導入できる。培養物中または全
生物中の宿主細胞に導入されたかかるDNAも本明細書
に用いる用語である、「単離」されたといえる。という
のはこれらは天然の形態または環境にはないからであ
る。同様に、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、
組成物、例えば、培地処方、例えば細胞にポリヌクレオ
チドまたはポリペプチドを導入するための溶液、化学的
または酵素的反応のための組成物または溶液中に生じさ
せてもよく、これらは自然には存在しない組成物であ
り、本明細書に用いる用語の「単離」されたポリヌクレ
オチドまたはポリペプチドの範囲内である。
【0017】「ポリヌクレオチド(複数でも可)」は、
一般に、修飾されていないRNAもしくはDNA、また
は修飾されたRNAもしくはDNAであってよい、いず
れのポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌク
レオチドをも意味する。従って、例えば、本明細書で用
いるポリヌクレオチドは、とりわけ一本鎖および二本鎖
DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物または一本
鎖、二本鎖および三本鎖領域の混合物であるDNA、一
本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖
領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくはより典型的
には二本鎖もしくは三本鎖、または一本鎖および二本鎖
領域の混合物であってもよいDNAおよびRNAを含む
ハイブリッド分子を意味する。加えて、本明細書で用い
るポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNAまたはR
NAとDNAの両方を有してなる三本鎖領域を意味す
る。かかる領域における鎖は同一の分子または異なる分
子由来のものでよい。この領域はこれらの分子の一つま
たはそれ以上の全てを含んでいてもよいが、より典型的
にはいくつかの分子の一領域のみを含む。三重らせん領
域の分子の一つは、オリゴヌクレオチドであることがし
ばしばである。本明細書で用いる場合、「ポリヌクレオ
チド」なる用語は、一つまたはそれ以上の修飾した塩基
を含有する、前記したDNAまたはRNAを包含する。
このように、安定性または他の理由で修飾された骨格を
有するDNAまたはRNAも、該用語を本明細書が意図
するろところの「ポリヌクレオチド」である。さらに、
イノシン等の普通でない塩基、またはトリチル化塩基等
の修飾塩基を有してなるDNAまたはRNA(二つの例
だけを示す)も、かかる用語を本明細書で用いる場合の
「ポリヌクレオチド」である。当業者に既知の多くの有
用な目的を提供するDNAおよびRNAに、非常に多く
の修飾がなされていることは、明らかであろう。「ポリ
ヌクレオチド」なる用語は、本明細書で用いる場合、ポ
リヌクレオチドのこのような化学的、酵素的または代謝
的に修飾した形態、ならびにウイルス、とりわけ単純型
細胞および複雑型細胞を含む、細胞に特徴的なDNAお
よびRNAの化学的形態を包含する。ポリペプチドは、
しばしば、オリゴヌクレオチド(複数でも可)と称され
る短鎖ポリヌクレオチドを包含する。
【0018】本明細書で用いる「ポリペプチド」は、以
下に記載する全てのポリペプチドを包含する。ポリペプ
チドの基本的な構造は周知であり、非常に多くのテキス
トおよび当該分野の他の発行物に記載されている。これ
に関連して、この用語は、本明細書において、ペプチド
結合により直鎖で互いに結合している2個またはそれ以
上のアミノ酸を有してなるいずれかのペプチドまたはタ
ンパク質をいうのに用いる。本明細書で用いる場合、こ
の用語は、当該分野で通常例えばペプチド、オリゴペプ
チドおよびオリゴマーとも称される短鎖、および多くの
型があり、当該分野で一般的にタンパク質と称する長鎖
の両方を意味する。ポリペプチドは、しばしば、一般に
20種の天然アミノ酸と称される20種のアミノ酸以外
のアミノ酸を含有し、末端アミノ酸を含め、多くのアミ
ノ酸は、プロセッシングおよび他の翻訳後修飾のような
自然の工程により所定のポリペプチドで修飾されたもの
が含まれるが、当業者に周知の化学的修飾技術によって
も修飾できることは理解されよう。ポリペプチドに自然
に起こる一般的な修飾でさえ余り多すぎて、余すところ
なく掲示することはできないが、基礎的なテキストおよ
びさらに詳細な論文ならびに多数の研究文献にも詳しく
記載されており、これらは当業者に周知である。本発明
のポリペプチドに施すことができる既知の修飾には、2
ないし3例示として示すと、アセチル化、アシル化、A
DP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘ
ム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘
導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホ
スホチジルイノシトールの共有結合、交差結合、環化、
ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有交差結合形
成、シスチン形成、ピログルタミン酸塩形成、ホルミル
化、ガンマー−カルボキシル化、糖鎖形成、GPIアン
カー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリ
ストイル化、酸化、タンパク質加水分解プロセッシン
グ、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、
硫酸化、アルギニル化などの転移RNA媒介のタンパク
質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化がある。かか
る修飾は当業者に周知であり、科学文献に非常に詳細に
記載されている。いくつかの特に一般的な修飾、例えば
糖鎖形成、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガン
マーカルボキシル化、ヒドロキシル化およびADPリボ
シル化は最も基礎的なテキスト、例えばProteins-Struc
ture and Molecular Properties、第2版、T.E.Creighto
n、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993)に
記載されている。例えば、Posttranslational Covalent
Modification of Proteins、B.C.Johnson編、アカデミ
ック・プレス、ニューヨーク(1983)のWold,F.,Posttr
anslational Protein Modifications :Perspective an
d Prospects、1〜12頁;Seifterら、Meth.Enzymol.182:
626-646(1990)およびRattanら、Protein Synthesis:
Posttranslational Modifications and Aging,Ann.N.
Y.Acad.Sci.663:48-62(1992)で提供される論文などの
多くの詳細な論文が、本主題に利用できる。ポリペプチ
ドはいつも完全に直鎖であるとは限らないということは
周知であり、前記した通りであると理解されよう。例え
ば、ポリペプチドは、一般には、天然のプロセッシング
事象を含む翻訳後の事象、および天然では起こらない人
為的操作によりもたらされる事象の結果、分岐のある、
または分岐のない環状にできる。環状、分岐および分岐
した環状ポリペプチドは、非翻訳天然のプロセッシング
により、および同様に全く合成的な方法で合成できる。
修飾はペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたは
カルボキシル末端を含め、ポリペプチドのどこででも起
こり得る。実際、共有結合の修飾による、ポリペプチド
のアミノまたはカルボキシル基またはその両方の遮断
は、天然および合成ポリペプチドに共通し、かかる修飾
は同様に本発明のポリペプチドにも存在し得る。例え
ば、イー・コリ(E.coli.)または他の細胞で作られる
ポリペプチドのアミノ末端残基は、タンパク質溶解のプ
ロセッシングの前にほとんど必ずN−ホルミルメチオニ
ンになるであろう。ペプチドの翻訳後の修飾の間に、N
2末端でメチオニン残基を除去できる。従って、本発
明は、本発明のタンパク質のメチオニン含有およびメチ
オニン不含の両方のアミノ末端変種の使用を意図する。
ポリペプチドに起こる修飾はしばしばそれの作り方に影
響される。例えば、宿主にクローン化遺伝子を発現する
ことにより作られるポリペプチドでは、修飾の特性およ
び程度は、大部分、宿主細胞の翻訳後修飾能力およびポ
リペプチドアミノ酸配列に存在する修飾シグナルにより
決定される。例えば、周知のように、糖鎖形成はイー・
コリのような細菌宿主では起こらないことがはしばしば
である。従って、糖鎖形成が望ましい場合、ポリペプチ
ドを、糖鎖形成宿主、一般に、真核細胞にて発現させる
べきである。昆虫細胞は、しばしば、哺乳動物細胞と同
じ翻訳後糖鎖形成を行う;この理由で昆虫細胞発現系
が、とりわけ、糖鎖形成の本来のパターンを有する哺乳
動物タンパク質を効率よく発現するように開発されてい
る。同様の考察が他の修飾にも適用される。修飾の同一
の型が、所定のポリペプチドのいくつかの部位で、同じ
または異なる程度で存在し得ることは理解されよう。ま
た、所定のポリペプチドは多くの型の修飾を有していて
もよい。一般に、本明細書で用いる場合、「ポリペプチ
ド」なる用語は、全てのこのような修飾、特に宿主細胞
においてポリヌクレオチドを発現することにより合成し
たポリペプチドに存在する修飾を包含する。
【0019】本明細書で用いる場合、ポリヌクレオチド
またはポリペプチドの「変種(複数でも可)」なる用語
は、対照標準のポリヌクレオチドまたはポリペプチドと
は各々異なるポリヌクレオチドまたはポリペプチドであ
る。この意味の変種は、本明細書の以下およびその他の
部分でより詳細に記載する。(1)ヌクレオチド配列に
て他の対照標準のポリヌクレオチドと異なるポリヌクレ
オチド。一般に、違いは対照標準と変種のヌクレオチド
配列が、全体的に非常に類似しており、多くの領域で同
一であるものに限られる。以下に記すように、変種にお
けるヌクレオチドの配列の変化はサイレントであっても
よい。すなわち、その変化がポリヌクレオチドによりコ
ードされるアミノ酸を変えなくてもよい。変化がこの型
のサイレント変化に限定される場合、変種は、対照標準
と同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードす
る。また以下に記すように、変種のヌクレオチド配列に
おける変化が、対照標準のポリヌクレオチドによりコー
ドされるポリペプチドのアミノ酸配列を変化させてもよ
い。このようなヌクレオチドの変化は、以下に論じるよ
うに、対照標準配列によりコードされるポリペプチドに
おけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合および切断をも
たらす。(2)アミノ酸配列にて他の対照標準のポリペ
プチドと異なるポリペプチド。一般に、違いは対照標準
と変種の配列が全体的に非常に類似しており、多くの領
域で同一であるものに限られる。変種および対照標準の
ポリペプチドは、1またはそれ以上の置換、付加、欠
失、融合および切断(いずれかの組み合わせで生じてい
てもよい)により、アミノ酸配列にて異なっていてもよ
い。
【0020】本発明は、とりわけ、以下により詳細に記
載する、新規SigBポリペプチドおよびそれをコード
するポリヌクレオチドに関する。特に、本発明は、バシ
ラス・サチリス(Bacillus subtilis)のSigBポリ
ペプチドに対するアミノ酸配列相同性により関連付けら
れる、スタフィロコッカス・アウレウスの新規SigB
遺伝子のポリペプチドおよびポリヌクレオチドに関す
る。本発明は特に図1および図2に示すヌクレオチドお
よびアミノ酸配列、ならびに本明細書において「寄託菌
株」または「寄託菌株のDNA」と称するNCIMB受
託番号40771中のDNAのSigBヌクレオチドお
よびアミノ酸配列に関する。図1(配列番号1)および
図2(配列番号2)に示すヌクレオチドおよびアミノ酸
配列は、寄託菌株のDNAを配列決定することにより得
られたことは理解されよう。従って、寄託菌株のSig
Bの配列が、その配列(およびそれをコードする配列)
と図1(配列番号1)および図2(配列番号2)の配列
の間のいずれの不一致をも調節するものである。
【0021】特に、実験室条件および宿主感染条件下で
の生存性に適用すると、その技法は細菌における一時的
な遺伝子発現を評価するのに利用できる。それ自体生存
に必須であるかまたは感染の確立および/もしくは維持
に必須である遺伝子を同定するために、多くの方法を用
いることができる。これらの方法の一つにより配列の発
現を同定するで、その機能についてのさらなる情報が得
られ、かかる配列をスクリーニングの標的としてさらに
開発するための選別が可能となる。簡単には、これらの
研究は例えば:
【0022】1)シグナチャータグ化突然変異法(Sign
ature Tagged Mutagenesis:STM) この技法は、Henselら、Science269:400-403(1995)に
記載されており、その内容を出典明示により本明細書の
一部とする。シグナチャータグ化突然変異誘発は、所定
感染モデルにおける感染の確立/維持に必要な遺伝子を
同定するものである。この技法は、種々の手段(例えば
トランスポゾン)により、標的生物にランダムに突然変
異を誘発し、独特なDNA配列タグを突然変異部位に非
常に近接して挿入することに基づく。細菌性突然変異体
および感染宿主から回収した細菌の混合集団からのタグ
は、増幅、放射性標識化およびハイブリダイゼーション
分析により検出される。毒性を減じた突然変異体は、感
染宿主から回収した細菌のプールのタグの欠如により表
される。ストレプトコッカス・ニューモニエ(Strepto
coccus pneumoniae)においては、トランスポゾンシス
テムはあまり開発されていないので、タグ化突然変異体
を作るためのより有効な方法は、その内容を出典明示に
より本明細書の一部とする、Morrisonら、J.Bacteriol.
159:870(1984)に記載される挿入-複製突然変異法を用
いる。
【0023】2)インビボ発現法(In Vivo Expression
Technology:IVET) この技術はCamilliら、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA.91:
2634-2638(1994)およびMahanら、Infectious Agents
and Diseases 2:263-268(1994)に記載されており、各
々の内容を出典明示により本明細書の一部とする。IVET
は、実験培養と比較した場合、感染において重要な役割
を有する、感染中にアップレギュレーションする遺伝子
を同定する。この技法により同定される配列は感染の確
立/維持に重要な役割を有する。
【0024】この技法では、標的生物のランダムな染色
体フラグメントは、プラスミドベクターのプロモーター
不含のリポーター遺伝子の上流でクローン化される。プ
ールを宿主に導入し、感染後の種々の時間に細菌を回収
し、リポーター遺伝子発現の存在を評価できる。発現さ
れたリポーター遺伝子の上流に担持されている染色体フ
ラグメントは、感染中に正常なアップレギュレーション
をうけるプロモーターまたは遺伝子部分を担持するはず
である。組換え酵素遺伝子の上流を配列決定すると、ア
ップレギュレーションされた遺伝子を同定できる。
【0025】3)特徴ディスプレイ この技法は、その内容を出典明示により本明細書の一部
とする、Chuangら、J.Bacteriol.175:2026-2036(199
3)に記載されている。この方法はランダムプライムR
T−PCRを用いてmRNAの存在を同定することによ
り、生体に発現する遺伝子を同定する。感染前および感
染後のプロフィールを比較することにより、感染中にア
ップレギュレーションおよびダウンレギュレーションさ
れる遺伝子を同定でき、RT−PCR生成物が配列決定
され、ライブラリー配列に適合させられる。
【0026】4)トランスポゾン突然変異誘発による条
件致死変異体の発生 この技法は、de Lorenzo,V.ら、Gene 123:17-24(199
3);Neuwald,A.F.ら、Gene 125:69-73(1993)およびT
akiff,H.E.ら、J.Bacteriol.174:1544-1553(1992)に
記載されており(その内容を出典明示により本明細書の
一部とする)、発現が細胞の生存性に必須である遺伝子
を同定する。この技法では、一方向または両方向でトラ
ンスポゾンから外側へ転写する、調節可能なプロモータ
ーを担持するトランスポゾンを生じる。これらのトラン
スポゾンを標的生物にランダムに挿入し、続いてプロモ
ーター活性のインデューサーの存在下で挿入突然変異体
を単離すると、発現が細胞の生存に必須である遺伝子の
コーディング領域とプロモーターとを分離するインサー
トが回収されることが確認される。このインサートは生
存できないので、引き続いてインデューサー不含のレプ
リカ平板法でかかるインサートを同定する。トランスポ
ゾンに隣接する領域の配列決定により挿入部位を同定
し、分断された遺伝子を同定する。インデューサー不存
在下での成長中の細胞の過程/形態の変化を正確にモニ
ターし、遺伝子の可能な機能に関する情報を得る。この
ようなモニター観察には、フローサイトメトリー(細胞
分割、溶解、酸化還元能、DNA複製)、DNA、RN
A、タンパク質、脂質、ペプチドグリカンへの放射性化
学的標識前駆体の取り込み、既知の細胞性ストレスに反
応するリポーター酵素遺伝子融合物のモニター等があ
る。
【0027】5)化学的突然変異法による条件致死突然
変異体の発生 この技法は、出典明示により本明細書の一部とする、Be
ckwith,J.Methods inEnzymology204:3-18(1991)に記
載されている。この技法では標的生物のランダム化学的
突然変異を誘発し、生理学的温度(許容温度)とは異な
る温度で増殖させ、続いてレプリカ平板法を行い、異な
る温度(例えばts同定のためには42℃、cs同定の
ためには25℃)で成長させ、その時成長できなかった
単離物(条件付き突然変異体)を同定する。前記のよう
に、非許容温度での増殖における変化を正確にモニター
し、突然変異遺伝子の機能に関する情報を得る。標的生
物からのライブラリーにより条件致死突然変異を相補
し、および相補遺伝子を配列決定することにより、ライ
ブラリー配列と適合させることができる。これらの技法
の各々は、特定の適用に応じて有利であったり、不利で
あったりする。当業者は意図する特定の使用目的に最も
関連する研究法を選択する。例えば、いくつかの遺伝子
は感染に必須であると認識されているが、実際には感染
の開始にのみ必要であり、そのためそれらの産物は、確
立された慢性の感染の治療のために開発された抗細菌物
質にとってはそれほど魅力的な標的ではない。
【0028】6)RT−PCR 細菌性メッセンジャーRNA、好ましくはスタフィロコ
ッカス・アウレウスのmRNAを、細菌感染した組織、
例えば48時間ネズミ・肺感染の組織から単離し、ラン
ダムヘキサヌクレオチドでプライムしたRNAサンプル
の逆転写により、続いて遺伝子特異的プライマー対での
PCRにより、mRNA種の各々の量を評価する。得ら
れたPCR生成物の定量化により特定のmRNA種の存
在および量を決定し、感染した組織に転写された細菌遺
伝子に関する情報を得る。遺伝子転写の分析は、感染の
種々の時間で実施でき、細菌による発病における遺伝子
制御に関する詳細な知識を得ることができ、遺伝子産物
が新規な抗菌物質をスクリーニングする標的に相当する
ことが明快に理解できるようになる。用いたPCRプラ
イマーの遺伝子特異的特性のために、細菌性mRNA調
製物は遊離の哺乳動物RNAである必要はないことが理
解されるべきである。これにより研究者は、感染組織か
ら簡単で迅速にRNAを調製して、細菌中で非常に短時
間しか生育できない(半減期2分程度)細菌性mRNA
種を得ることができる。最適には、TRIゾール(ギブ
コ−BRL)を非常に短時間存在させ、機械的に破壊す
ることにより、細菌性mRNAを感染ネズミ肺組織から
調製し、続いてTRIゾール試薬の製造者の指示に従っ
てプロセッシングし、DNAase処理して夾雑DNA
を除去する。好ましくは、適宜標識した配列特異的オリ
ゴヌクレオチドプローブを用いてノーザンをプロービン
グすることにより検出されるような細菌性16Sリボソ
ームRNA、好ましくはスタフィロコッカス・アウレウ
スの16SリボソームRNAの最大量を得る条件を見出
すことによりプロセッシングが最適化される。典型的に
は、最適には8から25サイクルで終了するPCR反応
における各PCRプライマー対には5’色素標識プライ
マーを用いる。PCR生成物は6%ポリアクリルアミド
ゲルで分離し、GeneScanner(ABI製)を用いて検出
および定量する。
【0029】本発明の配列に適用する場合、これらの技
法を用いると、感染中に発現する細菌性タンパク質、抗
細菌治療に利用できる阻害物質の同定が可能になる。
【0030】ポリヌクレオチド 本発明の一つの態様によれば、図2(配列番号2)の推
定アミノ酸配列を有するSigBポリペプチドをコード
する単離ポリヌクレオチドを提供する。図1(配列番号
1)に示すポリヌクレオチド配列などの本明細書にて提
供される情報を用いて、SigBポリペプチドをコード
する本発明のポリヌクレオチドは、標準的なクローニン
グおよびスクリーニングの手法、例えば、出発物質とし
てスタフィロコッカス・アウレウスWCUH29からの
染色体DNAフラグメントをクローニングおよび配列決
定し、つづいて完全長のクローンを得るための手法を用
いて得ることができる。例えば、図1(配列番号1)に
示す配列などの本発明の配列のポリヌクレオチドを得る
ためには、典型的には、イー・コリまたはいくつかの他
の適当な宿主中のスタフィロコッカス・アウレウスWC
UH29の染色体DNAのクローンのライブラリーを、
部分配列に由来する、好ましくは17量体またはそれ以
上の長さの、放射標識したオリゴヌクレオチドでプロー
ブする。ついで、該プローブと同一のDNAを有するク
ローンは、非常にストリンジェントな洗浄操作に付すこ
とにより区別できる。元の配列から設計された配列決定
プライマーで同定された個々のクローンを配列決定する
ことにより、該配列を両方向に伸長し、完全遺伝子配列
を決定することが可能である。都合よくは、かかる配列
決定をプラスミドクローンから調製された変性二本鎖D
NAを用いて実施する。適当な技術については、Maniat
is,T.、Fritsch,E.F.およびSambrookら、Molecular Clo
ning,A Laboratory Manual,第2版;コールド・スプ
リング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・
スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989);(ハイ
ブリダイゼーションによるスクリーニング1.90および
変性二本鎖DNA鋳型の配列決定13.70を参照のこ
と)に記載されている。本発明の一例として、図1(配
列番号1)に示すポリヌクレオチドは、スタフィロコッ
カス・アウレウスWCUH29に由来するDNAライブ
ラリー中で見出したものである。
【0031】寄託菌株のSigBをコードするDNAを
配列決定する結果わかるように、本発明のSigBは、
構造的に、SigBオペロンファミリーの他のタンパク
質に関連付けられる。こうして得られたDNA配列を図
1(配列番号1)に示す。これは、各々、当該分野にて
知られているアミノ酸残基の分子量を用いて計算するこ
とのできる推定分子量を有する、図2(配列番号2)に
示すおよその数のアミノ酸残基を有するタンパク質をコ
ードするオープンリーディングフレームを有する。この
タンパク質は、既知タンパク質の中でも、バシラス・サ
チリス・SigBタンパク質に対して最大の相同性を示
す。図2(配列番号2)のSigBは、バシラス・サチ
リス・SigBのアミノ酸配列と、その全長にわたっ
て、約59.5%の同一性、および約77.8%の類似性
を有する。
【0032】本発明のポリヌクレオチドは、クローニン
グにより得るか、もしくは化学合成技術により生成する
か、またはそれらを組み合わせて得た、mRNA等のR
NAの形態、または例えばcDNAおよびゲノムDNA
を含むDNAの形態であってもよい。DNAは二本鎖ま
たは一本鎖のいずれであってもよい。一本鎖DNAはセ
ンス鎖としても知られているコーディング鎖であっても
よく、またはアンチセンス鎖とも称される非コーディン
グ鎖であってもよい。ポリペプチドをコードするコーデ
ィング配列は、図1(配列番号1)に示すポリヌクレオ
チドのコーディング配列と同一であってもよい。さら
に、それは、遺伝暗号の重複性(同義性)の結果、、図
2(配列番号2)のポリペプチドをコードする異なる配
列を有するポリヌクレオチドであってもよい。
【0033】図2(配列番号2)のポリペプチドをコー
ドする本発明のポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチド
のコーディング配列自体;成熟ポリペプチドのコーディ
ング配列および付加コーディング配列、例えばプレ、プ
ロ、プレプロタンパク質配列等のリーダーまたは分泌配
列をコードするコーディング配列;付加非コーディング
配列と一緒に、前記した付加コーディング配列と共にま
たはなしで、例えば、限定するものではないが、転写に
て役割を果たす転写された非翻訳配列(例えば、終止シ
グナルを含む)などの非コーディング配列5′および
3′配列、リボソーム結合部位、mRNA安定性エレメ
ント、付加機能を供給する配列などの付加アミノ酸をコ
ードする付加コーディング配列を有する成熟ポリペプチ
ドのコーディング配列を包含するが、これらに限定され
るものではない。かくして、例えば、該ポリペプチド
は、融合ポリペプチドの精製を促す、ペプチドなどのマ
ーカー配列に融合していてもよい。本発明のこの態様の
ある具体例において、マーカー配列はヘキサ−ヒスチジ
ンペプチド、例えば、とりわけpQEベクター(キアゲ
ン・インコーポレーティッド(Qiagen,Inc.)より得
られるタグであり、多くが市販により入手可能である。
例えば、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,86:821-8
24(1989)に記載されるように、ヘキサ−ヒスチジンは
融合タンパク質の通常の精製法を提供する。インフルエ
ンザ・ヘマググルチニン・タンパク質由来のエピトープ
に対応する、HAタグもまた融合タンパク質の生成に使
用でき、これについては例えばWilsonら、Cell,37:76
7(1984)に記載されている。本発明のポリヌクレオチ
ドはまた、構造遺伝子およびその自然に付随する遺伝的
エレメントからなるポリヌクレオチドを包含するが、こ
れに限定されるものではない。
【0034】前記によれば、本明細書で用いる「ポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチド」なる用語は、本
発明のポリペプチド、特に細菌性、さらに詳細には、図
2(配列番号2)に示すアミノ酸配列を有する、スタフ
ィロコッカス・アウレウス・SigBのポリペプチドを
コードする配列を有するポリヌクレオチド包含する。こ
の用語は、さらにコーディングおよび/または非コーデ
ィング配列を含有していてもよい、付加領域と共に該ポ
リペプチドをコードする単一の連続領域または不連続領
域(例えば、組み込まれたファージもしくは挿入配列ま
たはエディティング(editing)により分断される)を
含む、ポリヌクレオチドを包含する。
【0035】本発明はさらに、図2(配列番号2)の推
定アミノ酸配列を有するポリペプチドのフラグメント、
アナログおよび誘導体をコードする、本明細書で前記し
たポリヌクレオチドの変種に関する。ポリヌクレオチド
の変種は、天然の対立遺伝子変種などの天然の変種であ
ってもよく、または自然に発生することが知られていな
い変種であってもよい。このようなポリヌクレオチドの
非天然変種は、ポリヌクレオチド、細胞または生物に適
用される方法を含め、突然変異誘発技術により作ること
ができる。
【0036】この点における変種には、ヌクレオチド置
換、欠失または付加により前記のポリヌクレオチドとは
異なる変種がある。置換、欠失または付加は1またはそ
れ以上のヌクレオチドに起こる。変種はコーディングも
しくは非コーディング領域またはその両方において変化
していてもよい。コーディング領域における変化が保存
的または非保存的アミノ酸置換、欠損または付加を生成
するかもしれない。この点に関する本発明の特に好まし
い具体例には、図2(配列番号2)に示すSigBのア
ミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌク
レオチド;それらの変種、アナログ、誘導体およびフラ
グメントならびに変種、アナログおよび誘導体のフラグ
メントがある。
【0037】この点において、さらに特に好ましくは、
図2(配列番号2)のSigBポリペプチドで、そのう
ち、数個、わずかな、5〜10、1〜5、1〜3、2、
1または0個のアミノ酸残基がいずれかの組み合わせで
置換、欠失または付加されているアミノ酸配列を有す
る、SigB変種、アナログ、誘導体およびフラグメン
ト、ならびにそのフラグメントの変種、アナログおよび
誘導体をコードするポリヌクレオチドである。中でもと
りわけ好ましいものは、サイレント置換、付加および欠
失であり、SigBの特性および活性を変えないもので
ある。また、この点に関してとりわけ好ましいものは、
保存的置換である。最も好ましいものは、置換されてい
ない、図2(配列番号2)のアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドである。本発明
のさらに好ましい態様は、図2(配列番号2)に示すア
ミノ酸配列を有するSigBポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチドに対して全長にわたって少なくとも7
0%同一のポリヌクレオチド、およびかかるポリヌクレ
オチドに相補的なポリヌクレオチドである。また、寄託
菌株のスタフィロコッカス・アウレウスDNAのSig
Bポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して
全長にわたって少なくとも80%同一である領域を有す
るポリヌクレオチド、およびそれらに相補的なポリヌク
レオチドが最も好ましい。この点において、その同じも
のに対して全長にわたって少なくとも90%の同一性を
有するポリヌクレオチドがとりわけ好ましく、中でも少
なくとも95%の同一性を有するものが特に好ましい。
さらには、少なくとも95%の同一性を有するものの中
でも少なくとも97%であるのがより好ましく、その中
でも少なくとも98%および少なくとも99%であるの
が特に好ましく、さらに少なくとも99%であるのがよ
り好ましい。
【0038】この点に関して好ましい具体例は、さらに
は、図1(配列番号1)のDNAによりコードされる成
熟ポリペプチドと実質的に同一の生物学的機能または活
性を保持するポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドである。本発明はさらに本明細書で前記した配列にハ
イブリダイゼーションするポリヌクレオチドに関する。
この点において、本発明は、特に、ストリンジェントな
条件下で本明細書で前記したポリヌクレオチドにハイブ
リダイゼーションするポリヌクレオチドに関する。本明
細書で用いる「ストリンジェントな条件」なる用語は、
ハイブリダイゼーションが配列間で少なくとも95%、
好ましくは少なくとも97%の同一性がある場合にのみ
起こることを意味する。
【0039】本発明のポリヌクレオチドアッセイについ
て本明細書でさらに説明するように、例えば、前記した
ように本発明のポリヌクレオチドは、RNA、cDNA
およびゲノムDNAのハイブリダイゼーションプローブ
として用い、SigBをコードする完全長cDNAおよ
びゲノムクローンを単離し、ならびにSigB遺伝子に
対して高度な配列類似性を有する他の遺伝子のcDNA
およびゲノムクローンを単離することができる。かかる
プローブは、一般に、少なくとも15塩基を有してな
る。好ましくは、かかるプローブは少なくとも30塩基
からなり、少なくとも50塩基を有してもよい。特に好
ましいプローブは少なくとも30塩基を有し、50以下
の塩基を有する。例えば、SigB遺伝子のコーディン
グ領域は、既知DNA配列を用いてスクリーニングし、
オリゴヌクレオチドプローブを合成することにより単離
できる。ついで、本発明の遺伝子の配列に相補的な配列
を有する標識オリゴヌクレオチドを用いて、cDNA、
ゲノムDNAまたはmRNAのライブラリーをスクリー
ニングし、ライブラリーのどのメンバーがプローブとハ
イブリダイズするかを決定する。
【0040】本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプ
チドは、さらにはポリヌクレオチドアッセイに関連して
本明細書でさらに説明するように、疾患、特にヒト疾患
の治療法および診断法の発見のための研究試薬および材
料として使用できる。配列番号1および2の配列より誘
導される、オリゴヌクレオチドである本発明のポリヌク
レオチドは、本明細書において同定されたスタフィロコ
ッカス・アウレウス遺伝子が、全体としてまたは部分的
に、感染組織にて転写されるかどうかを決定するため
に、本明細書に前記した方法にて使用できるが、好まし
くはPCRについてである。かかる配列はまた、病因が
達した感染の段階および型の診断にも有用であると思わ
れる。ポリヌクレオチドは、成熟タンパク質に、さらな
るアミノもしくはカルボキシル末端アミノ酸が加わる
か、またはその内部にアミノ酸が加わった(例えば成熟
形態が一つ以上のポリペプチド鎖を有する場合)ポリペ
プチドをコードできる。かかる配列は前駆体から成熟形
態へのタンパク質のプロセッシングにおいて役割を有
し、タンパク質を運び、タンパク質の半減期を長くした
り短くしたり、またはとりわけアッセイもしくは生成の
ためのタンパク質の操作を容易にすることができる。イ
ンビボで一般的なように、付加アミノ酸は、細胞酵素に
より成熟タンパク質からプロセッシングで取り除かれ
る。
【0041】1またはそれ以上のプロ配列と融合したポ
リペプチドの成熟形態を有する前駆体タンパク質は、ポ
リペプチドの不活性形態であってもよい。プロ配列が除
去されると、このような不活性前駆体は一般に活性化さ
れる。プロ配列のいくつかまたは全てを、活性化の前に
除去してもよい。一般に、このような前駆体はプロタン
パク質と称される。総じて、本発明のポリヌクレオチド
は成熟タンパク質、リーダー配列を加えた成熟タンパク
質(プレタンパク質と称することもできる)、プレタン
パク質のリーダー配列ではない1またはそれ以上のプロ
配列を有する成熟タンパク質の前駆体、またはリーダー
配列および1またはそれ以上のポリペプチドの活性およ
び成熟形態を生じるプロセッシング工程で除去されるプ
ロ配列を有するプロタンパク質の前駆体であるプレプロ
タンパク質をコードできる。
【0042】寄託材料 寄託は、特許手続き上の微生物寄託の国際承認に関する
ブダペスト条約の条件下で行われている。特許が発行さ
れると何らの制限または条件もなく、最終的には株は分
譲される。寄託は当業者の便宜のためにのみ提供され、
35U.S.C.112条のもとに要求されるような、
寄託が実施可能要件であることを承認するものではな
い。スタフィロコッカス・アウレウス・SigB細菌ク
ローンを含む寄託菌は、ナショナル・コレクション・オ
ブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア・
リミテッド(NCIMB)、スコットランド、アバディ
ーンAB2 1RY、マーカー・ドライブ23ストリー
トに1995年9月11日に寄託され、NCIMB受託
番号40771を付された。そのスタフィロコッカス・
アウレウス細菌クローン寄託菌を、以下、「寄託クロー
ン」または「寄託クローンのDNA」と称する。寄託材
料は、寄託して「NCIMB40771」と称される、
完全長SigBDNAを含有する菌株である。寄託材料
に含まれるポリヌクレオチドの配列、ならびにそれによ
りコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、本明細
書の配列の記載と矛盾する事象を調節するものである。
寄託材料を製造、使用または販売するためにはライセン
スが必要であるが、そのようなライセンスはここで付与
されるものではない。
【0043】ポリペプチド 本発明はさらには、各々、図2(配列番号2)に示す、
長さが256アミノ酸の推定アミノ酸配列を有するSi
gBポリペプチドに関する。本発明はまたこれらのポリ
ペプチドのフラグメント、アナログおよび誘導体にも関
する。「フラグメント」、「誘導体」および「アナロ
グ」なる用語は、図2(配列番号2)のポリペプチドを
いう場合、かかるポリペプチドと本質的に同一の生物学
的機能または活性を保持するポリペプチドを意味する。
従って、アナログは、プロタンパク質部分を切断して活
性成熟ポリペプチドを生成して活性化できるプロタンパ
ク質を包含する。
【0044】図2(配列番号2)のポリペプチドのフラ
グメント、誘導体もしくはアナログは、(i)1または
それ以上のアミノ酸残基が同類または非同類アミノ酸残
基(好ましくは同類アミノ酸残基)により置換されたも
ので、かかる置換アミノ酸残基は遺伝暗号によりコード
されたものであってもなくてもよい、または(ii)1
またはそれ以上のアミノ酸残基が置換基を含むもの、ま
たは(iii)成熟ポリペプチドが別の化合物、例えば
ポリペプチドの半減期を長くする化合物(例えばポリエ
チレングリコール)と融合したもの、または(iv)付
加アミノ酸がリーダーもしくは分泌配列、または成熟ポ
リペプチドもしくはプロタンパク質配列の精製に用いら
れる配列などの成熟ポリペプチドと融合したものであっ
てもよい。かかるフラグメント、誘導体およびアナログ
は、本明細書の教示より当業者に明らかであると考えら
れる。
【0045】この点において、本発明の特に好ましい具
体例には、図2(配列番号2)のSigBのアミノ酸配
列を有するポリペプチド、その変種、アナログ、誘導体
およびフラグメント、およびそのフラグメントの変種、
アナログおよび誘導体がある。また、この点において、
本発明の特に好ましい具体例は、SigBのアミノ酸配
列を有するポリペプチド、その変種、アナログ、誘導体
およびフラグメント、およびそのフラグメントの変種、
アナログおよび誘導体である。好ましい変種には、保存
的アミノ酸置換により対照標準と異なる変種がある。か
かる置換は、ポリペプチドの所定のアミノ酸を特性の類
似した別のアミノ酸で置換したものである。典型的に
は、保存的置換として認められるのは、脂肪族アミノ酸
Ala、Val、LeuおよびIle間での相互の置き
換え;ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸
性残基AspおよびGluの取り替え、アミド残基As
nおよびGln間での置換、塩基性残基LysおよびA
rgの取り替えおよび芳香族残基Phe、Tyr間での
置き換えである。
【0046】この点においてさらに好ましいのは、数
個、わずかな、5〜10、1〜5、1〜3、2、1また
は0個のアミノ酸残基をいずれか組み合わせて置換、欠
失または付加した、図2(配列番号2)のSigBポリ
ペプチドのアミノ酸配列を有する、変種、アナログ、誘
導体およびフラグメント、ならびにそのフラグメントの
変種、アナログおよび誘導体である。これらの中でもと
りわけ好ましいのは、SigBの特性および活性を変化
させないサイレント置換、付加および欠失である。また
この点において特に好ましいのは、保存的置換である。
最も好ましいのは、置換していない図2(配列番号2)
のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。本発明の
ポリペプチドおよびポリヌクレオチドは単離形態で提供
されるのが好ましく、均質になるまで精製するのが好ま
しい。
【0047】本発明のポリペプチドは、図2(配列番号
2)のポリペプチド(特に成熟ポリペプチド)ならびに
図2(配列番号2)のポリペプチドに対して少なくとも
70%の同一性を有するポリペプチド、好ましくは図2
(配列番号2)のポリペプチドに対して少なくとも80
%の同一性、さらに好ましくは図2(配列番号2)のポ
リペプチドに対して少なくとも90%の類似性(さらに
好ましくは少なくとも90%の同一性)、その上さらに
好ましくは図2(配列番号2)のポリペプチドに対して
少なくとも95%の類似性(その上さらに好ましくは9
5%の同一性)を有するポリペプチドを包含し、また一
般に少なくとも30個のアミノ酸、さらに好ましくは少
なくとも50個の連続アミノ酸を含むポリペプチドのそ
のような部分を有する、かかるポリペプチドの部分も包
含する。本発明のポリペプチドのフラグメントまたは部
分は、ペプチド合成により対応する完全長のポリペプチ
ドを製造するのに用いることができる;従って、該フラ
グメントは完全長のポリペプチドを製造するための中間
体として用いることができる。本発明のポリヌクレオチ
ドのフラグメントまたは部分を用いて本発明の完全長の
ポリヌクレオチドを合成することができる。
【0048】フラグメント また本発明のこの態様の好ましい具体例には、SigB
のフラグメント、特に図2(配列番号2)に示すアミノ
酸を有するSigBのフラグメント、および図2(配列
番号2)のSigBの変種および誘導体のフラグメント
を有してなるポリペプチドがある。この点において、フ
ラグメントは前記のSigBポリペプチドおよびその変
種または誘導体のアミノ酸配列が、全てではなく一部に
対して全く同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドである。
【0049】かかるフラグメントは、「自立してい
る」、すなわち他のアミノ酸またはポリペプチドの一部
ではないか、もしくはそれに融合しておらず、または一
部もしくは領域を形成するより大きなポリペプチド内に
含まれていてもよい。より大きなポリペプチド内に含ま
れる場合、本明細書で説明するフラグメントは単一の連
続した領域を形成するのが最も好ましい。しかしなが
ら、数個のフラグメントが単一の、より大きなポリペプ
チド内に含まれてもよい。例えば、ある好ましい具体例
は、SigBのフラグメントのアミノ末端に融合した異
型のプレおよびプロポリペプチド領域、および該フラグ
メントのカルボキシル末端に融合した付加領域を有し、
宿主中に発現するように設計された前駆体ポリペプチド
内に含まれる本発明のSigBポリペプチドのフラグメ
ントに関する。従って、本明細書の意図するところの一
の態様におけるフラグメントは、SigB由来の融合ポ
リペプチドまたは融合タンパク質の一つのまたは複数の
部分を意味する。
【0050】本発明のポリペプチドフラグメントの代表
例として、例えば、約1〜20、21〜40、41〜6
0、61〜80、81〜100および101〜256の
アミノ酸の数のフラグメントおよびこれらの20個のア
ミノ酸フラグメントの組み合わせが挙げられる。これに
関して、「約」は、特に、言及した範囲、およびどちら
かの末端または両方の末端で数個、わずかな、5、4、
3、2または1個のアミノ酸が多いまたは少ない範囲を
包含する。
【0051】本発明の好ましいフラグメントは、例え
ば、SigBの切断ポリペプチドを包含する。切断ポリ
ペプチドは、アミノ末端を含む残基の一連の残基(すな
わち、連続領域、一部または部分)もしくはカルボキシ
ル末端を含む一連の残基の欠失、または二重切断突然変
異体のように一つはアミノ末端を含み、一つはカルボキ
シル末端を含む二つの連続した一連の残基の欠失を除け
ば、図2のアミノ酸配列を有するSigBポリペプチ
ド、またはその変種もしくは誘導体を包含する。前記し
た大きさの範囲のフラグメントもまた切断フラグメント
の好ましい具体例であり、一般に、フラグメントの中で
も特に好ましい。宿主細胞、特にスタフィロコッカスに
おける本発明のポリヌクレオチドの減成形態もまた好ま
しい。
【0052】また本発明のこの態様にて、SigBの構
造的または機能的属性により特徴づけられるフラグメン
トも好ましい。この点において本発明の好ましい具体例
は、SigBのアルファーヘリックスおよびアルファー
ヘリックス形成領域、ベータシートおよびベータシート
形成領域、ターンおよびターン形成領域、コイルおよび
コイル形成領域、親水領域、疎水領域、アルファー両親
媒性領域、ベータ両親媒性領域、可変領域、界面形成領
域、基質結合領域および高抗原指数領域からなるフラグ
メントおよびかかるフラグメントの組み合わせを包含す
る。
【0053】さらに好ましい領域は、SigBの活性を
媒介する領域である。この点において、類似活性もしく
は改善された活性を有するもの、または望ましくない活
性を減じたフラグメントを含め、SigBの化学的、生
物学的またはその他の活性を有するフラグメントが最も
好ましい。さらに好ましいポリヌクレオチドフラグメン
トは、動物特にヒトにおいて抗原的または免疫原的であ
るフラグメントである。本発明はまた、とりわけ、前記
のフラグメントをコードするポリヌクレオチド、そのフ
ラグメントをコードするポリヌクレオチドにハイブリダ
イゼーションするポリヌクレオチド、特にストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレ
オチド、およびそのフラグメントをコードするポリヌク
レオチドを増幅するためのPCRプライマーなどのポリ
ヌクレオチドに関する。この点において、好ましいポリ
ヌクレオチドは、前記するような、好ましいフラグメン
トに対応するポリヌクレオチドである。
【0054】ベクター、宿主細胞、発現 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドまたは複数の
ポリヌクレオチドを有してなるベクター、本発明のベク
ターで遺伝子操作される宿主細胞および組換え技術によ
る本発明のポリペプチドの製造にも関する。宿主細胞
は、遺伝子操作して、ポリヌクレオチドを組み込み、本
発明のポリペプチドを発現することができる。ポリヌク
レオチドの宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトラ
ンスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トラン
スフェクション、トランスベクション、マイクロインジ
ェクション、陽イオン脂質媒介トランスフェクション、
エレクトロポレーション、トランスダクション、スクレ
ープ・ローディング、弾道導入、感染または他の方法に
より行うことができる。かかる方法は多くの標準的実験
室マニュアル、例えば、Davisら、Basic Methodsin Mol
ecular Biology,(1986)およびSambrookら、Molecula
r Cloning;A Laboratory Manual、第2版;コールド・
スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コール
ド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク(1989)に記
載されている。
【0055】宿主細胞内のポリヌクレオチド構築物を従
来の方法に用いて、組換え配列によりコードされる遺伝
子産物を製造することができる。また、本発明のポリペ
プチドは従来のペプチド合成により合成的に製造でき
る。成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌また
は他の細胞中、適当なプロモーターの制御下で発現させ
ることができる。無細胞翻訳系を用いて、本発明のDN
A構築物に由来するRNAを用いてかかるタンパク質を
製造することもできる。原核および真核生物宿主で用い
る適当なクローニングおよび発現ベクターは、Sambrook
ら、Molecular Cloning :A Laboratory Manual,第2
版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・
プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨー
ク(1989)に記載されている。
【0056】本発明のこの態様によれば、ベクターは、
例えば、プラスミドベクター、一本鎖または二本鎖ファ
ージベクター、一本鎖または二本鎖RNAまたはDNA
ウイルスベクターであってもよい。プラスミドは、一般
に、当業者に馴染みの標準的命名法に従って、小文字p
を前に、および/または大文字および/または数字が続
くようにデザインされている。本明細書に記載の出発プ
ラスミドは、市販されているか、汎用されているか、ま
たは周知の公知操作を汎用することにより利用可能なプ
ラスミドより構築することができる。本発明に従って用
いることのできる、多くのプラスミドおよび他のクロー
ニングおよび発現ベクターが周知であり、当業者であれ
ば容易に利用することもできる。
【0057】ある点において中でも好ましいベクター
は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチの発現
のためのベクターである。一般に、かかるべクターは、
発現させるべきポリヌクレオチドに機能的に連結した、
宿主における発現に有効なシス作用調節領域を有してな
る。適当なトランス作用因子は宿主により供給される
か、補足ベクターにより供給されるか、または宿主への
導入時にベクター自身により供給されるかのいずれかで
ある。この点におけるある好ましい具体例では、ベクタ
ーは特異的発現を提供する。かかる特異的発現は、誘導
可能な発現であるか、もしくはある型の細胞でのみ発現
するか、または誘導可能かつ細胞特異性の両方での発現
であってもよい。誘導可能なベクターのうち、特に好ま
しいベクターは、温度および栄養添加物などの操作が容
易である環境因子により発現を誘導できるベクターであ
る。本発明のこの態様に適当な種々ベクターは、原核お
よび真核宿主で用いられる構成および誘導可能な発現ベ
クターを含め、当業者に周知であり、かつ慣用されてい
る。
【0058】非常に多くの種類の発現ベクターを用い
て、本発明のポリペプチドを発現できる。かかるベクタ
ーには、とりわけ染色体、エピソームおよびウイルス由
来のベクター、例えば細菌プラスミド由来、バクテリオ
ファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由
来、挿入エレメント由来、酵母染色体エレメント由来、
例えばバキュロウイルス、SV40などのパポーウイル
ス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ニワトリポ
ックスウイルス、偽狂犬病ウイルスおよびレトロウイル
ス等のウイルス由来のベクター、ならびにコスミドおよ
びファージミド(phagemids)のプラスミドおよびバク
テリオファージ遺伝的エレメント由来のベクターのごと
き、その組み合わせに由来するベクターがあり、全て本
発明のこの態様に準じた発現に用いることができる。一
般に、宿主にてポリペプチドを発現するためにポリヌク
レオチドを保持、伸長または発現するのに適したいずれ
のベクターも、この点における発現に使用できる。
【0059】適当なDNA配列は、例えば、Sambrook
ら、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2
版;コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・
プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨー
ク(1989)に記載されている方法などの種々の周知かつ
慣用的技法によりベクターに挿入できる。発現ベクター
におけるDNA配列は、例えば、プロモーターを含め、
適当な発現調節配列(複数でも可)に機能的に連結し、
mRNA転写を指令する。かかるプロモーターの代表例
としては、ファージラムダPLプロモーター、イー・コ
リ・lac、trpおよびtacプロモーター、SV4
0初期および後期プロモーターならびにレトロウイルス
LTRのプロモーターが挙げられるが、これに限定され
ない。一般に、発現構築物は転写開始および終止部位を
含み、転写された領域では翻訳のためのリボソーム結合
部位を含む。構築物により発現される成熟転写物のコー
ディング部分は、開始部分に翻訳開始AUG、そして翻
訳されるべきポリペプチドの終末部分に適当に位置する
終止コドンを含む。
【0060】加えて、構築物は、発現を制御および誘起
する調節領域を含有してもよい。一般に、多くの常套手
段によれば、かかる領域は、転写、例えばとりわけ転写
因子、レプレッサー結合部位および終止部位を調節する
ことにより機能するであろう。伸長および発現のための
ベクターは、一般に、選択可能なマーカーおよび増幅領
域、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning;A Labor
atory Manual、第2版;コールド・スプリング・ハーバ
ー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハ
ーバー、ニューヨーク(1989)に記載されている領域を
有するであろう。適当な宿主の代表例は、細菌細胞、例
えばストレプトコッカス(レンサ球菌)、スタフィロコ
ッカス(ブドウ球菌)、イー・コリ(大腸菌)、ストレ
プトマイセスおよびサルモネラ・チフィムリウム細胞;
真菌細胞、例えば酵母細胞およびアスペルギルス細胞;
昆虫細胞、例えばドロソフィラS2およびスポドプテラ
Sf9細胞;動物細胞、例えばCHO、COS、HeL
a、C127、3T3、BHK、293およびボーウェス
(Bows)黒色腫細胞;ならびに植物細胞を包含する。
【0061】市販されている以下のベクターを例示とし
て示す。細菌中で使用するのに好ましいベクターには、
キアゲン(Qiagen)より入手可能なpQE70、pQE
60およびpQE−9;ストラタジン(Stratagene)
より入手可能なpBSベクター、ファージェスクリプト
(Phagescript)ベクター、ブルースクリプト(Bluescr
ipt)ベクター、pNH8A、pNH16a、pNH1
8AおよびpNH46A;ならびにファルマシア(Pharm
acia)より入手可能なptrc99a、pKK223−
3、pKK233−3、pDR540、pRIT5;お
よびpBR322(ATCC37017)がある。好ま
しい真核生物ベクターには、ストラタジンより入手可能
なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT
1およびpSG;ならびにファルマシアより入手可能な
pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLがあ
る。これらのベクターは単に多くの市販されている周知
のベクターを例示するために列挙してあるにすぎず、本
発明のこの態様に従って使用するのに、当業者に入手可
能なベクターである。宿主にて本発明のポリヌクレオチ
ドまたはポリペプチドを、例えば、導入、保持、伸長ま
たは発現するのに適した他のプラスミドまたはベクター
が、本発明のこの態様において使用できることは理解さ
れよう。
【0062】制限部位または候補プロモーター(candid
ate promoter)フラグメント、すなわちプロモーターを
有するかもしれないフラグメントを導入するための部位
の下流に、プロモーター領域を欠いたリポーター転写ユ
ニット、例えばクロラムフェニコールアセチルトランス
フェラーゼ(「CAT」)転写ユニットを含有するベク
ターを用いて、いずれか望ましい遺伝子からプロモータ
ー領域を選択することができる。周知のように、プロモ
ター含有フラグメントをcat遺伝子の上流の制限部位
でベクターに導入すると、CAT活性の産生を引き起こ
し、その活性は標準的なCATアッセイにより検出でき
る。pKK232−8およびpCM7などのこの目的に
適するベクターが周知であり、容易に入手可能である。
本発明のポリヌクレオチドを発現するためのプロモータ
ーには、周知の容易に入手できるプロモーターのみなら
ず、リポーター遺伝子を用いて前記の技術により容易に
得ることができるプロモーターもある。
【0063】本発明に係るポリヌクレオチドおよびポリ
ペプチドの発現に適した公知の原核生物プロモーターに
は、イー・コリlacIおよびlacZならびにプロモ
ーター、T3およびT7プロモーター、gptプロモー
ター、ラムダPR、PLプロモーターおよびtrpプロ
モーターがある。この点において適当な公知の真核生物
プロモーターには、CMV即時型プロモーター、HSV
チミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV4
0プロモーター、レトロウイルスLTRのプロモータ
ー、例えばラウス肉腫ウイルス(「RSV」)のプロモ
ーターならびにメタロチオネインプロモーター例えばマ
ウスメタロチオネイン−Iプロモーターがある。組換え
発現ベクターは、例えば、複製起点、好ましくは、高発
現遺伝子に由来し、下流の構造配列の転写を指令するプ
ロモーターおよびベクターに暴露した後の細胞を含有す
るベクターの単離を可能とする選択可能なマーカーを含
む。
【0064】本発明のポリペプチドの異種構造配列をコ
ードする本発明のポリヌクレオチドを、一般に、標準法
を用いてベクターに挿入し、発現用プロモーターに機能
的に連結させる。ポリヌクレオチドを、転写開始部位が
リボソーム結合部位に対して適宜5′にあるように位置
させる。リボソーム結合部位は、発現させるべきポリペ
プチドの翻訳を開始するAUGの5′にある。一般に、
開始コドン、通常AUGで始まり、リボソーム結合部位
および開始AUGの間にある、オープンリーディングフ
レームは他にない。また、一般に、ポリペプチドの末端
に翻訳停止コドンがあり、真核生物宿主で用いられる構
築物中に、ポリアデニル化シグナルがあるであろう。転
写領域の3′末端に適宜配置される転写終止シグナルは
また、ポリヌクレオチド構築物に含まれていてもよい。
【0065】翻訳タンパク質を、小胞体内腔、周辺腔ま
たは細胞外環境へ分泌するために、適当な分泌シグナル
が発現するポリペプチドに組み込まれていてもよい。こ
れらのシグナルはポリペプチドに内在性であってもよ
く、または異種シグナルであってもよい。ポリペプチド
は、修飾された形態、例えば融合タンパク質の形態で発
現してもよく、分泌シグナルのみならず付加的な異種機
能性領域を有していてもよい。このように、例えば付加
アミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域を、ポリペプチドの
C−またはN−末端に付加し、精製中またはその後の操
作および貯蔵中の、宿主細胞内での安定性および持続性
を改善する。また、精製を容易にするために、ポリペプ
チドに領域を付加することもできる。かかる領域はポリ
ペプチドの最終的な調製の前に除去できる。ペプチド部
分をポリペプチドに付加し、とりわけ、分泌または放出
を誘起し、安定性を改善するかまたは精製を容易にする
のは、当該分野でよくあることであり、慣用される技術
である。好ましい融合タンパク質は、ポリペプチドを可
溶化または精製するのに有用な免疫グロブリンに由来す
る異種領域を有してなる。例えばEP−A−0464
533(カナダ国の対応特許2045869)は、免疫
グロブリン分子の定常領域の種々の部分と、別のタンパ
ク質またはその一部とからなる融合タンパク質を開示す
る。薬物の開発において、例えば、タンパク質を、高処
理能力スクリーニングアッセイの目的で抗体のFc部分
と融合させ、アンタゴニストを同定することができる。
D.Bennettら、Journal of Molecular Recognition,8
巻:52-58(1995)およびK.Johansonら、TheJournal of
Biological Chemistry,270巻(16):9459-9471(199
5)を参照のこと。
【0066】ついで、典型的には、細胞を遠心分離によ
り収穫し、物理的または化学的手段により破壊し、得ら
れた粗抽出物をさらに精製するために保持する。タンパ
ク質の発現に用いた微生物細胞は、凍結−融解サイク
ル、ソニケーション、機械的破壊または細胞溶解剤の使
用を含め、常法により破壊でき、かかる方法は当業者に
周知である。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、適当
なプロモーターおよびエンハンサーを有していてもよ
く、さらにいずれかの必須リボソーム結合部位、ポリア
デニル化部位、スプライス供与部位および受容部位、転
写終止配列および発現に必要な5’非転写配列を有して
いてもよい。SigBポリペプチドは、硫酸アンモニウ
ムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イ
オン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマ
トグラフィー、疎水相互作用クロマトグラフィー、アフ
ィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイ
トクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィ
ーを含む、周知方法により、組換え細胞培養物から回収
かつ精製できる。最も好ましくは、高性能液体クロマト
グラフィーを精製に用いる。ポリペプチドが単離および
/または精製中に変性する場合、再び活性なコンホメー
ションを得るために、タンパク質を再生するための周知
の技術を用いることができる。
【0067】ポリヌクレオチドアッセイ 本発明はまた、例えば診断用試薬として相補的ポリヌク
レオチドを検出するためのSigBポリヌクレオチドの
使用にも関する。真核生物、特に哺乳動物、特にヒトに
おいてSigBを検出することにより、疾患の診断方法
が得られるであろう。SigB遺伝子を有する生物に感
染した真核生物(本明細書において「個体」とも称す
る)、特に哺乳動物、特にヒトを、種々の技術により、
DNAまたはRNAレベルで検出できる。診断用の核酸
は感染した個体の細胞および組織、例えば骨、血液、筋
肉、軟骨および皮膚から入手できる。ゲノムDNAは検
出に直接使用してもよく、または分析前にPCRを用い
て酵素的に増幅させてもよい(Saikiら、Nature 324:1
63-166(1986))。RNAまたはcDNAもまた同様に
用いることができる。一例として、SigBをコードす
る核酸に相補的なPCRプライマーを用いて、SigB
の存在および/または発現を同定および分析できる。P
CRを用いて、真核生物、特に哺乳動物、特にヒトに存
在する原核生物の株を、原核生物遺伝子の遺伝子型の分
析により特徴づけできる。例えば、対照標準の配列の遺
伝子型と比較し、増幅産物の大きさの変化により欠失お
よび挿入を検出できる。点突然変異は増幅したDNAを
放射標識したSigB RNAに、また別法として放射
標識したSigBアンチセンス DNAにハイブリダイ
ゼーションすることにより同定できる。完全に対合する
配列は、RNaseA消化により、または融解温度の差異
により、誤対合二重らせんと区別できる。
【0068】対照標準の遺伝子および突然変異を有する
遺伝子間の配列の違いはまた、直接的DNA配列決定に
より明らかにすることもできる。加えて、クローン化D
NAセグメントを特異的DNAセグメントを検出するた
めのプローブとして用いることができる。かかる方法の
感度は、PCRまたは別の増幅法を適宜使用することに
より、非常に増強させることができる。例えば、配列決
定プライマーを二本鎖PCR生成物または修飾PCRに
より生じた一本鎖鋳型分子と共に用いる。配列決定は、
放射標識したヌクレオチドを用いる従来の方法により、
または蛍光タグを用いる自動配列決定法により行うこと
ができる。DNA配列の差異に基づく遺伝的特徴付け
は、変性剤を含むまたは含まないゲル中のDNAフラグ
メントの電気泳動度の変化を検出することにより達成で
きる。小さな配列の欠失および挿入は高分解ゲル電気泳
動により可視化できる。種々の配列のDNAフラグメント
は、その個々の融解または部分的融解温度によって、種
々のDNAフラグメントの移動度がゲル中の異なる位置
で遅れる、変性ホルムアミド勾配ゲル上にて区別できる
(例えばMeyersら、Science,230:1242(1985)参
照)。
【0069】特異的な位置での配列の変化はまた、RN
aseおよびS1保護などのヌクレアーゼ保護アッセイま
たは化学的切断法によって明らかにすることができる
(例えば、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,85:43
97-4401(1985))。このように、ハイブリダイゼーシ
ョン、RNase保護、化学的切断、直接的DNA配列決
定または制限酵素の使用、例えば、制限フラグメント長
多形性(restriction fragment length polymorphism
「RFLP」)およびゲノムDNAのサザンブロッティ
ングなどの方法により、特異的DNA配列を検出でき
る。従来のゲル電気泳動法およびDNA配列決定法に加
えて、突然変異をまたインサイトウ分析(in situ anal
ysis)により検出することもできる。
【0070】本発明の遺伝子の突然変異または多形型を
有する細胞をまた、例えば、抗原型決定を可能とする種
々の技法により、DNAレベルで検出することもできる。
例えば、RT−PCRを突然変異を検出するのに使用で
きる。RT−PCRを、例えば、GeneScanなどの自動
検出系と組み合わせて用いるのが特に好ましい。RNA
またはcDNAもまた同じ目的でPCRまたはRT−P
CRに用いることができる。一例として、SigBをコ
ードする核酸に相補的なPCRプライマーを公知方法を
用いて製造し、突然変異を同定および分析するのに用い
る。これらのプライマーは個体由来のサンプルから単離
したSigB DNAを増幅させるのに用いることがで
きる。本発明はまた、これらのプライマーの5′および
/または3′末端から除去した1、2、3または4個の
ヌクレオチドを有するプライマーも提供する。該プライ
マーを用いて個体から単離した遺伝子を増幅し、ついで
その遺伝子をDNA配列を明らかにするための種々の技法
に供してもよい。このようにして、DNA配列における
突然変異を診断してもよい。
【0071】本発明は、疾患、好ましくは細菌感染、さ
らに好ましくはスタフィロコッカス・アウレウス感染、
最も好ましくは上気道疾患(例えば、中耳炎、細菌性気
管炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道疾患(例え
ば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓疾患(例えば、感染性心内
膜炎)、胃腸疾患(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、腹
膜後膿瘍)、CNS疾患(例えば、大脳膿瘍)、眼疾患
(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、眼内炎、前中隔お
よび眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管疾患(例え
ば、副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショ
ック症候群)、皮膚疾患(例えば、膿痂疹、毛嚢炎、皮
膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、骨および関
節疾患(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)を診断する
方法であって、個体から由来のサンプルより、図1(配
列番号1)の配列を有するポリヌクレオチドの発現レベ
ルの増加を測定することからなる方法を提供する。Si
gBポリヌクレオチドの発現の増加は、例えば、PC
R、RT−PCR、RNase保護、ノーザンブロッティ
ングおよび他のハイブリダイゼーションなどのポリヌク
レオチドの定量について当該分野にて周知の方法を用い
て測定することができる。
【0072】ポリペプチドアッセイ 本発明はまた、正常および異常なレベルの測定を含め、
細胞および組織中のSigBタンパク質のレベルを検出
するための定量および診断アッセイなどの診断アッセイ
に関する。このように、例えば、正常な対照標準の組織
サンプルと比較し、SigBタンパク質の過剰発現を検
出することについて本発明に係る診断アッセイを用い
て、感染の存在を検出することができる。宿主由来のサ
ンプル中のSigBタンパク質のレベルを測定するため
に用いることができるアッセイ技法は当業者に周知であ
る。かかるアッセイ方法は、ラジオイムノアッセイ、競
合結合アッセイ、ウエスタンブロット分析およびELI
SAアッセイを包含する。このうちELISAが好まし
い。ELISAアッセイではまず、SigBに特異的な
抗体、好ましくはモノクローナル抗体を調製する。加え
て、一般に、モノクローナル抗体に結合するリポーター
抗体が調製される。リポーター抗体は放射活性、蛍光ま
たは酵素試薬、この例においては西洋ワサビペルオキシ
ダーゼなどの検出可能な試薬に結合する。
【0073】抗体 ポリペプチド、そのフラグメントもしくは他の誘導体、
またはそのアナログ、またはそれらを発現する細胞は、
それらに対する抗体を生成する免疫原として用いること
ができる。本発明は、例えば、モノクローナルおよびポ
リクローナル抗体、キメラ、一本鎖およびヒト化抗体、
ならびにFabフラグメントまたはFab発現ライブラ
リーの産物を包含する。発明の配列に対応するポリペプ
チドに拮抗して得られる抗体は、ポリペプチドを、動物
に直接注射するかまたは該ポリペプチドを動物、好まし
くはヒト以外の動物に投与することにより得ることがで
きる。このようにして得られた抗体はポリペプチドその
物と結合する。この方法ではポリペプチドのフラグメン
トのみをコードする配列であっても元のポリペプチド全
体に結合する抗体の生成に用いることができる。かかる
抗体を用いて、ポリペプチドを発現する組織から該ポリ
ペプチドを単離することができる。
【0074】モノクローナル抗体を調製するには、連続
的細胞系培養により産生される抗体を提供する当該分野
において公知のいずれかの技術を用いることができる。
例えば、Kohler,G.およびMilstein,C.,Nature,256:
495-497(1975);Kozborら、Immunology Today,4:72
(1983));Coleら、Monoclonal Antibodies and Canc
er Therapy,Alan R Liss,Inc.、77-96頁(1985)に記
載の方法などの種々の方法が挙げられる。一本鎖抗体の
生成のために記載された技術(米国特許第494677
8号)を適用して、本発明の免疫原性ポリペプチド産物
に対する一本鎖抗体を産生することができる。また、ト
ランスジェニックマウスまたは他の哺乳動物などの他の
生物を用いて、本発明の免疫原性ポリペプチド産物に対
するヒト化抗体を発現することができる。
【0075】別法として、ファージディスプレイ技術を
利用して、抗Fbpの保持に関してスクリーニングした
ヒト由来のリンパ球のPCR増幅したv−遺伝子のレパ
ートリー由来の、または未処理のライブラリー由来のポ
リペプチドに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選択
することができる(McCafferty,J.ら、Nature 348:552
-554(1990);Marks,J.ら、Biotechnology 10:779-78
3(1992))。これらの抗体の親和性は、チェーンシャ
フリング(chain shuffling)(Clackson,T.ら、Nature
352:624-628(1991))により改善することもでき
る。2つの抗原結合ドメインがあるならば、各ドメイン
を、「二特異的」抗体と称される、異なるエピトープに
向けることができる。
【0076】前記の抗体を用いて、本発明のポリペプチ
ドを発現するクローンを単離もしくは同定し、アフィニ
ティクロマトグラフィーにより該抗体を単離および/ま
たは精製するための固体支持体に結合させることで、該
ポリペプチドを精製することができる。従って、とりわ
けSigBに対する抗体を用いて、感染、特に細菌感
染、とりわけ上気道疾患(例えば、中耳炎、細菌性気管
炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道疾患(例えば、
蓄膿症、肺膿瘍)、心臓疾患(例えば、感染性心内膜
炎)、胃腸疾患(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、腹膜
後膿瘍)、CNS疾患(例えば、大脳膿瘍)、眼疾患
(例えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、眼内炎、前中隔お
よび眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管疾患(例え
ば、副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショ
ック症候群)、皮膚疾患(例えば、膿痂疹、毛嚢炎、皮
膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、骨および関
節疾患(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)を阻害およ
び/または治療することができる。
【0077】ポリペプチド誘導体は、本発明の特定の態
様を形成する、抗原的に、エピトープ的にまたは免疫学
的に等価な誘導体を包含する。本明細書で用いる「抗原
的に等価な誘導体」なる用語は、本発明に従って、タン
パク質またはポリペプチドに対して誘起された場合、病
原体および哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用
を、直接的または間接的に妨げるある種の抗体により特
異的に認識されるであろうポリペプチドまたはそれの同
等物を包含する。本明細書で用いる「免疫学的に等価な
誘導体」なる用語は、脊椎動物において抗体を誘起させ
るのに適した処方にて用いた場合、抗体が病原体および
哺乳動物宿主間での即時的な物理的相互作用を直接的ま
たは間接的に妨げるように作用するペプチドまたはそれ
の同等物を包含する。
【0078】ポリペプチド、例えば抗原的または免疫学
的に等価な誘導体またはその融合タンパク質は、マウス
またはその他の動物、例えばラットもしくはニワトリを
免疫するための抗原として使用できる。融合タンパク質
はポリペプチドに安定性を付与できる。抗原は、例え
ば、接合することにより、免疫原性キャリヤタンパク
質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホ
ール・リムペット・ヘモシアニン(keyhole limpet hae
mocyanin:KLH)に結合させることができる。別法と
して、タンパク質もしくはポリペプチド、またはその抗
原的もしくは免疫学的に等価なポリペプチドの多重コピ
ーを含む多重抗原性ペプチドは、免疫原生を改良するた
めに十分な抗原性を有しており、キャリヤーを使用しな
くてすむ。
【0079】抗体またはその誘導体を修飾して、個体に
おける免疫原性を低下させるのが好ましい。例えば、個
体がヒトである場合、抗体は「ヒト化」されているのが
最も好ましく;その場合、ハイブリドーマ由来の抗体の
相補性決定領域(複数でも可)がヒトモノクローナル抗
体に移されており、例えば、Jones,P.ら、Nature 32
1:522-525(1986)またはTempestら、Biotechnology
9:266-273(1991)に記載されている。本発明のポリヌ
クレオチドを遺伝的免疫に使用する場合、好ましくは、
例えばプラスミドDNAの筋肉への直接注射(Wolff
ら、Hum.Mol.Genet.1:363(1992);Manthorpeら、Hum.
Gene Ther.4:419(1963))、特異的タンパク質キャリ
ヤを複合させたDNAの送達(Wuら、J.Biol.Chem.26
4:16985(1989))、リン酸カルシウムを用いるDNA
共沈(Benvenisty & Reshef、PNAS (USA)83:9551(1
986))、種々の形態のリポソーム中のDNA封入化(K
anedaら、Science 243:375(1989))、微粒子爆撃(T
angら、Nature 356:152(1992);Eisenbraunら、DNA
Cell Biol.12:791(1993))およびクローン化レトロ
ウイルスを用いたインビボ感染(Seegerら、PNAS (US
A)81:5849(1984))などの適当な送達方法を用い
る。
【0080】SigB結合分子およびアッセイ 本発明はまた、SigBに結合する結合分子などの分子
の同定方法をも提供する。SigBに結合するタンパク
質は、当業者に公知の多くの方法、例えばリガンドパン
ニングおよびFACSソーティングより同定できる。か
かる方法は多くの実験室マニュアル、例えば、Coligan
ら、Current Protocols in Immunology、1(2):第5章
(1991)に記載されている。また、標識されたリガンド
を細胞抽出物に光親和性結合させることもできる。ま
た、本発明のポリペプチドを用いて、細胞中、または無
細胞調製物中の、SigB結合分子のSigB結合能力
を評価することができる。本発明のポリペプチドを用い
て、例えば、細胞、無細胞調製物、化学的ライブラリ
ー、および天然の生成物混合物中の小型分子基質とリガ
ンドとの結合を評価することもできる。
【0081】アンタゴニストおよびアゴニスト−アッセ
イおよび分子 本発明はまたSigBポリペプチドまたはポリヌクレオ
チドの作用を亢進(アゴニスト)または遮断(アンタゴ
ニスト)する化合物を同定するための化合物のスクリー
ニング方法をも提供する。例えば、アゴニストまたはア
ンタゴニストをスクリーニングするために、膜、細胞エ
ンベロープもしくは細胞壁のごとき細胞コンパートメン
ト、またはそれらのいずれかの調製物を、SigBに結
合する分子を発現する細胞より調製することができる。
該調製物を、SigBアゴニストまたはアンタゴニスト
であるかもしれない候補分子の存在下または不在下で標
識したSigBと一緒にインキュベーションする。候補
分子が結合分子に結合する能力は、標識リガンドの結合
の低下に反映される。結合しても影響を及ぼさない分
子、すなわちSigB結合分子の結合において、Sig
Bの効果を誘起しない分子は、ほとんどの場合、良好な
アンタゴニストであろう。よく結合し、SigBと同じ
または密接に関連する効果を誘起する分子はアゴニスト
である。
【0082】潜在的アゴニストおよびアンタゴニストの
SigB様効果は、例えば、候補分子と細胞または適当
な細胞調製物との相互反応の後の、リポーターシステム
の活性を測定し、SigBまたはSigBと同じ効果を
惹起する分子の効果を比較することにより測定される。
この点に関して有用なリポーターシステムは、生成物に
転換される比色標識基質、SigB活性の変化に応答す
るリポーター遺伝子、および当該分野で公知の結合アッ
セイを包含するが、これらに限定するものではない。S
igBアンタゴニストのアッセイの別の例は、競争阻害
アッセイに適した条件下で、SigBおよび潜在的なア
ンタゴニストを、膜結合SigB結合分子、組換えSi
gB結合分子、天然基質もしくはリガンド、または基質
もしくはリガンド擬似物質と混合する、競合アッセイで
ある。SigBを例えば放射活性または比色化合物によ
り標識し、結合分子に結合した、または生成物に変換し
たSigB分子の数を正確に決定して、潜在的なアンタ
ゴニストの効果を評価できる。
【0083】潜在的なアンタゴニストは、本発明のポリ
ペプチドに結合し、それによりその活性を阻害し、消滅
させる小有機分子、ペプチド、ポリペプチドおよび抗体
を包含する。潜在的アンタゴニストはまた、SigB誘
発活性を誘導しない結合分子のような、結合分子の同一
部位に結合し、SigBを結合より排除することにより
SigBの作用を妨げる、密接に関連したタンパク質ま
たは抗体のような小有機分子、ペプチド、ポリペプチド
であってもよい。潜在的なアンタゴニストは、ポリペプ
チドの結合部位に結合して占領し、それにより細胞性結
合分子への結合を妨げ、正常な生物学的活性を妨げる小
分子を包含する。小分子の例は、小有機分子、ペプチ
ド、ペプチド様分子を包含するが、これらに限定するも
のではない。その他の潜在的なアンタゴニストはアンチ
センス分子を包含する(これらの分子についての記載に
関しては、Okano,J.,Neurochem. 56:60(1991);Oli
godeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene
Expression,CRCプレス、ボッカラートン、フロリ
ダ州(1988)を参照のこと)。好ましい潜在的アンタゴ
ニストは、SigBに関連する化合物およびその誘導体
を包含する。
【0084】特定の態様において、本発明は、感染の続
発症に関与する、病因および哺乳動物宿主間の最初の物
理的相互作用を、直接的または間接的に妨害するための
本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは阻害物
質の使用を提供する。特に本発明の分子を、i)細菌、
特にグラム陽性細菌の内在装置上の哺乳動物細胞外マト
リックスタンパク質、または創傷部の細胞外マトリック
スタンパク質への付着の妨げ;ii)例えば、哺乳動物チ
ロシンキナーゼのリン酸化の開始により、哺乳動物細胞
侵入を媒介するシグマ因子タンパク質の遮断(Rosenshi
neら、Infect.Immun.60:2211(1992));iii)哺乳動物
細胞外マトリックスタンパク質と組織損傷を媒介する細
菌性シグマ因子タンパク質との間の細菌付着の遮断;i
v)内在装置の埋め込みまたはその他の手術以外により
開始した感染における病因の正常な進行の遮断に使用す
ることができる。
【0085】本明細書で提供する各々のDNA配列は抗
細菌化合物の発見および開発に用いることができる。発
現時に、コーディングされたタンパク質は、抗菌薬物の
スクリーニングのための目的物質として用いることがで
きる。加えて、コーディングされたタンパク質もしくは
Shine-Delgarnoまたはその他の個々のmRNAの翻訳容
易化配列のアミノ末端領域をコードするDNA配列を用
いて、目的のコーディング配列の発現を調節するアンチ
センス配列を構築することができる。アンタゴニストお
よびアゴニストは、例えば、上気道疾患(例えば中耳
炎、細菌性気管炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道
疾患(例えば蓄膿症、肺膿瘍)、心臓疾患(例えば感染
性心内膜炎)、胃腸疾患(例えば分泌性下痢、脾臓膿
瘍、腹膜後膿瘍)、CNS疾患(例えば大脳膿瘍)、眼
疾患(例えば眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、眼内炎、前中隔
および眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管疾患(例え
ば副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショッ
ク症候群)、皮膚疾患(例えば膿痂疹、毛嚢炎、皮膚膿
瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、骨および関節疾
患(例えば敗血症性関節炎、骨髄炎)の阻害に用いるこ
とができる。
【0086】ワクチン 本発明の別の態様は、個体、特に哺乳動物における免疫
学的応答を誘起する方法であって、抗体を生成するのに
適当なSigB、またはその抗原性フラグメントもしく
は変種を個体に接種し、該個体を感染、特に細菌感染、
とりわけスタフィロコッカス感染から保護することから
なる方法に関する。本発明のまた別の態様は、個体にて
免疫学的応答を誘起する方法であって、遺伝子治療によ
り免疫学的応答を誘発させるためにSigBまたはその
フラグメントもしくは変種をインビボで発現させるのに
SigBまたはそのフラグメントもしくは変種をコード
する遺伝子を送達し、抗体を生成し、該個体を疾患から
保護する方法に関する。本発明のさらなる態様は、免疫
学的応答を宿主内に誘起できる、または誘起した宿主に
導入した場合、そのような宿主中でSigBまたはそれ
によりコードされるタンパク質に対する免疫学的応答を
誘起する免疫学的組成物であって、該SigBの抗原を
コードし、発現するDNAまたはそれによりコードされ
るタンパク質を含んでなる、組換えSigBまたはそれ
によりコードされるタンパク質を有してなる組成物に関
する。
【0087】SigBまたはそのフラグメントは、それ
自身は抗体を産生しないが、第1のタンパク質を安定化
し、免疫原性があり防御特性を有する融合タンパク質を
形成することができる補タンパク質(co-protein)と融
合できる。このように融合した組換えタンパク質は、好
ましくはさらに抗原性補タンパク質、例えばグルタチオ
ン−S−トランスフェラーゼ(GST)またはベーター
ガラクトシダーゼ、タンパク質を可溶化し、その生成お
よび精製を容易にする比較的大きな補タンパク質を有し
てなる。さらには、補タンパク質は、免疫系の汎用刺激
を提供するという意味で、アジュバントとして作用し得
る。補タンパク質は第1のタンパク質のアミノまたはカ
ルボキシル末端のいずれに結合してもよい。
【0088】本発明は、スタフィロコッカス・アウレウ
スに感染した動物モデルにおける、このような遺伝的免
疫化実験で用いるDNA構築物の、細菌性細胞表面タン
パク質の非可変領域をコードすることがわかっている前
記のポリヌクレオチドまたはとりわけそのフラグメント
を用いる方法であって、とりわけ予防的または治療的免
疫反応を生じることができるタンパク質エピトープを同
定するのに有用な方法を提供するものである。このアプ
ローチは、哺乳動物、とりわけヒトにおけるスタフィロ
コッカス・アウレウス感染の予防薬または治療的処置の
開発のために、感染に抵抗しまたは一掃するのに成功し
た動物の必須器官から特に価値あるモノクローナル抗体
を引き続き調製することを可能にすると考えられる。ポ
リペプチドは、例えば細菌の損傷組織への付着を阻害す
ることにより、細菌の侵入に対して防御的な特異的抗体
を産生するための宿主のワクチン化のための抗原として
使用することができる。組織損傷の例は、例えば機械
的、化学的もしくは熱損傷により、または内在装置の埋
め込みにより、引き起こされた皮膚または結合組織の創
傷、または粘膜例えば口、乳腺、尿道または膣の創傷を
包含する。
【0089】本発明はまた、免疫原性組換えタンパク質
と、適当な担体とからなるワクチン処方を包含する。タ
ンパク質は胃で分解するので、例えば、皮下、筋肉内、
静脈内または皮内投与を含め、非経口的に投与するのが
好ましい。非経口投与に適した処方は、抗酸化剤、緩衝
液、静菌剤およびその処方を個体の体液、好ましくは血
液と等張にする溶質を含有してもよい水性または非水性
滅菌注射液;および懸濁化剤または増粘剤を含有してい
てもよい水性または非水性滅菌懸濁液を包含する。処方
は単位投与または複数回投与用容器、例えば密封したア
ンプルおよびバイアルに入れてよく、使用直前に滅菌液
体担体を添加するだけでよい凍結乾燥状態で貯蔵するこ
とができる。ワクチン処方はまた、処方の免疫原性を高
めるアジュバント系、例えば水中油系または当該分野で
公知の他の系を含んでいてもよい。投与量はワクチンの
比活性に依存し、慣用的実験操作により容易に決定でき
る。本発明はある種のSigBに関して記載されている
が、これは天然のタンパク質および、実質的に組換えタ
ンパク質の免疫原特性に影響しない付加、欠失または置
換を施した類似のタンパク質のフラグメントを包含する
ことが理解されよう。
【0090】組成物 本発明はまた前記のポリヌクレオチドもしくはポリペプ
チド、またはアゴニストもしくはアンタゴニストを含ん
でなる組成物にも関する。従って、本発明のポリペプチ
ドは、対象に投与するのに適した医薬担体などの、細
胞、組織または生物で使用するための非滅菌もしくは滅
菌した担体と組み合わせて用いることができる。このよ
うな組成物は、例えば溶媒添加物または治療上有効量の
本発明のポリペプチド、および医薬上許容できる担体ま
たは賦形剤からなる。このような担体は、食塩水、緩衝
食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノー
ルおよびそれらの組み合わせを包含するが、これらに限
定するものではない。処方は投与法に適合させなければ
ならない。
【0091】キット 本発明はさらに、前記した本発明の組成物の成分を1ま
たはそれ以上を充填した1またはそれ以上の容器からな
る診断用および医薬用パックおよびキットに関する。こ
のような容器(複数でも可)に、医薬または生物学的生
成物の製造、使用または販売を規制する政府機関による
命令形態の、ヒトへの投与用の産物の製品、使用または
販売に関する該政府機関の承認を示す注意書きを添付す
ることができる。
【0092】投与 本発明のポリペプチドおよび他の化合物は、単独でまた
は治療用化合物などの他の化合物と組み合わせて用いる
ことができる。医薬組成物は、例えば、とりわけ局所、
経口、経肛門、経膣、静脈内、腹膜腔内、筋肉内、皮
下、鼻腔内または皮内の経路を含め、効果的な、都合の
よい方法で投与できる。医薬組成物は、一般に、個々の
適応症または複数の適応症の治療または予防に有効な量
にて投与される。一般に、この組成物は少なくとも約1
0μg/kg体重の量で投与される。大抵の場合、投与
量は1日あたり約8mg/kg体重を越えない量で投与
される。好ましくは、大抵の場合、投与量は1日あたり
約10μg/kgから1mg/kg体重である。至適投
与量は、適応症、その重篤度、投与経路、合併症等を考
慮に入れて、各々の治療様式および適応症についての標
準法により決定されることは理解されよう。
【0093】治療において、または予防用に、活性物質
を注射用組成物として、例えば、好ましくは等張の滅菌
水性分散物として個体に投与できる。また、組成物は、
局所塗布用に、例えば軟膏、クリーム、ローション、眼
軟膏、点眼液、点耳液、洗口剤、含浸包帯および縫合糸
ならびにエアゾルの形態に処方してもよく、例えば保存
剤、薬物の浸透を補助する溶媒、ならびに軟膏およびク
リームにおける軟化剤を含め、適当な慣用的添加剤を含
有してもよい。このような局所用処方はまた、適合する
慣用的な担体、例えばクリームまたは軟膏基剤、および
ローションの場合、エタノールまたはオレイルアルコー
ルも含めることができる。このような担体は処方の約1
%から約98重量%であってもよく;より一般的には、
処方の約80重量%までとする。
【0094】哺乳動物、特にヒトに投与する場合、有効
成分の1日あたりの投与量は、0.01mg/kgから
10mg/kgであり、典型的には約1mg/kgであ
る。医者はいずれの場合も、個体に最も適した実際の投
与量を決定し、個々の個体の年齢、体重および応答に応
じて変える。前記の投与量は、平均的なケースの一例で
ある。もちろん、高いおよび低い用量の範囲が適当な個
体もあり、それらも本発明の範囲内である。内在装置に
は外科移植、補綴およびカテーテル、即ち個体の体内に
導入され、長時間その位置に止まる装置が包含される。
このような装置には、例えば人工関節、心臓弁、ペース
メーカー、血管移植片、血管カテーテル、脊髄液シャン
ト、尿カテーテル、連続歩行腹膜透析(CAPD)カテ
ーテル等を包含する。
【0095】本発明の組成物を注射により投与し、内在
装置の挿入の直前に、関連する細菌に対する全身的効果
を得ることができる。手術後、装置が体内に在る時間、
治療を続けてよい。加えて、手術用の手術周辺カバーを
広げて、スタフィロコッカス創傷感染を防御するために
用いることができる。多くの整形外科医は、補綴関節を
有するヒトは、菌血症が生じ得る歯の治療前に、抗生物
質による予防を考慮すべきであると考えている。後の重
い感染は、重篤な合併症であり、時には補綴関節を喪失
し、著しい羅病率および死亡率を伴う。従って、該活性
物質をこの状況の予防的抗生物質の代替品として使用す
ることにまで拡張することが可能である。
【0096】前記の治療に加え、本発明の組成物は、一
般に、創傷組織に露出したマトリックスタンパク質に細
菌が付着するのを防ぐための創傷治療薬として使用で
き、歯科治療において抗生物質の予防法に代わって、ま
たはそれと組み合わせて、予防的に使用できる。また、
本発明の組成物は、挿入直前に内在装置を浸すのに使用
できる。有効成分は、創傷または内在装置を浸す場合、
1μg/mlから10mg/mlの濃度であるのが好ま
しい。ワクチン組成物は、注射可能な形態であるのが都
合がよい。慣用的なアジュバントは免疫応答を高めるた
めに用いることができる。ワクチン化に適した単位投与
量は、抗原0.5〜5μg/kgであり、このような投
与量は1〜3週間隔で1〜3回投与するのが好ましい。
提示した投与量範囲では、本発明の化合物で、適当な個
体への投与を妨げるような、不利な毒性効果は観察され
ない。前記の抗体もまた、シグマ因子タンパク質を含有
する細菌の存在を検出するための診断試薬として使用で
きる。以下の実施例を容易に理解するために、特定の汎
用する方法および/または用語を記載する。
【0097】
【実施例】本発明を以下の実施例を用いてさらに詳しく
説明する。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様
を説明するものであり、本発明に開示する範囲を限定ま
たは規定するものではない。本明細書で用いる特定の用
語は前記した用語説明で説明する。全ての実施例は、別
に詳細に記載するもの以外は、当業者に周知で慣用され
る標準法を用いて実施した。以下の実施例の慣用的な分
子生物学的技術は、例えばSambrookら、Molecular Clon
ing:A Laboratory Manual、第2版;コールド・スプリ
ング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・ス
プリング・ハーバー、ニューヨーク州(1989)ような標
準的な実験室マニュアルに記載されるように実施でき
る。
【0098】実施例1:ライブラリー生成 配列番号1に示すDNA配列を有するポリヌクレオチド
をイー・コリにおけるスタフィロコッカス・アウレウス
の染色体DNAのクローンのライブラリーより入手し
た。重複するスタフィロコッカス・アウレウスDNAを
含有する2個またはそれ以上のクローンの配列決定デー
タを、配列番号1に示す連続したDNA配列を構築する
ために使用する場合もある。ライブラリーは慣用的方
法、例えば以下の方法1および2により製造できる。全
細胞DNAは、スタフィロコッカス・アウレウスWCU
H29より、標準法に準じて単離し、二つの方法のどち
らかによりサイズ分画する。
【0099】方法1 標準法によりサイズ分画するために、全細胞DNAをニ
ードルに通して機械的に剪断する。11kbpまでの大きさ
のDNAフラグメントを、エクソヌクレアーゼおよびD
NAポリメラーゼで処理することにより、平滑末端化
し、EcoRIリンカーを加える。フラグメントを、E
coRIで切断したベクターラムダZapIIに連結
し、標準法によりライブラリーをパッケージングし、お
よびパッケージングしたライブラリーでイー・コリを感
染させる。ライブラリーは標準法により増幅する。
【0100】方法2 全細胞DNAを、ライブラリーベクターにクローンする
ための一連のフラグメントを生成するのに適当な制限酵
素(RsaI、PalI、AluIおよびBshl23
5I)を一または組み合わせたもので部分加水分解し、
かかるフラグメントを標準法によりサイズ分画する。E
coRIリンカーをDNAおよびフラグメントに連結
し、次いでEcoRIで切断したベクターラムダZap
IIにライゲートし、標準法によりライブラリーをパッ
ケージングし、そのパッケージングしたライブラリーで
イー・コリを感染させる。ライブラリーは標準法により
増幅する。
【0101】
【配列表】 (1)一般的情報: (i)出願人:フォスベリー,アンドリュー・ピーロー
ラー,エリザベス・ジェイニコラス,リチャード・オー (ii)発明の名称: SigB (iii)配列の数:2 (iv)連絡先: (A)名称:デチャート・プライス&ローズ (B)通り名:4000・ベル・アトランティック・タ
ワー、1717アーク・ストリー (C)都市名:フィラデルフィア (D)州名:ペンシルベニア州 (E)国名:アメリカ合衆国 (F)郵便番号:19103 (v)コンピューター・リーダブル・フォーム: (A)媒体形態:ディスク (B)コンピューター:IBM コンパチブル (C)オペレーティングシステム:DOS (D)ソフトウェア:ウィンドウズ用 Fast SEQ バー
ジョン2.0 (vi)現出願データ: (A)出願番号: (B)出願日: (C)分類: (vii)先の出願データ (A)出願番号:US60/029048 (B)出願日:1997年10月24日 (viii)代理人等の情報: (A)氏名:ディッキンソン、トッド・キュー (B)登録番号:28,354 (C)代理人等における処理番号:P50554 (ix)テレコミュニケーションの情報: (A)電話番号:215−994−2252 (B)テレファックス番号:215−994−2222 (C)テレックス:
【0102】(2) 配列番号1の情報: (i)配列の特徴: (A)配列の長さ:771塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:二本 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号1: ATGGCGAAAG AGTCGAAATC AGCTAATGAA GTTTCACCTG AGCAAATTAA CCAATGGATT 60 AAAGAACACC AAGAAAATAA GAATACAGAT GCACAGGATA AGTTAGTTAA ACATTACCAA 120 AAACTAATTG AGTCATTGGC ATATAAATAT TCTAAAGGAC AATCACATCA CGAAGATTTA 180 GTTCAAGTTG GTATGGTTGG TTTAATAGGT GCCATAAATA GATTCGATAT GTCCTTTGAA 240 CGGAAGTTTG AAGCCTTTTT AGTACCTACT GTAATCGGTG AAATCAAAAG ATATCTACGA 300 GATAAAACTT GGAGTGTACA TGTTCCGAGA CGTATTAAAG AAATTGGGCC AAGAATCAAA 360 AAAGTGAGCG ATGAACTAAC CGCTGAATTA GAGCGTTCAC CTTCTATCAG TGAAATAGCT 420 AATCGATTAG AAGTCTCAGA AGAAGAAGTG TTAGAAGCAA TGGAAATGGG ACAAAGTTAT 480 AATGCGTTAA GTGTTGATCA TTCCATTGAA GCTGATAAAG ATGGTTCAAC TGTTACGCTA 540 TTAGATATTA TGGGGCAACA AGATGACCAT TATGACTTAA CTGAAAAACG TATGATTTTA 600 GAAAAAATAT TACCTATATT ATCTGATCGC GAACGAGAAA TCATACAATG TACGTTTATT 660 GAAGGATTGA GTCAAAAAGA GACAGGTGAG CGTATCGGTT TAAGTCAAAT GCATGTATCA 720 CGACTTCAGA GAACGGCAAT TAAGAAATTA CAAGAAGCAG CACATAAATA G 771
【0103】(2) 配列番号2の情報: (i)配列の特徴: (A)配列の長さ:256アミノ酸 (B)配列の型:アミノ酸 (C)鎖の数:一本 (D)トポロジー:直鎖状 (xi)配列の記載:配列番号2: Met Ala Lys Glu Ser Lys Ser Ala Asn Glu Val Ser Pro Glu Gln Ile 1 5 10 15 Asn Gln Trp Ile Lys Glu His Gln Glu Asn Lys Asn Thr Asp Ala Gln 20 25 30 Asp Lys Leu Val Lys His Tyr Gln Lys Leu Ile Glu Ser Leu Ala Tyr 35 40 45 Lys Tyr Ser Lys Gly Gln Ser His His Glu Asp Leu Val Gln Val Gly 50 55 60 Met Val Gly Leu Ile Gly Ala Ile Asn Arg Phe Asp Met Ser Phe Glu 65 70 75 80 Arg Lys Phe Glu Ala Phe Leu Val Pro Thr Val Ile Gly Glu Ile Lys 85 90 95 Arg Tyr Leu Arg Asp Lys Thr Trp Ser Val His Val Pro Arg Arg Ile 100 105 110 Lys Glu Ile Gly Pro Arg Ile Lys Lys Val Ser Asp Glu Leu Thr Ala 115 120 125 Glu Leu Glu Arg Ser Pro Ser Ile Ser Glu Ile Ala Asn Arg Leu Glu 130 135 140 Val Ser Glu Glu Glu Val Leu Glu Ala Met Glu Met Gly Gln Ser Tyr 145 150 155 160 Asn Ala Leu Ser Val Asp His Ser Ile Glu Ala Asp Lys Asp Gly Ser 165 170 175 Thr Val Thr Leu Leu Asp Ile Met Gly Gln Gln Asp Asp His Tyr Asp 180 185 190 Leu Thr Glu Lys Arg Met Ile Leu Glu Lys Ile Leu Pro Ile Leu Ser 195 200 205 Asp Arg Glu Arg Glu Ile Ile Gln Cys Thr Phe Ile Glu Gly Leu Ser 210 215 220 Gln Lys Glu Thr Gly Glu Arg Ile Gly Leu Ser Gln Met His Val Ser 225 230 235 240 Arg Leu Gln Arg Thr Ala Ile Lys Lys Leu Gln Glu Ala Ala His Lys 245 250 255
【図面の簡単な説明】
【図1】 スタフィロコッカス・アウレウス・SigB
のポリヌクレオチド配列(配列番号1)を示す。
【図2】 図1のポリヌクレオチド配列から推定され
る、スタフィロコッカス・アウレウス・SigBのアミ
ノ酸配列(配列番号2)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 39/395 ACJ C12N 9/12 48/00 ADS C12P 21/02 C C07K 14/31 G01N 33/15 Z 16/12 33/53 D C12N 5/10 A61K 37/02 AAB 9/12 ABL C12P 21/02 ABN G01N 33/15 ACV 33/53 C12N 5/00 B //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) (71)出願人 595047190 スミスクライン・ビーチャム・パブリッ ク・リミテッド・カンパニー SmithKline Beecham p.l.c. イギリス国ミドルセックス・ティーダブリ ュ8・9イーピー、ブレンフォード、ニュ ー・ホライズンズ・コート(番地の表示な し) (72)発明者 アンドリュー・ピー・フォスベリー イギリス、シーブイ1・6ユージー、ケン ブリッジシャー、リントン、ザ・ウッドラ ンズ42番 (72)発明者 エリザベス・ジェイ・ローラー アメリカ合衆国19355ペンシルベニア州マ ルバーン、ラップ・ロード260番 (72)発明者 リチャード・オー・ニコラス アメリカ合衆国19426ペンシルベニア州カ レツジビル、カーメン・ドライブ355番

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)配列番号2のアミノ酸1から256
    を有してなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
    ドに対して少なくとも70%の同一性を有するポリヌク
    レオチド; (b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレ
    オチド;および (c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なく
    とも15個の連続した塩基を有してなるポリヌクレオチ
    ド;からなる群より選択されるポリヌクレオチドを有し
    てなる単離ポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 ポリヌクレオチドがDNAである請求項
    1記載のポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 ポリヌクレオチドがRNAである請求項
    1記載のポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 SigBをコードする配列番号1に示す
    ポリヌクレオチドの領域からなる請求項1記載のポリヌ
    クレオチド。
  5. 【請求項5】 SigBをコードする配列番号1に示す
    ポリヌクレオチドの領域からなる請求項2記載のポリヌ
    クレオチド。
  6. 【請求項6】 配列番号2に示すアミノ酸1から256
    を有してなるポリペプチドをコードする請求項2記載の
    ポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】(a)NCIMB受託番号40771に含
    まれるDNAにより発現されるのと同じ成熟ポリペプチ
    ドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも7
    0%の同一性を有し、配列番号1のポリヌクレオチド配
    列を有するポリヌクレオチド; (b)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレ
    オチド;および (c)(a)または(b)のポリヌクレオチドの少なく
    とも15個の塩基を有してなるポリヌクレオチド;から
    なる群より選択されるポリヌクレオチドを有してなる単
    離ポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 請求項2記載のDNAを有してなるベク
    ター。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のベクターを有してなる宿
    主細胞。
  10. 【請求項10】 ポリペプチドの製造方法であって、請
    求項9に記載の宿主から、該DNAによりコードされる
    ポリペプチドを発現させることを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 ポリペプチドを発現する細胞の製造方
    法であって、細胞が請求項8に記載のベクターに含まれ
    るcDNAによりコードされるポリペプチドを発現する
    ように、該細胞を該ベクターで形質転換またはトランス
    フェクションすることを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】 配列番号2のアミノ酸1から256に
    対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を有し
    てなるポリペプチド。
  13. 【請求項13】 配列番号2に示すアミノ酸配列を有し
    てなるポリペプチド。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載のポリペプチドに対
    する抗体。
  15. 【請求項15】 請求項12に記載のポリペプチドの活
    性を阻害するアンタゴニスト。
  16. 【請求項16】 治療上有効量の請求項12に記載のポ
    リペプチドを個体に投与することからなる、SigBを
    必要とする個体の治療方法。
  17. 【請求項17】 請求項12に記載のポリペプチドをコ
    ードするDNAを個体に付与し、インビボにて該ポリペ
    プチドを発現させることにより、治療上有効量のポリペ
    プチドを投与する請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 SigBポリペプチドを阻害する必要
    のある個体の治療法であって、治療上有効量の請求項1
    5記載のアンタゴニストを投与することからなる方法。
  19. 【請求項19】 請求項12記載のポリペプチドの発現
    に関連する疾患の診断方法であって、該ポリペプチドを
    コードする核酸配列を測定することからなる方法。
  20. 【請求項20】 宿主から由来のサンプル中の請求項1
    2記載のポリペプチドの存在について分析することから
    なる診断方法。
  21. 【請求項21】 請求項12記載のポリペプチドと結合
    し、その活性を阻害する化合物を同定する方法であっ
    て、 ポリペプチドについての結合部をその細胞表面に発現す
    る細胞(その結合部は、化合物の該結合部への結合に応
    答して検出可能なシグナルを提供する能力を有する第2
    成分と結合する)を、結合部への結合を可能とする条件
    下でスクリーニングすべき化合物と接触させ、 該化合物と該結合部の相互作用から生じるシグナルの有
    無を検出することによって、その化合物が結合部に結合
    し、その結合部を活性化または阻害するかどうかを決定
    することからなる方法。
  22. 【請求項22】 哺乳動物にて免疫学的応答を誘発する
    方法であって、上気道疾患(例えば、中耳炎、細菌性気
    管炎、急性咽頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道疾患(例え
    ば、蓄膿症、肺膿瘍)、心臓疾患(例えば、感染性心内
    膜炎)、胃腸疾患(例えば、分泌性下痢、脾臓膿瘍、腹
    膜後膿瘍)、CNS疾患(例えば、大脳膿瘍)、眼疾患
    (例えば、眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、眼内炎、前中隔お
    よび眼窩蜂巣炎、涙嚢炎)、腎および尿管疾患(例え
    ば、副睾丸炎、腎内および腎周囲膿瘍、トキシックショ
    ック症候群)、皮膚疾患(例えば、膿痂疹、毛嚢炎、皮
    膚膿瘍、蜂巣炎、創傷感染、細菌性筋炎)、骨および関
    節疾患(例えば、敗血症性関節炎、骨髄炎)から動物を
    保護するための抗体を産生するのに十分なSigBまた
    はそのフラグメントまたは変種を該哺乳動物に接種する
    ことからなる方法。
  23. 【請求項23】 哺乳動物において免疫学的応答を誘発
    する方法であって、遺伝子治療を介して、インビボにて
    SigBまたはそのフラグメントまたは変種を発現させ
    るために、SigBフラグメントまたはその変種をコー
    ドする遺伝子をデリバリーし、免疫学的応答を誘発し、
    抗体を産生させ、該動物を疾患から保護する方法。
  24. 【請求項24】 哺乳動物に導入した場合、哺乳動物に
    おいて所定のSigBポリペプチドまたはそれよりコー
    ドされるタンパク質に対する免疫学的応答を誘起する免
    疫学的組成物であって、SigBポリヌクレオチドまた
    はそれからコードされるタンパク質をコードし、かつ発
    現するDNAからなる免疫学的組成物。
JP9330755A 1997-10-23 1997-10-23 SigB Withdrawn JPH11155575A (ja)

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