JPH11152506A - 銅粉の製造方法 - Google Patents

銅粉の製造方法

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JPH11152506A
JPH11152506A JP31688297A JP31688297A JPH11152506A JP H11152506 A JPH11152506 A JP H11152506A JP 31688297 A JP31688297 A JP 31688297A JP 31688297 A JP31688297 A JP 31688297A JP H11152506 A JPH11152506 A JP H11152506A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で安全な還元剤を用いて、銅の酸化物、
亜酸化物、水酸化物を銅まで還元して、微細均一で、耐
酸化性及び球形性に優れた銅粉を製造する。 【解決手段】 銅の酸化物などの粉末を有機溶媒に懸濁
させ、糖を還元剤として100℃以上該有機溶媒の沸点
未満の温度に加熱する。糖の添加量は、銅の酸化物又は
亜酸化物中の酸素量に対して重量比で6倍以上、銅の水
酸化物中の酸素量に対して重量比で3倍以上が好まし
い。糖と共に、カルボキシル基を2個以上有する酸を中
和した状態で有機溶媒中に存在させれば、還元により得
られる銅粉の耐酸化性を更に向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子回路の形成や
集電用電極として使用される微細な銅粉の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】電子回路の形成や集電用電極として使用
される銅粉は、粒径の揃った微粒子であり、凝集体を含
まないこと、単分散性がよいこと、耐酸化性が優れてい
ることが必要とされている。
【0003】このような銅粉としては、一般に粒径5μ
m以下のものが要求され、最近では電子機器の小型化や
高配線密度化への対応として、粒径1μm以下の更に微
細な銅粉の要求が強くなっている。しかし、銅粉の粒径
を小さくすると、それに伴って比表面積が増加するた
め、銅粉が微細になるほど耐酸化性が低下するという傾
向がある。
【0004】従来から、微細な銅粉の製造方法として、
銅塩などの水溶液からヒドラジンなどの還元剤を用いて
還元する方法、銅塩や銅酸化物を還元性雰囲気中で加熱
還元する方法、銅の塩化物蒸気を還元性ガスで還元する
方法が知られている。これらの方法のうち、ヒドラジン
による還元法は、大気圧下で処理できるなどの点で非常
に生産性に優れた方法である。
【0005】しかし、ヒドラジンによる還元法では、得
られる銅粉の粒径のバラツキが大きいため、導体ペース
トとして微細配線を形成する際に問題が発生すると共
に、有害なヒドラジンを使用するために安全環境面で不
都合があった。また、得られる銅粉の表面活性が強く、
直ちに酸化が進行しやすいため、例えば配線形成後のペ
ースト焼成時における焼結性が悪化する原因となってい
た。
【0006】そこで、粒径のバラツキが少ない銅粉の製
造方法として、特公平5−57324号公報には、銅塩
の水溶液にアルカリを添加して水酸化銅を形成した後、
ヒドラジンの添加により酸化銅に還元し、更に金属銅粉
に還元する2段階の還元方法が記載されている。また、
特開平4−116109号公報には、銅塩の水溶液にア
ルカリを添加して水酸化銅とし、これを糖で亜酸化銅に
還元した後、更にヒドラジンにより銅粉に還元する方法
が開示されている。しかしながら、これらの方法は還元
剤として有害なヒドラジンを使用するため、安全環境面
での問題は依然として残っている。
【0007】還元剤として有害なヒドラジンを使用しな
い方法として、特開平5−271721号公報には、ア
スコルビン酸を利用する方法が考案されている。即ち、
銅アンモニウム錯体溶液をL−アスコルビン酸で還元し
て、粒径が1〜2μmの均一な銅粉を得る方法である。
しかし、アスコルビン酸は高価な還元剤であるため、生
産コストが上昇するという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の事情に鑑み、ヒドラジンのような有害な還元剤や、ア
スコルビン酸のような高価な還元剤を使用することな
く、粒径が微細且つ均一であり、耐酸化性及び球形性に
優れた銅粉を、簡単且つ安価に製造する方法を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するた
め、本発明が提供する銅粉の製造方法は、銅の酸化物、
亜酸化物、又は水酸化物からなる粉末を有機溶媒に懸濁
させ、糖を還元剤として100℃以上該有機溶媒の沸点
未満の温度に加熱することにより、銅粉に還元すること
を特徴とする。
【0010】上記銅粉の製造方法においては、還元剤の
糖は単糖類又は2糖類が好ましい。また、還元剤として
の糖は、銅の酸化物又は亜酸化物中の酸素量に対して重
量比で6倍量以上、あるいは銅の水酸化物中の酸素量に
対して重量比で3倍量以上を添加することが好ましい。
【0011】更に、上記本発明の銅粉の製造方法では、
還元剤である糖と共に、カルボキシル基を2個以上有す
る酸を実質的に中和した状態で有機溶媒中に存在させて
還元することが好ましい。上記カルボキシル基を2個以
上有する酸又はその塩の添加によって、還元により得ら
れる微細な銅粉の耐酸化性を更に向上させることができ
る。また、糖による還元で銅粉が生成した後に、100
℃以上の温度の有機溶媒中に、カルボキシル基を2個以
上有する酸を実質的に中和した状態で存在させることに
よっても、同様の効果を得ることができる。この場合、
100℃以上の温度で1分以上、好ましくは5分以上保
持することが好ましい。
【0012】上記カルボキシル基を2個以上有する酸と
してはジカルボン酸又はトリカルボン酸があり、酸を中
和する成分はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸
化物又は酸化物、あるいはイオン化傾向が銅よりも卑な
金属の水酸化物又は酸化物が好ましい。また、これらの
酸又はその塩は、還元により得られる銅に対して0.1
モル%以上添加することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】一般的に糖類による還元は、金や
銀などの貴金属について実施されている。また、糖類に
よる銅の還元については、前記特開平4−116109
号公報に記載のごとく2価の水酸化銅から亜酸化銅への
還元が知られているが、糖類のみによる金属銅までの還
元は報告されていない。糖類による金属銅までの還元は
平衡電位的には可能であるものの、活性化エネルギーが
高いために還元反応が進行しなかったものと考えられ
る。
【0014】電位的に糖は金属銅まで還元できる可能性
があることから、種々検討を重ねた結果、本発明者ら
は、有機溶媒中に懸濁させた銅の水酸化物や酸化物を、
還元剤である糖と共に100℃以上に加熱することによ
って、その有機溶媒の沸点未満の比較的低温で且つ短時
間で金属銅まで還元できることを見いだした。特に、本
発明方法によれば、水酸化銅及び酸化銅からのみなら
ず、従来困難であった亜酸化銅から金属銅までの還元も
可能である。尚、銅の酸化物、亜酸化物、水酸化物は、
いずれも含水物であっても良い。
【0015】還元剤として使用する糖としては、特に限
定するものではないが、価格などの点で、ブドウ糖(グ
ルコース)や果糖(フラクトース)などの単糖類、及び
麦芽糖(マルトース)やショ糖(スクロース)などの2
糖類が好ましい。尚、ショ糖はフェーリング反応を起こ
さないことから、還元性を有しないとされているが、本
発明方法によれば銅の酸化物などを銅にまで還元するこ
とができる。これは、ショ糖が反応時に加水分解などを
起こし、還元性を有するグルコースなどが生成するため
と考えられる。
【0016】還元剤である糖の添加量については、銅の
酸化物又は亜酸化物を還元する場合には、これらの酸化
物又は亜酸化物中の酸素量に対して重量比で6倍量以上
の糖を添加することが好ましい。また、銅の水酸化物を
還元する場合には、その水酸化物中の酸素量に対して重
量比で3倍量以上の糖の添加が好ましい。糖の添加量は
多くても特に問題はないが、多すぎると撹拌が困難にな
り且つコスト的にも不利であるから、上記の各好ましい
添加量の2倍程度までとすべきである。
【0017】本発明方法では、糖による還元のために、
常圧で100℃以上の沸点を有する有機溶媒中において
還元を行う。有機溶媒としては、エチレングリコールや
グリセロールなどの多価アルコール(ポリオール)、又
はミリスチン酸などの脂肪酸のエステルを使用すること
ができるが、価格や取り扱い性の点で、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなど
が好ましい。
【0018】また、本発明方法においては、糖による金
属銅までの還元反応を発現させるため100℃以上の加
熱が必要であるが、余り高温に加熱しても経済的に不利
であるから、100℃以上で且つ使用する有機溶媒の沸
点以下の温度に加熱する。尚、上記のエチレングリコー
ルやプロピレングリコールなどの多価アルコール及びミ
リスチン酸などの脂肪酸のエステルように、沸点が10
0℃以上の有機溶媒を用いるため、100℃以上の温度
への加熱が容易である。
【0019】更に、本発明においては、還元剤である糖
と共に、カルボキシル基を2個以上有する酸を実質的に
中和した状態で有機溶媒中に存在させることができる。
このカルボキシル基を2個以上有する酸の添加によっ
て、還元により得られる銅粉の耐酸化性及び球形性を一
層向上させることができる。尚、カルボキシル基を2個
以上有する酸を実質的に中和した状態で有機溶媒中に存
在させるためには、酸とその中和成分とを別々に添加し
ても良いし、酸を中和した塩の形で添加することもでき
る。
【0020】上記カルボキシル基を2個以上有する酸と
しては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、マレイン酸、フマル酸、プロパン−
1,2,3−トリカルボン酸などを使用できる。また、酸
を中和する成分としては、水酸化ナトリウムなどのアル
カリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物や酸
化物に加え、イオン化傾向が銅より卑な金属の水酸化物
や酸化物を使用することもできる。
【0021】カルボキシル基を2個以上有する酸または
その塩の添加量は、還元により得られる銅に対して酸と
して0.1モル%以上であることが好ましく、1〜2モ
ル%が更に好ましい。この添加量が0.1モル%よりも
少ない場合は、銅粉の球形性及び耐酸化性が低下する。
また、この酸又はその塩の添加量に上限はなく、溶解限
度まで添加可能であるが、2モル%を越えて添加しても
球形性や耐酸化性の更なる改善はなく、経済的に不利で
ある。
【0022】本発明方法により、酸化銅などを糖により
短時間で還元して、球形で微細な銅粉を簡単に得ること
ができる。得られる銅粉は、粒径が5μm以下、好まし
くは1μm以下と微細で均一な粒径を有し、しかも耐酸
化性や球形性に優れている。これは、銅への還元反応の
際に、銅表面に水酸基やエステルを有する溶媒分子が吸
着するためと考えられる。特に、カルボキシル基を有す
る2個以上有する酸又はその塩を添加すれば、銅表面に
吸着性の高いカルボキシル基を有する分子が更に吸着し
て、耐酸化性や球形性がより一層改善されるものと考え
られる。
【0023】
【実施例】実施例1 6.6kgのトリエチレングリコール(沸点285℃)
に、0.33kgの酸化銅粉(酸化銅中の酸素量0.06
6kg)と、0.79kgのブドウ糖(酸化銅中の酸素
量に対して重量比で12倍)を添加し、撹拌しながら2
00℃に加熱して120分間保持した。得られた銅粉を
遠心分離し、洗浄乾燥した。
【0024】得られた銅粉は、マイクロトラック法によ
り粒度分布を測定したところ累積頻度50%に相当する
粒径が0.6μmであり、単分散性の良好な銅粉であっ
た。また、SEM観察の結果、この銅粉の粒子形状はほ
ぼ球形であった。更に、この銅粉を大気中で1ケ月間放
置した後、酸化の程度を調べるために銅粉中の酸素を分
析したところ、0.6重量%であった。この酸素量は銅
粉製造直後の0.3重量%よりも若干上昇しているが、
従来に比べ十分な耐酸化性を有する銅粉であることが分
かった。
【0025】実施例2 6.6kgのジエチレングリコール(沸点246℃)に
0.79kgのショ糖(酸化銅中の酸素量に対して重量
比で12倍)を添加した以外は、実施例1と同様の還元
操作を行った。その結果、累積頻度50%に相当する粒
径が0.6μmの単分散性の良好な銅粉が得られた。S
EM観察によれば、この銅粉の粒子形状はほぼ球形であ
った。
【0026】実施例3 トリエチレングリコールの代わりにエチレングリコール
(沸点197℃)を使用し、加熱温度を160℃とした
以外は、実施例1と同様にして還元操作を行った。その
結果、累積頻度50%に相当する粒径が3μmであり、
ほぼ球状の単分散性に優れた銅粉が得られた。
【0027】実施例4 酸化銅粉の代わりに0.33kgの亜酸化銅粉(亜酸化
銅中の酸素量0.037kg)を使用し、糖として0.3
3kgのブドウ糖(亜酸化銅中の酸素量に対して重量比
で9倍)を添加した以外は、実施例1と同様にして還元
操作を行った。その結果、累積頻度50%に相当する粒
径が2.5μmであり、単分散性の良好な銅粉が得られ
た。また、SEM観察によれば、この銅粉の粒子形状
は、若干多面体的であるものの、ほぼ球形であった。
【0028】実施例5 酸化銅粉の代わりに0.40kgの水酸化銅粉(水酸化
銅中の酸素量0.13kg)を使用し、0.66kgのブ
ドウ糖(水酸化銅中の酸素質量に対して重量比で5倍)
を添加した以外は、実施例1と同様にして還元操作を行
った。その結果、累積頻度50%に相当する粒径が0.
6μmであり、ほぼ球状で単分散性の良好な銅粉が得ら
れた。
【0029】比較例1 糖類を添加しなかった以外は実施例1と同様の操作を行
った。しかし、200℃で120分の反応条件では酸化
銅の還元は生じず、銅粉は得られなかった。
【0030】比較例2 加熱温度を90℃とした以外は実施例1と同様の操作を
行った。しかし、反応時間が4時間経過しても酸化銅の
還元は生じず、銅粉は得られなかった。
【0031】比較例3 添加したブドウ糖を0.33kg(酸化銅中の酸素量に
対して重量比で5倍)とした以外は実施例1と同様の操
作を行った。その結果、実施例1と同様の銅粉が得られ
たが、銅粉に混在して亜酸化銅及び酸化銅の存在が認め
られた。
【0032】実施例6 前記実施例1と同様に6.6kgのトリエチレングリコ
ール(沸点285℃)に、0.33kgの酸化銅粉(酸
化銅中の酸素量0.066kg)と、0.79kgのブド
ウ糖(酸化銅中の酸素量に対して重量比で12倍)を添
加した。これに、更に6.3gのコハク酸(得られる銅
に対して1.35モル%)と、その中和成分として2.7
gの水酸化ナトリウムを添加した後、撹拌しながら20
0℃に加熱し、120分間保持して還元操作を行った。
【0033】その後、得られた銅粉を遠心分離し、洗浄
乾燥した後、マイクロトラック法により粒度分布を測定
した。その結果、累積頻度50%に相当する粒径が0.
5μmの単分散性の良好な銅粉が得られた。また、SE
M観察によれば、この銅粉の粒子形状はほぼ球形であっ
た。更に、この銅粉を大気中で1ケ月放置後、銅の酸化
の程度を調べるために、酸素の分析を行ったところ、
0.3重量%であった。この値は、銅粉製造直後とほぼ
同じであり、実施例1と比べて更に優れた耐酸化性を有
することが分かった。
【0034】実施例7 6.6kgのジエチレングリコールに0.79kgのショ
糖(酸化銅中の酸素量に対して重量比で12倍)を添加
した以外は、実施例6と同様の還元操作を行った。その
結果、累積頻度50%に相当する粒径が0.5μmであ
り、ほぼ球状の単分散性の良好な銅粉が得られた。ま
た、この銅粉を大気中で1ケ月放置後、酸素の分析を行
ったところ、0.3重量%であった。この値は、銅粉製
造直後とほぼ同じであり、十分な耐酸化性があることが
分かった。
【0035】実施例8 トリエチレングリコールの代わりにエチレングリコール
を使用し、加熱温度を160℃とした以外は、実施例6
と同様の還元操作を行った。その結果、累積頻度50%
に相当する粒径が1.5μmであり、ほぼ球状の単分散
性に優れた銅粉が得られた。また、この銅粉を大気中で
1ケ月放置後、酸素の分析を行ったところ、0.2重量
%であった。この値は、銅粉製造直後とほぼ同じであ
り、十分な耐酸化性を有することが分かった。
【0036】実施例9 酸化銅粉の代わりに0.33kgの亜酸化銅粉(亜酸化
銅中の酸素量0.037kg)を使用し、0.33kgの
ブドウ糖(亜酸化銅中の酸素量に対して重量比で9倍)
を添加した以外は、実施例6と同様の還元操作を行っ
た。その結果、累積頻度50%に相当する粒径が0.6
μmであり、ほぼ球状の単分散性の良好な銅粉が得られ
た。また、この銅粉を大気中で1ケ月放置後、酸素の分
析を行ったところ、0.3重量%であった。この値は、
銅粉製造直後とほぼ同じであり、十分な耐酸化性を有す
ることが分かった。
【0037】実施例10 酸化銅粉の代わりに0.40kgの水酸化銅粉(水酸化
銅中の酸素量0.13kg)を使用し、0.66kgのブ
ドウ糖(水酸化銅中の酸素量に対して重量比で5倍)を
添加した以外は、実施例6と同様の還元操作を行った。
その結果、累積頻度50%に相当する粒径が0.5μm
であり、ほぼ球状の単分散性の良好な銅粉が得られた。
また、この銅粉を大気中で1ケ月放置後、酸素の分析を
行ったところ、0.3重量%であった。この値は、銅粉
製造直後とほぼ同じであり、十分な耐酸化性を有するこ
とが分かった。
【0038】実施例11 有機溶媒として8.0kgのミリスチン酸のエチルエス
テル(沸点295℃)に、0.33kgの酸化銅粉(酸
化銅中の酸素量0.066kg)と、0.79kgのブド
ウ糖(酸化銅中の酸素量に対して重量比で12倍)と、
6.3gのコハク酸(得られる銅に対して1.35モル
%)と、その中和成分として2.7gの水酸化ナトリウ
ムを添加した後、撹拌しながら200℃に加熱し、12
0分間保持して還元操作を行った。
【0039】得られた銅粉を遠心分離し、洗浄乾燥した
後、マイクロトラック法により粒度分布を測定した。そ
の結果、累積頻度50%に相当する粒径が0.8μmの
単分散性の良好な銅粉が得られた。また、SEM観察に
よれば、この銅粉の粒子形状はほぼ球形であった。更
に、この銅粉を大気中で1ケ月放置後、銅の酸化の程度
を調べるために、酸素の分析を行ったところ、0.3重
量%であった。この値は、銅粉製造直後とほぼ同じであ
り、優れた耐酸化性を有することが分かった。
【0040】実施例12 実施例1と同様にして200℃で120分間の加熱によ
り銅粉が生成した後、その有機溶媒の温度が180℃ま
で低下したとき、6.3gのコハク酸(得られる銅に体
して1.35モル%)と、その中和成分として2.7gの
水酸化ナトリウムを混合して添加した。添加後5分間放
置したときの有機溶媒の温度は150℃であった。
【0041】室温まで放冷した後、銅粉を遠心分離し
て、洗浄乾燥した。得られた銅粉をマイクロトラック法
により粒度分布を測定した結果、累積頻度50%に相当
する粒径が0.6μmの単分散性の良好な銅粉であっ
た。また、SEM観察によれば、この銅粉の粒子形状は
ほぼ球形であった。更に、この銅粉を大気中で1ケ月放
置後、銅の酸化の程度を調べるために、酸素の分析を行
ったところ、0.3重量%であった。この値は、銅粉製
造直後とほぼ同じであり、優れた耐酸化性を有すること
が分かった。
【0042】比較例4 糖類を添加しなかった以外は実施例6と同様の操作を行
った。しかし、200℃で120分の反応条件では酸化
銅の還元は生じず、銅粉は得られなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、銅の酸化物、亜酸化
物、水酸化物を銅にまで還元して銅粉を製造する際に、
安価で安全性の高い糖類を還元剤として、形状がほぼ球
形であって、粒径が微細且つ均一であり、しかも耐酸化
性に優れた銅粉を、比較的低温で且つ短時間にて製造す
ることができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅の酸化物、亜酸化物、又は水酸化物か
    らなる粉末を有機溶媒に懸濁させ、糖を還元剤として1
    00℃以上該有機溶媒の沸点未満の温度に加熱すること
    により、銅粉に還元することを特徴とする銅粉の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 糖が単糖類又は2糖類であることを特徴
    とする、請求項1に記載の銅粉の製造方法。
  3. 【請求項3】 銅の酸化物又は亜酸化物中の酸素量に対
    して、重量比で6倍量以上の糖を添加することを特徴と
    する、請求項1又は2に記載の銅粉の製造方法。
  4. 【請求項4】 銅の水酸化物中の酸素量に対して、重量
    比で3倍量以上の糖を添加することを特徴とする、請求
    項1又は2に記載の銅粉の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記有機溶媒が沸点100℃以上の多価
    アルコール又は脂肪酸のエステルであることを特徴とす
    る、請求項1〜4のいずれかに記載の銅粉の製造方法。
  6. 【請求項6】 還元剤である糖と共に、カルボキシル基
    を2個以上有する酸を実質的に中和した状態で有機溶媒
    中に存在させることを特徴とする、請求項1〜5のいず
    れかに記載の銅粉の製造方法。
  7. 【請求項7】 銅粉の生成後に、カルボキシル基を2個
    以上有する酸を実質的に中和した状態で100℃以上の
    温度の有機溶媒中に存在させることを特徴とする、請求
    項1〜5のいずれかに記載の銅粉の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記カルボキシル基を2個以上有する酸
    がジカルボン酸又はトリカルボン酸であることを特徴と
    する、請求項6又は7に記載の銅粉の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記カルボキシル基を2個以上有する酸
    又はその塩を、還元により得られる銅に対して0.1モ
    ル%以上添加することを特徴とする、請求項6〜8のい
    ずれかに記載の銅粉の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記酸を中和する成分が、アルカリ金
    属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物、あるい
    はイオン化傾向が銅よりも卑な金属の水酸化物又は酸化
    物であることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに
    記載の銅粉の製造方法。
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Cited By (10)

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