JPH111506A - 乳化重合法 - Google Patents

乳化重合法

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JPH111506A
JPH111506A JP16790197A JP16790197A JPH111506A JP H111506 A JPH111506 A JP H111506A JP 16790197 A JP16790197 A JP 16790197A JP 16790197 A JP16790197 A JP 16790197A JP H111506 A JPH111506 A JP H111506A
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JP
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polymerization
persulfate
water
particles
polymer particles
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JP16790197A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Kasai
澄 笠井
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JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合安定性とポリマー粒子性能を実質上損な
うことなく、ポリマー粒子を大粒径化できるとともに、
平均粒径を有効に制御することができ、しかも化学的分
散安定性に優れ、また抗体吸着性が高くかつ抗体の非特
異的吸着の少ないポリマー粒子を形成できる改良された
乳化重合法を提供する。 【解決手段】 水溶性過硫酸塩を重合開始剤として不飽
和モノマーを水系媒体中で乳化重合するに当たり、予め
水溶性過硫酸塩をその分解温度以上で加熱処理したの
ち、不飽和モノマーの主要部を添加して重合を行うこと
を特徴とする乳化重合法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性過硫酸塩を
重合開始剤とする不飽和モノマーの乳化重合法に関わ
り、さらに詳しくは、不飽和モノマーの主要部の添加前
に水溶性過硫酸塩を添加し、その分解温度以上で加熱処
理することを特徴とする乳化重合法に関する。
【0002】
【従来の技術】重合によりビニル系ポリマー粒子を製造
する方法としては、工業的には乳化重合法が最も代表的
なものである。この乳化重合法における操作条件として
は、重合系が攪拌されかつ不活性雰囲気下にあるほか
に、モノマーの添加、重合開始剤の添加および重
合系が重合開始剤の分解温度以上に昇温されることの三
要素が必要である。そして、従来の乳化重合操作は、工
業的には、モノマーの添加、重合系の昇温、重合開始剤
の添加の順に行なうのが普通であり、一部では重合系の
昇温後にモノマーと重合開始剤とを同時に添加する場合
もあるが、従来、重合開始剤を添加したのち重合系を昇
温し、その後モノマーを添加したり、あるいは重合系の
昇温後に重合開始剤を添加し、その後モノマーを添加し
たりすることは、一般には行なわれていなかった。これ
は、重合開始剤をモノマーより前に添加して加熱する
と、モノマーが存在しない状態で重合開始剤が分解され
ることになり、重合開始剤の変質や減耗、乳化剤等の他
の成分との副反応を来たす懸念があったからである。ま
た、乳化重合により得られるポリマーの平均粒径を制御
する方法としては、従来、乳化剤の種類と量を変える方
法が主に採用されている。しかしながら、ポリマー粒子
の平均粒径だけを念頭に置くと、乳化剤の量が少なすぎ
て重合安定性が著しく低下したり、逆に乳化剤の量が多
すぎてポリマー粒子の耐水性が損なわれたりして、重合
安定性あるいはポリマー粒子性能に問題を生じるおそれ
があった。また、重合開始剤の種類と量や重合温度を変
えることにより、ポリマー粒子の平均粒径を若干変化さ
せうることも知られているが、その変化幅は小さく、む
しろ重合速度と重合安定性に対する悪影響の方が問題で
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、重合
安定性とポリマー粒子性能を実質上損なうことなく、ポ
リマー粒子を大粒径化でき、かつ平均粒径を有効に制御
しうる改良された乳化重合法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、乳化重合に
おける反応挙動を詳細に検討した結果、水溶性過硫酸塩
を重合開始剤とする乳化重合において、不飽和モノマー
が重合系に実質的に存在しない条件下で、該過硫酸塩を
添加してその分解温度以上で加熱処理し、その後モノマ
ーを添加して重合を行ない、該過硫酸塩の加熱処理時間
を調整することにより、ポリマー粒子を再現性よく大粒
子化させることができ、かつポリマー粒子の平均粒径を
広い範囲で制御することができるとともに、得られるポ
リマー粒子の電解質、酸、アルカリのような薬剤の添加
に対する分散安定性(以下、「化学的分散安定性」とい
う。)を格段に向上させることができることを見い出
し、本発明を成すに至った。
【0005】即ち、本発明は、水溶性過硫酸塩を重合開
始剤として不飽和モノマーを水系媒体中で乳化重合する
に当たり、予め水溶性過硫酸塩をその分解温度以上で加
熱処理したのち、不飽和モノマーの主要部を添加して重
合を行うことを特徴とする乳化重合法、を提供するもの
である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる不飽和モノマーは、ラジカル重合性を有する
限り特に限定されるものではなく、その具体例として
は、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエ
ン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン等の芳香
族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレ
ート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレー
ト、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル
(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の
(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル、
α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等の
不飽和ニトリル類;ブタジエン、イソプレン、クロロプ
レン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエン化合
物等の疎水性の単官能性不飽和モノマー(以下、「主モ
ノマー」という。)を挙げることができる。これらの主
モノマーのうち、特にスチレン等の芳香族ビニル化合物
が好ましい。前記主モノマーは、単独でまたは2種以上
を混合して使用することができる。
【0007】本発明においては、場合により、主モノマ
ーを他の不飽和モノマー(以下、「副モノマー」とい
う。)と併用することができる。副モノマーとしては、
例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;2
−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート等の(置換)アミノア
ルキル(メタ)アクリレート類;p−スチレンスルホン
酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、p−スチレン
スルホン酸カリウム、2−(メタ)アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−
(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸カリウム等の不飽和スルホン酸(塩)類;(メタ)ア
クリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N
−メチロール(メタ)アクリルアミド、シアン化ビニリ
デン等の不飽和アミド化合物;グリシジル(メタ)アク
リレート、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキ
シ化合物;エチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等
のアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メ
トキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート等の(アルコキシ)ポリアルキレングリコール
モノ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、トリ
ビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド
等の多官能性不飽和モノマー等を挙げることができる。
これらの副モノマーは、単独でまたは2種以上を混合し
て使用することができる。本発明において、副モノマー
は、前記主モノマーに付加して使用することが好まし
く、得られるポリマー粒子に対して種々の官能基や架橋
構造を導入するために用いられる。本発明における不飽
和モノマーとしては、良好な乳化重合を維持するために
は、主モノマーが全モノマー成分の90重量%以上を占
め、副モノマーが全モノマー成分の10重量%以下であ
ることが好ましい。
【0008】本発明の乳化重合法は、前記不飽和モノマ
ーを水系媒体中で乳化重合するに当たり、水溶性過硫酸
塩を重合開始剤として用い、不飽和モノマーの主要部の
添加に先立って、該水溶性過硫酸塩をその分解温度以上
で加熱処理(以下、「分解処理」という。)することを
特徴とするものである。本発明において使用される水溶
性過硫酸塩としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸
ナトリウム、過硫酸アンモニウム等を挙げることができ
る。本発明における水溶性過硫酸塩の使用量は、不飽和
モノマーの重合を有効に開始でき、かつ安定した重合を
行なうことができる限りでは、特に限定されるものでは
ないが、全不飽和モノマー100重量部に対して、通
常、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量
部である。この場合、水溶性過硫酸塩の使用量が0.0
5重量部より少ないと、重合開始能がやや低下する傾向
があり、また10重量部より多いと、重合安定性がやや
低下する傾向がある。
【0009】水溶性過硫酸塩の水系媒体中における分解
温度は、一般に45〜100℃の範囲にあり、過硫酸カ
リウムの場合は50〜100℃の範囲、過硫酸ナトリウ
ムの場合は50〜100℃の範囲、過硫酸アンモニウム
の場合は45〜100℃の範囲にある。したがって、水
溶性過硫酸塩の添加後の分解処理温度は、各水溶性過硫
酸塩の分解温度以上となるように選定されるが、過硫酸
カリウムでは好ましくは55〜95℃、さらに好ましく
は60〜90℃の範囲であり、過硫酸ナトリウムでは好
ましくは55〜95℃、さらに好ましくは60〜90℃
の範囲であり、過硫酸アンモニウムでは好ましくは50
〜95℃、さらに好ましくは55〜90℃の範囲であ
る。また、分解処理時間は、水溶性過硫酸塩の種類、処
理温度等によって異なるが、通常、1〜100分、好ま
しくは3〜60分、さらに好ましくは5〜40分であ
る。
【0010】本発明における水溶性過硫酸塩の分解処理
は、基本的に不飽和モノマーが存在しない条件下で行な
われるが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等の、重合条
件下でモノマーおよびそのポリマーが完全に水系媒体中
に溶解する水溶性の不飽和モノマーについては、全不飽
和モノマー成分の5重量%以下の量であれば、水溶性過
硫酸塩の分解処理時に存在していてもよい。これは、水
溶性過硫酸塩の分解処理時にこれらの水溶性不飽和モノ
マーも一部重合するが、生成したポリマーが水系媒体に
溶解して、その後の不飽和モノマーの重合反応の核を形
成しないため、本発明における乳化重合に対する影響が
実質的に問題とならないからである。また、水溶性の不
飽和モノマーが水溶性過硫酸塩の分解処理時に存在する
ことにより、化学的分散安定性がより優れたポリマー粒
子を得ることができる場合もある。
【0011】このような水溶性過硫酸塩の分解処理後
に、不飽和モノマーの主要部を添加する方法は、特に限
定されるものではなく、例えば、全ての不飽和モノマー
を一度に添加するバッチ添加法、全ての不飽和モノマー
を複数回に分けて添加する間欠添加法、不飽和モノマー
の一部を一度に添加して重合を開始したのち残りの不飽
和モノマーを間欠的あるいは連続的に添加するバッチ/
インクレメント添加法、全ての不飽和モノマーを連続的
に添加する全量連続添加法等の何れでもよい。しかし、
本発明においては、生成されるポリマー粒子の平均粒径
の制御を確実に行なうために、水溶性過硫酸塩の分解処
理後に有意量の不飽和モノマーを一度に添加するとの観
点から、バッチ添加法、間欠添加法およびバッチ/イン
クレメント添加法が好ましい。また、水溶性過硫酸塩の
分解処理後の最初の不飽和モノマーの添加量は、全不飽
和モノマーの3重量%以上であることが好ましい。ま
た、乳化重合に際しては、水溶性過硫酸塩の分解処理と
不飽和モノマーの主要部の添加とを同一の反応器で順次
行なってもよく、あるいは予め他の反応器で水溶性過硫
酸塩の分解処理を行ない、この分解処理後の反応液と不
飽和モノマーの主要部を反応させてもよい。本発明にお
ける不飽和モノマーの乳化重合は、乳化剤を用いないソ
ープフリー重合でも、乳化剤を用いる重合でも可能であ
り、ソープフリー重合では、ポリマー粒子に対する乳化
剤の悪影響が問題となることがない。また、乳化剤を用
いて重合する場合における乳化剤の使用量は、乳化剤の
臨界ミセル形成濃度の4倍以下、好ましくは3倍以下、
さらに好ましくは2倍以下とすることが望ましい。この
場合、乳化剤の使用量が臨界ミセル形成濃度の4倍を超
えると、本発明の主眼点であるポリマー粒子の粒径制御
効果が不十分となったり、ポリマー粒子の化学的分散安
定性が低下したりするおそれがある。本発明において使
用することのできる乳化剤としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アン
モニウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナ
トリウム類、脂肪酸ナトリウム類、オレイン酸カリウ
ム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸
ナトリウム類等を挙げることができ、特にドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。これらの乳化剤
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。本発明において使用される乳化剤は、水溶性過硫
酸塩の添加前から不飽和モノマーの主要部の添加後まで
の適宜の段階で添加することができるが、水溶性過硫酸
塩の添加前あるいは水溶性過硫酸塩の添加と同時に添加
することが好ましい。本発明の乳化重合における重合温
度は、水溶性過硫酸塩の分解処理温度と同一でも、ある
いは該分解処理温度より低くても高くてもよい。また重
合時間は、通常、1〜40時間、好ましくは1〜10時
間である。本発明により得られるポリマー粒子の平均粒
径は、好ましくは50〜1000nm、さらに好ましく
は70〜500nmである。
【0012】
【作用効果】本発明の乳化重合法の主要な作用効果は、
次のとおりである。第一に、水溶性過硫酸塩を分解処理
することにより、ポリマー粒子の平均粒径を大きくする
ことができ、またその分解処理時間を調節することによ
り、その平均粒径の制御が可能となることを見い出した
点にある。即ち、重合処方が同一である場合、水溶性過
硫酸塩の分解処理時間が長いほど、ポリマー粒子の平均
粒径が大きくなり、分解処理時間とポリマー粒子の平均
粒径とがほぼ比例関係を示す。なお、水溶性過硫酸塩の
分解処理時間をゼロとすると、不飽和モノマーを重合開
始剤より前に添加する従来の乳化重合法とほぼ同一の平
均粒径となる。このように水溶性過硫酸塩を分解処理す
ることにより、ポリマー粒子の平均粒径が増大するの
は、重合系内に重合開始剤である水溶性過硫酸塩の分解
生成物が形成され、これが平均粒径を肥大化させるもの
と考えられるが、詳細な理由は定かではない。また、本
発明の第二の作用効果は、得られるポリマー粒子の化学
的分散安定性が格段に向上する点である。乳化重合によ
り得られるポリマー粒子の表面には、一般に、吸着され
た乳化剤、重合開始剤に由来する官能基、使用された官
能基含有不飽和モノマーに由来する官能基等が存在し、
これらが重合系におけるポリマー粒子の分散安定性に寄
与していることが知られている。従来の乳化重合では、
乳化剤や官能基含有不飽和モノマーが少ないかあるいは
全く無い場合、ポリマー粒子の分散安定性を高いレベル
に維持することが困難であったが、水溶性過硫酸塩を分
解処理したのち、不飽和モノマーの主要部を添加するこ
とによって、得られるポリマー粒子の化学的分散安定性
が向上することが明らかとなった。したがって、本発明
の乳化重合法により得られるポリマー粒子は、ポリマー
粒子としての従来からの用途全般において使用すること
ができ、特に診断薬担体粒子として極めて好適に使用す
ることができるほか、本発明の乳化重合法により得られ
るポリマー粒子あるいはラテックスは、紙塗工用バイン
ダー、塗料用バインダー、接着剤、粘着剤用バインダ
ー、繊維処理剤、コーティング用粒子、トナー用粒子
や、樹脂、ゴム、エラストマー等の改質用粒子等として
有用である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明の
実施の形態をさらに具体的に説明する。各実施例および
比較例におけるポリマー粒子の平均粒径および化学的分
散安定性は、次のようにして測定・評価した。平均粒径 レーザー光による動的光散乱法により測定した。化学的分散安定性 ガラス板の上で、固形分濃度10重量%のポリマー粒子
の分散液1滴を、濃度を変えた水酸化ナトリウム水溶液
1滴と接触させたとき、ポリマー粒子が凝集しない水酸
化ナトリウム水溶液の最大濃度で評価した。
【0014】
【実施例】
実施例1 容量7リットルのガラスフラスコに、イオン交換水47
00g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.5
gを入れ、窒素雰囲気下で攪拌しつつ80℃に昇温した
のち、過硫酸カリウム10gをイオン交換水300gに
溶解した溶液を添加した。このときのドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウムの濃度は、臨界ミセル形成濃度の
1.7倍であった。次いで、このまま80℃で1分間攪
拌を続けて、過硫酸カリウムの分解処理を行なった。次
いで、スチレン1000gを一括添加して重合を開始さ
せ、このまま4時間重合を続けたのち、室温に冷却し
て、平均粒径93nmの均一粒度のポリスチレン粒子
を、99重量%以上の重合収率で得た。また、このポリ
スチレン粒子の化学的分散安定性は、1.5重量%であ
った。
【0015】実施例2〜9および比較例1 過硫酸カリウムの分解処理時間を表1のとおりとした以
外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン粒子をそれ
ぞれ99%重量以上の重合収率で得た。これらのポリス
チレン粒子の平均粒径および化学的分散安定性を、表1
に示す。
【0016】比較例2 スチレン1000gを、重合系を80℃に昇温する前に
添加した以外は、実施例1と同様にして、ポリスチレン
粒子を99重量%以上の重合収率で得た。このポリスチ
レン粒子の平均粒径および化学的分散安定性を、表1に
示す。
【0017】
【表1】
【0018】その結果、スチレンの添加前に水溶性過硫
酸塩の分解処理を行なうことによって、ポリマー粒子の
平均粒径が大きくなり、かつその分解処理時間によって
該平均粒径を制御できるとともに、ポリマー粒子の化学
的分散安定性も著しく向上することが明らかである。
【0019】実施例10〜19および比較例3〜7 乳化剤の種類と濃度(臨界ミセル形成濃度に対する倍
率)および水溶性過硫酸塩の分解処理時間を表2に示す
とおりとした以外は、実施例1と同様にして、ポリスチ
レン粒子をそれぞれ99重量%以上の重合収率で得た。
これらのポリスチレン粒子の平均粒径および化学的分散
安定性を、表2に示す。
【0020】実施例20〜21および比較例8 乳化剤の種類と濃度(臨界ミセル形成濃度に対する倍
率)および水溶性過硫酸塩の分解処理時間を表2に示す
とおりとし、さらにアクリル酸15gを、重合系を80
℃に昇温する前に添加した以外は、実施例1と同様にし
て、ポリスチレン粒子をそれぞれ99%重量以上の重合
収率で得た。これらのポリスチレン粒子の平均粒径およ
び化学的分散安定性を、表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】その結果、重合時の乳化剤の濃度が高くな
るほど、水溶性過硫酸塩の分解処理を行なった場合で
も、ポリマー粒子の平均粒径は小さくなり、臨界ミセル
形成濃度の4倍を超えると、水溶性過硫酸塩の分解処理
と平均粒径との間には有意の相関が認められるが、分解
処理を行なった場合と行なわなかった場合との平均粒径
の差が小さくなる傾向がある。また、少量の水溶性不飽
和モノマーであれば水溶性過硫酸塩の分解処理時に存在
しても、平均粒径が十分大きく、かつ化学的分散安定性
に優れたポリマー粒子が得られることが明らかである。
【0023】実施例22〜23および比較例9 過硫酸カリウムの分解処理を表3に示す時間行なったの
ち、スチレン1000gを定量ポンプにより1時間かけ
て連続的に添加した以外は、実施例1と同様にして、ポ
リスチレン粒子をそれぞれ99重量%以上の重合収率で
得た。これらのポリスチレン粒子の平均粒径および化学
的分散安定性を、表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】試験例 実施例2、実施例4、実施例6、実施例18、比較例1
あるいは比較例7により得られた各ポリマー粒子の酵素
免疫法(EIA)による診断薬担体粒子としての評価
を、下記試験により行なった。 〈診断薬粒子の調製〉各ポリマー粒子の分散液を固形分
換算で10mg秤取したのち、遠心沈降と水への再分散
とを3回繰り返して、ポリマー粒子を精製し、得られた
精製ポリマー粒子を、りん酸生理食塩水緩衝液(pH
7.5)1ミリリットル中に再分散させた。次いで、得
られた各分散液に、抗ヒトIgM抗体を200μg添加
し、室温で1時間緩く振とうして、粒子表面に前記抗体
を吸着させることにより、ポリマー粒子を感作処理し
た。このとき、感作処理後のポリマー粒子を遠心沈降に
より分離し、分離後の上澄み液中に前記抗体が残存して
いるか否かを、波長280nmにおける吸光度を測定し
て確認したところ、何れの上澄み液にも前記抗体が検出
されず、添加した全ての抗体がポリマー粒子に吸着され
ていることが確認された。その後、各々の抗ヒトIgM
抗体感作ポリマー粒子を、牛血清アルブミン0.5重量
%とポリエチレングリコール0.1重量%とを含むりん
酸生理食塩水緩衝液(pH7.5)1ミリリットルと混
合し、バイブレーターにより振動分散させたのち、室温
で30分間緩く振とうさせて、前記抗体が吸着されてい
ないポリマー粒子表面を牛血清アルブミンでブロックす
ることにより、診断薬粒子を調製した。 〈診断薬粒子としての性能評価試験〉前記のようにして
得た各診断薬粒子を0.2mg含む分散液20μリット
ルを、濃度の異なるヒトIgM抗原を含むりん酸生理食
塩水緩衝液(pH7.5)100μリットルに添加し
て、室温で30分間静置した。次いで、診断薬粒子を遠
心沈降により分離して、アセチルコリンエステラーゼを
結合させた抗ヒトIgM抗体を100μg含む溶液20
0μリットルと混合し、バイブレーターにより振動分散
させたのち、25℃で1時間静置し、その後りん酸生理
食塩水緩衝液(pH7.5)で3回洗浄した。次いで、
得られた各診断薬粒子の分散液に、アセチルコリンエス
テラーゼの基質であるエルマン(Ellman's) 試薬(カイ
マン(Cayman) 社製)を100μリットル添加し、室温
で10分間緩く振とうして、酵素反応により発色させ
た。その後、反応停止液として2規定硫酸を50μリッ
トル添加したのち、波長412nmにおける吸光度を測
定した。また、対照試験として、ヒトIgM抗原を含ま
ないりん酸生理食塩水緩衝液(pH7.5)100μリ
ットルに、感作処理を行なっていない各ポリマー粒子を
0.2mg含む分散液20μリットルを添加したのち、
同様にエルマン試薬による処理を行なって、波長412
nmにおける吸光度を測定した。以上の試験による吸光
度を、表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】その結果、本発明により得られたポリマー
粒子は、診断薬担体として優れた性能を有することが明
らである。
【0028】実施例24 〈共重合体ラテックスの製造〉容量7リットルのオート
クレーブに、イオン交換水3000gを入れて、65℃
に昇温したのち、過硫酸カリウム10g、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム2gおよびイオン交換水30
0gを投入した。このときのドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウムの濃度は、臨界ミセル形成濃度の1.4倍
であった。その後、このまま65℃で15分間攪拌を続
けて、過硫酸カリウムの分解処理を行なった。次いで、
ブタジエン400g、スチレン360g、メチルメタク
リレート100g、アクリロニトリル100g、イタコ
ン酸20gおよびフマル酸20gと、分子量調節剤とし
てt−ドデシルメルカプタン10gおよびα−メチルス
チレンダイマー15gとの混合物を、一括添加して重合
を開始させ、65℃で20時間重合を続けたのち、室温
に冷却して、平均粒径110nm、トルエン不溶分85
重量%の共重合体ラテックスを、99重量%以上の重合
収率で得た。なお、前記重合で、過硫酸カリウムの分解
処理を行なわないで、同様にして重合して得られた共重
合体ラテックスは、平均粒径70nm、トルエン不溶分
84重量%であり、紙塗工用組成物としては平均粒径が
小さすぎるものであった。 〈紙塗工用組成物としての評価〉前記共重合体ラテック
スについて、下記1)の評価を行なった。また、前記共
重合体ラテックスを用い、下記の配合処方により、オフ
セット印刷用の紙塗工用組成物を調製した。配合処方(重量部) 共重合体ラテックス 10.0(固形分として) カオリンクレー 70.0 炭酸カルシウム 30.0 顔料分散剤 0.2 水酸化ナトリウム 0.1 澱粉 4.0 水 全固形分が60重量%となる量 次いで、前記紙塗工用組成物について、下記2)の評価
を行なった。また、前記紙塗工用組成物を、塗被原紙上
に、塗工量が片面18.0±0.5g/m2 となるよう
に、電動式ブレードコーター(熊谷理器(株)製)を用
いて塗工したのち、150℃の電気式熱風乾燥器により
15分間乾燥した。次いで、得られた塗工紙を、温度2
3℃、湿度50%の恒温恒湿槽内に一昼夜放置したの
ち、線圧100kg/cm、ロール温度50℃の条件に
よるスーパーカレンダー処理を4回行ない、この塗工紙
について、下記3)〜5)の評価を行なった。 1)ベタツキ防止性 共重合体ラテックスをマイラーフィルム上に、ワイヤー
バーを用いて塗工したのち、140℃で30秒間乾燥し
て、塗膜を形成させた。次いで、この塗膜と黒羅紗紙と
を合わせて、線圧200kg/cm、ロール温度35℃
の条件で、カレンダーに通して圧着させたのち、黒羅紗
紙をマイラーフィルムから剥離させたときの、黒羅紗紙
繊維が塗膜上に転移する程度を目視により観察し、転移
の少ないものほど高得点として、5段階で評価した。数
値は、測定回数6回の平均値で示した。 2)紙塗工用組成物の洗浄性 紙塗工用組成物をマイラーフィルム上に、ワイヤーバー
を用いて塗工したのち、100℃で10秒間乾燥して、
塗膜を形成させた。次いで、このマイラーフィルムを水
中に浸漬し、10分後の状態を目視により観察し、塗膜
が溶解した面積が大きいほど高得点として、5段階で評
価した。数値は、測定回数6回の平均値で示した。 3)ドライピック強度 RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度を目視に
より観察し、ピッキング現象の少ないものほど高得点と
して、5段階で評価した。数値は、測定回数6回の平均
値で示した。 4)ウェットピック強度 RI印刷機を用いて、塗工紙表面を吸水ロールで湿らし
たのち、RI印刷機で印刷したときのピッキングの程度
を目視により観察し、ピッキング現象の少ないものほど
高得点として、5段階で評価した。数値は、測定回数6
回の平均値で示した。 5)インキ受容性 RI印刷機を用いて、塗工紙表面に、水を付着させたゴ
ムロールで水を付与したのち、オフセット用墨インキで
印刷して、インク濃度を、濃度計(大日本スクリーン
(株)製)により測定した。インク濃度値が高いほど、
インク受容性が良好であることを意味する。以上の評価
結果を、表5に示す。
【0029】
【表5】
【0030】その結果、本発明により得られる共重合体
ラテックスを用いた紙塗工用組成物は、ベタツキ防止
性、洗浄性、接着強度(ドライピック強度、ウェットピ
ック強度)、インキ受容性が何れも優れていた。
【0031】
【発明の効果】本発明の乳化重合法は、重合安定性とポ
リマー粒子性能を実質上損なうことなく、ポリマー粒子
の大粒径化および平均粒径の微妙な制御が可能であり、
不飽和モノマーの乳化重合法としての工業的価値が高
い。しかも、本発明の乳化重合法により得られるポリマ
ー粒子は、化学的分散安定性に優れるとともに、抗体吸
着性が高くかつ抗体の非特異的吸着が少ないという特性
を有し、ポリマー粒子としての従来からの用途全般にお
いて有用であり、特に診断薬担体粒子として極めて好適
に使用することができるとともに、本発明の乳化重合法
により得られるラテックスは、幅広い用途に有用であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性過硫酸塩を重合開始剤として不飽
    和モノマーを水系媒体中で乳化重合するに当たり、予め
    水溶性過硫酸塩をその分解温度以上で加熱処理したの
    ち、不飽和モノマーの主要部を添加して重合を行うこと
    を特徴とする乳化重合法。
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