JPH11150043A - 電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ

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JPH11150043A
JPH11150043A JP9330819A JP33081997A JPH11150043A JP H11150043 A JPH11150043 A JP H11150043A JP 9330819 A JP9330819 A JP 9330819A JP 33081997 A JP33081997 A JP 33081997A JP H11150043 A JPH11150043 A JP H11150043A
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JP
Japan
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element body
container
resin
capacitor
electric double
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Application number
JP9330819A
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English (en)
Inventor
Manabu Kazuhara
学 数原
Kazuya Hiratsuka
和也 平塚
Katsuharu Ikeda
克治 池田
Takeshi Kawasato
健 河里
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻回素子体等を、収容容器の中で強固
に固定でき、振動等に対する信頼性が向上した電気二重
層キャパシタを提供する。 【解決手段】 素子体に、非水系電解液を含浸させ
て、有底金属容器に収容し、素子体と有底容器との空隙
部に、キャパシタの使用温度において固体である樹脂を
充填し、容器内に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巻回素子体等を有
底金属容器に収容してなる電気二重層キャパシタに関
し、より詳しくは、巻回素子体等を、収容容器の中で強
固に固定でき、振動等に対する信頼性が向上した大容量
の電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、車載用の駆動用電源等への適用を
目的とする大容量、高出力の電気二重層キャパシタが注
目され、開発が進められている。
【0003】従来、このような大電流放電の用途に適す
る大型の電気二重層キャパシタの一つの構成として、特
開平4−154106号、特開平7−307250号、
特開平8−45795号等に記載されているように、円
筒型構造のものが公知である。これは、一対の帯状の電
極体、具体的には、金属集電体の両面に、活性炭を主成
分とする電極層を形成した帯状の正極電極体と、金属集
電体の両面に同じ構成の電極層を形成した帯状の負極電
極体とを、帯状のセパレータと交互に積層し、巻回して
なる巻回素子体を、有底円筒型金属容器に収容し、電解
液を含浸させ、正極電極体および負極電極体より引き出
された集電リードを、電気絶縁性の封口蓋体に設けられ
た電極端子にそれぞれ接続するとともに、該封口蓋体
を、該円筒金属容器に嵌合するものである。
【0004】また、他の構成として、特開平4−154
106号、特開平7−264715号、特開平7−30
7250号、平7−272986号、特開平8−457
93号等に記載されているように、角型構造のものが公
知である。これは、矩形の金属集電体の両側に電極層が
形成され、かつ、集電リードを備えている正極電極体お
よび負極電極体の間に、セパレータを配置し、複数交互
に積層して集電リードが引き出されている積層素子体を
形成し、有底角型金属容器に収容し、電解液を含浸さ
せ、集電リードを電気絶縁性の封口蓋体に設けられた電
極端子にそれぞれ接続するとともに、該封口蓋体を、該
角型金属容器に嵌合するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】車載用の駆動用電源と
しての電気二重層キャパシタは、車載用のバッテリーと
同様に、少なくても定常的な振動や衝撃に耐えうるもの
であること、しかも、傾いて置かれた状態で振動等を受
けた場合でも、異常を生ずることが無い耐久性のあるこ
とが要求される。もちろん、振動・衝撃等に原因して電
解液の漏れを生ずるようなものであってはならない。
【0006】しかしながら、本発明者らが、このような
円筒型キャパシタについて振動試験機による振動試験を
行った場合、上記構成のものは、キャパシタケース内部
で、巻回素子体が容易に揺動、または、回動する。この
ため、揺動する巻回素子体から引き出されている集電リ
ードは、封口蓋体に固定されている集電端子との間で、
捩れたり、引っ張られたりして、その接続が破壊されう
ることが分かった。特に、大容量の素子を得るため、多
数回巻回した巻回径の大きな巻回素子体の場合は、引き
出される集電リードの数も多く、内側から外側までその
すべてのリードを集電端子と機械的に均等に接続するの
は困難であり、外側に位置する集電リードほど外力を受
け易く、より接続が破壊される可能性が高いことを見出
した。
【0007】また、積層素子体を使用する角型キャパシ
タについても同じ問題があることを見出した。
【0008】本発明は、このような問題を解決し、巻回
素子体等を、ケース内で強固に固定でき、振動に対する
信頼性が向上した大容量の電気二重層キャパシタ及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、金属集
電体の両面に分極性電極層を形成した正極電極体と負極
電極体を、セパレータを介して、巻回または複数交互に
積層してなる素子体に、非水系電解液を含浸させて、有
底金属容器に収容してなる電気二重層キャパシタにおい
て、前記素子体と前記有底容器の内面とで形成される空
隙部に、該キャパシタの使用温度において固体である樹
脂が充填され、前記素子体が前記有底容器内に固定され
ていることを特徴とする電気二重層キャパシタが提供さ
れる。
【0010】また、本発明に従えば、金属集電体の両面
に分極性電極層を形成した正極電極体と負極電極体を、
セパレータを介して、巻回または複数交互に積層してな
る素子体を、非水系電解液を含浸させた後、有底金属容
器に収容し、前記素子体と前記有底容器の内面とで形成
される空隙部に溶融状態の熱可塑性樹脂を流し込み、次
いで前記樹脂を凝固させ、前記素子体を前記有底容器内
に固定してなることを特徴とする電気二重層キャパシタ
の製造方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
について詳細に説明する。
【0012】図1において、50は巻回素子体または積
層素子体等の素子体であって、金属集電体の両面に分極
性電極層を形成した正極電極体と負極電極体を、ポリプ
ロピレン不織布、ガラス繊維混抄不織布、ガラスマット
フィルタ、レーヨン繊維等のセパレータを介して、巻回
するか、複数交互に積層してなるものである。
【0013】金属集電体としては、アルミニウム、ステ
ンレス鋼、ニッケル、タンタルなどの金属の粗面化箔を
用い、特にステンレス鋼およびアルミニウム箔またはそ
れらの合金が好ましい。さらに好ましいのは、99.9
%、最も好ましくは99.99%純度のアルミニウム箔
である。本発明においては、このような金属箔からなる
金属集電体で、厚みが10μm〜0.5mm程度のもの
を用いることが好ましい。
【0014】電極層は、比表面積の大きい活性炭やポリ
アセンなどの炭素材料粉末( 比表面積800〜3500
2 /g程度 )を主成分とし、これに導電性物質とし
て、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェ
ンブラック、カーボンウィスカーを、結合剤としてポリ
テトラフルオロエオチレン( PTFE )、ポリフッ化ビ
ニリデン( PVDF )、パーフルオロビニルエーテル(
PPVE )、カルボキシメチルセルロース等を加え、ア
ルコール等の液体潤滑剤の存在下で混練し、ロール圧延
等によりシート状に成形し、乾燥したものを、金属集電
体の両面に、熱圧着するか、導電性接着剤等を介して接
合することにより形成される。電極層の厚みに制限はな
いが、通常、30μm〜0.5mm程度である。
【0015】なお、混練する代わりに、上記結合剤の溶
媒( 水、N−メチルピロリドン等 )を混合してスラリー
として、これを金属集電体の両表面に塗布・乾燥して電
極層を形成してもよい。ここで、本出願人らが提案して
いるように、シート状成形物の乾燥品を、一軸または多
軸方向に延伸処理することも好ましい態様である( 特公
平7−105306号 )。
【0016】本発明においては、素子体を有底金属容器
に収容するに際し、あらかじめ、非水系電解液が含浸さ
れた、電解液含浸素子体とする。
【0017】非水系電解液としては、トリエチルメチル
アンモニウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオ
ン、テトラエチルアンモニムイオン、テトラブチルアン
モニウムイオン等のカチオンと、BF4 - 、PF6 -
ClO4 - 等のアニオンとからなる塩を溶質とし、プロ
ピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチ
ロラクトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、
スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、ニトロメタン
等の1種または2種以上の有機溶媒を溶媒とする溶液が
好ましい。
【0018】素子体には、上記の非水系電解液が含浸さ
せられる。含浸の方法は特に規定するものではないが、
例えば、閉じて真空脱気しうる容器中に非水系電解液を
装入し、この液中に素子体を浸漬し、容器を閉じて真空
脱気する方法( 真空含浸法 )によることが好ましい。こ
のように素子体を脱気しながら非水系電解液に浸漬する
ことにより、素子体の中に存在する微細な空隙中の空気
( 例えば、セパレータを構成する繊維中の空気、炭素材
料粉末中の空気、電極層形成時の同伴空気等 )が脱気し
て除かれ、この除かれた空隙部分中にも空気と置換して
電解液が流入し、電解液が素子体を十分濡らすことがで
きる。
【0019】真空含浸の条件は、特に限定するものでは
ないが、通常、圧力400Torr〜10-3Torr、
温度10〜150℃、時間は5分〜5時間程度である。
このようにして、適当な時間真空含浸を行い、非水系電
解液中から素子体を取り出すことにより、含浸非水系電
解液による含浸が十分行われた素子体を得ることができ
る。
【0020】以上のごとくして非水系電解液が含浸され
た素子体は、有底金属容器60に収容されるが、この収
容される素子体50は、容器内に隙間なく充填されるわ
けでなく、通常、素子体と容器の内面との間で、ある程
度の空隙部を形成しながら収容される。例えば、容器の
底部61との間に、空隙部61vを保持しながら、ま
た、側壁63との間で空隙部63vを保持しながら収容
される。
【0021】なぜなら、素子体を有底金属容器中に、び
っしりと、隙間無く充填しようとした場合、素子体にか
なりの力を加えて無理に押し込まなければならないが、
空隙があれば無理な力を加えずに素子体を容器に収容で
きるため、素子体を構成する電極体が捩じれたり互いに
擦れたり、または容器側壁と擦れて、電極体に傷が形成
されることは無い。また、工業的に自動機械で素子体を
容器に収容することを考慮すると、実際上、素子体を隙
間無く容器内に充填することは困難である。
【0022】以上のごとくして、収容される素子体と容
器との間には通常空隙部が存在しているのである。本発
明においては、この素子体と、容器の内面とで形成され
る空隙部、特に、空隙部61v、および、空隙部63v
に、キャパシタの使用温度において固体である樹脂64
を充填し、素子体を容器内に固定する。
【0023】この空隙部を充填する樹脂としては、電気
二重層キャパシタの使用温度において溶融することな
く、固体状態を保持し、素子体を容器内に固定しうるも
のを選択することが好ましい。より好ましくは、素子体
を固定する機能が損なわれるほど、この温度範囲で軟化
しないものである。
【0024】通常、キャパシタの使用温度は、80℃以
下、好ましくは70℃以下とされているので、本発明に
おいては、80℃を越える温度、好ましくは90℃を越
える温度において、少なくとも溶融せず固体状態を保持
しうるような樹脂を選択することが望ましい。
【0025】樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化
性樹脂のいずれをも使用することができる。
【0026】なお、熱可塑性樹脂を使用する場合は、融
点が90〜200℃の範囲にあるものを選択することが
好ましい。すなわち、融点がこの範囲にある熱可塑性樹
脂を使用することにより、温度90〜200℃で、溶融
した樹脂を容器の空隙部に容易に充填することができ、
かつ充填された樹脂は、これ以下の温度に冷却すること
により凝固し固化する。この樹脂は、キャパシタの使用
温度である80℃以下において固体状態を保持するの
で、素子体を容器内に固定することができるのである。
【0027】なお、融点範囲の上限は基本的には制限は
ないが、融点が200℃を越えるような高融点樹脂は好
ましくない。この場合は、溶融樹脂の温度が200℃を
越える高温となるので、容器に充填した場合、これと接
触する非水系電解質が分解したり、さらには、電極層を
形成するための結合剤として使用している樹脂自体が、
この高い温度で溶融する危険性があるからである。
【0028】熱可塑性樹脂としては、キャパシタの使用
温度において固体であり、電解液に対して耐腐食性があ
る材質が好ましく、ポリエチレン( 高密度PE、中密度
PE)、ポリプロピレン( アタクチックPP、アイソタ
クチックPP )、ポリスチレン、スチレン−アクリロニ
トリル共重合樹脂、ポリ( メタ )アクリル樹脂、ポリア
ミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、フッ素樹脂( PTFE、FEP、PVDF )、PE
EK、PES、PPS、またはこれらの共重合体があげ
られる。
【0029】この中でも、キャパシタの使用温度環境と
樹脂の充填作業の容易性の面から、90〜200℃に融
点を有する熱可塑性樹脂を使用することがもっとも好ま
しい。このような樹脂としては、低密度ポリエチレン(
融点105〜115℃ )、高密度ポリエチレン( 融点1
37℃ )、ポリプロピレン( 融点175℃ )、ポリアセ
タール( 融点137℃ )、ポリメチルメタアクリル樹脂
( 融点160℃ )等が挙げられる。このうち、150〜
190℃の融点を有するものがより好ましく、特にポリ
プロピレンが好ましい。
【0030】一方、熱硬化性樹脂としては、尿素樹脂、
ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂等があげられる。
【0031】樹脂の充填量は、素子体の容器への固定が
十分行われるために、素子体の下端部からその層高Hの
少なくとも1/10以上の部分まで樹脂が充填されてい
ることが好ましい。より好ましくは、層高Hの1/3〜
1/2程度まで充填されることである。
【0032】一方、充填量の上限は素子体層高Hの4/
5までであり、層高の上部の2割程度は樹脂と接触して
いないことが好ましい。空隙をつくっておくことによ
り、何らかの原因により、キャパシタの温度が上昇して
も、膨張した電解液や、電解液が分解して発生する炭酸
ガス等のガスの逃げ場をつくることができる。
【0033】ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を使用す
る場合は、非水系電解液を真空含浸等の手段で含浸させ
た素子体を、有底金属容器に収容し、素子体と容器の内
面とで形成された空隙部中に、熱可塑性樹脂の粉末また
はペレットをあらかじめ融点以上に加熱・溶融した溶融
樹脂を注入し、樹脂の融点以下に冷却して樹脂を凝固せ
しめ固化することが好ましい。なお、熱可塑性樹脂はそ
の2種類以上を粉末またはペレットとして混合して用い
てもよい。また、同種類の樹脂の結晶構造の異なるも
の、例えば、アイソタクチックポリプロピレンとアタク
チックポリプロピレンを適宜混合して用いてもよい。
【0034】冷却する手段は自然放置によってもよい
が、好ましくは、容器ごと冷媒を充たした冷却バスにつ
けて強制的に冷却する等の強制冷却手段を採用すること
が望ましい。
【0035】または、この素子体と容器の内面とで形成
される空隙部中に、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の
粉末またはペレットをそのまま充填し、外部から加熱バ
スまたは赤外線加熱等の手段により加熱して、該樹脂粉
末等を容器中で一旦溶解せしめ、その後に上記と同様に
冷却して凝固させ固化してもよい。
【0036】なお、樹脂の充填は、封口前に行うことが
普通であるが、場合によっては、封口後に蓋体に設けら
れた注入口から、溶融樹脂を注入してもよい。さらにま
た、樹脂粉末等を充填し、封口を行った後に、キャパシ
タ外部から加熱して、キャパシタ内部の樹脂を溶融し、
冷却固化する手段を採用してもよい。
【0037】溶融樹脂を容器に注入するとき、または容
器内にあらかじめ充填されている樹脂を加熱して溶融さ
せるときに、素子体に含浸させた電解液が一部蒸発する
場合は、素子体を容器に固定した後に、電解液を補充し
てもよい。
【0038】なお、尿素樹脂、ポリウレタンのような熱
硬化性樹脂を使用する場合は、その初期縮合物を、素子
体と容器の内面とで形成される空隙部に注入し、適当な
硬化剤を加えて、加熱し重合架橋させ硬化樹脂とすれば
よい。またこの方法は、メタ( アクリル )樹脂のような
熱可塑性樹脂の単量体を注入し、有機過酸化物等の重合
開始剤を添加して重合固化させる方法についても適用す
ることができる。
【0039】熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれを使
用する場合にも、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊
維、炭素繊維、マグネシア粒子等のフィラーを添加して
樹脂の強度を増加させることも可能である。
【0040】素子体を容器に収容するにあたっては、金
属集電体または電極体には、集電リード52、54をあ
らかじめ形成しておくことが好ましい。集電リードとし
ては、導電性のタブ端子、線、テープ、リボン等を、溶
接等により、電極層の形成されていない金属集電体の部
分に取り付けてもよいが、金属集電体の一部に電極層の
形成されていないテープ状またはリボン状の部分を設
け、これを集電リードとしてもよい。
【0041】一方、封口蓋体80にはあらかじめ電極端
子72、74や集電端子75、77を取り付けておくこ
とが好ましい。
【0042】非水系電解液を含浸させた素子体を有底金
属容器に収容し、素子体と容器の内面とで形成される空
隙部に、すでに述べた方法により、樹脂を充填し、素子
体を容器内に固定する。
【0043】素子体から引き出されている複数の集電リ
ードは、これを好ましくはまとめて、かしめまたは溶接
により、正極、負極それぞれ一本の集電リードとし、封
口蓋体に設置された集電端子に溶接等により電気的に接
続するのである。
【0044】最後に金属容器の上端66を封口蓋体80
にかしめて、密封することにより電気二重層キャパシタ
が形成される。なお、かしめる場合、シリコンゴム、ブ
チルゴム、ポリプロピレン等の絶縁体絶縁性ガスケット
を用いることが好ましい。
【0045】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるもので
はない。なお、以下単に%とあるのは重量%である。
【0046】〔実施例1〕 ( 巻回素子体の組み立て )長さ1000mm、幅100
mm、厚さ30μmのアルミニウムエッチング箔を、金
属集電体として使用した。活性炭粉末80%、ケッチェ
ンブラック10%、結合剤としてPVDF5%、VDF
・PPVE共重合体( PPVE5.2mol% )5%か
らなる固形分をN−メチルピロリドンに分散溶解せしめ
て固形分16%のスラリーとなし、このスラリーを、上
記アルミニウム箔の両面に塗布し、120℃で30分、
さらに180℃で30分乾燥後、プレス圧延して厚さ1
00μmの帯状の電極体を得た。
【0047】この帯状の電極体を切断し、集電リード端
子をそれぞれ接合した正電極体、および負電極体を、2
枚の50μmのレーヨン繊維セパレータを介して巻回
し、径48mm、高さ105mmの巻回素子体を作成
し、130℃で5時間真空乾燥して不純物を除去した。
【0048】( 巻回素子体の収容および取付け )巻回素
子体に、1.5mol/L濃度の(C2 5)3 CH3
PF6 のプロピレンカーボネート溶液を電解液として、
0.1Torr、25℃で10分間真空含浸して、電解
液含浸巻回素子体を作成した。40℃で2.5Vの直流
電圧を5時間印加した後、有底金属容器として、直径5
1mm、高さ135mm、厚み1mmの円筒状アルミニ
ウム缶を使用して巻回素子体を収容した。素子体と金属
容器を150℃に加熱した後、容器上部からのアタクチ
ックポリプロピレン( 融点170℃ )を180℃に加熱
溶解したものを素子体の高さの1/3までまで注入し、
冷却固化させた。
【0049】正極端子、負極端子および防爆弁を備えた
円盤状のフェノール樹脂製封口蓋体の正極端子および負
極端子に、巻回素子体の正極集電リード、負極集電リー
ドをそれぞれまとめてかしめ、溶接して接続し、封口蓋
体周囲のアルミニウムケースの開口端部を折り曲げて、
封口蓋体周辺部にかしめて封口して2.5V、容量10
00Fの電気二重層キャパシタとした。
【0050】( 振動試験 )このキャパシタの放電容量、
および2.5Vで充電後250Aの定電流で0Vまで平
均放電電圧から求めた平均放電出力を表1に示す。
【0051】つぎに、振動試験機にキャパシタを取付
け、振動加速度3G( X,Y,Z方向)で振動サイクル
を変動( 13Hzと30Hzの間で5分間往復変動 )さ
せながら1時間加振した。
【0052】振動試験後のキャパシタの放電容量、およ
び2.5Vで充電後250Aの定電流で0Vまで平均放
電電圧から求めた平均放電出力を表1に示したが、振動
試験前とほぼ同一の性能を示した。
【0053】念のため、かしめによる封口部をはずして
キャパシタ内部を調べたが、素子体は充填樹脂により容
器内で固定されたまま密封時の状態を保持していた。集
電リードはすべて集電端子に固定されたままに保持され
ていることがわかった。
【0054】〔比較例1〕 ( キャパシタの組み立て )アタクチックポリプロピレン
( 融点170℃ )を、素子体と有底容器の内面とで形成
される空隙部に充填しないことを除いては、実施例1と
同一のキャパシタを作成した。
【0055】( 振動試験 )このキャパシタについて、実
施例1と同様にして振動試験前後の放電容量、平均放電
出力を測定した結果を表1に示す。
【0056】振動試験後の放電容量および平均放電出力
はかなり低下していた。かしめによる封口部をはずして
キャパシタ内部を調べたところ、巻回素子体は捩じれた
状態でケース底面に押しつけられ、また集電リードの数
本が巻回素子体に引っ張られて、集電端子から外れてい
ることがわかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明に従えば、素子体と金属有底容器
の内面とで形成される空隙部に固体樹脂が充填され、素
子体は金属有底容器内で強固に固定され、キャパシタの
振動・衝撃に対する信頼性が大きく向上する。
【0059】すなわち、本発明に従えば、電気自動車等
の駆動用電源に適した、大容量かつ高出力で、しかも、
振動・衝撃に強い、電気二重層キャパシタが提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂が空隙部に充填固定された電気二重層キャ
パシタの説明図
【符号の説明】
50 素子体 52 集電リード 54 集電リード 60 有底金属容器 61 金属容器底部 61v 容器底部と素子体との空隙部 63 金属容器側壁 63v 容器側壁と素子体との空隙部 64 充填樹脂 66 金属容器のかしめられる上端 72 正極電極端子 74 負極電極端子 75 正極集電端子 77 負極集電端子 80 封口蓋体 H 素子体の層高
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河里 健 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属集電体の両面に分極性電極層を形成
    した正極電極体と負極電極体を、セパレータを介して、
    巻回または複数交互に積層してなる素子体に、非水系電
    解液を含浸させて、有底金属容器に収容してなる電気二
    重層キャパシタにおいて、前記素子体と前記有底容器の
    内面とで形成される空隙部に、該キャパシタの使用温度
    において固体である樹脂が充填され、前記素子体が前記
    有底容器内に固定されていることを特徴とする電気二重
    層キャパシタ。
  2. 【請求項2】 前記樹脂が、融点90〜200℃の熱可
    塑性樹脂である請求項1記載の電気二重層キャパシタ。
  3. 【請求項3】 金属集電体の両面に分極性電極層を形成
    した正極電極体と負極電極体を、セパレータを介して、
    巻回または複数交互に積層してなる素子体を、非水系電
    解液を含浸させた後、有底金属容器に収容し、前記素子
    体と前記有底容器の内面とで形成される空隙部に溶融状
    態の熱可塑性樹脂を流し込み、次いで前記樹脂を凝固さ
    せ、前記素子体を前記有底容器内に固定してなることを
    特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。
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