JPH111496A - クサリヘビ科ヘビの毒腺由来のアポトーシス誘導性タンパク質、およびその利用 - Google Patents

クサリヘビ科ヘビの毒腺由来のアポトーシス誘導性タンパク質、およびその利用

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JPH111496A
JPH111496A JP15479497A JP15479497A JPH111496A JP H111496 A JPH111496 A JP H111496A JP 15479497 A JP15479497 A JP 15479497A JP 15479497 A JP15479497 A JP 15479497A JP H111496 A JPH111496 A JP H111496A
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venom
apoptosis
vascular endothelial
fraction
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JP15479497A
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Satohiko Araki
聡彦 荒木
Hiroshi Hayashi
博司 林
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血管退縮を制御する薬剤の開発の一環として、
血管内皮細胞特異的にアポトーシスを誘導する能力を有
する因子を提供すること。 【解決手段】クサリヘビ科ヘビの毒腺から採取される毒
液に含まれ、血管内皮細胞にアポトーシスを誘導する能
力を指標にした分画操作によって該毒液から単離精製す
ることにより得られうる、血管内皮細胞特異的にアポト
ーシスを誘導する能力を有することを特徴とする実質的
に単一に精製されたタンパク質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管内皮細胞特異
的にアポトーシスを誘導する能力を有するクサリヘビ科
ヘビの毒腺由来のアポトーシス誘導性タンパク質に関す
る。
【0002】
【従来の技術】血管は、体内血液循環による恒常性維
持、傷の治癒、癌組織の増殖と退縮、個体の発生過程な
どにおいて、重要な機能を果たしている。これらの過程
においては血管の発達のみならず退縮の制御も重要であ
る。例えば、傷の治癒過程において血管が適度に退縮す
ると瘢痕の肥大が防止されるし、癌組織において血管が
退縮すると癌組織も退縮する。また、動脈硬化、糖尿病
性血管障害、または、ウイルス、細菌、ヘビ毒もしくは
自己抗原等による出血性疾患など、血管が過度に退縮す
ることが問題となる疾病が知られている。従って、血管
の退縮を制御することができる薬剤は、上記の疾病の治
療や傷の治癒に有用である。このような血管退縮の制御
に、血管を構成する主要な細胞の一つである血管内皮細
胞のアポトーシス(自殺的細胞死)が関与している可能
性が報告されている(Biochem.Biophys.Res.Commun., 1
68, 1194-1200, 1990、Biochem.Biophys. Res. Commu
n., 172, 1081-1085, 1990)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような知見の基
に、血管内皮細胞のアポトーシスを制御することにより
血管の退縮を制御できる可能性があることから、血管退
縮を制御する薬剤の開発の一環として、血管内皮細胞特
異的にアポトーシスを誘導する能力を有する因子の探索
が切望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下におい
て、本発明者らは鋭意検討した結果、クサリヘビ科ヘビ
の毒腺から採取される毒液に含まれるタンパク質が血管
内皮細胞特異的にアポトーシスを誘導する能力を有する
ことを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、
クサリヘビ科ヘビの毒腺から採取される毒液に含まれ、
血管内皮細胞にアポトーシスを誘導する能力を指標にし
た分画操作によって該毒液から単離精製することにより
得られうる、血管内皮細胞特異的にアポトーシスを誘導
する能力を有することを特徴とする実質的に単一に精製
されたタンパク質(以下、本発明タンパク質と記す。)
および該蛋白質に対する抗体を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、さらに詳細に本発明を説明
する。本発明タンパク質は、クサリヘビ科ヘビの毒腺か
ら採取される毒液に含まれ、血管内皮細胞にアポトーシ
スを誘導する能力を指標にした分画操作によって該毒液
から単離精製することにより得られうる、血管内皮細胞
特異的にアポトーシスを誘導する能力を有することを特
徴とする実質的に単一に精製されたタンパク質である。
本発明タンパク質としては、例えば、ガラガラヘビの毒
腺から採取される毒液に含まれ、非還元条件下の見かけ
の分子量が110kDであり還元条件下の見かけの分子量が
60kDaであり、その部分アミノ酸配列が配列番号1
に示されるアミノ酸配列であり、血管内皮細胞特異的に
アポトーシスを誘導する能力を有することを特徴とする
タンパク質(以下、本発明110kDaタンパク質と記す。)
をあげることができる。
【0006】本発明タンパク質は、たとえば、下記の方
法により得ることができる。 (1)クサリヘビ科ヘビの毒腺由来の毒液は、例えば、
ガラガラヘビ、ハブ、マムシ等のクサリヘビ科のヘビか
ら直接採取することができる。また、これらのヘビの毒
腺から採取された毒液を凍結乾燥させたものを用いるこ
ともできる。例えば、ガラガラヘビ(例えば、Crotalus
atrox)、ハブ(例えば、Trimeresurus flavoviridi
s)、マムシ(例えば、Agkistrodon halys blomhoffi
i)等の毒液の凍結乾燥品がシグマ社等から市販されて
おり、これらを用いることもできる。 (2)該毒液を、例えば、ヒドロキシアパタイトカラム
クロマトグラフィーにより精製する。毒液の凍結乾燥品
を精製に用いる場合は、該試料を適当な緩衝液に溶解さ
せて使用する。目的タンパク質の溶出は段階的または連
続的に溶出液のイオン強度を高めること等により行う。
例えば、溶出液としてリン酸ナトリウム緩衝液を用いる
場合、該緩衝液のリン酸塩濃度を増加させることにより
目的タンパク質を溶出させることができる。クロマトグ
ラフィーは、オープンカラムのほか、FPLCおよびH
PLC等の圧力をかけて行う方法も用いることができ
る。 (3)目的タンパク質の溶出画分を回収し、例えば、限
外ろ過膜を用いて限外ろ過することにより該溶出画分を
濃縮するとともに該溶出画分の緩衝液を次の精製操作に
適した溶媒に置換した後、等電点ポリアクリルアミドゲ
ル等を用いる等電点電気泳動法により精製する。例え
ば、両性担体を添加して作製したポリアクリルアミドゲ
ルに試料を添加しpH勾配が定常に達するまで通電した
後、ゲルを取り出して分画し、各画分を適当な溶媒に浸
して放置することによりゲルから試料を溶出させる。 上記(2)および(3)の各種操作は、例えば、新生化
学実験講座1.タンパク質I 日本生化学会編 東京化
学同人(1990年)等に記載される通常のタンパク質
の精製において用いられる方法である。さらに必要に応
じて、上記の各種操作または通常のタンパク質の精製に
おいて用いられる他の方法等を組み合わせて精製を行う
こともできる。
【0007】目的タンパク質の溶出画分は、血管内皮細
胞にアポトーシスを誘導する能力を指標に選抜するとよ
い。血管内皮細胞にアポトーシスを誘導する能力は、例
えば、ヒト臍帯より調製した血管内皮細胞の培養液中
に、各溶出画分を添加し、一定時間インキュベートした
後に生き残った細胞数を計数することにより、測定する
ことができる。尚、血管内皮細胞としては、市販の細胞
を用いることができる。
【0008】この様にして取得された本発明タンパク質
を、例えば、新生化学実験講座1.タンパク質I 日本
生化学会編 東京化学同人(1990年)等に記載され
る通常の方法に準じ、β−メルカプトエタノール、ジチ
オスレイトール等の還元剤を含む試料処理液で処理した
後、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動(以下、SDS-PAGEと記す。)で分離し、ゲルを
通常のタンパク染色法により染色し、検出されるバンド
の位置を分子量マーカータンパク質のバンドの位置と比
較することにより、本発明タンパク質の還元条件下の見
かけの分子量を決定することができる。また、本発明タ
ンパク質を還元剤を含まない試料処理液で処理した後、
同様にSDS-PAGEで分離することにより、本発明タンパク
質の非還元条件下の見かけの分子量を決定することがで
きる。尚、本発明タンパク質において、「実質的に単一
に精製された」とは、上記SDS-PAGE分析にて、目的タン
パク質が単一のバンドとして観察されることを意味す
る。
【0009】本発明110kDaタンパク質は、ガラガラヘビ
の毒腺から採取される毒液に含まれ、非還元条件下の見
かけの分子量が110kDであり還元条件下の見かけの分子
量が60kDaであり、その部分アミノ酸配列が配列番
号1に示されるアミノ酸配列であり、血管内皮細胞特異
的にアポトーシスを誘導する能力を有することを特徴と
するタンパク質であり、その物理化学的性質およびカラ
ム特性として、下記の性質を有している。 (1)物理化学的性質 (a)非還元条件下の見かけの分子量が110kDであり還
元条件下の見かけの分子量が60kDaのタンパク質で
ある。分子量の測定は上記のSDS-PAGE分析による。分子
量マーカータンパク質として、フォスフォリラーゼ b
(94,000)、ウシ血清アルブミン(67,00
0)、卵白アルブミン(43,000)、カルボニック
アンヒドラーゼ(30,000)等を用い、これら分子
量マーカータンパク質との移動度の比較で分子量を算出
する。 (b)等電点が約8.5である。等電点の測定は、前記の
等電点電気泳動法による。例えば、両性担体としてファ
ーマライトpH8.5-11(ファルマシア社)等を用いて5%
ポリアクリルアミドゲルを作製し、該ゲルに試料を添着
して、300Vにて14時間、600Vにて1時間通電することに
より泳動する。泳動後、ゲルを取り出して分画し、各画
分を適当な溶媒に浸して放置することによりゲルから試
料を溶出させる。目的タンパク質の溶出画分のpHをpHメ
ーターで測定する。 (c)カラム特性 10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中では、ヒドロ
キシアパタイト樹脂カラムに実質的に吸着し、0.1Mリン
酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)が有するイオン強度下で
溶出する。
【0010】本発明タンパク質の部分アミノ酸配列は、
例えば、新生化学実験講座2.タンパク質II 日本生化
学会編 東京化学同人(1990年)等に記載される通
常の方法を用いて決定することができる。例えば、上記
等電点電気泳動による分画後の本発明タンパク質を含む
画分を、逆相HPLCなどに供して両性担体と分離する。ま
た、例えば該画分をSDS-PAGEで泳動し、KClやCuCl2など
により非変性的に染色し、目的タンパク質のバンドを切
り取って、SDSを含む水溶液中で放置することにより目
的タンパク質を抽出することもできる。その後、例え
ば、ジチオスレイトール等の還元剤で処理することによ
って本発明タンパク質をモノマーに分解し、さらに該モ
ノマーを例えばシアノゲンブロマイドと反応させたり、
トリプシン等の蛋白分解酵素で消化することにより、よ
り小さいペプチドに断片化させる。断片化により生じた
本発明タンパク質の部分断片をSDS-PAGEやHPLCなどによ
り分離精製する。該部分断片を例えば市販のペプチドシ
ークエンサー等に供することにより本発明タンパク質の
部分アミノ酸配列を決定することができる。
【0011】上記のようにして調製された本発明タンパ
ク質または本発明タンパク質の部分断片を抗原として使
用し、通常の免疫学的方法により本発明タンパク質に対
して結合能力を有する抗体(以下、本発明抗体と記
す。)を作製することができる。具体的には、例えば、
Ed Harlow and David Lane, 「Antibodies:A Laborator
yManual」(1988), Cold Spring Harbor Laboratory P
ress ISBN No.0-87969-314-2等に記載される方法を用い
ることができる。このようにして作製された本発明抗体
を供試タンパク質に作用させ、該抗体と抗原抗体反応を
示すタンパク質を検出することができる。また、本発明
抗体をヘビ咬傷治療用の血清中に添加し、あるいは、本
発明抗体を単独に、ヘビに噛まれた患者の血中に注入す
る事により、患者の血液中のヘビ毒を中和することがで
きる。
【0012】本発明タンパク質を用いて、血管内皮細胞
のアポトーシスを制御する薬剤や因子を探索することが
できる。例えば、血管内皮細胞に本発明タンパク質と供
試化合物を添加し、アポトーシスが誘導されるか否かを
判定にすることにより、血管内皮細胞のアポトーシスを
阻止する薬剤をスクリーニングすることができる。ま
た、例えば、本発明タンパク質を血管内皮細胞に添加
し、アポトーシスの誘導過程を、例えば、アポトーシス
実験プロトコール、田沼靖一監修・企画、秀潤社(1994
年)等に記載の、通常の細胞生物学的手法によって解析
することにより、血管内皮細胞のアポトーシス誘導に関
わる新たな因子を見出すこともできる。
【0013】
【実施例】本発明を更に以下の実施例で説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0014】実施例1(血管内皮細胞アポトーシス誘導
能の測定) (1)血管内皮細胞の培養 血管内皮細胞は、ヒト臍帯より定法に従って分離した
(Biology of Endothelial Cells, pp. 1-456, Martinu
s Nijhoff Publishers, Boston)。得られた細胞をコラ
ーゲンを塗布したプラスティック培養皿(直径100mm)
の上で、MCDB-107培地(極東製薬)に10分の1容量の牛
胎児血清(GIBCO社)、70mg/ml FGF(ウシ脳よりBioche
mistry 23, 6295-9296に記載の方法により抽出)、およ
び100μg/mlへパリンを添加した培地を用いて、37℃、5
%CO2条件下に培養した。細胞が内皮細胞であることは、
ヒトファクターVIIIに対するウサギの抗体を用いて、免
疫的に染色することによって確認した。 (2)血管内皮細胞へのアポトーシス誘導能の測定 血管内皮細胞を培養皿(直径100mm)にほぼいっぱいに
なるまで培養し、培地を除去してMgとCaを含まないリン
酸塩緩衝液(PBS-)で細胞を一回洗浄した後、培地をFG
FとFBSを含まない基本培地(MCDB-107培地)に置き換
え、該培養皿にタンパク質の精製画分5μlを添加した。
試験区としてタンパク質の精製画分を添加した血管内皮
細胞、および比較区として該画分を添加しなかった細胞
を37℃、5%CO2条件下に12時間培養した後、PBS-で洗浄
して剥がれた細胞を除く。次いで、接着している細胞を
トリプシン消化によって培養皿から剥がし、該細胞をエ
リスロシンBで染色した後、エリスロシンBで染まらな
い生細胞をコールターカウンターを用いて計数した。
【0015】実施例2(ガラガラヘビ毒腺由来のアポト
ーシス誘導性タンパク質の精製) (1)ヒドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィー
による精製 ヒドロキシアパタイト樹脂(生化学工業)を充填したカ
ラム(0.8cm i.d. x3cm)を10mMリン酸ナトリウム緩衝
液(pH7.0)で平衡化し、ガラガラヘビ(Crotalus atro
s)の毒液凍結乾燥品10mg(シグマ社)を1mlの同じ緩衝
液で溶かして、該カラムにかけ、カラムを、まず、10mM
リン酸ナトリウム緩衝液3ml(pH7.0)で洗浄し、次に、
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で蛋白を溶出し
た。溶出液の5μlを血管内皮細胞培養中に添加して、
実施例1に記載の方法でアポトーシス誘導活性能を測定
した。アポトーシス誘導活性能の検出された画分を集
め、30,000 NMWL膜(ミリポア社製)を用いて限外ろ過
することにより濃縮した。濃縮した標品を50μlの1mM
CaCl2溶液に溶解した。 (2)等電点電気泳動による精製 50μlの標品を、50μlのグリセロールと混合し、両性担
体ファーマライト(pH8.0−10.5、ファルマシア社)を
用いて作製した5%ポリアクリルアミドゲル(カラムサ
イズ4mm i.d. x11.5cm)にかけ、等電点ゲル電気泳動
で分離した。300Vにて14時間、600Vにて1時間の泳動の
後、カラムからゲルを押し出して、ゲルを2mm厚さに輪
切りにした。各ゲル片をエッペンドルフチューブに入
れ、100μlの1mMCaCl2を添加して、冷蔵庫中で一晩
放置することにより、タンパク質を溶出させた。各画分
の5μlを血管内皮細胞培養液に添加し、実施例1に記
載の方法でアポトーシス誘導能を測定し、アポトーシス
誘導活性画分を得た(図1)。活性画分の等電点は、p
I8.5であった。
【0016】実施例3(ガラガラヘビ毒腺由来のアポト
ーシス誘導性タンパク質の分析) (1)ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量の
分析 実施例2(2)で得られた活性画分を還元剤を添加した
試料処理液で処理した後、SDS-ポリアクリルアミドゲル
電気泳動に供したところ、約60kDaの単一バンドが検出
された(図2、レーン1)。この画分を還元剤を添加し
ない条件で電気泳動すると、約110kDの蛋白が検出され
た(図2、レーン2)、この110kDの蛋白画分(本発明11
0kDaタンパク質)にアポトーシス誘導活性が検出された
ことから、該タンパク質は60kDaのペプチドからなるホ
モダイマーであると考えられた。 (2)部分アミノ酸配列の分析 実施例2(2)で得られた活性画分200μgを12.5%SDS-P
AGEに供し、クーマジーブリリアントブルーで染色し
た。110kDaのバンドを切り出し、0.1% SDSを含む水溶液
10mlに浸して、一晩4℃に放置し、タンパク質を溶出さ
せた。得られたタンパク質溶液にシアノゲンブロマイド
を添加して24時間反応させ、反応液を20%SDS-PAGEに供
した後、PVDFメンブレンにブロッティングした。メンブ
レン上のタンパク質を染色し、15kDaの断片を切り出し
てペプチドシークエンサー(HPG1005A型、Hewlett Pack
ard社)でアミノ酸配列を決定した。Ile−Ala−
Leu−Phe−Glyのアミノ酸配列(配列番号1)
が確認された。
【0017】実施例4(本発明110kDaタンパク質の生理
学的性質の分析) (1)アポトーシス誘導能の分析 実施例2で精製された本発明110kDaタンパク質を終濃度
0.003mg/ml〜3μg/mlの範囲で量を変えて血管内皮細胞
に添加し、実施例1に記載の方法で該タンパク質のアポ
トーシス誘導能を測定した。なお、試料添加から24時間
後に生細胞数を計数した。結果を図3に示す。精製蛋白
0.3μg/mlの添加により、100mm培養皿内の血管内皮細胞
の約半数がアポトーシスを起こした。 (2)アポトーシス誘導能の細胞特異性の分析 実施例2で精製された本発明110kDaタンパク質を終濃度
1μg/mlとなるよう細胞培養液に添加し、12時間後に細
胞の形態を位相差顕微鏡で観察した。結果を図4に示
す。正常血管内皮細胞(A)にはアポトーシスが誘導さ
れたが、形質転換した血管内皮細胞(B)、ラット平滑
筋細胞(C)、およびヒト繊維芽細胞(D)にはアポト
ーシスは誘導されなかった。 (3)アポトーシスによる細胞死の確認 実施例2で精製された本発明110kDaタンパク質を終濃度
1μg/mlとなるよう血管内皮細胞培養液に添加し、12時
間後に細胞死を起こした細胞を集め、Biochem.Biophys.
Res. Commun., 168, 1194-1085(1990年)に記載の方
法により、DNAを抽出した。該DNAを2%アガロースゲル電
気泳動で分析したところ、アポトーシスによる細胞死に
特徴的な、DNAのヌクレオソーム単位の断片が生じてい
る事が確認された(図5)。 (4)酵素活性の分析 1)フォスフォリパーゼ活性 血管内皮細胞培養液中に[32P]H3PO4を添加して1日培養
した。培養液中に実施例2で精製された本発明110kDaタ
ンパク質を添加した細胞と添加していない細胞を、それ
ぞれ培養皿から剥がし、BlighとDyerの方法(Can.
J. Biochem. Physilo., 37, 911-918, 1959年)により
リン脂質を抽出し、2次元薄層クロマトグラフィー(展
開溶媒 1次元;クロロホルム/メタノール/20%アン
モニア水=130/50/10、2次元;クロロホルム/メタノ
ール/酢酸/水=135/60/18/3)に供した。オートラジ
オグラムを比較したが、ヘビ毒該精製標品を添加した細
胞においてリン脂質の加水分解活性は検出されなかっ
た。 2)メタロプロテアーゼ活性 変性させたBSAに実施例2で精製された本発明110kDaの
タンパク質を添加し、14時間インキュベートした後、SD
S-PAGE分析によりBSAの消化を解析した。しかしなが
ら、BSAの消化は観察されず、プロテアーゼ活性は検出
されなかった。
【0018】実施例5(本発明110kDaタンパク質に対す
る抗体の作製) 精製タンパク質1mgを7%ポリアクリルアミドゲル電気泳
動にかけ、カッパーステイン(BioLad社)を用いて非変
性的に染色する。110kDaのバンド部分のゲルを切り出
し、脱色した後、透析チューブにつめて1リットルのPB
Sに対して2回、24時間透析する。その後、透析チュ
ーブの内容物を集め、凍結融解を繰り返してゲルを砕
き、PBSに懸濁してタンパク質を抽出する。200μg蛋白
相当量をウサギの背部皮下に注入する。最初の注入から
2週間置きに3回、合計4回の注入を行った後、耳より
採血して血清を採取し、該血清を用いたウエスタンブロ
ッティング法により、抗体価を測定する。
【0019】
【発明の効果】本発明により、クサリヘビ科ヘビ毒腺由
来の、血管内皮細胞特異的にアポトーシスを誘導する能
力を有するタンパク質、及び、該タンパク質に対する抗
体が提供可能となった。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】等電点電気泳動で分画されたゲルから溶出され
た画分のアポトーシス誘導能の測定結果を示す。各溶出
画分の5μlを血管内皮細胞培養液に添加し、12時間後
に生細胞数を数えた。生細胞数が少ないほどアポトーシ
ス誘導能が強いことを示す。矢印で示した画分を活性画
分として回収した。
【図2】ガラガラヘビ毒腺由来のアポトーシス誘導性タ
ンパク質の精製物のSDS-PAGE分析のパターンを示す。泳
動方向は上から下である。レーン1は還元剤を含む試料
処理液で試料を処理し(還元条件下)、レーン2は還元
剤を含まない試料処理液で試料を処理して(非還元条件
下)、泳動した。
【図3】ガラガラヘビ毒腺由来のアポトーシス誘導性タ
ンパク質の精製物の血管内皮細胞に対するアポトーシス
誘導能の濃度依存性を測定した結果を示す。精製物を血
管内皮細胞に添加し、24時間後に生細胞数を計数した。
生細胞数が少ないほどアポトーシス誘導能が強いことを
示す。
【図4】ガラガラヘビ毒腺由来のアポトーシス誘導性タ
ンパク質の精製物のアポトーシス誘導能の細胞特異性を
調べた結果を示す。精製物を終濃度1μg/mlとなるよう
細胞培養液に添加し、12時間後に細胞の形態を位相差顕
微鏡で観察した。正常血管内皮細胞(A)にはアポトー
シスを起こした細胞が認められたが、形質転換した血管
内皮細胞(B)、ラット平滑筋細胞(C)、およびヒト
繊維芽細胞(D)にはアポトーシスを起こした細胞が認
められなかった。
【図5】ガラガラヘビ毒腺由来のアポトーシス誘導性タ
ンパク質の精製物の添加により細胞死を起こした血管内
皮細胞からDNAを抽出し、アガロースゲル電気泳動で分
析した結果を示す。レーン1;精製物を添加しなかった
細胞のDNA、レーン2;ガラガラヘビ毒腺由来の毒液
(未精製物)を終濃度10μg/mlとなるよう細胞培養液に
添加した細胞のDNA、レーン3;精製物を終濃度1μg/ml
となるよう細胞培養液に添加した細胞のDNA。レーン2
および3において、アポトーシスによる細胞死に特徴的
な、DNAのヌクレオソーム単位の断片が検出された。
【0021】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント 起源 生物名:ガラガラヘビ(Crotalus atros) 配列の特徴 特徴を決定した方法:E 配列 Ile Ala Leu Pha Gly 1 5

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クサリヘビ科ヘビの毒腺から採取される毒
    液に含まれ、血管内皮細胞にアポトーシスを誘導する能
    力を指標にした分画操作によって該毒液から単離精製す
    ることにより得られうる、血管内皮細胞特異的にアポト
    ーシスを誘導する能力を有することを特徴とする実質的
    に単一に精製されたタンパク質。
  2. 【請求項2】クサリヘビ科ヘビの毒腺から採取される毒
    液に含まれ、その部分アミノ酸配列が配列番号1に示さ
    れるアミノ酸配列であり、血管内皮細胞特異的にアポト
    ーシスを誘導する能力を有することを特徴とするタンパ
    ク質。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のタンパク質に対し
    て結合能力を有することを特徴とする抗体。
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