JPH11145710A - 遅延線装置 - Google Patents

遅延線装置

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JPH11145710A
JPH11145710A JP32724197A JP32724197A JPH11145710A JP H11145710 A JPH11145710 A JP H11145710A JP 32724197 A JP32724197 A JP 32724197A JP 32724197 A JP32724197 A JP 32724197A JP H11145710 A JPH11145710 A JP H11145710A
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JP
Japan
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delay line
line device
grooves
dielectric substrates
conductor layer
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Application number
JP32724197A
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English (en)
Inventor
Taro Miura
太郎 三浦
Kenji Endo
謙二 遠藤
Yoshiyuki Yasukawa
芳行 安川
Tadao Fujii
忠雄 藤井
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全体の寸法を大幅に小さくできる低損失の遅
延線装置を提供する。 【解決手段】 一方の面に長さ方向に沿って伸長する溝
を有しかつ他方の面のほぼ全面にアース導体層を有する
第1の誘電体基板を備えており、溝の少なくとも内表面
上に遅延線を構成する導体層が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話の基地局
等に使用される高周波の低歪み電力増幅器に使用される
遅延線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話等の基地局においては、終段の
増幅器が複数の回線の振幅変調又は周波数変調された信
号を同時に増幅し空中線に供給することが要求される。
しかしながら、携帯電話の基地局等で使用される増幅器
のように大電力を出力することを要求される増幅器にお
いては、トランジスタ等の能動素子が有する非線形特性
の影響を受けるため、3次相互変調歪等(以下IMDと
略す)が発生し不要輻射を生じるため、何らかの線形化
処理が必要となる。
【0003】このIMDを防止するために、図1に示す
ようなフィードフォワード方式(以下FF方式と略す)
の増幅器が使用されている(特開平6−224650号
公報)。
【0004】同図において、10は増幅すべき高周波信
号の入力される入力端子、11は入力端子10に接続さ
れた第1の方向性結合器、12は第1の方向性結合器1
1の出力に接続された主増幅器、13は同じく第1の方
向性結合器11の出力に接続された第1の遅延線装置、
14は主増幅器12の出力に接続された第2の方向性結
合器、15は第1の遅延線装置13及び第2の方向性結
合器14の出力に接続された第3の方向性結合器、16
は第3の方向性結合器15の出力に接続された誤差増幅
器、17は第2の方向性結合器14の出力に接続された
第2の遅延線装置、18は誤差増幅器16及び第2の遅
延線装置17の出力に接続された第4の方向性結合器、
19は第4の方向性結合器18の出力に接続された出力
端子をそれぞれ示している。
【0005】同図からも明らかのように、FF方式で
は、入力端子10を介して入力された高周波信号を第1
の方向性結合器11によって2分配して一方を主増幅器
12で増幅する。この主増幅器12では、図1に示すよ
うに、主信号に付随してIMD(歪信号)が発生してい
る。第1の方向性結合器11によって分配された他方の
入力信号は、主増幅器12と同じだけの遅延特性を持た
せた第1の遅延線装置13を通過する。この第1の遅延
線装置13の出力信号と、第2の方向性結合器14によ
り主増幅器12の出力の一部を分配し図示しないレベル
調整器及び位相調整器によってレベル調整及び位相調整
した信号とを第3の方向性結合器15において位相を反
転して合成することにより、本来の信号成分(主信号)
は互いに打ち消し合い、IMD成分(歪信号)のみを得
ることができる。次にこのIMD成分を主増幅器12が
発生しているレベルに見合うまで誤差増幅器16で増幅
する。
【0006】一方、主増幅器12の出力信号は、誤差増
幅器16と同じだけの遅延特性を持たせた第2の遅延線
装置17を通過させ、第4の方向性結合器18において
誤差増幅器16から出力されたIMD成分の信号を位相
を反転させて合成する。その結果、IMD成分が互いに
打ち消し合い、本来の希望する信号のみが出力端子19
から出力される。このように構成することにより、歪特
性の大変良好な増幅器を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この種の増幅器には、
以下のごとき問題が従来より存在していた。
【0008】(1)増幅器補償用の遅延線装置として数
10nsecの遅延時間が通常要求されるが、遅延線装
置に同軸線路型の遅延線素子を使用する場合、数10n
secの遅延時間を得るためには、数メートルの同軸ケ
ーブルが必要となり、形状が非常に大きくなる。また、
小型化のために細い同軸ケーブルを使用すると、損失が
著しく大きくなってしまう。
【0009】(2)共振器を組み合わせたフィルタを遅
延線装置に使用する場合、数10nsecの遅延時間を
得るためには、10段又はそれ以上の段数の共振器が必
要となり、損失が大きくなることはもとより組立工数が
増大してしまい、さらに、特性の調整が困難を極めるこ
ととなる。
【0010】(3)マイクロストリップラインを遅延素
子として使用する場合、ライン幅方向の両端部にエネル
ギが集中するため、損失が非常に大きくなってしまう。
【0011】(4)電力増幅器内の主増幅器及び誤差増
幅器は個々に周波数特性上のばらつきを有しているが、
IMDを完全に除去するためには個々の増幅器毎にこの
ばらつきを修正する必要がある。このためには、主増幅
器及び誤差増幅器と遅延線装置とを組みあげた後に、主
増幅器及び誤差増幅器の周波数特性を調整することが要
求され、これは製造工程を著しく煩雑にする。
【0012】従って本発明は、従来技術の上述した問題
点を解消するものであり、その目的は、全体の寸法を大
幅に小さくできかつ低損失の遅延線装置を提供すること
にある。
【0013】本発明の他の目的は、電力増幅器内の主増
幅器及び誤差増幅器の個々の特性上のばらつきを容易に
修正可能な遅延線装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、一方の
面に長さ方向に沿って伸長する溝を有しかつ他方の面の
ほぼ全面にアース導体層を有する第1の誘電体基板を備
えており、溝の少なくとも内表面上に遅延線を構成する
導体層が形成されている遅延線装置が提供される。
【0015】高誘電率の誘電体基板の一方の面に遅延線
用の導体層を形成し、他方の面にアース導体パターンを
設けた構成としているので、遅延線全体の寸法を大幅に
小さくすることができる。また、遅延線を構成する導体
層が、溝の少なくとも内表面上に形成されているので、
その導体層の断面形状は通常のストリップラインのよう
に平坦とはならない。このため、エネルギの集中化が防
止でき、損失増大を防ぐことが可能となる。
【0016】第1の誘電体基板と同様に一方の面に長さ
方向に沿って伸長すると共に少なくとも内表面上に遅延
線を構成する導体層が形成されている溝を有しかつ他方
の面のほぼ全面にアース導体層を有する第2のセラミッ
ク基板をさらに設け、これら第1及び第2の誘電体基板
は、溝を有する一方の面が互いに対向するように平行に
配置されていることが好ましい。
【0017】この場合、溝が第1及び第2の誘電体基板
の長さ方向に沿って伸長する1本又は少なくとも1往復
の溝であり、これら第1及び第2の誘電体基板の溝は互
いに対称に対向していることが望ましい。
【0018】一方の面に遅延線を構成する導体が形成さ
れておらずかつ他方の面のほぼ全面にアース導体層を有
する第2の誘電体基板をさらに備えており、これら第1
及び第2の誘電体基板は、一方の面が互いに対向するよ
うに平行に配置されていることも好ましい。
【0019】第1及び第2の誘電体基板間の距離が可変
に構成されていることが非常に好ましい。このように、
誘電体基板間の距離を変えることにより、線路に関わる
実効誘電率を変化させ、実効電気長を変化させることが
できるので、遅延時間の調整を極めて容易に行うことが
できる。その結果、FF式電力増幅器に組み込んでから
個々の増幅器の特性上のバラツキに合わせて調整する事
が可能となりIMD成分の大変少ないFF式電力増幅器
の量産が実現できる。
【0020】溝の断面形状が、凹型多角形状であるか、
又は略半円形状、略U字形状もしくは放物線等の凹型曲
線形状であることが好ましい。
【0021】遅延線を構成する導体の端部に接続された
帯域通過フィルタ又は整合回路をさらに有することも好
ましい。このように遅延線の端部に、帯域通過フィルタ
又は整合回路を設置すると、インピーダンス整合を行う
ことができる。また、帯域通過フィルタを設ければ、個
々の増幅器の周波数特性上のばらつきを修正することが
できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明の実施形
態を詳細に説明する。
【0023】図2は本発明の一実施形態である遅延線装
置の構成を一部を拡大して概略的に示す図である。
【0024】同図において、20及び21は高誘電率の
誘電体基板、22及び23は誘電体基板20及び21の
一方の面20a及び21a上にそれぞれ設けられた溝、
24及び25は溝22及び23の内表面(底面)上にそ
れぞれ形成されている遅延線を構成する導体層、26及
び27は誘電体基板20及び21の他方の面20b及び
21b上のほぼ全面にそれぞれ設けられたアース導体層
を示している。導体層24及び25は互いに並列接続さ
れており、これらの両端部には、インピーダンスの整合
を兼ねて通過損失に周波数特性を持たせるための帯域通
過フィルタ28及び29がそれぞれ接続されている。導
体層24及び25と帯域通過フィルタ28及び29との
接続は、基板上の遅延線との特性インピーダンスの差が
できるだけ小さくなるような同軸ケーブルで行う。この
場合、同軸ケーブルの外導体は、アース導体層26及び
27に接続する。同軸ケーブルは。その長さができるだ
け短く(波長の数分の1程度に)なるように配線する。
【0025】誘電体基板20及び21の各々は、εr
92、材料Q=7000を有する160mm(長さ)×
6mm(幅)×2mm(厚さ)のセラミック誘電体基板
から構成されており、その一方の面20a及び21a上
に断面形状が半径0.3mmの凹型の半円形状である溝
22及び23が形成されている。これら溝22及び23
の各々は、誘電体基板20及び21の長さ方向に沿って
伸長する1本の溝である。本実施形態においては、セラ
ミックパウダを上述の基板形状にプレス成形した後、焼
成する前に機械加工によりこれらの溝を形成している。
溝22及び23の断面形状としては、半円形状に限定さ
れることなく、U字形状又はその他の凹型の曲線形状と
してもよいし凹型の多角形状としてもよい。
【0026】遅延線を構成する導体層24及び25は、
基板を焼成した後、溝22及び23の内表面に銀ペース
トを塗布し、銀の溶融温度(960.5℃)にて焼成し
て形成している。これは、導体層の抵抗を最大限に減ら
すための手法である。アース導体層26及び27は、そ
の後、誘電体基板20及び21の他方の面20b及び2
1b上に銀ペーストを印刷で塗布し、通常の銀ペースト
の焼き付け温度(約850℃) で焼成することによって
形成している。導体層24及び25を、溝22及び23
の断面全体を満たすように形成してもよい。
【0027】誘電体基板20及び21上の溝22及び2
3並びに導体層24及び25は、これら誘電体基板20
及び21の一方の面20a及び21aを互いに対向させ
た際に、互いに向かい合うように対称形に作成されてい
る。このようにして作成した誘電体基板20及び21
は、それら一方の面20a及び21aが対向するように
互いに平行に配置され、かつ基板間の対向する距離が可
変できるように設置されている。この可変機構について
は図示されていないが、例えばねじを回転することによ
って距離を可変する機構等により、本遅延線装置をFF
増幅器に設置した後にも容易に微調整できるような機構
とする。
【0028】誘電体基板20及び21の誘電率がεr
92であるため、波長短縮率は√(92)≒9.6とな
る。このため、例えば10nsecの遅延時間を得るた
めには、真空中では3mの線路が必要になるが、この誘
電体基板中では約31cmで済むこととなる。本実施形
態のごとく誘電体基板20及び21が互いに対向して配
置されている場合、この対向する間隔をゼロより大きく
取ると、線路に関わる実効誘電率はεeff は92より小
さくなる。従って対向する間隔を変化させることによ
り、実効電気長が変化するので遅延時間の調整ができる
こととなる。
【0029】図3の(B)に示すように、溝22(2
3)の断面形状が、半円形状、U字形状もしくは放物線
等の凹型曲線形状又は凹型多角形状であるため、その内
表面上に形成される導体層24(25)も同様の形状と
なり、図3の(A)に示す通常のストリップラインのよ
うに平坦とはならない。このため、エネルギの集中化を
防止することができる。
【0030】図4は、図2の実施形態における帯域通過
フィルタ28及び29の各々の具体的な構成例を示す回
路図である。同図からも明らかのように、帯域通過フィ
ルタ28(29)は、例えばセラミック誘電体からなる
2段の共振器を容量結合したフィルタであり、そのねじ
を調整することによってキャパシタンスが可変となるよ
うに構成されており、これによって通過周波数帯域特性
が制御可能となる。なお、帯域通過フィルタの種類は、
誘電体共振器を使用したものの他に、キャビティ型、ヘ
リカル型等のいかなるものであってもよいし、段数も2
段に限定されることはない。
【0031】電力増幅器は、通常、単峰型又は双峰型の
周波数特性を有しており、このばらつきを補正するため
に、帯域通過フィルタの周波数特性をチェビシェフ型又
はマキシマリ・フラット型に調整し、これによって電力
増幅器全体の周波数特性を調整する。これら帯域通過フ
ィルタ28及び29は、インピーダンスの整合をも兼ね
ている。これは、高周波回路では通常その特性インピー
ダンスを50Ωに設定するが本実施形態における遅延線
は挿入損失を極力減らすため太いラインを設定している
のでその特性インピーダンスは10Ω弱であり、何らか
の整合手段が必要となるためである。
【0032】図5は、本実施形態における遅延線装置に
おいて帯域通過フィルタ28(29)により調整可能な
範囲の周波数特性を比較して示している。同図から明ら
かのように、例えば、実線Aに示すような特性と1点鎖
線Bに示すような特性との間で帯域通過フィルタ28
(29)の周波数特性を調整するか又は適切な特性を有
する帯域通過フィルタ28(29)を選択することによ
って、電力増幅器全体の周波数特性を平坦な特性に簡単
に修正することができる。具体的には、通過損失は、
0.2dB程度の偏倚を制御することができる。
【0033】図6は、本実施形態の遅延線装置の遅延特
性を示している。2つの誘電体基板20及び21の対向
する間隔を、実線C(5mm)及びD(0mm)に示す
ように、0〜5mmに変化させることによって、遅延時
間を、4.0〜5.5nsecの範囲で可変制御するこ
とができる。
【0034】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、高誘電率のセラミック誘電体基板20及び21上に
設けた溝22及び23の内表面上に遅延線を構成する導
体層24及び25を形成した構成としているので、遅延
線全体の寸法を大幅に小さくすることができる。また、
遅延線を構成する導体層24及び25が、溝22及び2
3の内表面上に形成されているので、その導体層24及
び25の断面形状は半円形状、U字形状又はその他の曲
線形状となり、通常のストリップラインのように平坦と
はならない。このため、エネルギの集中化が防止でき、
これによる損失増大を防ぐことが可能となる。さらに、
誘電体基板20及び21間の距離を変えることにより、
線路に関わる実効誘電率を変化させ、実効電気長を変化
させることができるので、遅延時間の調整を極めて容易
に行うことができ、電力増幅器内の主増幅器及び誤差増
幅器の個々の特性上のばらつきを容易に修正することが
可能となる。さらにまた、遅延線の端部に、帯域通過フ
ィルタ28及び29を設置しているので、インピーダン
ス整合を行うことができるのみならず、個々の増幅器の
周波数特性上のばらつきをもこの帯域通過フィルタ28
及び29で修正することができる。
【0035】図7は本発明の他の実施形態である遅延線
装置の構成を一部を拡大して概略的に示す図である。
【0036】同図において、70及び71は高誘電率の
誘電体基板、72は誘電体基板20の一方の面20a上
に設けられた溝、74は溝72の内表面上に形成されて
いる遅延線を構成する導体層、76及び77は誘電体基
板70及び71の他方の面70b及び71b上のほぼ全
面にそれぞれ設けられたアース導体層を示している。誘
電体基板71の一方の面71a上には、溝及び導体層等
が設けられていない。導体層74の両端部には、インピ
ーダンスの整合を兼ねて通過損失に周波数特性を持たせ
るための整合回路78及び79がそれぞれ接続されてい
る。導体層74と整合回路78及び79との接続は、基
板上の遅延線との特性インピーダンスの差ができるだけ
小さくなるような同軸ケーブルで行う。この場合、同軸
ケーブルの外導体は、アース導体層76及び77に接続
する。同軸ケーブルは。その長さができるだけ短く(波
長の数分の1程度に)なるように配線する。
【0037】誘電体基板70及び71の各々は、εr
92、材料Q=7000を有する160mm(長さ)×
6mm(幅)×2mm(厚さ)のセラミック誘電体基板
から構成されており、その一方の面70a上に断面形状
が半径0.3mmの半円形状である溝72が形成されて
いる。溝72は、誘電体基板70の長さ方向に沿って伸
長する1本の溝である。本実施形態においては、セラミ
ックパウダを上述の基板形状にプレス成形した後、焼成
する前に機械加工によりこれらの溝を形成している。溝
72の断面形状としては、半円形状に限定されることな
く、U字形状又はその他の凹型の曲線形状としてもよい
し凹型の多角形状としてもよい。
【0038】遅延線を構成する導体層74は、基板を焼
成した後、溝72の内表面に銀ペーストを塗布し、銀の
溶融温度(960.5℃)にて焼成して形成している。
これは、導体層の抵抗を最大限に減らすための手法であ
る。アース導体層76及び77は、その後、誘電体基板
70及び71の他方の面70b及び71b上に銀ペース
トを印刷で塗布し、通常の銀ペーストの焼き付け温度
(約850℃) で焼成することによって形成している。
導体層74を、溝72の断面全体を満たすように形成し
てもよい。
【0039】このようにして作成した誘電体基板70及
び71は、それら一方の面70a及び71aが対向する
ように互いに平行に配置され、かつ基板間の対向する距
離が可変できるように設置されている。この可変機構に
ついては図示されていないが、例えばねじを回転するこ
とによって距離を可変する機構等により、本遅延線装置
をFF増幅器に設置した後にも容易に微調整できるよう
な機構とする。
【0040】本実施形態によれば、誘電体基板71の誘
電体基板70に対向する側の面71aには遅延線(伝送
線)を形成しないで、その反対側の面71bにアース導
体層77を形成している。整合回路78及び79は、イ
ンダクタ及びキャパシタで構成されている。周波数特性
の調整機能が不要な場合には、本実施形態のように構成
することによって、図2の実施形態の場合より取り扱い
が容易でかつコストも安く適当な性能を得ることができ
る。本実施形態のその他の構成及び作用効果は、図2の
実施形態の場合と同様である。
【0041】図8は本発明のさらに他の実施形態である
遅延線装置の構成を一部を拡大して概略的に示す図であ
る。
【0042】同図において、80及び81は高誘電率の
誘電体基板、82及び83は誘電体基板80及び81の
一方の面80a及び81a上にそれぞれ設けられた溝、
84及び85は溝82及び83の内表面上にそれぞれ形
成されている遅延線を構成する導体層、86及び87は
誘電体基板80及び81の他方の面80b及び81b上
のほぼ全面にそれぞれ設けられたアース導体層を示して
いる。導体層84及び85は互いに並列接続されてお
り、これらの両端部には、インピーダンスの整合を兼ね
て通過損失に周波数特性を持たせるための帯域通過フィ
ルタ88及び89がそれぞれ接続されている。導体層8
4及び85と帯域通過フィルタ88及び89との接続
は、基板上の遅延線との特性インピーダンスの差ができ
るだけ小さくなるような同軸ケーブルで行う。この場
合、同軸ケーブルの外導体は、アース導体層86及び8
7に接続する。同軸ケーブルは。その長さができるだけ
短く(波長の数分の1程度に)なるように配線する。
【0043】誘電体基板80及び81の各々は、εr
92、材料Q=7000を有する160mm(長さ)×
8mm(幅)×1.6mm(厚さ)のセラミック誘電体
基板から構成されており、その一方の面80a及び81
a上に断面形状が半径0.3mmの半円形状である溝8
2及び83が形成されている。これら溝82及び83の
各々は、誘電体基板80及び81の長さ方向に沿って1
往復する1本の溝である。本実施形態においては、セラ
ミックパウダを上述の基板形状にプレス成形した後、焼
成する前に機械加工によりこれらの溝を形成している。
溝82及び83の断面形状としては、半円形状に限定さ
れることなく、U字形状又はその他の凹型の曲線形状と
してもよいし凹型の多角形状としてもよい。
【0044】遅延線を構成する導体層84及び85は、
基板を焼成した後、溝82及び83の内表面に銀ペース
トを塗布し、銀の溶融温度(960.5℃)にて焼成し
て形成している。これは、導体層の抵抗を最大限に減ら
すための手法である。アース導体層86及び87は、そ
の後、誘電体基板80及び81の他方の面80b及び8
1b上に銀ペーストを印刷で塗布し、通常の銀ペースト
の焼き付け温度(約850℃) で焼成することによって
形成している。導体層84及び85を、溝82及び83
の断面全体を満たすように形成してもよい。
【0045】誘電体基板80及び81上の溝82及び8
3並びに導体層84及び85は、これら誘電体基板80
及び81の一方の面80a及び81aを互いに対向させ
た際に、互いに向かい合うように対称形に作成されてい
る。このようにして作成した誘電体基板80及び81
は、それら一方の面80a及び81aが対向するように
互いに平行に配置され、かつ基板間の対向する距離が可
変できるように設置されている。この可変機構について
は図示されていないが、例えばねじを回転することによ
って距離を可変する機構等により、本遅延線装置をFF
増幅器に設置した後にも容易に微調整できるような機構
とする。
【0046】本実施形態では、遅延線(伝送線)が誘電
体基板80及び81上に1往復だけ形成されているが、
これら誘電体基板80及び81の幅を8mmより大きく
することにより、伝送線を幾重にも折り返してメアンダ
状に長いラインを設置することが可能である。しかしな
がら、そのように構成すると、高次モードの共振周波数
が低下して使用を希望する2GHz付近に影響を与える
ので本実施形態では、ライン配置は2重(1往復)まで
としている。しかしながら、使用を希望する周波数が低
く高次モードの影響を受けない場合は、幅のより広い誘
電体基板を使用してラインをメアンダ状に配置し、さら
に大きな遅延時間を得ることもできる。
【0047】本実施形態によれば、遅延線(伝送線)が
誘電体基板80及び81上を1往復しているため、全体
の寸法をさほど増大させることなく、その往復の分大き
な遅延時間を得ることができる。本実施形態のその他の
構成及び作用効果は、図2の実施形態の場合と同様であ
る。
【0048】本発明は、以上の実施形態に限定されるも
のではない。要求される装置の形状により伝送線は渦巻
き状に配置したり、FF式電力増幅器全体の筐体の隙間
部分に合わせて効率よく配置できる形状にしても良い。
また溝内の導体層は無電界メッキ、箔押し等の技法で形
成してもよい。さらに、遅延線(伝送線)の端部にカプ
ラを配置するとFF式電力増幅器全体の設計が効率的に
実施できる。
【0049】以上述べた実施形態は全て本発明を例示的
に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明
は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することがで
きる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均
等範囲によってのみ規定されるものである。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
誘電率の誘電体基板の一方の面に遅延線用の導体層を形
成し、他方の面にアース導体パターンを設けた構成とし
ているので、遅延線全体の寸法を大幅に小さくすること
ができる。また、遅延線を構成する導体層が、溝の少な
くとも内表面上に形成されているので、その導体層の断
面形状は通常のストリップラインのように平坦とはなら
ない。このため、エネルギの集中化が防止でき、これに
よる損失増大を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FF式電力増幅器の構成の概略を示すブロック
図である。
【図2】本発明の一実施形態である遅延線装置の構成を
一部を拡大して概略的に示す図である。
【図3】図2の実施形態及び一般的なストリップライン
における導体層の形状とエネルギの分布とを説明する図
である。
【図4】図2の実施形態における帯域通過フィルタの具
体的な構成を示す回路図である。
【図5】図2の実施形態において調整可能な範囲の周波
数特性を比較して示す特性図である。
【図6】図2の実施形態において調整可能な範囲の遅延
時間特性の周波数特性を比較して示す特性図である。
【図7】本発明の他の実施形態である遅延線装置の構成
を一部を拡大して概略的に示す図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態である遅延線装置
の構成を一部を拡大して概略的に示す図である。
【符号の説明】
20、21、70、71、80、81 誘電体基板 20a、21a、70a、71a、80a、81a 一
方の面 20b、21b、70b、71b、80b、81b 他
方の面 22、23、72、82、83 溝 24、25、74、84、85 遅延線を構成する導体
層 26、27、76、77、86、87 アース導体層 28、29、88、89 帯域通過フィルタ 78、79 整合回路
フロントページの続き (72)発明者 藤井 忠雄 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティー ディーケイ株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の面に長さ方向に沿って伸長する溝
    を有しかつ他方の面のほぼ全面にアース導体層を有する
    第1の誘電体基板を備えており、前記溝の少なくとも内
    表面上に遅延線を構成する導体層が形成されていること
    を特徴とする遅延線装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の誘電体基板と同様に一方の面
    に長さ方向に沿って伸長すると共に少なくとも内表面上
    に遅延線を構成する導体層が形成されている溝を有しか
    つ他方の面のほぼ全面にアース導体層を有する第2の誘
    電体基板をさらに備えており、該第1及び第2の誘電体
    基板は、溝を有する前記一方の面が互いに対向するよう
    に平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記
    載の遅延線装置。
  3. 【請求項3】 前記溝が前記第1及び第2の誘電体基板
    の長さ方向に沿って伸長する1本の溝であり、該第1及
    び第2の誘電体基板の該溝は互いに対称に対向している
    ことを特徴とする請求項2に記載の遅延線装置。
  4. 【請求項4】 前記溝が前記第1及び第2の誘電体基板
    の長さ方向に沿って少なくとも1往復伸長する溝であ
    り、該第1及び第2の誘電体基板の該溝は互いに対称に
    対向していることを特徴とする請求項2に記載の遅延線
    装置。
  5. 【請求項5】 一方の面に遅延線を構成する導体層が形
    成されておらずかつ他方の面のほぼ全面にアース導体層
    を有する第2の誘電体基板をさらに備えており、該第1
    及び第2の誘電体基板は、前記一方の面が互いに対向す
    るように平行に配置されていることを特徴とする請求項
    1に記載の遅延線装置。
  6. 【請求項6】 前記第1及び第2の誘電体基板間の距離
    が可変に構成されていることを特徴とする請求項2から
    5のいずれか1項に記載の遅延線装置。
  7. 【請求項7】 前記溝の断面形状が、凹型多角形状であ
    ることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記
    載の遅延線装置。
  8. 【請求項8】 前記溝の断面形状が、凹型曲線形状であ
    ることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記
    載の遅延線装置。
  9. 【請求項9】 前記遅延線を構成する導体層の端部に接
    続された帯域通過フィルタ又は整合回路をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載
    の遅延線装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2017085807A1 (ja) * 2015-11-18 2018-03-29 三菱電機株式会社 歪補償回路

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JPWO2017085807A1 (ja) * 2015-11-18 2018-03-29 三菱電機株式会社 歪補償回路
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