JPH1114569A - 蛍光x線スペクトルの処理方法および装置 - Google Patents

蛍光x線スペクトルの処理方法および装置

Info

Publication number
JPH1114569A
JPH1114569A JP16232697A JP16232697A JPH1114569A JP H1114569 A JPH1114569 A JP H1114569A JP 16232697 A JP16232697 A JP 16232697A JP 16232697 A JP16232697 A JP 16232697A JP H1114569 A JPH1114569 A JP H1114569A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
peak
fluorescent
axis
energy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP16232697A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3351713B2 (ja
Inventor
Yoshiyuki Kataoka
由行 片岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Industrial Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rigaku Industrial Corp filed Critical Rigaku Industrial Corp
Priority to JP16232697A priority Critical patent/JP3351713B2/ja
Publication of JPH1114569A publication Critical patent/JPH1114569A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3351713B2 publication Critical patent/JP3351713B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Spectrometry And Color Measurement (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光X線分析で得られる蛍光X線スペクトル
に対し、ピークのエネルギー等に応じて最適なスムージ
ング等ができる蛍光X線スペクトルの処理方法および装
置を提供する。 【解決手段】 測定強度がピーク値をとるときのエネル
ギー等の値と、ピーク幅に対応する例えば半値幅との相
関を、あらかじめ求めて記憶しておき、各測定点で、そ
のエネルギー値での半値幅を前記相関から求め、その半
値幅に比例した数の測定点を用いてスムージングを行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光X線分析で得
られる蛍光X線スペクトルに対し、ピークのエネルギー
等に応じて最適なスムージング等ができる蛍光X線スペ
クトルの処理方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、図5に示すような、
エネルギー分散型蛍光X線分析装置で得られた蛍光X線
スペクトルに対し、各測定点Pi において次式(1)に
よりスムージングを行っている。図5においては、左右
方向にいくつか表れたピーク(山形の盛り上がり)のう
ちのひとつを図示している。
【0003】
【数1】
【0004】ここで、スムージング処理関数 Sj は、
i番目の測定点を中心とし、−m番目からm番目の測定
点を用いてスムージングするとき、j番目(j=−m〜
m)の測定強度に乗ずる係数であり、Savitzky & Golay
の式がよく用いられる。また、測定点Pi で、前の測定
点Pi-m から後の測定点Pi+m までの一定の数2m+1
の測定点Pi-m 〜Pi+m を用いてスムージングを行って
いる。すなわち、スムージングを行うべき測定点Pi
エネルギー値Ei とは無関係に、一定のエネルギー幅
(隣接する測定点間の一定のエネルギー間隔をΔEとす
ると、2mΔEとなる)を処理幅として、スムージング
を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、エネルギー
分散型蛍光X線分析装置で得られる蛍光X線スペクトル
では、装置の特性から、エネルギーに対しピーク幅Wは
一定ではなく、エネルギーが大きくなるほどすなわちス
ペクトルにおいて右の方に位置するピークほど、ピーク
幅Wは広くなる。にもかかわらず、従来の技術では、ピ
ークのエネルギーに無関係に一定の処理幅2mΔEでス
ムージングを行うので、エネルギーの小さいピークでは
処理幅2mΔEが大きすぎてスペクトルに歪みを生じ、
エネルギーの大きいピークでは処理幅2mΔEが小さす
ぎてスペクトルにノイズが残るという問題があった。
【0006】同様に、ピークサーチにおいても、エネル
ギーの小さいピークでは処理幅2mΔEが大きすぎて近
接するピークの一方が検索されず、エネルギーの大きい
ピークでは処理幅2mΔEが小さすぎてノイズをピーク
として検索するという問題があった。また、バックグラ
ウンドの除去においても、従来の技術では、ピークのエ
ネルギーに無関係に、ピーク値をとるエネルギー値から
一定の範囲にバックグラウンドがあるとしてピークのネ
ット強度を求めるので、エネルギーの大きいピークで
は、バックグラウンドがあるとするエネルギー範囲が狭
すぎて正確なピークのネット強度が求められないという
問題があった。
【0007】さらに、以上と同様の問題が、エネルギー
分散型蛍光X線分析装置で得られる蛍光X線スペクトル
に限らず、人工多層膜分光素子を用いた波長分散型蛍光
X線分析装置で得られる蛍光X線スペクトルについても
起こる。この場合には、装置の特性から、スペクトルの
横軸であるいわゆる2θ(ゴニオメータの目盛りで、分
光素子へ入射する蛍光X線の延長と、分光素子で回折し
て検出器へ入射する蛍光X線とのなす角)に対しピーク
幅Wが一定ではなく、2θが大きくなるほどピーク幅W
が広くなるにもかかわらず、従来の技術では、ピークの
2θに無関係に一定の処理幅でスムージング等を行うこ
とが、問題の起こる原因となる。
【0008】本発明は前記従来の問題に鑑みてなされた
もので、蛍光X線分析で得られる蛍光X線スペクトルに
対し、ピークのエネルギー等に応じて最適なスムージン
グ等ができる蛍光X線スペクトルの処理方法および装置
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1の蛍光X線スペクトルの処理方法では、蛍
光X線の測定強度を第1軸とし、蛍光X線のエネルギー
に対応する値を第2軸として表した蛍光X線スペクトル
に対し、まず、測定強度がピーク値をとるときの第2軸
の値と、ピーク幅に対応するピーク幅対応値との相関
を、あらかじめ求めて記憶しておく。そして、各測定点
で、その第2軸の値でのピーク幅対応値を前記相関から
求め、そのピーク幅対応値に比例した数の測定点を用い
てスムージングを行う。
【0010】請求項1の方法によれば、エネルギー等が
大きくなるほどピーク幅が広くなることを考慮して、各
測定点で、そのエネルギー値等に応じたピーク幅対応値
(半値幅等)をあらかじめ記憶した相関から求め、その
ピーク幅対応値に比例した数の測定点を用いてスムージ
ングを行うので、ピークのエネルギー等に応じて最適な
スムージングができる。
【0011】請求項2の蛍光X線スペクトルの処理方法
では、請求項1の方法と同様に前記相関をあらかじめ求
めて記憶しておき、各測定点で、その第2軸の値でのピ
ーク幅対応値を前記相関から求め、そのピーク幅対応値
に比例した数の測定点を用いて微係数を求めることによ
りピークサーチを行う。
【0012】請求項2の方法によれば、エネルギー等が
大きくなるほどピーク幅が広くなることを考慮して、各
測定点で、そのエネルギー値等に応じたピーク幅対応値
(半値幅等)をあらかじめ記憶した相関から求め、その
ピーク幅対応値に比例した数の測定点を用いて微係数を
求めることによりピークサーチを行うので、ピークのエ
ネルギー等に応じて最適なピークサーチができる。
【0013】請求項3の蛍光X線スペクトルの処理方法
では、請求項1の方法と同様に前記相関をあらかじめ求
めて記憶しておき、スペクトル上の各ピークで、ピーク
値をとるときの第2軸の値でのピーク幅対応値を前記相
関から求め、そのピーク幅対応値に比例した第2軸上の
間隔を用いてバックグラウンドの除去を行う。
【0014】請求項3の方法によれば、エネルギー等が
大きくなるほどピーク幅が広くなることを考慮して、ス
ペクトル上の各ピークで、ピーク値をとるときのエネル
ギー値等に応じたピーク幅対応値(半値幅等)をあらか
じめ記憶した相関から求め、そのピーク幅対応値に比例
したエネルギー等の間隔を用いてバックグラウンドの除
去を行うので、ピークのエネルギー等に応じて正確なピ
ークのネット強度が求められる。
【0015】請求項4の蛍光X線スペクトルの処理装置
は、蛍光X線の測定強度を第1軸とし、蛍光X線のエネ
ルギーに対応する値を第2軸として表した蛍光X線スペ
クトルの処理装置において、測定強度がピーク値をとる
ときの第2軸の値と、ピーク幅に対応するピーク幅対応
値との相関を、あらかじめ記憶しておく記憶手段と、各
測定点で、その第2軸の値でのピーク幅対応値を前記相
関から求め、そのピーク幅対応値に比例した数の測定点
を用いてスムージングを行うスムージング手段とを備え
ている。請求項4の装置によっても、請求項1の方法と
同様の作用効果がある。
【0016】請求項5の蛍光X線スペクトルの処理装置
は、請求項4の装置と同様に記憶手段を備え、各測定点
で、その第2軸の値でのピーク幅対応値を前記相関から
求め、そのピーク幅対応値に比例した数の測定点を用い
て微係数を求めることによりピークサーチを行うピーク
サーチ手段を備えている。請求項5の装置によっても、
請求項2の方法と同様の作用効果がある。
【0017】請求項6の蛍光X線スペクトルの処理装置
は、請求項4の装置と同様に記憶手段を備え、スペクト
ル上の各ピークで、ピーク値をとるときの第2軸の値で
のピーク幅対応値を前記相関から求め、そのピーク幅対
応値に比例した第2軸上の間隔を用いてバックグラウン
ドの除去を行うバックグラウンド除去手段を備えてい
る。請求項6の装置によっても、請求項3の方法と同様
の作用効果がある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の方法を
図面にしたがって説明する。まず、この方法に用いる装
置について説明する。この装置は、図3に示すような、
蛍光X線の測定強度を第1軸(縦軸)とし、蛍光X線の
エネルギーを第2軸(横軸)として表した蛍光X線スペ
クトルの処理装置5において、図1に示すように、以下
の記憶手段1、スムージング手段2、ピークサーチ手段
3およびバックグラウンド除去手段4とを備えている。
この装置5は、エネルギー分散型蛍光X線分析装置6と
接続され、その分析装置6で得られた蛍光X線スペクト
ルに関するデータを、例えば電気的な入力信号7として
受け取る。この装置5は、分析装置6の一部として組み
込まれてもよい。前記記憶手段1は、測定強度がピーク
値をとるときの横軸の値すなわちエネルギーと、ピーク
幅に対応するピーク幅対応値例えば半値幅との相関を、
あらかじめ記憶しておく。
【0019】前記スムージング手段2は、各測定点で、
そのエネルギーでの半値幅を前記相関から求め、その半
値幅に比例した数の測定点を用いてスムージングを行
う。前記ピークサーチ手段3は、各測定点で、そのエネ
ルギーでの半値幅を前記相関から求め、その半値幅に比
例した数の測定点を用いて微係数を求めることによりピ
ークサーチを行う。バックグラウンド除去手段4は、ス
ペクトル上の各ピークで、ピーク値をとるときのエネル
ギーでの半値幅を前記相関から求め、その半値幅に比例
した横軸上の間隔を用いてバックグラウンドの除去を行
う。そして、この装置5で処理した蛍光X線スペクトル
に関するデータは、例えば、電気的な出力信号8として
分析装置6に送られ、分析装置6におけるCRT等の表
示手段9に表示される。なお、この装置5が、分析装置
6と別体である場合には、この装置が表示手段を備えて
もよい。
【0020】この装置5を用いて、本実施形態の方法で
は、以下のように処理を行う。まず、接続されたエネル
ギー分散型蛍光X線分析装置6で組成が既知の標準試料
を測定し、得られる蛍光X線スペクトルにおいて、測定
強度がピーク値をとるときのエネルギーと半値幅(縦軸
の値がピーク値の半分になるところの横軸の幅)との相
関を、あらかじめ求めて、記憶手段1に記憶しておく。
【0021】例えば、得られた蛍光X線スペクトルが、
図2のようなものであれば、測定強度がピーク値IP1
P2,IP3,…をとるときのエネルギーEP1,EP2,E
P3,…と、半値幅(FWHM)EP1 ,(FWHM)EP2 ,(FWH
M)EP3 ,…との相関を、あらかじめ求める。ここで、半
値幅(FWHM)EP1 ,(FWHM)EP2 ,(FWHM)EP3 ,…は、ピー
ク幅W1 ,W2 ,W3 ,…に対応するピーク幅対応値の
ひとつである。また、測定強度がピーク値をとるときの
エネルギーや半値幅は、測定点を細かくとって、測定点
の値そのものを用いて求めてもよいし、従来の周知の方
法等でスムージングした後に測定点間を補間して求めて
もよい。求めた相関は、測定データから次式(2)の係
数を求め、相関式として記憶する。なお、式(2)にお
いて係数bを省略してもよく、式(2)に代えて式
(3)を用いてもよい。さらに、式でなく表として記憶
してもよい。なお、図2においては、左右方向にいくつ
か表れたピーク(山形の盛り上がり)のうち、エネルギ
ーの低い側(左側)から3つを図示している。
【0022】
【数2】
【0023】
【数3】
【0024】次に、図1に示すその分析装置6で得られ
た処理すべき蛍光X線スペクトルに関するデータを、入
力信号7として受け取り、スムージング手段2により、
以下のようにスムージングを行う。まず、図3に示すよ
うに、各測定点P1 ,P2 ,P3 ,…のエネルギーをE
1 ,E2 ,E3 ,…とし、各測定点間のエネルギーの間
隔をΔEとすると、i番目の測定点Pi のエネルギーE
i は、次式(4)で得られる。なお、図3においては、
左右方向にいくつか表れたピーク(山形の盛り上がり)
のうち、最もエネルギーの低い側(左側)のものを図示
している。
【0025】
【数4】
【0026】この測定点Pi のエネルギーEi での半値
幅(FWHM)Eiを、前記記憶した相関式(2)から、次式
(5)に示すように求める。
【0027】
【数5】
【0028】そして、測定点Pi について、スムージン
グを行うべきエネルギー範囲 SEiを、次式(6)から
求める。ここで、αS は、スムージングを行うエネルギ
ー範囲 SEiを、前記半値幅(FWHM)Eiの何倍にするかの
定数であり、通常0.6程度に決めておく。
【0029】
【数6】
【0030】さらに、測定点Pi について、スムージン
グに用いるべき測定点の数2m+1(mは負でない整
数)を、次式(7)から求める。ここで、2m+1は奇
数の自然数であり、右辺の値に最も近いものをとる。
【0031】
【数7】
【0032】このようにして求めた数2m+1の測定点
i-m 〜Pi+m を用いて、前記式(1)により、各測定
点Pi でのスムージング後の強度 Si を求める。な
お、測定点Pi がスペクトルの両端またはその近傍にあ
って、用いるべき測定点Pi-m〜Pi+m が不足する場合
には、スムージングを行わず測定強度のままとする等、
周知の方法をとればよい。後述するピークサーチ等にお
いても同様である。以上のように、本実施形態の方法に
よれば、エネルギーEが大きくなるほどピーク幅Wが広
くなることを考慮して、各測定点Pi において、そのエ
ネルギーEi に応じた半値幅(FWHM)Eiを、あらかじめ記
憶した相関式(2)から求め、その半値幅(FWHM)Eiに比
例した数2m+1の測定点Pi-m 〜Pi+m を用いてスム
ージングを行うので、ピークのエネルギーに応じて最適
なスムージングができる。なお、測定点Pi-m 〜Pi+m
の数2m+1が、半値幅(FWHM)Eiに比例するとは、厳密
には、前記式(6)、(7)からも明らかなとおり、半
値幅(FWHM)Eiの一定倍(αS/ΔE倍)に最も近い奇数
の自然数である、という意味である。
【0033】次に、図1に示すピークサーチ手段3によ
り、以下のようにピークサーチを行う。まず、前記スム
ージング手段2によるスムージングの場合と同様に、式
(4)、(5)により、各測定点Pi のエネルギーEi
での半値幅(FWHM)Eiを求める。さて、ピークサーチは、
各測定点Pi について、例えば1次微係数を求めて行う
が、図3に示すように、測定点Pi について、微係数を
求めるのに用いるべきエネルギー範囲 PEiを、次式
(8)から求める。ここで、αP は、微係数を求めるの
に用いるエネルギー範囲 PEiを、前記半値幅(FWHM)Ei
の何倍にするかの定数であり、通常0.6程度に決めて
おく。
【0034】
【数8】
【0035】さらに、測定点Pi について、微係数を求
めるのに用いるべき測定点の数2m+1(mは負でない
整数)を、次式(9)から求める。ここで、2m+1は
奇数の自然数であり、右辺の値に最も近いものをとる。
なお、本実施形態では、式(6)のαS と式(8)のα
P が等しいものとして、式(7)と式(9)において同
じmを用いた。
【0036】
【数9】
【0037】このようにして求めた数2m+1の測定点
i-m 〜Pi+m を用いて、次式(10)により、各測定
点Pi での1次微係数d1i を求める。
【0038】
【数10】
【0039】ここで、1次微係数を求めるための係数d1
j は、i番目の測定点Pi を中心とし、−m番目から
m番目の測定点Pi-m 〜Pi+m を用いて、測定点Pi
の1次微係数d1i を求めるとき、j番目(j=−m〜
m)の測定強度に乗ずる係数である。このようにして求
めた各測定点Pi の1次微係数d1i を、図4に示す。
次に、測定点P1 から順に1次微係数d1i の符号をチ
ェックし、正から負または0に変化する測定点Pk d1
k ≦0,d1k-1 >0)を求める。この測定点Pk
ついて、ピーク位置を求めるのに用いるべきエネルギー
間隔ΔWを、次式(11)から求める。ここで、γは、
ピーク位置を求めるのに用いるべきエネルギー間隔ΔW
を、この測定点Pk のエネルギーEk での半値幅(FWHM)
Ek(前式(2)から求められる)の何倍にするかの定数
であり、通常0.2程度に決めておく。
【0040】
【数11】
【0041】さらに、測定点Pk について、ピーク位置
を求めるのに用いるべき測定点の数2n+1におけるn
を、次式(12)から求める。ここで、nは自然数であ
り、右辺の値に最も近いものをとる。
【0042】
【数12】
【0043】このようにして求めた数2n+1の測定点
k-n 〜Pk+n を用いて、最小二乗法で直線Lを引き、
1次微係数が0となる横軸との交点Qを、直線Lの傾き
が負であることを条件に、ピーク位置とする。ただし、
図4に示すように、ピーク幅に対して測定点の数が少な
い場合には、前記直線Lと横軸との交点Qが、測定点P
k-1 と測定点Pk との間にきて、図3において対応する
ピーク強度がないことになるので、例えば以下のように
処理する。すなわち、図3において、1次微係数が正か
ら負または0に変化した測定点Pk とその前後の測定点
k-1 ,Pk+1の3点を通る放物線を求め、その放物線
が最大値をとるエネルギーをピーク位置EP とし、その
最大値をピーク強度IP+B とする。なお、このエネルギ
ーEP をピーク位置としてよいか否かの判断にあたっ
て、その前後の測定点Pk-1 ,Pkにおける2次微係数
d2k-1 d2k がともに負であることを条件としても
よい。各測定点Pi における2次微係数d2i は、式
(8)から(10)によって1次微係数d1i を求めた
のと同様に、求められる。
【0044】このように、本実施形態の方法によれば、
エネルギーEが大きくなるほどピーク幅Wが広くなるこ
とを考慮して、各測定点Pi において、そのエネルギー
iに応じた半値幅(FWHM)Eiを、あらかじめ記憶した相
関式(2)から求め、その半値幅(FWHM)Eiに比例した数
2m+1の測定点Pi-m 〜Pi+m を用いて微係数を求め
ることにより、ピークサーチを行うので、ピークのエネ
ルギーに応じて最適なピークサーチができる。
【0045】さらに、ピークを求めた後、図1に示すバ
ックグラウンド除去手段4により、以下のようにバック
グラウンド除去を行う。まず、図3に示すように、ピー
ク位置EP について、バックグラウンド除去に用いるべ
きエネルギー間隔 BWを、次式(13)から求める。こ
こで、αB は、バックグラウンド除去に用いるべきエネ
ルギー間隔 BWを、ピーク位置EP での半値幅(FWHM)EP
(前式(2)から求められる)の何倍にするかの定数で
あり、通常1.0程度に決めておく。
【0046】
【数13】
【0047】ピーク位置EP を中心に左右に BWだけ隔
てたエネルギー位置EB1,EB2に、それぞれ対応するス
ペクトル上の点をバックグラウンド点B1 ,B2 とす
る。ただし、図3に示すように、ピーク幅に対して測定
点の数が少ない場合には、対応するスペクトル上の点が
ないことになるので、測定点間を直線で補間して(例え
ば、バックグラウンド点B1 については、その前後の測
定点P1 ,P2 を直線で連結して)、バックグラウンド
点B1 ,B2 を求める。このバックグラウンド点B1
2 を直線Mで結び、ピーク位置EP での直線M上の点
P の強度IB を、ピーク位置EP でのバックグラウン
ド強度IB とし、これと前記求めたピーク強度IP+B
から、次式(14)に基づいて、バックグラウンドを除
去したネット強度IP を求める。なお、図3において
は、直線Mは水平(横軸と平行)になっているが、一般
的には必ずしもそうなるとは限らない。
【0048】
【数14】
【0049】また、バックグラウンド点B1 とB2 との
間で、各測定点と直線Mとの強度差を積分してネット強
度とすることもある。求めたネット強度IP が、ノイズ
の強度でないことの判断にあたって、次式(15)、
(16)を満たすことを条件とできる。
【0050】
【数15】
【0051】
【数16】
【0052】このように、本実施形態の方法によれば、
エネルギーEが大きくなるほどピーク幅Wが広くなるこ
とを考慮して、スペクトル上の各ピークで、ピーク値I
P+Bをとるときのエネルギー値EP に応じた半値幅(FWH
M)EPを、あらかじめ記憶した相関式(2)から求め、そ
の半値幅(FWHM)EPに比例したエネルギー間隔 BWを用い
てバックグラウンドの除去を行うので、ピークのエネル
ギーに応じて正確なピークのネット強度IP が求められ
る。
【0053】以上の実施形態においては、エネルギー分
散型蛍光X線分析装置で得られる蛍光X線スペクトル
(横軸がエネルギーである)に適用した場合について説
明したが、本発明はこれに限らず、人工多層膜分光素子
を用いた波長分散型蛍光X線分析装置で得られる蛍光X
線スペクトル(横軸がいわゆる2θである)にも、同様
に適用できる。この場合には、測定強度がピーク値をと
るときの2θと、ピーク幅に対応するピーク幅対応値例
えば半値幅との相関を、あらかじめ記憶しておくこと等
により、対処する。
【0054】さらに、エネルギー分散型または波長分散
型蛍光X線分析装置で得られたデータを、横軸を等間隔
の波長とするデータに変換した蛍光X線スペクトルに対
しても、同様に本発明を適用できる。この場合には、測
定強度がピーク値をとるときの波長と、ピーク幅に対応
するピーク幅対応値例えば半値幅との相関を、あらかじ
め記憶しておくこと等により、対処する。このように、
蛍光X線のエネルギー、2θまたは波長を横軸(縦軸で
もよい)として表した蛍光X線スペクトルを、本願で
は、蛍光X線のエネルギーに対応する値を第2軸として
表した蛍光X線スペクトルともいう。
【0055】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、蛍光X線スペクトルではエネルギー等が大きくな
るほどピーク幅が広くなることを考慮して、測定強度が
ピーク値をとるときのエネルギー等の値と、ピーク幅に
対応する例えば半値幅との相関を、あらかじめ求めて記
憶しておくので、蛍光X線スペクトルに対し、ピークの
エネルギー等に応じて最適なスムージング等ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である蛍光X線スペクトル
の処理方法に用いる装置を示す概略図である。
【図2】同装置が接続されたエネルギー分散型蛍光X線
分析装置で、組成が既知の標準試料を測定して得られた
蛍光X線スペクトルを示す図である。
【図3】同装置で処理すべき蛍光X線スペクトルを示す
図である。
【図4】同装置で求めた各測定点の1次微係数を示す図
である。
【図5】従来のエネルギー分散型蛍光X線分析装置で得
られた蛍光X線スペクトルの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…記憶手段、2…スムージング手段、3…ピークサー
チ手段、4…バックグラウンド除去手段、5…蛍光X線
スペクトルの処理装置。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光X線の測定強度を第1軸とし、蛍光
    X線のエネルギーに対応する値を第2軸として表した蛍
    光X線スペクトルの処理方法において、 測定強度がピーク値をとるときの第2軸の値と、ピーク
    幅に対応するピーク幅対応値との相関を、あらかじめ求
    めて記憶しておき、 各測定点で、その第2軸の値でのピーク幅対応値を前記
    相関から求め、そのピーク幅対応値に比例した数の測定
    点を用いてスムージングを行うことを特徴とする蛍光X
    線スペクトルの処理方法。
  2. 【請求項2】 蛍光X線の測定強度を第1軸とし、蛍光
    X線のエネルギーに対応する値を第2軸として表した蛍
    光X線スペクトルの処理方法において、 測定強度がピーク値をとるときの第2軸の値と、ピーク
    幅に対応するピーク幅対応値との相関を、あらかじめ求
    めて記憶しておき、 各測定点で、その第2軸の値でのピーク幅対応値を前記
    相関から求め、そのピーク幅対応値に比例した数の測定
    点を用いて微係数を求めることによりピークサーチを行
    うことを特徴とする蛍光X線スペクトルの処理方法。
  3. 【請求項3】 蛍光X線の測定強度を第1軸とし、蛍光
    X線のエネルギーに対応する値を第2軸として表した蛍
    光X線スペクトルの処理方法において、 測定強度がピーク値をとるときの第2軸の値と、ピーク
    幅に対応するピーク幅対応値との相関を、あらかじめ求
    めて記憶しておき、 スペクトル上の各ピークで、ピーク値をとるときの第2
    軸の値でのピーク幅対応値を前記相関から求め、そのピ
    ーク幅対応値に比例した第2軸上の間隔を用いてバック
    グラウンドの除去を行うことを特徴とする蛍光X線スペ
    クトルの処理方法。
  4. 【請求項4】 蛍光X線の測定強度を第1軸とし、蛍光
    X線のエネルギーに対応する値を第2軸として表した蛍
    光X線スペクトルの処理装置において、 測定強度がピーク値をとるときの第2軸の値と、ピーク
    幅に対応するピーク幅対応値との相関を、あらかじめ記
    憶しておく記憶手段と、 各測定点で、その第2軸の値でのピーク幅対応値を前記
    相関から求め、そのピーク幅対応値に比例した数の測定
    点を用いてスムージングを行うスムージング手段とを備
    えたことを特徴とする蛍光X線スペクトルの処理装置。
  5. 【請求項5】 蛍光X線の測定強度を第1軸とし、蛍光
    X線のエネルギーに対応する値を第2軸として表した蛍
    光X線スペクトルの処理装置において、 測定強度がピーク値をとるときの第2軸の値と、ピーク
    幅に対応するピーク幅対応値との相関を、あらかじめ記
    憶しておく記憶手段と、 各測定点で、その第2軸の値でのピーク幅対応値を前記
    相関から求め、そのピーク幅対応値に比例した数の測定
    点を用いて微係数を求めることによりピークサーチを行
    うピークサーチ手段とを備えたことを特徴とする蛍光X
    線スペクトルの処理装置。
  6. 【請求項6】 蛍光X線の測定強度を第1軸とし、蛍光
    X線のエネルギーに対応する値を第2軸として表した蛍
    光X線スペクトルの処理装置において、 測定強度がピーク値をとるときの第2軸の値と、ピーク
    幅に対応するピーク幅対応値との相関を、あらかじめ記
    憶しておく記憶手段と、 スペクトル上の各ピークで、ピーク値をとるときの第2
    軸の値でのピーク幅対応値を前記相関から求め、そのピ
    ーク幅対応値に比例した第2軸上の間隔を用いてバック
    グラウンドの除去を行うバックグラウンド除去手段とを
    備えたことを特徴とする蛍光X線スペクトルの処理装
    置。
JP16232697A 1997-06-19 1997-06-19 蛍光x線スペクトルの処理方法および装置 Expired - Fee Related JP3351713B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16232697A JP3351713B2 (ja) 1997-06-19 1997-06-19 蛍光x線スペクトルの処理方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16232697A JP3351713B2 (ja) 1997-06-19 1997-06-19 蛍光x線スペクトルの処理方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1114569A true JPH1114569A (ja) 1999-01-22
JP3351713B2 JP3351713B2 (ja) 2002-12-03

Family

ID=15752419

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16232697A Expired - Fee Related JP3351713B2 (ja) 1997-06-19 1997-06-19 蛍光x線スペクトルの処理方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3351713B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013073071A1 (ja) * 2011-11-15 2013-05-23 富士電機株式会社 パルス処理装置および放射線分析装置
FR2984490A1 (fr) * 2011-12-14 2013-06-21 IFP Energies Nouvelles Methode d'analyse chimique comportant un lissage de diagramme par filtre localement auto adaptatif
KR101440236B1 (ko) * 2013-06-13 2014-09-12 전북대학교산학협력단 X선 형광 분석 방법 및 이를 위한 백그라운드 제거 방법
JP2018517148A (ja) * 2015-04-02 2018-06-28 ソレック ニュークリア リサーチ センター X線蛍光標識を読み取るためのシステムおよび方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013073071A1 (ja) * 2011-11-15 2013-05-23 富士電機株式会社 パルス処理装置および放射線分析装置
CN103748481A (zh) * 2011-11-15 2014-04-23 富士电机株式会社 脉冲处理装置和放射线分析装置
US8930155B2 (en) 2011-11-15 2015-01-06 Fuji Electrict Co., Ltd. Pulse processing device and radiation measuring device
FR2984490A1 (fr) * 2011-12-14 2013-06-21 IFP Energies Nouvelles Methode d'analyse chimique comportant un lissage de diagramme par filtre localement auto adaptatif
KR101440236B1 (ko) * 2013-06-13 2014-09-12 전북대학교산학협력단 X선 형광 분석 방법 및 이를 위한 백그라운드 제거 방법
JP2018517148A (ja) * 2015-04-02 2018-06-28 ソレック ニュークリア リサーチ センター X線蛍光標識を読み取るためのシステムおよび方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3351713B2 (ja) 2002-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Nagao et al. Gas metallicity diagnostics in star-forming galaxies
Dufour et al. Detailed spectroscopic and photometric analysis of DQ white dwarfs
McDonald et al. The Lyα Forest Power Spectrum from the Sloan Digital Sky Survey
EP1969357B1 (en) Measurement of ash composition using scanning high voltage x-ray sensor
EP1054254B1 (en) Data processor for X-ray fluorescence spectroscopy taking into account the element sensitivities of the measuring device independent of measurement conditions
EP0982583A1 (en) Measurement of spectrometer background profile
EP0483753B1 (en) X-ray spectrometer
JP3351713B2 (ja) 蛍光x線スペクトルの処理方法および装置
US6615162B2 (en) Noise reducing/resolution enhancing signal processing method and system
Castellano et al. Analytical model for the bremsstrahlung spectrum in the 0.25–20 keV photon energy range
JP2928688B2 (ja) 汚染元素分析方法及び装置
Petitjean et al. Collisions of rubidium Rydberg-state atoms with ammonia
CN110889368A (zh) 采用算术平均与几何平均差消除拉曼光谱背景的方法
JP3331192B2 (ja) 蛍光x線分析方法および装置
JP4279983B2 (ja) 蛍光x線分析装置
JPH05284259A (ja) 画像評価方法および装置
JP3635337B2 (ja) 蛍光x線分析方法および装置
JP3069305B2 (ja) 蛍光x線分析方法および装置
US6104984A (en) Automated method of frequency determination in software metric data through the use of the multiple signal classification (MUSIC) algorithm
JP3141803B2 (ja) 蛍光x線のスペクトル線強度算出方法
Barton et al. Predicting the effect of changing an optical element in a given Raman micro-spectrometer
Brickhouse Chandra and XMM-Newton: X-ray spectral synthesis at high resolution
JP3377328B2 (ja) 蛍光x線分析方法
JP2645226B2 (ja) 蛍光x線分析方法
JP2001249089A (ja) 蛍光x線分析方法および装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080920

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090920

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090920

Year of fee payment: 7

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090920

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100920

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100920

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110920

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110920

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120920

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130920

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140920

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees