JPH11142899A - 非線形光学材料 - Google Patents

非線形光学材料

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JPH11142899A
JPH11142899A JP30464897A JP30464897A JPH11142899A JP H11142899 A JPH11142899 A JP H11142899A JP 30464897 A JP30464897 A JP 30464897A JP 30464897 A JP30464897 A JP 30464897A JP H11142899 A JPH11142899 A JP H11142899A
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JP
Japan
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polymer
nonlinear optical
optical material
optical
nonlinear
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JP30464897A
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Osamu Watanabe
修 渡辺
Masaaki Tsuchimori
正昭 土森
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Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光学的非線形性の経時安定性が良好な非線形光
学材料を提供する。 【解決手段】高分子非線形光学材料と、この高分子非線
光学材料と相溶し、この高分子非線形光学材料よりも高
いガラス転移温度を有する高分子材料、とを含有する非
線形光学材料とする。この非線形光学材料によると、高
分子非線形光学材料よりも高いガラス転移温度を有する
高分子材料が含まれているので、高分子非線形光学材料
の光学的非線形性の経時的な低下が補われ、非線形光学
材料としての、光学的非線形性の安定性が向上される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、非線形光学材料
に関し、詳しくは、導波路型の光変調スイッチ、光スイ
ッチ、波長変換素子などに応用される高分子非線形光学
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学的材料は、レーザー光の波長
を1/2、1/3に変える光−光変換、電場によって屈
折率が変わる電気光学的効果などの機能を有する次世代
材料である。かかる非線形光学的材料においては、非対
称性を有する分子構造部、すなわち、π電子共役系に少
なくとも1つの電子供与基と少なくとも1つの電子吸引
基とが結合した光学的非線形性を示す成分(以下、本明
細書において、光学的非線形成分という。)を備え、か
つ、この光学的非線形成分が一定の(反転中心対称性の
ない)分子配列状態を形成していることが必要である。
光学的非線形材料には、光学的非線形性が高いことの他
に、さらに、光学的非線形性の経時安定性、素子化する
ための成膜性等が要求される。
【0003】非線形光学材料として、光学的非線形成分
を、ポリウレタンなどの高分子の主鎖中に結合させた
り、高分子の側鎖の一部に組み込むことにより、高分子
マトリックス中に光学的非線形成分を分散保持させた高
分子非線形光学材料が従来から知られている。かかる非
線形光学材料では、電場配向処理により光学的非線形成
分を配向させ、その後前記した一定の分子配列状態を固
定することにより経時的な光学的非線形成分の配向緩和
を抑制して光学的非線形性を安定して維持しようとする
ものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる高分子非線形光
学的材料の一つとして、縮合系高分子に光学的非線形成
分を導入した非線形光学材料が提案されている(Macrom
olecules vol.24(1991)5421 )。この非線形光学材料で
は、ポリエステル樹脂で50%以上の光学的非線形成分
の導入が達成され、有望な光学的非線形成分として注目
された。しかし、光学的非線形性の経時安定性が劣って
いたり、成膜性に劣っていたりするために、使用できな
い材料があった。
【0005】また、光学的非線形性、成膜性、光学的非
線形性の経時安定性を確保する技術として、高分子非線
形光学材料の高分子主鎖に水素結合を導入する技術も提
案された。しかしながら、高温での経時安定性について
は、不十分な材料もあった。光学的素子作成のプロセス
においては、短期間の耐熱性が要求される。また、長期
耐熱性も素子の高温環境下での使用寿命を確保するのに
必要とされる。
【0006】そこで、本発明は、光学的非線形性を保持
できる非線形光学材料を提供することをその目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明者らは、高分子非線形光学材料に添加す
ることのできる高分子材料について探索し、光学的非線
形性を保持できる高分子材料を見いだし、以下の発明を
完成した。すなわち、本発明の非線形光学材料は、高分
子非線形光学材料と、この高分子非線光学材料と相溶
し、この高分子非線形光学材料よりも高いガラス転移温
度を有する高分子材料、とを含有する非線形光学材料で
ある。この非線形光学材料によると、高分子非線形光学
材料よりも高いガラス転移温度を有する高分子材料(以
下、本高分子材料という。)が含まれているので、高分
子非線形光学材料が熱に対して安定化され、光学的非線
形性が保持される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、詳細に説明する。本発明の非線形光学材料は、高分
子非線形光学材料と、本高分子材料とを含有する。
【0009】(高分子非線形光学材料)本明細書におい
て高分子非線形光学材料とは、高分子のマトリックス
に、π電子共役系に少なくとも1つの電子供与基と少な
くとも1つの電子吸引基とが結合した光学的非線形成分
が保持されている非線形光学材料をいう。本発明で用い
る高分子非線形光学材料としては、特に限定しないで、
公知の高分子非線形材料を用いることができる。ただ
し、混合される本高分子材料との関係において、本高分
子材料と相溶性が確保されるように選択される。本発明
の高分子非線形光学材料においては、光学的非線形成分
が高分子マトリックス(高分子部分あるいは高分子鎖と
もいう。)に共有結合で結合していることが好ましい。
ただし、光学的非線形成分の共役系部分が高分子の主鎖
を形成しているものは好ましくない。光学的非線形成分
が高分子部分の側鎖と結合している場合や、光学的非線
形成分の一部、例えば、電子供与基部分や電子吸引基部
分が高分子部分の主鎖に含まれている場合、あるいは光
学的非線形成分の大部分が高分子部分の主鎖を構成して
いない場合、高分子部分の主鎖の運動性が光学的非線形
成分に対して影響が少ないため好ましい。また、高分子
主鎖が比較的極性の高い高分子非線形光学材料が好まし
い。
【0010】具体的には、光学的非線形成分を多く導入
でき高い光学的非線形性を示す、Macromolecules vol.2
4(1991)5421 〜5428に開示されるpolymer4や、特開平8
−220575号公報に開示される、高分子部分の主鎖
中にウレタン結合やウレア結合を備えたウレタンウレア
共重合体や、ウレタン重合体等のウレタン系高分子非線
形光学材料、特開平8―334794号公報(特願平7
―140825号)に開示されるポリアミドや、特願平
8−246096号(本願出願時において未公開であ
る。)に開示されているエステルアミド共重合体等のア
ミド系高分子非線形光学材料を挙げることができる。
【0011】上記したウレタンウレア共重合体の高分子
部分としては、特に限定しないが、ウレア結合及びウレ
タン結合を導入するのが容易なものが好ましく利用でき
る。ウレア結合の導入には、例えば、ウレア結合を有す
る化合物を導入するか、重合時にウレア結合を形成でき
るモノマーを用いて重合によりウレア結合部を形成して
高分子のマトリックス中に導入させてもよい。
【0012】ウレア結合部は、アミンとイソシアナート
との反応で形成できる。このため、例えば、ジアミン化
合物とジイソシアナートとを当モル比で重合させること
で、高分子マトリックス中に導入することができる。ま
た、ウレタン結合部は、イソシアナートと水酸基との反
応で形成される。したがって、例えば、ジオール化合物
とジイソシアナート化合物を当モルで反応させることで
高分子マトリックス中に導入する。例えば、光学的非線
形性成分を構成要素とするジオール化合物を用いて重合
により高分子マトリックス中に導入させて形成すること
ができる。
【0013】なお、高分子マトリックスとしては、ウレ
タン系樹脂が好ましいが、その他、ポリエステル樹脂、
アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリシラススチレン、ポ
リアリレート、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂、フェ
ノール樹脂などの熱硬化性樹脂も利用することができ
る。これらの高分子は成膜あるいは成形可能な程度の分
子量を備えていればよい。
【0014】光学的非線形成分としては、例えば、4−
N,N−ビス(2−ヒドロキシルエチル)アミノ−4’
−シアノ−2−メチル−3’−トリフルオロメチルアゾ
ベンゼン、4−N,N−ビス(2−ヒドロキシルエチ
ル)アミノ−4’−ニトロ−2−メチル−3’−トリフ
ルオロメチルアゾベンゼン、4−N,N−ビス(2−ヒ
ドロキシルエチル)アミノ−4’−ニトロ−2−メチル
−3’−トリフルオロメチルスチルベン、4−N,N−
ビス(2−ヒドロキシルエチル)アミノ−2−メチル−
2’−ニトロ−4’トリフルオロメチルアゾベンゼン、
4−(N−2−ヒドロキシルエチル−N−エチル)アミ
ノ−4' −ニトロ−2−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−ヒドロキシルエチル−N−エチル)
アミノ−4' −ニトロ−2’−トリフルオロメチルアゾ
ベンゼン、4−(N−2−ヒドロキシルエチル−N−エ
チル)アミノ−4' −ニトロ−3−トリフルオロメチル
アゾベンゼン、4−(N−2−ヒドロキシルエチル−N
−エチル)アミノ−4' −ニトロ−3’−トリフルオロ
メチルアゾベンゼン、4−(N−2−シアノエチル−N
−エチル)アミノ−4' −ニトロ−2−トリフルオロメ
チルアゾベンゼン、4−(N−2−シアノエチル−N−
エチル)アミノ−4' −ニトロ−2’−トリフルオロメ
チルアゾベンゼン、4−(N−2−シアノエチル−N−
エチル)アミノ−4' −ニトロ−3−トリフルオロメチ
ルアゾベンゼン、4−(N−2−シアノエチル−N−エ
チル)アミノ−4' −ニトロ−3’−トリフルオロメチ
ルアゾベンゼンなどが利用できる。
【0015】ウレア結合の形成には、ジアミン化合物と
ジイソシアナートを、ウレタン結合の形成には、ジオー
ル化合物とジイソシアナートとの反応で形成する。形成
された高分子マトリックスは、溶媒に可溶性であること
がフィルムへの成形性を付与するのに好ましい。また、
成膜性に優れた高分子量のものが特に好ましい。ジイソ
シアナートとジアミンとの反応性は、ジイソシアナート
とジオールとの反応性に比べて非常に高いためにジイソ
シアナートとジアミンとジオールとの混合物を反応させ
るとジイソシアナートとジアミンとの反応が先行してウ
レア化合物が生成する。そこで、ジイソシアナートとジ
オールとを高温下で完全に反応させた後に、反応性の高
いジアミンをより低温条件下で加え、反応させることに
より、直鎖状で高分子量の高分子を得ることができる。
【0016】本発明で用いることのできるジアミン化合
物としては、ピペラジン、2,5―ジメチルピペラジ
ン、ビス(エチルアミノ)エタン、1,6−ジアミノヘ
キサン、1,3−ビス(4−ピペリジル)プロパン、ビ
ス(4−アミノシクロへキシル)メチレンなどが挙げら
れる。環構造を有するジアミン化合物としては、重合反
応性のアミンが環構造と直接結合している1,4−シク
ロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロ
へキシルアミン)、1,3−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、ビス(3−アミノフェニル)スルフォ
ン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ス
ルフォン、(s)−(+)−2−(アニリノメチル)ピ
ロリジンなどが利用でき、重合反応性のアミンがアルキ
ル鎖を介して環構造と結合している1,4−ジ(アミノ
メチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプ
ロピル)2,4,8,10−テトラオキソスピロ[5.
5]ウンデカン、3(4),8(9)−ビス(アミノメ
チル)トリシクロ[5,2,1,02、6 ]デカン、m−
キシリレンジアミンp−キシリレンジアミンなどが利用
でき、重合反応性のアミンが環構造の一部を形成してい
るトランス−2,5−ジメチルピペラジン、ピペラジ
ン、1,3−ジ−4−ピペリジルプロパンなどが利用で
きる。
【0017】また、分子中にアミノ基とヒドロキシル基
をもつ4−ヒドロキシピペリジンなども利用することが
できる。すなわち、イソシアナート基のアミノ基とヒド
ロキシル基とに対する反応速度の違いを利用して予めア
ミノ基とイソシアナート基との重付加によるウレア結合
部を形成しておき、次いでヒドロキシル基とイソシアナ
ート基とを反応させてウレタン結合部を形成することも
できる。
【0018】ジオール化合物としては、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)n−ドデシルアミン、1,4
−ジヒドロキシシクロヘキサン、エチレングリコールそ
の他、光学的非線形成分と結合したジオール化合物を利
用することができる。ジイソシアナート化合物として
は、トリレン−2,4−ジイソシアナート、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアナートなどの公知のジイソ
シアナートを使用することができる。
【0019】具体的には、以下の構造式化1ないし化2
5に示すウレタンウレア共重合体を、本発明の高分子非
線形光学材料として好ましく使用することができる。ま
た、ポリアミドとしては、具体的には、以下の構造式化
26ないし化31に示す化合物を、本発明の高分子非線
形光学材料として好ましく使用することができる。ま
た、エステルアミド共重合体としては、以下の構造式化
32ないし化34に示す化合物を本発明の高分子非線形
光学材料として好ましく使用することができる。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】
【化22】
【0042】
【化23】
【0043】
【化24】
【0044】
【化25】
【0045】
【化26】
【0046】
【化27】
【0047】
【化28】
【0048】
【化29】
【0049】
【化30】
【0050】
【化31】
【0051】
【化32】
【0052】
【化33】
【0053】
【化34】
【0054】このような高分子非線形光学材料の他、従
来、高い非線形性を有しながら経時安定性が劣るために
利用されなかった光学的材料も有効に光学的非線形性が
保持されるので利用可能となる。具体的には、化35に
示す化合物を挙げることができる。
【0055】
【化35】
【0056】(本高分子材料)本高分子材料は、高分子
非線形光学材料との関係において選択される。第1に、
使用する高分子非線形光学材料と相溶性があることであ
る。相溶性があるとは、最終的に、互いに相分離せず、
また、化学反応もなく、均質に混ざり合った状態となる
ことができることをいう。相溶性がないと、本高分子材
料による経時安定性向上作用が得られ難い。高分子非線
形光学材料と均一な混合状態が得られにくいからであ
る。高分子非線形光学材料に本高分子材料が均一な存在
状態で併存されて、本高分子材料による経時安定性向上
作用が発揮される。また、不均一な混合状態では、素子
として導波路化した時、散乱して導波損失を増加させる
ので好ましくない。
【0057】第2に、本高分子材料は、使用する高分子
非線形光学材料よりもガラス転移温度が高いことであ
る。ガラス転移温度が使用する高分子非線形光学材料よ
りも高いと、高分子非線形光学材料を熱に対して安定化
させることができ、熱による光学的非線形性成分の配向
緩和を抑制することができる。結果として、高分子非線
形光学材料と本高分子材料とを含む非線形光学材料の経
時安定性が向上される。特に、本高分子材料を添加する
と、高温での経時安定性(耐熱性ともいう。)が向上さ
れる。本高分子材料のガラス転移温度が、使用する高分
子非線形材料のそれよりも高ければ、本高分子材料によ
って光学的非線形性が良好に保持されるようになり、経
時安定性が向上されるが、好ましくは、ガラス転移温度
は20℃以上高いことが好ましい。より好ましくは、4
0℃以上である。
【0058】ガラス転移温度は、示差走査熱量計等によ
って測定することができる。高分子非線形光学材料と本
高分子材料のガラス転移温度を比較するとき、同条件に
よって測定されたガラス転移温度で比較することが重要
である。
【0059】本高分子材料の主鎖あるいは分枝鎖には、
高分子非線形材料との間で水素結合を形成可能な水素結
合性を備える部分(水素結合性部分)を有していること
が好ましい。かかる水素結合性部分を有して本高分子材
料と高分子非線形光学材料との間で新たに水素結合を形
成させることができれば、経時安定性向上に寄与するか
らである。このような水素結合性部分としては、第1級
アミノ基、第2級アミノ基、カルボニル基、水酸基等を
挙げることができる。
【0060】本高分子材料の分子量は、特に限定しない
で用いることができるが、非線形光学材料の成膜性を向
上させることができる程度に分子量が大きいことが好ま
しい。一般には、数平均分子量10,000〜1,000,000 であ
ることが好ましく、より好ましくは、50,000〜500,000
である。このような分子量の範囲であると、成膜性の良
好な非線形光学材料を得ることができ、あるいは、より
成膜性の向上した非線形光学材料を得ることができる。
あるいは、使用する高分子非線形光学材料よりも分子量
が大きいことが好ましい。使用する高分子非線形光学材
料よりも分子量が大きければ、高分子非線形材料単独の
場合よりも成膜性の向上した非線形光学材料を得ること
ができる。成膜性が向上されると、成膜時におけるクラ
ック等の発生を抑制でき、このよな材料を用いた光導波
路型素子においては、導波路における欠陥によって光が
散乱されることなく導波されるようになる。成膜性を向
上させうるような本高分子材料を用いることにより、従
来、成膜性が良好でないとの理由で非線形光学材料とし
て用いられなかった高分子非線形光学材料も、本発明に
より利用しやすくなる。
【0061】本高分子材料は、極性の高い構造を有して
いることが好ましい。極性が高いと、本高分子材料の添
加によって、非線形光学材料中における非線形性成分の
濃度が低下しても、光学的非線形性の低下を抑制するこ
とができるからである。このような極性構造は、本高分
子材料に有極性部分を備えることによって付与される。
かかる有極性部分として、極性の官能基であるカルボニ
ル基等を挙げることができる。
【0062】また、本高分子材料は、無定形高分子であ
ることが好ましい。無定形高分子であると、例えば、光
導波路型素子を構成する場合に、導波光に対して損失の
少ない素子を形成できるからである。なお、同様の理由
から、高分子非線形光学材料も無定形高分子であること
が好ましい。
【0063】本高分子材料としては、主鎖骨格に芳香族
環や複素環構造を有する剛直な構造を有する高分子、あ
るいは、主鎖中に芳香族環とともに−SO2 −基を有す
る高分子を用いることができる。具体的には、化36式
のポリスルホン、化37式のポリエーテルスルホン、化
38式のポリアリーレン等を挙げることができる。ポリ
スルホンは、耐熱性の熱可塑性樹脂であり、また、水素
結合性部分あるいは極性基としてスルホン基やエーテル
結合を備える。ポリエーテルスルホンは、耐熱性熱可塑
性樹脂であり、水素結合性部分あるいは極性基としてポ
リスルホンと同じく、スルホン基やエーテル結合を備え
る。ポリアリーレンは、耐熱性熱可塑性樹脂で、水素結
合性部分あるいは極性基としてカルボニル基を備える。
【0064】
【化36】
【0065】
【化37】
【0066】
【化38】
【0067】高分子非線形光学材料と本高分子材料の配
合比の範囲は、特に限定しないが、配合時において光学
的非線形性をある程度保持することを考慮すると、本高
分子材料が高分子非線形光学材料と本高分子材料との合
計量の20重量%以下であることが好ましい。より好ま
しくは10重量%以下である。換言すれば、本高分子材
料は、重量比で高分子非線形光学材料の2/8以下であ
ることが好ましく、より好ましくは、1/9以下であ
る。
【0068】高分子非線形光学材料と本高分子材料と
は、そのまま混合し、あるいは、適当な溶媒中に溶解さ
せて均一な状態とした後、公知の方法により成形され
る。すなわち、スピンコート、射出成形、押し出し成形
などにより材料を膜状等の所定の形状に成形される。
【0069】本発明の非線形光学材料は、高分子非線形
光学材料に本高分子材料が混合されたことにより、成膜
性が向上されうる。すなわち、従来の高分子非線形光学
材料においては、材料中に光学的非線形成分を含有する
ために分子量の増加が困難であることが多く、低分子量
のために成形性、成膜性に劣り実用化できない場合が多
かったが、本発明によると、成膜性を向上させうる本高
分子材料が混合された状態で成膜することにより、材料
全体として成形性、成膜性が付与されて実用化可能とす
ることができる。
【0070】非線形光学材料に配向処理を施すには、高
分子非線形光学材料中の光学的非線形成分が分子運動で
きる温度に加熱しながら所定の電場を印加して、光学的
非線形成分を配向させる。次に、電場印加により得られ
た配列状態を固定するために、電場を印加したまま材料
中の光学的非線形成分が分子運動できなくなる温度まで
冷却する。これにより、非線形光学材料が得られる。
【0071】この材料においては、用いる高分子非線形
光学材料よりもガラス転移温度の高い本高分子材料が添
加されることにより、非線形光学材料全体としての熱的
安定性が向上され、光学的非線形性が良好に保持される
ようになり、経時安定性が向上される。また、高温にお
いての経時安定性も向上されている。また、素子形成プ
ロセスにおいて必要な短期耐熱性の向上も合わせて備え
うるものとなっている。特に、本材料においては、本高
分子材料を添加することによって、高分子非線形光学材
料の主鎖の熱運動が有効に抑えられて、経時安定性を向
上させることができる。したがって、高分子非線形光学
材料に熱架橋性高分子材料を添加して経時安定性を向上
させようとする場合に比較すると、配向工程と架橋工程
と行う複雑なプロセスを経ることがないので、簡易に経
時安定性を向上させることができる。加えて、架橋を行
うことは、一般に、光導波特性を低下させることにな
る。したがって、本材料は、架橋による光導波特性低下
が回避されており、光導波路型素子に適したものとなっ
ている。
【0072】また、本材料では、本高分子材料として、
非線形光学材料の成膜性向上に寄与できる程度の分子量
のものを用いることにより、同時に成膜性も向上させる
ことができる。また、本高分子材料を添加することによ
って、非線形性成分の濃度低下による光学的非線形性の
低下が考えられる。しかし、極性の高い本高分子材料を
用いることにより、かかる低下を回避することができ
る。
【0073】このようにして得られた本発明の光学的非
線形性を示す光学材料は、電気光学的効果、光高調波発
生、光双安定性などの非線形光学効果を利用した、光ス
イッチ、光変調器、波長変換素子、光演算素子などの光
学素子の構成材料として使用される。
【0074】以上説明したことから、本発明は、特許請
求の範囲に記載した以外に、以下の形態を採ることがで
きる。 (1)高分子非線形光学材料と、ポリスルホンとを含有
する非線形光学材料。 (2)高分子非線形光学材料と、この高分子非線形光学
材料よりもガラス転移温度が高く、かつ分子量も大きい
高分子材料とを含有する非線形光学材料。 (3)高分子非線形光学材料と、この高分子非線形光学
材料よりもガラス転移温度が高く、この高分子非線形光
学材料との水素結合可能な水素結合性部分を備える高分
子材料とを含有する非線形光学材料。 (4)高分子非線形光学材料と、この高分子非線形光学
材料よりも高いガラス転移温度を有する高分子材料とを
含有する非線形光学材料で形成される光学素子。 (5)無定形高分子非線形光学材料と、この無定形高分
子非線形光学材料よりも高いガラス転移温度を有する高
分子材料とを含有する非線形光学材料で形成される光導
波路型素子。
【0075】
【実施例】(実施例1及び2)以下、本発明を具現化し
た実施例について説明する。以下の試験例における分子
構造の同定は、赤外吸収スペクトルにより行った。融点
及びガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計により、
昇温速度10℃/minで行った。固有粘度[η]は、
ウベローデ型粘度計により測定した。得られたポリマー
の1―メチル−2−ピロリドン0.5dl/g溶液の3
0℃における粘度計の流下時間をtとし、1−メチルー
2−ピロリドンの30℃における粘度計の流下時間をt
0 とすると、固有粘度[η]は、=Ln(t/t0 )/
0.5で求められる。固有粘度[η]は、高分子の分子
量Mと以下に示すマーク−フウインク−桜田の式(数
1)により関係づけられる。
【0076】
【数1】
【0077】Kmとαは高分子と溶媒と温度との組み合
わせで定まる定数である。以下に示す実施例において分
子量の推定値は固有粘度[η]を上記の式(1)に代入
し、Km=0.0001、α=0.8として求めた。非
線形光学特性は、第二高調波発生により求めたd定数に
より評価した。入射基本波としてパルスのNd:YAG
レーザー(波長;1064nm、パルス幅;7nse
c、繰り返し数;10Hz)を用いた。標準試料には、
石英結晶(d1 1 =0.5pm/V)を使用した。
【0078】2−メチル−4−ニトロアニリン7.61
gを水100mlと36%塩酸水溶液45mlの混合液
に溶解させて3℃に冷却した。その中に、水18mlに
溶かした亜硝酸ナトリウム3.80gを加えた。得られ
た溶液を3℃に保ち、1時間攪拌した。さらにその中
に、m−トリルジエタノールアミン9.76gを水12
5mlと36%塩酸水溶液7.5mlの混合役に溶解さ
せた溶液を30分間で徐々に加えた後、3℃で20分間
攪拌し、さらに、20℃で60分間攪拌して反応させ
た。反応混合物を水200mlに溶かした水酸化カリウ
ム35.4gにより中和し、粗生成物を濾別後水洗し
て、乾燥させた。エタノールからの再結晶を2回繰り返
して、以下の構造式(化39)で示される4−N,N−
ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−2’−ジメ
チル−4’−ニトロアゾベンゼンを得た(収率;80
%、融点169℃)。
【0079】
【化39】
【0080】次に、化39の化合物1.50gと4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアナート1.571g
とをN−メチル−2−ピロリドン90mlに溶解して、
100℃で90分間攪拌した。この溶液を20℃に冷却
した後、N−メチル−2−ピロリドン10mlに溶解さ
せたトランス−2,5−ジメチルピペラジン0.239
gを加え、20℃で5時間攪拌して反応させた。反応混
合物をエタノール3000mlに投入して、析出した沈
殿ポリマーを濾別し、減圧乾燥した。この生成ポリマー
は、化4式の構造であることを確認した(収率;96
%、ガラス転移温度;114℃、N−メチル−2−ピロ
リドン中での固有粘度;0.80dl/g、吸収極大波
長;475nm)。
【0081】(実施例1)化4式のポリマー180mg
とアモコ製ポリスルホン(P1700)(ガラス転移温
度:190℃)20mgとをピリジンに溶解した後、ポ
アサイズ5μmのフィルターでろ過し、スライドガラス
基板上に回転数3000rpmでスピンコートし、真空
乾燥を24時間行って成膜し、実施例1の試験試料とし
た。 (実施例2)化4式のポリマー160mgとアモコ製ポ
リスルホン(P1700)40mgとをピリジンに溶解
した後、ポアサイズ5μmのフィルターでろ過し、スラ
イドガラス基板上に回転数3000rpmでスピンコー
トし、真空乾燥を24時間行って成膜し、実施例2の試
験試料とした。 (比較例)化4式のポリマー200mgをピリジンに溶
解し、ポアサイズ5μmのフィルターでろ過した後、ス
ライドガラス基板上に回転数3000rpmでスピンコ
ートし、真空乾燥を24時間行って成膜し、比較例の試
験試料とした。
【0082】得られた実施例1及び2、比較例の試験試
料について、光学的非線形成分の重量%を、ポリマー中
の光学的非線形成分の濃度(重量%)と試料中のポリマ
ーの濃度(重量%)に基づいて算出したことろ、それぞ
れ、41重量%(以下、本明細書において、単に%とい
う。)、36%、45%であった(表1参照)。なお、
非線形光学的定数の測定にあたり、実施例及び比較例の
膜厚を接触式膜厚計で測定し、吸光度を吸収スペクトロ
メーターで、屈折率の波長分散を分光エリプソメーター
でそれぞれ測定した。
【0083】実施例1の試験試料をアルミニウムの平板
電極上に載せて、190℃に加熱し、平板電極から30
mmの距離に、試料に対して垂直に設定した針電極と平
板電極の間に20kVの電圧を印加した。電圧を印加し
始めてから5分後、加熱を停止し、電圧を加えたままで
室温まで冷却して実施例1の光学材料(実施例1a)を
調製した。この調製直後の非線形光学定数d33を測定し
たところ、表1に示すように104pm/Vであった。
加熱温度210℃とする以外は上記と同様の操作によ
り、光学材料(実施例1b)を調製し、調製直後の非線
形光学定数d33を測定したところ、94pm/Vであっ
た。
【0084】実施例2の試験試料についても、実施例1
と同様に190℃、210℃で加熱・電圧印加処理を行
って実施例2a,2bの光学材料を調製し、処理直後の
非線形光学定数を測定したところ、表1に示すように、
それぞれ64pm/V、53pm/Vであった。さら
に、比較例の試料についても、実施例1と同様に190
℃、210℃で加熱・電圧印加処理を行って比較例の光
学材料(比較例a、比較例b)を調製し、処理直後の非
線形光学定数を測定したところ、表1に示すように、そ
れぞれ100pm/V、84pm/Vであった。
【0085】
【表1】 光学的非線形 本高分子 非線形光学 100 ℃に おける 試料 成分の濃度 材料の濃度 定数 非線形光学 定数 (重量%) (重量%) pm/V の保持率 実施例1a 41% 20% 104 85 % 1b 41% 20% 94 − 実施例2a 36% 40% 64 − 2b 36% 40% 53 − 比較例a 45% 0 % 100 80 % b 45% 0 % 84 −
【0086】この結果から、実施例1では、光学的非線
形性成分が比較例より低下しているのにも係わらず、非
線形光学定数は低下せず、むしろ向上していた。実施例
2では、比較例に比較して非線形光学定数は低下してい
た。この低下は、ポリスルホンの添加によるものと思わ
れる。
【0087】また、実施例1及び2ならびに比較例の光
学材料につき、室温での配向緩和特性を比較した。すな
わち、室温(23〜25℃)に1000時間放置後に、
上記と同様の操作にて非線形光学定数を測定したとこ
ろ、いずれの試料についてもほぼ同様の保持率を示し
た。さらに、実施例1aと比較例aについて、100℃
において100時間放置した後の非線形光学定数を測定
したところ、比較例aが初期値の80%を示したのに対
し、実施例1aでは初期値の85%を保持し、ポリスル
ホンの導入によって高温での経時安定性が向上されたこ
とがわかった。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、使用する高分子非線形
光学材料よりも高いガラス転移温度を有する高分子材料
を添加することにより、光学的非線形性を保持する非線
形光学材料を得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子非線形光学材料と、 この高分子非線光学材料と相溶し、この高分子非線形光
    学材料よりも高いガラス転移温度を有する高分子材料、 とを含有する非線形光学材料。
JP30464897A 1997-11-06 1997-11-06 非線形光学材料 Pending JPH11142899A (ja)

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