JPH08220575A - 高分子非線形光学材料および高分子非線形光学材料の製造方法 - Google Patents

高分子非線形光学材料および高分子非線形光学材料の製造方法

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JPH08220575A
JPH08220575A JP7212126A JP21212695A JPH08220575A JP H08220575 A JPH08220575 A JP H08220575A JP 7212126 A JP7212126 A JP 7212126A JP 21212695 A JP21212695 A JP 21212695A JP H08220575 A JPH08220575 A JP H08220575A
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polymer
nonlinear optical
formula
optical material
component
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JP7212126A
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English (en)
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Masaaki Tsuchimori
正昭 土森
Shinichi Ogata
眞一 小形
Osamu Watanabe
修 渡辺
Akane Okada
茜 岡田
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子非線形光学的材料の高温でのNLO成
分の配向緩和を抑制して非線形光学特性を保持した材料
とすることを目的とする。 【解決手段】 高分子のマトリックス形成成分と、π電
子共役系に少なくとも1つの電子供与基と少なくとも1
つの電子吸引基とが結合した光学的非線形性成分と、を
重合させてなる高分子非線形光学材料において、ウレア
結合部を含む高分子非線形光学材料。ジイソシアナート
化合物と、該ジイソシアナート化合物と反応してウレア
結合部を形成するジアミン化合物と、該ジイソシアナー
ト化合物と反応してウレタン結合を形成するジオール化
合物のいずれか一方に構成成分としてNLO成分を含
み、ジアミン化合物、ジオール化合物がそれぞれ規制さ
れた比率でジイソシアナート化合物と重合させることを
特徴とする高分子非線形光学材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の光学素子へ
の応用が可能な高分子非線形光学材料に関する。詳しく
は、電気光学効果、光高調波発生、光双安定性などの非
線形光学効果を利用した、光スイッチ、光変調器、波長
変換素子、光演算素子などの光学素子において重要な、
高い光学的非線形性を示す高分子非線形光学材料に係る
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、有機高分子非線形光学材料におい
ては、π電子共役系に少なくとも1つの電子供与基と電
子吸引基とが結合した光学的非線形性を示す成分(本明
細書において、光学的非線形性成分、またはNLO成分
という。)が知られている。たとえば、特開昭63−1
75837号公報あるいは特開平2−115827号公
報には、NLO成分を、ポリウレタンなどの高分子の主
鎖中に結合させることにより高分子マトリックス中のN
LO成分の含有量を高めた材料を、電場配向処理により
NLO成分を配向させて大きな光学的非線形性を発現さ
せる高分子非線形光学材料が開示されている。
【0003】また、特開平2−120831号公報に
は、NLO成分を主鎖の一部に組み込むことで、温度上
昇によるNLO成分の配向緩和の防止を図った高分子非
線形光学材料が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般に材料の
温度がたとえば100℃程度になると、高分子の主鎖の
熱運動は抑えきれず、NLO成分の配向緩和を十分防止
することは難しい。したがって、従来の材料は、高温で
のNLO特性を維持することは困難である。本発明は、
上記の事情に鑑みてなされたもので、たとえば、100
℃程度の温度においても高分子の主鎖の熱運動が有効に
抑えられ、高分子マトリックス中のNLO成分の配向緩
和を十分に防止でき、光学的非線形を保持できる高分子
非線形光学材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の高分子非線形光
学材料は、高分子のマトリックスと、π電子共役系に少
なくとも1つの電子供与基と少なくとも1つの電子吸引
基とが結合して該マトリックス中に分散保持された光学
的非線形性成分とからなる高分子非線形光学材料におい
て、該高分子マトリックス中、または光学的非線形性成
分中、あるいは両者の結合部分にウレア結合部を含むこ
とを特徴とする。
【0006】本発明の高分子非線形光学材料は、前記高
分子マトリックス中、または光学的非線形性成分中、あ
るいは両者の結合部分にウレア結合部およびウレタン結
合部を含み、さらに架橋点を持たないことを特徴とす
る。本発明の高分子非線形光学材料の第1の製造方法
は、少なくとも一方がその構成部分としてπ電子共役系
に少なくとも1つの電子供与基と少なくとも1つの電子
吸引基とが結合した光学的非線形成分を含む、次の
(A)成分および(B)成分を重合させることを特徴と
する。
【0007】(A)ジイソシアナート化合物。 (B)上記(A)成分との間でウレア結合を形成するた
めの重合反応性アミンと、上記(A)成分との間でウレ
タン結合を形成するための水酸基とを有する二官能性化
合物。 本発明の高分子非線形光学材料の第2の製造方法は、少
なくともいずれか一の成分がその構成部分としてπ電子
共役系に少なくとも1つの電子供与基と少なくとも1つ
の電子吸引基とが結合した光学的非線形成分を含む、次
の(A)、(B1)、(B2)の各成分を重合させるこ
とを特徴とする。
【0008】(A)ジイソシアナート化合物。 (B1)上記(A)成分との間でウレア結合を形成し得
る重合反応性アミンを有するジアミン化合物。 (B2)上記(A)成分との間でウレタン結合を形成し
得る水酸基を有するジオール化合物。
【0009】本発明の高分子非線形光学材料の第3の製
造方法は、(A)と(B2)とを先に反応せた後、
(A)と(B1)とを反応させることを特徴とする。一
般にウレア結合は、その化学結合構造から水素結合の形
成能力が高い。このためウレア結合部が高分子材料中に
存在すると、高分子の分子間および分子内の水素結合が
形成されやすい。この水素結合の形成により高分子鎖の
熱運動を有効に抑制してNLO成分の配向緩和の防止が
可能となる。その結果、非線形光学材料は耐熱性を向上
させることができる。
【0010】また、(A)と(B2)とを先に反応せた
後、(A)と(B1)とを反応させることで、高分子材
料中での架橋点の発生を抑制してより重合度の高い高分
子量の非線形光学材料を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の高分子非線形光学材料
は、高分子材料中にウレア結合部を有して耐熱性を高め
ている。さらに、ウレア結合部の導入比率によっては高
分子マトリックスに生じる成形性不良などの不具合を防
ぐためにウレタン結合部によりウレア結合部の比率を調
整すると共に架橋点の生成を抑制して分子量を高めるこ
とで、高分子非線形光学材料の特性を維持し、耐熱性に
優れた材料とするものである。
【0012】また、NLO成分は高分子部分と共有結合
で結合していることが望ましいが、NLO成分の共役系
部分が高分子鎖を形成しているものは好ましくない。一
般に分子量や固有粘度の低い高分子材料は、より分子量
や固有粘度が高い高分子材料と比べて柔軟性に劣り、脆
い材料である。そのため、分子量や固有粘度の低い高分
子材料を用いて厚さ0.5μm程度以上の膜を作製する
場合、小さなクラックが生じてしまう。このクラックを
含む膜を導波路として使用した場合、クラックが光散乱
の原因となり、導波損失の大きな導波路となり実用上問
題となる。また、たとえ上記の膜において顕微鏡で観測
される大きさのクラックが存在しない場合であっても、
密度ゆらぎが比較的大きくなっており、密度差を原因と
する光散乱によて導波損失が大きくなってしまう。一
方、分子量や固有粘度が高い高分子材料は柔軟性が優れ
ているため、クラックや密度のゆらぎが生じ難く、その
材料を用いることにより導波損失の小さい導波路を作製
することができる。分子量や固有粘度は高ければ高いほ
ど、柔軟性に優れるため、より導波損失の少ない導波路
を作製することが可能であると考えられるが、分子量と
しては重量平均分子量が最低で10000程度、固有粘
度としては1−メチル−2−ピロリドン中での30℃に
おける固有粘度の値が最低で0.2程度あれば、実用可
能な導波路が作製できる。
【0013】高分子部分が直鎖状や分岐状である高分子
非線形光学材料では、通常の材料の合成反応が完全に終
了した後、ポーリング処理を施すため、ポーリング処理
の工程が簡略かつ容易に行えるという利点がある。一
方、架橋型の高分子非線形光学材料では、架橋反応がほ
ぼ終了してしまった段階では、NLO成分が強く拘束さ
れてしまうので、その段階でポーリング処理によりNL
O成分を配向させることは非常に困難である。そのため
架橋型の高分子非線形光学材料では、ポーリング処理と
同時に架橋点の形成反応を実施するため複雑な工程と装
置とが必要になる。たとえ十分制御された条件下におけ
るポーリングと架橋反応との処理であっても、架橋型の
高分子非線形光学材料ではNLO成分の配向度を高める
のは容易ではなく、現状では直鎖状や分岐状の高分子非
線形光学材料と比べてNLO成分の配向度が低く、相対
的に非線形光学定数の小さい材料しか得られていない。
【0014】一般に直鎖状や分岐状の高分子非線形光学
材料は、架橋型の高分子非線形光学材料と比べてポーリ
ング処理直後の非線形光学定数はより大きいが、非線形
光学定数の経時安定性により劣っているという問題があ
った。本発明により、非線形光学定数の経時安定性に優
れると同時に非線形光学定数の大きさも大きな材料が得
られる。
【0015】NLO成分は高分子鎖と化学的に結合する
ことにより、その運動性が抑制され、NLO成分の配向
の経時緩和が抑えられる。ただし、NLO成分の共役系
部分が高分子の主鎖を形成している場合(いわゆる主鎖
型非線形光学材料)、主鎖の運動性がNLO成分に強く
影響するため、NLO成分の配向の経時緩和はかえって
大きくなってしまう。NLO成分が高分子の側鎖と結合
している場合や、NLO成分の一部(例えば電子供与基
部分)が主鎖に含まれているかNLO成分の大部分は主
鎖を構成していない場合(たとえば実施例1の化2のポ
リマー)、主鎖の運動性はNLO成分に対して影響が少
なく、その結果、NLO成分の共役系部分が高分子の主
鎖を形成している主鎖型非線形光学材料と比べてNLO
成分の配向の経時緩和が少なくなる。
【0016】主鎖に剛直な環構造を導入することにより
主鎖の運動性を低下させ、NLO成分の配向緩和を抑制
するため、非線形光学材料としての耐熱性がより向上す
る。本発明で利用可能な高分子のマトリックスは、特に
限定がなく、たとえば、ウレア結合およびウレタン結合
の導入が容易なものが利用できる。たとえば、ウレア結
合を有する化合物を導入するか、重合時にウレア結合を
形成できるモノマーを用いて重合によりウレア結合部を
形成して高分子のマトリックス中に分散させてもよい。
【0017】このウレア結合部は、アミンとイソシアナ
ートとの反応で形成できる。このため、たとえば、ジア
ミン化合物とジイソシアナートを当モル比で重合させる
ことで高分子マトリックス中に導入できる。また、ジア
ミン化合物とジオール化合物との比率を調整してジイソ
シアナートと反応させることで高分子マトリックス中の
ウレア結合部の比率を調整できる。さらに、アミン成分
にNLO成分を結合させた化合物を使用することもでき
る。
【0018】ウレタン結合部は、イソシアナートと水酸
基との反応で形成される。したがって、たとえば、ジオ
ール化合物とジイソシアナート化合物を当モルで反応さ
せて高分子マトリックス中に導入する。たとえば、NL
O成分を構成要素とするジオール化合物を用いて重合に
より高分子マトリックス中に分散させて形成することが
できる。その他、NLO成分を含むジオール化合物と、
これを含まないジオール化合物とを併用してNLO成分
の比率を調整することもできる。このようにして、ウレ
ア結合部とウレタン結合部との比率およびこれらとNL
O成分との比率を調整して耐熱性に優れた非線形光学材
料を形成することができる。
【0019】高分子のマトリックスとしては、ウレタン
系樹脂が好ましいがその他、ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、スチレン樹脂、ポリシラススチレン、ポリアリ
レート、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂、フエノール
樹脂などの熱硬化性樹脂も利用することができる。これ
らの高分子は成膜あるいは成形可能な程度の分子量を備
えておればよい。
【0020】NLO成分としては、たとえば、4−N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−4’−シア
ノ−2−メチル−3’−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ
−4’−ニトロ−2−メチル−3’−トリフルオロメチ
ルアゾベンゼン、4−N,N−ビス(2−ヒドロキシエ
チル)アミノ−4’−ニトロ−2−メチル−3’−トリ
フルオロメチルスチルベン、4−N,N−ビス(2−ヒ
ドロキシエチル)アミノ−2−メチル−2’−ニトロ−
4’−トリフルオロメチルアゾベンゼン、4−(N−2
−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミノ−4’−ニト
ロ−2−トリフルオロメチルアゾベンゼン、4−(N−
2−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミノ−4’−ニ
トロ−2’−トリフルオロメチルアゾベンゼン、4−
(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミノ−
4’−ニトロ−3−トリフルオロメチルアゾベンゼン、
4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−3’−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−2−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−2’−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−3−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ン、4−(N−2−シアノエチル−N−エチル)アミノ
−4’−ニトロ−3’−トリフルオロメチルアゾベンゼ
ンなどが利用できる。
【0021】ウレア結合の形成にはジアミン化合物とジ
イソシアナートを、ウレタン結合の形成にはジオール化
合物とジイソシアナートとの反応で形成する。形成され
た高分子マトリックスは、線状または分岐状の構造であ
ることが好ましく、溶媒に可溶性であることがフィルム
への成形性を付与するのに好ましい。成膜性に優れた高
分子量のものや、架橋点のない高分子マトリックスが特
に好ましい。さらに、高分子マトリックスは、分子量が
10000〜1000000の範囲であり、固有粘度が
0.2〜5.0dl/g(1−メチル−2−ピロリドン
中30℃)の範囲であると高分子マトリックスの物性が
向上するのでより好ましい。
【0022】ジイソシアナートとジアミンとの反応性
は、ジイソシアナートとジオールとの反応性に比べて非
常に高いためジイソシアナートとジアミンとジオールと
の混合物を反応させるとジイソシアナートとジアミンと
が先に反応してウレア化合物が生成する。高分子を得る
ためには、さらに反応を進行させてジオールを反応させ
なくてはならないが、その際ウレア基がイソシアナート
と反応し、ビュウレット結合を生成するという副反応が
生じる場合がある。ビュレット結合が生成するとイシシ
アナートと(アミノ基と水酸基)との当モル性が崩れる
ことにより分子量が低下し、また、ビュウレット結合が
架橋点となるため溶媒に対する溶解性が低下するという
問題が生じる。
【0023】そこで、ジイソシアナートとジオールとを
高温下で完全に反応させた後に、反応性の高いジアミン
をより低温条件下で加え、反応させることによりビュウ
レット結合の生成を抑え、直鎖状で高分子量の高分子を
得ることができる。本発明で用いるジアミン化合物とし
ては、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ビス
(エチルアミノ)エタン、1,6−ジアミノヘキサン、
1,3−ビス(4−ピペリジル)プロパン、ビス(4−
アミノシクロヘキシル)メチレンなどが挙げられる。
【0024】環構造を有するジアミン化合物としては、
重合反応性のアミンが環構造と直接結合している1,4
−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス
(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(3−アミノ
フェノキシ)ベンゼン、ビス(3−アミノフェニル)ス
ルフォン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルフォン、(S)−(+)−2−(アニリノメチ
ル)ピロリジンなどが、重合反応性のアミンがアルキル
鎖を介して環構造と結合している1,4−ジ(アミノメ
チル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロ
ピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.
5〕ウンデカン、3(4),8(9)−ビス(アミノメ
チル)トリシクロ〔5,2,1,02,6 〕デカン、m−
キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなど、重
合反応性のアミンが環構造の一部を形成しているトラン
ス−2,5−ジメチルピペラジン、ピペラジン、1,3
−ジ−4−ピペリジルプロパンなどが利用できる。
【0025】また、分子中にアミノ基とヒドロキシル基
をもつ4−ヒドロキシピペリジンなども利用することも
できる。すなわち、イソシアナート基のアミノ基とヒド
ロキシル基とにたいする反応速度の違いを利用して、予
めアミノ基とイソシアナート基との重付加によるウレア
結合部を形成しておき、次いでヒドロキシル基とイソシ
アナート基とを反応させてウレタン結合部を形成するこ
ともできる。
【0026】ジオール化合物としては、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)n−ドデシルアミン、1,4
−ジヒドロキシシクロヘキサン、エチレングリコールそ
の他、NLO成分と結合したジオール化合物を利用する
ことができる。ジイソシアナート化合物としては、トリ
レン−2,4−ジイソシアナート、4,4’−ジフェニ
ルメタンジイソシアナートなどの公知のジイソシアナー
トを使用することができる。
【0027】この製造方法においては、(A)と(B
2)とを先に反応させた後、(A)と(B1)とを反応
させるのが好ましい。すなわち、重合反応は、はじめに
ジイソシアナートとジオールとを反応させるのが好まし
い。この反応は溶媒中で行っても、無溶媒条件下で行っ
てもよい。溶媒としては1,2−ジクロロエタン、1,
1,2−トリクロロエタン、ピリジン、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−
メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン等が利用できる。触媒としてジブチルスズ
ジラウレートなどを用いることも可能である。反応温度
は20℃から150℃の温度範囲が一般的である。反応
温度は高いほど短時間で反応が完了するが、あまり反応
温度が高すぎると材料の分解が生じたり、アロファネー
ト結合を生成する副反応(架橋点の形成)が生じたりす
るので、ジイソシアネートとジオールとの反応性を考慮
して反応温度を決定する必要がある。次にジイソシアナ
ートとジオールとを反応させた混合液にジアミンを加え
て反応させる。この反応温度は0℃から100℃の温度
範囲が一般的である。あまり反応温度が高すぎると材料
の分解反応が生じたり、ビュレット結合を生成する副反
応(架橋点の形成)が生じたりするので、ジイソシアナ
ートとジアミンとの反応性を考慮して反応温度を決定す
る必要がある。
【0028】本発明の高分子非線形光学材料は重量平均
分子量が10000〜1000000であり、1−メチ
ル−2−ピロリドン中での30℃における固有粘度が
0.2〜5.0dl/gであることが好ましい。この高
分子非線形光学材料は、通常、成形後にポーリング処理
をおこなって使用される。すなわち、スピンコート、射
出成形、押出成形などにより材料を所定の形状に成形し
た後、材料中のNLO成分が分子運動できる温度に加熱
しながら電場を加えて、NLO成分を配向させる。次に
電場を加えたまま、材料中のNLO成分が分子運動でき
なくなる温度まで冷却する。これにより、高分子非線形
光学材料が得られる。
【0029】本発明の高分子非線形光学材料は、高分子
材料中にウレア結合部を有する。このウレア結合部は、
分子間および分子内で水素結合を形成して高分子鎖およ
び/またはNLO成分の熱運動を有効に抑制するので、
高温下でのNLO成分の配向緩和が抑制でき耐熱性が向
上する。また、このウレア結合部の比率は、ウレタン結
合部により調整が可能でありウレア結合の割合が過剰に
多くなり水素結合や架橋等による溶媒不溶となったりし
て成形性不良となるのを防止できる。さらに、ウレア結
合部とウレタン結合部の割合を調整する際にNLO成分
が少なくともウレア結合形成成分および/またはウレタ
ン結合形成成分の一方に結合させておくことにより、N
LO成分の高分子マトリックス中の濃度を調整すること
ができる。その結果、耐熱性と溶媒可溶性および光学的
非線形性とのバランスを図った高分子材料を形成するこ
とが可能である。
【0030】このウレア結合部とウレタン結合部および
NLO成分は、それぞれ仕込み比率を調整することで高
分子マトリックス中に取り込まれる量が定まるので、容
易に各比率を調整することできる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。下記
の各例において、分子構造の同定は、赤外吸収スペクト
ルと 1Hの核磁気共鳴スペクトルにより行った。融点及
びガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計により、昇
温速度10℃/minでおこなった。固有粘度〔η〕は
ウベローデ型粘度計により測定した。各ポリマーの1−
メチル−2−ピロリドン0.5dl/g溶液の30℃に
おける粘度計の流下時間をtとし、1−メチル−2−ピ
ロリドンの30℃における粘度計の流下時間をt0 とす
ると、固有粘度〔η〕は〔η〕=ln(t/t0 )/
0.5で求められる。固有粘度〔η〕は高分子の分子量
Mと以下に示すマーク−フウィンク−桜田の式(数1)
により関係づけられる。
【0032】
【数1】
【0033】Km とαは高分子と溶媒と温度との組合せ
で定まる定数である。以下に示す実施例において分子量
の推定値は固有粘度〔η〕を上記の式(1)に代入し、
m=0.0001,α=0.8として求めた。非線形
光学特性は、第二高調波発生より求めたd定数により評
価した。入射基本波としてパルスのNd:YAGレーザ
ー(波長;1064nm、パルス幅;7nsec、繰り
返し数;10Hz)を用いた。標準試料には石英結晶
(d11=0.5pm/Vを使用した。 〔実施例1〕2−メチル−4−ニトロアニリン7.61
gを水100mlと36%塩酸水溶液45mlの混合液
に溶解させて3℃に冷却した。その中に、水18mlに
溶かした亜硝酸ナトリウム3.80gを加えた。得られ
た溶液を3℃に保ち、1時間攪拌した。さらにその中
に、m−トリルジエタノールアミン9.76gを水12
5mlと36%塩酸水溶液7.5mlの混合液に溶解さ
せた溶液を30分間で徐々に加えた後、3℃で20分間
攪拌し、さらに20℃で60分間攪拌して反応させた。
反応混合物を水200mlに溶かした水酸化カリウム3
5.4gにより中和し、粗生成物を濾別後水洗して乾燥
させた。エタノールからの再結晶を2回繰り返して、以
下の構造式(化1)で示される4−N,N−ビス(2−
ヒドロキシエチル)アミノ−2,2’−ジメチル−4’
−ニトロアゾベンゼンを得た(収率;80%、融点;1
69℃)。
【0034】
【化1】
【0035】化1式の化合物0.717gとトランス−
2,5−ジメチルピペラジン0.114gとトリレン−
2,4−ジイソシアナート0.523gとをN,N−ジ
メチルアセトアミド20mlに溶解させて、20℃で2
0分間攪拌した後、さらに120℃で7時間攪拌して反
応させた。反応混合物を300mlのエタノール中に投
入して、沈澱ポリマーを濾別した。このポリマーを20
0mlのエタノール中で20分間還流した後濾別し、減
圧乾燥して以下の構造式(化2)で示される生成ポリマ
ーを得た(収率;72%、ガラス転移温度;95℃、1
−メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.13d
l/g、吸収極大波長;475nm)。
【0036】
【化2】
【0037】化2式のポリマーは、高分子主鎖中にウレ
ア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2ml
に化2式のポリマー0.1gを溶かし、回転数2000
rpmの条件でスライドガラス上にスピンコートし、厚
さ0.16μmの薄膜を作製した。この薄膜をアルミニ
ウムの平板電極上にのせて所定の温度(ボーリング温
度)に加熱し、平板電極から15mmの距離に垂直に設
置した針電極と平板電極との間に20kVの電圧を加え
た。電圧を加え始めてから2分後、加熱を停止し、電圧
を加えたまま室温まで冷却した。種々のボーリング温度
で電場配向処理を施し、処理直後の非線形光学定数d33
を測定したところ、ボーリング温度が185℃の時に最
大のd33として150pm/Vという値が得られた。そ
の薄膜試料を室温で1000時間放置した後、再び非線
形光学定数d33を測定したところ、140pm/Vとい
う値が得られた。
【0038】上記と同様に電場配向処理を施した薄膜試
料の100℃におけるd33の経時変化を測定し、電場配
向処理を施した直後の値の%表示で表したのが図1の○
印のグラフである。本実施例の薄膜試料は、100℃に
おいてもd33の経時緩和が少ない良好な耐熱性を有して
いることがわかる。 〔実施例2〕実施例1で合成した化1式の化合物0.3
63gとトランス−2,5−ジメチルピペラジン0.1
16gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.35
3gとをN,N−ジメチルアセトアミド15mlに溶解
させて、50℃で10分間攪拌した後、さらに130℃
で3時間攪拌して反応させた。反応混合物を300ml
のエタノール中に投入して、沈澱したポリマーを濾別し
た。このポリマーを200mlのエタノール中で15分
間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下の構造式(化
3)で示される生成ポリマーを得た(収率;65%、ガ
ラス転移温度;93℃、1−メチル−2−ピロリドン中
での固有粘度;0.16dl/g、吸収極大波長;47
5nm)。
【0039】
【化3】
【0040】化3式のポリマーは、高分子主鎖中にウレ
ア結合とウレタン結合とを有しており、実施例1の化2
式のポリマーとはウレア結合の含有率が増加している点
で異なっている。ピリジン2mlに化3式のポリマー
0.1gを溶かし、回転数2000rpmの条件でスラ
イドガラス上にスピンコートし、厚さ0.22μmの薄
膜を作製した。この薄膜を種々のボーリング温度で実施
例1と同様な電場配向処理を行い、処理直後の非線形光
学定数d33を測定したところ、ボーリング温度が200
℃の時に最大のd33として100pm/Vという値が得
られた。その薄膜試料を室温で1000時間放置した
後、再び非線形光学定数d33を測定したところ、100
pm/Vという値が得られた。また、100℃における
33の経時変化は少なかった。 〔実施例3〕実施例1で合成した化1式の化合物0.7
01gとトランス−2,5−ジメチルピペラジン0.0
56gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.42
6gとをN,N−ジメチルアセトアミド15mlに溶解
させて、30℃で5分間攪拌した後、さらに110℃で
12時間攪拌して反応させた。反応混合物を300ml
のエタノール中に投入して、沈澱したポリマーを濾別し
た。このポリマーを200mlのエタノール中で30分
間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下の構造式(化
4)で示される生成ポリマーを得た(収率;73%、ガ
ラス転移温度;103℃、1−メチル−2−ピロリドン
中での固有粘度;0.10dl/g、吸収極大波長;4
77nm)。
【0041】
【化4】
【0042】化4式のポリマーは、高分子主鎖中にウレ
ア結合とウレタン結合とを有しており、実施例1の化2
式のポリマーとはウレア結合の含有率が減少している点
で異なっている。ピリジン2mlに化4式のポリマー
0.1gを溶かし、回転数2000rpmの条件でスラ
イドガラス上にスピンコートし、厚さ0.17μmの薄
膜を作製した。この薄膜を種々のボーリング温度で実施
例1と同様な電場配向処理を行い、処理直後の非線形光
学定数d33を測定したところ、ボーリング温度が170
℃の時に最大のd33として200pm/Vという値が得
られた。その薄膜試料を室温で1000時間放置した
後、再び非線形光学定数d33を測定したところ、180
pm/Vという値が得られた。また、100℃における
33の経時変化は少なかった。 〔比較例1〕実施例1で合成した化1式の化合物0.7
55gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.36
7gとをN,N−ジメチルアセトアミド15mlに溶解
させて、100℃で20分間攪拌した後、さらに130
℃で5時間攪拌して反応させた。反応混合物を300m
lのエタノール中に投入して、沈澱したポリマーを濾別
した。このポリマーを100mlのエタノール中で15
分間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下の構造式(化
5)で示される生成ポリマーを得た(収率;88%、ガ
ラス転移温度;124℃、1−メチル−2−ピロリドン
中での固有粘度;0.09dl/g、吸収極大波長;4
75nm)。
【0043】
【化5】
【0044】化5式のポリマーは、高分子主鎖中にウレ
タン結合を有しており、実施例1、実施例2、実施例3
とはウレア結合の部分を含まないという点で異なってい
る。ピリジン2mlに化5式のポリマー0.1gを溶か
し、回転数2000rpmの条件でスライドガラス上に
スピンコートし、厚さ0.15μmの薄膜を作製した。
この薄膜を種々のボーリング温度で実施例1と同様な電
場配向処理を行い、試料作成直後の非線形光学定数d33
を測定したところ、ボーリング温度でが150℃の時に
最大のd33として220pm/Vという値が得られた。
33が最大となるボーリング温度をウレタン結合とウレ
ア結合との合計に対するウレア結合の割合でプロットし
たグラフが図2である。ボーリング温度は材料中でNL
O成分が自由に向きを変えられる温度に対応しているた
め、ボーリング温度が高いほど耐熱性が高いと考えられ
る。図2に示すようにウレア結合の割合に比例してボー
リング温度が増加しており、ウレア結合により耐熱性が
向上すること、及び、ウレア結合の割合を制御すること
により耐熱性の程度を制御できることがわかる。
【0045】上記と同様に電場配向処理を施した薄膜試
料の100℃におけるd33の経時変化を測定し、電場配
向処理を施した直後の値の%表示で表したのが図1の■
印のグラフである。実施例1と比較してd33の経時安定
性が著しく劣ることがわかる。 〔実施例4〕実施例1で合成した化1式の化合物0.5
73gとトランス−2,5−ジメチルピペラジン0.0
91gと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート
0.601gとをN,N−ジメチルアセトアミド20m
lに溶解させて、30℃で30分間攪拌した後、さらに
125℃で5時間攪拌して反応させた。反応混合物を3
00mlのエタノール中に投入して、沈澱ポリマーを濾
別した。このポリマーを200mlのエタノール中で2
0分間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下の構造式
(化6)で示される生成ポリマーを得た(収率;83
%、ガラス転移温度;95℃、1−メチル−2−ピロリ
ドン中での固有粘度;0.17dl/g、吸収極大波
長;478nm)。
【0046】
【化6】
【0047】化6式のポリマーは、高分子主鎖中にウレ
ア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2ml
に化6式のポリマー0.1gを溶かした溶液を回転数2
000rpmの条件でスライドガラス上にスピンコート
し、厚さ0.23μmの薄膜を作製した。これに種々の
ボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を行
い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したところ、
ボーリング温度が185℃の時に最大のd33として13
0pm/Vという値が得られた。その薄膜試料を室温で
1000時間放置した後、再び非線形光学定数d33を測
定したところ、120pm/Vという値が得られた。ま
た、100℃におけるd33の経時変化は少なかった。 〔比較例2〕実施例1で合成した化1式の化合物0.6
44gと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート
0.450gとをN、N−ジメチルアセトアミド15m
lに溶解させて、130℃で3時間攪拌した後、反応混
合物を300mlのエタノール中に投入して、沈澱ポリ
マーを濾別した。このポリマーを200mlのエタノー
ル中で15分間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下の
構造式(化7)で示される生成ポリマーを得た(収率;
81%、ガラス転移温度;117℃、1−メチル−2−
ピロリドン中での固有粘度;0.13dl/g、吸収極
大波長;476nm)。
【0048】
【化7】
【0049】化7式のポリマーは、高分子主鎖中にウレ
タン結合を有しており、実施例4の化6とはウレア結合
の部分を含まないという点で異なっている。ピリジン2
mlに化7 0.1gを溶かし、回転数2000rpm
の条件でスライドガラス上にスピンコートし、厚さ0.
16μmの薄膜を作製した。これに種々のボーリング温
度で実施例1と同様な電場配向処理を行い、処理直後の
非線形光学定数d33を測定したところ、ボーリング温度
が150℃の時に最大のd33として210pm/Vとい
う値が得られた。d33が最大となるボーリング温度は実
施例4よりも低く、耐熱性に劣ると考えられる,上記と
同様に電場配向処理を施した薄膜試料の100℃におけ
るd33の経時変化を測定し、電場配向処理を施した直後
の値の%表示で表したのが図3の○印のグラフである。
図3によりd33の経時緩和が著しいことがわかる。 〔実施例5〕p−ニトロアニリン13.81gを水20
0mlと36%塩酸水溶液90mlの混合液に溶解させ
て4℃に冷却した。その中に、水35mlに溶かした亜
硝酸ナトリウム7.59gを加えた。得られた溶液を4
℃に保ち、1時間攪拌した。さらにその中に、N−フェ
ニルジエタノールアミン18.12gを水200mlと
36%塩酸水溶液15mlの混合液に溶解させた溶液を
30分間で徐々に加えた後、4℃で30分間攪拌して反
応させた。反応混合物を水400mlに溶かした水酸化
カリウム70.7gにより中和し、粗生成物を濾別後水
洗して乾燥させた。エタノールからの再結晶を2回繰り
返して、以下の構造式(化8)で示される4−N,N−
ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−4’−ニトロア
ゾベンゼンを得た(収率;58%)。
【0050】
【化8】
【0051】化8式の化合物0.665gとトランス−
2,5−ジメチルピペラジン0.115gとトリレン−
2,4−ジイソシアナート0.526gとをジメチルア
セトアミド25mlに溶解させて、20℃で30分間攪
拌した、さらに110℃で2時間攪拌した。反応混合物
を1000mlのエタノール中に投入して、沈澱したポ
リマーを濾別した。このポリマーを300mlのエタノ
ール中で30分間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下
の構造式(化9)で示される生成ポリマーを得た(収
率;68%、ガラス転移温度;110℃、1−メチル−
2−ピロリドン中での固有粘度;0.11dl/g、吸
収極大波長;476nm)。
【0052】
【化9】
【0053】化9式のポリマーは、高分子主鎖中にウレ
ア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2ml
に化9式のポリマー0.1gを溶かし、回転数3000
rpmの条件でスライドガラス上にスピンコートし、厚
さ0.15μmの薄膜を作製した。この薄膜に種々のボ
ーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を行い、
処理直後の非線形光学定数d33を測定したところ、ボー
リング温度が200℃の時に最大のd33として160p
m/Vという値が得られた。その薄膜試料を室温で10
00時間放置した後、再び非線形光学定数d33を測定し
たところ、160pm/Vという値が得られた。
【0054】上記と同様に電場配向処理を施した薄膜試
料の100℃におけるd33の経時変化を測定し、電場配
向処理を施した直後の値の%表示で表したのが図4の○
印のグラフである。100℃においてもd33の経時緩和
が少ない良好な耐熱性を有していることがわかる。 〔実施例6〕実施例5で合成した化8式の化合物0.6
56gとビス(エチルアミノ)エタン0.115gとト
リレン−2,4−ジイソシアナート0.518gとを1
−メチル−2−ピロリドン10mlに溶解させて、20
℃で10分間攪拌し、さらに140℃で5時間攪拌して
反応させた。反応混合物を水とエタノールとの1対1混
合液200ml中に投入して、沈澱ポリマーを濾別し
た。このポリマーを200mlのメタノール中で10分
間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下の構造式(化1
0)で示される生成ポリマーを得た(収率;68%、ガ
ラス転移温度;116℃、1−メチル−2−ピロリドン
中での固有粘度;0.10dl/g、吸収極大波長;4
71nm)。
【0055】
【化10】
【0056】化10式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2m
lに化10式のポリマー0.1gを溶かし、回転数30
00rpmの条件でスライドガラス上にスピンコート
し、厚さ0.15μmの薄膜を作製した。この薄膜に種
々のボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を
行い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したとこ
ろ、ボーリング温度が170℃の時に最大のd33として
160pm/Vという値が得られた。その薄膜試料を室
温で1000時間放置した後、再び非線形光学定数d33
を測定したところ、160pm/Vという値が得られ
た。
【0057】上記と同様に電場配向処理を施した薄膜試
料の100℃におけるd33の経時変化を測定し、電場配
向処理を施した直後の値の%表示で表したのが図5の○
印のグラフである。100℃においてもd33の経時緩和
が少ない良好な耐熱性を有していることがわかる。 〔比較例3〕実施例5で合成した化8式の化合物0.7
55gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.39
8gとを1−メチル−2−ピロリドン8mlに溶解させ
て、110℃で2時間攪拌した。反応混合物を500m
lのエタノール中に投入して、沈澱ポリマーを濾別し
た。このポリマーを300mlのエタノール中で15分
間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下の構造式(化1
1)で示される生成ポリマーを得た(収率;96%、ガ
ラス転移温度;128℃、1−メチル−2−ピロリドン
中での固有粘度;0.11dl/g、吸収極大波長;4
67nm)。
【0058】
【化11】
【0059】化11式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レタン結合を有しており、実施例5や実施例6とはウレ
ア結合の部分を含まないという点で異なっている。ピリ
ジン1mlに化11式のポリマー0.07gを溶かし、
回転数3000rpmの条件でスライドガラス上にスピ
ンコートし、厚さ0.23μmの薄膜を作製した。この
薄膜に種々のボーリング温度で実施例1と同様な電場配
向処理を行い、処理直後の非線形光学定数d33を測定し
たところ、ボーリング温度が150℃の時に最大のd33
として200pm/Vという値が得られた。d33が最大
となるボーリング温度は実施例5や実施例6よりも低
く、耐熱性に劣ると考えられる。
【0060】成膜と電場配向処理とを行った試料の10
0℃におけるd33の経時変化を測定し、電場配向処理を
施した直後の値の%表示で表したのが図7の○印のグラ
フである。図4の実施例5や図5の実施例6と比べて比
較例3はd33の経時緩和が著しく、耐熱性に劣ることが
わかる。 〔実施例7〕実施例5で合成した化8式の化合物0.6
60gとトランス−2,5−ジメチルピペラジン0.1
14gとイソホロンジイソシアナート0.666gとを
1−メチル−2−ピロリドン10mlに溶解させて、5
0℃で30分間攪拌し、さらに140℃で7時間攪拌し
た。反応混合物を水とエタノールとの1対1混合液40
0ml中に投入して、沈澱ポリマーを濾別後、減圧乾燥
して以下の構造式(化12)で示される生成ポリマーを
得た(収率;91%、ガラス転移温度;124℃、1−
メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.09dl
/g、吸収極大波長;471nm)。
【0061】
【化12】
【0062】化12式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2m
lに化12式のポリマー0.1gを溶かし、回転数30
00rpmの条件でスライドガラス上にスピンコート
し、厚さ0.16μmの薄膜を作製した。この薄膜に種
々のボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を
行い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したとこ
ろ、ボーリング温度が170℃の時に最大のd33として
120pm/Vという値が得られた。その薄膜試料を室
温で1000時間放置した後、再び非線形光学定数d33
を測定したところ、110pm/Vという値が得られ
た。また、100℃におけるd33の経時変化は少なかっ
た。 〔比較例4〕実施例5で合成した化8式の化合物0.7
43gとイソホロンジイソシアナート0.500gとを
1−メチル−2−ピロリドン8mlに溶解させて、13
0℃で5時間攪拌した。反応混合物を水とエタノールと
の1対1混合液500ml中に投入して、沈澱ポリマー
を濾別後、減圧乾燥して以下の構造式(化13)で示さ
れる生成ポリマーを得た(収率;40%、ガラス転移温
度;110℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固有
粘度;0.07dl/g、吸収極大波長;462n
m)。
【0063】
【化13】
【0064】化13のポリマーは、高分子主鎖中にウレ
タン結合を有しており、実施例7とはウレア結合の部分
を含まないという点で異なっている。クロロホルム2m
lに化13式のポリマー0.1gを溶かし、回転数30
00rpmの条件でスライドガラス上にスピンコート
し、厚さ0.30μmの薄膜を作製した。この薄膜に種
々のボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を
行い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したとこ
ろ、ボーリング温度が125℃の時に最大のd33として
140pm/Vという値が得られた。d33が最大となる
ボーリング温度は実施例7よりも低く、耐熱性に劣ると
考えられる。 〔実施例8〕2−メチル−4−ニトロアニリン7.61
gを水100mlと36%塩酸水溶液45mlの混合液
に溶解させて4℃に冷却した。その中に、水18mlに
溶かした亜硝酸ナトリウム3.80gを加えた。得られ
た溶液を4℃に保ち、1時間攪拌した。さらにその中
に、N−フェニルジエタノールアミン9.06gを水1
25mlと36%塩酸水溶液7.5mlの混合液に溶解
させた溶液を30分間で徐々に加えた後、4℃で30分
間攪拌して反応させた。反応混合物を水200mlに溶
かした水酸化カリウム35.4gにより中和し、粗生成
物を濾別後水洗して乾燥させた。エタノールからの再結
晶を2回繰り返して、以下の構造式(化14)で示され
る4−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−
2’−メチル−4’−ニトロアゾベンゼンを得た(収
率;51%、融点;176℃)。
【0065】
【化14】
【0066】化14式の化合物0.498gと4−ヒド
ロキシピペリジン0.146gとトリレン−2,4−ジ
イソシアナート0.504gとをN,N−ジメチルアセ
トアミド15mlに溶解させて、110℃で4時間攪拌
した。反応混合物を300mlのエタノール中に投入し
て、沈澱ポリマーを濾別後、減圧乾燥して以下の構造式
(化15)で示される生成ポリマーを得た(収率;63
%、ガラス転移温度;124℃、1−メチル−2−ピロ
リドン中での固有粘度;0.10dl/g、吸収極大波
長;466nm)。
【0067】
【化15】
【0068】化15式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2m
lに化15式のポリマー0.1gを溶かし、回転数20
00rpmの条件でスライドガラス上にスピンコート
し、厚さ0.24μmの薄膜を作製した。この薄膜に種
々のボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を
行い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したとこ
ろ、ボーリング温度が185℃の時に最大のd33として
130pm/Vという値が得られた。その薄膜試料を室
温で1000時間放置した後、再び非線形光学定数d33
を測定したところ、120pm/Vという値が得られ
た。また、100℃におけるd33の経時変化を測定し、
電場配向処理を施した直後の値の%表示で表したのが図
8の○印のグラフである。100℃においてもd33の経
時緩和が少ない良好な耐熱性を有していることがわか
る。 〔実施例9〕実施例8で合成した化14式の化合物0.
290gと4−ヒドロキシピペリジン0.341gとト
リレン−2,4−ジイソシアナート0.733gとを
N,N−ジメチルアセトアミド15mlに溶解させて、
110℃で4時間攪拌して反応させた。反応混合物を3
00mlのエタノール中に投入して、沈澱したポリマー
を濾別後、減圧乾燥して以下の構造式(化16)で示さ
れる生成ポリマーを得た(収率;65%、ガラス転移温
度;141℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固有
粘度;0.13dl/g、吸収極大波長;474n
m)。
【0069】
【化16】
【0070】化16式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有しており、実施例8とは
ウレア部分の含有率が高いという点で異なっている。ピ
リジン2mlに化16式のポリマー0.1gを溶かし、
回転数2000rpmの条件でスライドガラス上にスピ
ンコートし、厚さ0.28μmの薄膜を作製した。これ
に種々のボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処
理を行い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したと
ころ、ボーリング温度が200℃の時に最大のd33とし
て60pm/Vという値が得られた。その薄膜試料を室
温で1000時間放置した後、再び非線形光学定数d33
を測定したところ、60pm/Vという値が得られた。
また、100℃におけるd33の経時変化は少なかった。 〔比較例5〕実施例8で合成した化14式の化合物0.
680gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.3
44gとをN,N−ジメチルアセトアミド8mlに溶解
させて、110℃で30分間攪拌した後、さらに130
℃で8時間攪拌して反応させた。反応混合物を300m
lのエタノール中に投入して、沈澱ポリマーを濾別し
た。このポリマーを200mlのエタノール中で15分
間還流した後濾別し、減圧乾燥して以下の構造式(化1
7)で示される生成ポリマーを得た(収率;81%、ガ
ラス転移温度;120℃、1−メチル−2−ピロリドン
中での固有粘度;0.10dl/g、吸収極大波長;4
63nm)。
【0071】
【化17】
【0072】化17式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レタン結合を有しており、実施例8や実施例9とはウレ
ア結合の部分を含まないという点で異なっている。ピリ
ジン1mlに化17式のポリマー0.1gを溶かし、回
転数3000rpmの条件でスライドガラス上にスピン
コートし、厚さ0.33μmの薄膜を作製した。この薄
膜に種々のボーリング温度で実施例1と同様な電場配向
処理を行い、処理直後の非線形光学定数d33を測定した
ところ、ボーリング温度が150℃の時に最大のd33
して230pm/Vという値が得られた。
【0073】d33が最大となるボーリング温度をウレタ
ン結合とウレア結合との合計に対するウレア結合の割合
でプロットしたグラフが図6である。ウレア結合の割合
と比例してボーリング温度が増加しており、ウレア結合
により耐熱性が向上すること、及び、ウレア結合の割合
を制御することにより耐熱性の程度を制御できることが
わかる。
【0074】また、化17式のポリマーは、100℃に
おけるd33の緩和は著しかった。 〔実施例10〕2−メチル−4−ニトロアニリン7.6
1gを水100mlと36%塩酸水溶液45mlの混合
液に溶解させて3℃に冷却した。その中に、水18ml
に溶かした亜硝酸ナトリウム3.80gを加えた。得ら
れた溶液を3℃に保ち、1時間攪拌した。さらにその中
に、2−アニリノエタノール6.86gを水125ml
と36%塩酸水溶液7.5mlの混合液に溶解させた溶
液を15分間で徐々に加えた後、3℃で60分間攪拌
し、さらに20℃で90分間攪拌して反応させた。反応
混合物を水200mlに溶かした水酸化カリウム35.
4gにより中和した。これよりデカンテーションにより
回収したタール状物質を真空乾燥させて、以下の構造式
(化18)で示される4−(2−ヒドロキシエチル)ア
ミノ−2’−メチル−4’−ニトロアゾベンゼンを得た
(収率;67)。
【0075】
【化18】
【0076】化18式の化合物1.196gと4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアナート0.997gとを
ジメチルアセトアミド20mlに溶解させて、115℃
で4時間攪拌した。反応混合物をエタノールとn−ヘキ
サンの1対1混合液400ml中に投入して、沈澱ポリ
マーを濾別後、エタノールとn−ヘキサンの1対1混合
液200ml中で10分間還流し、さらに、減圧乾燥し
て以下の構造式(化19)で示される生成ポリマーを得
た(収率;46%、ガラス転移温度;85℃、1−メチ
ル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.08dl/
g)。
【0077】
【化19】
【0078】化19式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2m
lに化19式のポリマー0.1gを溶かし、回転数20
00rpmの条件でスライドガラス上にスピンコート
し、厚さ0.17μmの薄膜を作製した。これに種々の
ボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を行
い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したところ、
ボーリング温度が170℃の時に最大のd33として23
pm/Vという値が得られた。 〔実施例11〕実施例10で合成した化18式の化合物
6.29gとm−キシリレンジイソシアナート1.96
gとを1,2−ジクロロエタン70mlに溶解させて、
25℃で5時間攪拌して反応させた。反応混合物を10
00mlのn−ヘキサン中に投入して、沈澱物を濾別
後、減圧乾燥して以下の構造式(化20)で示される化
合物を得た(収率;78%)。
【0079】
【化20】
【0080】化20式の化合物1.194gと4,4’
−ジイソシアナート3,3’−ジメチルビフェニル0.
400gとを1ーメチル−2−ピロリドン15mlに溶
解させて、110℃で26時間攪拌した。反応混合物を
300mlのエタノール中に投入して、沈澱ポリマーを
濾別後、減圧乾燥して以下の構造式(化21)で示され
る生成ポリマーを得た(収率;67%、1ーメチル−2
−ピロリドン中での固有粘度;0.12dl/g)。
【0081】
【化21】
【0082】化21式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2m
lに化21式のポリマー0.1gを溶かし、回転数20
00rpmの条件でスライドガラス上にスピンコート
し、厚さ0.23μmの薄膜を作製した。これに種々の
ボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を行
い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したところ、
ボーリング温度が185℃の時に最大のd33として15
pm/Vという値が得られた。 〔実施例12〕実施例11で合成した化20式の化合物
1.875gとトリレン−2,4−ジイソシアナート
0.414gとを1ーメチル−2−ピロリドン15ml
に溶解させて、110℃で26時間攪拌した。反応混合
物を300mlのエタノール中に投入して、沈澱ポリマ
ーを濾別後、減圧乾燥して以下の構造式(化22)で示
される生成ポリマーを得た(収率;61%、1ーメチル
−2−ピロリドン中での固有粘度;0.08dl/
g)。
【0083】
【化22】
【0084】化22式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。ピリジン2m
lに化22式のポリマー0.1gを溶かし、回転数20
00rpmの条件でスライドガラス上にスピンコート
し、厚さ0.22μmの薄膜を作製した。これに種々の
ボーリング温度で実施例1と同様な電場配向処理を行
い、処理直後の非線形光学定数d33を測定したところ、
ボーリング温度が185℃の時に最大のd33として8p
m/Vという値が得られた。 〔実施例13〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
686gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.5
00gとを1−メチル−2−ピロリドン10mlに溶解
して100℃で1時間攪拌した。この溶液を20℃に冷
却した後、トランス−2,5−ジメチルピペラジン0.
109gを加え、20℃で7時間攪拌して反応させた。
反応混合物をエタノールとヘキサンとの1:1混合液4
00ml中に投入して、沈殿ポリマーを濾別した。この
ポリマーを減圧乾燥して化2で示される生成ポリマーを
得た(収率;89%、ガラス転移温度;142℃、1−
メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.28dl
/g、分子量の推定値;20000、吸収極大波長;4
74nm)。
【0085】本実施例で合成したポリマーは、実施例1
で合成したポリマーと構造式が等しいが分子量がより大
きなポリマーである。実施例1では原料のジアミンとジ
オールとジイソシアナートとを同時に反応させたため分
子量が余り大きくなかったが、本実施例ではジオールと
ジイソシアナアートとを先に高温で反応させた後に、よ
り低温でジアミンとジイソシアナートを反応させたため
に分子量の高いポリマーが得られた。
【0086】実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を
行い、非線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度
が185℃のときに最大のd33として190pm/Vと
いう値が得られた。その薄膜試料を室温で1000時間
放置した後、再び非線形光学定数を測定したところ、ポ
ーリング直後と同じ値が得られた。さらに、100℃に
おけるd33の経時変化を測定し、電場配向処理を施した
直後の値の%表示で表したのが図9の○印のグラフであ
る。本実施例はウレア結合の部分を含まないという点で
異なる比較例1と比べると、100℃におけるd33の経
時緩和が少なく良好な耐熱性を有していることがわか
る。 〔実施例14〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
598gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.5
81gとを1−メチル−2−ピロリドン10mlに溶解
して100℃で1時間攪拌した。この溶液を20℃に冷
却した後、トランス−2,5−ジメチルピペラジン0.
190gを1−メチル−2−ピロリドン10mlに溶解
した溶液を加え、20℃で7時間攪拌して反応させた。
反応混合物をエタノールとアセトンとの1:1混合液6
00ml中に投入して、沈殿ポリマーを濾別した。この
ポリマーを減圧乾燥して化3で示される生成ポリマーを
得た(収率;79%、ガラス転移温度;152℃、1−
メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.43dl
/g、分子量の推定値;35000、吸収極大波長;4
80nm)。
【0087】本実施例で合成したポリマーは、実施例2
で合成したポリマーと構造式が等しいが分子量がより大
きなポリマーである。実施例2では原料のジアミンとジ
オールとジイソシアナートとを同時に反応させたため分
子量が余り大きくなかったが、本実施例ではジオールと
ジイソシアナアートとを先に高温で反応させた後に、よ
り低温でジアミンとジイソシアナートを反応させたため
に分子量の高いポリマーが得られた。
【0088】実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を
行い、非線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度
が200℃のときに最大のd33として130pm/Vと
いう値が得られた。その薄膜試料を室温で1000時間
放置した後、再び非線形光学定数を測定したところ、ポ
ーリング直後と同じ値が得られた。さらに、100℃に
おけるd33の経時変化を測定したところ、100℃にお
いてもd33の経時緩和が少ない良好な耐熱性を有してい
た。 〔実施例15〕実施例1で合成した化1式の化合物1.
500gと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナー
ト1.571gとを1−メチル−2−ピロリドン90m
lに溶解して100℃で90分攪拌した。この溶液を2
0℃に冷却した後、1−メチル−2−ピロリドン10m
lに溶解させたトランス−2,5−ジメチルピペラジン
0.239gを30分間で徐々に加え、20℃で5時間
攪拌して反応させた。反応混合物をエタノール3000
ml中に投入して、沈殿ポリマーを濾別した。このポリ
マーを減圧乾燥して化6で示される生成ポリマーを得た
(収率;96%、ガラス転移温度;114℃、1−メチ
ル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.9dl/g、
分子量の推定値;90000、吸収極大波長;475n
m)。
【0089】本実施例で合成したポリマーは、実施例4
で合成したポリマーと構造式が等しいが分子量がより大
きなポリマーである。実施例4では原料のジアミンとジ
オールとジイソシアナートとを同時に反応させたため分
子量が余り大きくなかったが、本実施例ではジオールと
ジイソシアナアートとを先に高温で反応させた後に、よ
り低温でジアミンとジイソシアナートを反応させたため
に分子量の高いポリマーが得られた。
【0090】実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を
行い、非線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度
が180℃のときに最大のd33として130pm/Vと
いう値が得られた。その薄膜試料を室温で1000時間
放置した後、再び非線形光学定数を測定したところ、ポ
ーリング直後と同じ値が得られた。さらに、100℃に
おけるd33の経時変化を測定し、電場配向処理を施した
直後の値の%表示で表したのが図10の○印のグラフで
ある。100℃におけるd33の経時緩和が少なく良好な
耐熱性を有していることがわかる。
【0091】Si基板の(100)面上にアンダークラ
ッドとして日立化成製ポリイミドPIQ2200を成膜
し(膜厚7μm)、さらにその上に光導波路として化6
式のポリマーを1.3μmの膜厚でスピンコートした。
こうして得られた平面状試料の上にフォトマスク(幅8
μm)を乗せ、温度160℃において中心波長365n
mで照射パワー80mW/cm2 の紫外線を1時間照射
した。紫外線を照射した部分の化6式のポリマーはフォ
トブリーチにより屈折率が低下し、これによりフォトマ
スクのパターンに対応する導波路が形成された。フォト
ブリーチにより形成され屈折率の低下は経時的に安定で
あり、100℃以上の雰囲気下においても安定であっ
た。
【0092】こうして得られた導波路基板ごと液体窒素
で冷却した後、導波路に垂直にSi基板をへき開させ
た。アンダークラッドと導波層はSi基板のへき開面と
同一平面できれいに割れた。へき開を二度行うことによ
り導波層のきれいな両端面を露出させた。半導体レーザ
ーの波長830nmの光を光フャイバーへと導き、光フ
ャイバーからの出射光を上記導波層の端面に結合させ
た。導波路内に閉じこめられ、シングルモードで伝搬し
た光は反対側の端面から出射した。長さの異なる導波路
から出射した光の強度を比較することにより導波損失を
評価したところ4dB/cmであった。
【0093】比較例1のポリマーを用いた同様な導波路
(長さ;mm)にレーザー光を結合させたが、反対側の
端面からの出射光を検出することはできなかった。導波
損失は50dB/cm以上の値であることが見積もられ
た。 〔実施例16〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
716gと2,2−ビス(4−イソシアナートフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン1.029gとを1−メチ
ル−2−ピロリドン15mlに溶解させて、120℃で
60分間攪拌した。この溶液を20℃に冷却した後、1
−メチル−2−ピロリドン3mlに溶解したトランス−
2,5−ジメチルピペラジン0.076gを加え、20
℃で3時間攪拌し、さらに80℃で1時間攪拌して反応
させた。反応混合物を水とエタノールとの1対1混合液
400ml中に投入して、沈殿ポリマーを濾別した。こ
のポリマーを減圧乾燥して以下の構造式(化23)で示
される生成ポリマーを得た(収率;81%、ガラス転移
温度;136℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固
有粘度;0.17dl/g、分子量の推定値;1000
0、吸収極大波長;465nm)。
【0094】
【化23】
【0095】化23式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。実施例1と同
様な成膜、ポーリング処理を行い、非線形光学定数を測
定した結果、ポーリング温度が185℃のときに最大の
33として100pm/Vという値が得られた。その薄
膜試料を室温で1000時間放置した後、再び非線形光
学定数を測定したところ、ポーリング直後と同じ値が得
られた。さらに、100℃におけるd33の経時変化を測
定し、電場配向処理を施した直後の値の%表示で表した
のが図11の○印のグラフである。100℃におけるd
33の経時緩和が少なく良好な耐熱性を有していることが
わかる。 〔比較例6〕実施例1で合成した化1式の化合物0.4
89gと2,2−ビス(4−イソシアナートフェニル)
ヘキサフルオロプロパン0.527gとを1−メチル−
2−ピロリドン8mlに溶解させて、120℃で5時間
攪拌して反応させた。反応混合物を水とエタノールとの
1対1混合液400ml中に投入して、沈殿ポリマーを
濾別した。このポリマーを減圧乾燥して以下の構造式
(化24)で示される生成ポリマーを得た(収率;96
%、ガラス転移温度;118℃、1−メチル−2−ピロ
リドン中での固有粘度;0.10dl/g、分子量の推
定値;6000、吸収極大波長;468nm)。
【0096】
【化24】
【0097】化24式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レタン結合を有しており、実施例16の化23式のポリ
マーとはウレア結合を含まないという点で異なってい
る。実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を行い、非
線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度が165
℃のときに最大のd33として120pm/Vという値が
得られた。d33が最大となるポーリング温度は実施例1
6の化23式のポリマーよりも低く、耐熱性に劣ると考
えられる。
【0098】上記と同様に電場配向処理を施した薄膜試
料の100℃におけるd33の経時変化を測定し、電場配
向処理を施した直後の値の%表示で表したのが図11の
●印のグラフである。図11によりd33の経時緩和が著
しいことがわかる。 〔実施例17〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
608gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.4
43gとを1−メチル−2−ピロリドン20mlに溶解
させて、100℃で60分間攪拌した。この溶液を20
℃に冷却した後、4,4’−メチレンビス(シクロヘキ
シルアミン)0.178gを加え、20℃で3時間攪拌
して反応させた。反応混合物をエタノール400ml中
に投入して、沈殿ポリマーを濾別した。このポリマーを
減圧乾燥して以下の構造式(化25)で示される生成ポ
リマーを得た(収率;84%、ガラス転移温度;143
℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.
19dl/g、分子量の推定値;15000、吸収極大
波長;472nm)。
【0099】
【化25】
【0100】化25式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。実施例1と同
様な成膜、ポーリング処理を行い、非線形光学定数を測
定した結果、ポーリング温度が180℃のときに最大の
33として190pm/Vという値が得られた。その薄
膜試料を室温で1000時間放置した後、再び非線形光
学定数を測定したところ、ポーリング直後と同じ値が得
られた。さらに、100℃におけるd33の経時変化を測
定し、電場配向処理を施した直後の値の%表示で表した
のが図12の○印のグラフである。100℃におけるd
33の経時緩和が少なく良好な耐熱性を有していることが
わかる。 〔実施例18〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
515gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.5
01gとを1−メチル−2−ピロリドン20mlに溶解
させて、100℃で60分間攪拌した。この溶液を20
℃に冷却した後、4,4’−メチレンビス(シクロヘキ
シルアミン)0.303gを加え、20℃で2時間攪拌
して反応させた。反応混合物をエタノール400ml中
に投入して、沈殿ポリマーを濾別した。このポリマーを
減圧乾燥して以下の構造式(化26)で示される生成ポ
リマーを得た(収率;84%、ガラス転移温度;145
℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.
37dl/g、分子量の推定値;30000、吸収極大
波長;472nm)。
【0101】
【化26】
【0102】化26式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有しており、実施例17で
合成した化25式のポリマーとはウレア結合の含有率が
増加している点でことなっている。実施例1と同様な成
膜、ポーリング処理を行い、非線形光学定数を測定した
結果、ポーリング温度が200℃のときに最大のd33
して150pm/Vという値が得られた。d33が最大と
なるポーリング温度は実施例17よりもさらに高く、ウ
レア結合の含有量の増加により耐熱性が向上しているこ
とを示している。上記と同様な電場配向処理を施した薄
膜試料を室温で1000時間放置した後、再び非線形光
学定数を測定したところ、ポーリング直後と同じ値が得
られた。さらに、100℃におけるd33の経時変化を測
定し、電場配向処理を施した直後の値の%表示で表した
のが図12の●印のグラフである。100℃におけるd
33の経時緩和は実施例17よりもさらに少なく良好な耐
熱性を有していることがわかる。 〔実施例19〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
633gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.6
15gとを1−メチル−2−ピロリドン7mlに溶解さ
せて、100℃で60分間攪拌した。この溶液を20℃
に冷却した後、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノ
ヘキサン0.255gを1−メチル−2−ピロリドン3
mlに溶解させた溶液を30分間で徐々に加え、20℃
で90分間攪拌して反応させた。反応混合物をエタノー
ル400ml中に投入して、沈殿ポリマーを濾別した。
このポリマーを減圧乾燥して以下の構造式(化27)で
示される生成ポリマーを得た(収率;77%、ガラス転
移温度;116℃、1−メチル−2−ピロリドン中での
固有粘度;0.33dl/g、分子量の推定値;250
00、吸収極大波長;473nm)。
【0103】
【化27】
【0104】実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を
行い、非線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度
が170℃のときに最大のd33として160pm/Vと
いう値が得られた。その薄膜試料を室温で1000時間
放置した後、再び非線形光学定数を測定したところ、ポ
ーリング直後と同じ値が得られた。さらに、100℃に
おけるd33の経時変化を測定し、電場配向処理を施した
直後の値の%表示で表したのが図13の○印のグラフで
ある。実施例19の化27式のポリマーとはウレア結合
の部分を含まないと言う点で異なる比較例1(図9)と
比べて100℃におけるd33の経時緩和が少なく良好な
耐熱性を有していることがわかる。 化27式のポリマ
ーは、原料のジアミンが環状構造を有していない。これ
に対して実施例13、17、18は原料のジオールとジ
イソシアナートとが本実施例と等しく、ジアミンが環状
構造を有しているという点で異なっている。実施例1
3、17、18の各ポリマーの100℃におけるd33
経時緩和(図9、図12)は、本実施例(図13)より
も少なくジアミン中の環状構造が耐熱性の向上という観
点から有効に作用していることがわかる。 〔実施例20〕トリレン−2,4−ジイソシアナート
0.472gを1−メチル−2−ピロリドン5mlに溶
解させ20℃に保った。そこに実施例1で合成した化1
式の化合物0.648gを1−メチル−2−ピロリドン
5mlに溶解させた溶液を10分間で徐々に加えた後、
120℃で60分間攪拌した。この溶液を20℃に冷却
した後、1,3−ジ−4−ピペリジルプロパン0.19
0gを1−メチル−2−ピロリドン5mlに溶解させた
溶液を10分間で徐々に加え、20℃で1時間攪拌して
反応させた。反応混合物をエタノール400ml中に投
入して沈殿ポリマーを濾別した。このポリマーを減圧乾
燥して以下の構造式(化28)で示される生成ポリマー
を得た(収率;85%、ガラス転移温度;139℃、1
−メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.28d
l/g、分子量の推定値;20000、吸収極大波長;
472nm)。
【0105】
【化28】
【0106】化28式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有している。実施例1と同
様な成膜、ポーリング処理を行い、非線形光学定数を測
定した結果、ポーリング温度が160℃のときに最大の
33として170pm/Vという値が得られた。その薄
膜試料を室温で1000時間放置した後、再び非線形光
学定数を測定したところ、ポーリング直後と同じ値が得
られた。さらに、100℃におけるd33の経時変化を測
定し、電場配向処理を施した直後の値の%表示で表した
のが図14の○印のグラフである。実施例20とはウレ
ア結合の部分を含まないと言う点で異なる比較例1(図
9)と比べて100℃におけるd33の経時緩和が少なく
良好な耐熱性を有していることがわかる。 〔実施例21〕トリレン−2,4−ジイソシアナート
0.505gを1−メチル−2−ピロリドン5mlに溶
解させ20℃に保った。そこに実施例1で合成した化1
0.520gを1−メチル−2−ピロリドン5mlに
溶解させた溶液を10分間で徐々に加えた後、120℃
で60分間攪拌した。この溶液を20℃に冷却した後、
1,3−ジ−4−ピペリジルプロパン 0.305gを
1−メチル−2−ピロリドン5mlに溶解させた溶液を
10分間で徐々に加え、20℃で1時間攪拌して反応さ
せた。反応混合物をエタノール400ml中に投入して
沈殿ポリマーを濾別した。このポリマーを減圧乾燥して
以下の構造式(化29)で示される生成ポリマーを得た
(収率;84%、ガラス転移温度;125℃、1−メチ
ル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.36dl/
g、分子量の推定値;30000、吸収極大波長;47
4nm)。
【0107】
【化29】
【0108】化29式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とを有しており、実施例20の
化28式のポリマーとはウレア結合部分の含有量がより
大きいという点で異なっている。実施例1と同様な成
膜、ポーリング処理を行い、非線形光学定数を測定した
結果、ポーリング温度が180℃のときに最大のd33
して160pm/Vという値が得られた。その薄膜試料
を室温で1000時間放置した後、再び非線形光学定数
を測定したところ、ポーリング直後と同じ値が得られ
た。最大のd33を与えるポーリング温度が実施例20と
比べて増加していることは、ウレア結合部分の含有量の
増大に伴い耐熱性が向上したことを示している。 〔実施例22〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
556gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.4
05gとを1−メチル−2−ピロリドン 7mlに溶解
させて、120℃で90分間攪拌した。この溶液を20
℃に冷却した後、ビス(3−アミノフェニル)スルフォ
ン0.192gを1−メチル−2−ピロリドン 5ml
に溶解させた溶液を10分間で徐々に加え、20℃で1
20分間攪拌して反応させた。反応混合物をエタノール
400ml中に投入して、沈殿ポリマーを濾別した。こ
のポリマーを減圧乾燥して以下の構造式(化30)で示
される生成ポリマーを得た(収率;77%、ガラス転移
温度;90℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固有
粘度;0.08dl/g、分子量の推定値;4000、
吸収極大波長;473nm)。
【0109】
【化30】
【0110】化30式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とスルホン結合を有している。
実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を行い、非線形
光学定数を測定した結果、ポーリング温度が150℃の
ときに最大のd33として230pm/Vという値が得ら
れた。 〔実施例23〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
393gとトリレン−2,4−ジイソシアナート0.3
82gとビス(3−アミノフェニル)スルフォン0.2
72gを1−メチル−2−ピロリドン15mlに溶解さ
せて、120℃で120分間攪拌した。反応混合物をエ
タノール400ml中に投入して、沈殿ポリマーを濾別
した。このポリマーを減圧乾燥して以下の構造式(化3
1)で示される生成ポリマーを得た(収率;70%、ガ
ラス転移温度;108℃、1−メチル−2−ピロリドン
中での固有粘度;0.12dl/g、分子量の推定値;
7000、吸収極大波長;480nm)。
【0111】
【化31】
【0112】化31式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とスルホン結合を有しており、
実施例22の化30式のポリマーとはウレア結合部分と
スルホン結合部分との含有率がより大きいという点で異
なっている。実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を
行い、非線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度
が185℃のときに最大のd33として160pm/Vと
いう値が得られた。最大のd33を与えるポーリング温度
は実施例22よりも高温であり、ウレア結合部分の含有
量の増加により耐熱性が向上したことを示している。 〔実施例24〕実施例1で合成した化1式の化合物0.
602gとトリレン−2.4−ジイソシアナート0.4
39gとを1−メチル−2−ピロリドン7mlに溶解さ
せて、120℃で90分間攪拌した。この溶液を20℃
に冷却した後、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)
ベンゼン0.246gを1−メチル−2−ピロリドン5
mlに溶解させた溶液を10分間で徐々に加え、20℃
で120分間攪拌して反応させた。反応混合物をエタノ
ール400ml中に投入して、沈殿ポリマーを濾別し
た。このポリマーを減圧乾燥して以下の構造式(化3
2)で示される生成ポリマーを得た(収率;62%、ガ
ラス転移温度;94℃、1−メチル−2−ピロリドン中
での固有粘度;0.15dl/g、分子量の推定値;9
000、吸収極大波長;473nm)。
【0113】
【化32】
【0114】化32式のポリマーは、高分子主鎖中にウ
レア結合とウレタン結合とエーテル結合を有している。
実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を行い、非線形
光学定数を測定した結果、ポーリング温度が170℃の
時に最大のd33として180pm/Vという値が得られ
た。 〔実施例25〕5−アミノ−2−シアノベンゾトリフル
オライド5.05gを水55mlと36%塩酸水溶液2
5mlとエタノール80mlとの混合液に溶解させて4
℃に冷却した。上記の溶液に亞硝酸ナトリウム2.06
gを水10mlに溶かした液を加えて、4℃に保ちなが
ら2時間攪拌した。さらにその中に、m−トリルジエタ
ノールアミン5.30gを水70mlと36%塩酸水溶
液4mlとエタノール20mlとの混合液に溶解した溶
液を35分間かけて徐々に添加した後、4℃で20分間
攪拌した。さらに25℃で60分間攪拌して反応させ
た。この反応混合液に水酸化カリウム19.2gを11
0mlの水に溶解した溶液を添加して中和し、反応生成
物を析出させた。析出物を濾別し、水洗後乾燥させた。
この生成物をエタノールとn−ヘキサンとの1:1混合
液から再結晶して以下の構造式(化33)に示す4−
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−4’−
シアノ−2−メチル−3’−トリフルオロメチルアゾベ
ンゼンを得た(収率;71%、融点;167℃)
【0115】
【化33】
【0116】化33式の化合物0.698gとトリレン
−2,4−ジイソシアナート0.413gとトランス−
2,5−ジメチルピペラジン0.068gとをN,N−
ジメチルアセトアミド15mlに溶解させ、110℃で
4時間攪拌して反応させた。反応混合物をエタノール4
00ml中に投入して、沈殿したポリマーを濾別した。
このポリマーを減圧乾燥して以下の構造式(化34)で
示される生成ポリマーを得た(収率;59%、ガラス転
移温度;95℃、1−メチル−2−ピロリドン中での固
有粘度;0.13dl/g、分子量の推定値;800
0、吸収極大波長;466nm)。
【0117】
【化34】
【0118】化34式のポリマーは高分子主鎖中にウレ
ア結合とウレタン結合とを有している。実施例1と同様
な成膜、ポーリング処理を行い、非線形光学定数を測定
した結果、ポーリング温度が190℃の時に最大のd33
として140pm/Vという値が得られた。その薄膜を
室温で1000時間放置した後、再び非線形光学定数d
33を測定したところ、ポーリング直後と同じ値が得られ
た。さらに、100℃におけるd33の経時変化を測定
し、電場配向処理を施した直後の値の%表示で表したの
が図15の○印のグラフである。図15より100℃に
おけるd33の経時緩和の少ない良好な耐熱性を有してい
ることがわかる。 〔実施例26〕実施例25で合成した化33式の化合物
0.500mgとトリレン−2,4−ジイソシアナート
0.444gとトランス−2,5−ジメチルピペラジン
0.146gとをN,N−ジメチルアセトアミド15m
lに溶解させ、110℃で4時間攪拌して反応させた。
反応混合物をエタノール400ml中に投入して、沈殿
したポリマーを濾別した。このポリマーを減圧乾燥して
以下の構造式(化35)で示される生成ポリマーを得た
(収率;83%、ガラス転移温度;112℃、1−メチ
ル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.16dl/
g、分子量の推定値;10000、吸収極大波長;46
7nm)。化35式のポリマーは、実施例25の化34
式のポリマーとはウレア結合部分の含有率がより高いと
いう点で異なっている。
【0119】
【化35】
【0120】実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を
行い、非線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度
が200℃の時に最大のd33として110pm/Vとい
う値が得られた。最大のd33を与えるポーリング温度は
実施例25のポリマーよりも高温であり、ウレア結合部
分の含有量の増加により耐熱性が向上したことを示して
いる。
【0121】上記と同様に電場配向処理を施した薄膜を
室温で1000時間放置した後、再び非線形光学定数d
33を測定したところ、ポーリング直後と同じ値が得られ
た。さらに、100℃におけるd33の経時変化を測定
し、電場配向処理を施した直後の値の%表示で表したの
が図15の●印のグラフである。100℃におけるd33
の経時緩和は、実施例25のポリマーよりも少し小さ
く、良好な耐熱性を有していることがわかる。 〔比較例7〕実施例25で合成した化33式の化合物
0.816gとトリレン−2,4−ジイソシアナート
0.362gとをN,N−ジメチルアセトアミド15m
lに溶解させ、110℃で3時間攪拌して反応させた。
反応混合物をエタノール400ml中に投入して、沈殿
したポリマーを濾別した。このポリマーを減圧乾燥して
以下の構造式(化36)で示される生成ポリマーを得た
(収率;51%、ガラス転移温度;107℃、1−メチ
ル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.10dl/
g、分子量の推定値;6000、吸収極大波長;464
nm)。化36式のポリマーは、実施例25の化34式
のポリマーや実施例26の化35式のポリマーとはウレ
ア結合部分を含まないという点で異なっている。
【0122】
【化36】
【0123】実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を
行い、非線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度
が145℃の時に最大のd33として250pm/Vとい
う値が得られた。最大のd33を与えるポーリング温度は
実施例25や実施例26よりも低温であり、耐熱性によ
り劣ることを示している。上記と同様に電場配向処理を
施した薄膜試料の100℃におけるd33の経時変化を測
定し、電場配向処理を施した直後の値の%表示で表した
のが図15の■印のグラフである。100℃におけるd
33の経時緩和は、実施例25や実施例26のポリマーよ
りも著しく、耐熱性に劣ることを示している。 〔実施例27〕実施例25で合成した化33式の化合物
0.487mgとトリレン−2,4−ジイソシアナート
0.432gとを1−メチル−2−ピロリドン10ml
に溶解させて、120℃で90分間攪拌した。この溶液
を25℃に冷却した後、4,4’−メチレンビス(シク
ロヘキシルアミン)0.261gを1−メチル−2−ピ
ロリドン5mlに溶解させた溶液を10分間で徐々に加
え、25℃で2時間攪拌して反応させた。反応混合物を
エタノール400ml中に投入して、沈殿したポリマー
を濾別した。このポリマーを減圧乾燥して以下の構造式
(化37)で示される生成ポリマーを得た(収率;81
%、ガラス転移温度;112℃、1−メチル−2−ピロ
リドン中での固有粘度;0.28dl/g、分子量の推
定値;20000)。化37式のポリマーは、高分子主
鎖中にウレア結合とウレタン結合を有している。
【0124】
【化37】
【0125】実施例1と同様な成膜、ポーリング処理を
行い、非線形光学定数を測定した結果、ポーリング温度
が200℃の時に最大のd33が得られた。 〔実施例28〕実施例25で合成した化33式の化合物
0.461mgと4,4’−ジフェニルメタンジイソシ
アナート0.588gとを1−メチル−2−ピロリドン
10mlに溶解させて、120℃で90分間攪拌した。
この溶液を25℃に冷却した後、トランス−2,5−ジ
メチルピペラジン0.134gを1−メチル−2−ピロ
リドン5mlに溶解させた溶液を10分間で徐々に加
え、25℃で90分間攪拌して反応させた。反応混合物
をエタノール400ml中に投入して、沈殿したポリマ
ーを濾別した。このポリマーを減圧乾燥して以下の構造
式(化38)で示される生成ポリマーを得た(収率;8
7%、ガラス転移温度;104℃、1−メチル−2−ピ
ロリドン中での固有粘度;0.32dl/g、分子量の
推定値;25000)。化38式のポリマーは、高分子
主鎖中にウレア結合とウレタン結合を有している。
【0126】
【化38】
【0127】〔成膜性の評価〕各実施例で合成したポリ
マーの成膜性を次のように評価した。各ポリマーの5重
量%ピリジン溶液をスライドガラス上に滴下し、自然乾
燥後のひび割れの状態を光学顕微鏡により評価した。結
果を表1に示す。表1において×はひび割れの多いも
の、△はひび割れの少ないもの、○はひび割れが存在し
ないものをそれぞれ示している。表1より、固有粘度と
成膜性とに相関が認められる。すなわち、固有粘度が
0.15dl/g以下のものはひび割れが多く0.15
〜0.30までのものはひび割れが少なく、0.30以
上のものはひび割れが存在しない。成膜性の特に優れて
いた実施例15、18、19、21はNLO成分を有す
るジオールとジイソシアナートとを反応させた後、ジア
ミンを加え、ジアミンとジイソシアナートとを反応させ
ることにより合成したポリマーである。
【0128】
【表1】
【0129】
【発明の効果】本発明の高分子非線形光学材料は、高分
子マトリックス中にウレア結合部を有して高分子の主鎖
の熱運動を抑制しているので高温下でのNLO成分の配
向緩和が抑制され、耐熱性が向上する。また、ウレア結
合部は高分子マトリックス中での存在比率が容易に調整
できるので、ウレア結合部に基づく不具合の発生を抑制
できる。これにより光学的非線形性の耐熱性を保持した
高分子マトリックスをもつ高分子非線形光学材料が得ら
れる。
【0130】本発明の製造法で形成される高分子非線形
光学材料は、高分子量化が可能であり、高分子量化に基
づく高い透明性が得られ優れた導波特性を示し加工も優
れる。また、本発明の製造方法では、反応性が低いため
高温を要するジオールとジイソシアナートとの反応を予
めおこなった後に、低温でも反応するジアミンとジイソ
シアナートとの反応を行うことができるので、三者とも
十分に反応して所定の比率でウレア結合部およびウレタ
ン結合部を持って高分子量化した高分子非線形光学材料
を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は実施例1および比較例1の100℃に
おけるd33の緩和の時間経過を示すグラフである。
【図2】この図はd33が最大となるポーリング温度とウ
レア結合の割合との関係を示すグラフである。
【図3】この図は比較例2における100℃のd33の緩
和の時間変化を示すグラフである。
【図4】この図は実施例5における100℃のd33の緩
和の時間変化を示すグラフである。
【図5】この図は実施例6における100℃のd33の緩
和の時間変化を示すグラフである。
【図6】この図は比較例5と実施例8および9のd33
最大となるポーリング温度とウレア結合の割合との関係
を示すグラフである。
【図7】この図は比較例3の100℃におけるd33の緩
和の時間変化のグラフである。
【図8】この図は実施例8の100℃におけるd33の緩
和の時間変化のグラフである。
【図9】この図は実施例13および比較例1の100℃
におけるd33の緩和の時間変化のグラフである。
【図10】この図は実施例15の100℃におけるd33
の緩和の時間変化のラフである。
【図11】この図は実施例16および比較例6の100
℃におけるd33の緩和の時間変化のグラフである。
【図12】この図は実施例17と実施例18の100℃
におけるd33の緩和の時間変化のグラフである。
【図13】この図は実施例19の100℃におけるd33
の緩和の時間変化のグラフである。
【図14】この図は実施例20の100℃におけるd33
の緩和の時間変化のグラフである。
【図15】この図は実施例25、26および比較例7の
100℃におけるd 33の緩和の時間変化のグラフであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 渡辺 修 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 岡田 茜 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子のマトリックスと、π電子共役系
    に少なくとも1つの電子供与基と少なくとも1つの電子
    吸引基とが結合して該マトリックス中に分散保持された
    光学的非線形性成分とからなる高分子非線形光学材料に
    おいて、該高分子マトリックス中、または光学的非線形
    性成分中、あるいは両者の結合部分にウレア結合部を含
    むことを特徴とする高分子非線形光学材料。
  2. 【請求項2】 前記高分子マトリックス中、または光学
    的非線形性成分中、あるいは両者の結合部分にウレア結
    合部およびウレタン結合部を含み、かつ、架橋点を持た
    ないことを特徴とする高分子非線形光学材料。
  3. 【請求項3】 少なくとも一方がその構成部分としてπ
    電子共役系に少なくとも1つの電子供与基と少なくとも
    1つの電子吸引基とが結合した光学的非線形成分を含
    む、次の(A)成分および(B)成分を重合させること
    を特徴とする高分子非線形光学材料の製造方法。 (A)ジイソシアナート化合物。 (B)上記(A)成分との間でウレア結合を形成するた
    めの重合反応性アミンと、上記(A)成分との間でウレ
    タン結合を形成するための水酸基とを有する二官能性化
    合物。
  4. 【請求項4】 少なくともいずれか一の成分がその構成
    部分としてπ電子共役系に少なくとも1つの電子供与基
    と少なくとも1つの電子吸引基とが結合した光学的非線
    形性成分を含む、次の(A)、(B1)、(B2)の各
    成分を重合させることを特徴とする高分子非線形光学材
    料の製造方法。 (A)ジイソシアナート化合物。 (B1)上記(A)成分との間でウレア結合を形成し得
    る重合反応性アミンを有するジアミン化合物。 (B2)上記(A)成分との間でウレタン結合を形成し
    得る水酸基を有するジオール化合物。
  5. 【請求項5】 前記(A)、(B1)、(B2)の各成
    分の仕込み量の比が、(A):(B1)+(B2)=
    1:1であり、かつ(B1)と(B2)との仕込み量の
    比が2:8〜9:1の範囲内であることを特徴とする請
    求項4に記載の高分子非線形光学材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記(B1)成分として環構造を有する
    化合物を用いることを特徴とする請求項4および請求項
    5に記載の高分子非線形光学材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 高分子非線形光学材料は、重量平均分子
    量が10000〜1000000であることを特徴とす
    る請求項1〜請求項6に記載の高分子非線形光学材料。
  8. 【請求項8】 高分子非線形光学材料は、1−メチル−
    2−ピロリドン中での30℃における固有粘度の値が
    0.2〜5.0dl/gの範囲である請求項1〜請求項
    6に記載の高分子非線形光学材料。
  9. 【請求項9】 前記高分子非線形光学材料の製造方法に
    おいて(A)と(B2)とを先に反応せた後、(A)と
    (B1)とを反応させることを特徴とする請求項3〜請
    求項5に記載の高分子非線形光学材料の製造方法。
JP7212126A 1994-12-12 1995-08-21 高分子非線形光学材料および高分子非線形光学材料の製造方法 Pending JPH08220575A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4382546A1 (en) * 2022-12-07 2024-06-12 Basf Se Poly(urea-urethane) polymer

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EP4382546A1 (en) * 2022-12-07 2024-06-12 Basf Se Poly(urea-urethane) polymer

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