JPH11142061A - 熱処理装置 - Google Patents

熱処理装置

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JPH11142061A
JPH11142061A JP30198397A JP30198397A JPH11142061A JP H11142061 A JPH11142061 A JP H11142061A JP 30198397 A JP30198397 A JP 30198397A JP 30198397 A JP30198397 A JP 30198397A JP H11142061 A JPH11142061 A JP H11142061A
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heating
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shutter
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Yoshikazu Itou
吉積 伊藤
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哲雄 赤堀
Yoshiyuki Inaba
善幸 稲葉
Masahiro Nakagawa
正弘 中川
Atsushi Ito
淳 伊藤
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KYUSHU NORITAKE KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板を複数の加熱室へ順次間欠送りして基板
の温度を略均一に維持しながら変化させる熱処理装置に
おいて、各加熱室毎の温度制御が速やかに行われるよう
にして、間欠送りするサイクルタイムを短くする。 【解決手段】 基板62と干渉しない範囲でシャッタ1
94を挟むように各加熱室の境界部分に一対の耐熱ガラ
ス製板から構成される下側断熱壁192が設けられてい
ることから、下側断熱壁192の耐熱ガラス製板自身と
耐熱ガラス製板相互間に形成される空気層による断熱作
用により、各加熱室が隣接する加熱室から受ける熱影響
が可及的に低減させられる。これにより、基板62を間
欠送りしてシャッタ194を閉じた後、制御装置により
各加熱室毎に所定温度に速やかに制御できるようにな
り、基板62を間欠送りするサイクルタイムを短くして
全体の処理時間を短縮できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークを一方向へ
搬送する過程でその温度を略均一に維持しながら徐々に
変化させる熱処理装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ソーダライムガラスに代表されるガラス
製基板やアルミナに代表されるセラミックス基板の上
に、金属或いは無機材料をガラスボンド成分の溶融や、
材料自体の軟化、溶融、或いは焼結により、所定の機能
を生じる膜が固着されたりするような、膜形成素材を含
む基板が知られている。例えば、蛍光表示管の陽極基
板、プラズマディスプレイパネル用基板、プラズマアド
レス液晶表示装置のプラズマスイッチング基板、フィー
ルドエミッション表示装置用基板などの表示デバイス用
基板、厚膜配線基板、或いはサーマルプリンターヘッド
やイメージセンサ等の電子デバイス用基板がそれであ
る。このような基板には、一般に、基板自体のアニール
のためやガラス素材を結合剤として応用した機能材料の
膜形成のために、500 乃至650(℃) 程度の熱処理が施さ
れ、セラミックス基板においてはガラス素材を結合剤と
して応用した機能材料の膜形成、或いは金属材料自体の
界面の溶融を応用した機能材料の膜形成のために例えば
500 乃至900(℃) 程度の熱処理が施される。
【0003】ところで、近年では、上記膜形成素材を含
む基板は、その表面にパターニング形成される導体、抵
抗、誘電体などの多層化および細密化が図られるととも
に、特に、上記表示デバイス用基板では表示面積の大型
化に伴って比較的大きな寸法のものを製造することが必
要となっている。そのため、表示デバイス用基板では大
きな寸法に亘って細密にパターン形成することが要求さ
れるとともに、上記電子デバイス用基板では、機能を発
生させる膜に与えられるパターン空間が細密化すること
によって品質の確保のために膜の均一性が一層要求され
る。しかしながら、上記基板の焼成によってもたらされ
る品質への影響は、上記のように大型となる程大きくな
り、それらのばらつきが製品設計上の制約となったり、
製品の歩留まりを低下させる一因となっていた。
【0004】例えば、熱処理に伴って基板素材そのもの
の膨張或いは収縮による寸法変動がある場合は、機能を
有する膜のパターニング後に行われる焼成毎のパターン
間の位置合わせが困難となる。また、抵抗層においては
抵抗値のばらつき、誘電体層においては耐電圧のばらつ
きや残存率の不均一による厚み寸法のばらつき、導体層
においては導通抵抗およびワイヤボンディング性やスパ
ッタリング性などのばらつきが大きくなる。これらパタ
ーン間の位置合わせの一致性および層品質の均一性は、
精細なパターンとなる程或いは基板が大型となる程、維
持することが困難となり、製品歩留まりが加速度的に低
下するという不都合があった。したがって、例えば40イ
ンチ以上の大型表示装置としてのプラズマディスプレイ
用基板を例にとると、次のような歩留まり低下要因があ
る。すなわち、多数のセルを形成する多層構造の各層の
寸法精度が確保できない、障壁の高さおよび幅の寸法の
ばらつきが生じる、抵抗付セルにおいては抵抗値のばら
つきを生じる、誘電体層においては耐電圧にばらつきを
生じる、全体的な寸法ばらつきはフロント板とリヤ板と
を組み合わせて放電セルを形成するときにズレを生じ
る、などである。
【0005】これに対し、略水平な一平面内に互いに平
行に配設されてそれぞれ軸心まわりに回転駆動される多
数のローラ上に、上記基板等の平板状のワークを略水平
な姿勢で載置して一方向へ搬送するとともに、そのワー
クの温度を略均一に維持しながら前記搬送過程で予め定
められた第1温度から第2温度まで徐々に変化させる熱
処理装置であって、(a) 前記一方向に並んで設定された
複数の加熱区分毎に加熱温度を独立に制御し、その複数
の加熱区分へ順次送られる前記ワークの温度を前記第1
温度から第2温度まで徐々に変化させる温度制御装置
と、(b) 前記多数のローラを間欠回転させて前記ワーク
を前記複数の加熱区分へ順次間欠送りする搬送装置と、
(c) 前記一方向において前記複数の加熱区分の境界部分
であって前記多数のローラの間の位置に配設され、上下
方向へ往復移動させられることによりその複数の加熱区
分を相互に遮蔽する遮蔽位置と、前記搬送装置によって
搬送される前記ワークとの干渉を避ける退避位置とに位
置決めされる平板状のシャッタを備えているシャッタ装
置とを有する熱処理装置が、例えば本願出願人が先に出
願した特願平8−202068号において提案されてい
る。
【0006】このような熱処理装置によれば、各加熱区
分毎にワークの温度が略均一に維持されつつ徐々に変化
させられるため、温度差に起因して歪などを生じる恐れ
がないとともに、熱処理装置の全長を短くできる。すな
わち、ガラス製基板を焼成する場合、その温度差は5
(℃) 以内とすることが望まれるため、例えば進行方向
に70(cm)の長さを有する大型のガラス製基板を連続送り
しながら徐冷する場合には、7(℃/m) 以内の熱勾配とし
なければならず、焼成ピーク温度からガラス転移点温度
まで約130(℃) 程度徐冷するには約 18(m)の長さ寸法が
必要なのに対し、上記加熱区分毎に20〜30 (℃) 程度ず
つ徐冷する場合には、5〜7程度の加熱区分を設けるだ
けで良く、1つの加熱区分の長さを例えば 130(cm)程度
とすれば 6.5〜9.1(m)程度の長さ寸法で済むようになる
のである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記熱
処理装置において、シャッタを耐熱ガラス製板等を用い
て構成しても、各加熱区分は隣接する加熱区分の影響を
受け完全に熱的に独立した環境を得ることは難しく、ワ
ークを間欠送りしてシャッタを閉じた後、温度制御装置
により各加熱区分毎に異なる温度に均熱制御する際に隣
接する加熱区分の熱影響で比較的長時間を要するという
問題があった。このため、ワークを間欠送りするサイク
ルタイムが長くなったり、所定のサイクルタイムで間欠
送りするために加熱区分毎の温度変化を小さくしたりす
る必要があった。加熱区分毎の温度変化を小さくした場
合、それだけ加熱区分の数が多くなるため、熱処理装置
の全長が長くなる。
【0008】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、ワークを複数の加熱
区分へ順次間欠送りしてワークの温度を略均一に維持し
ながら変化させる熱処理装置において、各加熱区分毎の
温度制御が速やかに行われるようにして、間欠送りする
サイクルタイムを短くしたり加熱区分の数を少なくした
りすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1発明は、所定のワークを一方向へ搬送する過程
でワークの温度を略均一に維持しながら変化させるトン
ネル状の熱処理装置であって、(a) 前記一方向に並んで
設定された複数の加熱区分毎に加熱温度を独立に制御
し、それら複数の加熱区分へ順次送られる前記ワークの
温度を異なる温度に変化させる温度制御装置と、(b) 前
記ワークを前記複数の加熱区分へ順次間欠送りする搬送
装置と、(c) 前記一方向において前記複数の加熱区分の
境界部分に配設され、往復移動させられることによりそ
れら複数の加熱区分を相互に遮蔽する遮蔽位置と、前記
搬送装置によって搬送される前記ワークとの干渉を避け
る退避位置とに位置決めされる平板状のシャッタを備え
ているシャッタ装置と、(d)前記搬送装置によって搬送
される前記ワークと干渉しない範囲で、前記シャッタを
挟むように前記複数の加熱区分の境界部分に位置固定に
設けられた一対の断熱壁とを有することを特徴とする。
【0010】また、第2発明は、略水平な一平面内に互
いに平行に配設されてそれぞれ軸心まわりに回転駆動さ
れる多数のローラ上に平板状のワークを略水平な姿勢で
載置して一方向へ搬送するとともに、そのワークの温度
を略均一に維持しながら前記搬送過程で予め定められた
第1温度から第2温度まで徐々に変化させるトンネル状
の熱処理装置であって、(a) 前記一方向に並んで設定さ
れた複数の加熱区分毎に加熱温度を独立に制御し、それ
ら複数の加熱区分へ順次送られる前記ワークの温度を前
記第1温度から第2温度まで徐々に変化させる温度制御
装置と、(b) 前記多数のローラを間欠回転させて前記ワ
ークを前記複数の加熱区分へ順次間欠送りする搬送装置
と、(c) 前記一方向において前記複数の加熱区分の境界
部分であって前記多数のローラの間の位置に配設され、
上下方向へ往復移動させられることによりそれら複数の
加熱区分を相互に遮蔽する遮蔽位置と、前記搬送装置に
よって搬送される前記ワークとの干渉を避ける退避位置
とに位置決めされる平板状のシャッタを備えているシャ
ッタ装置と、(d) 前記搬送装置によって搬送される前記
ワークと干渉しない範囲で、前記シャッタを挟むように
前記複数の加熱区分の境界部分に位置固定に設けられた
一対の断熱壁とを有することを特徴とする。
【0011】また、第3発明は、第1または第2発明の
熱処理装置において、所定のワークを一方向へ搬送する
過程でワークの温度を略均一に維持しながら低下させる
トンネル状の熱処理装置であって、前記シャッタを挟む
ように設けられた一対の断熱壁の間の空間は、前記熱処
理装置の炉壁に設けられた連通穴を介して炉外に連通し
ていることを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】第1発明によれば、前記搬送装置によっ
て搬送される前記ワークと干渉しない範囲で前記シャッ
タを挟むように前記複数の加熱区分の境界部分に一対の
断熱壁が設けられていることから、断熱壁自身と断熱壁
相互間に形成される空気層による断熱作用により、各加
熱区分が隣接する加熱区分から受ける熱影響が可及的に
低減させられる。これにより、ワークを間欠送りしてシ
ャッタを閉じた後、温度制御装置により各加熱区分毎に
所定温度に速やかに制御できるようになり、ワークを間
欠送りするサイクルタイムを短くして全体の処理時間を
短縮できる。
【0013】また、ワークの温度を第1温度から第2温
度まで徐々に変化させる第2発明の熱処理装置において
は、各加熱区分毎に所定温度に速やかに制御できること
から、間欠送りのサイクルタイムを長くすることなく加
熱区分毎の温度変化をできるだけ大きくして加熱区分の
数を少なくし、熱処理装置の全長を短くすることが可能
である。
【0014】また、第3発明においては、前記シャッタ
を挟むようにして設けられた一対の断熱壁の間の空間が
連通穴を介して炉外に連通していることから、一対の断
熱壁相互間に比較的低温の空気層が形成されるため、一
対の断熱壁にはそれぞれ空気層側に向かうに従って低温
となる反対向きの温度勾配が形成されることから、高温
側の加熱区分から低温側の加熱区分に対する直接的な伝
熱が妨げられ、シャッタが開けられてワークが送り込ま
れることにより設定温度より高温となる各加熱区分の温
度が、シャッタが閉じられた後に温度制御装置によって
設定温度まで速やかに低下させられるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の熱処理装置を用
いて熱処理されるワークは、焼成などの熱処理の際にそ
の温度を略均一に維持することが要求されるもので、例
えばガラス製基板やセラミックス基板の上に、金属或い
は無機材料をガラスボンド成分の溶融や材料自体の軟
化、溶融、或いは焼結により、所定の機能を生じる膜が
固着されたりするような、膜形成素材を含む基板などで
あり、具体的には蛍光表示管の陽極基板、プラズマディ
スプレイパネル用基板、プラズマアドレス液晶表示装置
のプラズマスイッチング基板、フィールドエミッション
表示装置用基板などの表示デバイス用基板、厚膜配線基
板、或いはサーマルプリンタヘッドやイメージセンサ等
の電子デバイス用基板などである。
【0016】前記温度制御装置は、例えば複数の加熱区
分毎に加熱温度を順次低下させてワークの温度を徐冷す
るように構成されるが、加熱温度を順次上昇させてワー
クの温度を徐々に上昇させるものでも良い。第1発明の
実施に際しては、少なくとも複数の加熱区分における制
御温度が異なるものであれば良い。
【0017】前記搬送装置は、例えばワークを各加熱区
分へ間欠送りする毎に完全停止するように構成される
が、各加熱区分内においてワークを小刻みに前後運動さ
せるようにしても良い。この搬送装置は、第2発明のよ
うに多数のローラを有して構成することが望ましいが、
ベルトコンベアやレール上を移動する台車、或いはワー
クを把持して移動させる移載ロボットなどを利用するこ
とも可能である。
【0018】前記シャッタは、例えばワークの搬送位置
の下方に配設され、上方へ移動させられることにより各
加熱区分を遮蔽するように構成されるが、ワークの搬送
位置よりも上方に配設されて、下方へ移動させられるこ
とにより各加熱区分を遮蔽するようになっていても良い
など、搬送装置の構造等に応じて適宜定められる。
【0019】断熱壁は少なくともシャッタを挟んで一対
設けられていれば良いが、更に隣接して1乃至複数の断
熱壁を位置固定に設けることも可能である。断熱壁は、
シャッタがワークの搬送位置よりも下方に設けられれば
同じく下方側に配設され、搬送位置よりも上方に設けら
れれば同じく上方側に配設されるが、搬送位置を挟んで
上下両側に一対づつ配設することも可能である。ワーク
の搬送位置に切欠(スリットなど)を形成することによ
り、上下の断熱壁を一体に構成することもできる。
【0020】上記シャッタおよび断熱壁は、耐熱ガラス
やアルミナなどの耐熱性に優れたセラミックス板が好適
に用いられる。
【0021】第3発明の連通穴は、例えばシャッタを往
復移動させるための支持シャフトを挿通させる貫通穴が
炉壁に設けられている場合には、その貫通穴を連通穴と
して用いることが可能であるが、十分な連通断面積を確
保するために貫通穴とは別に連通穴を形成するようにし
ても良い。
【0022】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明する。
【0023】図1、図2、図3は、略水平な一平面内に
おいて基板62を一方向へ直線的に順次搬送する過程で
焼成を施す形式の連続型焼成装置116の構成を示して
おり、図1は正面図、図2は炉体の幅方向中央を通り長
手方向に沿った断面図、図3(a) 〜(e) はそれぞれ図2
におけるa−a乃至e−e視断面をそれぞれ示す図であ
る。図において、それぞれ独立に駆動される第1搬送装
置118、複数の第2搬送装置120a、120b、〜
120f(以下、特に区別しないときは単に第2搬送装
置120という)、第3搬送装置122が直列に配置さ
れており、基板62は、それら第1搬送装置118、第
2搬送装置120、第3搬送装置122によって一方向
に搬送されることにより、トンネル状の炉体124a、
124b(以下、特に区別しないときは単に炉体124
という)内を通過させられるようになっている。尚、基
板62はワークに対応し、連続型焼成装置116は熱処
理装置に対応している。基板62は、本実施例ではプラ
ズマディスプレイパネル等の大型ガラス製基板で、表面
には樹脂製バインダによって所定の膜形成素材が設けら
れている。また、図1の下段は上段の右側に連続して設
けられるもので、下段の左端のA2 −B2 は上段の右端
のA1 −B1 と一致する。
【0024】上記トンネル状の炉体124は、例えば内
壁がβ−スポジュメン系結晶化ガラス等の耐熱ガラスか
ら構成されたものである。炉体124a内には、基板6
2を最高焼成温度MTまで加熱すると共にその過程で基
板62上に印刷形成された膜に含まれているバインダ
(樹脂)を燃焼除去するための予熱ゾーン(予熱部)1
26と、基板62をその最高焼成温度MTで所定時間保
持するための加熱ゾーン(加熱部)128と、基板62
を最高焼成温度MTからガラス転移点温度GTまで徐々
に冷却するための徐冷ゾーン(徐冷部)130とが設け
られており、炉体124b内には、基板62を常温付近
まで冷却するための冷却ゾーン(冷却部)132が設け
られている。尚、最高焼成温度MTは第1温度に対応
し、ガラス転移点温度GTは第2温度に対応している。
【0025】前記第1搬送装置118は、上記予熱ゾー
ン126および加熱ゾーン128に対応する位置に設け
られている。この第1搬送装置118は、炉体124a
の下方に設けられて連続的に駆動される減速機付モータ
134の回転を、チェーン136、および一軸線上に設
けられた複数本のラインシャフト138a、138b、
〜138e(以下、特に区別しないときは単にラインシ
ャフト138という)を介して、炉体124aの長手方
向に沿って所定間隔をもって設けられたマイタギア14
0a、140b、〜140f(以下、特に区別しないと
きは単にマイタギア140という)に伝達し、そのマイ
タギア140によってそれぞれ分担される駆動区分12
7a、127b、127c、127d(以下、特に区別
しないときは単に駆動区分127という)、駆動区分1
29a、129b(以下、特に区別しないときは単に駆
動区分129という)毎に図2に示されるように炉体1
24a内に設けられているローラ166を回転させるこ
とにより、そのローラ166上に乗せられた基板62を
例えば300(mm/min) 程度の第1の搬送速度で連続的に搬
送するものである。
【0026】図4は、第1搬送装置118および第2搬
送装置120の要部を中間を省略した状態で上下に配し
て拡大して示す図であり、図1に示される駆動区分12
7a、129b、131bにそれぞれ対応する部分が上
段、中段、下段にそれぞれ示されている。駆動区分12
7aに対応する第1搬送装置118のマイタギア140
aには、軸心方向が炉体124の長手方向に沿って設け
られている原動軸142aと、軸心方向が炉体124の
長手方向に垂直(紙面に垂直)な従動軸144aとが備
えられている。モータ134の回転がチェーン136に
よってマイタギア140aに伝達されて原動軸142a
が矢印の方向に回転させられると、その原動軸142a
にカップリング146を介して接続されているラインシ
ャフト138aが原動軸142aと同方向に回転させら
れると共に、従動軸144aが例えば図の矢印の方向に
回転させられる。
【0027】一方、図4の中段に示されている駆動区分
129bに対応するマイタギア140f、すなわち第1
搬送装置118の右端部に設けられているマイタギア1
40fは、原動軸142fの一端がワンウェイカップリ
ング148を介してラインシャフト138eに接続され
ている。また、その原動軸142fの他端部側には減速
機付モータ150が備えられており、その他端部にワン
ウェイカップリング152を介して接続されている。こ
れらのワンウェイカップリング148、152は、それ
ぞれラインシャフト138eおよびモータ150の図の
矢印方向の回転のみをマイタギア140fに伝達するも
のであり、モータ150は、後述の第2搬送装置120
に同期してラインシャフト138よりも速い回転速度で
間欠的に駆動される。そのため、モータ150の停止中
はラインシャフト138eの回転がワンウェイカップリ
ング148を介して原動軸142fに伝達され、ワンウ
ェイカップリング152は滑らされる一方、モータ15
0の駆動中はワンウェイカップリング152を介してそ
の回転が原動軸142fに伝達され、ワンウェイカップ
リング148が滑らされることとなる。したがって、モ
ータ150の駆動中は、駆動区分129b内のローラ1
66上の基板62が前記の第1の搬送速度(例えば300
[mm/min] 程度)よりも速い例えば5000(mm/min)程度の
第2の搬送速度で搬送される。なお、省略されている駆
動区分127b、127c、〜129aは、ラインシャ
フト138a、138b、〜138eがカップリング1
46と同様な図示しないカップリングを介してマイタギ
ア140b、140c、〜140eの原動軸142に接
続されており、その原動軸142の回転に伴ってそれぞ
れに備えられている従動軸144が一定の速度で連続回
転させられる。
【0028】また、複数のマイタギア140の下方に
は、軸心方向が炉体124の長手方向に垂直且つ水平方
向となるように互いに平行にその長手方向に沿って配列
された複数本の回転軸154がそれぞれ備えられてい
る。このため、第1搬送装置118には、その全長に亘
って、炉体124の長手方向に沿って多数の回転軸15
4が備えられている。この回転軸154は、従動軸14
4の回転が例えばチェーン(或いはタイミングベルト)
156によって伝達されることによって、それぞれ図に
矢印で示される方向に回転させられ、前記ローラ166
がこの回転軸154と一体的に回転駆動される。モータ
134が駆動させられると、炉体124の長手方向に沿
って配列された多数の第1搬送装置118の回転軸15
4が同様な回転速度、回転方向で同時に回転させられる
こととなるが、モータ150が駆動させられると、マイ
タギア140fにはその回転が伝達されてワンウェイカ
ップリング148によってラインシャフト138eの接
続が実質的に絶たれ、マイタギア140fの下方に備え
られている回転軸154、すなわち加熱ゾーン128の
うちの徐冷ゾーン130に隣接する駆動区分129bに
属する回転軸154が、第1搬送装置118内の他の駆
動区分127、129aに属する回転軸154よりも速
い徐冷ゾーン130と同様な速度で回転させられること
となる。
【0029】また、複数の第2搬送装置120は、図4
の下段に駆動区分131bについて示されるように、そ
れぞれ独立して間欠的に駆動される減速機付モータ15
8a、158b、〜158f(以下、特に区別しないと
きは単にモータ158という)を備えたものであり、そ
のモータ158の下方には第1搬送装置118と同様
に、炉体124の長手方向と垂直且つ水平方向に設けら
れた複数本の回転軸154が備えられている。この回転
軸154はモータ158の出力軸160の回転をチェー
ン156によって伝達されることにより同方向に回転さ
せられるものである。すなわち、複数の第2搬送装置1
20は、第1搬送装置118においてモータ134の回
転を伝達されるマイタギア140に代えて独立して駆動
されるモータ158をそれぞれ備えている。モータ15
8は、出力軸160が図に矢印で示される正転方向に正
転駆動されるだけではなく、交互に正転方向および逆転
方向に回転駆動する反転駆動可能とされているが、正転
駆動時には回転軸154に接続されたローラ166が前
記の第2の搬送速度(例えば5000[mm/min]程度)が得ら
れるように回転させられる一方、反転駆動時にはそれよ
りも遅い例えば1300(mm/min)程度の第3の搬送速度で基
板62が搬送方向およびその反対方向に往復移動させら
れるようにローラ166が正転方向および逆転方向に回
転させられる。
【0030】また、第3搬送装置122は、図1から明
らかなように、第1搬送装置118においてマイタギア
140の個数を減じ、炉体124の長手方向の前後が反
転された構成とされている。すなわち、駆動区分129
bと同様な構成の駆動区分133a、駆動区分127b
等と同様な構成の駆動区分133b、および駆動区分1
27aと同様な構成の駆動区分133cから構成されて
いる。そのため、炉体124bの下方に備えられた減速
機付モータ162の回転がチェーン163、ラインシャ
フト138g、および138fを介してマイタギア14
0i、140h、および140gに伝達され、それぞれ
の駆動区分133に備えられている回転軸154が回転
させられる。また、徐冷ゾーン130に隣接する駆動区
分133aでは、駆動区分129bと同様に、減速機付
モータ164の回転がワンウェイカップリングを介して
伝達されることにより、それに属する回転軸154が間
欠的に他の回転軸154よりも速い速度すなわち第2搬
送装置120に同期した速度で駆動される。
【0031】図2に戻って、炉体124内には、複数本
の例えばアルミナ製の円筒状のローラ166が、図3
(a) 〜(e) に図2におけるa−a乃至e−e視断面を示
すように、両端部が炉体124側面から突き出すように
設けられている。炉体124の側部外側には一対の軸受
け167、167(図3(a) のみに図示)が設けられて
おり、これに前記回転軸154がローラ166と同軸的
にそれぞれ支持されている。ローラ166は、それぞれ
これら一対の回転軸154に両側から挟まれた状態で設
けられており、前記モータ134の回転がチェーン15
6を介して伝達されるその回転軸154の回転に伴って
回転させられる。なお、図3(a) は、図2におけるa−
a視断面に対応する図であるが、a2 −a2 視断面も同
様な断面形状である。前記基板62は、炉体124内に
おいてこのローラ166に支持されている。そのため、
ローラ166が回転させられるとその回転に伴って一方
向に搬送されることとなる。このとき、第1搬送装置1
18および第3搬送装置122が設けられている予熱ゾ
ーン126、加熱ゾーン128、冷却ゾーン132にお
いてはローラ166が連続的に回転させられて基板62
が連続的に搬送される一方、第2搬送装置120が設け
られている徐冷ゾーン130においてはローラ166が
間欠的に回転させられて基板62が間欠的に搬送される
こととなる。すなわち、本実施例においては、第2搬送
装置120が特許請求の範囲に記載の搬送装置に対応し
ている。
【0032】また、図1、図2、図3から明らかなよう
に、前記の予熱ゾーン126には、予熱ゾーン126内
の温度を検出するための複数の温度検出器TCが、前記
の駆動区分127毎に長手方向中央の幅方向の3位置に
おいて上下に設けられると共に、炉体124の上側およ
び下側に複数のゾーンを形成し且つそのゾーン毎に独立
して制御されるヒータHが、それぞれの駆動区分127
毎に炉体124の長手方向および幅方向にそれぞれ4ゾ
ーンずつ設けられている。すなわち、図1乃至図3にお
いては一部が省略されているが、図5(a) に駆動区分1
27aについて模式的に示すように、各駆動区分127
毎に基板62の送り方向Aおよびそれに直交する図示し
ないローラ166の長手方向にそれぞれ4分割された合
計16組のヒータH1111、H1112、H1113、H1114、H
1121、H1122、H1123、H1124、H1131、H1132、H
1133、H1134、H1141、H1142、H1143、H1144(駆動
区分127b、127c、127dにはそれぞれH1211
〜H1244、H1311〜H1344、H1411〜H1444が備えられ
る)が炉体124の上下において各一対として配設さ
れ、ヒータH1121とH1131の間の位置、ヒータH1122
1123、H1132、およびH1133の間の位置、ヒータH
1124とH1134の間の位置にそれぞれ温度検出器TC
111 、TC112 、TC113 (駆動区分127b、127
c、127dにはそれぞれTC121 〜TC123 、TC
131 〜TC133 、TC141 〜TC143 )が配設されてい
る。図2に駆動区分127aの上側に一部について例示
するように、各々の温度検出器TCおよびヒータHは制
御装置168に接続されており、温度検出器TCで検出
された温度信号に従ってヒータHの出力が制御される。
【0033】また、予熱ゾーン126には、炉体124
の入口側の駆動区分127aの入口上部に給気管170
が設けられると共に、続く駆動区分127b、127
c、127dの基板62の搬送方向前方側に排気管17
2が設けられている。これら給気管170および排気管
172は、例えばローラ166と同様なアルミナセラミ
ックスから構成されて何れも炉体124の幅方向に貫通
するように設けられている。給気管170は、その両端
部において炉体124側面に備えられている給気用配管
174に接続されており、図示しない空気供給源から導
かれた空気を炉体124内に供給する。また、排気管1
72は、その両端部において炉体124側面に備えられ
ている排気用配管176に接続されており、炉体124
内に供給された空気はその内部を流れる過程で複数の排
気管172から吸い込まれ、排出口178から排出され
る。これら給気管170および排気管172は、それぞ
れ図6(a) 、(b) に示されるように丸穴状のノズル17
1或いは長穴状のノズル181を複数箇所に備えたもの
である。
【0034】また、前記加熱ゾーン128には、加熱ゾ
ーン128内の温度を検出するための複数の温度検出器
TCが、駆動区分129毎に炉体124の長手方向およ
び幅方向のそれぞれ3位置において上下に設けられると
共に、炉体124の上側、下側および両側面上部に複数
のゾーンを形成し且つそのゾーン毎に独立して制御され
るヒータHが、それぞれの駆動区分129毎に炉体12
4の長手方向に4ゾーン、幅方向に両側面上部の各1ゾ
ーンを含む6ゾーンずつ設けられている。すなわち、図
5(b) に示されるように、各駆動区分129毎に基板6
2の送り方向Aおよびそれに直交する図示しないローラ
166の長手方向にそれぞれ4分割された合計16組の
ヒータH2111、H2112、H2113、H2114、H2121、H
2122、H21 23、H2124、H2131、H2132、H2133、H
2134、H2141、H2142、H2143、H21 44が炉体124の
上下において各一対として配設されると共に、炉体12
4の幅方向両側の上部側面において送り方向Aにそれぞ
れ4分割された(4組の)ヒータH2115、H2125、H
2135、H2145、H2116、H2126、H2136、H2146(駆動
区分129bにはH2211〜H2246)が両側面で一対とし
て配設されている。また、ヒータH2111内、H2112とH
2113との間、H2114内、H2121とH2131との間、
2122、H2123、H2132、H2133の間、H2124とH2134
との間、H2141内、H2142とH2143との間、H2144内の
位置にそれぞれ9組の温度検出器TC2111、TC21 12
TC2113、TC2121、TC2122、TC2123、TC2131
TC2132、TC2133(駆動区分129bにはTC2211
TC2233)が上下に配設されている。
【0035】また、前記の徐冷ゾーン130には、図2
に駆動区分131aについて示されるように、炉体12
4の長手方向に沿って等間隔に複数のシャッタ装置S1
〜S 7 (以下、特に区別しないときは単にシャッタ装置
Sという)が設けられており、徐冷ゾーン130が駆動
区分131a、131b、〜131fにそれぞれ対応す
る複数、具体的には6つの第1加熱室R1 、第2加熱室
2 、〜第6加熱室R 6 (以下、特に区別しないときは
単に加熱室Rという)に分割されている。本実施例にお
いては、第1加熱室R1 乃至第6加熱室R6 が相互に熱
的に区分された複数の加熱区分に相当する。なお、図に
示されるように、シャッタ装置S1 は駆動区分129b
と131aとの間に、S2 〜S6 は駆動区分131a乃
至131f相互の間に、S7 は駆動区分131fと13
3aとの間にそれぞれ設けられている。
【0036】また、徐冷ゾーン130の各駆動区分13
1には、それぞれ制御装置168に制御されて各加熱室
Rの温度を検出するための複数の温度検出器TCおよび
各加熱室Rを加熱するための複数のヒータHが、前記図
5(b) に示される前記加熱ゾーン128と同様な配設パ
ターン(駆動区分131aにはTC3111〜TC3133およ
びH3111〜H3146、駆動区分131bにはTC3211〜T
3233およびH3211〜H3246、駆動区分131cにはT
3311〜TC3333およびH3311〜H3346、駆動区分13
1dにはTC3411〜TC3433およびH3411〜H3446、駆
動区分131eにはTC3511〜TC3533およびH3511
3546、駆動区分131fにはTC3611〜TC3633およ
びH3611〜H3646)で設けられている。また、各加熱室
R内には、基板62の搬送方向後方側(上流側)に上部
および下部から冷却用空気を供給するための給気管18
0、180が備えられると共に、その冷却用空気を搬送
方向前方側(下流側)の上部から排出するための排気管
182とが設けられている。これら給気管180および
排気管182は、それぞれ予熱ゾーン126に設けられ
ている給気管170、排気管172と同様なものであ
り、丸穴状のノズル171或いは長穴状のノズル181
が設けられたアルミナセラミックス製のチューブから構
成されている。また、給気管180および排気管182
は、炉体124の外部に設けられた給気用配管184お
よび排気用配管186にそれぞれ接続されており、給気
管180に図示しない空気供給源から個々の加熱室Rの
給気用配管184毎に設けられた送気管185a、18
5b、〜185f(送気管185aのみ図示。以下、特
に区別しないときは単に送気管185という)を介して
冷却用空気が導かれると共に、排気管182から吸い込
まれた各加熱室R内の空気が排出口188から排出され
る。個々の送気管185には電磁弁208a、208
b、〜208f(電磁弁208aのみ図示。以下、特に
区別しないときは単に電磁弁208という)が設けられ
ており、制御装置168によって加熱室R内への給気が
開始および停止させられると共に給気量が調節される。
具体的には、加熱室R内に基板62が存在しない状態で
電磁弁208が開けられることにより、その加熱室R内
に後方側からその設定温度KTよりも低い温度の気体で
ある冷却用空気が前記給気管180によって供給され、
前方側から排気管182によって排出される。この給排
気は、例えば数秒乃至十数秒程度の所定時間継続され
る。これにより、基板62が搬出されて空になった加熱
室R内の温度が設定温度よりも低下する傾向にされてヒ
ータHの出力すなわち温度制御量が高められる。なお、
図においては、加熱室Rの上下にそれぞれ設けられた給
気用配管184、184が共通の送気管185に接続さ
れているが、それぞれ電磁弁208を備えた別々の送気
管185に接続されて独立に制御されてもよい。
【0037】また、前記の冷却ゾーン132には、冷却
ゾーン132内の温度を検出するための温度検出器TC
41、TC42、T43が、駆動区分133毎に炉体124長
手方向中央の幅方向中央位置において上側に設けられる
と共に、炉体124の上側および下側にその幅寸法に略
等しい長さを有する複数の冷却ジャケットCが、それぞ
れの駆動区分133毎に炉体124の長手方向に3列ず
つ設けられている。冷却ジャケットCは、その内部に図
1に示される冷却水配管202から枝管204を介して
供給される冷却水が流通させられるものである。上下に
配されたそれぞれ3つの冷却ジャケットCは相互に連結
されており、それら3つの冷却ジャケットC内を順次流
通させられた冷却水は、図1に示される反対側の側面に
設けられた図示しない排水管から排出される。冷却ジャ
ケットCに供給される冷却水の流量は駆動区分133毎
に枝管204に設けられている電磁弁206a、206
b、206cによって調節される。この冷却ゾーン13
2に設けられている温度検出器TCおよび電磁弁206
も前記の制御装置168に接続されており、温度検出器
TCによって検出された温度信号に基づいて冷却ジャケ
ットCに流通される冷却水量が制御される。
【0038】図7は、図2におけるシャッタ装置S2
近傍を拡大して示す図である。図において、上側断熱壁
190および下側断熱壁192は、それぞれ40mm程度の
隙間間隔を有して互いに平行に設けられた厚さ5mm 程度
の一対の耐熱ガラス製板から構成されており、上側断熱
壁190は複数本のローラ166の上端によって形成さ
れる基板62の搬送面218から60(mm)程度の距離Hu
だけ離隔して位置させられており、一方、下側断熱壁1
92は、その搬送面218から10(mm)程度の距離Hdだ
け離隔して位置させられている。例えばPDP用のフロ
ントプレートやリヤプレートにおいては、基板62の厚
さは、通常基板62を載せて炉内を搬送するための図示
しないセッタの厚さを含めても10(mm)程度以下であっ
て、上記の距離Huに比較して充分に薄いことから、基
板62は上側断熱壁190、下側断熱壁192および退
避位置Aにあるシャッタ194に干渉することなく加熱
室R間に設けられている開口部198を通過させられ
る。なお、退避位置Aにあるシャッタ194は図に実線
で示されており、遮蔽位置Bにあるシャッタ194は図
に1点鎖線で示されている。シャッタ194の厚さは5m
m 程度であり、上下の断熱壁190、192との間には
隙間が設けられて互いに接触することが防止されている
が、その隙間の大きさは17.5(mm)程度であり、加熱室R
相互の熱的な独立性は充分に確保されている。また、ロ
ーラ166相互の中心間隔gは、図に示されるように各
加熱室R内およびそれらの境界部において、150(mm) 程
度の一様な寸法に設定されている。また、炉体124の
内壁面は、一定の清浄性を保つためガラス222で構成
されている。
【0039】図8は図7のVIII-VIII 視断面図である。
図において、シャッタ194はその長手方向両端部が、
炉体124に設けられたφ28mm程度の一対の貫通穴22
0を鉛直方向に貫通するφ20mm程度の一対の支持シャフ
ト196によって支持されており、それら支持シャフト
196はそれぞれガイド部材210を挿通させられて鉛
直方向の往復移動可能に案内されている。そして、それ
ら一対の支持シャフト196は水平方向に設けられたア
ーム212によって相互に連結させられており、そのア
ーム212の中央部は鉛直方向に設けられたエアシリン
ダ216のピストンロッド214の先端部に取り付けら
れている。ここで、エアシリンダ216は、図示しない
空気供給源に接続された空気供給路上に設けられた電磁
弁が前記制御装置168によって基板62の搬送位置に
応じて加熱室R毎に制御されて、ピストンロッド214
の突出位置が切り換えられることにより、シャッタ19
4が図7、図8において実線で示す退避位置Aと一点鎖
線で示す遮蔽位置Bの何れかに移動させられる。また、
貫通穴220と支持シャフト196との間には、径方向
に4mm 程度の隙間が存在するため、支持シャフト196
の熱膨張時にも常に充分な隙間が維持される。なお、炉
体124は炉壁に対応し、貫通穴220は連通穴に対応
している。
【0040】図9は前記制御装置168の構成を示す図
である。予熱ゾーン126、加熱ゾーン128、徐冷ゾ
ーン130、および冷却ゾーン132の駆動区分12
7、129、131、133(或いは加熱室R)毎に所
定数ずつ設けられた炉体124内の温度を検出するため
の温度検出器TC111 、TC112 、〜TC43により検出
された温度を示す各信号は、マルチプレクサ68によっ
て所定の周期で時分割され、且つA/D変換器70にお
いてデジタル信号に変換された後、演算制御回路72へ
入力される。この演算制御回路72は、例えばマイクロ
コンピュータにより構成されており、RAMの一時記憶
機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに
従って入力信号を処理し、出力インターフェース74を
介して、モータ駆動回路MD1 へ第1搬送装置118を
連続駆動させるための信号を、モータ駆動回路MD2
第1搬送装置118の駆動区分129bを第2搬送装置
120の駆動速度に同期して駆動させるための信号をそ
れぞれ供給し、また、各ヒータ駆動回路D1111
1112、〜D3646へ、ヒータH1111、H1112、〜H3646
を駆動させるための信号を供給し、また、モータ駆動回
路MD31、MD32、〜MD36へ第2搬送装置120a、
120b、〜120fを間欠駆動するための信号を供給
し、また、シリンダ駆動回路CDS1、CDS2、〜CDS7
へシャッタ194を駆動するためのエアシリンダ216
a、216b、〜216gを駆動させるための信号を供
給し、また、モータ駆動回路MD41へ第3搬送装置12
2を連続駆動させるための信号を、モータ駆動回路MD
42へ第3搬送装置122の駆動区分133aを第2搬送
装置120の駆動速度に同期して駆動させるための信号
をそれぞれ供給し、更に、電磁弁駆動回路SD1 、SD
2 、SD3 、SDa1、SDa2、〜SDa6へ電磁弁206
a、206b、206c、208a、208b、〜20
8fを駆動させるための信号を供給する。
【0041】上記の各ヒータH1111、H1112、〜H2246
は、予熱ゾーン126および加熱ゾーン128内で炉体
124の温度が幅方向において均等且つ長手方向(基板
62の搬送方向)で所定の温度勾配が形成されるよう
に、また、ヒータH3111、H31 12、〜H3646は、徐冷ゾ
ーン130の各加熱室R内の温度がそれぞれ予め設定さ
れた温度で均等となるように、それぞれ予め設定された
各部位の目標温度比或いは相互の出力比に従って制御さ
れるようになっている。例えば、炉体124の幅方向中
央に位置するヒータH1112、H1113、H1122、H1123
〜H3642に比較して、幅方向端部に位置するヒータH
1111、H1114、H1121、H1124、〜H3644の出力が高め
られる。また、炉体124の長手方向において低温側
(予熱ゾーン126および加熱ゾーン128の駆動区分
129aにおいては基板62の搬送方向後方側、加熱ゾ
ーン128の駆動区分129bおよび徐冷ゾーン130
においては搬送方向前方側)に位置するヒータH1111
1112、H1113、H1114、H1211、H1212、H1213、H
1214、〜H2116、およびH2241、H2242、H2243、H
2244、H2245、H2246、H3141、H3142、H3143、H
3144、H3145、H3146、〜H36 46は、各ゾーン126、
128、130の高温側(上記と反対側位置)に位置す
るヒータH1141、H1142、H1143、H1144、H1241、H
1242、H1243、H1244、〜H2146、およびH2211、H
2212、H2213、H2214、H2215、H2216、H3111、H
3112、H3113、H3114、H3115、H3116、〜H3616に比
較して出力が高められる。
【0042】図10および図11は、連続型焼成装置1
16を用いて膜形成素材を含む基板62を焼成する場合
において、各基板62毎の位置および図10において時
刻t 0 に搬入された基板62の昇降温カーブをそれぞれ
示すタイミングチャートである。なお、図10において
一点鎖線は各駆動区分127等の境界を示し、図に示さ
れるように徐冷ゾーン130においては各加熱室Rすな
わち加熱区分の境界に等しい。すなわち、縦軸は炉体1
24内の長手方向(基板62の搬送方向)の位置を示し
ている。また、右上がりに描かれた複数本の実曲線はそ
れぞれ各基板62の動きに対応し、その傾きの大きさが
搬送速度の速さを表す。以下、これらのタイミングチャ
ートを参照して基板62の焼成方法を説明する。
【0043】まず、時刻t0 において、未焼成の基板6
2が図1に示される搬入方向に従って予熱ゾーン126
の駆動区分127側から搬入される。このとき、徐冷ゾ
ーン130に設けられたシャッタ装置Sは、シャッタ1
94が遮蔽位置Bに位置させられることにより全て閉じ
られて、各加熱室Rが相互に熱的に分離されており、基
板62が搬送過程において図11に示される温度カーブ
で昇降温させられるように、炉体124の各ゾーン12
6、128、130に設けられたヒータHがフィードバ
ック制御で駆動されて炉体124内が加熱されると共
に、冷却ゾーン132に設けられた電磁弁206が駆動
されて冷却ジャケットCに冷却水が流されることによ
り、それぞれのゾーンの各部位が予め設定された目標温
度に保持されている。また、モータ134およびモータ
162が駆動されて第1搬送装置118および第3搬送
装置122内のローラ166が図2における右回り方向
に回転させられている。このため、搬入された基板62
は、前記の第1の搬送速度で加熱ゾーン128に向かっ
て搬送される。
【0044】次いで、時刻t0 から例えば300 秒程度経
過した時刻t1 においては、次の基板62が予熱ゾーン
126に搬入され、更に300 秒程度経過した時刻t2
おいては、更に次の基板62が予熱ゾーン126に搬入
される。すなわち、予熱ゾーン126には、例えば300
秒程度毎に基板62が順次搬入される。このように順次
搬入された基板62は、回転駆動されているローラ16
6に支持された状態で予熱ゾーン126をその終端まで
搬送される過程で、例えば1100秒程度の時間で例えば50
0(℃) 程度の最高焼成温度MTまで昇温させられる。図
10、図11のt3 時点はこの状態を示す。
【0045】続く加熱ゾーン128においては、基板6
2が最高焼成温度MTに保持された状態で第1搬送装置
118によって予熱ゾーン126から連続して搬送され
る。但し、加熱ゾーン128内での搬送速度は、当初は
予熱ゾーン126と同様に第1の搬送速度とされるが、
基板62が駆動区分129bに完全に入ると、モータ1
50が駆動されることによって第2の搬送速度に高めら
れる。このとき、加熱ゾーン128と徐冷ゾーン130
との間に設けられているシャッタ装置S1 が開けられる
(シャッタ194が図7等に示される退避位置Aに位置
させられる)と共に、加熱室R1 内のローラ166を駆
動する第2搬送装置120aが所定の第2の搬送速度
(すなわち駆動区分129bと同様な搬送速度)で駆動
される。そのため、基板62は加熱ゾーン128から徐
冷ゾーン130の加熱室R1 すなわち第1の均熱温度K
1 に保持されている加熱室R1 内に速やかに搬送され
る。t4 時点はこの状態を示している。本実施例におい
ては、最高焼成温度MTに達してから加熱室R1 内に搬
入されるまでの加熱時間(所謂キープ時間)は例えば40
0 秒程度である。このようにして徐冷ゾーン130に搬
入された基板62は、各加熱室R内で予め設定されてい
る所定温度(すなわち第1乃至第6の均熱温度)KT
1 、KT2 、〜KT6 で所定時間保持されて均熱され、
続く加熱室Rに速やかに搬送される過程を繰り返しつ
つ、図11に示される階段状の降温カーブに従って徐冷
される。なお、第1の均熱温度KT1 は最高焼成温度M
Tよりも20〜30 (℃) 程度の所定値ΔKTだけ低い
温度であり、第2の均熱温度KT2 、第3の均熱温度K
3 、〜第6の均熱温度KT6 は、それぞれ更にその所
定値ΔKTずつ低くされた温度である。
【0046】このとき、基板62が加熱室R1 内に搬入
されると、開けられていたシャッタ装置S1 が閉じられ
ると共に、駆動区分131aの第2搬送装置120aの
モータ158aが反転駆動されて基板62が搬送方向に
沿って加熱室R1 内で往復移動させられつつ均熱され
る。このようにして、予め定められた例えば180 秒程度
の保持時間が経過すると、基板62の往復移動が停止さ
せられてシャッタ装置S 2 が開けられ、基板62が続く
加熱室R2 内に搬送される。図10のt5 時点はこの状
態を示している。基板62が加熱室R2 内に完全に入る
とシャッタ装置S 2 が閉じられ、その加熱室R2 内にお
いて加熱室R1 内と同様に均熱処理が施される一方、電
磁弁208aが開けられることにより、空室となった加
熱室R1 内に後方側からその設定温度KT1 よりも低い
温度の気体である冷却用空気が給気管180によって供
給され、前方側から排気管182によって排出される。
この給排気は、例えば数秒乃至十数秒程度の所定時間継
続される。これにより、基板62が搬出されて空になっ
た加熱室R1 内の温度が設定温度KT1 よりも低下する
傾向にされてヒータHの出力すなわち温度制御量が高め
られる。そして、一旦低下傾向とされた加熱室R1 内の
温度がフィードバック制御により良好な均熱状態を保ち
つつ、同様にして続く基板62が搬入されて再び所定の
設定温度KT1で均熱処理が施される。なお、基板62
の搬入出に要する時間すなわちシャッタ装置Sが開けら
れてから再び閉じられるまでの時間は例えば30秒程度で
ある。また、各加熱室R内における熱処理の1サイク
ル、すなわち順次基板62を搬入するために搬送方向後
方側のシャッタ装置Sが開けられる間隔は、予熱ゾーン
への基板62の搬入間隔に等しい300 秒程度である。
【0047】因に、図11に示される昇温カーブの例え
ば500(℃) 程度以上の最高焼成温度MTに続く所定の冷
却期間における冷却条件は、膜形成素材を含む基板62
の熱処理の上で重要な要素である。たとえば、VFD
(蛍光表示管)やPDP(プラズマ・ディスプレイ・パ
ネル)、PALC(プラズマ・アドレスド液晶表示装
置)、FED(フィールド・エミッション・ディスプレ
イ)に用いるとき、基板62がソーダライムガラスに代
表される低歪点のガラス製である場合には、基板62内
の温度が不均一となって各部の冷却速度が相互に相違す
ることに起因してその寸法の局所的変化を発生させるこ
とから、多層厚膜印刷の位置合わせを困難としたり、あ
るいはフロントプレートとリヤプレートとの厚膜印刷面
を組合わせることにより多数のセルを形成するPDPや
FEDに用いるときに両者のずれによってセルを構成で
きない部分を生じるので、たとえば40インチというよう
な大型となるほど製造歩留まりを加速度的に低下させ
る。図12は、搬送方向前端側の冷却速度が搬送方向後
端側の冷却速度よりも高い従来の焼成法における基板6
2の寸法(実線)を焼成前の寸法(一点鎖線)に比較し
て示している。また、基板62上に多数個の厚膜印刷抵
抗体や厚膜ボンディングパッドなどが設けられる場合に
は、基板62内の温度が不均一となって各部の冷却速度
が相互に相違することに起因して、機能を有する厚膜層
に結合材として含まれるガラス成分の溶融、軟化の程度
によって、また、厚膜に含まれる金属、無機材料粒子の
溶融、焼結の程度によって抵抗値やボンディング適性が
左右されることから、印刷抵抗体の抵抗値やボンディン
グ適性のばらつきによって基板62が大型となるほど製
造歩留まりを加速度的に低下させる。更に、厚膜印刷に
よる誘電体層の積層によって基板62に所定高さのリブ
壁を形成する場合でも、基板62内の温度が不均一とな
って各部の冷却速度が相互に相違することに起因して厚
膜に含まれるガラス成分の溶融、軟化の程度によって焼
成収縮率すなわち厚膜の膜厚や幅寸法が左右されること
から、基板62が大型となるほど製造歩留まりを加速度
的に低下させる。
【0048】制御装置168のうち、徐冷ゾーン130
の各加熱室R1 〜R6 の温度をそれぞれ所定の均熱温度
KT1 〜KT6 に制御する部分、すなわちヒータ駆動回
路D 3111〜D3646や電磁弁駆動回路SDa1〜SDa6など
は、温度検出器TC3111〜TC3633やヒータH3111〜H
3646、電磁弁208a〜208f、送気管185a〜1
85fに冷却空気を供給するエア供給装置等と共に温度
制御装置を構成している。また、前記第2搬送装置12
0a〜120fは、制御装置168のモータ駆動回路M
31〜MD36等を含んで構成されている。
【0049】上記のようにして、加熱室R1 、R2 、〜
6 内で順次保持されることにより徐冷ゾーンでの熱処
理が終了すると、シャッタ装置S7 が開けられると共
に、モータ158fとモータ164とが駆動されること
により、駆動区分131fおよび133aが同期して駆
動され、基板62が加熱室R6 から冷却ゾーン132に
搬出される。図10および図11のt14時点はこの状態
を示している。その後、第3搬送装置122のモータ1
64が停止させられて基板62が冷却ゾーン132内を
第1の搬送速度で搬送されてその右端部から搬出され、
その過程で図11に示されるように昇温速度と略同様な
降温速度で急速に冷却される。図10のt 15時点はこの
状態を示している。この冷却過程に要する時間は、例え
ば700 秒程度であり、基板62が予熱ゾーン126に搬
入されてから冷却が終了するまでの時間(t0 〜t15
は、例えば3500秒程度(1時間程度)である。なお、前
述のように、基板62は例えば300 秒程度の所定の時間
間隔で予熱ゾーン126に順次搬入されていることか
ら、図10から明らかなように、搬入時と等しい300 秒
程度の所定時間間隔で順次冷却ゾーン132から搬出さ
れていくこととなる。
【0050】このように、本実施例では徐冷ゾーン13
0がシャッタ装置S1 〜S7 により6つの加熱室R1
6 に区分され、基板62を最高焼成温度MTからガラ
ス転移点温度GTまで6段階で徐冷するようになってい
るため、各加熱室R1 〜R6毎に基板62の温度が略均
一に維持されつつ段階的に低下させられるようになり、
温度差に起因して歪などを生じさせることなく徐冷ゾー
ン130の長さ寸法を短くできる。
【0051】ここで、本実施例によれば、第2搬送装置
120によって搬送される基板62と干渉しない範囲で
シャッタ194を挟むように各加熱室Rの境界部分に一
対の耐熱ガラス製板から構成される下側断熱壁192が
設けられていることから、下側断熱壁192の耐熱ガラ
ス製板自身と耐熱ガラス製板相互間に形成される空気層
による断熱作用により、各加熱室Rが隣接する加熱室R
から受ける熱影響が可及的に低減させられる。これによ
り、基板62を間欠送りしてシャッタ194を閉じた
後、制御装置168により各加熱室R毎に所定の均熱温
度KTに速やかに制御できるようになり、基板62を間
欠送りするサイクルタイムを短くして全体の処理時間を
短縮できる。
【0052】また、徐冷ゾーン130において基板62
の温度を最高焼成温度MT(第1温度)からガラス転移
点温度GT(第2温度)まで徐々に低下させる本実施例
の連続型焼成装置116においては、各加熱室R毎に所
定の均熱温度KTに速やかに制御できることから、間欠
送りのサイクルタイムを長くすることなく加熱室R毎の
温度変化ΔKTをできるだけ大きくして加熱室Rの数を
少なくし、連続型焼成装置116の全長を更に短くする
ことが可能である。
【0053】また、本実施例によれば、図15に示され
るように、下側断熱壁192を構成する一対の耐熱ガラ
ス製板の内側の空間が貫通穴220を介して炉外に連通
していることから、一対の下側断熱壁192の間に比較
的低温の空気層が形成され、例えば図16の位置a〜b
間と位置c〜d間に示されるように、一対の下側断熱壁
192にはそれぞれ空気層側に傾斜した反対向きの温度
勾配が形成される。これにより、高温側の加熱室R1
ら低温側の加熱室R2 に対する直接的な伝熱が妨げら
れ、加熱室R2 が加熱室R1 から受ける熱影響が可及的
に低減させられるため、基板62を間欠送りしてシャッ
タ194を閉じた後、制御装置168により加熱室R2
を所定の均熱温度KT2 に一層速やかに制御できるよう
になる。徐冷ゾーン130の他の加熱室Rも同様であ
る。なお、図16で位置a〜b間と位置c〜d間で比較
的急な温度勾配を示すのは、それぞれ耐熱ガラス製板が
断熱作用を示すためで、位置b〜c間で比較的緩い温度
勾配を示すのは、断熱作用の小さな空気層が存在するた
めである。
【0054】また、このように下側断熱壁192が設け
られることにより、貫通穴220からの熱の逃げ出しが
抑制され、炉外の雰囲気温度が大幅に低減される。
【0055】ここで、上記基板62に熱電対を取り付
け、その基板62の温度を測定しながら徐冷ゾーン13
0を例えば300秒のサイクルタイムで各加熱室Rへ間
欠送りし、温度差ΔKT≒30℃で段階的に温度を低下
させたところ、図13に示すように、基板62は100
秒程度以下で所定の均熱温度KTまで低下させられる。
これに対し、図14は一対の下側断熱壁192が設けら
れていない場合(その分だけ大きなシャッタを使用)
で、徐冷ゾーン130を例えば450秒のサイクルタイ
ムで各加熱室Rへ間欠送りした場合であり、基板62が
均熱温度KTまで低下するのに300秒以上の時間が掛
かっている。この場合、300秒のサイクルタイムで間
欠送りするには、加熱室R毎の温度差ΔKTを小さくし
なければならず、その分だけ加熱室Rの数が多くなって
徐冷ゾーン130の全長が長くなる。なお、シャッタ1
94を開いて基板62を移動させた後、シャッタ194
を閉じるまでの時間は、何れの場合も約30秒である。
【0056】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施さ
れる。
【0057】例えば、前述の実施例においては、加熱室
Rからの基板62の搬出および搬入が時間差を設けて行
われていたが、同時に実施してもよい。例えば、基板6
2が加熱室Rの一室置きに収容されるように搬送する場
合には、各加熱室Rにおける搬出および搬入を同時に行
っても、同時に3つ以上の加熱室Rが連続させられるこ
とはないため、加熱室R内の温度や雰囲気は変化し難
く、実施例と同様に加熱室R内の高い均熱性が保たれ
る。このように同時に搬入出を実施する場合には、第2
搬送装置120は、第1搬送装置118や第3搬送装置
122と同様にラインシャフト138およびマイタギア
140で連結して1つのモータで駆動するようにしても
差し支えない。
【0058】また、実施例においては、加熱室R内での
均熱処理中に基板62が搬送方向に往復移動させられて
いたが、加熱室R内は十分に均熱性が高められているこ
とから、この往復移動は必ずしも実施されなくともよ
い。
【0059】また、実施例においては、第1搬送装置1
18および第3搬送装置122は、モータ134或いは
162の回転をラインシャフト138およびマイタギア
140で伝達すると共に、搬送速度を第2搬送装置12
0に一致させることが望まれる駆動区分129bおよび
133aにモータ150或いは164およびワンウェイ
カップリング148等を備えて、それら駆動区分129
bおよび133aの搬送速度が変化させられるように構
成されていたが、例えば、それら駆動区分129bおよ
び133aを第2搬送装置120と同様にそれぞれ回転
速度可変のモータを備えて独立に駆動してもよい。ま
た、第1搬送装置118および第3搬送装置122の各
駆動区分も全て独立に駆動するようにしても差し支えな
い。
【0060】また、前述の実施例では、基板62を構成
するガラス或いはその上に印刷された厚膜に含まれるガ
ラスの転移点或いは歪点を基板62内が均一な温度状態
を保ちつつ通過するように、また、基板62に含まれる
膜形成材料が金属或いは無機材料の溶融、焼結により固
着される場合には、その膜形成材料の溶融点或いは焼結
点を基板62内が均一な温度状態を保ちつつ通過するよ
うに、前記第1温度MT或いは第2温度GTは、上記基
板62に含まれるガラス素材の転移点或いは歪点の近傍
の値に設定され、或いは上記基板62上の膜形成材料に
含まれる金属或いは無機材料の溶融点或いは焼結点の近
傍の値に設定される。
【0061】また、実施例において、炉体124、シャ
ッタ装置Sがβ−スポジュメン質結晶化ガラスから構成
され、ローラ166はアルミナセラミックスから構成さ
れていたがこれらは他のセラミックスから構成されても
よい。例えば、炉体124等はアルミナセラミックスや
ムライト等から構成されてもよく、ローラ166はムラ
イトやスポジュメン等から構成されてもよい。また、実
施例の連続型焼成装置116のように、ローラ166を
用いたローラハースキルンにおいては、摺動部分を炉体
124内に設ける必要がないことから、各部の素材を耐
熱性の高い例えばSUS310等の金属から構成しても
よい。
【0062】また、実施例においては、ローラ166が
一様な中心間隔gで配置されていたが、例えば、加熱室
Rの境界部等においては、搬送性の妨げられない範囲で
広くされても差し支えない。
【0063】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の連続型焼成装置の全体構成
を説明する図である。
【図2】図1の実施例の炉体の長手方向に沿った断面を
一部省略して示す図である。
【図3】(a) 〜(e) は、図2におけるa−a乃至e−e
視断面にそれぞれ相当する図である。
【図4】図1の実施例の搬送装置を説明する図である。
【図5】図1の実施例の複数のヒータ配置を説明する図
である。
【図6】(a) 、(b) は図1の実施例の給気管および排気
管をそれぞれ示す図である。
【図7】図2の一部を拡大してシャッタ装置の構成を詳
細に説明する図である。
【図8】図3(d) の一部を拡大してシャッタ装置の駆動
構成を説明する図である。
【図9】図1の実施例の制御回路を説明するブロック線
図である。
【図10】図1の実施例の基板の搬送位置を示すタイム
チャートである。
【図11】図1の実施例の各ゾーンの設定温度すなわち
基板の焼成温度曲線を示す図である。
【図12】従来の焼成装置における基板の局所的な寸法
変形を説明する図である。
【図13】図1の実施例の徐冷ゾーンを300秒のサイ
クルタイムで基板を間欠送りした場合の基板の温度変化
を測定した結果を示す図である。
【図14】下側断熱壁を備えていない従来の徐冷ゾーン
を450秒のサイクルタイムで基板を間欠送りした場合
の基板の温度変化を測定した結果を示す図である。
【図15】図1の実施例のシャッタ装置の構成を説明す
る模式図である。
【図16】図15においてシャッタ近傍の温度変化をx
軸方向について示す図である。
【符号の説明】
62:基板(ワーク) 116:連続型焼成装置(熱処理装置) 120a〜120f:第2搬送装置(搬送装置) 124:炉体(炉壁) 166:ローラ 168:制御装置(温度制御装置) 192:下側断熱壁 194:シャッタ 220:貫通穴(連通穴) S1 〜S7 :シャッタ装置 R1 〜R6 :複数の加熱室(加熱区分)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤堀 哲雄 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 稲葉 善幸 福岡県朝倉郡夜須町大字三並字八ツ並2160 番地九州ノリタケ株式会社内 (72)発明者 中川 正弘 福岡県朝倉郡夜須町大字三並字八ツ並2160 番地九州ノリタケ株式会社内 (72)発明者 伊藤 淳 福岡県朝倉郡夜須町大字三並字八ツ並2160 番地九州ノリタケ株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のワークを一方向へ搬送する過程で
    該ワークの温度を略均一に維持しながら変化させるトン
    ネル状の熱処理装置であって、 前記一方向に並んで設定された複数の加熱区分毎に加熱
    温度を独立に制御し、該複数の加熱区分へ順次送られる
    前記ワークの温度を異なる温度に変化させる温度制御装
    置と、 前記ワークを前記複数の加熱区分へ順次間欠送りする搬
    送装置と、 前記一方向において前記複数の加熱区分の境界部分に配
    設され、往復移動させられることにより該複数の加熱区
    分を相互に遮蔽する遮蔽位置と、前記搬送装置によって
    搬送される前記ワークとの干渉を避ける退避位置とに位
    置決めされる平板状のシャッタを備えているシャッタ装
    置と、 前記搬送装置によって搬送される前記ワークと干渉しな
    い範囲で、前記シャッタを挟むように前記複数の加熱区
    分の境界部分に位置固定に設けられた一対の断熱壁とを
    有することを特徴とする熱処理装置。
  2. 【請求項2】 略水平な一平面内に互いに平行に配設さ
    れてそれぞれ軸心まわりに回転駆動される多数のローラ
    上に平板状のワークを略水平な姿勢で載置して一方向へ
    搬送するとともに、該ワークの温度を略均一に維持しな
    がら前記搬送過程で予め定められた第1温度から第2温
    度まで徐々に変化させるトンネル状の熱処理装置であっ
    て、 前記一方向に並んで設定された複数の加熱区分毎に加熱
    温度を独立に制御し、該複数の加熱区分へ順次送られる
    前記ワークの温度を前記第1温度から第2温度まで徐々
    に変化させる温度制御装置と、 前記多数のローラを間欠回転させて前記ワークを前記複
    数の加熱区分へ順次間欠送りする搬送装置と、 前記一方向において前記複数の加熱区分の境界部分であ
    って前記多数のローラの間の位置に配設され、上下方向
    へ往復移動させられることにより該複数の加熱区分を相
    互に遮蔽する遮蔽位置と、前記搬送装置によって搬送さ
    れる前記ワークとの干渉を避ける退避位置とに位置決め
    される平板状のシャッタを備えているシャッタ装置と、 前記搬送装置によって搬送される前記ワークと干渉しな
    い範囲で、前記シャッタを挟むように前記複数の加熱区
    分の境界部分に位置固定に設けられた一対の断熱壁とを
    有することを特徴とする熱処理装置。
  3. 【請求項3】 所定のワークを一方向へ搬送する過程で
    該ワークの温度を略均一に維持しながら低下させるトン
    ネル状の熱処理装置であって、 前記シャッタを挟むように設けられた一対の断熱壁の間
    の空間は、前記熱処理装置の炉壁に設けられた連通穴を
    介して炉外に連通していることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の熱処理装置。
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