JPH11141350A - エンジン発生音の制御装置 - Google Patents

エンジン発生音の制御装置

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JPH11141350A
JPH11141350A JP9316097A JP31609797A JPH11141350A JP H11141350 A JPH11141350 A JP H11141350A JP 9316097 A JP9316097 A JP 9316097A JP 31609797 A JP31609797 A JP 31609797A JP H11141350 A JPH11141350 A JP H11141350A
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義彦 小澤
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栄一 浜田
Koji Shimoji
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Abstract

(57)【要約】 【課題】滑らかでこもり音のない車室内空間を実現する
こと。 【解決手段】車室内こもり音がエンジン音と車室内構造
とに起因する共振現象であることに着目し、エンジン音
をその爆発周期の1/2、即ち、180度だけ遅延させ
て車室内あるいは車室構造体上で合成する。これによ
り、エンジンの爆発周波数に起因する低周波基本周波数
を2倍にすることができ、車室の持つ共振周波数からず
らせるようにした。その結果、共振現象が回避でき、、
従来技術では得られなかった滑らかでこもり音のない車
室内空間を、また高速走行時にはより快適なスポ−ツ感
覚を得られる車室空間を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等のエンジ
ンの回転に伴って発生するエンジン発生音(以下、この
音を、「エンジン音」という)に、電気的な遅延装置等
を用いて位相差を与えた擬似音を生成し、その擬似音を
エンジン音と干渉させることによって、エンジン音を制
御する装置に関する。特に、エンジンから車室内に伝播
したエンジン音の音色を変えることにより、車室内の音
の周波数成分を車室構造のもつ固有な共振周波数からず
らせ、車室構造との共振を回避し、不快なこもり音を除
去するようにしたエンジン音の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、稼働中のエンジンから発せられる
エンジン音を検出し、そのエンジン音に対して電気的に
位相のずれを与えた信号を生成し、その位相ずれを伴っ
た信号を拡声器等を通して音波として放射し、稼動中の
エンジンの音と干渉させることにより、結果としてエン
ジン音を低減させる方法及び装置が知られている。例え
ば特開平3−281976号公報に開示されたものがあ
る。概略を説明すると、エンジンの稼動中にエンジンを
通る空気、すなわち空気を取り入れる吸気系あるいは燃
焼後の空気を排出する排気系にマイクロフォン等の騒音
センサを配置し、エンジンから発せられる騒音を電気信
号として検出する。検出された電気信号は、エンジン音
を低減させる場合、フィルタで高調波成分が取り除かれ
た後、反転増幅器で増幅される。すなわち位相が180
度ずらされる。その増幅された電気信号は、あらかじめ
算出されたエンジン回転数に対応する位相差を微調整さ
れ、吸気系あるいは排気系に設けられた拡声器から音波
として放射される。放射された音波は、吸気系あるいは
排気系内でエンジンから発せられる音波と干渉せられ
る。両音波は、位相がほぼ180度ずれているので、弱
め合う結果となり、エンジン音は低減させられることに
なる。
【0003】また、スポ−ティ感覚を出す場合は、同様
にエンジンから発せられた騒音はマイクロフォン等の騒
音センサで検出されたのち、フィルタによって高調波成
分が取り除かれ、さらにプログラムされたフィルタによ
って、選択的に人間が心地よく感ずる特定周波数成分が
取り除かれるのである。一方、不快と感ずる他の周波数
成分はそのまま通過させられ、同様に反転増幅器によっ
て位相反転せられ、遅延回路に送られる。遅延回路で
は、上記同様エンジン回転数によってあらかじめ算出せ
られた位相遅れが微調整せられる。このような作業が加
えられた信号は、前述と同様最終段の増幅器によって増
幅され、拡声器を通し音波として放射され、吸気系内あ
るいは排気系内でエンジンから直接発せられる騒音と干
渉させられる。
【0004】エンジン音には、人が不快と感ずる周波数
帯と逆に快適と感ずる周波数帯とが存在する。このうち
不快と感ずる周波数帯は、180度位相がずらされ拡声
器から放射された音波と打ち消し合わされるため、低減
せられる。ところが、拡声器から放射された音波には、
あらかじめ選択的に好感度成分が取り除かれている。従
って、エンジンから直接発せられた好感度音とは、打ち
消し合わされることはない。その結果、相対的に好感度
周波数帯は強調され、快適なスポ−ツ感覚を走行中に得
る事ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来例では、エンジン音をエンジン吸気系内の空気振動
で代表し、かつ制御対象をその吸気系内の騒音としてい
る。そして、吸気系内の騒音が低減されれば、車室内騒
音も低減されるものとしている。また、干渉現象の教え
る所やエネルギ−保存則の教えるところによれば、制御
対象の騒音が減少すれば、制御対象以外の周辺個所で
は、逆に騒音強度が増加するのである。従って、制御対
象外である車室内がエンジン吸気系内と同様騒音が低減
されるという保証はない。
【0006】また、実際にはエンジン音は、吸気系内の
騒音だけでなく、エンジンの回転やシリンダ内における
爆発に伴う機械的振動に起因する騒音、あるいはエンジ
ン側面から放射され室内にとどく透過音などもあり、こ
れらの騒音は制御されていない。従って、従来例では車
室内の騒音を著しく低減させることはできない。
【0007】また、運転者が不快と感ずる音には、車体
あるいは車室の共振音、所謂こもり音と言われる特有の
周波数があり、エンジンから伝播される振動あるいは騒
音にわずかでもこの周波数成分が含まれると車室構造体
と共振を起こし、車室の側壁あるいは床あるいは天井か
ら放射されるのである。そして、この共振音を取り除く
には、車体あるいは車室の構造体を補強変更しその固有
振動数をずらせるか、あるいはエンジン音の中に含まれ
る共振周波数をずらせるか、もしくは完全に消滅させる
しかない。
【0008】従来技術では、不快と感ずる周波数帯を位
相反転し、その結果低減させている。しかしながら、完
全に消滅させることはできないため、わずかながらこの
周波数帯が残存し、その結果、車室構造体と共振を起こ
すことになる。従って、従来技術では、車室構造体との
共振に起因する所謂こもり音を除去することはできなか
った。
【0009】また、従来技術では、好感度音を強調する
ために、あらかじめプログラム可能なフィルタ等で好感
度周波数を取り除き且つ位相を180度ずらせた騒音
と、エンジンから直接発せられる騒音を干渉させ、不快
と感ずる周波数帯のみを低減させる事により、相対的に
好感度音を強調するとしているが、実質的には、むしろ
不快な周波数が低減されたものであり、好感度音の増強
やエンジン回転数の上昇に伴うエジン音色の変化を必要
とするスポ−ツ感覚を必ずしも満足させるものではなか
った。
【0010】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、車室内こもり音がエンジン音と
車室内構造とに起因する共振現象であることに着目し、
その共振現象を抑制する事により、従来技術では得られ
なかった滑らかでこもり音のない車室内空間を、また高
速走行時にはより快適なスポ−ツ感覚を得られる車室空
間を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1記載のエンジン発生音の制御装置は、エン
ジンの爆発周期を検出する爆発周期検出手段と、エンジ
ン音の擬似音を発生させる擬似音発生手段とを備えたエ
ンジン発生音の制御装置において、爆発周期検出手段に
より検出されたエンジンの爆発周期間において、擬似音
発生手段による擬似音を挿入する擬似音挿入手段とを備
えたことを特徴とする。
【0012】また、請求項2のエンジン発生音の制御装
置は、エンジン稼動中にエンジンから発せられるエンジ
ン発生音にエンジン回転数に基づき所定の位相差を与え
た擬似音を発生し、その擬似音とエンジン発生音とを干
渉させるエンジン発生音の制御装置において、エンジン
から発せられる機械的振動あるいは空中に伝播された空
気振動からエンジン発生音を検出するエンジン発生音検
出手段と、エンジンを構成する複数のシリンダ内におけ
る爆発を検出する爆発タイミング検出手段と、爆発タイ
ミングをもとに爆発周期を算出し、エンジン発生音検出
手段によって得られた信号に対し、nを整数とし、2π
/(n+1)(1爆発周期を2πとして)の位相差を順
次n回与え、1爆発周期の間にn個のエンジン音信号を
挿入するエンジン音信号挿入手段とを備えたことを特徴
とする。
【0013】
【発明の作用】請求項1の発明においては、エンジンの
爆発周期間の任意の位置に任意数の検出されたエンジン
発生音から生成された擬似音を挿入するようにしてい
る。この結果、合成された音の周波数成分は高域成分が
多くなり、低域成分が少なくなるために、うなり音の成
分を減少させることができる。また、基本波成分の振幅
が小さくなるか、高域に変位するために、エンジン発生
音を環境の共振周波数からずらせることができ、共振に
基づくうなり音を低減することができる。即ち、音のピ
ッチを任意に変更できるため、環境における音色を任意
に変化させることができる。
【0014】請求項2の発明では、エンジンの爆発周期
において、擬似音が略等位相間隔で挿入されていること
を特徴とする。エンジン発生音検出手段は、エンジンか
ら発せられる機械的振動あるいは空中に伝播された空気
振動からエンジン発生音を検出して電気信号に変換する
働きをし、この信号をエンジン音信号挿入手段に送出す
る。また、爆発タイミング検出手段は、エンジンを構成
する複数のシリンダ内における点火時期若しくは爆発時
期を検出し、同様にエンジン音信号挿入手段に送出す
る。エンジン音信号挿入手段は、送られてきた爆発タイ
ミング信号をもとに爆発周期を算出し、エンジン発生音
検出手段によって得られた信号に対し、nを整数として
2π/(n+1)(1爆発周期が2π)の位相差を順次
n回与え、さらに位相の微調整および振幅の微調整を施
し、1爆発周期の間にn個のエンジン音信号を挿入す
る。具体的には、n=1、2、3などであるが、n値が
増えると音量が大きくなるという問題もあり、現実問題
としては、n=1すなわち、爆発周期に対して180度
の位相差を1回与えるのが最も望ましい。
【0015】通常、エンジン音信号挿入手段により生成
された信号を増幅し、その信号に基づき車室内等の環境
に設けられたスピーカ等の拡声手段から音波として出力
される。放射された音波は、車室内でエンジンから直接
伝搬された騒音や車室構造体から放射される騒音と合成
される。合成された車室内エンジン音のスペクトルは、
爆発周波数のn+1倍を基本周波数とする基本波とその
高調波とから成る線スペクトルとなる。よって、本発明
による合成を行なわない場合に比べて、基本波の周波数
がn+1倍となる共にスペクトル間隔もn+1倍となる
結果、爆発周波数の低周波成分が除去されることにな
る。このため、車室内エンジン音の基本波の周波数が、
車室構造体が固有に持つ人が不快と感ずる共振周波数か
らずれているので、その結果車室内共振が回避され、不
快音周波数帯である所謂こもり音をなくすことができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本実施形態の1例を
示す構成図であり、本発明によるエンジン発生音の制御
装置は、エンジン2、エンジン支持部3、この支持部3
にとりつけられたエンジン発生音検出手段である振動セ
ンサ4、エンジン音信号挿入手段5、エンジン爆発タイ
ミングセンサ6、増幅器7、車室9に取り付けられた拡
声器8から構成されている。
【0017】エンジン音の流れおよび信号処理の流れに
従って、本装置の作用を順に説明する。ここでは、稼動
中のエンジン2から出される機械的振動、エンジン壁か
ら放射される空気振動など、エンジン2の稼動に起因す
る全ての振動を総体的に以下、エンジン音と言う。稼動
中のエンジン(例えば回転数1800rpm)から発せ
られたエンジン音は、直接あるいは間接的に車室内に伝
播される。直接には、エンジン壁から放射された音波が
車室の床あるいは前後の壁を透過し、車室9の内部に伝
播される音波であり、間接には機械的振動として車体構
造を伝わり、その後床、天井あるいは車室壁からなる車
室構造体から放射される音波である。
【0018】ところで、このエンジンの気筒数を6、回
転数を1800rpmとした場合、2回転で6回爆発す
ることから、爆発周波数は90Hzとなり、その爆発周
期Tは約11msecとなる。よって、エンジン音のス
ペクトルは、90Hzの基本波とその高調波から成る線
スペクトルとなる。各気筒の点火プラグに点火され爆発
開始から爆発終了までの時間はおおよそ数msecであ
るので、車室内で観測されるエンジン音は、その高調波
も含めて図3(a)のようになる。図3(a)に示すよ
うにエンジン音は、エンジン構造に起因する高周波成分
の他に、包絡線が示すエンジン回転数に起因する低周波
基本成分とがあり、エンジン回転数によっては、この低
周波基本成分が車室構造と共振を起こしたりあるいはそ
の整数分の1である分数調波共振を起したりする事があ
る。これが所謂こもり音で、人が不快と感ずる周波数帯
に属する。
【0019】本発明では、上記エンジン音の低周波基本
成分の周波数を高域側に推移させると共にスペクトル間
隔を拡大させることで、車室構造が固有に持つ共振周波
数あるいは分数調波共振周波数での共振を避け、人が不
快と感ずる所謂こもり音を解消するものである。具体的
には、本発明では、上記エンジン音を検出するため、エ
ンジン発生音検出手段4として、音圧と対応のよい例え
ば機械的振動振幅を電気信号(電圧)に直接変換する圧
電素子あるいはコイルにより磁束の変化を捉える電磁型
振動センサが採用され、車室9に近いエンジン支持部3
に取り付けられている。これは、エンジン支持部3を伝
播し車室9内に放射される騒音波形を忠実に検出するた
め、車室9から離れた個所ではなく、出来るだけ近い個
所が選ばれて取り付けられる。
【0020】稼動中のエンジン2から発せられた機械的
振動を含むエンジン音は、主にエンジン支持部3を伝播
しエンジン発生音検出手段4にて電気信号に変換され
る。変換されたエンジン音信号は、上述の逓倍波の基本
信号とするため、エンジン音信号挿入手段5に送られ
る。一方、エンジン2には、エンジンの爆発時期を検知
するためエンジン爆発タイミングセンサ6が取り付けら
れている。このセンサ6は、各々の気筒内における点火
信号を検出するためのものであり、図示しないエンジン
コントロ−ラ−からそれぞれの気筒に与えられる点火信
号を集め、時系列で図3(b)に示す如く、所定のパル
ス電圧に変換し、エンジン音信号挿入手段5に送る。
【0021】このように、エンジン発生音検出手段4に
よって得られた信号V1およびエンジン爆発タイミング
センサ6によって得られた信号V2は、エンジン音信号
挿入手段5にそれぞれ送られる。エンジン音信号挿入手
段5は、エンジン音信号V1に所定の位相差を与え、さ
らに所定の回数だけ挿入する機能を持ち、遅延回路5
1、周波数−位相補正回路52、周波数−振幅補正回路
53で構成される。
【0022】遅延回路51は、図示しないCPU(中央
演算ユニット)、ROM(リードオンリ−メモリ)、R
AM(ランダムアクセスメモリ)、I/Oポ−ト、A/
D変換回路、D/A変換回路、カウンタ回路を備え、R
OMにはあらかじめエンジン音信号V1を所定の位相
(爆発周期を360度として、360度/n+1)だけ
遅らせ、所定の回数(n)だけ挿入するようプログラム
が記憶されている。
【0023】まず遅延回路51は、エンジン爆発タイミ
ングセンサ6から送られてきたパルス状信号V2から1
周期をカウンタ回路で測定し、プログラムで定められた
所定の位相差すなわち遅延時間を算出する。例えば、n
=1すなわち180度の位相差を与え1回挿入する場
合、上記エンジン音信号のうち問題となる低周波成分
(図3の包絡線で示された成分)は90Hzであるの
で、遅延時間は1周期の1/2、すなわち約5.5ms
ecとなる。また、遅延回路51は同時にエンジン音信
号V1をA/D変換回路で、例えば20kHzの高速サ
ンプリングをし、デジタル値としてメモリに記憶する。
その後、算出された遅延時間(5.5msec)を待っ
て、前回サンプリングされたエンジン音信号を逆にD/
A変換回路によってアナログ値に変換し、図3の(c)
に示す変換信号V4として周波数−位相補正回路52に
送る。
【0024】ところで、電気信号は、増幅器7、拡声器
8等を通過すると周波数によって位相が遅れることが知
られている。さらに、音波や振動に関しても同様で、様
々な周波数の音波や振動に対して、振動伝達系や車室音
響特性によって、様々な振動振幅の減衰および位相ずれ
が発生することが知られている。しかしながら、それら
の複雑系をいちいち計算によって求めるのは得策ではな
い。そこで、周波数−位相補正回路52は、例えばCP
Uによって制御される図示しないオペアンプなどからな
り、得られた変換信号V4にあらかじめ計測して得られ
た周波数−位相補正値を与え、信号伝達系、振動伝達
系、および車室音響特性による位相ずれを総括して補正
し、次の周波数−振幅補正回路53に送出する。
【0025】同様に、周波数−振幅補正回路53では、
上述した振幅減衰率の周波数依存性に対処するため、周
波数−位相補正回路52から送られてきた信号V5に対
して、あらかじめ計測さた周波数−振幅補正値を、同じ
くCPUに制御された図示しないオペアンプ等で与える
ことによって、信号伝達系、振動伝達系、および車室音
響特性による振幅減衰を総括して補正し、次の増幅手段
へ送出する。
【0026】このような処理を施す事によって、エンジ
ン音挿入手段5は、正確に疑似エンジン音を実際のエン
ジン音とエンジン音の間に挿入する事ができる。エンジ
ン音挿入手段5によって、送出された信号V6は、次に
増幅手段7によって増幅される。増幅手段7は、出力1
W以上の電力増幅器であり、例えば車載オ−ディオ用電
力増幅器がそのまま使用され、周波数−振幅補正回路5
3から送られてきた信号V6を最終段である拡声器8に
送出する。拡声器8は、電磁誘導で電気信号を機械振動
ひいては空気振動に変換するよく知られたスピ−カであ
り、上述のように制御するエンジン音は90Hz付近の
低周波であるため、その周波数特性は低周波域まで平坦
であるものが選ばれてある。そして、この拡声器8は、
車室壁に取り付けられ、車室9内にエンジン音を放射す
るとともに、車室9自体にもエンジン音を与える。
【0027】このような処理が行われ、拡声器8から放
射された疑似エンジン音は、エンジンから伝播され車室
構造体から放射される本来のエンジン音とは、位相は1
80度異なるものの、振幅強度がほぼ同等な音波となっ
ている。その結果、車室9内では、図4に示すように、
エンジンから直接的にあるいは間接的に伝播して車室9
内に放射されたエンジン音と、上述の処理過程をへて、
拡声器8から放射される疑似エンジン音が合成されるこ
とになる。つまり、図3の(a)で示されるエンジン音
と図3の(b)で示される疑似エンジン音が合成され、
図4に示す波形となる。この事は、また車室9の振動に
関しても同様の議論が成立する。つまり、エンジン2か
ら直接的にあるいは間接的に伝播して車室9に与えられ
た振動と、上述の処理過程をへて、拡声器8から車室9
に伝播した振動は、同様に合成されることになる。つま
り図3、図4で示される座標の縦軸を振動振幅に置き換
えれば、図3の(a)で示される振動と図3の(b)で
示される振動が車室構造体上で合成され、図4のように
なる。
【0028】このようなエンジン音が車室9内および車
室構造体上で合成されると、合成されたエンジン音は、
爆発周波数の2倍の周波数を基本波とすることから、車
室構造体との、共振条件から外れることになる。すなわ
ち、エンジン音の爆発周波数の低周波基本波と車室構造
体の共振に起因して生じていた、所謂こもり音はいちじ
るしく低減される。また、エンジン音の基本波の周波数
が2倍になるので、そのスペクトル間隔も2倍になり、
音響的には、気筒数が同じならエンジン回転数を2倍に
した場合や、エンジンの回転数が同じなら気筒数を2倍
にした場合と等価となる。これにより、こもり音が低減
されると共に、より滑らかなエンジン音色が得られる。
【0029】以上、上述した実施形態は車室内エンジン
音色制御装置を実現した1実施例であり、本発明の趣旨
を逸脱しない限り、様々な変形を行うことができる。例
えば本発明では、エンジン発生音検出手段として、振動
振幅を忠実に電圧に変換する圧電素子あるいは電磁型振
動センサをもちいたが、振動振幅を忠実に変換する素子
であれば、その種類は問わないのである。例えば、振動
に伴う歪みを電圧に変換する歪みゲ−ジ、またはシリコ
ンマシニングによってつくられたダイヤフラムのたわみ
を検出する加速度センサなどでも良い。
【0030】また本発明では、爆発タイミングセンサと
して、図示しないエンジンコントロ−ラからの電気信号
を検出し、所定のパルス信号に変換する、論理素子を用
いたが、タイミングを検出できれば、その方法は問わな
い。例えば、エンジンの回転軸に埋め込まれた磁気をコ
イルを用いて検出する電磁式ピックアップであってもよ
いし、またエンコ−ダ−等を利用した光学式ピックアッ
プであってもよい。
【0031】また、本発明の実施例では、180度位相
をずらせ1爆発周期の間に1個のエンジン音信号を挿入
したが、120度の位相差を与え、2回挿入してもよ
い。その時、1回目の遅延時間は1周期の1/3、すな
わち6気筒エンジン、1800rpmでは約3.7ms
ec、2回目の遅延時間は約7.3msecとなる。そ
の遅延時刻で、順次前回記憶されたエンジン音波形をD
/A変換装置から送出することで、爆発周期の3倍の周
波数を基本波とし、その基本波とその高調波とから成る
エンジン音を車室9内に発生させても良い。この場合
も、基本波の周波数が爆発周波数の3倍となる結果、う
なり音を除去することが可能となる。また、任意の位相
で任数だけ検出した信号を挿入しても良い。
【0032】また、本発明の実施例において、信号音挿
入手段は波形をサンプリングして記憶し、所定の遅延時
間後に出力してDA変換しているが、遅延時間可変のア
ナログ遅延回路でエンジン音に起因する波形を遅延させ
ても良い。
【0033】また、本発明の実施例において、擬似エン
ジン音の位相補正および振幅補正は、周波数−位相補正
回路52および周波数−振幅補正回路53などCPUで
制御されたアナログ回路で行われている。これを、記憶
されたエンジン音の1周期の波形のスペクトルをFFT
により求め、周波数−位相補正回路52および周波数−
振幅補正回路53に記憶された特性である系の伝達関数
の逆数をこのスペクトルに掛けて、フーリエ逆変換を行
い時間軸上の波形を生成して、所定の遅延時刻で出力す
るようにしても良い。
【0034】さらに、図5に示すように、エンジン音信
号挿入手段10を構成することもできる。ここでは、周
波数−位相補正回路52の代わりに、周波数−位相補正
記憶手段101を、また周波数−振幅補正回路53の代
わりに、周波数−振幅補正記憶手段102を設けてい
る。遅延回路51は、上述したエンジン爆発周期/(1
+n)の遅延を行う他、トランスバーサルフィルタとし
ても機能する。即ち、入力されたアロログのエンジン音
信号を時間軸上で系の伝達関数の逆数による補正を行う
ものである。トランスバーサルフィルタでは、微小時間
Δに対して、mΔ(mは自然数)遅延された多数の遅延
波を合成することで、周波数特性の補正された波形を得
ることができる。この時、周波数−位相補正記憶手段1
01は、各遅延波の位相を記憶しており、周波数−振幅
補正記憶手段102は各遅延波の振幅を記憶している。
これらの位相と振幅とから各遅延波を生成して、それら
を合成することで、周波数特性の補正された信号を得る
ことができる。また、このトランスバーサルフィルタに
よる処理はディジタルのエンジン音信号をディジタル処
理するものであっても良い。
【0035】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明のエンジン発生音の制御装置はによれば、エンジン
音とエンジン音の間の任意位相位置で任数の擬似エンジ
ン音を挿入し、又は、略等位相間隔で単数あるいは複数
(n)の疑似エンジン音を挿入するようにしたものであ
る。この結果、低周波成分を低減させることができ、う
なり音を防止することができる。特に、等位相間隔で擬
似エンジン音を挿入した場合には、車室内および車室構
造体等の環境に対して、エンジンの爆発周波数のn+1
倍の周波数を基本波とし、その基本波とその高調波とか
ら成るエンジン音を発生させることができる。従って、
エンジン音のスペクトルがn+1倍に高域側に推移する
結果、エンジン音の爆発周波数の低周波基本成分と車室
および車室構造体との共振が回避され、共振現象に起因
するこもり音を著しく低減させることができる。また、
単数あるいは複数の疑似エンジン音を挿入することによ
り、音響上スペクトル間隔がn+1倍となり、アイドリ
ング時又は低速走行時ではエンジンの回数数がn+1倍
に増加したのと等価となりこもり音の防止及び滑らかな
エンジン音が得られる。また、気筒数の少ない小型車の
場合には、気筒数をn+1倍にしたのと等価となり、同
様に、こもり音の防止及び滑らかなエンジン音が得られ
る。このように、本発明によれば、快適な車室内空間を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例の装置を示す構成
図。
【図2】エンジン音挿入手段の構成を示すブロック図。
【図3】エンジン音信号、エンジン爆発タイミング信
号、エンジン音挿入手段によって得られた信号波形を示
す波形図。
【図4】本来のエンジン音に疑似エンジン音が挿入され
た合成音を示す波形図。
【図5】エンジン音信号挿入手段の変形例を示す構成
図。
【符号の説明】
2 エンジン 3 エンジン支持部 4 エンジン発生音検出手段 5 エンジン音挿入手段 7 増幅器 8 拡声器 9 車室 51 遅延回路 52 周波数−位相補正回路 53 周波数−振幅補正回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 博之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 浜田 栄一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 下地 浩二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの爆発周期を検出する爆発周期検
    出手段と、エンジン音の擬似音を発生させる擬似音発生
    手段とを備えたエンジン発生音の制御装置において、 前記爆発周期検出手段により検出されたエンジンの爆発
    周期間において、前記擬似音発生手段による擬似音を挿
    入する擬似音挿入手段とを備えたことを特徴とするエン
    ジン発生音の制御装置。
  2. 【請求項2】エンジン稼動中にエンジンから発せられる
    エンジン発生音にエンジン回転数に基づき所定の位相差
    を与えた擬似音を発生し、その擬似音と前記エンジン発
    生音とを干渉させるエンジン発生音の制御装置におい
    て、 前記エンジンから発せられる機械的振動あるいは空中に
    伝播された空気振動から前記エンジン発生音を検出する
    エンジン発生音検出手段と、 前記エンジンを構成する複数のシリンダ内における爆発
    を検出する爆発タイミング検出手段と、 該爆発タイミングをもとに爆発周期を算出し、前記エン
    ジン発生音検出手段によって得られた信号に対し、nを
    整数とし、2π/(n+1)の位相差を順次n回与え、
    1爆発周期の間にn個のエンジン音信号を挿入するエン
    ジン音信号挿入手段とを備えたことを特徴とするエンジ
    ン発生音の制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008068681A (ja) * 2006-09-12 2008-03-27 Yamaha Corp エンジン音加工装置
US8130974B2 (en) 2006-03-23 2012-03-06 Honda Motor Co., Ltd. Vehicular active sound control system
US8259958B2 (en) 2005-11-01 2012-09-04 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Engine sound control apparatus and control method

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