JPH11141094A - 建築用ボードの目地化粧構造 - Google Patents

建築用ボードの目地化粧構造

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JPH11141094A
JPH11141094A JP7642298A JP7642298A JPH11141094A JP H11141094 A JPH11141094 A JP H11141094A JP 7642298 A JP7642298 A JP 7642298A JP 7642298 A JP7642298 A JP 7642298A JP H11141094 A JPH11141094 A JP H11141094A
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boards
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building
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JP7642298A
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Tokuji Naganuma
徳司 長沼
Tadashi Fujimoto
正 藤本
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 建築用ボード(4)の目地化粧構造を改良し
て、建築用ボード(4)の隣接側縁部の表面(16)間
に段差が存在していても、目地化粧部材(22)の両側
縁部を建築用ボード(4)の隣接側縁部の表面(16)
に充分に接着せしめることができるようなす。 【解決手段】 建築用ボード(4)の隣接側縁部の各々
に、表面(16)と側面(6)との境界角部を除去して
形成される形態の後退面(26)を配設する。後退面
(26)の幅は目地化粧部材(22)の幅の半分よりも
小さい。目地化粧部材(22)は後退面(26)を跨
ぎ、目地化粧部材(22)の両側縁部が建築用ボード
(4)の隣接側縁部の非後退表面(16)に接着され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下地材上に側面を
隣接せしめて並列に配置された一対の建築用ボードの目
地化粧構造に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物の内装或いは外装の伝統的様式に
おいては、下地材上に漆喰、ドロマイトプラスター、聚
落又はセメントの如き湿式仕上げ材を左官工事によって
塗布している。然るに、左官工事は熟練を要する職人工
事であり、比較的高価である。また、湿式仕上げ材は塗
布の後に比較的長時間の養生を必要とするため、左官工
事は工期が比較的長くなる。そこで、近時においては、
湿式仕上げ材の塗布に代えて、表面に化粧層を備えた建
築用ボードを下地材上に装着することが提案されてい
る。好都合に使用し得る建築用ボードとしては、本出願
人の出願にかかる平成7年特許願第178841号(出
願日:平成7年7月14日、発明の名称:建築用ボー
ド)或いは同様に本出願人の出願にかかる平成9年特許
願第45005号(出願日:平成9年2月28日、発明
の名称:建築用ボード及びその製造方法)に開示されて
いるものを挙げることができる。かような建築用ボード
は、矩形状の基層とこの基層の表面に施された化粧層と
から構成されている。基層は珪酸カルシウムボード又は
石膏ボードの如き通気性ボードから形成されているのが
好都合であり、化粧層は硬化性組成物の固化体から形成
されているのが好都合である。かような建築用ボードを
使用する場合には、化粧層を備えている故に、左官工事
によって湿式仕上げ材を表面に塗布する必要がなく、従
って施工費を低減し工期を短縮することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】而して、建築用ボード
を使用する場合、下地材上に側面を隣接せしめて並列に
配置した建築用ボードの境界即ち目地がそのまま露呈さ
れると、望ましくない外観を呈する。従って、目地を適
宜に化粧することが必要である。目地の領域のみに部分
的に左官工事を施こして目地を化粧することも意図され
得るが、かくする場合には左官工事に起因する上述した
問題が幾分か残留することになる。そこで、本発明者等
は、必要に応じて表面に適宜の化粧層を施した目地化粧
部材を、並列に配置された一対の建築用ボードの目地に
沿って且つ一対の建築用ボードの隣接側縁部の表面に跨
がって延在するように、一対の建築用ボードの隣接側縁
部に接着することを試みた。しかしながら、特に使用さ
れる目地化粧部材が比較的剛性である場合、並列に配置
されている一対の建築用ボードの隣接側縁部の表面間に
幾分かの段差(例えば0.1乃至2.0mm程度の段
差)が存在する状況においては、目地化粧部材の片側縁
部を一対の建築用ボードの一方(突出している方)の隣
接側縁部の表面に適切に接着せしめることはできるが、
段差に起因して目地化粧部材の他側縁部を一対の建築用
ボードの他方(引っ込んでいる方)の隣接側線部の表面
に所要とおりに接着せしめることができず、目地化粧部
材の接着が不安定になることが判明した。
【0004】本発明は上記事実に鑑みてなされたもので
あり、その主たる技術的課題は、下地材上に並列に配設
された一対の建築用ボードの隣接側縁部の表面間に幾分
かの段差が存在する状況においても、目地化粧部材の両
側縁部を一対の建築用ボードの隣接側縁部の表面に充分
良好に接着せしめることができる、新規且つ改良された
目地化粧構造を提供することである。
【0005】本発明の他の技術的課題は、上記主たる技
術的課題の達成に加えて、タッカーステープル釘の打ち
込みによって建築用ボードを下地材に固定する様式にお
ける釘留め強度を増大せしめることである。
【0006】本発明の更に他の技術的課題は、上記主た
る技術的課題の達成に加えて、タッカーステープル釘の
打ち込みによって建築用ボードを下地材に固定する様式
における作業を簡略化せしめることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
の結果、一対の建築用ボードの隣接側縁部の各々に、そ
の表面とその側面との境界角部を除去して形成される形
態で、目地化粧部材の幅の半分よりも小さい幅を有する
後退面を配設して、目地化粧部材は後退面の双方を跨
ぎ、目地化粧部材の両側縁部が一対の建築用ボードの隣
接側縁部における非後退表面に接着されるようになすこ
とによって、上記主たる技術的課題を達成することがで
きることを見出した。
【0008】即ち、本発明によれば、上記主たる技術的
課題を達成する目地化粧構造として、下地材上に側面を
隣接せしめて並列に配置された一対の建築用ボードの目
地に沿って且つ該一対の建築用ボードの隣接側縁部の表
面の双方に跨がって延在する目地化粧部材が施されてい
る目地化粧構造において、該一対の建築用ボードの該隣
接側縁部の各々には、該表面と該側面との境界角部を除
去して形成される形態の後退面が配設されており、該後
退面の各々の幅は該目地化粧部材の幅の半分よりも小さ
くて、該目地化粧部材は該後退面の双方を跨ぎ、該目地
化粧部材の両側縁部が該一対の建築用ボードの該隣接側
縁部における非後退表面に接着されている、ことを特徴
とする目地化粧構造が提供される。
【0009】本発明によって提供される上記目地化粧構
造においては、一対の建築用ボードの隣接側縁部の各々
に後退面が配設されている故に、一対の建築用ボードの
隣接側縁部の表面間の段差に応じて目地化粧部材が幅方
向に適宜に傾斜することが許容され、かくして一対の建
築用ボードの隣接側縁部の表面間に幾分かの段差が存在
していても、目地化粧部材の両側縁部が一対の建築用ボ
ードの隣接側縁部の非後退表面に充分に密着することが
でき、かくして上記主たる技術的課題が達成される。
【0010】加工の容易性等の見地から、該後退面は該
境界角部に面取り加工を施すことによって形成される平
坦な面取り面であるのが好適である。
【0011】該一対の建築用ボードの各々は、各々の隣
接側面間に、それに沿ってかつ相互に間隔をおいて複数
の釘部材を、該釘部材の各々の頭部が該後退面の各々の
表面に跨がるよう該下地材に打ち込むことによって、該
下地材に固定されている、ことが好ましい。この発明に
よれば、上記主たる技術的課題が達成されることに加え
て更に、次のような効果が得られる。すなわち、建築用
ボードの各々の隣接側面間に釘部材が、隣接側面間すな
わち目地に沿ってかつ相互に間隔をおいて複数個打ち込
まれるので、隣接側面自体が釘部材を打ち込むための位
置決め用ガイドラインとなり、建築用ボードの固定作業
が著しく容易となる。また釘部材の各々の頭部が後退面
の各々の表面に跨がるよう下地材に打ち込まれるので、
釘部材の使用数が通常の半分で済み、その分コストダウ
ンを図ることができると共に打ち込みに要する作業時間
も略半分に短縮される。なお本発明者の実験によれば、
上記固定方法による引張強度(建築用ボードを下地から
引き離す方向への引張強度)は、各側縁部に釘部材を打
ち込んで固定する従来の固定方法における強度に近い強
度が得られ、実用上は全く問題ないことも確認された。
【0012】上記他の技術的課題は、該一対の建築用ボ
ードの各々を、タッカーステープル釘の各々の双方の脚
部が該一対の建築用ボードの各々の該後退面から該一対
の建築用ボードの各々を通して該下地材に進入するよう
に、該後退面に対して実質上垂直に複数個のタッカース
テープル釘を打ち込むことによって、該下地材に固定す
ることによって達成される。後退面に対して実質上垂直
に、従って下地材に対して傾斜せしめてタッカーステー
プル釘を打ち込むと、下地材に対して実質上垂直にタッ
カーステープル釘を打ち込む場合よりも大きな釘留め強
度が得られる。
【0013】また、上記更に他の技術的課題は、該一対
の建築用ボードの各々を、タッカーステープル釘の各々
の一方の脚部が該一対の建築用ボードの一方の該後退面
から該一対の建築用ボードの該一方を通して該下地材に
進入し、タッカーステープル釘の各々の他方の脚部が該
一対の建築用ボードの他方の該後退面から該一対の建築
用ボードの該他方を通して該下地材に進入するように、
該下地材に対して実質上垂直に複数個のタッカーステー
プル釘を打ち込むことによって、該下地材に固定するこ
とによって達成される。かような構造においては、1個
のタッカーステープル釘が一対の建築用ボードの双方の
固定に利用され、従って必要釘打ち数を低減せしめて作
業を簡略化せしめることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の目地化粧構造の好
適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳
細に説明する。
【0015】図1及び図2は、本発明の目地化粧構造の
好適実施形態を備えた、建造物の内装の一部を図示して
いる。建造物の下地材2(図2)上には一対の建築用ボ
ード4が固定されている。下地材2は木材等の適宜の部
材によって形成されている。一対の建築用ボード4は夫
々の片側面6を隣接せしめて、好ましくは密接せしめ
て、並列に配置されている。
【0016】図2に明確に図示する如く、一対の建築用
ボード4の各々は、矩形状の基層8とこの基層8の表面
に施された化粧層10とから構成されている。図示の実
施形態における基層8は市販されている石膏ボードであ
り、主成分の半水石膏に少量の混和材料と水を混入して
形成された芯12と、この芯12の表裏両面及び両側面
を被覆している厚紙14とから構成されている(芯12
の上端面及び下端面は厚紙で被覆されることなく露呈せ
しめられている)。化粧層10は硬化性組成物の固化体
から形成されている。かような化粧層10は、硬化性組
成物と水との混練物を適宜の様式によって基層8の表面
に積層し、次いで養生し固化せしめることによって好都
合に形成することができる。建築用ボード4自体の構成
は本発明における目地化粧構造の新規な特徴を構成する
ものではなく、任意の建築用ボードを使用することがで
き、そしてまた好適に使用することができる建築用ボー
ド4自体については、上述した平成7年特許願第178
841号及び平成9年特許願第45005号に開示され
ており、それ故に建築用ボード4自体の詳細な説明は本
明細書においては省略する。
【0017】図1に図示する如く、並列に配置された一
対の建築用ボード4の表面16の下端縁部は幅木18に
よって覆われており、上端縁部は廻り縁20によって覆
われている。幅木18及び廻り縁20は通常の大工工事
によって所要部位に固定され得る。幅木18と廻り縁2
0との間においては、一対の建築用ボード4の目地に沿
って且つ一対の建築用ボード4の隣接側縁部の表面16
の双方に跨がって延在する目地化粧部材22が施されて
おり、これによって一対の建築用ボード4の目地が化粧
されている。目地化粧部材22については後に更に言及
する。
【0018】図1及び図2を参照して説明を続けると、
一対の建築用ボード4の隣接側縁部の各々には、表面1
6と側面6との境界角部24(図2に二点鎖線で図示し
ている)を除去して形成される形態(境界角部24に除
去加工を加えて形成される場合と、建築用ボード4の製
造自体において境界角部24が存在しないようせしめて
形成される場合との双方を含む)の後退面26が配設さ
れていることが重要である。図示の実施形態において
は、一対の建築用ボード4の境界角部24の各々に面取
り加工を施すことによって平坦な面取り面が形成されて
おり、かかる面取り面が後退面26を構成している。か
ような後退面26の各々の幅W2は、目地化粧部材22
の幅W1の半分よりも小さい(W2<0.5W1)であ
ることが重要であり、1.0乃至5.0mm、特に2.
0乃至3.0mmであるのが好適である。後退面26の
各々の高さ(最大後退量)Hは1.0乃至5.0mm、
特に2.0乃至3.0mmであるのが好適である。表面
16に対する後退面26の傾斜角度角度αは10乃至8
0度、特に20乃至50度程度でよい。
【0019】面取り加工は比較的容易である故に、面取
り加工によって形成される平坦な面取り面から後退面2
6を構成するのが好適であるが、面取り面に代えて他の
適宜の形態の平面或いは曲面から後退面26を構成する
こともできる。例えば、図3に示す如く横断面図におい
て円弧状である凹曲面、或いは図4に示す如く建築用ボ
ード4の表面に対して高さHだけ後退して平行に延びる
平坦面、等から後退面26を構成することもできる。
【0020】面取り面から構成されている後退面26を
有する建築用ボード4は、図2に明確に図示する如く、
複数個のタッカーステープル釘28を後退面26に対し
て垂直に打ち込むことによって、下地材2上に好都合に
固定することができる。それ自体は周知のタッカーステ
ープル釘28は、図5に示す如く、平行に延びる2本の
脚部30とかかる脚部30の上端を接続している接続頭
部32とを有し、2本の脚部30の下端部は下端に向か
って漸次肉薄にせしめられており、下端は鋭いナイフエ
ッジを規定している。図2に図示する実施形態において
は、タッカーステープル釘28の各々は、その2本の脚
部30の双方が1個の建築用ボード4の後退面26から
この建築用ボード4を通って下地材2に進入せしめられ
ている。タッカーステープル釘28の接続頭部32は建
築用ボード4の側面6に実質上平行に延びている。所望
ならば、タッカーステープル釘28の接続頭部32が建
築用ボード4の側面6に対して傾斜して延びるように或
いは実質上直角を成して延びるように、タッカーステー
プル釘28を位置せしめることもできる。タッカーステ
ープル釘28は後退面26に対して垂直に、従って下地
材2に対して上記傾斜角度αだけ傾斜して打ち込まれて
いる。かように下地材2に対して傾斜せしめてタッカー
ステープル釘28を打ち込むと、後述する釘留め強度試
験から理解される如く、下地材2に対して実質上垂直に
タッカーステープル釘28を打ち込む場合よりも、下地
材2に対する建築用ボード4の釘留め強度を強くするこ
とができる。後退面26の各々には、図1において上下
方向に(図2において紙面に垂直な方向に)適宜の間隔
をおいて複数個のタッカーステープル釘28が打ち込ま
れる。そしてまた、各建築ボード4の各々の反対側の側
縁部(図示していない)にも後退面が形成されており、
かかる後退面にも複数個のタッカーステープル釘28が
打ち込まれる。タッカーステープル釘28の打ち込み
は、一般にタッカーと称されている周知の空気圧式打ち
込み機(図示していない)によって好都合に遂行するこ
とができる。
【0021】図2を参照して説明を続けると、上述した
とおりにして下地材2上に建築用ボード4を固定した後
に、目地化粧部材22が施されて隣接する一対の建築用
ボード4間の目地が化粧される。図示の実施形態におけ
る目地化粧部材22は、横断面形状が長方形である本体
34を有し、この本体34の片面には接着層36が配設
されている。本体34は塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂
の如き合成樹脂;アルミニウム、真鍮の如き金属薄板;
木材;セメント、石材の如きセラミック;紙;布等の適
宜の材料から形成することができる。本体34の幅W1
は4.0乃至15.0mm程度で、厚さTは0.3乃至
20.0mm程度でよい。本体34の横断面形状は長方
形に限られるものではなく、横断面形状が半円形、台形
等の本体を使用することもできる。接着層36は両面接
着テープから形成することができる。両面接着テープの
好適例としては、日東電工株式会社から商品名「両面接
着テープNo.523」として販売されているものを挙
げることができる。目地化粧部材22を一対の建築用ボ
ード4の隣接側縁部上に接着せしめる前の状態において
は、接着層36の表面は剥離自在なカバーフィルム(図
示していない)によって被覆されている。
【0022】上述したとおりの目地化粧部材22は、カ
バーフィルムを剥離して接着層36の表面を露呈せし
め、接着層36の両側縁部を一対の建築用ボード4の隣
接側縁部における非後退表面16、即ち後退面26では
なくて後退面26よりも幅方向(図2において左右方
向)内側に位置する表面16に押圧せしめてかかる表面
16に接着することによって、図1及び図2に図示する
とおりの状態に設定される。建築用ボード4の表面16
に接着される、接着層36の側縁部の幅W3は1.5m
m以上、特に2mm以上であるのが好適である。後退面
26は表面16よりも後退、即ち没入せしめられている
故に、目地化粧部材22は一対の建築用ボード4の後退
面26の双方を跨ぎ、目地化粧部材22と後退面26と
の間には若干の空間が存在する。かようにして目地化粧
部材22を施すと、一対の建築用ボード4間の目地と共
に、一対の建築用ボード4の後退面26、従って後退面
26に打ち込まれたタッカーステープル釘28の接続頭
部32も、目地化粧部材22によって被覆され、かくし
て目地及びその近傍が充分良好に化粧される。所望なら
ば、目地化粧部材22の本体34の片面に接着層36を
予め配設しておくことに代えて、目地化粧部材22の本
体34を一対の建築用ボード4の隣接側縁部に接着する
際に、目地化粧部材22或いは一対の建築用ボード4の
隣接側縁部の所要部位に接着剤を塗布することもでき
る。
【0023】而して、本発明の目地化粧構造において
は、一対の建築用ボード4の隣接側縁部には上述したと
おりの形態である後退面26が形成されている故に、一
対の建築用ボード4の隣接側縁部の表面間に幾分かの段
差が存在していても、目地化粧部材22の両側縁部は一
対の建築用ボード4の隣接側縁部の非後退表面16に充
分に密着せしめられ良好に接着され得る。この点につい
て更に詳述すると、図6から明確に理解されるとおり、
一対の建築用ボード4の隣接側縁部の表面間に段差Gが
存在している場合、かかる段差Gに応じて目地化粧部材
22はその幅方向に適切に傾斜せしめられ、それ故に目
地化粧部材22の両側縁部は接着層36及び又は本体3
4の若干の弾性変形を伴って一対の建築用ボード4の隣
接側縁部の非後退表面16に充分な幅で密着せしめら
れ、充分良好に接着される。これに対して、図6に二点
鎖線で示す如く、一対の建築用ボード4の隣接側縁部に
後退面が形成されておらず、一対の建築用ボード4の隣
接側縁部には表面16と側面6との境界角部24が存在
する場合、目地化粧部材22の幅方向における傾斜が境
界角部24によって阻害され、特に目地化粧部材22が
比較的剛性のものである場合、目地化粧部材22は充分
に傾斜することができない。それ故に、突出している方
の建築用ボード4(図6において左側の建築用ボード
6)の隣接側縁部の表面16には充分に密着され得る
が、引っ込んでいる方の建築用ボード4(図6において
右側の建築用ボード)の隣接側縁部の表面16には実質
上接触され得ず或いは若干しか接触され得ず、従って引
っ込んでいる方の建築用ボード4の隣接側縁部に対する
目地化粧部材22の接着が不充分になり、場合によって
は引っ込んでいる方の建築用ボード4の隣接側縁部の表
面16と目地化粧部材22との間に若干の隙間が生成さ
れてしまう。
【0024】図7は、本発明の目地化粧構造の他の実施
形態を図示している。図7の実施形態においては、建築
用ボード4を下地材2上に固定するために使用されてい
る複数個のタッカーステープル釘28の各々は、その一
方の脚部30が一対の建築用ボード4の一方の後退面2
6から一対の建築用ボード4の一方を通って下地材2に
進入し、その他方の脚部30が一対の建築用ボード4の
他方の後退面26から一対の建築用ボード4の他方を通
って下地材2に進入するように、下地材2に対して実質
上垂直に打ち込まれている。複数個のタッカーステープ
ル釘28は図7において紙面に垂直な方向に適宜の間隔
をおいて打ち込まれている。そして、タッカーステープ
ル釘28の各々の接続頭部32は、一対の建築用ボード
4の目地を跨いで目地に対して実質上直角に延在せしめ
られている。所望ならば、タッカーステープル釘28の
各々の接続頭部32が一対の建築用ボード4の側面6に
対して所要傾斜角度をなして延在するように、タッカー
ステープル釘28の各々を配置することもできる。図7
に図示する実施形態は、図1及び図2に図示する実施形
態と比べてタッカーステープル釘28の打ち込み様式の
みが相違し、その他の構成に関しては図1及び図2に図
示する実施形態と実質上同一である。
【0025】図7に図示する実施形態においては、1個
のタッカーステープル釘28が一対の建築用ボード4の
双方の固定に利用されており、従って、特に下地材2へ
の建築用ボード4の釘留め強度が比較的小さくてよい場
合に、一対の建築用ボード4の固定のための必要釘打ち
数を最小限度にせしめて固定作業を簡略することができ
る。
【0026】次に、タッカーステープル釘の釘留め強度
試験について説明する。 釘留め強度試験A 図8に示す如く、特開平9−85879号公報に記載さ
れている実施例1と同様の方法により製造した厚さ13
mmの建築用ボードから一辺が50mmである正方形状
の試験片38を切り出した。かかる試験片38を厚さ5
0mmの杉板から成る基板40上に位置せしめ、2個の
タッカーステープル釘42を、図8において左右方向に
5.0mmの間隔をおいて、試験片38の表面に実質上
垂直に、従って基板40の表面に実質上垂直に、兼松日
産農林株式会社から商品名「KT−425B」として販
売されている空気圧式打ち込み機によって打ち込んだ。
打ち込んだタッカーステープル釘42は、兼松日産農林
株式会社から商品名「ステープルJ線4mm」として販
売されているタッカーステープル釘であり、脚部の長さ
L1は25mmで、接続頭部の長さL2は4mmで、幅
L3は1.15mmであった(図5も参照されたい)。
次いで、タッカーステープル釘42を打ち込んだ試験片
38の表面に、山本扛重機株式会社から商品名「建研式
接着力試験機OXジャッキセンターホール型」として販
売されている建研式接着力試験機において使用されるア
タッチメント44を、コニシ株式会社から商品名「クイ
ックメンダー」として販売されているエポキシ系接着剤
を使用して接着した。しかる後に、上記接着力試験機に
よって、固定した基板40に対して垂直な方向の引張力
をアタッチメント44に加えて、基板40から試験片3
8が離脱される力、即ち釘留め強度を測定した。4個の
試験片について釘留め強度を測定した結果は下記表1に
示すとおりであった。
【0027】釘留め強度試験B 更に、図9に示すとおり、試験片38の左右両側縁部に
面取り加工を加えて、表面に対する傾斜角度αが30度
である面取り面46を形成した。面取り面46の幅W2
は3.0mmで、高さHは1.8mmであった。各面取
り面46に1個のタッカーステープル釘42を、面取り
面46に対して実質上垂直に、従って基板40の表面に
対して30度の傾斜角度で打ち込んだことを除き、上記
釘留め試験Aと同様にして、4個の試験片について釘留
め強度を測定した。その結果は下記表1に示すとおりで
あった。
【0028】
【表1】
【0029】上述した釘留め強度試験A及びBから、基
板40に対して実質上垂直にタッカーステープル釘42
を打ち込むことに代えて、試験片38に傾斜角度30度
の面取り面46を形成して、かかる面取り面46に対し
て実質上垂直にタッカーステープル釘42を打ち込む
と、釘留め強度が平均して略30%増大せしめられるこ
とが理解される。
【0030】図10及び図11は本発明の目地化粧構造
の更に他の実施形態を示している。図10及び図11の
実施形態において、建築用ボード4の各々の隣接側面6
間、すなわち側面6同士の密着部(目地)には、釘部材
50が下地材2に打ち込まれている。それ自体は周知の
釘あるいはねじ付きのビスでよい釘部材50は、隣接側
面6間に沿って相互に間隔をおいて複数個使用されてい
る。この実施形態においては、釘部材50の各々の頭部
52が、後退面26の各々の表面に跨がるよう下地材2
に打ち込まれることが重要である。なおこの実施形態に
おいて、後退面26は、建築用ボード4の各々の境界角
部に面取り加工を施すことによって形成される平坦な面
取り面から構成されている。このようにして建築用ボー
ド4の各々が下地材2に固定された後、先の実施形態と
同様にして、目地化粧部材22により目地化粧が遂行さ
れる。図10及び図11に示す実施形態は、図1及び図
2に示す実施形態と較べて、釘部材50を使用している
こと及び釘部材50の打ち込み様式が相違し、その他の
構成に関しては図1及び図2に示す実施形態と実質上同
一である。
【0031】以上のようにして形成された目地化粧構造
によれば、建築用ボード4の隣接側面6間に釘部材50
が、隣接側面6間(目地)に沿ってかつ相互に間隔をお
いて複数個打ち込まれるので、隣接側面6自体が釘部材
50を打ち込むための位置決め用ガイドラインとなり、
建築用ボード4の固定作業が著しく容易となる。また釘
部材50の各々の頭部52が後退面26の各々の表面に
跨がるよう下地材2に打ち込まれるので、釘部材50の
使用数が通常の半分で済み、その分コストダウンを図る
ことができると共に打ち込みに要する作業時間も略半分
に短縮される。
【0032】図12は本発明の目地化粧構造の更に他の
実施形態を示している。図12に示す実施形態は、図1
0及び図11に示す実施形態と較べて、後退面26が、
建築用ボード4の表面から所定の高さだけ後退して平行
に延びる平坦面から構成されている(図4参照)点が相
違し、その他の構成に関しては図10及び図11に示す
実施形態と実質上同一である。この目地化粧構造におい
ても、図10及び図11に示す実施形態と実質上同一の
効果が得られることは容易に理解されるであろう。
【0033】
【発明の効果】本発明の目地化粧構造によれば、下地材
上に並列に配設された一対の建築用ボードの隣接側縁部
の表面間に幾分かの段差が存在する状況においても、目
地化粧部材の両側縁部を一対の建築用ボードの隣接側縁
部の表面に充分良好に接着せしめることができる。
【0034】本発明の目地化粧構造においては、更に、
タッカーステープル釘の打ち込みによって建築用ボード
を下地材に固定する様式において、上記効果に加えて、
釘留め強度を増大せしめることでき、或いは釘留め作業
を簡略化せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の目地化粧構造の好適実施形態が採用さ
れた建造物の内装の一部を示す正面図。
【図2】図1に図示する内装における目地化粧構造を示
す部分断面図。
【図3】建築用ボードの隣接側縁部に形成される後退面
の変形例を示す部分断面図。
【図4】建築用ボードの隣接側縁部に形成される後退面
の更に他の変形例を示す部分断面図。
【図5】図2の目地化粧構造に使用されているタッカー
ステープル釘を示す斜面図。
【図6】一対の建築用ボードの隣接側縁部の表面間に段
差が存在する場合を示す、図2と同様の部分断面図。
【図7】目地化粧構造の他の実施形態を示す、図2と同
様の部分断面図。
【図8】タッカーステープル釘の釘留め強度試験Aの試
験様式を示す簡略図。
【図9】タッカーステープル釘の釘留め強度試験Bの試
験様式を示す簡略図
【図10】目地化粧構造の更に他の実施形態を示す、図
2と同様の部分断面図。
【図11】図10の上面図であって目地化粧部材が貼着
されていない状態を示す図。
【図12】目地化粧構造の更に他の実施形態を示す、図
2と同様の部分断面図。
【符号の説明】
2:下地材 4:建築用ボード 6:建築用ボードの側面 8:建築用ボードの基層 10:建築用ボードの化粧層 16:建築用ボードの表面 22:目地化粧部材 24:建築用ボードの境界角部 26:建築用ボードの後退面 28:タッカーステープル釘 30:タッカーステープル釘の脚部 32:タッカーステープル釘の接続頭部 34:目地化粧部材の本体 36:目地化粧部材の接着層 50:釘部材 52:頭部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地材上に側面を隣接せしめて並列に配
    置された一対の建築用ボードの目地に沿って且つ該一対
    の建築用ボードの隣接側縁部の表面の双方に跨がって延
    在する目地化粧部材が施されている目地化粧構造におい
    て、 該一対の建築用ボードの該隣接側縁部の各々には、該表
    面と該側面との境界角部を除去して形成される形態の後
    退面が配設されており、該後退面の各々の幅は該目地化
    粧部材の幅の半分よりも小さくて、該目地化粧部材は該
    後退面の双方を跨ぎ、該目地化粧部材の両側縁部が該一
    対の建築用ボードの該隣接側縁部における非後退表面に
    接着されている、ことを特徴とする目地化粧構造。
  2. 【請求項2】 該後退面は該境界角部に面取り加工を施
    すことによって形成される平坦な面取り面である、請求
    項1記載の目地化粧構造。
  3. 【請求項3】 該一対の建築用ボードの各々は、各々の
    隣接側面間に、それに沿ってかつ相互に間隔をおいて複
    数の釘部材を、該釘部材の各々の頭部が該後退面の各々
    の表面に跨がるよう該下地材に打ち込むことによって、
    該下地材に固定されている、請求項1又は2記載の目地
    化粧構造。
  4. 【請求項4】 該一対の建築用ボードの各々は、タッカ
    ーステープル釘の各々の双方の脚部が該一対の建築用ボ
    ードの各々の該後退面から該一対の建築用ボードの各々
    を通して該下地材に進入するように、該後退面に対して
    実質上垂直に複数個のタッカーステープル釘を打ち込む
    ことによって、該下地材に固定されている、請求項2記
    載の目地化粧構造。
  5. 【請求項5】 該一対の建築用ボードの各々は、タッカ
    ーステープル釘の各々の一方の脚部が該一対の建築用ボ
    ードの一方の該後退面から該一対の建築用ボードの該一
    方を通して該下地材に進入し、タッカーステープル釘の
    各々の他方の脚部が該一対の建築用ボードの他方の該後
    退面から該一対の建築用ボードの該他方を通して該下地
    材に進入するように、該下地材に対して実質上垂直に複
    数個のタッカーステープル釘を打ち込むことによって、
    該下地材に固定されている、請求項1又は2記載の目地
    化粧構造。
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