JPH11140802A - 縦まくらぎの鋼管製継材被覆構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一対のレールの下側にレールの長手方向に向
けてそれぞれ設けられた縦梁を所定の間隔で連結した縦
まくらぎの継材において、腐食の低減効果において長期
耐腐食性は期待できないために保守管理が必要となると
いう問題がある。 【解決手段】 継材を、筒状体の少なくとも露出する部
分の周囲を弾性体中に応力材を１層以上埋設した被覆材
によって密着被覆したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、レールの長手方向
に左右一対の縦梁と、この縦梁をレールと直角な方向に
適当な間隔で連結する継材とより構成される縦まくらぎ
の鋼管製継材被覆構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】まくらぎは、バラスト軌道においても従
来は一般にレールと直交する方向の所定間隔に並べた横
まくらぎであったが、このような構造の軌道では列車荷
重の繰り返しにより軌道に狂いが生じる傾向があり、そ
れによって走行安定性および乗り心地が低下することに
なる。そのために軌道狂いの生じた個所の整備や日常の
保守がかかせないものであり、その労力と費用は莫大な
ものとなっている。しかもその作業は終電から初電まで
の短時間でしかも深夜の作業となる場合が多い等の理由
から作業時間と労働力の確保が非常に困難となっている
という問題がある。

【０００３】そこで近時、レールの長手方向にそれぞれ
の縦梁と、この縦梁を適当な間隔で連結する継材とより
構成される縦まくらぎがあり、その従来技術としては特
開平７ー３１７００１号がある。この技術は、図８に示
す如く、一対のレールの下側にレールの長手方向に向け
てそれぞれ設けられた縦梁と、これらの縦梁をその長手
方向に沿って所定間隔に互いに連結する複数の継材とか
ら構成されてなり、前記継材は前記縦梁より柔軟な構造
としたものである。そして、この継材としては鋼管が使
用されており、コンクリートの打ち込みにより構成され
た縦梁内にその端部を埋設して一体に固定している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような、レールの
長手方向に向けて設けられた縦梁とそれら縦梁を連結す
る複数の継材とから構成される縦まくらぎによると、そ
の継材が鋼管の場合、鋼管の表面には腐食防止のために
塗装処理が施してある。ところが、その塗装処理では長
期耐腐食性は期待できないために保守管理が必要となる
という問題がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで本発明は、一対の
レールの下側にレールの長手方向に向けてそれぞれ設け
られた縦梁を所定の間隔で連結する鋼管の少なくとも露
出する部分の周囲を弾性体中に応力材を１層以上埋設し
た被覆材によって密着被覆したことを特徴とする。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。図１は全体斜視図、図２は正面図、
図３は継材の説明図、図４は拡大断面図であり、図にお
いて、１はレール、２はこの一対のレール１の下側にレ
ールの長手方向に向けてそれぞれ設けられた縦梁であ
り、コンクリートにより形成されている。この縦梁２と
レール１との間には必要に応じて振動を吸収するゴムシ
ート等からなる軌道パッドを介在させて一体となってい
る。

【０００７】３は上記一対の縦梁２を連結するために所
定の間隔で配置した継材であり、鋼管４の周囲を合成樹
脂、合成ゴムもしくは天然ゴム等の弾性体に応力材を埋
設した被覆材５を密着被覆してある。この密着被覆の状
態は、鋼管４と被覆材５との完全接着、溶着、融着、加
硫接着あるいは完全接着でない場合でも鋼管４と被覆材
５との間隔をなくし、しかも被覆材５の熱膨張率が少な
い材料を使用することにより鋼管４と被覆材５との熱膨
張率の差が小さくなるように被覆するとよい。

【０００８】上記被覆材５は、図４に示す如く、弾性体
内に天然繊維、合成繊維もしくは金属繊維等による布や
金属板、金網または硬度の異なる弾性体等の応力材６を
１層もしくは複数層埋設して弾性体と一体化した構造と
するとよい。この応力材６は１種類に限定する必要はな
く、複数の種類の応力材６を組み合わせてもよい。図５
はクロロプレンゴムにビニロン繊維の応力材を積層した
場合の静的圧縮試験を行った結果を示してしいる。この
ように応力材の積層数を増やすことにより材料の剛性は
高くなり、その耐磨耗性、耐貫通性は向上する。また、
ある変位量において圧縮荷重は低下することが認められ
る。これは応力材の初期破断による破断エネルギーによ
って圧縮荷重が吸収された効果を示している。このよう
に応力材の破断エネルギーによって衝撃荷重を吸収する
効果が発揮されることになる。この吸収エネルギーは応
力材の積層数の増加に伴い増加する。したがって、弾性
体単体からなる被覆材より薄くすることが可能となる。

【０００９】筒状体４と被覆材５の一体化は完全接着で
もよいが、被覆材５に鋼管４を嵌め込む方法でもよい。
この場合、被覆材５は熱膨張率の少ない材料を使用し、
鋼管４との熱膨張率の差を小さくするとよい。また、被
覆材５の厚さは適宜である。以上の構成によると、被覆
材に合成樹脂やゴム等の弾性体を用いるために、電食防
止が向上することになる。

【００１０】さらに、被覆材は弾性体中に応力材を積層
させることにより、剛性が高くなり、しかもその耐磨耗
性、耐剪断性が向上する。さらに、過大な衝撃が生じた
場合でも、弾性体内に積層させた応力材が破断する破断
エネルギーにより衝撃エネルギーを吸収することができ
る。

【００１１】

【発明の効果】以上詳細に説明した本発明によると、一
対のレールの下側にレールの長手方向に向けてそれぞれ
設けられた縦梁を所定の間隔で連結した縦まくらぎの継
材において、筒状体の周囲を弾性体による被覆材によっ
て密着被覆したことにより、筒状体の長期耐腐食性、電
食防止があり、保守性が極めて向上するという効果も有
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態例を示す全体斜視図

【図２】正面図

【図３】継材の説明図

【図４】拡大断面図

【図５】静的圧縮試験結果の一例を示すグラフ

【図６】接続部の状態を示す説明図

【図７】従来例を示す説明図

【符号の説明】

１ レール ２ 縦梁 ３ 継材 ４ 鋼管 ５ 被覆材 ６ 応力材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 御船 直人 東京都国分寺市光町二丁目８番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 福知 幹男 東京都国分寺市光町二丁目８番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 生駒 信康 兵庫県明石市魚住町中尾1058番地 シバタ 工業株式会社内 (72)発明者 西村 佳樹 兵庫県明石市魚住町中尾1058番地 シバタ 工業株式会社内 (72)発明者 西本 安志 兵庫県明石市魚住町中尾1058番地 シバタ 工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のレールの下側にレールの長手方向
   に向けてそれぞれ設けられた縦梁を所定の間隔で連結す
   る鋼管の少なくとも露出する部分の周囲を弾性体中に応
   力材を１層以上埋設した被覆材によって密着被覆したこ
   とを特徴とする縦まくらぎの鋼管製継材被覆構造。
2. 【請求項２】 請求項１において、応力材を天然繊維、
   合成繊維もしくは金属繊維等による布としたことを特徴
   とする縦まくらぎの鋼管製継材被覆構造。