JPH11140309A - ポリアミド組成物の製造方法 - Google Patents

ポリアミド組成物の製造方法

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JPH11140309A
JPH11140309A JP31193497A JP31193497A JPH11140309A JP H11140309 A JPH11140309 A JP H11140309A JP 31193497 A JP31193497 A JP 31193497A JP 31193497 A JP31193497 A JP 31193497A JP H11140309 A JPH11140309 A JP H11140309A
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Hideaki Oka
秀明 岡
Nozomi Sugo
望 須郷
Kozo Tamura
興造 田村
Tsugifumi Kashiwamura
次史 柏村
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱老化性が著しく優れ、着色のない、色調
に優れた成形品が得られる半芳香族ポリアミド組成物を
提供すること。 【解決手段】 テレフタル酸単位を60〜100モル%含有
するジカルボン酸単位と、炭素数6〜18の脂肪族アルキ
レンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単
位とからなり、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]
が0.4〜3.0dl/gであるポリアミド(A)100重量部に対し
て、銅化合物0.001〜0.5重量部およびハロゲン化アルカ
リ金属塩0.005〜5重量部を含有する錯塩溶液(B)を配合
した後に、溶融混練することを特徴とするポリアミド組
成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半芳香族ポリアミ
ド組成物の製造方法に関する。詳しくは、耐熱老化性が
著しく優れるとともに、着色のない、色調に優れた成形
品が得られる半芳香族ポリアミド組成物の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来からナイロン6、ナイロン66など
に代表される結晶性ポリアミドは、その優れた特性と溶
融成形の容易さから、衣料用、産業資材用繊維、あるい
は汎用のエンジニアリングプラスチックとして広く用い
られているが、一方では、耐熱性不足、吸水による寸法
安定性不良などの問題点も指摘されている。特に近年の
表面実装技術(SMT)の発展に伴うリフローハンダ耐
熱性を必要とする電気・電子分野、あるいは年々耐熱性
への要求が高まる自動車のエンジンルーム部品などにお
いては、従来のポリアミドの使用が困難となってきてお
り、より耐熱老化性に優れたポリアミドが要求されてい
る。
【0003】このような世の中の要求に対し、半芳香族
ポリアミドに種々の酸化防止剤を添加することにより耐
熱老化性を向上させる方法が提案されている。例えば、
特開昭61−285252号公報には、テレフタル酸単
位を60〜100モル%含有する芳香族ジカルボン酸単
位と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位
とからなるポリアミドに対して、銅金属として1〜10
00ppmの銅化合物および1〜10000ppmのハ
ロゲン化アルカリ金属をドライブレンドしたポリアミド
組成物が、耐熱老化性に優れていることが記載されてい
る。また、特開平4−85362号公報には、結晶性芳
香環含有ポリアミド70〜98重量%と脂肪族ポリアミ
ド2〜30重量%とからなるポリアミド樹脂100重量
部に対して、脂肪族ポリエステル0〜10重量部、銅化
合物0.001〜0.3重量部およびハロゲン化アルカ
リ金属塩0.005〜2.0重量部をドライブレンドし
たポリアミド組成物が、耐熱老化性に優れるていること
が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの研究によ
れば、銅化合物およびハロゲン化アルカリ金属をドライ
ブレンドした上記のポリアミド組成物は、銅化合物およ
びハロゲン化アルカリ金属を配合していないものに比較
して、耐熱老化性が改善されてはいるものの、高度な耐
熱老化性が要求される用途に用いるためには、その耐熱
老化性の程度は依然不十分であった。さらに、銅化合物
およびハロゲン化アルカリ金属を単にドライブレンドし
たポリアミド組成物を用いて溶融成形した場合には、得
られた成形品が着色しているという問題点が認められ
た。
【0005】本発明の目的は、耐熱老化性が著しく優れ
るとともに、着色のない、色調に優れた成形品が得られ
る半芳香族ポリアミド組成物の製造方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、半芳香族ポリア
ミドに対し、銅化合物とハロゲン化アルカリ金属を含有
する錯塩溶液を加え、さらに溶融混練することによって
始めて、耐熱老化性が著しく優れ、着色のない、色調に
優れた成形品が得られる半芳香族ポリアミド組成物を得
ることができることを見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち、本発明は、テレフタル酸単位を
60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)
と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を
60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とから
なり、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.
4〜3.0dl/gであるポリアミド(A)100重量
部に対して、銅化合物0.001〜0.5重量部および
ハロゲン化アルカリ金属塩0.005〜5重量部を含有
する錯塩溶液(B)を配合した後に、溶融混練すること
を特徴とするポリアミド組成物の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明に用いられるポリアミドを構成するジカルボ
ン酸単位としては、テレフタル酸単位を60〜100モ
ル%含有している必要があり、70〜100モル%含有
しているのが好ましく、90〜100モル%含有してい
るのがさらに好ましい。テレフタル酸単位の含有量が6
0モル%未満の場合には、得られるポリアミド組成物の
低吸水性、耐薬品性などの諸物性が低下するため好まし
くない。テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位
としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ジメチルマロン酸、3,3−ジエチルコハク酸、
2,2−ジメチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、
トリメチルアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,
3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェ
ニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−ビフェ
ニルジカルボン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフ
ェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルス
ルホン−4,4’−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボ
ン酸、あるいはこれらの任意の混合物から誘導される単
位を挙げることができる。これらのなかでも、芳香族ジ
カルボン酸から誘導される単位が好ましい。さらに、ト
リメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多
価カルボン酸から誘導される単位を、得られるポリアミ
ド組成物の溶融成形が可能な範囲内で含有させることも
できる。
【0009】本発明に用いられるポリアミドを構成する
ジアミン単位としては、炭素数6〜18の脂肪族アルキ
レンジアミン単位を60〜100モル%含有している必
要があり、75〜100モル%含有しているのが好まし
く、90〜100モル%含有しているのがさらに好まし
い。炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位の
含有量が60モル%未満の場合には、得られるポリアミ
ド組成物の耐熱性、低吸水性、耐薬品性などの諸物性が
低下するため好ましくない。かかる炭素数6〜18の脂
肪族アルキレンジアミン単位として、例えば、1,6−
ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8
−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,1
0−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、
1,12−ドデカンジアミンなどの直鎖状脂肪族アルキ
レンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、
1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチ
ル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,
4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタ
ンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミ
ン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−
メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,
5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘ
キサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサン
ジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミ
ン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、
2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、
2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、
2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2
−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメ
チル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−
1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7
−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジ
アミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−
メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル
−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,
8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オ
クタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタン
ジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミ
ン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、
3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4
−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−
1,9−ノナンジアミンなどの分岐鎖状脂肪族アルキレ
ンジアミンなどから誘導される単位を挙げることがで
き、これらのうち1種または2種以上を用いることがで
きる。
【0010】上記の脂肪族アルキレンジアミン単位の中
では、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジ
アミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,
9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,
11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミ
ンなどから誘導される単位が好ましい。さらに、1,9
−ノナンンジアミン(NMDA)単位および2−メチル
−1,8−オクタンジアミン(MODA)単位を、NM
DA単位:MODA単位のモル比が100:0〜60:
40となるような割合で用いるのが好ましく、99:1
〜70:30となるような割合で用いるのがより好まし
く、98:2〜80:20となるような割合で用いるの
がさらに好ましい。脂肪族アルキレンジアミン単位とし
て、1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8
−オクタンジアミン単位を、上記の割合で併用すること
により、特に耐熱老化性、成形性、低吸水性に優れたポ
リアミド組成物が得られる。
【0011】上記の炭素数6〜18の脂肪族アルキレン
ジアミン単位以外に用いることができるジアミン単位と
しては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、1,4−ブタンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シ
クロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミ
ン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミ
ン、トリシクロデカンジメチルアミンなどの脂環式ジア
ミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−
ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテルなどの芳香族ジアミンなどから誘導され
る単位を挙げることができ、これらのうち1種または2
種以上を用いることができる。
【0012】本発明に用いられるポリアミドは、その分
子鎖の末端基の10%以上が、好ましくは40%以上、
より好ましくは70%以上が末端封止剤により封止され
ているのが好ましい。末端封止率が10%以上であれ
ば、溶融成形時の粘度変化が小さく、得られる成形体の
外観、耐熱水性などの物性が優れるので好ましい。末端
の封止率を求めるにあたっては、ポリアミドに存在して
いるカルボキシル基末端、アミノ基末端および末端封止
剤によって封止された末端の数をそれぞれ測定し、下記
の式(1)により末端の封止率を求めることができる。
各末端基の数は、1H−NMRにより、各末端基に対応
する特性シグナルの積分値より求めるのが精度、簡便さ
の点で好ましい。
【0013】 末端封止率(%)=[(A−B)÷A]×100 (1) 〔式中、Aは分子鎖末端基総数(これは通常、ポリアミ
ド分子の数の2倍に等しい)を表し、Bはカルボキシル
基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。〕
【0014】末端封止剤としては、ポリアミド末端のア
ミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性
の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止
末端の安定性などの点から、モノカルボン酸またはモノ
アミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点から、モノ
カルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸など
の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化
物、モノエステル類、モノアルコール類なども使用でき
る。
【0015】末端封止剤として使用されるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボ
ン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカル
ボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボ
ン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカ
ルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸、
あるいはこれらの任意の混合物を挙げることができる。
これらのなかでも、反応性、封止末端の安定性、価格な
どの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプ
ロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が特
に好ましい。
【0016】末端封止剤として使用されるモノアミンと
しては、カルボキシル基との反応性を有するものであれ
ば特に制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミ
ン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミ
ン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミ
ン、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘ
キシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モ
ノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、
ナフチルアミンなどの芳香族モノアミン、あるいはこれ
らの任意の混合物を挙げることができる。これらのなか
でも、反応性、沸点、封止末端の安定性および価格など
の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルア
ミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシ
ルアミン、アニリンが特に好ましい。
【0017】本発明に用いられるポリアミドは、濃硫酸
中30℃で測定した極限粘度[η]が0.4〜3.0d
l/gの範囲内であり、0.6〜2.0dl/gの範囲
内のものが好ましく、0.8〜1.6dl/gの範囲内
のものがより好ましい。ポリアミドの極限粘度[η]が
上記範囲内であれば、力学的特性、耐熱特性などに優れ
たポリアミド組成物が得られるので好ましい。
【0018】本発明に用いられる銅化合物としては、塩
化第1銅、塩化第2銅、ヨウ化第1銅、硫酸第2銅、硝
酸第2銅、サリチル酸第2銅、ステアリン酸第2銅、酢
酸第2銅、安息香酸第2銅、セバシン酸第2銅などが挙
げられ、これらのうち1種または2種以上を用いること
ができる。これらのなかでも、耐熱老化性がより優れた
ポリアミド組成物が得られるので、ヨウ化第1銅、酢酸
第2銅を用いるのが好ましい。
【0019】本発明に用いられるハロゲン化アルカリ金
属塩としては、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カ
リウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナト
リウムなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以
上を用いることができる。これらのなかでも、耐熱老化
性がより優れたポリアミド組成物が得られるので、ヨウ
化カリウムを用いるのが好ましい。
【0020】上記の銅化合物の配合量は、ポリアミド1
00重量部に対して0.001〜0.5重量部であり、
好ましくは0.01〜0.3重量部である。さらに、上
記のハロゲン化アルカリ金属塩の配合割合は、ポリアミ
ド100重量部に対して0.005〜5重量部であり、
好ましくは0.05〜3重量部である。また、銅化合物
とハロゲン化アルカリ金属塩との割合は、好ましくは重
量比で1:1〜1:20であるのが好ましく、1:3〜
1:15であるのがより好ましい。銅化合物およびハロ
ゲン化アルカリ金属塩を上記の範囲内で用いると、耐熱
老化性に優れるばかりでなく、高熱変形温度、成形性、
力学強度、電気的特性などの物性に優れたポリアミド組
成物が得られる。
【0021】上記の銅化合物およびハロゲン化アルカリ
金属塩は、まず、水、メタノール、エタノール、プロパ
ノールなどの極性溶媒中で混合し、錯塩を形成させた後
に、該錯塩溶液をポリアミドに配合する。ポリアミド樹
脂の表面に付着した錯塩溶液を、樹脂の内部まで十分に
浸透させるために、配合後、数時間そのまま放置するこ
とが好ましい。銅化合物およびハロゲン化アルカリ金属
塩を単にドライブレンドしただけでは、溶融成形する際
に着色してしまい、色調に劣った成形品しか得られない
が、銅化合物およびハロゲン化アルカリ金属塩を錯塩溶
液としてポリアミドに配合することによりはじめて、着
色のない、色調に優れた溶融成形品が得られる。
【0022】上記の銅化合物およびハロゲン化アルカリ
金属塩を含有する錯塩溶液をポリアミドに配合した後、
例えば、単軸押出機、二軸押出機等の溶融混練機を使用
して溶融混練する必要がある。例えば、ポリアミドの軟
化温度から370℃の温度範囲内で、1〜15分間程度
溶融混練することにより、耐熱老化性が著しく優れてい
るポリアミド組成物が得られる。
【0023】本発明の方法で製造されるポリアミド組成
物には、必要に応じて、有機系或いは無機系の充填剤を
配合することができる。充填剤としては、従来より知ら
れている粉末状、繊維状、クロス状などの各種形態を有
する充填剤を用いることができる。
【0024】粉末状充填剤としては、シリカ、シリカア
ルミナ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、窒化ホウ
素、タルク、マイカ、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシ
ウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、アスベ
スト、ガラスビーズ、カーボンブラック、グラファイ
ト、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレンな
どを挙げることができる。このような粉末状充填剤の平
均粒径は、通常、0.1μm〜200μmの範囲内のも
のが用いられ、1μm〜100μmのものを用いるのが
好ましい。これらの充填剤を使用すると、本発明の方法
で製造されたポリアミド組成物から得られる成形品の寸
法安定性、機械特性、耐熱特性、化学的物理的特性、摺
動特性などが向上する。
【0025】繊維状充填剤としては、ポリパラフェニレ
ンテレフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンテレフタ
ルアミド繊維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊
維、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ジアミ
ノジフェニルエーテルとテレフタル酸またはイソフタル
酸の縮合物から得られる繊維などの全芳香族ポリアミド
繊維、あるいは、全芳香族液晶ポリエステル繊維などの
有機系の繊維状充填剤;あるいはガラス繊維、炭素繊維
またはホウ素繊維などの無機系の繊維状充填剤が挙げら
れる。このような繊維状充填剤を使用すると、本発明の
方法で製造されたポリアミド組成物から得られる成形品
の力学強度が向上するだけでなく、寸法安定性、低吸水
性などが向上するので好ましい。このような繊維状充填
剤の平均長は、通常、0.05〜50mmの範囲内のも
のが用いられる。特に、平均長が1〜10mmの範囲内
にあるものを用いると、成形性が良好であり、成形品の
摺動特性、耐熱性、機械的特性が向上するので好まし
い。これらの繊維状充填剤はクロス状などに二次加工さ
れていてもよい。
【0026】上記の充填剤は、単独または2種以上の組
合わせで用いることができる。これらの充填剤の配合量
は、本発明により得られるポリアミド組成物100重量
部に対して、0.1〜200重量部であることが好まし
く、0.1〜150重量部であることがより好ましく、
0.5〜100重量部であることがさらに好ましい。充
填剤の配合量がこの範囲内であると、成形性、力学特性
のいずれにも優れるので好ましい。これらの充填剤はシ
ランカップラーやチタンカップラーなどで処理されてい
てもよい。
【0027】その他必要に応じて、ポリフェニレンスル
フィド、ポリオレフィン、ポリエステル、脂肪族ポリア
ミド、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマーなどの他
種ポリマー;着色剤;紫外線吸収剤;光安定化剤;ヒン
ダードフェノール系、チオ系、リン系、アミン系などの
酸化防止剤;帯電防止剤;臭素化ポリマー、酸化アンチ
モン、金属水酸化物などの難燃剤;結晶核剤;可塑剤;
離型剤;滑剤などを配合することもできる。
【0028】上記の各種添加剤の添加方法としては、例
えば、ポリアミドの重合時に添加する方法、錯塩溶液を
ポリアミドに配合した後、溶融混練する際に添加する方
法、ポリアミド組成物を製造した後に添加する方法など
が挙げられる。
【0029】上記のようにして製造したポリアミド組成
物を用いて、通常の溶融成形法、例えば、圧縮成形法、
射出成形法、押出成形法等により、着色のない、色調の
優れた成形品を製造することができる。
【0030】例えば、本発明により得られるポリアミド
組成物を、シリンダ温度が280〜350℃に調整され
た射出成形機のシリンダ内で溶融させ、所定の形状の金
型内に導入(射出)することにより成形品を製造するこ
とができる。また、上記のシリンダ温度に調整された押
出機内でポリアミド組成物を溶融させ、口金ノズルより
紡出することにより、繊維を製造することができる。さ
らに、上記のシリンダ温度に調整された押出機内でポリ
アミド組成物を溶融させ、Tダイから押し出すことによ
り、フィルムやシートを製造することができる。さら
に、インフレーション成形、吹き込み成形などによっ
て、フィルム、シート、ボトルなどの成形品を製造する
ことができる。
【0031】上記のような成形品は、さらに表面に塗
料、金属、あるいは他種ポリマー等の被覆層を形成した
状態で使用することもできる。
【0032】本発明により得られるポリアミド組成物
は、例えば、ギヤおよびカム等のような機械部品、コネ
クタ、スイッチ、リレー、MID、プリント配線板、電
子部品のハウジングなどのような電子部品、フィルム、
シート、繊維など種々の形態の成形品を製造するための
原料として用いることができる。特に、高度な耐熱老化
性が要求される用途に用いることが可能であり、例え
ば、自動車内外装部品、自動車のエンジンルーム内の機
械部品、自動車の電装部品などの製造原料として好適に
使用することができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものでは
ない。なお、実施例中の末端封止率、極限粘度、融点、
成形品の色調、耐熱老化性は以下の方法により測定し
た。
【0034】末端封止率:1H−NMR(500MH
z,重水素化トリフルオロ酢酸中、50℃で測定)を用
い、各末端基ごとの特性シグナルの積分値よりカルボキ
シル基末端、アミノ基末端および封止末端の数をそれぞ
れ測定し、前記の式(1)から末端封止率を求めた。
【0035】極限粘度[η]:ポリアミドを濃硫酸に溶
かして、濃度が0.05g/dl、0.1g/dl、
0.2g/dlおよび0.4g/dlの試料溶液をそれ
ぞれ調製し、各試料溶液の30℃における流下時間
(秒)を測定して、下記の式(2)より各試料溶液の固
有粘度を算出し、それを濃度0に外挿した値を極限粘度
[η](dl/g)とした。
【0036】 ηinh (dl/g)=[ln(t1/t0)]/c (2) 〔式中、ηinhは各試料溶液の固有粘度(dl/g)
を、t0は溶媒の流下時間(秒)を、t1は試料溶液の流
下時間(秒)を、cは溶液中の試料の濃度(g/dl)
を表す。〕
【0037】融点:示差走査熱量計(メトラー社製「D
SC30」)を用いて、試料を100℃/分の速度で昇
温して完全に融解させた後、10℃/分の降温速度で5
0℃まで冷却し、再び10℃/分の速度で昇温した時に
現れる吸熱ピークの位置を融点とした。
【0038】成形品の色調:JIS2号ダンベル型射出
成形片(厚み2mm)を作製して、目視により評価し
た。
【0039】耐熱老化性:JIS2号ダンベル型射出成
形片(厚み2mm)を、180℃のギヤオーブン中で5
00時間加熱した。加熱処理前後で、JIS K 71
13に準拠して引張強度を測定し、加熱処理前の引張強
度に対する加熱処理後の引張強度保持率(%)を求め
た。
【0040】参考例1 テレフタル酸3269.5g(19.68モル)、1,
9−ノナンジアミン2960.9g(17.0モル)、
2−メチル−1,8−オクタンジアミン474.9
(3.0モル)、安息香酸78.2g(0.64モ
ル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物6.5g(原料に
対して0.1重量%)および蒸留水2.2リットルを、
内容積20リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換
した。100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内部温
度を210℃に昇温した。この時、オートクレーブは2
2kg/cm2まで昇圧した。そのまま1時間反応を続
けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温
度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm
2に保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を
10kg/cm2まで下げ、更に1時間反応させて、極
限粘度[η]が0.25dl/gのプレポリマーを得
た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2m
m以下の大きさまで粉砕した。これを230℃、0.1
mmHg下にて、10時間固相重合し、融点が308
℃、極限粘度[η]が1.26dl/g、末端の封止率
が90%である白色のポリアミドを得た。
【0041】参考例2、3 ジカルボン酸成分、ジアミン成分および末端封止剤(安
息香酸)を、下記の表1に示した割合で用いる以外は、
参考例1と同様に製造することによりポリアミドを得
た。得られたポリアミドの極限粘度[η]、末端の封止
率および融点を下記の表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】実施例1 参考例1のポリアミド100重量部に対して0.4重量
部のKIをこれと同重量の蒸留水に溶解し、次いでポリ
アミド100重量部に対して0.05重量部のCuIを
加え、錯塩水溶液を調製した。これをポリアミドに配合
した後、6時間放置し、120℃の真空乾燥機中で12
時間乾燥した。これを、東洋精機製作所製2軸押出機
「ラボプラストミル2D25W」を使用して、シリンダ
ー温度330℃、40rpmの回転速度で溶融状態で押
し出した。これを日精樹脂工業製射出成形機「NS1
5」を用いて、シリンダー温度を330℃、金型温度を
150℃に設定して射出成形し、得られた成形品の物性
を評価した。結果を下記の表2に示す。
【0044】実施例2〜4 下記の表2に示したポリアミド、KIおよびCuIを、
表2に示した割合で使用したこと以外は実施例1と同様
にしてポリアミド組成物を製造した。このポリアミド組
成物を用いて実施例1と同様にして得られた成形品につ
いて評価した結果を、下記の表2に示す。
【0045】比較例1、2 下記の表2に示したポリアミド、KIおよびCuIを、
表2に示した割合で使用したこと以外は実施例1と同様
にしてポリアミド組成物を製造した。このポリアミド組
成物を用いて実施例1と同様にして得られた成形品につ
いて評価した結果を、下記の表2に示す。
【0046】比較例3 KIおよびCuIを錯塩溶液としてポリアミドに配合す
るのではなく、そのままドライブレンドしたこと以外
は、実施例1に記載した方法と同様にポリアミド組成物
を製造した。このポリアミド組成物を用いて実施例1と
同様にして得られた成形品について評価した結果を、下
記の表2に示す。
【0047】比較例4 KIおよびCuIを含有する錯塩溶液を配合した後、溶
融混練しないこと以外は、実施例1に記載した方法と同
様にポリアミド組成物を製造した。このポリアミド組成
物を用いて実施例1と同様にして得られた成形品につい
て評価した結果を、下記の表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明の製造方法により製造した半芳香
族ポリアミド組成物は、耐熱老化性が著しく優れてお
り、着色がなく、色調に優れた成形品が得られるので、
特に、高度な耐熱老化性が要求されるような用途に好適
に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏村 次史 大阪府大阪市北区梅田1−12−39 株式会 社クラレ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸単位を60〜100モル%
    含有するジカルボン酸単位(a)と、炭素数6〜18の
    脂肪族アルキレンジアミン単位を60〜100モル%含
    有するジアミン単位(b)とからなり、濃硫酸中30℃
    で測定した極限粘度[η]が0.4〜3.0dl/gで
    あるポリアミド(A)100重量部に対して、銅化合物
    0.001〜0.5重量部およびハロゲン化アルカリ金
    属塩0.005〜5重量部を含有する錯塩溶液(B)を
    配合した後に、溶融混練することを特徴とするポリアミ
    ド組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジア
    ミン単位が、1,9−ノナンジアミン単位および2−メ
    チル−1,8−オクタンジアミン単位からなり、かつ
    1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オ
    クタンジアミン単位のモル比が100:0〜60:40
    である請求項1記載のポリアミド組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015061892A (ja) * 2013-03-21 2015-04-02 ユニチカ株式会社 半芳香族ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体

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