JPH11140302A - 脂肪族ポリケトン樹脂組成物および脂肪族ポリケトン樹脂成形体 - Google Patents
脂肪族ポリケトン樹脂組成物および脂肪族ポリケトン樹脂成形体Info
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- JPH11140302A JPH11140302A JP30828097A JP30828097A JPH11140302A JP H11140302 A JPH11140302 A JP H11140302A JP 30828097 A JP30828097 A JP 30828097A JP 30828097 A JP30828097 A JP 30828097A JP H11140302 A JPH11140302 A JP H11140302A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 洗浄、乾燥、加熱処理等による形状変化がな
く、アウトガスや磨耗粉の発生量が極めて少なく、しか
も低温における機械的性能に優れる成形体を得るのに有
利な成形性に優れる樹脂組成物と、その成形体を提供す
ること。 【解決手段】 脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマーと
を含むことを特徴とする脂肪族ポリケトン樹脂組成物
と、この脂肪族ポリケトン樹脂組成物の成形体を提供す
る。
く、アウトガスや磨耗粉の発生量が極めて少なく、しか
も低温における機械的性能に優れる成形体を得るのに有
利な成形性に優れる樹脂組成物と、その成形体を提供す
ること。 【解決手段】 脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマーと
を含むことを特徴とする脂肪族ポリケトン樹脂組成物
と、この脂肪族ポリケトン樹脂組成物の成形体を提供す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性や寸法安定
性に優れ、磨耗粉や揮発分(アウトガス)の発生量が少
ない成形体を得るのに適する脂肪族ポリケトン樹脂組成
物とこれを用いた成形体に関するものである。とくに、
本発明の樹脂成形体は、半導体ウエハ等の半導体材料を
収納して、その半導体材料の損壊および汚染を防止し、
安全に輸送するための収納容器に適するものである。
性に優れ、磨耗粉や揮発分(アウトガス)の発生量が少
ない成形体を得るのに適する脂肪族ポリケトン樹脂組成
物とこれを用いた成形体に関するものである。とくに、
本発明の樹脂成形体は、半導体ウエハ等の半導体材料を
収納して、その半導体材料の損壊および汚染を防止し、
安全に輸送するための収納容器に適するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体ウエハ等の半導体材料は、保管ま
たは輸送時、あるいは所要の各種の処理を施す各工程間
を搬送される際に、半導体材料の損壊、汚損等を防止す
るために、半導体材料を収納する各種の収納容器が用い
られている。
たは輸送時、あるいは所要の各種の処理を施す各工程間
を搬送される際に、半導体材料の損壊、汚損等を防止す
るために、半導体材料を収納する各種の収納容器が用い
られている。
【0003】特に、半導体ウエハの製造工程において
は、所期の特性を有する半導体を高い歩留りで生産する
ためにも、半導体ウエハの損壊および汚染を防止するこ
とが重要である。このような重要な役割を有する収納容
器として、従来、多くの提案がなされており、例えば、
特開昭62−33436 号公報や特開平2−39867 号公報、特
開平5−36821 号公報等には、樹脂製のウエハ収納枠、
該枠を収めるケース、ケースの蓋、およびウエハ押さえ
治具からなるウエハ輸送用容器が開示され、また、特開
平8−288377号公報等には、半導体製造工程において各
工程間を移動するためのウエハ搬送用カセットが開示さ
れている。
は、所期の特性を有する半導体を高い歩留りで生産する
ためにも、半導体ウエハの損壊および汚染を防止するこ
とが重要である。このような重要な役割を有する収納容
器として、従来、多くの提案がなされており、例えば、
特開昭62−33436 号公報や特開平2−39867 号公報、特
開平5−36821 号公報等には、樹脂製のウエハ収納枠、
該枠を収めるケース、ケースの蓋、およびウエハ押さえ
治具からなるウエハ輸送用容器が開示され、また、特開
平8−288377号公報等には、半導体製造工程において各
工程間を移動するためのウエハ搬送用カセットが開示さ
れている。
【0004】これら従来の収納容器は、ポリプロピレン
(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート
(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポ
リエーテルエーテルケトン(PEEK)等の合成樹脂を
射出成形することによって成形されたものである。
(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート
(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポ
リエーテルエーテルケトン(PEEK)等の合成樹脂を
射出成形することによって成形されたものである。
【0005】しかしながら、従来の収納容器は、下記の
問題があった。第1は、従来の収納容器は、温度変化に
よる寸法変化が大きいという問題である。例えば、ウエ
ハ収納容器は、ウエハを収納する前に、一般に、熱湯や
イソプロピルアルコール等の化学薬品を用いて洗浄され
た後、温風で乾燥され、搬送時に高温に曝される。その
ため、PPやPE等からなる従来のウエハ収納容器は、
このような高温の雰囲気から常温に戻されたときに変形
することがあった。またPCからなる従来のウエハ収納
容器は、成形時の寸法精度は優れるものの、耐薬品性や
耐熱水性が劣るために、洗浄や乾燥処理時に変形するこ
とがあった。
問題があった。第1は、従来の収納容器は、温度変化に
よる寸法変化が大きいという問題である。例えば、ウエ
ハ収納容器は、ウエハを収納する前に、一般に、熱湯や
イソプロピルアルコール等の化学薬品を用いて洗浄され
た後、温風で乾燥され、搬送時に高温に曝される。その
ため、PPやPE等からなる従来のウエハ収納容器は、
このような高温の雰囲気から常温に戻されたときに変形
することがあった。またPCからなる従来のウエハ収納
容器は、成形時の寸法精度は優れるものの、耐薬品性や
耐熱水性が劣るために、洗浄や乾燥処理時に変形するこ
とがあった。
【0006】第2は、従来の収納容器は、揮発物などの
アウトガスの発生量が多いという問題である。例えば、
ウエハ収納容器は、高温に曝された場合でも、ウエハへ
の汚染原因となるアウトガスを生じないことが求められ
る。この点で、PP、PE、PCからなる従来のウエハ
収納容器は、アウトガスの発生量が多く、改善が求めら
れている。
アウトガスの発生量が多いという問題である。例えば、
ウエハ収納容器は、高温に曝された場合でも、ウエハへ
の汚染原因となるアウトガスを生じないことが求められ
る。この点で、PP、PE、PCからなる従来のウエハ
収納容器は、アウトガスの発生量が多く、改善が求めら
れている。
【0007】第3は、従来の収納容器は、樹脂等の磨耗
粉が多いという問題である。例えば、ウエハ収納容器
は、ウエハと収納容器との接触、容器と搬送装置との接
触、容器を構成する樹脂部材同士の接触、容器の蓋の開
閉等によって、ウエハの汚染原因となる樹脂等の磨耗粉
を生じないことが求められる。この点で、従来のウエハ
収納容器は、いずれの場合も磨耗粉の発生量が多く、改
善が求められている。
粉が多いという問題である。例えば、ウエハ収納容器
は、ウエハと収納容器との接触、容器と搬送装置との接
触、容器を構成する樹脂部材同士の接触、容器の蓋の開
閉等によって、ウエハの汚染原因となる樹脂等の磨耗粉
を生じないことが求められる。この点で、従来のウエハ
収納容器は、いずれの場合も磨耗粉の発生量が多く、改
善が求められている。
【0008】第4は、従来の収納容器は、低温での機械
的強度が低いという問題である。例えば、ウエハを航空
輸送する場合、容器の雰囲気温度は氷点下まで低下する
ことがある。この場合、従来のPP、PE、PBTから
形成された輸送用容器は、氷点下において脆弱化し、破
損等を生じることがあった。
的強度が低いという問題である。例えば、ウエハを航空
輸送する場合、容器の雰囲気温度は氷点下まで低下する
ことがある。この場合、従来のPP、PE、PBTから
形成された輸送用容器は、氷点下において脆弱化し、破
損等を生じることがあった。
【0009】第5は、従来の収納容器は、樹脂の成形性
が悪いという問題である。特に、PCやPEEKは、成
形時の流動性に劣り、成形体にウエルドラインを生じた
り、充填が不完全になる場合がある。この場合、ウエル
ドラインによって成形体の表面に凹凸が存在すると、ウ
エハ等との接触による磨耗粉の発生を招くことにもな
る。これを解決するために、樹脂の分子量を低くしたり
可塑剤等の添加剤を添加することも可能であるが、この
ような対策はアウトガスの発生量を増やすことになり好
ましくない。
が悪いという問題である。特に、PCやPEEKは、成
形時の流動性に劣り、成形体にウエルドラインを生じた
り、充填が不完全になる場合がある。この場合、ウエル
ドラインによって成形体の表面に凹凸が存在すると、ウ
エハ等との接触による磨耗粉の発生を招くことにもな
る。これを解決するために、樹脂の分子量を低くしたり
可塑剤等の添加剤を添加することも可能であるが、この
ような対策はアウトガスの発生量を増やすことになり好
ましくない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来の収納容器が抱える各種問題を解消するためになされ
たものである。その主たる目的は、洗浄、乾燥、加熱処
理等による形状変化がなく、アウトガスや磨耗粉の発生
量が極めて少なく、しかも低温における機械的性能に優
れる成形体を得るのに有利な成形性に優れる樹脂組成物
を提供することにある。また他の目的は、洗浄、乾燥、
加熱処理等による形状変化がなく、アウトガスや磨耗粉
の発生量が極めて少なく、しかも低温における機械的性
能に優れる、例えばウエハ収納容器として用いて好適な
樹脂成形体を提供することにある。
来の収納容器が抱える各種問題を解消するためになされ
たものである。その主たる目的は、洗浄、乾燥、加熱処
理等による形状変化がなく、アウトガスや磨耗粉の発生
量が極めて少なく、しかも低温における機械的性能に優
れる成形体を得るのに有利な成形性に優れる樹脂組成物
を提供することにある。また他の目的は、洗浄、乾燥、
加熱処理等による形状変化がなく、アウトガスや磨耗粉
の発生量が極めて少なく、しかも低温における機械的性
能に優れる、例えばウエハ収納容器として用いて好適な
樹脂成形体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の
実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構
成とする発明に想到した。 (1) 脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマーとを含むこと
を特徴とする脂肪族ポリケトン樹脂組成物である。この
脂肪族ポリケトン樹脂組成物において、脂肪族ポリケト
ン樹脂は、一酸化炭素と少なくとも1種のエチレン性不
飽和化合物との交互共重合体であり、液晶ポリマーは、
サーモトロピック液晶ポリマーであることが好ましい。
また、脂肪族ポリケトン樹脂組成物の成形温度での、そ
の樹脂組成物中の前記液晶ポリマーの溶融粘度は、脂肪
族ポリケトン樹脂の溶融粘度よりも低いことが好まし
い。さらに、脂肪族ポリケトン樹脂 100重量部に対し
て、5〜100 重量部の液晶ポリマーを含むことが好まし
い。
実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構
成とする発明に想到した。 (1) 脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマーとを含むこと
を特徴とする脂肪族ポリケトン樹脂組成物である。この
脂肪族ポリケトン樹脂組成物において、脂肪族ポリケト
ン樹脂は、一酸化炭素と少なくとも1種のエチレン性不
飽和化合物との交互共重合体であり、液晶ポリマーは、
サーモトロピック液晶ポリマーであることが好ましい。
また、脂肪族ポリケトン樹脂組成物の成形温度での、そ
の樹脂組成物中の前記液晶ポリマーの溶融粘度は、脂肪
族ポリケトン樹脂の溶融粘度よりも低いことが好まし
い。さらに、脂肪族ポリケトン樹脂 100重量部に対し
て、5〜100 重量部の液晶ポリマーを含むことが好まし
い。
【0012】(2) 脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマー
とを含む脂肪族ポリケトン樹脂組成物からなることを特
徴とする脂肪族ポリケトン樹脂成形体。この脂肪族ポリ
ケトン樹脂成形体において、脂肪族ポリケトン樹脂は、
一酸化炭素と少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物
との交互共重合体であり、液晶ポリマーは、サーモトロ
ピック液晶ポリマーであることが好ましい。また、脂肪
族ポリケトン樹脂組成物の成形温度での、その樹脂組成
物中の前記液晶ポリマーの溶融粘度は、脂肪族ポリケト
ン樹脂の溶融粘度よりも低いことが好ましい。さらに、
脂肪族ポリケトン樹脂 100重量部に対して、5〜100 重
量部の液晶ポリマーを含むことが好ましい。
とを含む脂肪族ポリケトン樹脂組成物からなることを特
徴とする脂肪族ポリケトン樹脂成形体。この脂肪族ポリ
ケトン樹脂成形体において、脂肪族ポリケトン樹脂は、
一酸化炭素と少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物
との交互共重合体であり、液晶ポリマーは、サーモトロ
ピック液晶ポリマーであることが好ましい。また、脂肪
族ポリケトン樹脂組成物の成形温度での、その樹脂組成
物中の前記液晶ポリマーの溶融粘度は、脂肪族ポリケト
ン樹脂の溶融粘度よりも低いことが好ましい。さらに、
脂肪族ポリケトン樹脂 100重量部に対して、5〜100 重
量部の液晶ポリマーを含むことが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の脂肪族ポリケトン樹脂組
成物は、脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマーを含む。
脂肪族ポリケトン樹脂(以下、単に「PK」と略記す
る。)は、脂肪族鎖中にケトン基を有する樹脂であれば
よく、好ましくは、一酸化炭素と少なくとも1種のエチ
レン性不飽和化合物との交互共重合体である。例えば、
下記式(1) で表される繰り返し単位を有する重合体から
なる、半結晶性の熱可塑性脂肪族系樹脂である。
成物は、脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマーを含む。
脂肪族ポリケトン樹脂(以下、単に「PK」と略記す
る。)は、脂肪族鎖中にケトン基を有する樹脂であれば
よく、好ましくは、一酸化炭素と少なくとも1種のエチ
レン性不飽和化合物との交互共重合体である。例えば、
下記式(1) で表される繰り返し単位を有する重合体から
なる、半結晶性の熱可塑性脂肪族系樹脂である。
【0014】
【化1】
【0015】この式(1) において、Gは、エチレン性不
飽和化合物に由来する、少なくとも3個の炭素原子を有
する基を示し、nおよびmは正の整数を示し、m/(n
+m)が 0.5以下である。Gを形成するためのエチレン
性不飽和化合物の中でも、エチレン性不飽和炭化水素と
しては、例えば、プロペン、1−ブテン、2−メチルプ
ロペン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン等
のビニル基を有する化合物が例示され、これらの中で
は、特にプロペンが好ましい。また、エチレン性不飽和
化合物の他の例として、ビニルエチルエーテル、N−ビ
ニルピロリドン、ジメチルビニルホスホネート等を用
い、エーテル、アミドまたはホスホネート基等の官能基
を分子内に有する重合体としてもよい。さらに、アリー
ル置換基を有するエチレン性不飽和炭化水素、例えば、
スチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、
m−イソプロピルスチレン等を用いることもできる。G
は、これらのエチレン性不飽和化合物の1種もしくは複
数種から構成されるものであってもよい。
飽和化合物に由来する、少なくとも3個の炭素原子を有
する基を示し、nおよびmは正の整数を示し、m/(n
+m)が 0.5以下である。Gを形成するためのエチレン
性不飽和化合物の中でも、エチレン性不飽和炭化水素と
しては、例えば、プロペン、1−ブテン、2−メチルプ
ロペン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン等
のビニル基を有する化合物が例示され、これらの中で
は、特にプロペンが好ましい。また、エチレン性不飽和
化合物の他の例として、ビニルエチルエーテル、N−ビ
ニルピロリドン、ジメチルビニルホスホネート等を用
い、エーテル、アミドまたはホスホネート基等の官能基
を分子内に有する重合体としてもよい。さらに、アリー
ル置換基を有するエチレン性不飽和炭化水素、例えば、
スチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、
m−イソプロピルスチレン等を用いることもできる。G
は、これらのエチレン性不飽和化合物の1種もしくは複
数種から構成されるものであってもよい。
【0016】このPKは、通常、融点が 175〜300 ℃で
あるものであり、 210〜270 ℃のものが典型的なもので
ある。
あるものであり、 210〜270 ℃のものが典型的なもので
ある。
【0017】このPKの分子量は、毛細管粘度計(例え
ば、ウベローデ型粘度計)を用い、60℃のm−クレゾー
ル中で測定した極限粘度数(LVN)で、好ましくは
0.5〜10dl/gであるものである。
ば、ウベローデ型粘度計)を用い、60℃のm−クレゾー
ル中で測定した極限粘度数(LVN)で、好ましくは
0.5〜10dl/gであるものである。
【0018】このPKの具体例として、Shell Chemical
s 社から、商品名:CARILON DP R−1000(下記化学式参
照)で市販されているものが挙げられる。
s 社から、商品名:CARILON DP R−1000(下記化学式参
照)で市販されているものが挙げられる。
【化2】
【0019】次に、本発明の脂肪族ポリケトン樹脂組成
物のもう一つの構成成分である液晶ポリマー(以下、単
に「LCP」と略記する。)は、溶融時に液晶性を示す
サーモトロピック液晶ポリマーが好ましい。さらに好ま
しくはサーモトロピック液晶ポリエステルである。この
LCPは、成形温度での溶融粘度がPKの溶融粘度より
も低いものが好ましい。特に、(PKの溶融粘度)/
(LCPの溶融粘度)の比で 1.1〜20.0とすることが好
ましい。さらに好ましくは 5.0〜9.0 である。この理由
は、この比が小さすぎると、成形性の向上に対する効果
が少なく、逆に大きくなりすぎると、ガス発生や衝撃強
度の低下が生じるからである。
物のもう一つの構成成分である液晶ポリマー(以下、単
に「LCP」と略記する。)は、溶融時に液晶性を示す
サーモトロピック液晶ポリマーが好ましい。さらに好ま
しくはサーモトロピック液晶ポリエステルである。この
LCPは、成形温度での溶融粘度がPKの溶融粘度より
も低いものが好ましい。特に、(PKの溶融粘度)/
(LCPの溶融粘度)の比で 1.1〜20.0とすることが好
ましい。さらに好ましくは 5.0〜9.0 である。この理由
は、この比が小さすぎると、成形性の向上に対する効果
が少なく、逆に大きくなりすぎると、ガス発生や衝撃強
度の低下が生じるからである。
【0020】このように溶融粘度の低いLCPを所定の
範囲内で添加することにより、成形性が良好になり、成
形体中のウエルドの発生が抑えられる。このため、表面
の凹凸が少ない成形体が得られ、この成形体を半導体材
料用の収納容器として用いた場合、表面の凹凸に起因す
る樹脂の磨耗粉が少なくなる。また、LCPの硬度がP
Kよりも高いことも磨耗粉が少なくなる原因の一つと推
察される。
範囲内で添加することにより、成形性が良好になり、成
形体中のウエルドの発生が抑えられる。このため、表面
の凹凸が少ない成形体が得られ、この成形体を半導体材
料用の収納容器として用いた場合、表面の凹凸に起因す
る樹脂の磨耗粉が少なくなる。また、LCPの硬度がP
Kよりも高いことも磨耗粉が少なくなる原因の一つと推
察される。
【0021】また、低分子量の成形性改良材を添加する
と、一般にこの添加剤に起因するガスが発生する可能性
があるが、本発明では樹脂(LCP)を成形性改良材と
して用いるため、ガスの発生も抑えられる。さらに、低
温での衝撃強度や寸法安定性は、LCPの剛直鎖により
向上すると推察される。しかし、LCPの添加量が多く
なりすぎると、衝撃強度や寸法安定性に異方性が生じる
ので、好ましくない。
と、一般にこの添加剤に起因するガスが発生する可能性
があるが、本発明では樹脂(LCP)を成形性改良材と
して用いるため、ガスの発生も抑えられる。さらに、低
温での衝撃強度や寸法安定性は、LCPの剛直鎖により
向上すると推察される。しかし、LCPの添加量が多く
なりすぎると、衝撃強度や寸法安定性に異方性が生じる
ので、好ましくない。
【0022】このLCPの具体例として、(1) 芳香族ジ
カルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸との組合せからなるもの、(2) 異種の芳香族ヒドロ
キシカルボン酸からなるもの、(3) 芳香族ジカルボン酸
と芳香族ジオールとの組合せからなるもの、(4) ポリエ
チレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒド
ロキシカルボン酸を反応させたもの、などが挙げられ
る。例示した上記LCPの中では、成形温度が比較的低
い(4) のタイプが好適である。なお、芳香族ジカルボン
酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸
の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用され
ることもある。これらは、単独で用いても、併用しても
よい。また、LCPの繰り返し構造単位としては下記の
ものを例示することができるが、これらに限定されるも
のではない。
カルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸との組合せからなるもの、(2) 異種の芳香族ヒドロ
キシカルボン酸からなるもの、(3) 芳香族ジカルボン酸
と芳香族ジオールとの組合せからなるもの、(4) ポリエ
チレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒド
ロキシカルボン酸を反応させたもの、などが挙げられ
る。例示した上記LCPの中では、成形温度が比較的低
い(4) のタイプが好適である。なお、芳香族ジカルボン
酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸
の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用され
ることもある。これらは、単独で用いても、併用しても
よい。また、LCPの繰り返し構造単位としては下記の
ものを例示することができるが、これらに限定されるも
のではない。
【0023】〔芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する
繰り返し構造単位〕
繰り返し構造単位〕
【化3】
【0024】〔芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し
構造単位〕
構造単位〕
【化4】
【0025】〔芳香族ジオールに由来する繰り返し構造
単位〕
単位〕
【化5】
【0026】本発明の脂肪族ポリケトン樹脂組成物にお
いて、PKとLCPの配合割合は、PK 100重量部に対
し、LCP5〜100 重量部であることが好ましい。特に
好ましい配合割合は、PK 100重量部に対し、LCP10
〜30重量部である。この理由は、LCPの配合割合が5
重量部未満の場合は、LCP配合による、成形性、磨耗
粉発生量、寸法安定性などの諸性能改善効果が小さいも
のとなる。また、LCP配合割合が50重量部超の場合
は、ウエルド強度の低下に伴う成形品の衝撃強度の低下
や磨耗粉の増加、強度、寸法安定性の異方性を招くこと
があり好ましくない。
いて、PKとLCPの配合割合は、PK 100重量部に対
し、LCP5〜100 重量部であることが好ましい。特に
好ましい配合割合は、PK 100重量部に対し、LCP10
〜30重量部である。この理由は、LCPの配合割合が5
重量部未満の場合は、LCP配合による、成形性、磨耗
粉発生量、寸法安定性などの諸性能改善効果が小さいも
のとなる。また、LCP配合割合が50重量部超の場合
は、ウエルド強度の低下に伴う成形品の衝撃強度の低下
や磨耗粉の増加、強度、寸法安定性の異方性を招くこと
があり好ましくない。
【0027】さらに、本発明の脂肪族ポリケトン樹脂組
成物およびその成形体は、前記PKおよびLCP以外
に、容器の性能を阻害しない範囲において、他の樹脂
や、酸化防止剤、安定剤、改質剤、ゴム、着色剤、補強
材、難燃剤等の各種添加剤を含有してもよい。また、帯
電防止性能を付与するために、カーボン繊維やカーボン
粉末などの炭素材料、界面活性剤型や樹脂型などの有機
系帯電防止剤を含有してもよい。
成物およびその成形体は、前記PKおよびLCP以外
に、容器の性能を阻害しない範囲において、他の樹脂
や、酸化防止剤、安定剤、改質剤、ゴム、着色剤、補強
材、難燃剤等の各種添加剤を含有してもよい。また、帯
電防止性能を付与するために、カーボン繊維やカーボン
粉末などの炭素材料、界面活性剤型や樹脂型などの有機
系帯電防止剤を含有してもよい。
【0028】本発明の脂肪族ポリケトン樹脂組成物の製
造は、PKとLCP、および必要に応じて配合される各
種添加剤を、所定の割合で押出機やニーダー等に供給し
て溶融混練する公知の方法に従って行うことができる。
造は、PKとLCP、および必要に応じて配合される各
種添加剤を、所定の割合で押出機やニーダー等に供給し
て溶融混練する公知の方法に従って行うことができる。
【0029】本発明の成形体の製造は、本発明の脂肪族
ポリケトン樹脂組成物、および必要に応じて配合される
各種成分を、所要の形状に成形することによって行うこ
とができる。成形方法は、特に限定されず、例えば、射
出成形等の方法によって行うことができる。また、PK
とLCPを直接成形機に供給し、成形することも可能で
ある。
ポリケトン樹脂組成物、および必要に応じて配合される
各種成分を、所要の形状に成形することによって行うこ
とができる。成形方法は、特に限定されず、例えば、射
出成形等の方法によって行うことができる。また、PK
とLCPを直接成形機に供給し、成形することも可能で
ある。
【0030】本発明の成形体は、その用途は特に限定さ
れないが、優れた寸法安定性および低温衝撃特性を有
し、磨耗粉やアウトガス発生量が少ないので、半導体材
料用の収納容器に最適である。
れないが、優れた寸法安定性および低温衝撃特性を有
し、磨耗粉やアウトガス発生量が少ないので、半導体材
料用の収納容器に最適である。
【0031】以下、本発明の成形体を半導体材料用の収
納容器として用いる場合について説明する。半導体材料
用の収納容器は、シリコンウエハ等の半導体ウエハ、チ
ップ、ベアチップ、磁気メモリディスク素板、あるいは
各種電子部品などの材料の輸送、搬送、貯蔵、加工処理
等を行う際に、該材料を収納・保持し、その損壊、汚損
等を防止するものである。具体的には、半導体ウエハ、
磁気メモリディスク素板等の輸送、貯蔵用の容器とし
て、また、半導体製造工程、磁気メモリディスクの製造
工程等における各種の処理において、または各工程間を
搬送する途中において、半導体ウエハ、磁気メモリディ
スク素板、またはそれらに各種加工処理を施した部材を
保持、収納するための搬送用容器として用いられるもの
である。この収納容器の形状、寸法等は、特に限定され
ず、収納・保持する材料の形状、寸法等に応じて適宜選
択される。本発明の成形体は、この半導体材料用の収納
容器として用いる場合は、特に、半導体ウエハの収納容
器として最適なものである。
納容器として用いる場合について説明する。半導体材料
用の収納容器は、シリコンウエハ等の半導体ウエハ、チ
ップ、ベアチップ、磁気メモリディスク素板、あるいは
各種電子部品などの材料の輸送、搬送、貯蔵、加工処理
等を行う際に、該材料を収納・保持し、その損壊、汚損
等を防止するものである。具体的には、半導体ウエハ、
磁気メモリディスク素板等の輸送、貯蔵用の容器とし
て、また、半導体製造工程、磁気メモリディスクの製造
工程等における各種の処理において、または各工程間を
搬送する途中において、半導体ウエハ、磁気メモリディ
スク素板、またはそれらに各種加工処理を施した部材を
保持、収納するための搬送用容器として用いられるもの
である。この収納容器の形状、寸法等は、特に限定され
ず、収納・保持する材料の形状、寸法等に応じて適宜選
択される。本発明の成形体は、この半導体材料用の収納
容器として用いる場合は、特に、半導体ウエハの収納容
器として最適なものである。
【0032】このような収納容器の一例として、図1に
示す半導体ウエハ収納容器1が挙げられる。この半導体
ウエハ収納容器1は、複数の半導体ウエハを個別に隔
離、支持するためのウエハ収納枠2、該ウエハ収納枠2
を収めるケース3、ケース3の蓋4、ウエハ押さえ治具
5、およびガスケット6とから構成されるものである。
示す半導体ウエハ収納容器1が挙げられる。この半導体
ウエハ収納容器1は、複数の半導体ウエハを個別に隔
離、支持するためのウエハ収納枠2、該ウエハ収納枠2
を収めるケース3、ケース3の蓋4、ウエハ押さえ治具
5、およびガスケット6とから構成されるものである。
【0033】ウエハ収納枠2は、対向する側壁21aおよ
び21bと、側壁21aと側壁21bの一端を連結する側端壁
22と、側壁21aと側壁21bの他端を連結する架橋支持部
23とからなり、側壁21aと側壁21bの内面24aおよび24
bには、円板状の半導体ウエハを矢印A方向に平行して
整列して収納するために、半導体ウエハの側端を保持す
る溝25aおよび25bが、対向して穿設されている。ケー
ス3は、ウエハ収納枠2を収納し、該ウエハ収納枠2の
下部外形に対応した内部形状を有するものである。
び21bと、側壁21aと側壁21bの一端を連結する側端壁
22と、側壁21aと側壁21bの他端を連結する架橋支持部
23とからなり、側壁21aと側壁21bの内面24aおよび24
bには、円板状の半導体ウエハを矢印A方向に平行して
整列して収納するために、半導体ウエハの側端を保持す
る溝25aおよび25bが、対向して穿設されている。ケー
ス3は、ウエハ収納枠2を収納し、該ウエハ収納枠2の
下部外形に対応した内部形状を有するものである。
【0034】また、ケース3の蓋4は、ウエハ収納枠2
の上部外形に対応した内部形状を有し、ガスケット6を
介して、ケース3と連結され、その内部に収納される半
導体ウエハを密閉して保存できるように形成されてい
る。さらに、ウエハ押さえ治具5は、ウエハ収納枠2の
上部に装着され、ウエハ収納枠2の溝25aおよび25bに
個別に隔離して収納された複数の半導体ウエハの上端を
保持する溝51aおよび51bを有する支持部52aおよび52
bを有し、支持部52aおよび52bは、連結部53aと53b
によって連結された構造を有するものである。
の上部外形に対応した内部形状を有し、ガスケット6を
介して、ケース3と連結され、その内部に収納される半
導体ウエハを密閉して保存できるように形成されてい
る。さらに、ウエハ押さえ治具5は、ウエハ収納枠2の
上部に装着され、ウエハ収納枠2の溝25aおよび25bに
個別に隔離して収納された複数の半導体ウエハの上端を
保持する溝51aおよび51bを有する支持部52aおよび52
bを有し、支持部52aおよび52bは、連結部53aと53b
によって連結された構造を有するものである。
【0035】この図1に示す半導体ウエハの収納容器1
において、ウエハ収納枠2は、半導体の製造工程におい
て、各種の処理が施される半導体ウエハを保持、収納し
て、各工程間を移送するための半導体ウエハ搬送用カセ
ットとしても用いることができるものである。
において、ウエハ収納枠2は、半導体の製造工程におい
て、各種の処理が施される半導体ウエハを保持、収納し
て、各工程間を移送するための半導体ウエハ搬送用カセ
ットとしても用いることができるものである。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は、下記実施例に制限されるものではな
い。 (実施例1)脂肪族ポリケトン(Shell Chemicals社製、
商品名:CARILON DP R−1000) 100重量部と液晶ポリエ
ステル(三菱化成製、商品名:EPE−220 )25重量部
とを混合した後、その混合物を二軸押出機を用いてシリ
ンダー温度 275℃でペレット化し、脂肪族ポリケトン樹
脂組成物を得た。
るが、本発明は、下記実施例に制限されるものではな
い。 (実施例1)脂肪族ポリケトン(Shell Chemicals社製、
商品名:CARILON DP R−1000) 100重量部と液晶ポリエ
ステル(三菱化成製、商品名:EPE−220 )25重量部
とを混合した後、その混合物を二軸押出機を用いてシリ
ンダー温度 275℃でペレット化し、脂肪族ポリケトン樹
脂組成物を得た。
【0037】得られた脂肪族ポリケトン樹脂組成物のペ
レットを、200tonの射出成形機に供給し、シリンダー温
度 275℃、金型温度60℃、および射出圧力1000kg/cm2
の条件で成形し、図1に示す6インチ径の半導体ウエハ
収納容器(縦 165mm×横 195mm×高さ 185mm)1を形造
るための、ウエハ収納枠2、ケース3、蓋4、およびウ
エハ押さえ治具5をそれぞれ成形した。なお、樹脂温度
275℃、剪断速度1000 sec-1における樹脂溶融粘度は、
脂肪族ポリケトンが1800poise 、液晶ポリエステルが 3
00poise であった。
レットを、200tonの射出成形機に供給し、シリンダー温
度 275℃、金型温度60℃、および射出圧力1000kg/cm2
の条件で成形し、図1に示す6インチ径の半導体ウエハ
収納容器(縦 165mm×横 195mm×高さ 185mm)1を形造
るための、ウエハ収納枠2、ケース3、蓋4、およびウ
エハ押さえ治具5をそれぞれ成形した。なお、樹脂温度
275℃、剪断速度1000 sec-1における樹脂溶融粘度は、
脂肪族ポリケトンが1800poise 、液晶ポリエステルが 3
00poise であった。
【0038】(実施例2〜5)PKとLCPの種類、配
合割合、成形温度を、表1に示すように変化させたこと
以外は、実施例1と同様にして脂肪族ポリケトン樹脂組
成物のペレットを作製し、実施例1と同様の半導体ウエ
ハ収納容器1用のウエハ収納枠2、ケース3、蓋4、お
よびウエハ押さえ治具5をそれぞれ成形した。なお、混
練温度は、成形温度と同じにした。なお、実施例5のL
CPは、出光石油化学社製、商品名:出光LCP 100E
(液晶ポリエステル)を用いた。
合割合、成形温度を、表1に示すように変化させたこと
以外は、実施例1と同様にして脂肪族ポリケトン樹脂組
成物のペレットを作製し、実施例1と同様の半導体ウエ
ハ収納容器1用のウエハ収納枠2、ケース3、蓋4、お
よびウエハ押さえ治具5をそれぞれ成形した。なお、混
練温度は、成形温度と同じにした。なお、実施例5のL
CPは、出光石油化学社製、商品名:出光LCP 100E
(液晶ポリエステル)を用いた。
【0039】(比較例1〜6)PK(実施例と同じも
の)、PE、PP、PBT、PCまたはPEEKの各樹
脂を用いて各々の一般的な条件にて射出成形し、図1に
示す形状の半導体ウエハ収納容器1用のウエハ収納枠
2、ケース3、蓋4、およびウエハ押さえ治具5をそれ
ぞれ成形した。
の)、PE、PP、PBT、PCまたはPEEKの各樹
脂を用いて各々の一般的な条件にて射出成形し、図1に
示す形状の半導体ウエハ収納容器1用のウエハ収納枠
2、ケース3、蓋4、およびウエハ押さえ治具5をそれ
ぞれ成形した。
【0040】このようにして成形したウエハ収納枠、ケ
ース、蓋、およびウエハ押さえ治具の成形体について、
下記の方法にしたがって、寸法安定性、低温耐衝撃性、
アウトガス発生量および磨耗粉発生量を測定または評価
した。また、成形体のウエルドの有無を目視により観察
した。これらの結果を表2に示す。
ース、蓋、およびウエハ押さえ治具の成形体について、
下記の方法にしたがって、寸法安定性、低温耐衝撃性、
アウトガス発生量および磨耗粉発生量を測定または評価
した。また、成形体のウエルドの有無を目視により観察
した。これらの結果を表2に示す。
【0041】(1) 寸法安定性 ウエハ収納枠の成形体を、ウエハ専用洗浄機を用いてイ
ソプロピルアルコールで洗浄した後、80℃の温風で乾燥
させた。その後、 150℃の空気中に2分間曝し、さら
に、30℃まで急速冷却した。このとき、成形後と洗浄試
験後におけるウエハ収納枠の寸法(図1に示す長さB
(対面する溝間距離))を測定し、下記の式で求められ
る値を寸法安定性の指標とした。 〔(洗浄試験後の長さ)−(成形後の長さ)〕/(成形
後の長さ)
ソプロピルアルコールで洗浄した後、80℃の温風で乾燥
させた。その後、 150℃の空気中に2分間曝し、さら
に、30℃まで急速冷却した。このとき、成形後と洗浄試
験後におけるウエハ収納枠の寸法(図1に示す長さB
(対面する溝間距離))を測定し、下記の式で求められ
る値を寸法安定性の指標とした。 〔(洗浄試験後の長さ)−(成形後の長さ)〕/(成形
後の長さ)
【0042】(2) 低温耐衝撃性 図1に示す、ウエハ収納枠2、ケース3、蓋4、および
ウエハ押さえ治具5の成形体と、シリコンゴム製のガス
ケット6とを組立ててなる半導体ウエハ収納容器1を、
−30℃の雰囲気中で、1mの高さから落下させ、破損等
の有無を調査した。その評価は、破損、ひび、割れ等を
生じない場合を○、破損、ひび、割れ等を生じた場合を
×と判定した。
ウエハ押さえ治具5の成形体と、シリコンゴム製のガス
ケット6とを組立ててなる半導体ウエハ収納容器1を、
−30℃の雰囲気中で、1mの高さから落下させ、破損等
の有無を調査した。その評価は、破損、ひび、割れ等を
生じない場合を○、破損、ひび、割れ等を生じた場合を
×と判定した。
【0043】(3) アウトガス発生量 組立てた半導体ウエハ収納容器1を切削し、その切削片
をバイアル瓶に入れて密閉し、80℃,2時間で加熱した
後、採取したガスをガスクロマトグラフィーに供し、各
種ガス成分に由来するピークの総面積を算出した。ガス
発生量は、PP製収納容器について同様に測定して得
た、ガスクロマトグラフィーのピーク総面積を 100とし
た場合の相対値で示した。
をバイアル瓶に入れて密閉し、80℃,2時間で加熱した
後、採取したガスをガスクロマトグラフィーに供し、各
種ガス成分に由来するピークの総面積を算出した。ガス
発生量は、PP製収納容器について同様に測定して得
た、ガスクロマトグラフィーのピーク総面積を 100とし
た場合の相対値で示した。
【0044】(4) 磨耗粉発生量 半導体ウエハ収納容器1内に、RCA(アンモニア水、
過酸化水素水、純水の混合物)洗浄したウエハ25枚を収
納し、2時間の航空輸送と、6時間の陸上輸送を行った
後、1か月保管した。保管後、ウエハ1個当たりの磨耗
粉(0.15μm以上)の表面付着数を調査した。
過酸化水素水、純水の混合物)洗浄したウエハ25枚を収
納し、2時間の航空輸送と、6時間の陸上輸送を行った
後、1か月保管した。保管後、ウエハ1個当たりの磨耗
粉(0.15μm以上)の表面付着数を調査した。
【0045】(5) ウエルドの観察 図1における25aおよび25bの溝部分にウエルドが発生
しているか否かを目視により観察した。
しているか否かを目視により観察した。
【0046】表2に示す結果から明らかなように、PK
とLCPからなる脂肪族ポリケトン樹脂組成物を素材と
する半導体ウエハ収納容器は、 (1)〜(5) の全ての評価
項目において、比較例に示す従来の樹脂(PE,PP,PBT,P
C,PEEK )およびPK単体を素材とする収納容器よりも
優れたものであることがわかる。しかも、本発明の脂肪
族ポリケトン樹脂組成物を素材とする半導体ウエハ収納
容器は、実際に使用してみたところ、航空輸送や洗浄、
乾燥処理等のいずれの使用環境下においても全く問題な
く、好適に用いることができた。
とLCPからなる脂肪族ポリケトン樹脂組成物を素材と
する半導体ウエハ収納容器は、 (1)〜(5) の全ての評価
項目において、比較例に示す従来の樹脂(PE,PP,PBT,P
C,PEEK )およびPK単体を素材とする収納容器よりも
優れたものであることがわかる。しかも、本発明の脂肪
族ポリケトン樹脂組成物を素材とする半導体ウエハ収納
容器は、実際に使用してみたところ、航空輸送や洗浄、
乾燥処理等のいずれの使用環境下においても全く問題な
く、好適に用いることができた。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明の脂肪族ポリ
ケトン樹脂組成物は、成形性に優れたものであり、これ
を用いた本発明の成形体は、ウエルドの発生がなく、寸
法安定性や耐低温衝撃性に優れ、しかも、磨耗粉やアウ
トガスの発生量が少ないものである。したがって、本発
明の樹脂組成物およびその成形体は、半導体材料用の収
納容器などの素材として特に有効である。
ケトン樹脂組成物は、成形性に優れたものであり、これ
を用いた本発明の成形体は、ウエルドの発生がなく、寸
法安定性や耐低温衝撃性に優れ、しかも、磨耗粉やアウ
トガスの発生量が少ないものである。したがって、本発
明の樹脂組成物およびその成形体は、半導体材料用の収
納容器などの素材として特に有効である。
【図1】半導体ウエハ収納容器の一例を説明する図であ
る。
る。
1 半導体ウエハ収納容器 2 ウエハ収納枠 3 ケース 4 蓋 5 ウエハ押さえ治具 6 ガスケット 21a,21b 側壁 22 側端壁 23 架橋支持部 24a 側壁21aの内面 24b 側壁21bの内面 25a,25b 溝 51a,51b 溝 52a,52b 支持部 53a,53b 連結部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 祐一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 中村 正志 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内
Claims (8)
- 【請求項1】 脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマーと
を含むことを特徴とする脂肪族ポリケトン樹脂組成物。 - 【請求項2】 前記脂肪族ポリケトン樹脂が、一酸化炭
素と少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物との交互
共重合体であり、前記液晶ポリマーが、サーモトロピッ
ク液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載
の脂肪族ポリケトン樹脂組成物。 - 【請求項3】 脂肪族ポリケトン樹脂組成物の成形温度
での、その樹脂組成物中の前記液晶ポリマーの溶融粘度
は、脂肪族ポリケトン樹脂の溶融粘度よりも低いことを
特徴とする請求項1または2に記載の脂肪族ポリケトン
樹脂組成物。 - 【請求項4】 脂肪族ポリケトン樹脂 100重量部に対し
て、5〜100 重量部の液晶ポリマーを含むことを特徴と
する請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリケ
トン樹脂組成物。 - 【請求項5】 脂肪族ポリケトン樹脂と液晶ポリマーと
を含む脂肪族ポリケトン樹脂組成物からなることを特徴
とする脂肪族ポリケトン樹脂成形体。 - 【請求項6】 前記脂肪族ポリケトン樹脂が、一酸化炭
素と少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物との交互
共重合体であり、前記液晶ポリマーが、サーモトロピッ
ク液晶ポリマーであることを特徴とする請求項5に記載
の脂肪族ポリケトン樹脂成形体。 - 【請求項7】 脂肪族ポリケトン樹脂組成物の成形温度
での、その樹脂組成物中の前記液晶ポリマーの溶融粘度
は、脂肪族ポリケトン樹脂の溶融粘度よりも低いことを
特徴とする請求項5または6に記載の脂肪族ポリケトン
樹脂成形体。 - 【請求項8】 脂肪族ポリケトン樹脂 100重量部に対し
て、5〜100 重量部の液晶ポリマーを含むことを特徴と
する請求項5〜7のいずれか1項に記載の脂肪族ポリケ
トン樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30828097A JPH11140302A (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 脂肪族ポリケトン樹脂組成物および脂肪族ポリケトン樹脂成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30828097A JPH11140302A (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 脂肪族ポリケトン樹脂組成物および脂肪族ポリケトン樹脂成形体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11140302A true JPH11140302A (ja) | 1999-05-25 |
Family
ID=17979140
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30828097A Pending JPH11140302A (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 脂肪族ポリケトン樹脂組成物および脂肪族ポリケトン樹脂成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11140302A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001030283A (ja) * | 1999-07-19 | 2001-02-06 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 脂肪族ポリケトンの射出成形法 |
JP2001192571A (ja) * | 1999-11-01 | 2001-07-17 | Toray Ind Inc | 気体および/または液体バリア部品用強化樹脂組成物および成形品 |
KR101682996B1 (ko) * | 2015-10-16 | 2016-12-06 | 성민태 | 폴리케톤 수지 조성물 및 이로부터 제조된 성형품 |
CN107815086A (zh) * | 2017-11-29 | 2018-03-20 | 广东聚航新材料研究院有限公司 | 一种用tlcp微纤增韧的pok材料及其制造方法 |
KR20200107078A (ko) * | 2019-03-06 | 2020-09-16 | 장준수 | 반도체 이송 트레이용 폴리케톤계 혼합 수지 조성물 |
-
1997
- 1997-11-11 JP JP30828097A patent/JPH11140302A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001030283A (ja) * | 1999-07-19 | 2001-02-06 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 脂肪族ポリケトンの射出成形法 |
JP2001192571A (ja) * | 1999-11-01 | 2001-07-17 | Toray Ind Inc | 気体および/または液体バリア部品用強化樹脂組成物および成形品 |
KR101682996B1 (ko) * | 2015-10-16 | 2016-12-06 | 성민태 | 폴리케톤 수지 조성물 및 이로부터 제조된 성형품 |
CN107815086A (zh) * | 2017-11-29 | 2018-03-20 | 广东聚航新材料研究院有限公司 | 一种用tlcp微纤增韧的pok材料及其制造方法 |
KR20200107078A (ko) * | 2019-03-06 | 2020-09-16 | 장준수 | 반도체 이송 트레이용 폴리케톤계 혼합 수지 조성물 |
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