JPH11138304A - 工作機械用主軸装置 - Google Patents

工作機械用主軸装置

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JPH11138304A
JPH11138304A JP30440497A JP30440497A JPH11138304A JP H11138304 A JPH11138304 A JP H11138304A JP 30440497 A JP30440497 A JP 30440497A JP 30440497 A JP30440497 A JP 30440497A JP H11138304 A JPH11138304 A JP H11138304A
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angular bearing
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JP30440497A
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Masayuki Nashiki
政行 梨木
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Okuma Corp
Original Assignee
Okuma Corp
Okuma Machinery Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンギュラ軸受の予圧を適正に維持して、過
大な予圧による損傷をなくすとともに、軸受寿命を長く
し、しかも工作機械としての主軸剛性を維持して、加工
性能を安定させ、加工精度を向上させる。 【解決手段】 工作機械用主軸装置は、内輪が主軸1
に、外輪が軸受ハウジング3にそれぞれ固定された固定
アンギュラ軸受6と、内輪が主軸1に固定され、外輪が
ハウジング3に軸方向に移動しうるように取付けられた
予圧調整アンギュラ軸受7と、必要なタイミングで、予
圧調整アンギュラ軸受7の外輪に軸方向の力を作用させ
て、固定アンギュラ軸受6と予圧調整アンギュラ軸受7
に予圧を設定することが可能な予圧設定手段10と、予圧
調整アンギュラ軸受7の外輪の軸方向の位置を固定する
固定手段9と、固定手段9の動作を制御する固定制御手
段とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアンギュラ軸受を使
った精密な工作機械用主軸装置に関するもので、特に、
軸受損失が大きい高速回転の主軸を備えている場合、あ
るいは、ビルトイン型の主軸駆動電動機等の発熱源が軸
受の近傍に配置されている場合等に適した工作機械用主
軸装置に関する。
【0002】なお、この明細書において、「アンギュラ
軸受」という用語は、ラジアル荷重(径方向の荷重)と
少なくとも1方向のスラスト荷重(軸方向の荷重)を受
けることかできる転がり軸受、たとえば、アンギュラ玉
軸受等のアンギュラコンタクト玉軸受、円すいころ軸受
等のアンギュラコンタクトころ軸受等を全て含む意味に
用いられる。
【0003】
【従来の技術】従来の工作機械用主軸装置の1例の縦断
面図を図7に示す。図7の説明において、図面の左側を
前、右側を後とする。
【0004】図7において、(1)は主軸、(2)は主軸(1)
に把持された回転工具、(40)は軸受ハウジングである。
(6)はハウジング(40)に対して主軸(1)を支持する固定ア
ンギュラ軸受であり、その内輪は主軸(1)に、外輪はハ
ウジング(40)にそれぞれ固定されている。(35)(43)はハ
ウジング(40)に対して主軸(1)を支持する予圧調整アン
ギュラ軸受であり、それらの内輪は主軸(1)に固定さ
れ、外輪はハウジング(40)に軸方向に移動しうるように
取付けられている。(4)は主軸(1)を回転させるビルトイ
ン型の主軸駆動電動機である。(5)はハウジング(40)内
に設けられた冷却ユニットであり、水、油等によりハウ
ジング(40)を冷却して主軸(1)の温度上昇を低減する。
(37)はハウジング(40)に対して軸受(35)の外輪を軸方向
に支持するカラーであり、ハウジング(40)に対して前端
位置と後端位置との間を所定量だけ動くことができる。
(36)はカラー(37)とハウジング(40)とから構成される油
圧シリンダの油圧室で、軸受(35)の外輪を後向きに押さ
える力を発生している。(38)は定圧の油圧源、(39)は油
圧室(36)に油圧を供給あるいは開放する電磁弁である。
(41)はハウジング(40)に対して軸受(43)の外輪を軸方向
に支持するカラーであり、ばね(42)により後向きに一定
の力で軸受(43)の外輪を押している。
【0005】なお、図7は主軸装置の構成をモデル的に
表現しているが、現実には、ハウジング(40)等の各部品
は複数の部品の組合わせで構成されており、各軸受(6)
(35)(43)についても、要求される剛性、強度等により、
並列使用あるいはころ軸受の併用等の種々の構成が採用
される。また、主軸装置を内蔵しハウジング(40)を支持
する主軸頭、工作機械本体等については、図示を省略し
ている。
【0006】図7の構成の主軸装置において、軸受(6)
(35)(43)における軸受損失による発熱、ビルトイン型の
主軸駆動電動機(4)のロータ損失による発熱が大きい場
合、主軸(1)はハウジング(40)よりも軸方向および径方
向に熱膨張し、軸受(6)(35)(43)の予圧が増大する。ま
た、高速回転になると、転動体である玉の遠心力も予圧
増大の大きな要因となってくる。
【0007】主軸(1)側の発熱量が小さい時は、電磁弁
(39)をオン(導通状態)にして、油圧室(36)に油圧を供
給することにより、カラー(37)を後端位置まで移動さ
せ、軸受(6)(35)の予圧を適正に保つ。主軸(1)の温度が
上昇し軸受(6)(35)の予圧が増大する時は、電磁弁(39)
をオフ(開放状態)にして、油圧室(36)の油圧を開放す
ることにより、カラー(37)を前端位置まで移動させ、軸
受(6)(35)の予圧の変動を低減している。
【0008】他の従来例を図8に示す。図8の説明にお
いても、図面の左側を前、右側を後とする。
【0009】図8の主軸装置は、図7の主軸装置から前
側の予圧調整アンギュラ軸受(35)とその周辺部品である
カラー(37)、油圧源(38)、電磁弁(39)を除去したもの
で、アンギュラ軸受(6)(43)の予圧は全てばね(42)の一
定の力で支持されるものである。したがって、どんな場
合にも軸受(6)(43)にはばね(42)の力以上の大きなスラ
スト荷重がかからない構造となっており、たとえば、主
軸(1)の熱変形等があっても過大な荷重がかかって損傷
しない構造となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図7の従来例では、予
圧調整アンギュラ軸受(35)の外輪の位置を2点に変更で
きるので予圧の変動を低減できるが、低減できる量に限
界があること、何時アンギュラ軸受(35)の外輪の位置を
変更すればよいのか明確でないこと等の問題がある。し
たがって、軸受の信頼性を十分に確保できないという問
題、軸受寿命が短いという問題、軸受の安全をみる必要
があるため軸受のサイズを大きめにする必要があるとい
う問題がある。
【0011】図8の従来例では、ばね(42)の強さを負荷
の最大荷重に負けない力に設定する必要があるため、常
にアンギュラ軸受(6)(43)には大きな予圧をかけなけれ
ばならず、軸受(6)(43)の寿命が短いという問題があ
る。そして、このように大きな負荷荷重をかけることが
できないため、軽切削加工用の主軸装置となり、重切削
加工ができないという問題がある。さらに、ばね(42)で
軸方向に支持されているアンギュラ軸受(6)(43)は軸方
向に変位してもその反力はほとんど変化しないため軸方
向剛性がほぼ零であり、主軸(1)全体の軸方向剛性も低
下するため、軸方向固有振動数が低い値となるという問
題がある。
【0012】本発明の目的は、アンギュラ軸受を使用し
た工作機械用主軸装置において、常に適切な予圧を保て
るように軸受の軸方向支持を適切に制御し、軸受の過大
な予圧による損傷をなくすこと、また、軸受を長寿命化
すること、主軸の軸方向固有振動数を高くすること、主
軸の剛性を確保して工作機械の加工能力を確保するこ
と、主軸の熱変位および応力変位を補償して工作機械の
精度を確保することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明による工作機械
用主軸装置は、内輪が主軸に、外輪が軸受ハウジングに
それぞれ固定され、軸受ハウジングに対して主軸を径方
向および軸方向に支持する固定アンギュラ軸受と、内輪
が主軸に固定され、外輪が軸受ハウジングに軸方向に移
動しうるように取付けられ、軸受ハウジングに対して主
軸を径方向および軸方向に支持する第1の予圧調整アン
ギュラ軸受と、必要なタイミングで、前記第1の予圧調
整アンギュラ軸受の外輪に軸方向の力を作用させて、前
記固定アンギュラ軸受と前記第1の予圧調整アンギュラ
軸受に予圧を設定することが可能な第1の予圧設定手段
と、前記第1の予圧調整アンギュラ軸受の外輪の軸方向
の位置を固定する第1の固定手段と、前記第1の固定手
段の動作を制御する第1の固定制御手段とを備えている
ことを特徴とするものである。(請求項1) この発明による工作機械用主軸装置は、また、内輪が主
軸に、外輪が軸受ハウジングにそれぞれ固定され、軸受
ハウジングに対して主軸を径方向および軸方向に支持す
る固定アンギュラ軸受と、内輪が主軸に固定され、外輪
が軸受ハウジングに軸方向に移動しうるように取付けら
れ、軸受ハウジングに対して主軸を径方向および軸方向
に支持する第1の予圧調整アンギュラ軸受と、必要なタ
イミングで、前記第1の予圧調整アンギュラ軸受の外輪
に軸方向の力を作用させて、前記固定アンギュラ軸受と
前記第1の予圧調整アンギュラ軸受に予圧を設定するこ
とが可能な第1の予圧設定手段と、前記第1の予圧調整
アンギュラ軸受の外輪の軸方向の位置を固定する第1の
固定手段と、前記第1の固定手段の動作を制御する第1
の固定制御手段と、内輪が主軸に固定され、外輪が軸受
ハウジングに軸方向に移動しうるように取付けられ、軸
受ハウジングに対して主軸を径方向および軸方向に支持
する第2の予圧調整アンギュラ軸受と、必要なタイミン
グで、前記第2の予圧調整アンギュラ軸受の外輪に軸方
向の力を作用させて、前記固定アンギュラと前記第2の
予圧調整アンギュラ軸受に予圧を設定することが可能な
第2の予圧設定手段と、前記第2の予圧調整アンギュラ
軸受の外輪の軸方向の位置を固定する第2の固定手段
と、前記第2の固定手段の動作を制御する第2の固定制
御手段とを備えていることを特徴とするものである。
(請求項2) 請求項1あるいは請求項2における予圧設定手段および
固定手段の構成は任意であるが、たとえば、前記予圧設
定手段は、油、水等の流体の圧力を前記予圧調整アンギ
ュラ軸受の外輪に軸方向に作用させるシリンダ等の流体
機構を備え、前記固定手段は、前記流体機構の流体が充
填された室が閉じられることにより前記予圧調整アンギ
ュラ軸受の外輪の軸方向の位置を固定するものである。
(請求項3) また、請求項1あるいは請求項2の発明において、たと
えば、前記予圧設定手段は、油、水等の流体の圧力を前
記予圧調整アンギュラ軸受の外輪に軸方向に作用させる
シリンダ等の流体機構を備え、前記固定手段は、前記軸
受ハウジングに対して主軸の軸方向に移動可能であって
前記油圧調整アンギュラ軸受の外輪を軸方向に支持する
軸方向支持部材と、一部が主軸の径方向に変形可能な変
形部を持つ流体室とを備え、前記流体室内の流体の圧力
を制御することにより、前記変形部が変形し、その変形
により前記軸方向支持部材と軸受ハウジングとの間に摩
擦力を発生させて前記軸方向支持部材の軸方向の位置を
固定するものである。(請求項4) 請求項1〜4の各発明において、アンギュラ軸受の予圧
量の設定は、組立、調整段階で固定の値としてもよい
が、たとえば、前記アンギュラ軸受の予圧量は、工作機
械の加工プログラムの指示、主軸の発生トルク、工作機
械の各制御軸方向の推力、主軸の回転数あるいは前記ア
ンギュラ軸受の近傍に作用する力を計測した計測値のい
ずれかあるいはそれらの組合わせにより設定する。(請
求項5)すなわち、工作機械の仕様に応じてその時点で
適正な予圧量を計算して求め、設定する。
【0014】工作機械の主軸の軸方向剛性はたとえば3
0kg/μmという有限の値であり、アンギュラ軸受の
予圧量を変えると、主軸のハウジングに対する軸方向の
制御軸に関する位置が変位し、これが工作機械の同制御
軸方向の加工誤差の原因となる。これに対処するため、
たとえば、請求項1〜4の各発明において、前記アンギ
ュラ軸受の予圧量による工作機械の主軸の軸受ハウジン
グに対する軸方向の変位量を推定演算し、あるいは主軸
の軸受ハウジングに対する軸方向の変位量を計測し、主
軸の軸受ハウジングに対する軸方向の変位量をNC装置
の軸方向制御軸に関する位置の補正量として用いる。
(請求項6)
【0015】
【作用】請求項1の発明において、たとえば、一定時間
間隔ごとに、ごく短時間だけ、第1の固定手段を作動さ
せないことにより第1の予圧調整アンギュラ軸受の外輪
を軸方向に移動可能とし、同時に、第1の予圧設定手段
を作動させることにより、その時点での固定アンギュラ
軸受および第1の予圧調整アンギュラ軸受の予圧を適正
な値とする。その他の時間帯では、第1の固定手段を作
動させることにより、その時点で適正な予圧となる位置
に第1の予圧調整アンギュラ軸受の外輪をしっかり固定
する。このようにすることにより、固定アンギュラ軸受
および第1の予圧調整アンギュラ軸受の予圧が適正な値
に維持される。
【0016】請求項2の発明において、請求項1の発明
の場合と同様に、一定の短い時間帯に、第1の予圧設定
手段と第1の固定手段が作動して、固定アンギュラおよ
び第1の予圧調整アンギュラ軸受の予圧を適正な値に維
持する。さらに、第1の予圧設定手段と第1の固定手段
が作動する時間帯と異なる時間帯に、第2の予圧設定手
段と第2の固定手段が同様に作動して、固定アンギュラ
軸受および第2の予圧調整アンギュラ軸受の予圧を適正
な値に維持する。そして、このように第1の予圧設定手
段および固定手段と、第2の予圧設定手段および固定手
段とを交互に作動させることにより、常に少なくとも一
方の固定手段が作動して、対応する予圧調整アンギュラ
軸受の外輪の軸方向の位置を固定しており、したがっ
て、時間的に切れ間なく、軸受ハウジングに対する主軸
の位置が固定アンギュラ軸受と少なくともいずれか一方
の予圧調整アンギュラ軸受とにより確実に支持される。
【0017】請求項3の発明において、予圧調整アンギ
ュラ軸受の外輪に作用する予圧および工作機械の負荷等
の反力は固定手段の閉じられた室の流体が圧縮される方
向に作用し、流体の圧縮比は非常に小さいので、流体は
ほぼ剛体と同様に作用し、流体でありながら強度の大き
い固体で固定するのと同様の効果を得ることができる。
したがって、この場合、予圧調整アンギュラ軸受の外輪
の軸方向の位置を固定し、保持するために、大きな力、
摩擦力等を必要としない。
【0018】請求項4の発明の場合、予圧調整アンギュ
ラ軸受の外輪の軸方向の位置を固定し、保持するため
に、簡単な構成で強大な油圧力により大きな摩擦力を
得、予圧調整アンギュラ軸受の外輪の軸方向の位置を確
実に固定することができる。
【0019】請求項5の発明の場合、アンギュラ軸受の
予圧量を、工作機械の仕様に応じて、その時点で適正な
値に設定することができる。
【0020】請求項6の発明の場合、アンギュラ軸受の
予圧量によって変化する主軸の軸受ハウジングに対する
軸方向位置を補正することにより、同方向の加工誤差を
低減することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図1に示す。
なお、図1において、前述の図7あるいは図8のものと
同じ部分には同一の符号を付している。そして、以下の
説明においても、図面の左側を前、右側を後とする。ま
た、この実施形態の主軸装置が設けられている工作機械
はNC装置からの加工プログラムに基づいて数値制御さ
れるものであるとし、主軸(1)の軸方向の制御軸をZ
軸、Z軸と直交するとともに互いに直交する2つの径方
向の制御軸をX軸およびY軸とする。
【0022】図1において、(3)は主軸(1)の軸受ハウジ
ング、(7)は第1の予圧調整アンギュラ軸受(この例で
はアンギュラ玉軸受)である。軸受(7)の内輪は主軸(1)
の外径に固定され、外輪はハウジング(3)の内径に軸方
向に移動しうるように取付けられている。(8)は軸受(7)
の外輪を押さえる第1の押さえ部品(軸方向支持部
材)、(9)はハウジング(3)と押さえ部品(8)とを固定す
る第1の固定手段、(10)はハウジング(3)と押さえ部品
(8)の間に力を発生する第1の予圧設定手段である。
【0023】同様に、(11)は第2の予圧調整アンギュラ
軸受(この例ではアンギュラ玉軸受)であり、その内輪
は主軸(1)の外径に固定され、外輪はハウジング(3)の内
径に軸方向に移動しうるように取付けられている。(12)
は軸受(11)の外輪を押さえる第2の押さえ部品(軸方向
支持部材)、(13)はハウジング(3)と押さえ部品(12)と
を固定する第2の固定手段、(14)はハウジング(3)と押
さえ部品(12)の間に力を発生する第2の予圧設定手段で
ある。
【0024】図7あるいは図8の場合と同様、固定アン
ギュラ軸受(この例ではアンギュラ玉軸受)(6)の内輪
は主軸(1)の外径に、外輪はハウジング(3)の内径にそれ
ぞれ固定されている。
【0025】(44)は、主軸(1)を支持する軸受(6)(7)(1
1)の予圧が変動することによる主軸(1)の軸方向変位、
主軸(1)の熱膨張に起因する主軸(1)の軸方向変位、主軸
(1)の負荷荷重に起因する軸方向変位等を検出する変位
検出センサーである。
【0026】なお、図1も主軸装置の構成をモデル的に
表現しているが、現実には、ハウジング(3)等の各部品
は複数の部品の組合わせで構成されており、各軸受(6)
(7)(11)についても、要求される剛性、強度等により、
並列使用あるいはころ軸受の併用等の種々の構成が採用
される。
【0027】また、図7における固定アンギュラ軸受
(6)と予圧調整アンギュラ軸受(35)(あるいは(43))の
向きに比較し、図1には、固定アンギュラ軸受(6)と予
圧調整アンギュラ軸受(7)(あるいは(11))の向きが逆
向きの例を示している。すなわち、図7では固定アンギ
ュラ軸受(6)と予圧調整アンギュラ軸受(35)(あるいは
(43))がいわゆる背面組合わせになっているのに対し、
図1の場合には固定アンギュラ軸受(6)と予圧調整アン
ギュラ軸受(7)(あるいは(11))がいわゆる正面組合わ
せになっている。これは、固定アンギュラ軸受(6)と予
圧調整アンギュラ軸受(7)(11)との軸受間距離を短くし
て、主軸(1)の径方向固有振動数を高くするために、固
定手段(9)(13)および予圧設定手段(10)(14)を予圧調整
アンギュラ軸受(7)(11)の軸方向外側に配置した例であ
る。なお、予圧調整アンギュラ軸受(7)(11)、固定手段
(9)(13)および予圧設定手段(10)(14)の配置の方法につ
いては、各部材の形状を変形する等により種々の変形が
可能であり、たとえば、第2の予圧調整アンギュラ軸受
(11)をさらに軸方向内側に配置し、固定アンギュラ軸受
(6)と第2の予圧調整アンギュラ軸受(11)との軸受間距
離を短くして、主軸(1)の固有振動数をさらに低減する
ように構成することも可能である。
【0028】固定手段(9)(13)と予圧設定手段(10)(14)
の具体的な例を図2に示す。
【0029】図2は、主軸(1)の周囲のハウジング(3)の
中に油圧シリンダが組込まれた構成となっている。
【0030】図2において、(23)は第1の予圧調整アン
ギュラ軸受(7)の外輪を押さえる押さえ部品(軸方向支
持部材)と油圧シリンダのピストンが一体化された第1
のカラー、(24)はハウジング(3)のシリンダ部とカラー
(23)とで構成される第1の予圧設定用油圧室、(25)(26)
は油圧室(24)の油が漏れるのを防止するシールである。
(17)は定圧の油圧源、(18)は油圧の圧力を可変する第1
の油圧調整器であり、たとえば、いわゆる電磁比例弁で
ある。(19)は油圧室(24)に油圧を供給あるいは遮断する
第1の予圧設定用電磁弁である。電磁弁(19)がオフ(遮
断状態)になって油圧室(24)が閉じられた時、油圧室(2
4)内に閉じ込められた油の圧力のためにカラー(23)は圧
縮方向(後方向)へはほとんど動かず、たとえば主軸
(1)の負荷荷重が後方向に作用しても、油圧室(24)はほ
ぼ剛体として動作することになり、軸受(7)の外輪の軸
方向の位置が固定される。
【0031】このような構成、作用からも明らかなよう
に、図2の例では、第1の固定手段(9)と第1の予圧設
定手段(10)とが合成された構造となっている。
【0032】第2の固定手段(13)および第2の予圧設定
手段(14)に関して、同様に、(45)は第2のカラー、(46)
は第2の予圧設定用油圧室、(47)(48)はシール、(20)は
第2の油圧調整器、(21)は第2の予圧設定用電磁弁であ
る。
【0033】次に、アンギュラ軸受(6)(7)(11)の予圧設
定方法、各油圧調整器(18)(20)および各電磁弁(19)(21)
の制御について説明する。
【0034】図2において、(15)は予圧設定器であり、
予圧指令値MPCを出力する。予圧指令値MPCは固定の値で
あるか、あるいは、入力である工作機械の加工プログラ
ムの指示CM1、主軸(1)の発生トルクCM2、工作機械X軸
方向の推力CM3、工作機械Y軸方向の推力CM4、工作機械
Z軸方向の推力CM5、主軸(1)の回転数あるいは主軸(1)
の軸受(6)(7)(11)の近傍に作用する力を計測した計測値
CM6の値等から演算して求められる。
【0035】主軸駆動電動機や各制御軸の制御電動機の
制御装置は、通常、内部にトルク指令値あるいはトルク
検出値を有しており、主軸(1)の発生トルクCM2、X軸方
向の推力CM3、Y軸方向の推力CM4、Z軸方向の推力CM5
等の値については、それらの信号を活用できる。また、
主軸(1)の軸受(6)(7)(11)の近傍に作用する力は、軸受
(6)(7)(11)の近傍に抵抗線歪ゲージを配置すること等に
より検出できる。
【0036】工作機械の主軸を支持するアンギュラ軸受
の予圧と寿命とは、切削加工の面からは、予圧を大きく
して主軸剛性を大きくした方がびびらずに安定して切削
ができるが、一方で、予圧が小さい方が寿命が長くなる
というトレードオフ関係になっている。
【0037】一般的に、軽切削の場合には小さな予圧で
も安定した切削が可能であるが、重切削の場合には主軸
を高剛性にする必要があり、アンギュラ軸受に大きな予
圧をかける必要がある。したがって、予圧量はその時の
切削に必要な最小限の値に設定できれば、アンギュラ軸
受の寿命、信頼性上好ましい。
【0038】予圧の設定方法には、たとえば、工作機械
の加工プログラムの指示CM1によって設定する方法、主
軸(1)の発生トルクCM2によって設定する方法、X軸方向
の推力CM3、Y軸方向の推力CM4、Z軸方向の推力CM5か
ら演算して主軸(1)の剛性荷重を求め設定する方法、主
軸(1)の回転数あるいは軸受(6)(7)(11)の近傍に作用す
る力を計測した計測値CM6から演算して設定する方法等
がある。また、これらの入力信号CM1〜CM6から推定され
るそれぞれの必要な予圧値の最大値を選択して予圧指令
値MPCとして出力する方法もあり、この方法はより確実
に安定した切削を可能とする方法である。
【0039】また、主軸負荷荷重が予想以上に大きく作
用する等の異常事態において、固定アンギュラ軸受(6)
の予圧が負となり、隙間ができる状態になると、主軸
(1)の剛性、主軸(1)の精度、軸受(6)の異常振動等によ
る破損等の問題が発生する可能性がある。この対応とし
て、変位検出センサ(44)で主軸(1)のハウジング(3)に対
する軸方向変位を計測しており、軸受(6)の予圧が負と
なり隙間ができている状態を観測することができる。そ
して、軸受(6)の予圧が零近傍になったことをこの変位
検出センサ(44)の出力信号PHZにより検出し、予圧指令
値MPCを修正するか、あるいは主軸(1)の異常であると判
断し、緊急停止、異常表示、異常処理等を行うことがで
きる。
【0040】図2において、(16)は油圧制御器であり、
予圧指令値MPCを入力とし、油圧指令値MP1、MP2により
油圧調整器(18)(20)を制御し、電磁弁制御信号CN1、CN2
により電磁弁(19)(21)を制御する。
【0041】次に、本発明における予圧制御方法、油圧
制御器(16)の動作について、図3のタイムチャートを使
って説明する。
【0042】第1の方法は比較的簡便な方法で、予圧指
令値MPCは予圧が主軸(1)の負荷に負けない程度の大きな
値MPC1に固定し、電磁弁制御信号CN1を図3(a)にように
して電磁弁(19)を制御する。
【0043】このとき、図2において、油圧室(24)は図
3(a)のCN1がオン(導通状態)になるタイミングだけ予
圧指令値MPC1に相当する一定圧となり、カラー(23)は圧
力がバランスする位置へ移動し、アンギュラ軸受(7)の
外輪へは予圧量MPC1がかかることになる。図3(a)のCN1
がオフになるタイミングでは、電磁弁(19)がオフし油圧
室(24)は閉じられるので、カラー(23)は圧縮方向(後方
向)へはほとんど動かず、たとえば主軸(1)の負荷荷重
が後方向に作用しても、油圧室(24)はほぼ剛体として動
作することになる。つまり、CN1がオンになるタイミン
グでは、固定手段(9)が動作せずに、予圧設定手段(10)
が動作して、予圧設定動作が行われ、CN1がオフになる
タイミングでは、固定手段(9)が動作して、軸受(7)の外
輪の軸方向位置が固定される。なお、油圧室(24)(46)
は、閉じられた状態では配管部も含め内部の体積が変化
しないように構成する必要があり、それぞれに接続され
た電磁弁(19)(21)は油の漏れ量が小さく、かつ、圧力変
化に伴う配管部等の体積膨張も小さくする必要がある。
さらに具体的には、各電磁弁(19)(21)は、ハウジング
(3)の内部に組込むか、油圧室(24)(46)の近傍に配置す
ることが好ましい。
【0044】次に、主軸(1)の熱膨張による変形量につ
いて考えてみる。
【0045】通常、主軸(1)は特に強制的な冷却は行わ
ず、自然空冷であり、主軸ハウジング(3)は工作機械本
体の熱変形を避けるために強制油冷されていることが多
い。したがって、アンギュラ軸受(6)(7)の内輪側の平均
温度と外輪側の平均温度との間には、温度差△Tが発生
している。
【0046】今、主軸(1)の直径が80mm、アンギュ
ラ軸受(6)(7)の軸受間距離が400mmで、主軸回転数
が30,000rpmと高速に回転していて、軸受損失
が大きく、ビルトイン型の主軸駆動電動機(4)のロータ
損失、切削工具(2)からの熱伝導もあり、アンギュラ軸
受(6)(7)の内外輪の平均温度差△Tが30℃であると仮
定する。
【0047】鉄の線膨張係数は約10-5mm/℃である
から、アンギュラ軸受(6)(7)の軸受間距離の伸び量は4
00×30×10-5=0.12mmにもなる。また、主
軸(1)の直径の膨張量は80×30×10-5=0.02
4mmとなる。これらの量は、アンギュラ軸受の予圧に
よる変形が5μm程度であることを考えると、非常に大
きな値であり、このような主軸(1)の運転条件では予圧
をとても適正に保てないことになる。
【0048】しかし、前述の第1の方法によれば、カラ
ー(23)は図3(a)のCN1がオンになるタイミングにおいて
圧力がバランスする位置へ移動し、図3(a)のCN1がオフ
になるタイミングにその位置へ固定されることになり、
主軸(1)のあらゆる運転条件においても適切な予圧が保
たれることになる。
【0049】なお、この第1の方法では第2の予圧調整
アンギュラ軸受(11)は不要であり、これは構成、制御と
もに簡便な方法である。
【0050】第2の方法は、図2に図示するように、第
1の予圧調整アンギュラ軸受(7)と第2の予圧値調整ア
ンギュラ軸受(11)を併設して、図3(a)および(b)に示す
ように、各軸受(6)(11)について前述の第1の方法を交
互に行うものである。図3(b)は、第2の電磁弁(21)に
対する電磁弁制御信号CN2を示している。そして、図3
(b)のCN2がオフになっている間の所定時間だけ図3(a)
のCN1がオンになり、かつ図3(a)のCN1がオフになって
いる間の所定時間だけ図3(b)のCN2がオンになるよう
に、2つの信号CN1、CN2が制御されて、2つの電磁弁(1
9)(21)が制御される。図3(b)のCN2についても、前述の
第1の方法の場合と同様、CN2がオンになるタイミング
では、固定手段(13)が動作せずに、予圧設定手段(14)が
動作して、予圧設定動作が行われ、CN2がオフになるタ
イミングでは、固定手段(13)が動作して、軸受(11)の外
輪の軸方向位置が固定される。このように、第2の方法
では、常に少なくともいずれか一方の固定手段が固定動
作を行っており、したがって、固定アンギュラ軸受(6)
と少なくともいずれか一方の予圧調整アンギュラ軸受
(7)(11)により主軸(1)を確実に支持して、主軸(1)を常
に高剛性に保つことができる。
【0051】第3の方法は、図4のタイムチャートに示
すものである。
【0052】図4において、t1のタイミングでは、第
1の油圧調整器(18)の入力MP1は、図4(a)に示すよう
に、主軸(1)の負荷荷重に負けない十分な油圧圧力に設
定し、図4(b)に示すように、第1の電磁弁制御信号CN1
をオンにして第1の電磁弁(19)をオンにする。一方、第
2の油圧調整器(20)は、図4(c)に示すような予圧指令
値MPCに従った第2の油圧指令値MP2により適切な予圧量
に制御され、図4(d)に示すように、t1の時点で第2の
電磁弁制御信号CN2をオフにして第2の電磁弁(21)をオ
フにし、第2の油圧室(46)を閉じた室とする。
【0053】t2のタイミングでは、第1の油圧調整器
(18)の入力MP1は、図4(a)に示すように、予圧指令値MP
Cに従った第1の油圧指令値MP1により適切な予圧量に制
御され、図4(b)に示すように、t2の時点で第1の電磁
弁制御信号CN1をオフにして第1の電磁弁(19)をオフに
し、第1の油圧室(24)を閉じた室とする。一方、第2の
油圧調整器(20)は、図4(c)に示すような十分に大きな
第2の油圧指令値MP2により主軸(1)の負荷荷重に負けな
い十分な油圧圧力に設定し、図4(d)に示すように、第
1の電磁弁制御信号CN1および電磁弁(21)をオンにす
る。
【0054】このようなt1およびt2のタイミングの動
作を繰り返し行うことにより、カラー(23)(45)はその時
点での主軸(1)の軸方向の伸びおよび直径方向の変形に
あわせて適切な軸方向位置へ移動することができ、それ
ぞれのアンギュラ軸受(7)(11)の予圧を指令値どおりに
適切に保つことができる。
【0055】固定手段(9)(13)と予圧設定手段(10)(14)
の他の実施形態およびその制御構成を図5に示す。な
お、図5において、図1および図2のものと同じ部分に
は同一の符号を付している。
【0056】図5において、(30)は主軸(1)の軸方向に
移動可能な第1のカラーであり、これは、アンギュラ軸
受(7)の外輪の押さえ部品(軸方向支持部材)となって
おり、また、内部に第1の固定用油圧室(流体室)(31)
を含み、第1の予圧設定用油圧室(33)の圧力を受けるピ
ストンをも構成している。(27)は固定用油圧室(31)に油
圧を供給あるいは開放する第1の固定用電磁弁であり、
油圧制御器(16)からの電磁弁制御信号CF1により、オン
(導通状態)とオフ(開放状態)に切換えられる。固定
用油圧室(31)の外周側周壁(変形部)の厚みTTは薄く、
この周壁は油圧室(31)内部の圧力により変形が可能な構
造となっている。電磁弁(27)がオフになっているとき
は、油圧室(27)内の油圧は開放されて低圧であるため、
油圧室(31)の外周側周壁は図5に実線で示す状態にな
り、カラー(30)はハウジング(3)から離れて、軸方向に
移動しうる。また、カラー(30)の外径とハウジング(3)
の内径とのギャップGPは、たとえば0.05mm程度の
わずかな量となっている。そして、電磁弁(27)がオンす
ると、油圧室(31)に油圧が供給されて高圧になるため、
油圧室(31)の外周側周壁は内部の油圧圧力により膨張し
て図5に破線で示すように変形し、カラー(30)とハウジ
ング(3)とが圧接する。これにより、カラー(30)とハウ
ジング(3)の間に摩擦力が発生し、ハウジング(3)に対し
てカラー(30)の軸方向の位置が固定される。これらの構
造、メカニズムが前記の固定手段となっている。
【0057】(28)は第1の油圧調整器、(29)は第1の予
圧設定用電磁弁、(32)(34)はシールである。油圧室(33)
の機能は、図2の油圧室(24)(46)と同様である。これら
の構造、メカニズムが予圧設定手段となっている。ただ
し、油圧室(33)は、図2の実施形態のように固定手段の
機能を持つ必要はなく、閉じられた室とする必要がない
ので電磁弁(29)がオフのときの油の漏れ量が多少大きく
ても問題なく、電磁弁(29)から油圧室(33)までの油圧配
管の圧力膨張も問題とならない。
【0058】同様に、(49)は第2のカラー、(50)は第2
の固定用油圧室(流体室)、(51)(53)はシール、(52)は
第2の油圧室、(54)は第2の固定用電磁弁、(55)は第2
の油圧調整器、(56)は第2の予圧設定用電磁弁である。
【0059】次に、これらの動作の例を図6のタイムチ
ャートで説明する。
【0060】図6において、t1のタイミングでは、第
1の油圧調整器(28)の入力MP1は、図6(a)に示すよう
に、主軸(1)の負荷荷重に負けない十分な油圧圧力に設
定し、図6(b)に示すように、CN1および電磁弁(29)をオ
ンとし、図4(c)に示すように、CF1および電磁弁(27)は
オフとして、油圧室(31)はカラー(30)とハウジング(3)
との間に摩擦力を発生しないようにする。第2の油圧調
整器(55)は、図4(d)に示すように、予圧指令値MPCに従
った油圧指令値MP2により適切な予圧量に制御され、図
4(e)に示すように、CN2および電磁弁(56)をオンとし、
油圧室(52)の油圧をMP2とし、図4(f)に示すように、t
1の時点でCF2および電磁弁(54)をオンとし、油圧室(50)
の油圧を高圧として、カラー(49)とハウジング(3)との
間に摩擦力を発生させ、カラー(49)の軸方向の位置を固
定する。
【0061】t2のタイミングでは、第1の油圧調整器
(28)は、図6(a)に示すように、予圧設定値MPCに従った
油圧指令値MP1により適切な予圧量に制御され、図4(b)
に示すように、CN1および電磁弁(29)をオンとし、油圧
室(33)の油圧をMP1とし、図4(c)に示すように、t2の
時点でCF1および電磁弁(27)をオンとし油圧室(31)の油
圧を高圧として、カラー(30)とハウジング(3)との間に
摩擦力を発生させ、カラー(30)の軸方向位置を固定す
る。第2の油圧調整器(55)は、図4(d)に示すような十
分に大きな油圧指令値MP2により主軸(1)の負荷荷重に負
けない十分な油圧圧力に設定し、図4(e)に示すよう
に、CN2および電磁弁(56)をオンとし、図4(f)に示すよ
うに、CF2および電磁弁(54)はオフとして、油圧室(31)
はカラー(30)とハウジング(3)との間に摩擦力を発生し
ないようにする。
【0062】このようなt1およびt2のタイミングの動
作を繰り返し行うことにより、カラー(30)(49)はその時
点での主軸(1)の軸方向の伸びおよび径方向の変形にあ
わせて適切な軸方向位置へ移動することができ、それぞ
れのアンギュラ軸受(7)(11)の予圧を指令値どおりに適
切に保つことができる。
【0063】アンギュラ軸受(6)(7)(11)に予圧をかける
と、各軸受(6)(7)(11)の転動体と軌道輪との接触部等で
弾性変形が生じ、この弾性変形量は予圧量によって変わ
る。したがって、上記のような軸受(6)(7)(11)の予圧の
制御を行った場合、予圧の変化に伴って、主軸(1)の軸
方向位置が変化し、軸方向変位誤差が発生するという問
題がある。しかし、この軸方向変位誤差は制御的要因で
発生しており、油圧制御器(16)で解っているので、主軸
(1)の軸方向変位予想量MPXを工作機械のNC装置へ送
り、主軸(1)のZ軸位置制御量の補正値として変位量を
補償することができる。また、変位検出センサー(44)で
主軸(1)のハウジング(3)に対する実際の軸方向変位を計
測し、その量をNC装置へ送り、主軸(1)のZ軸位置制
御量の補正値として変位量を補償することができる。
【0064】上記実施形態では、予圧設定手段、固定手
段の具体例として油圧を使用した例を示したが、その他
に、圧電素子等の大きな力を発生することができるアク
チュエータ、電気アクチュエータ、空気圧および減速器
との組合わせ等が可能であり、これらを採用したものも
本発明に含まれる。
【0065】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、アンギュラ軸
受の予圧を適正に維持できるので、アンギュラ軸受の破
損問題が軽減し、アンギュラ軸受の寿命が長くなり、し
かも工作機械としての主軸剛性を維持できるので、工作
機械の加工性能が安定し、主軸の軸方向変位も安定する
ことから加工精度も向上する。
【0066】さらに、アンギュラ軸受の予圧を必要最小
限に制御することにより、アンギュラ軸受の寿命を長く
できる。
【0067】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
による上記効果に加えて、常に固定アンギュラ軸受と少
なくともいずれか一方の予圧調整アンギュラ軸受とによ
り主軸を確実に支持できるという効果が奏される。
【0068】請求項3の発明によれば、請求項1および
請求項2の発明による効果に加えて、予圧調整アンギュ
ラ軸受の外輪の軸方向の位置を固定し、保持するため
に、大きな力、摩擦力等を必要としないという効果が奏
される。
【0069】請求項4の発明によれば、請求項1および
請求項2の発明による効果に加えて、予圧調整アンギュ
ラ軸受の外輪の軸方向の位置を固定し、保持するため
に、簡単な構成で強大な油圧力により大きな摩擦力を
得、予圧調整アンギュラ軸受の外輪の軸方向の位置を確
実に固定することができるという効果が奏される。
【0070】請求項5の発明によれば、請求項1および
請求項2の発明による効果に加えて、アンギュラ軸受の
予圧量を、工作機械の仕様に応じて、その時点で適正な
値に設定することができるという効果が奏される。
【0071】請求項6の発明によれば、請求項1および
請求項2の発明による効果に加えて、主軸の軸方向の工
作機械の加工誤差を軽減できるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1実施形態を示す工作機械用
主軸装置の構成図である。
【図2】図2は、図1の工作機械用主軸装置における固
定手段、予圧設定手段およびその制御装置の具体例を示
した構成図である。
【図3】図3は、図2の工作機械用主軸装置における予
圧制御の第1の方法と第2の方法を示すタイムチャート
である。
【図4】図4は、図2の工作機械用主軸装置における予
圧制御の第3の方法を示すタイムチャートである。
【図5】図5は、図1の工作機械用主軸装置における固
定手段、予圧設定手段およびその制御装置の他の具体的
に示した構成図である。
【図6】図6は、図5の工作機械用主軸装置における予
圧制御の方法を示すタイムチャートである。
【図7】図7は、予圧を切換える機構を備える従来の工
作機械用主軸装置の例を示した断面図である。
【図8】図8は、一定の圧力をアンギュラ軸受の予圧と
して与える機構を備える従来の工作機械用主軸の例を示
した断面図である。
【符号の説明】
(1) 主軸 (3) 軸受ハウジング (6) 固定アンギュラ軸受 (7)(11) 予圧調整アンギュラ軸受 (9)(13) 固定手段 (10)(14) 予圧設定手段 (15) 予圧設定器 (16) 油圧制御器 (17) 油圧源 (18)(20)(28)(55) 油圧調整器 (19)(21)(29)(56) 予圧設定用電磁弁 (23)(30)(45)(49) カラー (24)(33)(46)(52) 予圧設定用油圧室 (27)(54) 固定用電磁弁 (31)(50) 固定用油圧室(流体室) (44) 変位検出センサー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内輪が主軸に、外輪が軸受ハウジングにそ
    れぞれ固定され、軸受ハウジングに対して主軸を径方向
    および軸方向に支持する固定アンギュラ軸受と、 内輪が主軸に固定され、外輪が軸受ハウジングに軸方向
    に移動しうるように取付けられ、軸受ハウジングに対し
    て主軸を径方向および軸方向に支持する第1の予圧調整
    アンギュラ軸受と、 必要なタイミングで、前記第1の予圧調整アンギュラ軸
    受の外輪に軸方向の力を作用させて、前記固定アンギュ
    ラ軸受と前記第1の予圧調整アンギュラ軸受に予圧を設
    定することが可能な第1の予圧設定手段と、 前記第1の予圧調整アンギュラ軸受の外輪の軸方向の位
    置を固定する第1の固定手段と、 前記第1の固定手段の動作を制御する第1の固定制御手
    段とを備えていることを特徴とする工作機械用主軸装
    置。
  2. 【請求項2】内輪が主軸に、外輪が軸受ハウジングにそ
    れぞれ固定され、軸受ハウジングに対して主軸を径方向
    および軸方向に支持する固定アンギュラ軸受と、 内輪が主軸に固定され、外輪が軸受ハウジングに軸方向
    に移動しうるように取付けられ、軸受ハウジングに対し
    て主軸を径方向および軸方向に支持する第1の予圧調整
    アンギュラ軸受と、 必要なタイミングで、前記第1の予圧調整アンギュラ軸
    受の外輪に軸方向の力を作用させて、前記固定アンギュ
    ラ軸受と前記第1の予圧調整アンギュラ軸受に予圧を設
    定することが可能な第1の予圧設定手段と、 前記第1の予圧調整アンギュラ軸受の外輪の軸方向の位
    置を固定する第1の固定手段と、 前記第1の固定手段の動作を制御する第1の固定制御手
    段と、 内輪が主軸に固定され、外輪が軸受ハウジングに軸方向
    に移動しうるように取付けられ、軸受ハウジングに対し
    て主軸を径方向および軸方向に支持する第2の予圧調整
    アンギュラ軸受と、 必要なタイミングで、前記第2の予圧調整アンギュラ軸
    受の外輪に軸方向の力を作用させて、前記固定アンギュ
    ラ軸受と前記第2の予圧調整アンギュラ軸受に予圧を設
    定することが可能な第2の予圧設定手段と、 前記第2の予圧調整アンギュラ軸受の外輪の軸方向の位
    置を固定する第2の固定手段と、 前記第2の固定手段の動作を制御する第2の固定制御手
    段とを備えていることを特徴とする工作機械用主軸装
    置。
  3. 【請求項3】前記予圧設定手段は、油、水等の流体の圧
    力を前記予圧調整アンギュラ軸受の外輪に軸方向に作用
    させるシリンダ等の流体機構を備え、前記固定手段は、
    前記流体機構の流体が充填された室が閉じられることに
    より前記予圧調整アンギュラ軸受の外輪の軸方向の位置
    を固定するものであることを特徴とする請求項1または
    2の工作機械用主軸装置。
  4. 【請求項4】前記予圧設定手段は、油、水等の流体の圧
    力を前記予圧調整アンギュラ軸受の外輪に軸方向に作用
    させるシリンダ等の流体機構を備え、前記固定手段は、
    前記軸受ハウジングに対して主軸の軸方向に移動可能で
    あって前記油圧調整アンギュラ軸受の外輪を軸方向に支
    持する軸方向支持部材と、一部が主軸の径方向に変形可
    能な変形部を持つ流体室とを備え、前記流体室内の流体
    の圧力を制御することにより、前記変形部が変形し、そ
    の変形により前記軸方向支持部材と軸受ハウジングとの
    間に摩擦力を発生させて前記軸方向支持部材の軸方向の
    位置を固定するものであることを特徴とする請求項1ま
    たは2の工作機械用主軸装置。
  5. 【請求項5】前記アンギュラ軸受の予圧量は、工作機械
    の加工プログラムの指示、主軸の発生トルク、工作機械
    の各制御軸方向の推力、主軸の回転数あるいは前記アン
    ギュラ軸受の近傍に作用する力を計測した計測値のいず
    れかあるいはそれらの組合わせにより設定するようにし
    たことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項の工作
    機械用主軸装置。
  6. 【請求項6】前記アンギュラ軸受の予圧量による工作機
    械の主軸の軸受ハウジングに対する軸方向の変位量を推
    定演算し、あるいは主軸の軸受ハウジングに対する軸方
    向の変位量を計測し、主軸の軸受ハウジングに対する軸
    方向の変位量をNC装置の軸方向制御軸に関する位置の
    補正量として用いることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項の工作機械用主軸装置。
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