JPH11133465A - 強誘電性液晶材料ならびに該材料を用いた液晶素子およびその製造方法 - Google Patents

強誘電性液晶材料ならびに該材料を用いた液晶素子およびその製造方法

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JPH11133465A
JPH11133465A JP29748397A JP29748397A JPH11133465A JP H11133465 A JPH11133465 A JP H11133465A JP 29748397 A JP29748397 A JP 29748397A JP 29748397 A JP29748397 A JP 29748397A JP H11133465 A JPH11133465 A JP H11133465A
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voltage
ferroelectric
ferroelectric liquid
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JP29748397A
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Sadahiro Sakou
禎裕 酒匂
Takeshi Kaneko
毅 金子
Mitsuhiro Kouden
充浩 向殿
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動温度マージンが広く、温度変化に対して
も安定した駆動を実現する強誘電性液晶材料ならびに該
材料を用いた液晶素子およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 液晶素子の液晶層に適用する強誘電性液
晶材料として、τ−Vminモード用強誘電性液晶材料
で、モノパルス電圧印加時のτ−V曲線において、極小
値をとる電圧Vmin以上の電圧領域で、パルス幅τの
値が無限大に発散する電圧Vk が、当該材料が強誘電相
を示す温度範囲内の少なくとも5℃の温度幅をもつある
温度範囲で、Tを温度、dを液晶層の厚さとすると、|
ΔVk /dΔT|≦0.2[V/Kμm]を満たすもの
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強誘電性液晶材料
ならびに該材料を用いた液晶素子およびその製造方法に
関する。該強誘電性液晶材料は、特に、駆動温度マージ
ンが広いことを特徴とし、一般の直視型ディスプレイや
投影型プロジェクタ、光シャッタ、光学フィルタ、およ
び光センサ等に適用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ネマティツク液晶を用いたT
N(Twisted Nematic) 型およびSTN(Super-Twisted N
ematic) 型の液晶表示素子が知られている。しかし、こ
れらの液晶表示素子は、電気光学効果の応答速度がms
(ミリ秒)オーダーと遅いため、高速駆動を行おうとす
ると、画面に乱れが生じたり、コントラストが低下した
りするという欠点がある。
【0003】このため、これらの液晶表示素子は、表示
可能な容量に限界があり、動画表示に適さないという問
題点がある。また、視野角が狭く、大画面化への適用も
困難である。そこで、近年、次世代の液晶表示素子とし
て、強誘電性液晶表示素子の実用化が検討されている。
【0004】1975年、R.B.Meyer らは分子の対称性
の議論から、光学活性な分子が分子長軸に対して垂直な
方向に双極子モーメントをもっていればカイラルスメク
ティックC相(SmC* 相)で強誘電性を示すことを予
想して、DOBAMBC (2-methylbutyl p-[p-(decyloxybenzy
lidene)-amino]-cinnamate) を合成し、液晶においては
じめて強誘電性を確認することに成功した(R.B.Meyer,
L.Liebert, L.Strzelecki and P.Kekker: J.Phys.(Par
is)36(1975)L69参照) 。
【0005】図8は、強誘電性を示すSmC* 相のスメ
クティック層構造と分子配列をモデル的に示したもので
ある。層内における分子の重心位置は無秩序であるが、
図8(a)中にコーン101として模式的に示すよう
に、液晶分子の長軸(ダイレクタ102)はスメクティ
ック層を区切る層面103の法線である層法線zに対し
て一定の角度θだけ傾いている。なお、ダイレクタ10
2の傾く方向は、層から層へわずかずつずれ、この結
果、液晶の配向は螺旋構造をなしている。螺旋のピッチ
(ヘリカルピッチ)は、1μm程度であり約1nmの層
間隔よりはるかに大きい。
【0006】Clark とLagerwall は、セル厚が1μm程
度(螺旋のピッチと同程度)の厚さになると、この螺旋
構造が消滅して図8(b)に示すように、各層の分子1
04が印加される電界の方向に応じて双安定状態のいず
れかをとることを発見し、表面安定化型強誘電性液晶素
子(SSFLC:Surface Stabilized FerroelectricLi
quid Crystal)を提案した。これは、特開昭56−10
7216号公報、および米国特許第4367924号等
に開示されている。なお、図8(b)では、分子104
に印加されている電界Eの向きは、紙面に対して垂直か
つ紙面裏側から表側に向かう方向である。そして、分子
104の電気双極子モーメントは、同図(b)に示すよ
うに、印加電界Eの向きに対して各分子すべて揃った状
態になる。
【0007】図9を参照しながら、さらにSSFLCの
動作原理について説明する。薄セルとして形成されたS
SFLCの分子104は、同図に示すとおり、印加され
る電界の方向に応じて、状態Aおよび状態Bの2つの安
定状態のいずれかをとる。なお、同図に示す状態Aで
は、分子104に印加されている電界の向き−Eは、同
図の紙面に対して垂直かつ紙面表側から裏側へ向かって
おり、状態Bでは電界の向き+Eは、紙面に対して垂直
かつ紙面裏側から表側に向かう方向である。
【0008】このため、直交する2枚の偏光子の間に、
例えば状態Bのときの分子長軸が偏光子の一方の方向
(同図中に矢印で示す方向111)と平行になるように
SSFLCセルを配置することにより、状態Aの場合に
は光が透過して明状態となり、状態Bの場合には光が遮
断されて暗状態となる。すなわち、印加電界Eの方向を
切り換えることによって、白黒の表示を行うことが可能
となる。
【0009】このSSFLCでは、自発分極と電界とが
直接相互作用して駆動トルクが発生するために、通常の
ネマティック液晶における誘電異方性を用いたスイッチ
ングとは異なって、電界に対してμs(マイクロ秒)オ
ーダーの高速応答が可能である。また、SSFLCは、
双安定状態のいずれかに一旦スイッチすると電界が消滅
してもその状態を保つ、いわゆるメモリ性をもつことか
ら、常に電圧を印加し続ける必要はない。
【0010】以上のように、SSFLC型の液晶表示素
子は、高速応答性とメモリ性という特徴を利用すること
により、1走査線ごとに高速で表示内容を書き込んでゆ
くことができ、単純マトリックス駆動で大容量のディス
プレイを実現することが可能となり、壁掛けテレビへの
応用も期待されている。
【0011】ところで、このような強誘電性液晶素子に
は、τ−Vminモード用強誘電性液晶材料を用いるの
が好ましい。τ−Vminモードとは、素子にモノパル
ス電圧を印加した場合、すべての液晶分子が完全にスイ
ッチするために必要なパルス幅(τ)とパルス波高値
(V)との関係を示す曲線(いわゆるτ−V曲線)が、
例えば図10に示すように、極小値を有するモードのこ
とである。負の誘電異方性をもつ液晶組成物、もしくは
大きな正の二軸誘電異方性をもつ液晶組成物がこのτ−
Vmin特性を示すことが知られている。
【0012】ここで、τ−Vmin特性について詳しく
説明する。
【0013】図11は、SSFLCのシェブロン構造に
おける液晶分子Mの配向状態を模式的に示す説明図であ
る。液晶分子のダイレクタn(x,y,z)は、図11
に示すチルト角θ、スメクティック層SLの傾斜角δ、
方位角φを用いて、次の式(1)のように表すことがで
きる。
【0014】
【数1】
【0015】ここで、パルス電場による液晶分子のスイ
ッチング挙動は、自発分極PS 、誘電異方性の印加
電場Eとの相互作用、および基板界面と液晶分子との
相互作用の3点を主に考慮に入れなくてはならない。分
極のエネルギfPsおよび誘電のエネルギfεは、それぞ
れ以下の式(2)、(3)のように表される。
【0016】
【数2】
【0017】
【数3】
【0018】ここで、εは基板垂直方向の誘電率で、誘
電異方性Δε=ε3 −ε1 、二軸誘電異方性∂ε=ε2
一ε1 を用いて式(4)のように表される。
【0019】
【数4】
【0020】なお、ε1 、ε2 、ε3 は、それぞれ図1
1に示す方向の誘電率であり、ε3は分子長軸方向の誘
電率、ε2 は分子長軸とチルト面の両方に垂直な方向す
なわち自発分極方向の誘電率、ε1 はε2 とε3 の両方
に垂直な方向の誘電率を示している。
【0021】次に、基板界面の束縛エネルギfS は、ア
ンカリング強度W、初期の液晶分子の方位角φ0 を用い
て、式(5)のように近似的に表される。
【0022】
【数5】
【0023】以上を用いてSSFLCに電場を印加した
ときの全自由エネルギFは、式(6)のように表され
る。
【0024】
【数6】
【0025】単位体積あたりの自由エネルギをf、回転
粘性係数をηとすると、トルクバランス方程式は式
(7)のように表されるので、
【0026】
【数7】
【0027】液晶分子の最終的な運動方程式は式(8)
のように表される。
【0028】
【数8】
【0029】式(8)において、自発分極と電界との相
互作用によって生ずる自発分極トルクは右辺第1項、誘
電トルクは右辺第2項で表されている。そのため、右辺
第2項の電場Eの2乗の係数が負の場合には、液晶分子
がセル界面に平行となるように誘電トルクが働くことに
なり、光学応答の立ち上がりが遅くなる。また、ある大
きさ以上の電界を印加したときには、自発分極に基づく
トルクに誘電トルクとアンカリングの強度の和が勝り、
スイッチングを抑え込むように作用する。そのため、高
い電界を印加した場合には逆に長いパルス幅を必要とす
ることになり、図10に示すように、τ−V曲線は極小
値(Vmin,τmin)を示す。この特性を利用した
駆動を、τ−Vminモードと呼んでいる。
【0030】なお、上記τ−Vminモードを利用する
と、次のような利点がある。パルス幅τSWのパルス電界
を印加する場合を考えるとき、αの領域ではスイッチン
グは起こらないが、しきい値電圧以上の領域βでは、ス
イッチングが起こる。τ−V曲線が極小値をもたないな
らば、この領域間でスイッチングを制御することになる
のだが、τ−V曲線が極小値をもつ場合は高電界の領域
γでもスイッチングが起こらないことから、これらの3
領域を利用してスイッチング制御を行うことができる。
すなわち、α−β領域間で行っていたスイッチング制御
を、β−γ領域間でのスイッチング制御に変えることも
可能となるわけである。また、β−γ領域間スイッチン
グ制御は、α−β領域間のそれに比較して駆動マージン
が広いという利点がある。
【0031】さらに、式(8)の電場Eの2乗の係数が
負であるということを利用して、非スイッチング時にA
C電界を印加し、双安定状態を安定させるというACス
タビライズ効果(J.C.Jones, M.J.Towler and E.P.Rayn
es: Ferroelectrics 121(1991)91参照)が利用できると
いう利点ももっている。この効果によって、メモリ角が
広がり、高コントラスト、高明度が実現できる。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】強誘電性液晶表示装置
の問題点の一つとして、温度変化によるスイッチング特
性の変化が著しいことが挙げられる。この問題に対する
従来技術としては、ファンやヒータを用いてパネルの温
度を一定に保つ方法があるが、装置やコストの増大化等
の理由から現実的ではない。また、特開平6−1100
37号公報では温度に応じて駆動波形を調整する方法を
開示している。しかし、この方法も温度感知に対するシ
ステムの構築やドライバコストの増大などの点で問題が
ある。また、特開平8−152590号公報では、τ−
Vminモード用強誘電性液晶材料においてVminが
温度低下に従い一定、もしくは増大する液晶材料を開示
している。しかし、Vminの挙動に注目し、その温度
特性を制御しても、必ずしも温度変化に対して安定した
駆動条件を確保できるとは限らず、本質的な改善策とは
言えない。
【0033】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、駆動温度マージンが広く、温
度変化に対しても安定した駆動を実現する強誘電性液晶
材料ならびに該材料を用いた液晶素子およびその製造方
法を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る強
誘電性液晶材料は、上記の課題を解決するために、τ−
Vminモード用強誘電性液晶材料であって、モノパル
ス電圧印加時のτ−V曲線において、極小値をとる電圧
以上の電圧領域で、τの値が無限大に発散する電圧Vk
が、当該材料が強誘電相を示す温度範囲内の少なくとも
5℃の温度幅をもつある温度範囲で、Tを温度、dを液
晶層の厚さとすると、|ΔVk /dΔT|≦0.2[V
/Kμm]を満たすことを特徴としている。
【0035】これによって、温度が変化してもτ−V曲
線がV=Vk に沿うように動くので、モノパルス印加時
にτを一定としたとき、印加電圧はV=Vk ±ΔVd
−Vk ±ΔVd (ただし、Vd は、信号電極に印加され
る電圧)で常にスイッチングを制御できる。
【0036】例えば、厚さ1.5μmのパネル面内の領
域間に最大5℃の温度差が生じたとしても、|ΔVk
dΔT|≦0.2[V/Kμm]の条件を満たしていれ
ば、ΔVk ≦1.5[V]であるから、現状、Vd ≧5
[V]である強誘電性液晶ディスプレイ(P.W.H.Surgu
y, P.J.Ayliffe, M.J.Birch, M.F.Bone, I.Coulson, W.
A.Crossland, J.R.Hughes, P.W.Ross, F.C.Saunders an
d M.J.Towler, Ferroelectrics 122(1991)63 参照)に
おいて、同一駆動波形での駆動が可能となる。
【0037】また、将来、低消費電力ディスプレイやそ
の他の光学素子に使用する場合に、Vd が2[V]程度
となった場合でも、十分対応可能である。さらに、本発
明によれば、パネルの面内温度ムラのみならず、外的気
温の変化に対しても安定した駆動が可能となるわけであ
る。
【0038】上記の電圧Vk は、換言すれば、τ−V曲
線が限りなく直線V=Vk に近づく場合の電圧Vk の意
であり、直線V=Vk は、τ−V曲線の漸近線として定
義される。
【0039】なお、Vk の厳密な値は、図10を参照し
て説明する以下の手順で求める。
【0040】1.まず、モノパルス電界を試料に印加し
て、顕微鏡視野内が50%スイッチングするときのパル
ス幅−パルス波高値曲線(τ−V曲線)を求める(図1
0の白丸参照)。
【0041】2.次いで、得られた曲線に対して、以下
の式を用い最適当てはめを行う(図10の実線参照)。
【0042】
【数9】
【0043】ここで、k、l、m、nは、
【0044】
【数10】
【0045】
【数11】
【0046】
【数12】
【0047】であり、最適当てはめの際の変数は、k、
m、W、φ0 である。これらの式は(8)式より得られ
る。
【0048】3.そして、最適当てはめ曲線から、Vm
inより高い電圧領域においてτの値が発散するときの
電圧値Vk を求める。
【0049】請求項2の発明に係る強誘電性液晶材料
は、上記の課題を解決するために、請求項1の特徴に加
えて、少なくとも25℃から40℃の温度範囲で、|Δ
k /dΔT|≦0.2[V/Kμm]を満たすことを
特徴としている。
【0050】これによって、広い温度領域において同一
駆動条件でのスイッチングの制御が可能となる。
【0051】請求項3の発明に係る強誘電性液晶材料
は、上記の課題を解決するために、請求項1の特徴に加
えて、TcをSmC* 相とSmA相との相転移点とする
と、少なくとも0℃からTc−10℃の温度範囲で、|
ΔVk /dΔT|≦0.2[V/Kμm]を満たすこと
を特徴としている。
【0052】これによって、より一層広い温度領域にお
いて同一駆動条件でのスイッチングの制御が可能とな
る。
【0053】請求項4の発明に係る強誘電性液晶材料
は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし3の
いずれかの特徴に加えて、前記電圧Vk が、60V以下
であることを特徴としている。
【0054】これによって、駆動に用いる駆動回路の耐
圧から要求される当該液晶材料の低電圧駆動が可能にな
る。さらに、前記電圧Vk は、45V以下であることが
好ましい。
【0055】請求項5の発明に係る強誘電性液晶材料
は、上記の課題を解決するために、自発分極をPS 、ス
メクティック層傾斜角をδ、および、Aを、A=ε
0 [(Δεsin2θ−∂ε)cos2δ−Δεsin 2θsin 2
δ/4](ただし、ε0 は真空の誘電率、Δεは誘電異
方性、∂εは二軸誘電異方性、θはチルト角を表す。)
とするとき、当該材料が強誘電相を示す温度範囲内の少
なくとも5℃の温度幅をもつある温度範囲で、|Δ(P
S cos δ)/ΔA|≦8.0x105 [V/m]を満た
すことを特徴としている。
【0056】これによって、温度変化に対して広い駆動
マージンを得ることが可能になる。
【0057】これは、上記した(9)式から以下の(1
3)式が近似的に得られるからである。なお、上記の
式、すなわち、|Δ(PS cos δ)/ΔA|≦8.0x
105[V/m]は、液晶層の厚さ1.5μmの液晶素
子において5℃の温度差が生じたとしても、△Vk
1.5[V]となる条件を以下の(13)式から導いた
ものである。また、この計算では、π/2−φ0 =0.
4なる表面安定化強誘電性液晶の一般的な値を用いてい
る。
【0058】
【数13】
【0059】請求項6の発明に係る強誘電性液晶材料
は、上記の課題を解決するために、請求項5の特徴に加
えて、τ−Vminモード用強誘電性液晶材料であっ
て、モノパルス電圧印加時のτ−V曲線において、極小
値をとる電圧以上の電圧領域で、τの値が無限大に発散
する電圧Vk が、60V以下であることを特徴としてい
る。
【0060】これによって、駆動に用いる駆動回路の耐
圧から要求される当該液晶材料の低電圧駆動が可能にな
る。さらに、前記電圧Vk は、45V以下であることが
好ましい。
【0061】請求項7の発明に係る液晶素子は、上記の
課題を解決するために、請求項1ないし6のいずれか1
項に記載の強誘電性液晶材料を一対の基板の間に注入し
て液晶層を設けた液晶素子であって、前記基板に塗布さ
れた配向膜と前記液晶層との界面における液晶分子にプ
レチルトが付与され、該プレチルトの方向と、スメクテ
ィック層構造の折れ曲がり方向とが前記基板ほぼ全面に
わたって同一に形成されていることを特徴としている。
【0062】上記の構成によれば、液晶の配向として、
いわゆるC2配向が得られる。C2配向は、図12に示
すように、シェブロン層構造において、基板と液晶層と
の界面における液晶分子Mのプレチルトの方向と、スメ
クティック層の折れ曲がり方向とが同方向となる配向で
あり、スメクティック層の折れ曲がり方向が反対のC1
配向に比べ、低温度域、広温度範囲で安定し、応答速度
が速く、高コントラストを示す等の点で優れている。特
に、基板法線方向に液晶分子がねじれてないC2ユニフ
ォーム(C2U)が最も好ましい。
【0063】請求項8の発明に係る液晶素子は、上記の
課題を解決するために、請求項7の構成において、前記
プレチルトの角度が10°以下であることを特徴として
いる。
【0064】上記の構成によれば、C2配向の実現がよ
り容易なものとなる。すなわち、C1配向およびC2配
向の出現性はプレチルト角と関係があり、C2配向の実
現には10°以下のプレチルト角が好ましい。一般に、
C2配向は3°〜8°程度のプレチルト角を実現する配
向膜を用いることによって得られると考えられているの
で、かかる配向膜を用いて10°以下のプレチルト角を
実現すればよい。
【0065】請求項9の発明に係る液晶素子は、上記の
課題を解決するために、互いに平行な複数の走査電極上
に配向制御膜を備えた基板と、互いに平行な複数の信号
電極上に配向制御膜を備えた基板とを、前記走査電極と
前記信号電極とが互いに交差するよう貼り合わせ、両基
板間に、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の強誘
電性液晶材料を注入し、該走査電極と該信号電極との各
交差領域を画素とした液晶素子であって、任意に選択さ
れた画素に対し、第1パルス電圧V1に引き続いて第2
パルス電圧V2、または、第1パルス電圧−V1に引き
続いて第2パルス電圧−V2を印加して、前記選択され
た画素を構成する強誘電性液晶材料に含まれる液晶分子
を、2つの安定状態のうちの一方の安定状態とし、次い
で、前記選択された画素に対し、第1パルス電圧V3に
引き続いて第2パルス電圧V4、または、第1パルス電
圧−V3に引き続いて第2パルス電圧−V4を印加し
て、前記液晶分子の安定状態を保持する際に、0<V2
<V4、および、V2−V1<V4−V3なる関係にあ
るパルス電圧V1、V2、V3およびV4を用いて画素
を駆動することを特徴としている。
【0066】上記の構成によれば、請求項1ないし6の
いずれか1項に記載の強誘電性液晶材料を用いた場合
に、各画素の駆動を確実に行うことができる。
【0067】τ−Vminモード用強誘電性液晶の駆動
法としては、図13に示す駆動波形を用いたJOERS
/Alvey駆動法が報告されている(P.W.H.Surguy,
P.J.Ayliffe, M.J.Birch, M.F.Bone, I.Coulson, W.A.C
rossland, J.R.Hughes, P.W.Ross, F.C.Saunders and
M.J.Towler, Ferroelectrics 122(1991)63 参照)。な
お、同図においては、切換え時および非切換え時に信号
電極に印加される電圧波形がそれぞれ上段に示される一
方、選択時および非選択時に走査電極に印加される電圧
波形がそれぞれ左側に示される。
【0068】また、τ−Vminモード用強誘電性液晶
の他の駆動法としては、図14に示す駆動波形を一例と
するMalvern駆動法が知られている(WO92/
02925(PCT)参照)。このMalvern駆動
法は、図15に上記のJOERS/Alvey駆動法と
比較して示すように、1タイムスロットの0V部分と1
タイムスロットの0Vでないメインパルス部分を用いた
駆動波形によるJOERS/Alvey駆動法に対し
て、メインパルス幅を任意の長さに変えられるようにし
たものであり、電圧を印加するタイミングを電極間で重
ねられ、ラインアドレスタイムを小さくできるので好ま
しい駆動法の1つである。
【0069】図14に示す駆動波形は、Malvern
−3駆動波形と呼ばれるもので、走査電極の選択期間は
1スロットの0Vと3スロットのVs(走査電極へ印加
する電圧波高値)とから構成され、選択期間は4スロッ
トで2スロット分だけ次の走査電極の選択期間と重なり
合っている。一方、信号電極からの波形は、+Vdと−
Vdとで構成され、求められる表示に応じてその順序が
決定される。
【0070】本発明の構成によれば、これらいずれかの
駆動法において、選択された走査電極上の画素へ、第1
パルスV1に引き続いて第2パルスV2、または、第1
パルス−V1に引き続いて第2パルス−V2を印加し
て、前記選択された画素を構成する強誘電性液晶材料に
含まれる液晶分子を、電圧印加前の安定状態によらず、
印加電圧の極性により2つの安定状態のうちのいずれか
一方の安定状態とする。次いで、同じ画素へ、第1パル
ス電圧V3に引き続いて第2パルス電圧V4、または、
第1パルス電圧−V3に引き続いて第2パルス電圧−V
4を印加して、前記液晶分子の安定状態を保持する。こ
の際、パルス電圧V1、V2、V3およびV4として、
0<V2<V4、および、V2−V1<V4−V3なる
関係にあるV1、V2、V3およびV4を用いる。すな
わち、選択期間最初の2タイムスロットにおいて、書換
えに適用する波形よりも保持に適用する波形の方が、第
2パルス電圧が高く、かつ、第1パルスと第2パルスと
の電圧差が大きいものとする。
【0071】例えば、このような電圧V1、V2、V3
およびV4は、図13の駆動波形および図14の駆動波
形において、ともに、V1=Vd、V2=Vs−Vd、
V3=−Vd、V4=Vs+Vdとなる。
【0072】請求項10の発明に係る液晶素子の製造方
法は、上記の課題を解決するために、電極上に配向制御
膜を備えた一対の絶縁性基板の間に液晶層を設けた液晶
素子の製造方法において、請求項1ないし6のいずれか
1項に記載の強誘電性液晶材料を、該材料がN* 相もし
くはI相となる温度で両基板間に注入して、前記液晶層
を形成することを特徴としている。
【0073】これによって、請求項1ないし6のいずれ
か1項に記載の強誘電性液晶材料を用いて適切な液晶層
を形成することができる。
【0074】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1〜図7および図14に基づいて説明すれば、以下の通
りである。
【0075】本形態に係る液晶素子は、表示装置に適用
される強誘電性液晶セルであって、液晶材料として後述
の強誘電性液晶を用いて液晶層を形成した液晶素子で
ある。図1には、かかる液晶素子として、強誘電性液晶
の特性の測定にも用いた強誘電性液晶セルの概略的構
成が示される。
【0076】図1に示すように、上記の強誘電性液晶セ
ルは、互いに対向する2枚のガラス基板1・2の間に、
液晶層9を備えた構成である。ガラス基板1上には、そ
れぞれ膜厚100nm程度の透明なITO膜からなり、
互いに平行となるよう形成された複数の信号電極3が設
けられており、さらに信号電極3を覆うように、膜厚3
0nmの絶縁膜4および膜厚30nmの配向膜7が順次
設けられている。一方、ガラス基板2上には、それぞれ
膜厚100nm程度の透明なITO膜からなり、互いに
平行となるよう形成された複数の走査電極5が設けられ
ており、さらに走査電極5を覆うように、膜厚30nm
の絶縁膜6および膜厚30nmの配向膜8が順次設けら
れている。
【0077】配向膜7・8にラビング処理が施された
後、両ガラス基板1・2は、信号電極3と走査電極5と
が互いに直交するよう配置され、シール剤10によって
貼り合わされる。貼り合わされた状態で、両基板1・2
の間、つまり配向膜7と配向膜8との間の間隔は、スペ
ーサ(図示せず)によって、ほぼ均一に1.4μmに保
たれている。
【0078】次いで、両基板1・2の間に、強誘電性液
晶を、この液晶がN* 相もしくはI相となる温度で
注入して、液晶層9を形成する。
【0079】また、両基板1・2の外側に、それぞれ偏
光板11・12を設ける。偏光板11・12は、両者の
偏光軸が互いに直交するよう配置される。
【0080】次に、強誘電性液晶の作製方法について
説明する。
【0081】大きな二軸誘電異方性をもつアキラルなべ
ース液晶に、自発分極が反転することが知られているキ
ラル化合物(PPy8.06)を5%添加して、強誘電
性液晶を作製した。強誘電性液晶の相転移温度、お
よび、キラル化合物(PPy8.06)の構造式は以下
の通りである。
【0082】○強誘電性液晶の相転移温度 SmC* −64.2℃−SmA−91.9℃−N* −103.1 ℃−
I ○キラル化合物(PPy8.06)の構造式
【0083】
【化1】
【0084】また、比較例として、大きな二軸誘電異方
性をもつアキラルなベース液晶に、γ−ラクトン系キラ
ル化合物を2.5%添加した強誘電性液晶を作製し、
これを上記と同様のセルに注入して、液晶素子の液晶層
を形成した。なお、強誘電性液晶の相転移温度、およ
び、γ−ラクトン系キラル化合物の構造式は以下の通り
である。
【0085】○強誘電性液晶の相転移温度 SmC* −66.4℃−SmA−91.4℃−N* −103.0 ℃−
I ○γ−ラクトン系キラル化合物
【0086】
【化2】
【0087】図2および図3には、強誘電性液晶・
のτ−V曲線が示される。強誘電性液晶のほうが、強
誘電性液晶に比べて温度変化に伴う電圧方向のシフト
量が少ないことがわかる。
【0088】実際に、上記の(9)式による最適当ては
めを、図2および図3に示す曲線に対して行うことによ
ってVk の温度依存性を求めると、図4に示すようにな
り、強誘電性液晶のVk の値はほとんど温度に依存し
ていないことがわかる。このとき、−50≦T−Tc≦
−20(ただし、Tは温度、TcはSmC* 相とSmA
相との相転移点)におけるΔVk /dΔTの値は、以下
の表のようになっている。
【0089】
【表1】
【0090】このような挙動は、添加したキラル化合物
が誘起する自発分極の温度特性と、ベース液晶に大きく
依存する誘電異方性の温度特性とのマッチングに基づい
ている。すなわち、上記の(13)式が示すように、P
S cos δとA(A=ε0 [(Δεsin2θ−∂ε)cos2δ
−Δεsin 2θsin 2δ/4])との温度依存性が相殺
されれば、Vk の値が温度に依存しない定数となるわけ
である。
【0091】実際、ベース液晶の誘電異方性に関するパ
ラメータであるAは、温度増加に伴いほぼ線形に減少す
るのに対して、強誘電性液晶・の自発分極は、図5
に示すように変化する。図5からわかるように、強誘電
性液晶の自発分極は、温度増加に対してほぼ線形に減
少しており、その結果Vk の値が温度にほとんど依存し
なくなるわけである。
【0092】図6および図7には、τ−Vminモード
用駆動法の1つであるMalvern−3駆動法(図1
4参照)によって駆動したときの、強誘電性液晶・
を用いた各液晶素子の駆動領域の温度依存性が示され
る。なお、図6および図7に示すτは、図14に示す駆
動法における1タイムスロットを表している。また、図
6および図7において、駆動領域がそれぞれ斜線部にて
示される。
【0093】図7に示すように、強誘電性液晶を用い
た液晶素子の駆動領域は、温度依存性が大きく、温度が
ある程度変化すると同一駆動電圧波形での駆動が不可能
になるのに対し、強誘電性液晶を用いた液晶素子で
は、図6に示すように、同一駆動電圧波形での駆動が広
い温度に渡って可能であることがわかる。
【0094】以上のように、τ−Vminモード用強誘
電性液晶材料であって、−50≦T−Tc≦一20、す
なわち、64.2−50=14.2≦T≦44.2=64.2−20の温度範
囲で、ΔVk /dΔTの値が0.065[V/Kμm]
である強誘電性液晶を用いることで、駆動温度マージ
ンが広くなり、温度変化に対しても安定した駆動を実現
できる。
【0095】なお、本発明の強誘電性液晶材料として
は、上記の強誘電性液晶に限られるものではなく、種
々のホスト液晶とキラル液晶とを組み合わせることによ
り本発明の液晶材料を作製できる可能性がある。一般
に、強誘電性液晶はホスト液晶にキラル液晶を添加した
ものからなっており、ホスト液晶で粘性や誘電異方性、
転移温度等を調節し、キラル液晶で応答速度等を調節し
ているが、ホスト液晶にτ−Vminモードの液晶を用
い、これに適切なキラル液晶を適当量添加することで、
本発明の液晶材料を作製できる可能性がある。また、こ
のようなキラル液晶として、例えば、「液晶とディスプ
レイ応用の基礎(吉野・尾崎共著、コロナ社、1994
年5月20日発行)」の208頁に記載されるキラル化
合物を使用できる可能性がある。
【0096】
【発明の効果】請求項1の発明に係る強誘電性液晶材料
は、以上のように、τ−Vminモード用強誘電性液晶
材料であって、モノパルス電圧印加時のτ−V曲線にお
いて、極小値をとる電圧以上の電圧領域で、τの値が無
限大に発散する電圧Vk が、当該材料が強誘電相を示す
温度範囲内の少なくとも5℃の温度幅をもつある温度範
囲で、Tを温度、dを液晶層の厚さとすると、|ΔVk
/dΔT|≦0.2[V/Kμm]を満たす材料であ
る。
【0097】これによって、Vk の温度依存性を低くす
ることができる。
【0098】それゆえ、液晶表示素子等に用いた場合に
も、駆動温度マージンが広くなり、温度変化に対しても
安定した駆動を実現できる。
【0099】請求項2の発明に係る強誘電性液晶材料
は、以上のように、請求項1の特徴に加えて、少なくと
も25℃から40℃の温度範囲で、|ΔVk /dΔT|
≦0.2[V/Kμm]を満たす材料である。
【0100】これによって、広い温度領域において同一
駆動条件でのスイッチングの制御が可能となる。
【0101】請求項3の発明に係る強誘電性液晶材料
は、以上のように、請求項1の特徴に加えて、TcをS
mC* 相とSmA相との相転移点とすると、少なくとも
0℃からTc−10℃の温度範囲で、|ΔVk /dΔT
|≦0.2[V/Kμm]を満たす材料である。
【0102】これによって、より一層広い温度領域にお
いて同一駆動条件でのスイッチングの制御が可能とな
る。
【0103】請求項4の発明に係る強誘電性液晶材料
は、以上のように、請求項1ないし3のいずれかの特徴
に加えて、前記電圧Vk が、60V以下である材料であ
る。
【0104】これによって、駆動に用いる駆動回路の耐
圧から要求される当該液晶材料の低電圧駆動が可能にな
る。さらに、前記電圧Vk は、45V以下であることが
好ましい。
【0105】請求項5の発明に係る強誘電性液晶材料
は、以上のように、自発分極をPS 、スメクティック層
傾斜角をδ、および、Aを、A=ε0 [(Δεsin2θ−
∂ε)cos2δ−Δεsin 2θsin 2δ/4](ただし、
ε0 は真空の誘電率、Δεは誘電異方性、∂εは二軸誘
電異方性、θはチルト角を表す。)とするとき、当該材
料が強誘電相を示す温度範囲内の少なくとも5℃の温度
幅をもつある温度範囲で、|Δ(PS cos δ)/ΔA|
≦8.0x105 [V/m]を満たす材料である。
【0106】これによって、温度変化に対して広い駆動
マージンを得ることが可能になる。
【0107】請求項6の発明に係る強誘電性液晶材料
は、以上のように、請求項5の特徴に加えて、τ−Vm
inモード用強誘電性液晶材料であって、モノパルス電
圧印加時のτ−V曲線において、極小値をとる電圧以上
の電圧領域で、τの値が無限大に発散する電圧Vk が、
60V以下である材料である。
【0108】これによって、駆動に用いる駆動回路の耐
圧から要求される当該液晶材料の低電圧駆動が可能にな
る。さらに、前記電圧Vk は、45V以下であることが
好ましい。
【0109】請求項7の発明に係る液晶素子は、以上の
ように、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の強誘
電性液晶材料を一対の基板の間に注入して液晶層を設け
た液晶素子であって、前記基板に塗布された配向膜と前
記液晶層との界面における液晶分子にプレチルトが付与
され、該プレチルトの方向と、スメクティック層構造の
折れ曲がり方向とが前記基板ほぼ全面にわたって同一に
形成されている構成である。
【0110】これによって、液晶の配向として、いわゆ
るC2配向を得ることができる。
【0111】請求項8の発明に係る液晶素子は、以上の
ように、請求項7の構成において、前記プレチルトの角
度が10°以下である構成である。
【0112】これによって、C2配向の実現がより容易
なものとなる。
【0113】請求項9の発明に係る液晶素子は、以上の
ように、互いに平行な複数の走査電極上に配向制御膜を
備えた基板と、互いに平行な複数の信号電極上に配向制
御膜を備えた基板とを、前記走査電極と前記信号電極と
が互いに交差するよう貼り合わせ、両基板間に、請求項
1ないし6のいずれか1項に記載の強誘電性液晶材料を
注入し、該走査電極と該信号電極との各交差領域を画素
とした液晶素子であって、任意に選択された画素に対
し、第1パルス電圧V1に引き続いて第2パルス電圧V
2、または、第1パルス電圧−V1に引き続いて第2パ
ルス電圧−V2を印加して、前記選択された画素を構成
する強誘電性液晶材料に含まれる液晶分子を、2つの安
定状態のうちの一方の安定状態とし、次いで、前記選択
された画素に対し、第1パルス電圧V3に引き続いて第
2パルス電圧V4、または、第1パルス電圧−V3に引
き続いて第2パルス電圧−V4を印加して、前記液晶分
子の安定状態を保持する際に、0<V2<V4、およ
び、V2−V1<V4−V3なる関係にあるパルス電圧
V1、V2、V3およびV4を用いて画素を駆動する構
成である。
【0114】これによって、請求項1ないし6のいずれ
か1項に記載の強誘電性液晶材料を用いた場合に、各画
素の駆動を確実に行うことができる。
【0115】請求項10の発明に係る液晶素子の製造方
法は、以上のように、電極上に配向制御膜を備えた一対
の絶縁性基板の間に液晶層を設けた液晶素子の製造方法
において、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の強
誘電性液晶材料を、該材料がN* 相もしくはI相となる
温度で両基板間に注入して、前記液晶層を形成する方法
である。
【0116】これによって、請求項1ないし6のいずれ
か1項に記載の強誘電性液晶材料を用いて適切な液晶層
を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る液晶素子である強
誘電性液晶セルの概略的構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る強誘電性液晶材料を用いた上記強
誘電性液晶セルのモノパルス印加時のτ−V特性を示す
グラフである。
【図3】比較例の強誘電性液晶セルのモノパルス印加時
のτ−V特性を示すグラフである。
【図4】本発明に係る強誘電性液晶材料を用いた上記強
誘電性液晶セル、および比較例の強誘電性液晶セルにつ
いてのVk の温度依存性を示すグラフである。
【図5】本発明に係る強誘電性液晶材料を用いた上記強
誘電性液晶セル、および比較例の強誘電性液晶セルにつ
いての自発分極の温度依存性を示すグラフである。
【図6】本発明に係る強誘電性液晶材料を用いた上記強
誘電性液晶セルについて、Malvern−3駆動法を
用いて駆動した場合の駆動領域の温度依存性を示すグラ
フである。
【図7】比較例の強誘電性液晶セルについて、Malv
ern−3駆動法を用いて駆動した場合の駆動領域の温
度依存性を示すグラフである。
【図8】(a)は、強誘電性を示すSmC* 相の液晶分
子の配列を示す模式図であり、(b)は、ヘリカルピッ
チより薄いセルにおいて液晶分子の螺旋が解けた場合
で、紙面に対して垂直かつ紙面裏面から表面へ向かう方
向に電界が印加されたときの分子配置を、各液晶分子の
電気双極子モーメントの向きと共に示す模式図である。
【図9】表面安定化型強誘電性液晶表示素子の動作原理
を示す模式図である。
【図10】τ−Vminモード用強誘電性液晶のτ−V
特性を示すグラフである。
【図11】表面安定化型強誘電性液晶の液晶分子の配向
状態を示す模式図である。
【図12】強誘電性液晶のC1配向およびC2配向を説
明するための模式図である。
【図13】強誘電性液晶材料のτ−V特性を用いて強誘
電性液晶素子を駆動する場合のJOERS/Alvey
駆動法による駆動波形を示す図である。
【図14】強誘電性液晶材料のτ−V特性を用いて強誘
電性液晶素子を駆動する場合のMalvern−3駆動
法による駆動波形を示す図である。
【図15】JOERS/Alvey駆動法とMalve
rn駆動法とを比較して示す図であり、(a)は、JO
ERS/Alvey駆動法における走査電極への駆動波
形を示しており、(b)および(c)は、Malver
n駆動法における走査電極への駆動波形を示しており、
(d)は、JOERS/Alvey駆動法およびMal
vern駆動法における信号電極への駆動波形を示して
いる。(a)、(b)および(c)において、上段には
n番目の走査電極へ印加される波形が示され、下段には
(n+1)番目の走査電極へ印加される波形が示され
る。また、(b)と(c)とでは、メインパルス幅が互
いに異なる波形を用いて、走査電極へ電圧印加する駆動
法が示される。
【符号の説明】
1・2 ガラス基板(絶縁性基板) 3 信号電極 5 走査電極 4・6 絶縁膜 7・8 配向膜(配向制御膜) 9 液晶層 τ パルス幅 V パルス波高値

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】τ−Vminモード用強誘電性液晶材料で
    あって、モノパルス電圧印加時のτ−V曲線において、
    極小値をとる電圧以上の電圧領域で、τの値が無限大に
    発散する電圧Vk が、当該材料が強誘電相を示す温度範
    囲内の少なくとも5℃の温度幅をもつある温度範囲で、
    Tを温度、dを液晶層の厚さとすると、 |ΔVk /dΔT|≦0.2[V/Kμm] を満たすことを特徴とする強誘電性液晶材料。
  2. 【請求項2】少なくとも25℃から40℃の温度範囲
    で、 |ΔVk /dΔT|≦0.2[V/Kμm] を満たすことを特徴とする請求項1記載の強誘電性液晶
    材料。
  3. 【請求項3】TcをSmC* 相とSmA相との相転移点
    とすると、少なくとも0℃からTc−10℃の温度範囲
    で、 |ΔVk /dΔT|≦0.2[V/Kμm] を満たすことを特徴とする請求項1記載の強誘電性液晶
    材料。
  4. 【請求項4】前記電圧Vk が、60V以下であることを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の強
    誘電性液晶材料。
  5. 【請求項5】自発分極をPS 、スメクティック層傾斜角
    をδ、および、Aを、 A=ε0 [(Δεsin2θ−∂ε)cos2δ−Δεsin 2θ
    sin 2δ/4] (ただし、ε0 は真空の誘電率、Δεは誘電異方性、∂
    εは二軸誘電異方性、θはチルト角を表す。)とすると
    き、当該材料が強誘電相を示す温度範囲内の少なくとも
    5℃の温度幅をもつある温度範囲で、 |Δ(PS cos δ)/ΔA|≦8.0x105 [V/
    m] を満たすことを特徴とする強誘電性液晶材料。
  6. 【請求項6】τ−Vminモード用強誘電性液晶材料で
    あって、モノパルス電圧印加時のτ−V曲線において、
    極小値をとる電圧以上の電圧領域で、τの値が無限大に
    発散する電圧Vk が、60V以下であることを特徴とす
    る請求項5記載の強誘電性液晶材料。
  7. 【請求項7】請求項1ないし6のいずれか1項に記載の
    強誘電性液晶材料を一対の基板の間に注入して液晶層を
    設けた液晶素子であって、 前記基板に塗布された配向膜と前記液晶層との界面にお
    ける液晶分子にプレチルトが付与され、該プレチルトの
    方向と、スメクティック層構造の折れ曲がり方向とが前
    記基板ほぼ全面にわたって同一に形成されていることを
    特徴とする液晶素子。
  8. 【請求項8】前記プレチルトの角度が10°以下である
    ことを特徴とする請求項7記載の液晶素子。
  9. 【請求項9】互いに平行な複数の走査電極上に配向制御
    膜を備えた基板と、互いに平行な複数の信号電極上に配
    向制御膜を備えた基板とを、前記走査電極と前記信号電
    極とが互いに交差するよう貼り合わせ、両基板間に、請
    求項1ないし6のいずれか1項に記載の強誘電性液晶材
    料を注入し、該走査電極と該信号電極との各交差領域を
    画素とした液晶素子であって、 任意に選択された画素に対し、第1パルス電圧V1に引
    き続いて第2パルス電圧V2、または、第1パルス電圧
    −V1に引き続いて第2パルス電圧−V2を印加して、
    前記選択された画素を構成する強誘電性液晶材料に含ま
    れる液晶分子を、2つの安定状態のうちの一方の安定状
    態とし、次いで、前記選択された画素に対し、第1パル
    ス電圧V3に引き続いて第2パルス電圧V4、または、
    第1パルス電圧−V3に引き続いて第2パルス電圧−V
    4を印加して、前記液晶分子の安定状態を保持する際
    に、0<V2<V4、および、V2−V1<V4−V3
    なる関係にあるパルス電圧V1、V2、V3およびV4
    を用いて画素を駆動することを特徴とする液晶素子。
  10. 【請求項10】電極上に配向制御膜を備えた一対の絶縁
    性基板の間に液晶層を設けた液晶素子の製造方法におい
    て、 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の強誘電性液晶
    材料を、該材料がN*相もしくはI相となる温度で両基
    板間に注入して、前記液晶層を形成することを特徴とす
    る液晶素子の製造方法。
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