JPH11131999A - トンネル工事用ロックボルト - Google Patents

トンネル工事用ロックボルト

Info

Publication number
JPH11131999A
JPH11131999A JP31104297A JP31104297A JPH11131999A JP H11131999 A JPH11131999 A JP H11131999A JP 31104297 A JP31104297 A JP 31104297A JP 31104297 A JP31104297 A JP 31104297A JP H11131999 A JPH11131999 A JP H11131999A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lock bolt
tunnel
strength
thermosetting resin
anisotropy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31104297A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Tanaka
徹 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Seiko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Seiko Co Ltd filed Critical Tokyo Seiko Co Ltd
Priority to JP31104297A priority Critical patent/JPH11131999A/ja
Publication of JPH11131999A publication Critical patent/JPH11131999A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Piles And Underground Anchors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】仮設用の小規模トンネルを作りこれを拡幅して
大断面トンネルとする場合に、1部材で仮設用と永久用
の両アンカーロッド機能を発揮でき、拡幅時のボルト破
壊が容易で、大断面トンネル施工を簡易化し工期短縮を
図ることができるトンネル工事用アンカーボルトを提供
する。 【解決手段】トンネル掘削壁面から背後の地盤や岩盤に
打設されるロックボルトとして炭素繊維または全芳香族
ポリアミド繊維で代表される強度に異方性のある非金属
高性能繊維の撚り線状体または単線状体を筒状ホースの
外周に沿って延在する如く一体化した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトンネル工事用ロッ
クボルトに関する。
【0002】
【従来の技術】トンネル工事とりわけ山岳トンネル工事
においては、一般に種々の掘削機械を使用して切羽面を
掘削したり、発破によって切羽面を爆発する工法が採用
されており、いずれの場合にも、掘削したトンネルの壁
面の崩壊や土圧によるはらみ出しを防止するため、トン
ネルの掘削と併行してトンネルの壁面に放射状に多数の
ロックボルトを打設することが行われている。かかるロ
ックボルトとして、従来では一般に、長さが2〜5mの
棒状異形鉄筋が1本ものとしてあるいは接続具を介して
直列に連結する形態で使用されている。
【0003】ところで、施工対象のトンネルが直径10
mを越えるような大断面のものである場合、一般的に導
孔として断面積の比較的小さな仮設用トンネルをまず掘
削し、その後仮設用トンネルを拡幅して大断面の永久用
トンネルないし本トンネルに仕上げる工法が採用されて
いる。この工法において、大断面トンネルに拡幅する際
には、仮設用トンネル施工時に打設しておいたロックボ
ルトを仮設長さ分破壊することが必要になる。ところが
ロックボルトとして前記のように棒状異形鉄筋を用いた
場合には、せん断力の強い材料特性であるため、グライ
ンダーカッターや溶断ガスによる難作業となり、非常に
手間と時間がかかった。ことに高さが10mを越える不
安定な位置での作業になるため、安全対策上好ましくな
かった。
【0004】これを避けるためには、仮設用トンネルの
掘削時には大断面のトンネルの壁面に到らない長さの短
いロックボルトを打設し、大断面トンネル掘削時点で改
めて永久用ロックボルトを打設する方法しかなく、これ
また煩雑で作業性が悪いとともに工期の短縮化の妨げに
なるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような
問題点を解消するために創案されたもので、その目的と
するところは、仮設用の小規模トンネルを作りこれを拡
幅して大断面トンネルとする場合に、1部材で仮設用と
永久用の両アンカーロッド機能を発揮でき、拡幅時のボ
ルト破壊が容易で、大断面トンネル施工を簡易化し工期
短縮を図ることができるトンネル工事用アンカーボルト
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のトンネル用ロックボルトは、トンネル掘削
壁面から背後の地盤や岩盤に打設されるロックボルトで
あって、該ロックボルトが強度に異方性のある非金属高
性能繊維の撚り線条体または単線状体を筒状ホースの外
周に沿って延在する如く一体化した構成としている。上
記非金属高性能繊維の代表的なものとしては、熱硬化性
樹脂を含浸複合させた炭素繊維や全芳香族ポリアミド繊
維が挙げられる。
【0007】本発明のロックボルトにおいては、前記撚
り線状体または単線状体が1本以上が用いられ、筒状ホ
ースの外周に所要の角度で撚り合わされるか、筒状ホー
スと平行に配される。すなわち、その態様は以下のとお
りである。 撚り線状体が、強度に異方性のある非金属高性能繊維
に熱硬化性樹脂を含浸複合させた素線を複数本撚りあわ
せたストランドから構成され、該ストランドの複数本が
筒状ホースの外周に沿って撚り合わされた態様。 撚り線状体が、強度に異方性のある非金属高性能繊維
に熱硬化性樹脂を含浸複合させた素線を複数本撚りあわ
せたストランドから構成され、該ストランドの複数本が
筒状ホースの外周に沿って平行に配されている態様。 単線状体が、強度に異方性のある非金属高性能繊維に
熱硬化性樹脂を含浸複合させたものからなり、該単線状
体の複数本が筒状ホースの外周に沿って撚り合わされて
いる態様。 単線状体が強度に異方性のある非金属高性能繊維に熱
硬化性樹脂を含浸複合させたものからなり、該単線状体
の複数本が筒状ホースの外周に沿って平行に配されてい
る態様。
【0008】
【作用】本発明のトンネル用ロックボルトは通常のトン
ネル工事におけるトンネル壁面の崩壊、はらみ出し防止
のために使用される。しかし、最も効果的な使用対象は
大断面トンネルである。すなわち、小断面の仮設用トン
ネルを掘削し、この仮設用トンネルの壁面から周囲の地
盤または岩盤に、施工すべき大断面トンネルの壁面を越
えて伸びる深さのアンカー用孔を施工し、このアンカー
用孔に本発明によるトンネル用ロックボルトを挿入し、
充填材をアンカー用孔に充填して定着固定するものであ
る。そして、仮設用トンネルを拡幅して大断面トンネル
を掘削する時に、仮設用トンネルの壁面から施工すべき
大断面トンネルの壁面に到る間に延在する前記ロックボ
ルトの所要長を切断することで永久用ロックボルトとし
て使用するもので、この拡幅時に掘削機械から作用する
せん断力により、本発明による仮設用のロックボルト長
さ分は自動的に順次拡幅量に応じて破壊されるため、特
別な切断作業を不要とすることができる。
【0009】
【発明の実施の態様】以下本発明の実施態様を添付図面
を参照して説明する。図1は本発明によるトンネル工事
用ロックボルトを適用したトンネルを示しており、Tは
掘削したトンネル、tは掘削壁面であり、本発明による
ロックボルトRは多数本が前記掘削壁面tから背後の地
盤または岩盤gに放射状に打設されている。そして掘削
壁面tにはコンクリート層Cが形成されている。
【0010】図2は本発明によるロックボルトRの第1
態様を示しており、中心の筒状ホース1の周りに、複数
本この例では6本の強度に異方性のある非金属高性能繊
維からなるストランド2を配し、それらストランド2を
所要の撚り角度で撚り合わせており、ストランド2と筒
状ホース1は相対移動しないように一体化されている。
前記各ストランド2は、強度に異方性のある非金属高性
能繊維からなる素線20を複数本撚りあわせることで構
成されている。ここで「強度に異方性のある非金属高性
能繊維」とは、引張り力が強いが反面せん断強度が弱い
特性を持つ繊維であり、この例としては、炭素繊維、全
芳香族ポリアミド繊維、炭化珪素繊維などが挙げられ
る。
【0011】前記構成を詳細に説明すると、前記素線2
0とストランド2は、前記非金属高性能繊維にマトリッ
クスとしての熱硬化性樹脂例えばエポキシ樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などを含浸、硬化
させた複合体からなっているもので、その製造法は任意
であるが、たとえば、次のようにして作られる。すなわ
ち、素線20はたとえば多数本の非金属高性能繊維のフ
ィラメント200の束に図2(c)で斜線で示す熱硬化
性樹脂201を含浸させ、賦形ダイスで成形と余剰樹脂
を除去した後、表面にタルク等の乾燥剤をまぶして乾燥
してプリプレグされる。あるいはさらにその外周に繊維
を巻き付けたり編組体で覆ったりしていてもよい。スト
ランド2は、こうした複数本の素線20を、これに含浸
させた熱硬化性樹脂が未硬化または半硬化の状態で撚り
合わせることで得られる。
【0012】そして、筒状ホース1を繰り出しながら複
数本のストランド2を、熱硬化性樹脂が未硬化または半
硬化の状態のまま、前記筒状ホース1の周りに配し、ス
トランドの撚り方向と反対方向で所定の撚り角度で撚り
合わせる。これにより筒状ホース1を芯としてその周り
に強度に異方性のある非金属高性能繊維からなる複数本
のストランド2が一体的に組み付けられたものとなる。
あとは、この状態で、熱処理装置に導入し、素線20に
含浸されている未硬化または半硬化の熱硬化性樹脂を硬
化させればよい。これで図2に示す非金属高性能繊維型
ロックボルトRとなる。
【0013】かかる非金属高性能繊維型ロックボルトR
では、隣接するストランド2同士が、にじみ出た熱硬化
性樹脂の薄い層202によって接着されることで一体化
され、その熱硬化性樹脂は筒状ホース1の外面にもにじ
み出るため、筒状ホース1とも接着される。前記筒状ホ
ース1は適度に柔軟性のある高分子系材料からなってい
ることが好ましく、その高分子系材料としてはマトリッ
クス樹脂としての熱硬化性樹脂の硬化温度たとえば10
0〜130℃に耐えられるものであることが必要であ
り、例としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、
ポリイミド系樹脂などの耐熱性樹脂が挙げられる。筒状
ホース1はストレートなチューブであってもよいし、ジ
ャバラ状をなしていてもよい。後者の場合にはロットボ
ルトとして可撓性が増大する利点がある。また、場合に
よっては筒状ホース1は適度の大きさと間隔で孔があい
ていてもよい。
【0014】なお、非金属高性能繊維型ロックボルトR
は可撓性があるが、さらに可撓性を増加したい場合に
は、ストランド2を接着している熱硬化性樹脂の薄い層
が除去された構造とすればよい。これは、前記熱処理装
置による熱処理後、しごき装置に導入して機械的に曲げ
を与えるなどすることで実現することができ、ストラン
ド2は独立性が強くなるため、曲げやすくなる。
【0015】図3(a)(b)は本発明によるロックボ
ルトRの第2態様を示しており、中心の筒状ホース1の
周りに複数本の強度に異方性のある非金属高性能繊維か
らなるストランド2を筒状ホース1と平行状に配し、そ
れらストランド2を筒状ホース1とみだりに相対移動し
ないように一体化させている。この態様においてもスト
ランド2はそれぞれ強度に異方性のある非金属高性能繊
維からなる素線20を複数本(この例では7本)撚りあ
わせることで構成されており、具体的には、非金属高性
能繊維にマトリックスとしての熱硬化性樹脂例えばエポ
キシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂
を含浸、硬化させた複合体からなっている。ストランド
2はこうした複数本の素線20を、含浸させた熱硬化性
樹脂が未硬化または半硬化の状態で撚り合わせることで
得られる。
【0016】かかるストランド2と筒状ホース1との組
み付けは、たとえば2つの態様が挙げられる。その一つ
は、第1態様と同様に、筒状ホース1の周りに熱硬化性
樹脂が未硬化または半硬化状態のストランド2を配し、
全体をダイス類に通して賦形し、熱処理して熱硬化性樹
脂を硬化し、隣接する同士のストランド2を熱硬化性樹
脂の薄い層により接着一体化する形式であり、これはま
た筒状ホース1と接着することも含んでいる。他の態様
は、熱硬化性樹脂を含浸させた複数本の素線20を熱硬
化性樹脂が未硬化または半硬化の状態で撚り合わせてス
トランド2を作り、この状態で熱処理して熱硬化性樹脂
を硬化させ、こうした熱硬化性樹脂の硬化した複数本の
ストランド2を筒状ホース1の外周に配し、結束手段3
によって筒状ホース1と一体化する形式である。この後
者の形式の場合には、筒状ホース1は加熱されないの
で、材質的には任意のものを使用できる。すなわち、ナ
イロン、ポリエチレンなどのほか、ゴムも使用できる。
また、各ストランド2間には隙間があってもよいことに
なる。
【0017】前記結束手段3としてはバンドを用いても
よいし、粘着テープを用いこれを螺旋状に巻き付けても
よいし、合成繊維製の細い条体を用い、これを螺旋状に
巻き付けてもよい。
【0018】図4(a)(b)は本発明によるロックボ
ルトRの第3態様を示しており、この中心の筒状ホース
1の周りに複数本の強度に異方性のある非金属高性能繊
維からなる単線状体2’を配し、それら単線状体2’を
所要の撚り角度で撚り合わせており、単線状体2’と筒
状ホース1はみだりに相対移動しないように一体化され
ている。単線状体2’は、前記第1および第2態様にお
ける素線に相当するものであり、非金属高性能繊維にマ
トリックスとしての熱硬化性樹脂例えばエポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を含浸、硬
化させた複合体からなっている。
【0019】具体的には、多数本の非金属高性能繊維の
フィラメント200の束に熱硬化性樹脂201を含浸さ
せ、賦形ダイスで成形と余剰樹脂を除去した後、表面に
タルク等の乾燥剤をまぶして乾燥し、あるいはさらにそ
の外周に繊維を巻き付けたり編組体で覆った棒状のプリ
プレグを使用し、筒状ホース1を繰り出しながら熱硬化
性樹脂が未硬化または半硬化の状態のまま、前記筒状ホ
ース1の周りに配し、所定の撚り角度で撚り合わせる。
【0020】これにより筒状ホースを芯としてその周り
に複数本の単線状体2’が一体的に組み付けられたもの
となる。あとは、この状態で、熱処理装置に導入し、単
線状体2’に含浸されている未硬化または半硬化の熱硬
化性樹脂を硬化させればよい。撚り合わされた単線状体
2’は相互間がにじみ出た熱硬化性樹脂の薄い層によっ
て接着されることで一体化され、その熱硬化性樹脂は筒
状ホース1の外面にもにじみ出るため、筒状ホース1と
も接着される。
【0021】図5は本発明によるロックボルトRの第4
態様を示しており、中心の筒状ホース1の周りに複数本
この例では12本の強度に異方性のある非金属高性能繊
維からなる単線状体2’を筒状ホースと平行状に配し、
それら単線状体2’を筒状ホース1とみだりに相対移動
しないように一体化させている。この場合にも、単線状
体2’は前記第3態様と同じように、非金属高性能繊維
にマトリックスとしての熱硬化性樹脂例えばエポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を含
浸、硬化させた複合体からなっている。単線状体2’と
筒状ホース1との組み付けは、2つの態様が挙げられ
る。すなわち、その一つは筒状ホース1の周りに熱硬化
性樹脂が未硬化または半硬化状態の単線状体2’を配
し、全体をダイス類に通して賦形し、熱処理して熱硬化
性樹脂を硬化し、隣接する同士の単線状体2’を熱硬化
性樹脂の薄い層により接着一体化する形式であり、これ
はまた筒状ホース1と接着することも含んでいる。
【0022】他の態様は、熱硬化性樹脂を含浸させた単
線状体2’を熱処理して熱硬化性樹脂を硬化させ、こう
した熱硬化性樹脂の硬化した複数本の単線状体2’を筒
状ホース1の外周に配し、結束手段3によって筒状ホー
ス1と一体化する形式である。この後者の形式の場合に
は、筒状ホース1は加熱されないので、材質的には任意
のものを使用できる。すなわち、ナイロン、ポリエチレ
ンなどのほか、ゴムも使用できる。結束手段3は第2態
様と同様であり、バンドを用いてもよいし、粘着テープ
や合成繊維製の細い条体を用い、単線状体2’の外周に
螺旋状に巻き付けてもよい。
【0023】なお、本発明はストランド状2や単線状体
2’が筒状ホース1の外周を囲んでいる構造に限定され
ない。すなわち、図6で例示するように、筒状ホース1
の外周に1本以上のストランド2(または単線状体
2’)を添装し、結束手段3によって筒状ホース1と一
体化する構成を含んでいる。また前記製造法から理解さ
れるように、本発明によるロックボルトRは自由長のケ
ーブル形態をなしており、ロックボルトとして機能させ
るときに切断されて所望長さの棒状体(筒状ホースと組
み合わされている)となる。
【0024】
【実施例の作用】本発明によるロックボルトRはたとえ
ば発破工法で掘削する穿孔・ロックボルト打設機に搭載
されて使用される。すなわち、本発明によるロックボル
トRは、強度に異方性のある非金属高性能繊維からなる
撚り線状体(ストランド)2または単線状体2’を筒状
ホース1の外周に沿って延在する如く一体化しており、
鉄筋と違って可撓性があるため、穿孔・ロックボルト打
設機の後部に搭載したリールにコイル状に巻装され、こ
のリールから繰り出されて使用される。また、非金属高
性能繊維からなっているため鉄鋼製の異形鉄筋類に比べ
て著しく軽量であり、したがって、運搬等の取り扱いや
搭載が容易である。
【0025】なお、周知のように、穿孔・ロックボルト
打設機は自走車輌の前部に穿孔装置とアンカー打設装置
とを備えており、穿孔装置は揺動・旋回・伸縮自在なブ
ームに設けたガイドシェルに穿孔用ビットを装備してい
る。アンカー打設装置は車輌前部中央の揺動・旋回・伸
縮自在なブームにケーブル挿入機構とモルタル類充填機
構を取り付けたものである。
【0026】本発明によるトンネル工事用ロックボルト
はことに大断面のトンネルにおけるロックアンカー施工
法に好敵であるから、これについて説明する。まず、図
7のように小断面の仮設用トンネルT1を形成する。こ
れは掘削工法でもよいし、発破によって切羽面を爆破し
てゆく発破工法のいずれでもよい。後者の場合には、穿
孔装置のビットによって切羽面を穿孔して発破孔を穿孔
し、これに爆薬を装填して切羽面を爆破し、ずりを搬出
し、掘進した仮設用トンネルT1の壁面t1にモルタル
類を吹付けて覆工するかまたは覆工しないまま、放射状
に多数のロックボルト打設用孔hを穿孔する。
【0027】かかるロックボルト打設用孔hは穿孔装置
のブームを動かしてビットを推進して行なうもので、こ
の場合、穿孔深さLは、建設予定の大断面トンネル(恒
久トンネルないし本トンネル)T2の壁面t2を越え、
大断面トンネルT2の周囲の岩盤や地盤の崩壊やはらみ
出しを防止するに十分な深さとする。これが図9(a)
の状態であり、この状態でアンカー打設装置をロックボ
ルト打設用孔hに対向させ、リール6にコイル状に巻回
してあるトンネル工事用ロックボルトRを送り出し機構
7により繰出し、ロックボルト打設用孔hに挿入してゆ
く。かくして所要長さLの挿入長が得られたところで図
9(b)のようにカッタ8により切断する。この工程に
おいては、リール6にコイル状に巻回してあるトンネル
工事用ロックボルトRを繰出し、挿入し、切断するた
め、任意の長さのロックボルトを自在にかつ煩雑な継ぎ
足し作業なしで得ることができ、作業能率と材料ロスの
低減を図ることができる。
【0028】ついで、図9(c)のようにモルタル類充
填機構のパッカー9をロックボルト打設用孔hに挿入し
て膨脹させプラグのようにシールし、後方のポンプから
ホース10を介してモルタル、グラウト、セメントミル
クなどの所要の充填材cを供給し、パッカー9の前端か
ら吐出させてロックボルト打設用孔hに充填する。この
充填時にロックボルト打設用孔h内の空気は筒状ホース
1を通して排出され、ロックボルト打設用孔hに充填材
cが充満すると、筒状ホース1を通ってロックボルト打
設用孔hの入口側に流出する。そこでパッカー9を収縮
させてロックボルト打設用孔hから引抜きつつホース1
0から充填材cを供給してロックボルト打設用孔hを完
全に満たす。なお、パッカーを使用しないオープン充填
方式を採るときには、筒状ホース1は充填材供給通路と
して使用することができる。次いで養生することにより
充填材cは硬化し、トンネル工事用ロックボルトRは充
填材cに定着され、これにより壁面背後の崩壊等が防止
される。
【0029】以上の作業を各ロックボルト打設用孔hご
とに行なうことにより、図7のようなロックアンカー施
工状態が得られる。そして、これをトンネル長さ方向に
おいて順次繰り返すことにより仮設用トンネルT1が完
成する。このようなロックアンカー施工状態において
は、ロックボルトRが高強力低伸度特性の非金属高性能
繊維からなっているため、従来の異形鉄筋からなるロッ
クボルトと同等以上の崩壊防止、はらみ出し防止の効果
を得ることができる。また、腐食が生じないため、鉄系
の撚り線類を用いた場合のような防蝕処理が不要であ
り、それでいて前記崩壊防止、はらみ出し防止の効果を
長期に渡り維持することができる。したがって、仮設ト
ンネルの掘削から本トンネル掘削までの間に相当な期間
が経っても良好な崩壊防止、はらみ出し防止の効果を達
成することができる。
【0030】そして、この状態から、仮設用トンネルT
1を拡幅して大断面トンネルTに仕上げる。この作業
は、削岩機、オーガ、ショベルなどの掘削機械11を仮
設用トンネルT1内に配して壁面t1を掘削したり、あ
るいは発破工法を用いることにより行われる。このとき
に壁面t1から大断面トンネルTの壁面t2にかけて前
記施工により多数のロックボルトRが放射状に走ってい
るが、このロックボルトRは高強力低伸度特性の非金属
高性能繊維からなっている。この非金属高性能繊維は引
張り力は強いものの、横方向のせん断(せん断強度)は
低い特性値しか持っておらず、同等の断面積において、
鉄鋼製の異形鉄筋に対し1/3〜1/4のせん断強度し
かない。
【0031】このため、特別な切断機類を使用すること
なく、前記掘削機械11を使用して拡幅するときに自然
に生ずるせん断力により図9(d)のようにロックボル
トRは拡幅の進展に応じた長さ分ずつが破壊され消失す
る。したがって作業が容易であり、拡幅が進捗して大断
面トンネルTの壁面t2が掘削されたときには、図8と
図9(e)のようになる。ロックボルトRは大断面トン
ネルTの壁面t2を越えて岩盤ないし地盤gに十分に達
しているため、この残存している長さL’が永久用ロッ
クボルトR’として機能し、その高張力特性と、耐食性
により、崩壊防止、はらみ出し防止の効果を長期に渡り
維持することができる。
【0032】
【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1によれ
ば、強度に異方性のある非金属高性能繊維の撚り線状体
2または単線状体2’を筒状ホース1の外周に沿って延
在する如く一体化したので、高い引張り強度とそれに反
して弱いせん断強度という特性により、1本のロックボ
ルトで仮設用と恒久用の両機能を発揮することができ
る。ことに大断面トンネルの施工において、小断面の仮
設用トンネルを掘削し、この仮設用トンネルの壁面から
周囲の地盤または岩盤に施工すべき大断面トンネルの壁
面を越えて伸びる深さのアンカー用孔を施工し、このア
ンカー用孔に、本発明のロックボルトを挿入し充填材に
よって固定することにより、当初は仮設用トンネルの崩
壊防止、はらみ出し防止を図ることができ、そして次に
仮設用トンネルを拡幅して大断面トンネルを形成すると
きには、せん断力強度が弱い特性により、拡幅のための
掘削機械で自動的に順次仮設用トンネルの壁面から施工
すべき大断面トンネルの壁面に到る所要長を切断させる
ことができ、大断面トンネルが掘削されたときには、こ
れの壁面から岩盤や地盤に延びている長さによって自然
に恒久用ロックボルトとして有効に機能させることがで
きる。
【0033】そして、筒状ホースと非金属高性能繊維の
撚り線状体または単線状体とをアッセンブリしたケーブ
ル状構造のため、軽量で取り扱いが容易であるととも
に、リールにコイル状に巻くことができるため、穿孔長
さに応じて繰出し、切断することにより、所望のロック
ボルト長さを継ぎ作業を要さずに自在に得ることがで
き、また腐食も生じないため防蝕処理も不要で、長期に
渡り岩盤や地盤の崩落、はらみ出しを防止することがで
きる。さらに、筒状ホースの併用によりアンカー用孔に
充填材を充填したときに空気抜きが自動的に行われ、ア
ンカー用孔にデッドゾーンを生じさせることなく充填材
を充満させて非金属高性能繊維の撚り線条体または棒状
体を確実に定着させることができるなどのすぐれた効果
が得られる。
【0034】本発明の請求項2と3および5によれば、
強度に異方性のある非金属高性能繊維に熱硬化性樹脂を
含浸複合させた素線を複数本撚りあわせたストランド
2、あるいは強度に異方性のある非金属高性能繊維に熱
硬化性樹脂を含浸複合させた単線状体2’を用い、該ス
トランドあるいは単線状体2’の複数本を筒状ホースの
外周に沿って撚り合わしてため、引張り強度が非常に強
く、しかもストランド同士が含浸樹脂膜によって接着さ
れているためばらけず強固に一体化され、表面積が大き
いこととあいまって高いロック効果が得られる。
【0035】本発明の請求項2と4と6によれば、強度
に異方性のある非金属高性能繊維に熱硬化性樹脂を含浸
複合させた素線を複数本撚りあわせたストランド2、あ
るいは強度に異方性のある非金属高性能繊維に熱硬化性
樹脂を含浸複合させた単線状体2’を筒状ホースの外周
に沿って平行に添設しているため、製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したトンネルの断面図である。
【図2】本発明によるトンネル工事用ロックボルトの第
1態様を示すもので、(a)はその拡大側面図、(b)
はその断面図、(c)は素線の拡大断面図である。
【図3】本発明によるトンネル工事用ロックボルトの第
2態様を示すもので、(a)はその拡大側面図、(b)
はその断面図である。
【図4】本発明によるトンネル工事用ロックボルトの第
3態様を示すもので、(a)はその拡大側面図、(b)
はその断面図である。
【図5】本発明によるトンネル工事用ロックボルトの第
4態様を示す拡大側面図である。
【図6】本発明によるトンネル工事用ロックボルトの第
5態様を示す拡大側面図である。
【図7】本発明を大断面トンネル工事に適用した第1段
階を示す断面図である。
【図8】本発明を大断面トンネル工事に適用した第2段
階を示す断面図である。
【図9】(a)は本発明のロックボルトをロック用孔に
挿入している段階を示す断面図、(b)は切断段階を示
す断面図、(c)は充填材の充填段階を示す断面図、
(d)は仮設トンネル拡幅途中の状態を示す断面図、
(e)は大断面トンネル掘削完了状態を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 筒状ホース 2 撚り線状体(ストランド) 2’単線状体 20 素線 200 強度に異方性のある非金属高性能繊維 201 熱硬化性樹脂

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トンネル掘削壁面から背後の地盤や岩盤に
    打設されるロックボルトであって、該ロックボルトが強
    度に異方性のある非金属高性能繊維の撚り線状体または
    単線状体を筒状ホースの外周に沿って延在する如く一体
    化したことを特徴とするトンネル工事用ロックボルト。
  2. 【請求項2】強度に異方性のある非金属高性能繊維が熱
    硬化性樹脂を含浸複合させた炭素繊維または全芳香族ポ
    リアミド繊維である請求項1に記載のトンネル工事用ロ
    ックボルト。
  3. 【請求項3】撚り線状体が、強度に異方性のある非金属
    高性能繊維に熱硬化性樹脂を含浸複合させた素線を複数
    本撚りあわせたストランドから構成され、該ストランド
    の複数本が筒状ホースの外周に沿って撚り合わされてい
    る請求項1または2に記載のトンネル工事用ロックボル
    ト。
  4. 【請求項4】撚り線状体が、強度に異方性のある非金属
    高性能繊維に熱硬化性樹脂を含浸複合させた素線を複数
    本撚りあわせたストランドから構成され、該ストランド
    の複数本が筒状ホースの外周に沿って平行に配されてい
    る請求項1または2に記載のトンネル工事用ロックボル
    ト。
  5. 【請求項5】単線状体が強度に異方性のある非金属高性
    能繊維に熱硬化性樹脂を含浸複合させたものからなり、
    該単線状体の複数本が筒状ホースの外周に沿って撚り合
    わされている請求項1または2に記載のトンネル工事用
    ロックボルト。
  6. 【請求項6】単線状体が強度に異方性のある非金属高性
    能繊維に熱硬化性樹脂を含浸複合させたものからなり、
    該単線状体の複数本が筒状ホースの外周に沿って平行に
    配されている請求項1または2に記載のトンネル工事用
    ロックボルト。
JP31104297A 1997-10-28 1997-10-28 トンネル工事用ロックボルト Pending JPH11131999A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31104297A JPH11131999A (ja) 1997-10-28 1997-10-28 トンネル工事用ロックボルト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31104297A JPH11131999A (ja) 1997-10-28 1997-10-28 トンネル工事用ロックボルト

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11131999A true JPH11131999A (ja) 1999-05-18

Family

ID=18012422

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31104297A Pending JPH11131999A (ja) 1997-10-28 1997-10-28 トンネル工事用ロックボルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11131999A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005095733A1 (ja) 2004-03-31 2005-10-13 Japan Science And Technology Agency アンカーボルト施工方法、アンカーボルト埋設穴掘削方法、及び掘削装置
JP2019065483A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 金森藤平商事株式会社 ロープアンカー及びその施工方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005095733A1 (ja) 2004-03-31 2005-10-13 Japan Science And Technology Agency アンカーボルト施工方法、アンカーボルト埋設穴掘削方法、及び掘削装置
JP2019065483A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 金森藤平商事株式会社 ロープアンカー及びその施工方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5723538B2 (ja) 切削可能なコンクリート製セグメント及びシールドトンネルの壁体
US6779950B1 (en) Reinforcing member
KR101685088B1 (ko) 터널 시공방법
JP2788953B2 (ja) トンネル構造体の構造
US20100290840A1 (en) Plastic rock-bolt or dowel and method of manufacturing of the same
JPH11131999A (ja) トンネル工事用ロックボルト
US3849992A (en) Reinforcing elements for stabilization of rocks
AU2008241376A1 (en) Reinforcing of formations
CN109252881A (zh) 钢管水泥砂浆预应力锚索及其支护方法
JP3350679B2 (ja) トンネル覆工用セグメント及びその施工方法
JP2899661B2 (ja) 大断面トンネルおよびその構築方法
JP2002526703A5 (ja)
JPH04194227A (ja) 管状補強材による補強土工法
JPH0318555Y2 (ja)
JP5619450B2 (ja) 切削可能なモルタル製セグメント及びシールドトンネルの壁体
JPH11320696A (ja) 強化繊維補強筋及びその製造方法
JP2849605B2 (ja) 大断面トンネルおよびその構築方法
JP3742070B2 (ja) 地中削孔用補強管の埋設工法及びこの工法に用いられる接続用回転アダプタ
CN116255522A (zh) 一种在役pccp原位体外智能缠绕自预应力加固方法
JP3634820B2 (ja) 硬化材充填型枠および硬化材の充填方法
KR102670750B1 (ko) 나선결속선이 보강된 확장형 앵커 구조 및 그 시공방법
KR101909621B1 (ko) 쏘일 네일 및 그라운드 앵커의 하이브리드 장치
AU2003200816B2 (en) Reinforcing member
JP2004353343A (ja) グラウンドアンカー
JPS6140998A (ja) ロツクアンカ−工法