JPH11130583A - シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ及びその製造方法 - Google Patents
シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ及びその製造方法Info
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- JPH11130583A JPH11130583A JP29716297A JP29716297A JPH11130583A JP H11130583 A JPH11130583 A JP H11130583A JP 29716297 A JP29716297 A JP 29716297A JP 29716297 A JP29716297 A JP 29716297A JP H11130583 A JPH11130583 A JP H11130583A
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- quartz crucible
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 石英ガラスルツボ内側表面で生成するのクリ
ストバライトの総量が少なく、長時間の使用に耐える石
英ガラスルツボ及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 石英ルツボ内側表面に0.1〜10μm
の皮膜を有し、該皮膜が、気孔率5%以下、組成が珪素
と炭素及び/又は窒素の化合物及び/又は珪素で、珪
素、炭素及び窒素以外の元素の含有量が1重量%以下で
あることを特徴とする。また、前記皮膜は、真空蒸着
法、スパッタリング法及び/又はイオンプレーティング
法等のPVD法で形成でき、石英ルツボ内側表面を減圧
下でイオン洗浄をした後に皮膜形成をすると効果的であ
る。
ストバライトの総量が少なく、長時間の使用に耐える石
英ガラスルツボ及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 石英ルツボ内側表面に0.1〜10μm
の皮膜を有し、該皮膜が、気孔率5%以下、組成が珪素
と炭素及び/又は窒素の化合物及び/又は珪素で、珪
素、炭素及び窒素以外の元素の含有量が1重量%以下で
あることを特徴とする。また、前記皮膜は、真空蒸着
法、スパッタリング法及び/又はイオンプレーティング
法等のPVD法で形成でき、石英ルツボ内側表面を減圧
下でイオン洗浄をした後に皮膜形成をすると効果的であ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョクラルスキー
法(以下CZ法と称す)によるシリコン単結晶引き上げ
に用いる石英ガラスルツボ及びその製造方法に関する。
法(以下CZ法と称す)によるシリコン単結晶引き上げ
に用いる石英ガラスルツボ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン単結晶の製造には、いわ
ゆるCZ法と呼ばれる単結晶引き上げ方法が広く工業的
に採用されている。この方法は、多結晶シリコンを容器
内で加熱溶融させ、この溶融浴内に種結晶の端部を漬け
て回転させながら引き上げるもので、種結晶上に同一の
結晶方位を持つ単結晶が成長する。この単結晶の引き上
げ容器には、石英ガラスルツボが一般的に使用されてい
る。多結晶シリコンを入れた石英ガラスルツボはシリコ
ンの融点(約1414℃)以上に長時間加熱され、シリ
コン融液に曝されるため、ルツボの内側表面は高温下で
溶融シリコンと徐々に化学反応を起こす。その結果、長
時間ルツボを使用した場合に溶損や失透(結晶化)が生
じ、シリコン単結晶の製造に重大な影響を及ぼすことに
なる。特に、石英ガラスルツボに不純物が多量に混入し
ていると、これがシリコン融液に取り込まれシリコン単
結晶の不純物汚染の原因になったり、不純物が石英ガラ
スの結晶化を促進して失透による石英ガラスルツボの特
性劣化を招く。このため、石英ガラスルツボは高純度の
石英粉を原料として製造されている。このルツボ用石英
粉として、現在主に天然石英粉が用いられているが、天
然石英以上の純度の得られる合成石英粉も用いられてお
り、不純物の混入には細心の注意が払われている。
ゆるCZ法と呼ばれる単結晶引き上げ方法が広く工業的
に採用されている。この方法は、多結晶シリコンを容器
内で加熱溶融させ、この溶融浴内に種結晶の端部を漬け
て回転させながら引き上げるもので、種結晶上に同一の
結晶方位を持つ単結晶が成長する。この単結晶の引き上
げ容器には、石英ガラスルツボが一般的に使用されてい
る。多結晶シリコンを入れた石英ガラスルツボはシリコ
ンの融点(約1414℃)以上に長時間加熱され、シリ
コン融液に曝されるため、ルツボの内側表面は高温下で
溶融シリコンと徐々に化学反応を起こす。その結果、長
時間ルツボを使用した場合に溶損や失透(結晶化)が生
じ、シリコン単結晶の製造に重大な影響を及ぼすことに
なる。特に、石英ガラスルツボに不純物が多量に混入し
ていると、これがシリコン融液に取り込まれシリコン単
結晶の不純物汚染の原因になったり、不純物が石英ガラ
スの結晶化を促進して失透による石英ガラスルツボの特
性劣化を招く。このため、石英ガラスルツボは高純度の
石英粉を原料として製造されている。このルツボ用石英
粉として、現在主に天然石英粉が用いられているが、天
然石英以上の純度の得られる合成石英粉も用いられてお
り、不純物の混入には細心の注意が払われている。
【0003】近年、シリコンウエーハの大口径化に伴
い、単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの口径も大型化
し、その口径は18インチ(457.2mm)から22
〜24インチ(558.8〜609.6mm)となり、
さらに大口径のルツボも要望されている。ところで、こ
の石英ルツボ内側表面は融液を保持すると共に、ルツボ
の外側に設置されているカーボンヒータからの熱をシリ
コン融液に伝達する機能を有している。石英ルツボの大
口径化に伴い、溶解するシリコン量も増え、ルツボ内壁
へのヒーターからの熱負荷が大きくなる。さらに、多量
の融液を保持して単結晶引き上げを行うため、融液とル
ツボ内側表面との接触時間が長くなっている。このた
め、不純物混入を抑制した石英ルツボであっても、ルツ
ボ内側表面から融液への溶損量が増え、ルツボ表面の石
英ガラスの結晶化が促進され、ルツボ内側表面に斑点状
のクリストバライトが形成、成長し易くなる。このよう
にして成長したクリストバライトは、ルツボ表面から離
脱し易く、融液に浮遊し、引き上げられる単結晶に付着
すると、多結晶化等の重大な品質欠陥を引き起こし、シ
リコン単結晶の生産性を大きく阻害していた。すなわ
ち、大口径石英ルツボの長期使用は困難となり、シリコ
ン単結晶製造コストの上昇を招いていた。
い、単結晶引き上げ用石英ガラスルツボの口径も大型化
し、その口径は18インチ(457.2mm)から22
〜24インチ(558.8〜609.6mm)となり、
さらに大口径のルツボも要望されている。ところで、こ
の石英ルツボ内側表面は融液を保持すると共に、ルツボ
の外側に設置されているカーボンヒータからの熱をシリ
コン融液に伝達する機能を有している。石英ルツボの大
口径化に伴い、溶解するシリコン量も増え、ルツボ内壁
へのヒーターからの熱負荷が大きくなる。さらに、多量
の融液を保持して単結晶引き上げを行うため、融液とル
ツボ内側表面との接触時間が長くなっている。このた
め、不純物混入を抑制した石英ルツボであっても、ルツ
ボ内側表面から融液への溶損量が増え、ルツボ表面の石
英ガラスの結晶化が促進され、ルツボ内側表面に斑点状
のクリストバライトが形成、成長し易くなる。このよう
にして成長したクリストバライトは、ルツボ表面から離
脱し易く、融液に浮遊し、引き上げられる単結晶に付着
すると、多結晶化等の重大な品質欠陥を引き起こし、シ
リコン単結晶の生産性を大きく阻害していた。すなわ
ち、大口径石英ルツボの長期使用は困難となり、シリコ
ン単結晶製造コストの上昇を招いていた。
【0004】こうした問題を解決するため、石英ガラス
中のOH濃度やアルカリ濃度を下げて高純化する方法が
特開平3-208880号公報、特開平8-133719
号公報、特開平5-301731号公報等で提案されて
いる。しかしながら、石英ガラスルツボの不純物含有量
を減らしても、シリコンの融点以上で長時間使用される
ため、石英ガラスの結晶化そのものを完全に抑制するこ
とはできなかった。
中のOH濃度やアルカリ濃度を下げて高純化する方法が
特開平3-208880号公報、特開平8-133719
号公報、特開平5-301731号公報等で提案されて
いる。しかしながら、石英ガラスルツボの不純物含有量
を減らしても、シリコンの融点以上で長時間使用される
ため、石英ガラスの結晶化そのものを完全に抑制するこ
とはできなかった。
【0005】また、同一品質の石英ルツボを使用して
も、多結晶シリコンを溶解する前の石英ルツボ内側表面
の表面粗度や洗浄状態によってクリストバライトの生成
量が大きくかわり、高純度の石英ルツボを使用しても必
ずしも良好なシリコン単結晶を引き上げることができな
い場合もあった。そのため、ルツボ内側表面でのクリス
トバライトの生成、成長を本質的に抑制することが求め
られている。
も、多結晶シリコンを溶解する前の石英ルツボ内側表面
の表面粗度や洗浄状態によってクリストバライトの生成
量が大きくかわり、高純度の石英ルツボを使用しても必
ずしも良好なシリコン単結晶を引き上げることができな
い場合もあった。そのため、ルツボ内側表面でのクリス
トバライトの生成、成長を本質的に抑制することが求め
られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の石英
ガラスルツボにおける上記の問題点を解決して、石英ガ
ラスルツボ内側表面で生成するのクリストバライトの総
量が少なく、長時間の使用に耐える石英ガラスルツボ及
びその製造方法を提供することを目的とする。
ガラスルツボにおける上記の問題点を解決して、石英ガ
ラスルツボ内側表面で生成するのクリストバライトの総
量が少なく、長時間の使用に耐える石英ガラスルツボ及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、研究実験
を重ね鋭意検討を加えた結果、クリストバライトの総量
は石英ガラスルツボ表面でのクリストバライトの核生成
量と核成長速度に依存し、核生成を抑制することでクリ
ストバライトの総量を少なくできることを見出し、本発
明を完成したものである。
を重ね鋭意検討を加えた結果、クリストバライトの総量
は石英ガラスルツボ表面でのクリストバライトの核生成
量と核成長速度に依存し、核生成を抑制することでクリ
ストバライトの総量を少なくできることを見出し、本発
明を完成したものである。
【0008】本発明は、石英ルツボ内側表面に0.1μ
m〜10μmの皮膜を有することを特徴とするシリコン
単結晶引き上げ用石英ルツボである。また、前記皮膜の
気孔率が5%以下であり、組成が珪素と炭素及び/又は
窒素の化合物及び/又は珪素であり、さらに、珪素、炭
素及び窒素以外の元素の含有量が1重量%以下の皮膜で
ある。
m〜10μmの皮膜を有することを特徴とするシリコン
単結晶引き上げ用石英ルツボである。また、前記皮膜の
気孔率が5%以下であり、組成が珪素と炭素及び/又は
窒素の化合物及び/又は珪素であり、さらに、珪素、炭
素及び窒素以外の元素の含有量が1重量%以下の皮膜で
ある。
【0009】また、0.1μm〜10μmの皮膜をPV
D法により石英ルツボ内側表面に形成することを特徴と
するシリコン単結晶引き上げ用石英ルツボの製造方法で
ある。前記PVD法が真空蒸着法、スパッタリング法及
び/又はイオンプレーティング法であり、皮膜が珪素と
炭素及び/又は窒素の化合物及び/又は珪素からなる組
成であり、さらに、石英ルツボ内側表面を減圧下でイオ
ン洗浄をした後に皮膜形成をする石英ルツボの製造方法
である。
D法により石英ルツボ内側表面に形成することを特徴と
するシリコン単結晶引き上げ用石英ルツボの製造方法で
ある。前記PVD法が真空蒸着法、スパッタリング法及
び/又はイオンプレーティング法であり、皮膜が珪素と
炭素及び/又は窒素の化合物及び/又は珪素からなる組
成であり、さらに、石英ルツボ内側表面を減圧下でイオ
ン洗浄をした後に皮膜形成をする石英ルツボの製造方法
である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】シリコン単結晶を長時間引き上げるには、
ルツボ内側表面に形成されるクリストバライトの総量を
抑制することが重要である。石英ガラスは、シリコン単
結晶を引き上げる温度領域では、本来ガラス相としては
安定ではなく、熱力学的にはクリストバライト相または
トリディマイト相が安定である。したがって、石英ガラ
ス中の不純物を皆無にしても、石英ガラス表面の結晶化
は本質的に避けられない。石英ガラスの結晶化は、ガラ
ス内部より界面エネルギーが大きく、物質拡散が頻繁
な、融液と接する表面で起こりやすい。
ルツボ内側表面に形成されるクリストバライトの総量を
抑制することが重要である。石英ガラスは、シリコン単
結晶を引き上げる温度領域では、本来ガラス相としては
安定ではなく、熱力学的にはクリストバライト相または
トリディマイト相が安定である。したがって、石英ガラ
ス中の不純物を皆無にしても、石英ガラス表面の結晶化
は本質的に避けられない。石英ガラスの結晶化は、ガラ
ス内部より界面エネルギーが大きく、物質拡散が頻繁
な、融液と接する表面で起こりやすい。
【0012】クリストバライトは、石英ガラス表面で斑
点状に形成されるが、その形成は、核生成と核成長に分
けて考えることができる。即ち、石英ガラス表面の斑点
の個数が核生成量に、斑点の大きさの変化が核成長速度
に相当する。そして、各種表面状態の石英ガラスのシリ
コン融液への浸漬実験から、融液に浸漬した石英ガラス
表面には、浸漬直後にクリストバライトの核が生成し、
その後、浸漬時間に比例して成長すること、石英ガラス
表面に形成したクリストバライトの斑点は浸漬時間に応
じた大きさを示し、同一組成の石英ガラスでは核成長速
度は一定であることが判明した。これは、石英ガラス表
面で一時期に核生成が起こった後は、新たな核生成は起
こらず、結晶成長のみでクリストバライトの総量が増加
する機構であることを示している。そして、石英ガラス
の表面状態により、クリストバライトの核生成は大きく
影響を受け、表1の比較例に一例を示したように、多結
晶シリコン溶解前のルツボ内側表面の洗浄方法によって
核生成量が異なっている。つまり、石英ガラス表面での
核生成量を抑制すれば、単結晶引き上げ操作中のルツボ
に形成されるクリストバライトの総量を減少することが
できる。
点状に形成されるが、その形成は、核生成と核成長に分
けて考えることができる。即ち、石英ガラス表面の斑点
の個数が核生成量に、斑点の大きさの変化が核成長速度
に相当する。そして、各種表面状態の石英ガラスのシリ
コン融液への浸漬実験から、融液に浸漬した石英ガラス
表面には、浸漬直後にクリストバライトの核が生成し、
その後、浸漬時間に比例して成長すること、石英ガラス
表面に形成したクリストバライトの斑点は浸漬時間に応
じた大きさを示し、同一組成の石英ガラスでは核成長速
度は一定であることが判明した。これは、石英ガラス表
面で一時期に核生成が起こった後は、新たな核生成は起
こらず、結晶成長のみでクリストバライトの総量が増加
する機構であることを示している。そして、石英ガラス
の表面状態により、クリストバライトの核生成は大きく
影響を受け、表1の比較例に一例を示したように、多結
晶シリコン溶解前のルツボ内側表面の洗浄方法によって
核生成量が異なっている。つまり、石英ガラス表面での
核生成量を抑制すれば、単結晶引き上げ操作中のルツボ
に形成されるクリストバライトの総量を減少することが
できる。
【0013】石英ガラスルツボ内で多結晶シリコンを溶
解してシリコン融液を作製する場合、石英ガラス内側表
面は様々な雰囲気に曝される。この溶解作業は、基本的
にはアルゴンガスで代表される不活性ガス雰囲気下で行
われるが、不活性ガスを流入しても、水分をはじめアル
カリ金属蒸気、SiO蒸気、CO等、色々なガス成分が
石英ガラス内側表面に吸着する。この吸着したガス成分
は、ルツボが高温になるにつれ再蒸発するが、一部はル
ツボ内側表面に石英ガラスと反応して化合物を生成して
残留し、これがクリストバライト形成の核となる。その
ため、生成するクリストバライト総量を抑制するには、
石英ガラス内側表面へのガス吸着を抑制することが効果
的である。
解してシリコン融液を作製する場合、石英ガラス内側表
面は様々な雰囲気に曝される。この溶解作業は、基本的
にはアルゴンガスで代表される不活性ガス雰囲気下で行
われるが、不活性ガスを流入しても、水分をはじめアル
カリ金属蒸気、SiO蒸気、CO等、色々なガス成分が
石英ガラス内側表面に吸着する。この吸着したガス成分
は、ルツボが高温になるにつれ再蒸発するが、一部はル
ツボ内側表面に石英ガラスと反応して化合物を生成して
残留し、これがクリストバライト形成の核となる。その
ため、生成するクリストバライト総量を抑制するには、
石英ガラス内側表面へのガス吸着を抑制することが効果
的である。
【0014】本発明は、ガス成分が石英ガラス表面に直
接吸着するのを抑制するために、ルツボの表面を雰囲気
から保護する皮膜を石英ガラスルツボの内側表面に有す
るシリコン単結晶引き上げ用石英ルツボである。この皮
膜は、上述したように多結晶シリコンが溶解するまで石
英ガラスを雰囲気から遮断しなければならず、少なくと
も1200℃以下の温度で安定に存在することが必要で
ある。なお、石英ガラスルツボは、特に限定するもので
はなく、天然石英粉を原料としたものでも、合成石英粉
を原料としたものでも構わず、市販のものを用いること
ができる。
接吸着するのを抑制するために、ルツボの表面を雰囲気
から保護する皮膜を石英ガラスルツボの内側表面に有す
るシリコン単結晶引き上げ用石英ルツボである。この皮
膜は、上述したように多結晶シリコンが溶解するまで石
英ガラスを雰囲気から遮断しなければならず、少なくと
も1200℃以下の温度で安定に存在することが必要で
ある。なお、石英ガラスルツボは、特に限定するもので
はなく、天然石英粉を原料としたものでも、合成石英粉
を原料としたものでも構わず、市販のものを用いること
ができる。
【0015】この皮膜の厚みは、0.1μm以上でなけ
ればならない。0.1μm未満では、石英ガラス表面の
雰囲気からの遮断が不十分であり、融液作製時の石英ガ
ラス表面に形成するクリストバライトの核生成を抑制す
ることができない。また、皮膜の厚みの上限は特に定め
るものでもないが、厚みが10μmを越えても遮断効果
は飽和すると共に、皮膜の形成コストが増大すること、
皮膜の内部応力が増して密着性を確保し難くなること等
から、10μm以下の厚みとすることが好ましい。
ればならない。0.1μm未満では、石英ガラス表面の
雰囲気からの遮断が不十分であり、融液作製時の石英ガ
ラス表面に形成するクリストバライトの核生成を抑制す
ることができない。また、皮膜の厚みの上限は特に定め
るものでもないが、厚みが10μmを越えても遮断効果
は飽和すると共に、皮膜の形成コストが増大すること、
皮膜の内部応力が増して密着性を確保し難くなること等
から、10μm以下の厚みとすることが好ましい。
【0016】石英ガラス表面への雰囲気からのガス吸着
を抑制するためには、皮膜中のガスの透過を制限する必
要がある。皮膜の気孔率を、5%以下とすることで効果
的に皮膜中のガスの透過を制限することができ、好まし
い。気孔率は、皮膜中に存在する気孔の体積比率であ
り、例えば大気中で皮膜の気孔率が10%という場合で
は、その皮膜の体積の10%が気孔(空気が中に入って
いる)であり、90%が皮膜成分ということになる。気
孔率は、例えば、皮膜の断面を顕微鏡等で観察し、測定
することができる。
を抑制するためには、皮膜中のガスの透過を制限する必
要がある。皮膜の気孔率を、5%以下とすることで効果
的に皮膜中のガスの透過を制限することができ、好まし
い。気孔率は、皮膜中に存在する気孔の体積比率であ
り、例えば大気中で皮膜の気孔率が10%という場合で
は、その皮膜の体積の10%が気孔(空気が中に入って
いる)であり、90%が皮膜成分ということになる。気
孔率は、例えば、皮膜の断面を顕微鏡等で観察し、測定
することができる。
【0017】このような皮膜として、具体的には、珪
素、炭化珪素、窒化珪素、炭窒化珪素の組成を有する皮
膜が、緻密で、石英ガラスとの密着性にも優れ、高温で
の耐久性も高いため好ましい。単一の組成からなる皮膜
であっても、これらの皮膜を複数積層した多層皮膜であ
っても良い。また、結晶化した皮膜であっても、非晶質
であっても良い。炭化珪素、窒化珪素の化学量論組成の
皮膜は、特に高温での耐久性に優れているが、必ずしも
化学量論組成を満足しなくても石英ガラス表面の雰囲気
からの遮断効果は認められる。
素、炭化珪素、窒化珪素、炭窒化珪素の組成を有する皮
膜が、緻密で、石英ガラスとの密着性にも優れ、高温で
の耐久性も高いため好ましい。単一の組成からなる皮膜
であっても、これらの皮膜を複数積層した多層皮膜であ
っても良い。また、結晶化した皮膜であっても、非晶質
であっても良い。炭化珪素、窒化珪素の化学量論組成の
皮膜は、特に高温での耐久性に優れているが、必ずしも
化学量論組成を満足しなくても石英ガラス表面の雰囲気
からの遮断効果は認められる。
【0018】これらの皮膜は、シリコン単結晶引き上げ
操業時の融液保持温度では必ずしも安定ではなく、融液
中に全部若しくは一部が溶解するものであるため、シリ
コン単結晶の品質に影響を及ぼさないことが必要であ
り、皮膜中に含まれる不純物は極力少ないことが望まし
い。そのため、皮膜中には、珪素、炭素、窒素以外の元
素の含有量は1重量%以下であることが好ましい。
操業時の融液保持温度では必ずしも安定ではなく、融液
中に全部若しくは一部が溶解するものであるため、シリ
コン単結晶の品質に影響を及ぼさないことが必要であ
り、皮膜中に含まれる不純物は極力少ないことが望まし
い。そのため、皮膜中には、珪素、炭素、窒素以外の元
素の含有量は1重量%以下であることが好ましい。
【0019】このようなシリコン単結晶引き上げ用石英
ルツボは、0.1〜10μmの皮膜をPVD法により石
英ルツボ内側表面に形成することで製造できる。
ルツボは、0.1〜10μmの皮膜をPVD法により石
英ルツボ内側表面に形成することで製造できる。
【0020】薄膜の被覆方法は、メッキや塗装のように
溶液を介して被覆する湿式法と、雰囲気を制御できるチ
ャンバー内で気体を介して被覆する乾式法に大別され
る。乾式法には、1000℃以上の高温下で気体成分同
士の反応で皮膜形成するCVD(Chemical Vapor Depos
ition)法や、500℃〜600℃以下の低温に基材
(被被覆材料)の温度を保ち皮膜形成するPVD(Phys
ical Vapor Deposition)法が知られている。プラズマ
により半溶融粒子を形成し、これを基材に吹き付けて溶
着させるプラズマ溶射も乾式法に分類できる。PVD法
では、基材の温度をあまり上げず、減圧下でプラズマ等
により気体成分をイオン化または活性化することで、気
体成分同士、あるいは気体成分と基材との反応性を高め
ている。これらの被覆方法の中で、PVD法は、熱変形
などの基材への温度による負荷が少なく、気孔の極めて
少ない緻密薄膜が形成できる特徴があり、石英ルツボ内
側表面の緻密薄膜形成に適している。気孔は、皮膜形成
時に雰囲気からの気体分子も同時に皮膜中にとりこまれ
ることで生成するが、減圧下で、しかも比較的遅い成膜
速度が気孔の生成を抑制している。
溶液を介して被覆する湿式法と、雰囲気を制御できるチ
ャンバー内で気体を介して被覆する乾式法に大別され
る。乾式法には、1000℃以上の高温下で気体成分同
士の反応で皮膜形成するCVD(Chemical Vapor Depos
ition)法や、500℃〜600℃以下の低温に基材
(被被覆材料)の温度を保ち皮膜形成するPVD(Phys
ical Vapor Deposition)法が知られている。プラズマ
により半溶融粒子を形成し、これを基材に吹き付けて溶
着させるプラズマ溶射も乾式法に分類できる。PVD法
では、基材の温度をあまり上げず、減圧下でプラズマ等
により気体成分をイオン化または活性化することで、気
体成分同士、あるいは気体成分と基材との反応性を高め
ている。これらの被覆方法の中で、PVD法は、熱変形
などの基材への温度による負荷が少なく、気孔の極めて
少ない緻密薄膜が形成できる特徴があり、石英ルツボ内
側表面の緻密薄膜形成に適している。気孔は、皮膜形成
時に雰囲気からの気体分子も同時に皮膜中にとりこまれ
ることで生成するが、減圧下で、しかも比較的遅い成膜
速度が気孔の生成を抑制している。
【0021】このPVD法として、具体的には、真空蒸
着、スパッタリング、イオンプレーティングの各種手法
が好適に用いられる。いずれも基材の温度は、500℃
以下で被覆可能で石英ガラスルツボに熱による変形を与
えない。石英ガラスは、1000℃以上の高温で粘性が
大きくなることが知られていて、特に重量の大きい石英
ガラスは、高温では自重で変形する。このため、表面処
理はできるだけ低温で行う必要がある。数mm程度の厚
膜を必要としない場合、換言すれば、薄膜の生成には、
PVD法の厚さの制御性は優れている。成膜速度が遅い
ほど厚さの制御性は良くなるが、成膜に要する時間がか
かり工業的には成膜コストの上昇を招く。上記3手法
は、成膜速度が毎分0.02〜0.2μm程度で、例え
ば1μmの皮膜を得るのに5分〜50分と実用的であ
る。
着、スパッタリング、イオンプレーティングの各種手法
が好適に用いられる。いずれも基材の温度は、500℃
以下で被覆可能で石英ガラスルツボに熱による変形を与
えない。石英ガラスは、1000℃以上の高温で粘性が
大きくなることが知られていて、特に重量の大きい石英
ガラスは、高温では自重で変形する。このため、表面処
理はできるだけ低温で行う必要がある。数mm程度の厚
膜を必要としない場合、換言すれば、薄膜の生成には、
PVD法の厚さの制御性は優れている。成膜速度が遅い
ほど厚さの制御性は良くなるが、成膜に要する時間がか
かり工業的には成膜コストの上昇を招く。上記3手法
は、成膜速度が毎分0.02〜0.2μm程度で、例え
ば1μmの皮膜を得るのに5分〜50分と実用的であ
る。
【0022】真空蒸着は、真空下で、例えば、シリコン
を電子ビーム等の熱源を用いて溶解し、シリコンの蒸気
を発生させ、これを基材に蒸着する方法である。装置構
成が比較的簡単で、皮膜形成コストは上記3手法のうち
最も安い。スパッタリングは、イオン化したアルゴン等
のガス成分をターゲットに照射し、このターゲットから
たたき出された成分を基材に成膜する方法である。ター
ゲットの組成に近い皮膜が得られるため、複合皮膜の形
成に有利である。イオンプレーティングは、プラズマで
イオン化された成分を基材上で反応させ成膜する方法
で、基材に電荷をかけることでイオンを呼び寄せ、緻密
な皮膜形成に有利で、基材温度が低くても高い密着性が
得られる。目的とする皮膜の特性に応じて、成膜法を選
ぶことができる。
を電子ビーム等の熱源を用いて溶解し、シリコンの蒸気
を発生させ、これを基材に蒸着する方法である。装置構
成が比較的簡単で、皮膜形成コストは上記3手法のうち
最も安い。スパッタリングは、イオン化したアルゴン等
のガス成分をターゲットに照射し、このターゲットから
たたき出された成分を基材に成膜する方法である。ター
ゲットの組成に近い皮膜が得られるため、複合皮膜の形
成に有利である。イオンプレーティングは、プラズマで
イオン化された成分を基材上で反応させ成膜する方法
で、基材に電荷をかけることでイオンを呼び寄せ、緻密
な皮膜形成に有利で、基材温度が低くても高い密着性が
得られる。目的とする皮膜の特性に応じて、成膜法を選
ぶことができる。
【0023】さらに、石英ガラスルツボの内側表面に皮
膜を形成する前に、イオン洗浄を行うことが好ましい。
イオン洗浄は、イオン化または励起状態の不活性ガスを
被洗浄物に照射するものであり、被洗浄物の表面に吸着
しているガス成分等を照射ガスによりたたき出すことで
その表面を清浄にする作用を有する。このようなイオン
洗浄を施すことにより、石英ガラスルツボと皮膜との密
着性が向上する。また、皮膜が融液に溶解しても、石英
ガラス表面には不純物吸着の残留もなく清浄であるた
め、融液に接触しても新たなクリストバライトの核生成
も起こらない。
膜を形成する前に、イオン洗浄を行うことが好ましい。
イオン洗浄は、イオン化または励起状態の不活性ガスを
被洗浄物に照射するものであり、被洗浄物の表面に吸着
しているガス成分等を照射ガスによりたたき出すことで
その表面を清浄にする作用を有する。このようなイオン
洗浄を施すことにより、石英ガラスルツボと皮膜との密
着性が向上する。また、皮膜が融液に溶解しても、石英
ガラス表面には不純物吸着の残留もなく清浄であるた
め、融液に接触しても新たなクリストバライトの核生成
も起こらない。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0025】使用した石英ガラスルツボは、高純度合成
石英粉から製造した口径558.8mmのルツボであ
り、ルツボ内側表面の石英ガラスの組成は、表面から2
00μmの範囲において、Al、Ca、Cu、Fe、N
a、K、Li、Mg、Mn、Tiの各元素の含有率が何
れも0.01重量%以下で、OH濃度が50ppmであ
った。
石英粉から製造した口径558.8mmのルツボであ
り、ルツボ内側表面の石英ガラスの組成は、表面から2
00μmの範囲において、Al、Ca、Cu、Fe、N
a、K、Li、Mg、Mn、Tiの各元素の含有率が何
れも0.01重量%以下で、OH濃度が50ppmであ
った。
【0026】そして、このルツボの内側表面に対して、
表1に示すような各種処理を施した。ここで、使用前の
ルツボ内側表面の洗浄方法として、5%フッ酸溶液、純
水、水道水、アルコールによる洗浄を適宜組み合わせて
行った。
表1に示すような各種処理を施した。ここで、使用前の
ルツボ内側表面の洗浄方法として、5%フッ酸溶液、純
水、水道水、アルコールによる洗浄を適宜組み合わせて
行った。
【0027】ルツボ内側表面への各組成の皮膜作製は、
上記洗浄を行ったルツボを真空チャンバー内に設置して
各種PVD法により行った。イオンプレーティングは、
アーク放電活性化イオンプレーティング装置を用いて行
った。これは、工具や刃物のコーティングに使用されて
いる装置(日本金属学会誌、Vol.58,p.642,1994)と同
型のものである。Si皮膜を作製する場合は、粒状の多
結晶シリコンを電子ビームで溶解蒸発させた後、イオン
化させ成膜し、SiC皮膜の場合は、さらに反応ガスと
してアセチレンガスを導入した。一般にはシリコンの蒸
気はイオン化しにくいが、Wワイヤを通電加熱しここか
ら生じる熱電子によりイオン化を促進させた。イオン化
電極には、50Vの電圧で1Aの電流が得られた。電子
ビームの出力は、2kWで行った。成膜時の圧力は、5
×10-4Torrであった。石英ルツボ内側表面温度
は、200℃以下に保持し、成膜した。
上記洗浄を行ったルツボを真空チャンバー内に設置して
各種PVD法により行った。イオンプレーティングは、
アーク放電活性化イオンプレーティング装置を用いて行
った。これは、工具や刃物のコーティングに使用されて
いる装置(日本金属学会誌、Vol.58,p.642,1994)と同
型のものである。Si皮膜を作製する場合は、粒状の多
結晶シリコンを電子ビームで溶解蒸発させた後、イオン
化させ成膜し、SiC皮膜の場合は、さらに反応ガスと
してアセチレンガスを導入した。一般にはシリコンの蒸
気はイオン化しにくいが、Wワイヤを通電加熱しここか
ら生じる熱電子によりイオン化を促進させた。イオン化
電極には、50Vの電圧で1Aの電流が得られた。電子
ビームの出力は、2kWで行った。成膜時の圧力は、5
×10-4Torrであった。石英ルツボ内側表面温度
は、200℃以下に保持し、成膜した。
【0028】スパッタリングは、アルゴンガスを導入
し、ターゲットとして成膜する皮膜組成と同じ材料を用
いて、成膜した。石英ルツボ内側表面温度は、50〜1
00℃に保持し成膜した。真空蒸着は、上記イオンプレ
ーティング成膜と同じ装置を使用し、イオン化を行わず
に成膜した。また、プラズマ溶射は、SiC粉末を用い
て、アルゴンガスをキャリアーガスとして成膜した。
し、ターゲットとして成膜する皮膜組成と同じ材料を用
いて、成膜した。石英ルツボ内側表面温度は、50〜1
00℃に保持し成膜した。真空蒸着は、上記イオンプレ
ーティング成膜と同じ装置を使用し、イオン化を行わず
に成膜した。また、プラズマ溶射は、SiC粉末を用い
て、アルゴンガスをキャリアーガスとして成膜した。
【0029】なお、必要に応じて、成膜前にアルゴンガ
スを導入して、0.2Torr、500Vの条件で5分
間イオン洗浄を行った。
スを導入して、0.2Torr、500Vの条件で5分
間イオン洗浄を行った。
【0030】これらのルツボに粒状多結晶シリコンを充
填し、加熱溶解させた時の石英ガラスルツボの内側表面
に形成される斑点状クリストバライトの経時変化を調べ
た。クリストバライトは、融液との接触時間に比例して
その径が大きくなっていた。
填し、加熱溶解させた時の石英ガラスルツボの内側表面
に形成される斑点状クリストバライトの経時変化を調べ
た。クリストバライトは、融液との接触時間に比例して
その径が大きくなっていた。
【0031】表1は、シリコン融液がルツボ内側表面に
接触してから4時間後のクリストバライトの形成状態を
解析した結果である。表1に示したように、本発明の実
施例である0.1〜10μmの皮膜を有するルツボで
は、形成されたクリストバライトの個数は何れも20個
/cm2以下となり、比較例に比べて核生成が抑制され
ていることが判る。また、石英ガラスの原料として全て
同一の合成石英粉を用いているため、クリストバライト
の径は、実施例、比較例共差が無く、0.66〜0.6
9mmの大きさを示しており、これからクリストバライ
トの結晶成長速度は150〜200μm/hrと見積も
られた。このことは、本発明の皮膜は、融液に接触した
時点では殆ど溶解あるいは消失しており、石英ガラスル
ツボの保護作用を失っていることを示している。しかし
ながら、本発明のルツボでは核生成が抑制されているた
め、形成されたクリストバライトの総量としては、比較
例の従来のルツボに比べ、1/2〜1/3程度に減少し
ており、ルツボの使用時間としては少なくとも2〜3倍
の延長が可能であることが判った。
接触してから4時間後のクリストバライトの形成状態を
解析した結果である。表1に示したように、本発明の実
施例である0.1〜10μmの皮膜を有するルツボで
は、形成されたクリストバライトの個数は何れも20個
/cm2以下となり、比較例に比べて核生成が抑制され
ていることが判る。また、石英ガラスの原料として全て
同一の合成石英粉を用いているため、クリストバライト
の径は、実施例、比較例共差が無く、0.66〜0.6
9mmの大きさを示しており、これからクリストバライ
トの結晶成長速度は150〜200μm/hrと見積も
られた。このことは、本発明の皮膜は、融液に接触した
時点では殆ど溶解あるいは消失しており、石英ガラスル
ツボの保護作用を失っていることを示している。しかし
ながら、本発明のルツボでは核生成が抑制されているた
め、形成されたクリストバライトの総量としては、比較
例の従来のルツボに比べ、1/2〜1/3程度に減少し
ており、ルツボの使用時間としては少なくとも2〜3倍
の延長が可能であることが判った。
【0032】また、これらのルツボを用いて、実際に8
インチ径のシリコン単結晶の引上げを行ったところ、実
施例のルツボでは、シリコン単結晶の引上げ完了までク
リストバライトのルツボからの脱離は観察されず、全て
良好な単結晶インゴットとして引上げられた。しかしな
がら、比較例のルツボでは、引上げ操作中にクリストバ
ライトの部分的な脱離が観察され、この脱離したクリス
トバライトが融液上を浮遊してシリコン単結晶に付着し
て、多結晶化が生じ、良好なシリコン単結晶として引上
げられないものが頻発した。
インチ径のシリコン単結晶の引上げを行ったところ、実
施例のルツボでは、シリコン単結晶の引上げ完了までク
リストバライトのルツボからの脱離は観察されず、全て
良好な単結晶インゴットとして引上げられた。しかしな
がら、比較例のルツボでは、引上げ操作中にクリストバ
ライトの部分的な脱離が観察され、この脱離したクリス
トバライトが融液上を浮遊してシリコン単結晶に付着し
て、多結晶化が生じ、良好なシリコン単結晶として引上
げられないものが頻発した。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、シリコン融液との接触
によるクリストバライトの形成を抑制でき、従来のルツ
ボよりも長時間の使用に耐えるシリコン単結晶引上げ用
石英ルツボが提供できる。その結果、引上げに時間のか
かる大口径長尺のシリコン単結晶をも歩留り良く引上げ
ることが可能となり、従来に比べ安価な製造コストでシ
リコン単結晶を製造できるという工業的に有利な効果を
有する。
によるクリストバライトの形成を抑制でき、従来のルツ
ボよりも長時間の使用に耐えるシリコン単結晶引上げ用
石英ルツボが提供できる。その結果、引上げに時間のか
かる大口径長尺のシリコン単結晶をも歩留り良く引上げ
ることが可能となり、従来に比べ安価な製造コストでシ
リコン単結晶を製造できるという工業的に有利な効果を
有する。
Claims (8)
- 【請求項1】 石英ルツボ内側表面に0.1μm〜10
μmの皮膜を有することを特徴とするシリコン単結晶引
き上げ用石英ルツボ。 - 【請求項2】 皮膜の気孔率が5%以下である請求項1
記載の石英ルツボ。 - 【請求項3】 皮膜の組成が珪素と炭素及び/又は窒素
の化合物及び/又は珪素である請求項1または2に記載
の石英ルツボ。 - 【請求項4】 珪素、炭素及び窒素以外の元素の含有量
が1重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の
石英ルツボ。 - 【請求項5】 PVD法を用いて石英ルツボ内側表面に
0.1μm〜10μmの皮膜を形成することを特徴とす
るシリコン単結晶引き上げ用石英ルツボの製造方法。 - 【請求項6】 PVD法が真空蒸着法、スパッタリング
法及び/又はイオンプレーティング法である請求項5記
載の石英ルツボの製造方法。 - 【請求項7】 皮膜が珪素と炭素及び/又は窒素の化合
物及び/又は珪素からなる組成である請求項5または6
に記載の石英ルツボの製造方法。 - 【請求項8】 石英ルツボ内側表面を減圧下でイオン洗
浄をした後に皮膜形成をする請求項5〜7のいずれかに
記載の石英ルツボの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29716297A JPH11130583A (ja) | 1997-10-29 | 1997-10-29 | シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29716297A JPH11130583A (ja) | 1997-10-29 | 1997-10-29 | シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11130583A true JPH11130583A (ja) | 1999-05-18 |
Family
ID=17842998
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29716297A Pending JPH11130583A (ja) | 1997-10-29 | 1997-10-29 | シリコン単結晶引き上げ用石英ルツボ及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11130583A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006220474A (ja) * | 2005-02-09 | 2006-08-24 | Konica Minolta Medical & Graphic Inc | 蒸発源ボート |
WO2011043552A3 (en) * | 2009-10-06 | 2011-10-13 | Lg Siltron Inc. | Quartz crucible and method of manufacturing the same |
US20130276694A1 (en) * | 2012-04-20 | 2013-10-24 | Panasonic Corporation | Quartz crucible for growing silicon single crystal, method of manufacturing quartz crucible for growing silicon single crystal and method of manufacturing silicon single crystal |
-
1997
- 1997-10-29 JP JP29716297A patent/JPH11130583A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006220474A (ja) * | 2005-02-09 | 2006-08-24 | Konica Minolta Medical & Graphic Inc | 蒸発源ボート |
JP4572692B2 (ja) * | 2005-02-09 | 2010-11-04 | コニカミノルタエムジー株式会社 | 放射線画像変換パネルの製造方法 |
WO2011043552A3 (en) * | 2009-10-06 | 2011-10-13 | Lg Siltron Inc. | Quartz crucible and method of manufacturing the same |
US20130276694A1 (en) * | 2012-04-20 | 2013-10-24 | Panasonic Corporation | Quartz crucible for growing silicon single crystal, method of manufacturing quartz crucible for growing silicon single crystal and method of manufacturing silicon single crystal |
JP2013224232A (ja) * | 2012-04-20 | 2013-10-31 | Panasonic Corp | シリコン単結晶育成用石英るつぼ、シリコン単結晶育成用石英るつぼの製造方法、およびシリコン単結晶の製造方法 |
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