JPH11127882A - 新規生理活性物質nk30424a,nk30424b,それらの製造法およびそれらの用途 - Google Patents

新規生理活性物質nk30424a,nk30424b,それらの製造法およびそれらの用途

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JPH11127882A
JPH11127882A JP30950597A JP30950597A JPH11127882A JP H11127882 A JPH11127882 A JP H11127882A JP 30950597 A JP30950597 A JP 30950597A JP 30950597 A JP30950597 A JP 30950597A JP H11127882 A JPH11127882 A JP H11127882A
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Yoshiyuki Takayasu
義行 高安
Tadao Yamazaki
忠雄 山崎
Takayuki Aoyama
貴之 青山
Takashi Harada
隆 原田
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】TNFα産生抑制作用を有する新規生理活性物
質NK30424AおよびNK30424Bを提供す
る。さらに、該化合物あるいはそれらの薬学的に許容し
得る塩および医薬用添加剤とからなる医薬品を提供す
る。 【構成】生理活性物質NK30424AおよびNK30
424Bは、ストレプトミセス属に属し該化合物の生産
能を有する微生物、例えばストレプトミセス・エスピー
NA 30424株(工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM P−16422として寄託)の培養によ
って得られる。両化合物の分子式はC30H46N2O
10Sで、分子量は626である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規生理活性物質
NK30424AあるいはNK30424B、それらの
製造法およびそれらの用途に関する。本発明の化合物
は、TNFα産生抑制作用を示し、慢性関節リウマチ、
川崎病、クローン病、ベーチェット病、気管支喘息、癌
悪液質、敗血症、腎炎、肝炎、血管炎、心不全、高脂血
症、多発性硬化症、神経障害、脊髄症、痴呆症、糖尿
病、ウイルス感染症等の治療薬あるいは予防薬などとし
て使用できる。
【0002】
【従来の技術】TNFαは、マクロファージ、単球のみ
ならず、多くの細胞から産生され、多様な生物活性を示
す事が知られている。また、各種の疾患、例えば慢性関
節リウマチ〔Ann.Rheum.Dis.第49巻、
669頁(1990)〕、川崎病〔Clin.Immu
nol.Immunopathol.第56巻、29頁
(1990)〕、クローン病〔Arch.Dis.Ch
ild、第66巻、561頁(1991)〕、ベーチェ
ット病〔J.Rheumatol.第17巻、1107
頁(1990)、気管支喘息〔J.Allergy C
lin.Immunol.第89巻、958頁(199
2)〕、癌悪液質〔Immunol.Lett.第11
巻、173頁(1985)〕、敗血症〔Scienc
e、第229巻、869頁(1986)〕等では、TN
Fαの異常な産生が見られ、疾患の増悪因子として働い
ていると考えられている。さらに腎炎、肝炎、血管炎、
心不全、高脂血症、多発性硬化症、神経障害、脊髄症、
痴呆症、糖尿病、ウイルス感染症等の疾患においてもT
NFαの関与が示唆されている。したがって、TNFα
の産生を抑制する物質がこれら疾患の治療薬あるいは予
防薬として期待され、有用な新規TNFα産生抑制剤の
発明が待たれている。
【0003】一方、本発明の生理活性物質NK3042
4Aあるいは、NK30424Bは、新規な化合物であ
り、これらと同一の物理化学的性質、および、生理活性
を有する物質は、報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、TN
Fα産生抑制活性をもつ新規な生理活性物質を提供する
ことにある。
【0005】また、本発明の目的は、慢性関節リウマ
チ、川崎病、クローン病、ベーチェット病、気管支喘
息、癌悪液質、敗血症、腎炎、肝炎、血管炎、心不全、
高脂血症、多発性硬化症、神経障害、脊髄症、痴呆症、
糖尿病、ウイルス感染症等の疾患において、その治療上
あるいは予防上有用な医薬を提供することにある。
【0006】さらに、本発明の目的は、上記生理活性物
質の製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微生物の
代謝産物について、種々検索した結果、放線菌に属する
一菌株が、TNFα産生抑制活性を有する生理活性物質
NK30424AとNK30424Bを産生する事を見
出した。
【0008】本発明は、上記知見に基づいて完成された
ものである。生理活性物質NK30424Aまたは、N
K30424Bは、ストレプトミセス属に属するNK3
0424Aまたは、NK30424B生産菌を培養し、
該化合物を生成せしめ、この培養物より採取する事によ
り得られる。
【0009】NK30424Aまたは、NK30424
Bの生産菌の代表的なものとして、土壌より分離したス
トレプトミセス・エスピー(Streptomyces
sp.)NA 30424株が挙げられる。以下に、
本菌株の菌学的性状を示す。
【0010】1.形態的性質 27°Cで2週間後に観察した結果、気菌糸は単純分岐
し、その先端はらせん状で、輪生枝の形成は認められな
い。また、胞子嚢及び遊走子も認められない。胞子表面
は平滑で、胞子はシリンダー型で、大きさは0.5〜
0.9×0.9〜1.3μmである。また、10個以上
の連鎖をなして胞子が形成される。
【0011】2.各種培地における生育 各種培地上、27°C、2週間後の生育状態を下記表1
に示す。
【0012】
【表1】
【0013】3.生理学的性質 生育至適温度 : 27〜37°C 硝酸塩の還元 : 陽性 スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地):
陽性 脱脂牛乳のペプトン化 : 陰性 ゼラチンの液化 : 陽性 メラニン様色素の生成 : 陽性 4.炭素源の利用性(プリドハム・ゴドリーブ寒天培地
上) L−アラビノース + D−キシロース + D−グルコース + D−フラクトース + シュクロース + イノシトール + L−ラムノース + ラフィノース − D−マンニトール +
【0014】5.細胞壁中のジアミノピメリン酸 LL−ジアミノピメリン酸である。以上を要約すると、
本菌株は細胞壁がLL−ジアミノピメリン酸であり、ま
た、メナキノンの種類は、主にMK−9(H8)、MK
−9(H6)である。インターナショナル・ストレプト
ミセス属・プロジェクト(略称ISP)の方法によれ
ば、胞子形成菌糸の形態は、Section Spir
alesに属し胞子表面は平滑で、成熟した菌糸の色は
灰色系統(Gray color−series)で黒
色の湿潤性(ハイグロスコピック)を呈する。メラニン
様色素を生産し、培地中に茶色味の可溶性色素を呈す
る。また、基生菌糸の色はうす黄からうす黄茶を呈す
る。炭素源としてはL−アラビノース、D−キシロー
ス、D−グルコース、D−フラクトース、シュクロー
ス、イノシトール、L−ラムノース、D−マンニトール
を利用し、ラフィノースは、利用しない。
【0015】以上の性質をもとにアール・イー・ブッフ
ァナン・アンド・エヌ・イー・ギボンズ編、バージーズ
・マニュアル・オブ・デタミネーティブ・バクテリオロ
ジー(Bergey’s Manual of Det
erminativeBacteriology)第8
版、1974年に従って検索を行った結果、上記NA
30424株はストレプトミセス属に属することが判明
した。よって、本菌をストレプトミセス・エスピー(
treptomyces sp.)NA30424と命
名した。該菌株は、工業技術院生命工学工業技術研究所
に、FERM P−16422として寄託されている。
【0016】本発明に用いるストレプトミセス属に属す
る菌株は他のストレプトミセス属の菌株と同様、その性
状が変化しやすい。例えば、紫外線、エックス線および
薬品などを用いる人工的な変異手段で容易に変異しうる
ものである。このように得られたどの様な変異株であっ
ても本発明の対象とする生理活性物質NK30424A
または(および)NK30424Bの生産能を有するも
のは、全て本発明に使用する事ができる。
【0017】本発明によりNK30424Aまたは(お
よび)NK30424Bを製造するには、まず前記菌株
を放線菌が利用し得る栄養物を含有する培地で好気的に
培養する。栄養源としては、従来から放線菌の培養に利
用されている公知のものが使用でき、例えば炭素源とし
ては、グルコース、グリセリン、ガラクトース、水飴、
デキストリン、シュクロース、でんぷん、糖蜜、動・植
物油等を使用できる。また、窒素源としては、大豆粉、
小麦、小麦胚芽、コーンスティープ・リカー、肉エキ
ス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ソ
ーダ、尿素等を単独かまたは組み合わせて用いることが
できる。その他、必要に応じ、ナトリウム、コバルト、
塩素、硫酸、燐酸、およびその他のイオンを生成するこ
とのできる無機塩類を添加することは有効である。ま
た、菌の生育を助け、生理活性物質NK30424Aま
たは(および)NK30424Bの生産を促進するよう
な有機および無機物を適当に添加することができる。
【0018】培養法としては、液体培養法、、特に深部
攪拌培養法が適している。培養に適当な温度は15〜3
7°Cであるが、多くの場合、26〜30°C付近で培
養する。生理活性物質NK30424Aまたは(およ
び)NK30424Bの生産は、培地や培養条件により
異なるが、振盪培養、タンク培養とも通常1〜10日の
間でその蓄積が最高に達する。培養物中の生理活性物質
NK30424Aまたは(および)NK30424Bの
蓄積量が最高になった時に、培養を停止し、培養液から
目的物質を単離する。
【0019】生理活性物質NK30424Aまたは(お
よび)NK30424Bの培養液からの採取にあたって
は、その性状を利用した通常の分離手段を適宜組み合わ
せて精製することができる。すなわち、培養液を遠心分
離あるいはろ過によりろ液と菌体部に分離し、得られた
ろ液をダイアイオンHP−20(商品名:三菱化成製)
などに吸着させ、低級アルコールやアセトン等により溶
出するか、あるいは1−ブタノール等の有機溶媒で抽出
することによりNK30424Aまたは(および)NK
30424Bの画分を得ることができる。
【0020】上述の方法に加え、物質の採取に用いられ
る公知の方法、たとえば吸着クロマトグラフィー、ゲル
濾過クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーより
のかき取り、高速液体クロマトグラフィー等を適宜組み
合わせ、あるいは繰り返すことによってNK30424
Aまたは(および)NK30424Bを純粋に単離する
ことができる。
【0021】上記のようにして得られた生理活性物質N
K30424AおよびNK30424Bの理化学的性質
を下記に示す。
【0022】a)NK30424A 1)外観:白色粉末 2)融点:129〜131°C(分解点) 3)分子式:C30H46N2O10S(高分解能マス
スペクトル法により測定) 4)分子量:626(FAB−MS法により測定した
(M+H)+=627) 5)紫外線吸収スペクトル :水溶液で測定した結果
は、図1に示す通りで、205nm(ε19030)、
288nm(ε375)に極大吸収を示す。 6)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤で測定し
たスペクトルを図2に示す。 7)水素核磁気共鳴スペクトル:重水中、500MHz
で測定したスペクトルを図3に示す。 8)炭素核磁気共鳴スペクトル:重水中、125MHz
で測定したスペクトルを図4に示す。 9)溶解性:水、メタノール、ジメチルスルホキシドに
易溶。ノルマルヘキサン、酢酸エチルに不溶。 10)呈色反応:ライドン−スミス、ニンヒドリン、硫
酸、過マンガン酸カリウムに陽性。エールリッヒ、坂
口、ドラーゲンドルフに陰性。 11)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.5 シリカゲル(メルク社製 シリカゲル60F254)薄
層を用い、展開溶媒として、1−ブタノール−酢酸−水
(4:1:1)を用いた。
【0023】b)NK30424B 1)外観:白色粉末 2)融点:129〜133°C(分解点) 3)分子式:C30H46N2O10S(高分解能マス
スペクトル法により測定) 4)分子量:626(FAB−MS法により測定した
(M+H)+=627) 5)紫外線吸収スペクトル :水溶液で測定した結果
は、図5に示す通りで、205nm(ε18980)、
288nm(ε500)に極大吸収を示す。 6)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤で測定し
たスペクトルを図6に示す。 7)水素核磁気共鳴スペクトル:重水中、500MHz
で測定したスペクトルを図7に示す。 8)炭素核磁気共鳴スペクトル:重水中、125MHz
で測定したスペクトルを図8に示す。 9)溶解性:水、メタノール、ジメチルスルホキシドに
易溶。ノルマルヘキサン、酢酸エチルに不溶。 10)呈色反応:ライドン−スミス、ニンヒドリン、硫
酸、過マンガン酸カリウムに陽性。エールリッヒ、坂
口、ドラーゲンドルフに陰性。 11)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.5 シリカゲル(メルク社製 シリカゲル60F254)薄
層を用い、展開溶媒として、1−ブタノール−酢酸−水
(4:1:1)を用いた。
【0024】本発明において、NK30424Aあるい
は、NK30424Bは、その薬学的に許容し得る塩の
形態にあってもよく、このような塩としては、例えばナ
トリウム、カリウムなどのアルカリ金属および塩酸や硫
酸などとの塩が挙げられる。
【0025】NK30424Aあるいは、NK3042
4Bの薬学的に許容される塩の薬学的に許容し得る塩
は、公知の方法によって製造することができ、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび塩酸、硫酸など
を含む溶液で対応するNK30424Aあるいは、NK
30424Bを処理することによって得ることができ
る。
【0026】本発明のNK30424A、NK3042
4B又はそれらの薬学的に許容される塩は後記のごと
く、TNFα産生抑制活性をもつ生理活性物質である。
医薬品として使用する場合の製剤化および投与方法は従
来公知の種々の方法が適用できる。すなわち、投与方法
としては注射、経口、直腸投与などが可能である。製剤
形態としては注射剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、座剤、カ
プセル剤などの形態がとり得る。
【0027】製剤化の際にNK30424A,NK30
424B又はその塩に悪影響を与えない限り、医薬用に
用いられる種々の医薬用添加剤、すなわち、担体やその
他の助剤、例えば安定剤、防腐剤、無痛化剤、乳化剤等
が必要に応じて使用され得る。製剤において、NK30
424A、NK30424B又はその塩の含量は製剤形
態等により広範囲に変えることが可能であり、一般には
NK30424A,NK30424B又はその塩を0.
01〜100%(重量)、好ましくは0.1〜70%
(重量)含有し、残りは通常医薬用に使用される添加剤
からなる。
【0028】NK30424A、NK30424B又は
その塩の投与量は疾患、症状、投与方法等により異なる
が、成人1人1日あたり0.01〜800mg程度であ
る。
【0029】以下にNK30424AおよびNK304
24Bが、TNFα産生抑制作用を有し、且つ毒性を示
さないことを試験例により示す。
【0030】試験例1 TNFα産生抑制作用 チオグリコレートにより誘導したマウス腹腔マクロファ
ージを用いて、NK30424AおよびNK30424
BのTNFα産生抑制活性を測定した。上記細胞の培養
液(細胞数50万個/ウェル)中に被験薬を添加し、そ
の後TNFαの誘導物質としてリポポリサッカライドを
最終濃度100ng/mlとなるよう加え、さらに20
時間培養した。この培養液中のTNFα濃度をバイオア
ッセイにて定量した。バイオアッセイはL−929(マ
ウス結合組織由来細胞)に対する細胞障害性試験(Ki
ener,P.A.らの方法、J.Immunol.第
141巻、870頁、一部改変)により行った。結果
は、容量−反応曲線からIC50値を求め、その値を表
2に示した。
【0031】
【表2】 NK30424AおよびNK30424BのTNFα産生抑制活性 化合物 IC50(μM) NK30424A 0.97NK30424B 0.86
【0032】試験例2 ラットにおける毒性 NK30424AまたはNK30424Bを生理食塩水
に溶解して、大腿部静脈より投与し、毒性を調べたとこ
ろ、両化合物とも20mg/kgで毒性を示さなかっ
た。
【0033】試験例から明らかな様に、本発明のNK3
0424AおよびNK30424Bは、TNFα産生抑
制作用を有し、且つ毒性を示さない。
【0034】
【発明の効果】本発明では新規な生理活性物質NK30
424A,NK30424B又はそれらの薬学的に許容
される塩が提供され、これら化合物はTNFαの産生を
抑制する。したがって、TNFα産生抑制剤として、ま
た、慢性関節リウマチ、川崎病、クローン病、ベーチェ
ット病、気管支喘息、癌悪液質、敗血症、腎炎、肝炎、
血管炎、心不全、高脂血症、多発性硬化症、神経障害、
脊髄症、痴呆症、糖尿病、ウイルス感染症等の疾患にお
いて、その治療薬あるいは予防薬として有用である。
【0035】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、これは単な
る一例示であって何等、本発明を限定するものではな
く、種々の変法が可能である。
【0036】実施例1 (1)醗酵 凍結菌および種母作成用の培地として、グリセリン2.
0%、グルコース1.0%、アジプロンE3(味の素
製)0.5%、ペプトン(極東社製)0.5%、酵母エ
キス0.5%、燐酸水素二カリウム0.05%、硫酸マ
グネシウム0.05%、炭酸カルシウム0.2%から成
る培地を用いた。
【0037】500ml容三角フラスコに上記培地を1
00ml分注し、120℃で20分間滅菌し、これにス
トレプトミセス・エスピーNA 30424株(FER
MP−16422)の斜面培養の1〜2白金耳を接種
し、27℃、200回転/分の回転式振盪機にて2日間
培養した。得られた培養物に同容量の30%グリセリン
水溶液を加え、攪拌後5mlずつ分注して−80°Cに
て凍結したものを凍結菌とした。
【0038】こうして得た凍結菌を、同様の培地100
mlを含む4本の500ml容三角フラスコに、接種量
が1%となるように、解凍後直に接種し、同一条件下で
2日間培養を行い、これを種母とした。
【0039】生産培地としては、グルコース1.0%、
可溶性澱粉4.0%、アジプロンE3(味の素製)2.
0%、コーンスティープ・リカー(日食社製)0.5
%、塩化カリウム0.03%、燐酸水素二カリウム0.
05%、硫酸マグネシウム0.05%、炭酸カルシウム
0.2%、から成る培地を用いた。なお、滅菌前の培地
はpH6.8に調整して使用した。
【0040】生産培地20リットルを500ml容三角
フラスコ220本に分注し、120℃で20分間滅菌
後、上記の種母1mlずつを移植し、27℃、200回
転/分の回転式振盪機にて4日間培養した。培養終了
後、培養液16.9リットルを6N塩酸にてpH5.8
とした後、濾過し培養濾液14.2リットルを得た。
【0041】(2)精製 この濾液を1150ml(φ57×450mm)のダイ
アイオンHP−20(三菱化成製)のカラムに吸着さ
せ、1.2リットルの水と4.5リットルの35%メタ
ノール水溶液にて洗浄した後、2.25リットルの80
%メタノール水溶液にて溶出し、さらに溶出液を305
mlに濃縮した。この濃縮液を希塩酸にてpH5.5と
し、脂溶性の不純物を等量の酢酸エチルで2回抽出して
除去した。得られた水層に燐酸二水素ナトリウムを加え
てpH7.0とし、50mM塩化ナトリウム−50mM
燐酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)にて平衡化したD
EAE−セファデックスA−25(ファルマシア製)の
250ml(φ41×190mm)のカラムに通液し、
さらに上記緩衝液を通液し、未吸着の画分450mlを
得た。これを再び希塩酸にてpH5.6とし、80ml
(φ30×115mm)のダイアイオンHP−20SS
(100−200メッシュ、三菱化成製)に吸着させ、
240mlの水で洗浄後230mlの80%メタノール
水溶液にて溶出した。この溶出液を凍結乾燥することに
より、粗精製物であるオレンジ色粉末3310mgを得
た。
【0042】この粗精製物の一部1650mgを20%
メタノール水溶液33mlに溶解後、あらかじめ同混合
溶媒で充填したYMC−GEL(ODS−A60−20
0/60、山村化学研究所社製)1000ml(φ47
×575mm)のカラムにかけ、20%、30%、40
%、60%メタノール水溶液で段階的に溶出、分画し
た。60%メタノール水溶液で溶出した分画のうち、N
K30424Aを多く含む画分(A)およびNK304
24Bを多く含む画分(B)を集め、凍結乾燥し、それ
ぞれ284mg、525mgを得た。
【0043】次いでこの(A)(B)両画分を逆相高速
液体クロマトグラフィーに付して精製した。即ち、逆相
カラムのカプセルパックC18 UG120(20φ×
250mm、資生堂製)に画分(A)の50mgに相当
する水溶液を注入し、18%アセトニトリル水溶液を用
いて流速8ml/分で展開溶出した。NK30424A
は、注入後55分に溶出された。この溶出部を凍結乾燥
した。同様の操作を繰り返し、画分(A)より、59m
gの粗NK30424Aを得た。一方、同様のカラムに
画分(B)の50mgに相当する水溶液を注入し、19
%アセトニトリル水溶液を用いて流速7.5ml/分で
展開溶出すると、NK30424Aは45分に、NK3
0424Bは49分に溶出された。それぞれの溶出部を
凍結乾燥した。同様の操作を繰り返すことにより、画分
(B)より77mgの粗NK30424Aと198mg
の純粋なNK30424Bを得た。
【0044】画分(A)と画分(B)から得られた粗N
K30424Aを合わせて、再度逆相高速液体クロマト
グラフィーに付して精製した。逆相カラムのPEGAS
ILODS(10φ×250mm、センシュー科学製)
に粗NK30424Aの10mgに相当する水溶液を注
入し、20%アセトニトリル水溶液を用いて流速2.5
ml/分で展開溶出した。NK30424Aは、注入後
34分に溶出された。この溶出部を凍結乾燥した。同様
の操作を繰り返すことにより、45mgの純粋なNK3
0424Aを得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】NK30424A水溶液の紫外線吸収スペクト
ルを示す。
【図2】NK30424Aの臭化カリウム錠内での赤外
線吸収スペクトルを示す。
【図3】NK30424Aの重水中で測定した500M
Hz水素核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図4】NK30424Aの重水中で測定した125M
Hz炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図5】NK30424B水溶液の紫外線吸収スペクト
ルを示す。
【図6】NK30424Bの臭化カリウム錠内での赤外
線吸収スペクトルを示す。
【図7】NK30424Bの重水中で測定した500M
Hz水素核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図8】NK30424Bの重水中で測定した125M
Hz炭素核磁気共鳴スペクトルを示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を示す生理活性物質
    NK30424A,NK30424B又はそれらの薬学
    的に許容される塩。 a)NK30424A 1)外観:白色粉末 2)融点:129〜131°C(分解点) 3)分子式:C30H46N2O10S(高分解能マス
    スペクトル法により測定) 4)分子量:626(FAB−MS法により測定した
    (M+H)+=627) 5)紫外線吸収スペクトル :水溶液で測定した結果
    は、第1図に示す通りで、205nm(ε1903
    0)、288nm(ε375)に極大吸収を示す。 6)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤で測定し
    たスペクトルを第2図に示す。 7)水素核磁気共鳴スペクトル:重水中、500MHz
    で測定したスペクトルを第3図に示す。 8)炭素核磁気共鳴スペクトル:重水中、125MHz
    で測定したスペクトルを第4図に示す。 9)溶解性:水、メタノール、ジメチルスルホキシドに
    易溶。ノルマルヘキサン、酢酸エチルに不溶。 10)呈色反応:ライドン−スミス、ニンヒドリン、硫
    酸、過マンガン酸カリウムに陽性。エールリッヒ、坂
    口、ドラーゲンドルフに陰性。 11)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.5 シリカゲル(メルク社製 シリカゲル60F254)薄
    層を用い、展開溶媒として、1−ブタノール−酢酸−水
    (4:1:1)を用いた。 b)NK30424B 1)外観:白色粉末 2)融点:129〜133°C(分解点) 3)分子式:C30H46N2O10S(高分解能マス
    スペクトル法により測定) 4)分子量:626(FAB−MS法により測定した
    (M+H)+=627) 5)紫外線吸収スペクトル :水溶液で測定した結果
    は、第5図に示す通りで、205nm(ε1898
    0)、288nm(ε500)に極大吸収を示す。 6)赤外線吸収スペクトル:臭化カリウム錠剤で測定し
    たスペクトルを第6図に示す。 7)水素核磁気共鳴スペクトル:重水中、500MHz
    で測定したスペクトルを第7図に示す。 8)炭素核磁気共鳴スペクトル:重水中、125MHz
    で測定したスペクトルを第8図に示す。 9)溶解性:水、メタノール、ジメチルスルホキシドに
    易溶。ノルマルヘキサン、酢酸エチルに不溶。 10)呈色反応:ライドン−スミス、ニンヒドリン、硫
    酸、過マンガン酸カリウムに陽性。エールリッヒ、坂
    口、ドラーゲンドルフに陰性。 11)薄層クロマトグラフィーのRf値:0.5 シリカゲル(メルク社製 シリカゲル60F254)薄
    層を用い、展開溶媒として、1−ブタノール−酢酸−水
    (4:1:1)を用いた。
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属し、請求項1に記
    載の生理活性物質NK30424Aまたは、NK304
    24Bを生産する能力を有する微生物を、栄養培地にて
    培養し、培養物中に生理活性物質NK30424Aまた
    はNK30424Bを生成蓄積せしめ、これを採取する
    ことを特徴とする生理活性物質NK30424Aまたは
    NK30424Bの製造法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のNK30424Aまた
    は、NK30424B、あるいはそれらの薬学的に許容
    し得る塩および医薬用添加剤とからなる医薬。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のNK30424Aまた
    は、NK30424B、あるいはそれらの薬学的に許容
    し得る塩および医薬用添加剤とからなる腫瘍壊死因子α
    (TNFα)産生抑制剤。
  5. 【請求項5】慢性関節リウマチ、川崎病、クローン病、
    ベーチェット病、気管支喘息、癌悪液質、敗血症、腎
    炎、肝炎、血管炎、心不全、高脂血症、多発性硬化症、
    神経障害、脊髄症、痴呆症、糖尿病、ウイルス感染症の
    いずれかに対する治療あるいは予防の目的で用いられる
    請求項3記載の医薬。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の生理活性物質NK304
    24Aまたは、NK30424Bを生産する能力を有す
    るストレプトミセス属放線菌。
  7. 【請求項7】ストレプトミセス・エスピーNA3042
    4(Streptomyces sp.NA3042
    4、生命工学工業技術研究所寄託FERM p−164
    22)株又はその変異株。
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