JPH11125683A - 時計の振り子装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の振り子とは全く異なる印象を与え、意
外性のある時計の振り子装置を提供する。 【解決手段】 揺動振り竿２の端部には、互いに平行状
態を保持しながら相反する方向へ移動する第１及び第２
の平行振り竿１０、１２が支持されている。この第１及
び第２の平行振り竿１０、１２にそれぞれ取り付けられ
ている第１及び第２の装飾体１６、１８は、略同一線上
で相反する方向に往復移動するように動作する。この動
作により、第１及び第２の装飾体１６、１８は、あたか
も一体のものでその長さが上下又は左右に伸縮している
かのように見える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、時計に使用される
振り子装置に関するものであり、特に２つの装飾体を相
反する方向にほぼ対称な状態で移動させる振り子装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の振り子装置としては、特
開平８−１２２４５８号公報に開示されているものがあ
った。この振り子装置は、横竿により支持される左右の
装飾体を時計体の背後に配置し、上下方向に交互に揺動
することにより時計体の外周から装飾体の一部が左右交
互に見え隠れするように構成されたものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術における振
り子装置は、左右の装飾体が上下に交互に揺動するもの
であったため、その動作から振り子の構造がある程度想
像でき、意外性が乏しいという課題があった。

【０００４】また、交互に上下するという装飾体の動作
も、通常の振り子の動作にやや近いため、動作から受け
る印象も弱いという課題もあった。

【０００５】本発明は、上記従来の技術の課題に鑑みな
されたもので、装飾体を略同一線上かつ相反する方向に
往復移動させることにより、通常の振り子とは全く異な
るものであるかのような印象を与え、その構造も想像し
にくく、意外性のある時計の振り子装置を提供するもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明における時計の振
り子装置は、両端部が揺動するように支持された揺動振
り竿と、該揺動振り竿の各端部にそれぞれ支持され、該
揺動振り竿の揺動により互いに平行状態を保持しながら
相反する方向へ移動する第１及び第２の平行振り竿と、
該第１及び第２の平行振り竿によりそれぞれ略同一線上
で相反する方向に往復移動される第１及び第２の装飾体
と、からなるものである。

【０００７】また、本発明における時計の振り子装置
は、相互に平行に配置され、且つ両端部が揺動するよう
にそれぞれ支持された第１及び第２の揺動振り竿と、該
第１及び第２の揺動振り竿が相反する方向に揺動するよ
うに該第１及び第２の揺動振り竿を連結する連結振り竿
と、前記第１及び第２の揺動振り竿の相反する方向に揺
動する各端部に支持されて略同一線上で相反する方向に
往復移動される第１及び第２の装飾体と、からなるもの
でもある。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の時計の振り子装置におい
て、揺動振り竿の端部には、互いに平行状態を保持しな
がら相反する方向へ移動する第１及び第２の平行振り竿
が支持されている。この第１及び第２の平行振り竿に
は、第１及び第２の装飾体がそれぞれ取り付けられてい
る。この第１及び第２の装飾体は、第１及び第２の平行
振り竿の動作で、略同一線上で相反する方向に往復移動
するように動作する。このような第１及び第２の装飾体
の動作によれば、時計体の上下又は左右から第１及び第
２の装飾体が見え隠れすることになるが、この第１及び
第２の装飾体は、略同一線上で相反する方向に移動する
ため、あたかも第１及び第２の装飾体が一体のものでそ
の長さが上下又は左右に伸縮しているかのように見え
る。

【０００９】また、本発明の他の時計の振り子装置にお
いては、揺動振り竿を、それらが相反する方向に揺動す
るように連結振り竿で連結している。このように連結さ
れた第１及び第２の揺動振り竿の相反する方向に揺動す
る各端部でそれぞれ第１及び第２の装飾体を支持してい
る。この第１及び第２の装飾体も、第１及び第２の揺動
振り竿により、略同一線上で相反する方向に往復移動す
ることになる。

【００１０】

【実施例】図１は本発明の一実施例に係る時計の振り子
装置を示す時計の背面図である。２は中央が揺動自在に
支持された揺動振り竿である。尚、この揺動振り竿２の
支持部２ｄは、時計体４の背面より突出する突出部に揺
動振り竿２の中央を掛止する等の構造で揺動自在に支持
されている。また、この揺動振り竿２の中央には、下方
に伸びる駆動竿部２ａが設けられており、この駆動竿部
２ａの先端に磁石６が取り付けられている。この磁石６
は、時計体４の背面に設けられた振り子駆動用のコイル
８に対向するように位置付けられている。

【００１１】１０、１２は第１及び第２の平行振り竿で
ある。この第１及び第２の平行振り竿１０、１２は、揺
動振り竿２の端部２ｂ、２ｃにそれぞれ掛止あるいは軸
着されることにより回動自在に支持されており、更に互
いに平行になるように位置付けられている。また、本実
施例における第１及び第２の平行振り竿１０、１２は、
揺動振り竿２に平行で且つ同じ方向に揺動可能な状態に
ある連結揺動振り竿１４により回動自在に連結されてい
る。この連結揺動振り竿１４は、第１及び第２の平行振
り竿１０、１２の動作を安定させるスタビライザーとし
て作用する。更に、この第１及び第２の平行振り竿１
０、１２は、図１中の上下端のように、それぞれ相対す
る端部に装飾体取付部１０ａ、１２ａを有している。

【００１２】１６、１８は第１及び第２の装飾体であ
る。この第１及び第２の装飾体１６、１８は、第１及び
第２の平行振り竿１０、１２の装飾体取付部１０ａ、１
２ａに取り付けられ又は一体に形成されているものであ
り、本実施例においては、装飾体取付部１０ａ、１２ａ
を折曲形成することにより図中の上下方向に略同一線上
に並ぶように配置されている。

【００１３】上記構成からなる振り子装置においては、
揺動振り竿２、連結揺動振り竿１４、第１及び第２の平
行振り竿１０、１２により平行四辺形を形成し、揺動振
り竿２がその支持部２ｄを中心として揺動すると、第１
及び第２の平行振り竿１０、１２は互いの平行状態を保
ちながら図２及び図３に示すようにそれぞれ上下に移動
する。このため、第１及び第２の平行振り竿１０、１２
と共に作動する第１及び第２の装飾体１６、１８は、略
同一線上をそれぞれ上下に移動することになる。

【００１４】上記のような第１及び第２の装飾体１６、
１８の動作は、時計の正面側から見た場合、時計体４の
上下に突出した第１及び第２の装飾体１６、１８が略同
一線上に並ぶと共に両方とも直線的に動作するため、一
体の装飾体であるかのような印象を与える。更に、第１
及び第２の装飾体１６、１８が相反する方向に移動する
ため、その一体に見える装飾体があたかも上下方向に伸
縮しているかのような印象を与えることになる。即ち、
図２に示すように、揺動振り竿２が時計方向に回転して
右下がりになると、第１及び第２の装飾体１６、１８は
上下に最も離れ、外見上、伸びたように見える。また、
図３に示すように、揺動振り竿２が反時計方向に回転し
て左下がりになると、第１及び第２の装飾体１６、１８
は最も近付き、外見上、縮んだように見える。また、こ
の第１及び第２の装飾体１６、１８が個々に上下に移動
する距離は比較的短いが、同時に相反する方向に移動す
るものであるため、それぞれが移動した距離の倍の長さ
伸び縮みするように見える。

【００１５】尚、第１及び第２の装飾体１６、１８は、
実際には弧を描くように移動するものであるが、個々の
移動距離がわずかであり、また、図２に示すように時計
体４から大きく突出した状態において同一線上に並び、
図３に示すように時計体４内にほとんど隠れた状態にお
いてその線上から外れるように第１及び第２の装飾体１
６、１８を位置付けることにより、視覚上、直線的に動
いているように見せることができる。

【００１６】また、図１等においては、時計体４と第１
及び第２の装飾体１６、１８の形状を特に関連付けてい
ないが、図４乃至図７に示すように、第１及び第２の装
飾体１６、１８が図４及び図６に示すように最も外方に
突出した状態において、時計体４の輪郭に第１及び第２
の装飾体１６、１８の外形線が連続するように時計体４
と第１及び第２の装飾体１６、１８の形状を関連付けて
設定することにより、時計体４の外形が伸縮あるいは変
化するように見せることも可能である。

【００１７】更に、上記実施例においては、第１及び第
２の装飾体１６、１８が図中上下方向に移動するように
位置付けていたが、この振り子装置を９０度回転させ
て、図８に示すように、第１及び第２の装飾体１６、１
８が時計体４の図中右左端に位置するように向きを変え
ることもできる。この場合、図８に示すように、連結揺
動振り竿１４も支持部１４ｄにて時計体４に揺動自在に
支持されるように構成することにより、第１及び第２の
平行振り竿１０、１２の動作をより安定させることがで
きる。また、図１に示すような駆動竿部２ａを設けず
に、揺動振り竿２と連結揺動振り竿１４の両方又は一方
に磁石６を取り付け、これをコイルで揺動するように構
成することができる。

【００１８】図９は本発明の他の実施例に係る時計の振
り子装置を示す時計の背面図である。２０、２２は第１
及び第２の揺動振り竿であり、互いに平行になるように
その中央の各支持部２０ａ、２２ａにて時計体２６に揺
動自在に支持されている。

【００１９】２４は第１及び第２の揺動振り竿２０、２
２が相反する方向に揺動するようにそれらを連結する連
結振り竿である。本実施例における連結振り竿２４は、
第１及び第２の揺動振り竿２０、２２の支持部２０ａ、
２２ａ付近から突出する竿部２４ａ、２４ｂと、その先
端の一方に設けられたＵ状あるいはカップ状の受け部２
４ｃと他方に設けられたボール状の挿入部２４ｄとを遊
嵌させてなる摺動及び屈曲自在な連結部２４ｅと、から
構成されている。

【００２０】２８、３０は第１及び第２の装飾体であ
り、第１及び第２の揺動振り竿２０、２２の相反する方
向へ揺動する図中上方の端部２０ｂ、２２ｂにそれぞれ
軸着等により回動自在な状態で支持されている。

【００２１】３２、３４は第１及び第２の装飾体２８、
３０の動作をそれぞれ安定させるための第３及び第４の
揺動振り竿である。この第３及び第４の揺動振り竿３
２、３４は、その両端部が揺動するように中程の支持部
３２ａ、３４ａにて時計体２６にそれぞれ揺動自在に支
持されている。そして、この第３及び第４の揺動振り竿
３２、３４は、その一方の端部にそれぞれ形成されたボ
ール状の挿入部３２ｂ、３４ｂと、第１及び第２の揺動
振り竿２０、２２の端部にそれぞれ形成されたＵ状ある
いはカップ状の受け部２０ｃ、２２ｃと、を遊嵌させる
ことにより形成される摺動及び屈曲自在な取付部３６、
３８により第１及び第２の揺動振り竿２０、２２に連結
されている。また、この第３及び第４の揺動振り竿３
２、３４は、その他方の端部にＵ状あるいはカップ状の
受け部３２ｃ、３４ｃが設けられており、この受け部３
２ｃ、３４ｃに第１及び第２の装飾体２８、３０から突
出する先端がボール状の挿入部２８ａ、３０ａを遊嵌さ
せることにより形成される摺動及び屈曲自在な連結部４
０、４２により第１及び第２の装飾体２８、３０に連結
されている。

【００２２】上記構成からなる振り子装置においては、
図１０に示すように、第１の揺動振り竿２０が時計方向
に回転して左下がりに傾斜すると、連続振り竿２４の連
結部２４ｅが下方に向かって谷形に屈曲する。これによ
り第２の揺動振り竿２２は反時計方向に回転し、右下が
りに傾斜する。この結果、第１及び第２の揺動振り竿２
０、２２の端部２０ｂ、２２ｂは接近し、これに取り付
けられている第１及び第２の装飾体２８、２０が近付け
られる。

【００２３】一方、このときに、第３及び第４の揺動振
り竿３２、３４は、図１０に示すように、連結部３６、
３８が互いに遠のくため、第３の揺動振り竿３２は反時
計方向へ回転し、第４の揺動振り竿３４は時計方向へ回
転する。このため、この第３及び第４の揺動振り竿３
２、３４と第１及び第２の装飾体２８、３０との取付部
４０、４２は互いに近付くことになり、第１及び第２の
装飾体２８、３０は、第１乃至第４の揺動振り竿２０、
２２、３２、３４の回転により、全体的に近付く方向へ
移動する。

【００２４】また、図１１に示すように、第１の揺動振
り竿２０が反時計方向へ回転して右下がりに傾斜する
と、連結振り竿２４の連結部は上方に向かって山形に屈
曲する。これにより第２の揺動振り竿２２は、時計方向
に回転して左下がりに傾斜する。この結果、第１及び第
２の揺動振り竿２０、２２の端部２０ｂ、２２ｂは互い
に遠のくことになり、第１及び第２の装飾体２８、３０
は図中左右に遠ざかる。

【００２５】一方、このときに、第３及び第４の揺動振
り竿３２、３４は、図１１に示すように、連結部３６、
３８が近付く方向に回転し、これにより取付部４０、４
２が互いに遠のくことになる。このため、第１及び第２
の装飾体２８、３０は、第１乃至第４の揺動振り竿２
０、２２、３２、３４の回転により、全体的に遠ざかる
方向へ移動する。

【００２６】上記のように、第１乃至第４の揺動振り竿
２０、２２、３２、３４の揺動により、第１及び第２の
装飾体２８、３０は、図１０及び図１１に示すように、
図中左右方向に近付いたり離れたりすることになる。し
かもその動作は、第１及び第２の装飾体２８、３０が水
平状態を保ちつつ略同一線上を相反する方向に移動する
ようになるので、時計体２６の背後にある装飾体が左右
に広がったり縮んだりするように見える。

【００２７】尚、この振り子装置においては、第１乃至
第４の揺動振り竿２０、２２、３２、３４のうちの一つ
が磁石とコイルで駆動されると他の全ての揺動振り竿が
前述したように揺動するが、複数の揺動振り竿を同時に
駆動しても良い。

【００２８】

【発明の効果】本発明によれば、略同一線上で相反する
方向に第１及び第２の装飾体を往復移動させることによ
り、一つの装飾体が伸縮しているかのように見え、単な
る揺動では得られないような動作となるため、構造が想
像しにくく、且つ意外性のある動作を得ることができ
る。

【００２９】また、上記のように装飾体が伸縮している
かのように見える動作により、通常の振り子とは全く異
なる強い印象を与えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る時計の振り子装置を示
す時計の背面図である。

【図２】図１に示す振り子装置の動作状態を示す時計の
背面図である。

【図３】図１に示す振り子装置の動作状態を示す時計の
背面図である。

【図４】図１に示す振り子装置の時計体と装飾体の形状
を関連付けて形成した場合の一例を示す時計の正面図で
ある。

【図５】図４に示す振り子装置の動作状態を示す時計の
正面図である。

【図６】図１に示す振り子装置の時計体と装飾体の形状
を関連付けて形成した場合の他の例を示す時計の正面図
である。

【図７】図５に示す振り子装置の動作状態を示す時計の
正面図である。

【図８】図１に示す振り子装置の一部変更例を示す時計
の背面図である。

【図９】本発明の他の実施例に係る時計の振り子装置を
示す時計の背面図である。

【図１０】図９に示す振り子装置の動作状態を示す時計
の背面図である。

【図１１】図９に示す振り子装置の動作状態を示す時計
の背面図である。

【符号の説明】

２ 揺動振り竿 ４ 時計体 １０ 第１の平行振り竿 １２ 第２の平行振り竿 １４ 連結揺動振り竿 １６ 第１の装飾体 １８ 第２の装飾体 ２０ 第１の揺動振り竿 ２２ 第２の揺動振り竿 ２４ 連結振り竿 ２６ 時計体 ２８ 第１の装飾体 ３０ 第２の装飾体 ３２ 第３の揺動振り竿 ３４ 第４の揺動振り竿 ３６、３８ 連結部 ４０、４２ 取付部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端部が揺動するように支持された揺動
   振り竿と、 該揺動振り竿に平行に配置された連結揺動振り竿と、 前記揺動振り竿の各端部にそれぞれ支持されると共に前
   記連結揺動振り竿により連結され、前記揺動振り竿の揺
   動により互いに平行状態を保持しながら相反する方向へ
   移動する第１及び第２の平行振り竿と、 該第１及び第２の平行振り竿によりそれぞれ略同一線上
   で相反する方向に往復移動される第１及び第２の装飾体
   と、 からなることを特徴とする時計の振り子装置。
2. 【請求項２】 相互に平行に配置され、且つ両端部が揺
   動するようにそれぞれ支持された第１及び第２の揺動振
   り竿と、 該第１及び第２の揺動振り竿が相反する方向に揺動する
   ように該第１及び第２の揺動振り竿を連結する連結振り
   竿と、 相互に平行に配置され、且つ両端部が揺動するようにそ
   れぞれ支持され、前記第１及び第２の揺動振り竿の相反
   する方向に揺動する各一方の端部にそれぞれの一方の端
   部が屈曲自在に連結された第３及び第４の揺動振り竿
   と、 前記第１及び第２の揺動振り竿の相反する方向に揺動す
   る各他方の端部に支持されると共に前記第３及び第４の
   揺動振り竿の各他方の端部に支持されて、略同一線上で
   相反する方向に往復移動される第１及び第２の装飾体
   と、 からなることを特徴とする時計の振り子装置。