JPH11123511A - 電磁攪拌方法および電磁攪拌装置 - Google Patents
電磁攪拌方法および電磁攪拌装置Info
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- JPH11123511A JPH11123511A JP29006597A JP29006597A JPH11123511A JP H11123511 A JPH11123511 A JP H11123511A JP 29006597 A JP29006597 A JP 29006597A JP 29006597 A JP29006597 A JP 29006597A JP H11123511 A JPH11123511 A JP H11123511A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 鋳型内溶鋼上面側からリニアモーターによっ
て移動磁場を印加し、連続鋳造鋳片の表層部における気
泡・ 非金属介在物を低減する技術において、 低電力でも
効率的に溶鋼を攪拌することが出来ると共に、特に幅の
狭い鋳片についても、 鋳片幅全域にわたって気泡や非金
属介在物を洗い流すことができる電磁攪拌方法および電
磁攪拌装置を提供する。 【解決手段】 溶鋼上面側から移動磁場を印加し、 溶鋼
を水平に回転させる環状リニアモーターを2 基、 浸漬ノ
ズルを挟む様にして鋳型長辺方向の両側に配置すること
により、 従来より低電力で効率的に溶鋼を攪拌すること
が出来、しかも幅の狭い鋳片についても、 鋳片幅全域に
わたって気泡や非金属介在物を洗い流すことができる電
磁攪拌方法および電磁攪拌装置が提供された。
て移動磁場を印加し、連続鋳造鋳片の表層部における気
泡・ 非金属介在物を低減する技術において、 低電力でも
効率的に溶鋼を攪拌することが出来ると共に、特に幅の
狭い鋳片についても、 鋳片幅全域にわたって気泡や非金
属介在物を洗い流すことができる電磁攪拌方法および電
磁攪拌装置を提供する。 【解決手段】 溶鋼上面側から移動磁場を印加し、 溶鋼
を水平に回転させる環状リニアモーターを2 基、 浸漬ノ
ズルを挟む様にして鋳型長辺方向の両側に配置すること
により、 従来より低電力で効率的に溶鋼を攪拌すること
が出来、しかも幅の狭い鋳片についても、 鋳片幅全域に
わたって気泡や非金属介在物を洗い流すことができる電
磁攪拌方法および電磁攪拌装置が提供された。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 連続鋳造鋳片の表
層部における気泡や非金属介在物の低減を図るために、
鋳型内の溶鋼をリニアモーターによって攪拌する電磁攪
拌方法および電磁攪拌装置に関するものである。
層部における気泡や非金属介在物の低減を図るために、
鋳型内の溶鋼をリニアモーターによって攪拌する電磁攪
拌方法および電磁攪拌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の半製品である鋳片の製造手段として
連続鋳造法が広く利用されている。 しかしながら、 主に
板材用素材として製造される断面長方形のスラブの連続
鋳造に際しては、 例えば後述する図18に示す様に、 鋳片
表面から深さ5mm 程度までの表層部に気泡や非金属介在
物が多く存在する様な鋳片が得られる傾向にあり、 鋼板
等の製品に欠陥が発生しやすいという問題があった。 こ
のため従来より、リニアモーターを用いて鋳型内の溶鋼
を適切に攪拌し、 鋳片表層部に気泡や非金属介在物が存
在しにくい様にする( 洗い流す) 電磁攪拌技術が実用化
されてきた。
連続鋳造法が広く利用されている。 しかしながら、 主に
板材用素材として製造される断面長方形のスラブの連続
鋳造に際しては、 例えば後述する図18に示す様に、 鋳片
表面から深さ5mm 程度までの表層部に気泡や非金属介在
物が多く存在する様な鋳片が得られる傾向にあり、 鋼板
等の製品に欠陥が発生しやすいという問題があった。 こ
のため従来より、リニアモーターを用いて鋳型内の溶鋼
を適切に攪拌し、 鋳片表層部に気泡や非金属介在物が存
在しにくい様にする( 洗い流す) 電磁攪拌技術が実用化
されてきた。
【0003】中でも、 リニアモーターが発生する磁場
を、 鋳型を構成する銅板を介することなく鋳型内溶鋼の
上面( 湯面) 側から該溶鋼に印加する電磁攪拌技術は、
前記銅板を介して磁場を印加する技術に比べ、10 分の1
程度の小さな電源容量で効率よく溶鋼を攪拌することが
できるという特徴を有することが知られている(特開昭
55-54245号公報: 公報A)。
を、 鋳型を構成する銅板を介することなく鋳型内溶鋼の
上面( 湯面) 側から該溶鋼に印加する電磁攪拌技術は、
前記銅板を介して磁場を印加する技術に比べ、10 分の1
程度の小さな電源容量で効率よく溶鋼を攪拌することが
できるという特徴を有することが知られている(特開昭
55-54245号公報: 公報A)。
【0004】上記公報A によれば、鋳型上方には銅板を
設けることなく複数の電磁コイルを設置し、該電磁コイ
ルによって形成された磁場によって鋳型内の溶鋼を水平
方向に回転させながら鋳造する連続鋳造方法が開示され
ている。 この発明は、 その実施例に[電磁コイルがタン
ディッシュノズル( 浸漬ノズル) を囲む如くタンディッ
シュの下面に多数個取り付けられてなるもの]と記述さ
れていることから明らかな様に、 鋳型内径が十分大きい
ブルーム連続鋳造を対象とするものである。 これに対し
スラブ連続鋳造用装置では、 鋳型短辺長さと浸漬ノズル
外径が、典型的な例では夫々240mm と150mm となってお
り、 鋳型長辺を構成する各銅板と浸漬ノズルとの隙間は
片側わずか45mm程度に過ぎないから、 この狭い隙間に電
磁コイルを設置して十分な攪拌を達成することは困難で
ある。
設けることなく複数の電磁コイルを設置し、該電磁コイ
ルによって形成された磁場によって鋳型内の溶鋼を水平
方向に回転させながら鋳造する連続鋳造方法が開示され
ている。 この発明は、 その実施例に[電磁コイルがタン
ディッシュノズル( 浸漬ノズル) を囲む如くタンディッ
シュの下面に多数個取り付けられてなるもの]と記述さ
れていることから明らかな様に、 鋳型内径が十分大きい
ブルーム連続鋳造を対象とするものである。 これに対し
スラブ連続鋳造用装置では、 鋳型短辺長さと浸漬ノズル
外径が、典型的な例では夫々240mm と150mm となってお
り、 鋳型長辺を構成する各銅板と浸漬ノズルとの隙間は
片側わずか45mm程度に過ぎないから、 この狭い隙間に電
磁コイルを設置して十分な攪拌を達成することは困難で
ある。
【0005】これに対して、 特開平7-290214(公報B)に
は、 連続鋳造用鋳型の1 対の短辺と1 対の長辺で構成さ
れる鋳造空間内の溶融金属の上方空間における平面視の
1 つの対角方向両側に、 浸漬ノズルを挟む様にして2基
のリニアモーターを配設し、上記リニアモーターの推力
を用いて、 鋳型内の溶融金属上面付近の1 つの対角方向
への流動を制御する流動制御装置並びに方法が開示され
ている。
は、 連続鋳造用鋳型の1 対の短辺と1 対の長辺で構成さ
れる鋳造空間内の溶融金属の上方空間における平面視の
1 つの対角方向両側に、 浸漬ノズルを挟む様にして2基
のリニアモーターを配設し、上記リニアモーターの推力
を用いて、 鋳型内の溶融金属上面付近の1 つの対角方向
への流動を制御する流動制御装置並びに方法が開示され
ている。
【0006】また、 特開平9-122857(公報C)には、 公報
B に開示されている上記リニアモーターの長手軸線の溶
融金属上面に対する投影線が、 鋳型の一短辺および一長
辺と交差する様に、 上記リニアモーターを斜めに配置す
る流動制御装置が開示されている。
B に開示されている上記リニアモーターの長手軸線の溶
融金属上面に対する投影線が、 鋳型の一短辺および一長
辺と交差する様に、 上記リニアモーターを斜めに配置す
る流動制御装置が開示されている。
【0007】更に、 特開平9-155515(公報D)には、 公報
B に開示されている上記リニアモーターと、 鋳型内のメ
ニスカス下方で溶融金属に制動力を加えるための別の電
磁石とを組み合わせてなる流動制御装置が開示されてい
る。
B に開示されている上記リニアモーターと、 鋳型内のメ
ニスカス下方で溶融金属に制動力を加えるための別の電
磁石とを組み合わせてなる流動制御装置が開示されてい
る。
【0008】これら後三者の公報B,C,D に開示されてい
る溶触金属の流動制御装置ならびに方法は、 鋳型長辺を
構成する銅板と浸漬ノズルとの隙間にリニアモーターを
設置する必要がないので、 鋳型短辺長さの短い( 厚みの
薄い) スラブの連続鋳造にも適用可能である点で、 公報
A の発明と異なった優れた特徴を有する。
る溶触金属の流動制御装置ならびに方法は、 鋳型長辺を
構成する銅板と浸漬ノズルとの隙間にリニアモーターを
設置する必要がないので、 鋳型短辺長さの短い( 厚みの
薄い) スラブの連続鋳造にも適用可能である点で、 公報
A の発明と異なった優れた特徴を有する。
【0009】しかしながら公報B,C,D に更に開示されて
いる様に、 溶鋼上面で対角線( 平面視) 方向に強磁性体
突極を直線状に配置し、 突極と突極の間( 極間) にコイ
ルを巻き付けた3 相交流リニアモーターを用いるという
嵩張った構成を採用しているので、電磁攪拌の必要性が
特に大きいと考えられている幅1100mm以下の小断面スラ
ブの連続鋳造に適用することは困難であるという問題が
あった。
いる様に、 溶鋼上面で対角線( 平面視) 方向に強磁性体
突極を直線状に配置し、 突極と突極の間( 極間) にコイ
ルを巻き付けた3 相交流リニアモーターを用いるという
嵩張った構成を採用しているので、電磁攪拌の必要性が
特に大きいと考えられている幅1100mm以下の小断面スラ
ブの連続鋳造に適用することは困難であるという問題が
あった。
【0010】これを具体的に説明する。図18は、 スラブ
鋳片の表層部に存在する気泡について、その深さ方向分
布状況を調査した結果を示すもので、 横軸は調査対象面
の鋳片表面からの距離、 縦軸は調査対象面の鋳片単位表
面積当たりに存在する気泡の数を指数化したものであ
る。 これによれば、 鋳片の幅が狭いもの程多くの気泡が
表層部に集中して存在するという傾向が認められ、 幅が
狭いスラブ連続鋳造においては電磁攪拌の必要性が特に
高いことが分かる。一方前述した様な従来の通常の電磁
攪拌方法では、 図8(上側は平面図、 下側の左は側面図、
下側の右は正面図に夫々対応) に示す様に1基のリニア
モーターに対して少なくとも6 個の電気コイルと7 本の
強磁性体突極を直線上に配置する必要がある。 このた
め、 突極ピッチ( 隣り合う突極の中心間距離) を比較的
短く、 例えば80mmとしても、 リニアモーターの全長は1
基につき500mm 程度に達する。 一方浸漬ノズルの外径は
一般に150mm 程度であるから、2基のリニアモーターと浸
漬ノズルを鋳型内に納めるためには、 最低でも1150mm程
度の鋳型長辺長さが必要となり、 幅1100mm以下のスラブ
連続鋳造に適用することはできない。
鋳片の表層部に存在する気泡について、その深さ方向分
布状況を調査した結果を示すもので、 横軸は調査対象面
の鋳片表面からの距離、 縦軸は調査対象面の鋳片単位表
面積当たりに存在する気泡の数を指数化したものであ
る。 これによれば、 鋳片の幅が狭いもの程多くの気泡が
表層部に集中して存在するという傾向が認められ、 幅が
狭いスラブ連続鋳造においては電磁攪拌の必要性が特に
高いことが分かる。一方前述した様な従来の通常の電磁
攪拌方法では、 図8(上側は平面図、 下側の左は側面図、
下側の右は正面図に夫々対応) に示す様に1基のリニア
モーターに対して少なくとも6 個の電気コイルと7 本の
強磁性体突極を直線上に配置する必要がある。 このた
め、 突極ピッチ( 隣り合う突極の中心間距離) を比較的
短く、 例えば80mmとしても、 リニアモーターの全長は1
基につき500mm 程度に達する。 一方浸漬ノズルの外径は
一般に150mm 程度であるから、2基のリニアモーターと浸
漬ノズルを鋳型内に納めるためには、 最低でも1150mm程
度の鋳型長辺長さが必要となり、 幅1100mm以下のスラブ
連続鋳造に適用することはできない。
【0011】この問題を解決する1 つの対策としては、
突極ピッチを例えば50mm以下といった様に極端に小さく
する方法も考えられる。 しかしながら、 突極ピッチを小
さくすると、 溶鋼上面から印加する磁場の溶鋼内部への
浸透深さが浅くなってしまうという問題があり、 この対
策は電磁攪拌の本来の使用目的を阻却するので採用でき
ない。更に具体約に説明すると、 鋳片表面から5mm 以内
の表層部を洗い流すためには、 鋳型内の溶鋼湯面から10
0mm 程度深さまでの溶鋼を十分に攪拌する必要があると
されているが、溶鋼を攪拌する磁場が実際に溶鋼中に浸
透する深さは、後述する様に、交流電流の周波数をどの
様に選んでも前記突極ピッチを越えることはなく、 突極
ピッチが50mm以下であれば地場の浸透深さはやはり50mm
以下にとどまる。 攪拌領域は溶鋼の粘性により実際の磁
気浸透深さより若干下方まで及ぶことを考慮に入れて
も、 これでは溶鋼湯面から100mm 深さまでの領域の溶鋼
を十分に攪拌することは難しい。
突極ピッチを例えば50mm以下といった様に極端に小さく
する方法も考えられる。 しかしながら、 突極ピッチを小
さくすると、 溶鋼上面から印加する磁場の溶鋼内部への
浸透深さが浅くなってしまうという問題があり、 この対
策は電磁攪拌の本来の使用目的を阻却するので採用でき
ない。更に具体約に説明すると、 鋳片表面から5mm 以内
の表層部を洗い流すためには、 鋳型内の溶鋼湯面から10
0mm 程度深さまでの溶鋼を十分に攪拌する必要があると
されているが、溶鋼を攪拌する磁場が実際に溶鋼中に浸
透する深さは、後述する様に、交流電流の周波数をどの
様に選んでも前記突極ピッチを越えることはなく、 突極
ピッチが50mm以下であれば地場の浸透深さはやはり50mm
以下にとどまる。 攪拌領域は溶鋼の粘性により実際の磁
気浸透深さより若干下方まで及ぶことを考慮に入れて
も、 これでは溶鋼湯面から100mm 深さまでの領域の溶鋼
を十分に攪拌することは難しい。
【0012】また前記した公報B,C,D に開示されている
方法、 即ち図12(a)、(b) に示す様な電磁攪拌方法( 浸漬
ノズルを挟んだ点対称位置に、 鋳型の略長片方向に沿っ
て溶鋼を直線約に加速するリニアモーターを1 基ずつ配
置する方法) では、 鋳型長辺方向全領域( 鋳片全幅) に
わたって十分な攪拌を得ることが難しいという問題があ
った。 即ち図12(a) の平面図に示す様なリニアモーター
配置によって、 同図中の太線矢印方向( 鋳型短辺側から
鋳型長辺内面に沿って浸漬ノズルに向かう方向) に溶鋼
を加速する様な電磁力を作用させた場合には、 図13(鋳
型長辺方向流速分布図)の曲線(a) に示す様に、 鋳型長
辺中央部( 横軸の中央部) では凝固界面に対して平行な
速い流れが得られるものの、 鋳型長辺両端部( 横軸の両
端部) までは電磁力の作用が及ばないため、 該両端部で
は流速が遅くなる。 このため鋳片の表層部( 鋳型内面と
の接触部) が洗い流される領域は、図15(a) の5P(点網
で示し、 溶鋼内面と平行な溶鋼流れによって洗われる部
分: 以下同じ) で示す鋳片中央部のみとなり、 鋳片両端
部では洗い流しが不十分となって気泡や非金属介在物が
鋳片表層部に捕捉され易くなる。
方法、 即ち図12(a)、(b) に示す様な電磁攪拌方法( 浸漬
ノズルを挟んだ点対称位置に、 鋳型の略長片方向に沿っ
て溶鋼を直線約に加速するリニアモーターを1 基ずつ配
置する方法) では、 鋳型長辺方向全領域( 鋳片全幅) に
わたって十分な攪拌を得ることが難しいという問題があ
った。 即ち図12(a) の平面図に示す様なリニアモーター
配置によって、 同図中の太線矢印方向( 鋳型短辺側から
鋳型長辺内面に沿って浸漬ノズルに向かう方向) に溶鋼
を加速する様な電磁力を作用させた場合には、 図13(鋳
型長辺方向流速分布図)の曲線(a) に示す様に、 鋳型長
辺中央部( 横軸の中央部) では凝固界面に対して平行な
速い流れが得られるものの、 鋳型長辺両端部( 横軸の両
端部) までは電磁力の作用が及ばないため、 該両端部で
は流速が遅くなる。 このため鋳片の表層部( 鋳型内面と
の接触部) が洗い流される領域は、図15(a) の5P(点網
で示し、 溶鋼内面と平行な溶鋼流れによって洗われる部
分: 以下同じ) で示す鋳片中央部のみとなり、 鋳片両端
部では洗い流しが不十分となって気泡や非金属介在物が
鋳片表層部に捕捉され易くなる。
【0013】また逆に、 図12(b) の平面図に示す様なリ
ニアモーター配置によって、 同図中の太線矢印方向( 鋳
型中央部から鋳型長辺内面に沿って鋳型端部に向かう方
向)に溶鋼を加速する様な電磁力を作用させた場合には、
図13の曲線(b) に示す様に、 鋳型長辺中央部( 横軸の
中央部) では溶鋼流速が非常に遅くなり、一方鋳型長辺
両端部( 特に横軸の右方向) では凝固殻に平行な非常に
速い流れが生じ、 それに伴って、 鋳型短辺や対向側の長
辺凝固殻に対して垂直な衝突流も生じる。 このため、 図
15(b) の5P で示す部分及び5T で示す部分(鋳片幅両
端部:それぞれ太線で示し、鋳型内面に衝突する溶鋼流
れによって洗われる部分:以下同じ)では気泡や非金属
介在物が良く洗い流されるが、鋳型長辺中央部では流速
が遅くなったことに伴い、 気泡や非金属介在物が残り易
くなる。
ニアモーター配置によって、 同図中の太線矢印方向( 鋳
型中央部から鋳型長辺内面に沿って鋳型端部に向かう方
向)に溶鋼を加速する様な電磁力を作用させた場合には、
図13の曲線(b) に示す様に、 鋳型長辺中央部( 横軸の
中央部) では溶鋼流速が非常に遅くなり、一方鋳型長辺
両端部( 特に横軸の右方向) では凝固殻に平行な非常に
速い流れが生じ、 それに伴って、 鋳型短辺や対向側の長
辺凝固殻に対して垂直な衝突流も生じる。 このため、 図
15(b) の5P で示す部分及び5T で示す部分(鋳片幅両
端部:それぞれ太線で示し、鋳型内面に衝突する溶鋼流
れによって洗われる部分:以下同じ)では気泡や非金属
介在物が良く洗い流されるが、鋳型長辺中央部では流速
が遅くなったことに伴い、 気泡や非金属介在物が残り易
くなる。
【0014】この問題を解決する1 つの対策としては、
図12(c) の平面図に示す様に鋳型の2 つの対角に合計4
基の直線状リニアモーターを配置して、 図13の(c) に
示す様に鋳型ほぼ全幅に渡って比較的均一な流速を得よ
うとする方法も考えられる。しかしながらこの方法で
は、鋳型内溶鋼上面のほぼ全体をリニアモーターが覆う
形となり、 上方から見た時の可視空間が狭くなって潤滑
剤の投入作業等に支障を生じるから、 この方法を適用す
ることは連続鋳造法において致命的な困難を伴う。
図12(c) の平面図に示す様に鋳型の2 つの対角に合計4
基の直線状リニアモーターを配置して、 図13の(c) に
示す様に鋳型ほぼ全幅に渡って比較的均一な流速を得よ
うとする方法も考えられる。しかしながらこの方法で
は、鋳型内溶鋼上面のほぼ全体をリニアモーターが覆う
形となり、 上方から見た時の可視空間が狭くなって潤滑
剤の投入作業等に支障を生じるから、 この方法を適用す
ることは連続鋳造法において致命的な困難を伴う。
【0015】更に、 上記公報B ,C ,D に記載された公
知発明では、 図8 に示した様に、 突極と突極の間( 極
間) にリニアモーターの長手方向を軸として電気コイル
を巻き付ける( 以下、 極間巻きと呼ぶ) 様なリニアモー
ターを利用することが開示されているが、この極間巻き
リニアモーターは、 隣り合う突極の向き合った2つの側
面および各突極を連結する極間下面、 ならびに突極下端
面を延長した面の合計4面に囲まれた領域全体に、 位相
が完全に揃った交流電流を流すことができるので、 突極
長さの割に強い攪拌力が得られるという特徴を持つ。 し
かしながら、極間巻きリニアモーターは鋳型厚み方向の
サイズが大きくなり勝ちで、 狭い鋳型内に収まりにくい
という問題があった。 またこのモーターでは、 図10の磁
力線分布計算結果に示す様に、 上方に強い漏れ磁場が形
成され、 リニアモーターの上方に位置するリニアモータ
ー昇降装置や鋳型フラックス供給装置等をも誘導加熱し
てしまう為に無駄な電力損失が生じるという別の問題も
あった。
知発明では、 図8 に示した様に、 突極と突極の間( 極
間) にリニアモーターの長手方向を軸として電気コイル
を巻き付ける( 以下、 極間巻きと呼ぶ) 様なリニアモー
ターを利用することが開示されているが、この極間巻き
リニアモーターは、 隣り合う突極の向き合った2つの側
面および各突極を連結する極間下面、 ならびに突極下端
面を延長した面の合計4面に囲まれた領域全体に、 位相
が完全に揃った交流電流を流すことができるので、 突極
長さの割に強い攪拌力が得られるという特徴を持つ。 し
かしながら、極間巻きリニアモーターは鋳型厚み方向の
サイズが大きくなり勝ちで、 狭い鋳型内に収まりにくい
という問題があった。 またこのモーターでは、 図10の磁
力線分布計算結果に示す様に、 上方に強い漏れ磁場が形
成され、 リニアモーターの上方に位置するリニアモータ
ー昇降装置や鋳型フラックス供給装置等をも誘導加熱し
てしまう為に無駄な電力損失が生じるという別の問題も
あった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な情
況に着目してなされたものであって、 その目的は、 鋳型
内の溶鋼上になるべく大きな可視空間を残しつつ、 従来
技術では溶鋼上面からの電磁攪拌を適用できない様な特
に幅の狭いスラブ連続鋳造にも適用可能であって、 鋳片
表面から5mm 以内の表層部には鋳片幅全域に渡って気泡
や非金属介在物が存在しない様、十分に溶鋼を攪拌し、
なお且つ、 リニアモーターの上方に殆ど漏れ磁場を形成
しない、 低電力で効率的な電磁攪拌を達成することがで
きる様な方法および装置を提供しようとするものであ
る。
況に着目してなされたものであって、 その目的は、 鋳型
内の溶鋼上になるべく大きな可視空間を残しつつ、 従来
技術では溶鋼上面からの電磁攪拌を適用できない様な特
に幅の狭いスラブ連続鋳造にも適用可能であって、 鋳片
表面から5mm 以内の表層部には鋳片幅全域に渡って気泡
や非金属介在物が存在しない様、十分に溶鋼を攪拌し、
なお且つ、 リニアモーターの上方に殆ど漏れ磁場を形成
しない、 低電力で効率的な電磁攪拌を達成することがで
きる様な方法および装置を提供しようとするものであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成し得た本
発明に係る溶鋼電磁攪拌方法は、 リニアモーターによっ
て発生させる移動磁場を、連続鋳造鋳型内の溶鋼の上面
側から該溶鋼内に印加する電磁攪拌において、 複数の下
向き突極を持つ環状強磁性体ヨークに電気コイルを巻き
付けた2 基の環状リニアモーターを、 浸漬ノズルを挟む
様にして鋳型長辺方向の両側であって、鋳型短辺方向の
中央に配置し、 夫々の環状リニアモーター直下の溶鋼を
水平方向に回転させることを要旨とするものである。 円
環状あるいは長方形環状の強磁性体ヨークの下に下向き
突極を配置した従来の環状リニアモーターは、 突極を直
線状に配置したリニアモーターと比べ、 突極ピッチや電
気コイルの数を同じにしても、 リニアモーターの全長が
半減する。 このため、 鋳型上方に従来より大きな可視空
間を残すことができる上、 鋳型長辺長さが1100mm以下の
特に幅の狭いスラブ連続鋳造についても、小さな電源容
量で効率的に溶鋼を電磁攪拌することが可能となる。
発明に係る溶鋼電磁攪拌方法は、 リニアモーターによっ
て発生させる移動磁場を、連続鋳造鋳型内の溶鋼の上面
側から該溶鋼内に印加する電磁攪拌において、 複数の下
向き突極を持つ環状強磁性体ヨークに電気コイルを巻き
付けた2 基の環状リニアモーターを、 浸漬ノズルを挟む
様にして鋳型長辺方向の両側であって、鋳型短辺方向の
中央に配置し、 夫々の環状リニアモーター直下の溶鋼を
水平方向に回転させることを要旨とするものである。 円
環状あるいは長方形環状の強磁性体ヨークの下に下向き
突極を配置した従来の環状リニアモーターは、 突極を直
線状に配置したリニアモーターと比べ、 突極ピッチや電
気コイルの数を同じにしても、 リニアモーターの全長が
半減する。 このため、 鋳型上方に従来より大きな可視空
間を残すことができる上、 鋳型長辺長さが1100mm以下の
特に幅の狭いスラブ連続鋳造についても、小さな電源容
量で効率的に溶鋼を電磁攪拌することが可能となる。
【0018】また2基の環状リニアモーターが、 図14に
示す様にリニアモーター直下の溶鋼を夫々水平方向に回
転させることにより、 浸漬ノズルの両側で、 表裏両方
(図の上側および下側)の鋳型長辺に沿って溶鋼を加速
させることができる。これに加えて、 溶鋼の水平回転に
より鋳型厚み方向( 短辺に平行な方向) にも速い流れが
生じ、 この流れが鋳型長辺に沿った凝固殻に衝突するこ
とにより、 気泡や介在物を洗い流す効果も生じる。
示す様にリニアモーター直下の溶鋼を夫々水平方向に回
転させることにより、 浸漬ノズルの両側で、 表裏両方
(図の上側および下側)の鋳型長辺に沿って溶鋼を加速
させることができる。これに加えて、 溶鋼の水平回転に
より鋳型厚み方向( 短辺に平行な方向) にも速い流れが
生じ、 この流れが鋳型長辺に沿った凝固殻に衝突するこ
とにより、 気泡や介在物を洗い流す効果も生じる。
【0019】結局2基の環状リニアモーターを、浸漬ノ
ズルを挟む様に鋳型長辺方向の両側であって鋳型短辺方
向の中央に配置すれば、 図14に示す様な旋回移動磁場
6ACが形成されるので(6a,6b は2 基のリニアモータ
ー)図16の5P,5Tで示す様に、鋳型全周に沿って鋳片表
層部が洗い流される。その結果直線状リニアモーター2
基を鋳型対角位置に配置する従来法に比べ、 鋳片全幅に
渡って気泡や介在物を低減することができる。
ズルを挟む様に鋳型長辺方向の両側であって鋳型短辺方
向の中央に配置すれば、 図14に示す様な旋回移動磁場
6ACが形成されるので(6a,6b は2 基のリニアモータ
ー)図16の5P,5Tで示す様に、鋳型全周に沿って鋳片表
層部が洗い流される。その結果直線状リニアモーター2
基を鋳型対角位置に配置する従来法に比べ、 鋳片全幅に
渡って気泡や介在物を低減することができる。
【0020】また前記に加えて、 環状リニアモーターの
電気コイルに通電する交流電流の周波数f を、(1)式に示
す様に臨界周波数fc(Hz)の0.3 〜3.0 倍の範囲とするこ
とも、 全長の短いリニアモーターで十分な攪拌を得る上
で非常に有効である。 0.3 ×fc ≦ f ≦ 3.0 ×fc ・・・(1) ここで、 f: 電気コイルに流す交流電流の周波数(Hz)、 fc: 臨界周波数(Hz) fc= 1/πp2 μσ ・・・(2) μ: 溶鋼の透磁率 μ=4π×10-7(H/m) σ: 溶鋼の電気伝導度 σ=7×105 (1/ Ωm) p: 突極ピッチ( 隣り合う下向き突極の中心間距離)(m) である。
電気コイルに通電する交流電流の周波数f を、(1)式に示
す様に臨界周波数fc(Hz)の0.3 〜3.0 倍の範囲とするこ
とも、 全長の短いリニアモーターで十分な攪拌を得る上
で非常に有効である。 0.3 ×fc ≦ f ≦ 3.0 ×fc ・・・(1) ここで、 f: 電気コイルに流す交流電流の周波数(Hz)、 fc: 臨界周波数(Hz) fc= 1/πp2 μσ ・・・(2) μ: 溶鋼の透磁率 μ=4π×10-7(H/m) σ: 溶鋼の電気伝導度 σ=7×105 (1/ Ωm) p: 突極ピッチ( 隣り合う下向き突極の中心間距離)(m) である。
【0021】更に電気コイルを下向き突極の周りに略水
平に巻きつけること( 突極巻き) も本発明の優れた態様
である。 図9(上側は平面図、 下側の左は側面図、 下側の
右は正面図に夫々対応) は6 本の突極を直線状に配置し
た突極巻きリニアモーターを示したものであるが、 突極
ピッチが同一の極間巻きリニアモーター( 図8 :図9と
同様の3 面図) と比較して、 鋳型厚み方向の大きさが小
さく、 狭い鋳型内に収まり易いことが分かる。
平に巻きつけること( 突極巻き) も本発明の優れた態様
である。 図9(上側は平面図、 下側の左は側面図、 下側の
右は正面図に夫々対応) は6 本の突極を直線状に配置し
た突極巻きリニアモーターを示したものであるが、 突極
ピッチが同一の極間巻きリニアモーター( 図8 :図9と
同様の3 面図) と比較して、 鋳型厚み方向の大きさが小
さく、 狭い鋳型内に収まり易いことが分かる。
【0022】また図11の磁力線分布計算結果に示す様
に、 ヨークの上方には殆ど漏れ磁場が形成されない。 本
発明に係る環状リニアモーターにおいても、 直線状リニ
アモーターの場合と同様に、 図7 に示す様にコイルを突
極巻きとすれば、 図6 に示す様な極間巻きの場合に比べ
て、 リニアモーター全体のサイズを小型化できる。
に、 ヨークの上方には殆ど漏れ磁場が形成されない。 本
発明に係る環状リニアモーターにおいても、 直線状リニ
アモーターの場合と同様に、 図7 に示す様にコイルを突
極巻きとすれば、 図6 に示す様な極間巻きの場合に比べ
て、 リニアモーター全体のサイズを小型化できる。
【0023】また該リニアモーターの上方に漏れ磁場が
形成されず、 従って上方のリニアモーター昇降装置や鋳
型フラックス供給装置等を無駄に誘導加熱して電力損失
を招くといった問題も生じない。 尚、 突極巻きリニアモ
ーターで極間巻きリニアモーターと同一の攪拌力を得る
ためには、 ほぼ2 倍のアンペアターン( コイル電流値と
巻き数の積) が必要となるが、 突極巻きであれば突極長
さを延長することでコイル直径を変えずに巻き数を増大
できるので、 アンペアターンを倍増して同一の攪拌力を
得ることは容易である。
形成されず、 従って上方のリニアモーター昇降装置や鋳
型フラックス供給装置等を無駄に誘導加熱して電力損失
を招くといった問題も生じない。 尚、 突極巻きリニアモ
ーターで極間巻きリニアモーターと同一の攪拌力を得る
ためには、 ほぼ2 倍のアンペアターン( コイル電流値と
巻き数の積) が必要となるが、 突極巻きであれば突極長
さを延長することでコイル直径を変えずに巻き数を増大
できるので、 アンペアターンを倍増して同一の攪拌力を
得ることは容易である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下本発明の完成に至る経緯に触
れつつ本発明を更に詳細に説明する。上述の様に、 複数
の突極を直線上に配置した従来のリニアモーターでは、
リニアモーターの全長が長くなるため、 鋳片表層部に気
泡や非金属介在物が多く発生し易い幅1100mm以下のスラ
ブ連続鋳造に対しては、これを適用することが困難であ
った。そこで本発明者らは、 まず電気コイルに通電する
交流電流の周波数や突極ピッチを最適化して、 リニアモ
ーターの全長を短くすることのできる技術について検討
した。 図17は実際の磁気浸透深さ∂(m) に及ぼす、 周波
数f(Hz) と突極ピッチの影響に関する調査結果を示した
ものである。 実際の磁気浸透深さ( 縦軸目盛り)は、 磁
束密度が溶鋼表面での値の1/e(e ≒2.7)となる深さと定
義している。 図17より以下のことを読み取ることができ
る。
れつつ本発明を更に詳細に説明する。上述の様に、 複数
の突極を直線上に配置した従来のリニアモーターでは、
リニアモーターの全長が長くなるため、 鋳片表層部に気
泡や非金属介在物が多く発生し易い幅1100mm以下のスラ
ブ連続鋳造に対しては、これを適用することが困難であ
った。そこで本発明者らは、 まず電気コイルに通電する
交流電流の周波数や突極ピッチを最適化して、 リニアモ
ーターの全長を短くすることのできる技術について検討
した。 図17は実際の磁気浸透深さ∂(m) に及ぼす、 周波
数f(Hz) と突極ピッチの影響に関する調査結果を示した
ものである。 実際の磁気浸透深さ( 縦軸目盛り)は、 磁
束密度が溶鋼表面での値の1/e(e ≒2.7)となる深さと定
義している。 図17より以下のことを読み取ることができ
る。
【0025】(1) 周波数(f )がある臨界周波数(fc)よ
り十分大きい場合は、 実際の磁気浸透深さδは(3) 式で
表され、 周波数が大きくなるのに対応して比例的に小さ
くなる。 δ= δi ・・・(3) ここで、 fc:臨界周波数( Hz) δ :実際の磁気浸透深さ (m) δi:理論磁気浸透深さ δi =( πf μσ)-0.5 f :電気コイルに流す交流電流の周波数( Hz) μ :溶鋼の透磁率 μ=4π×10-7 (H/m) σ :溶鋼の電気伝導度 σ=7×105 (1/ Ωm) である。
り十分大きい場合は、 実際の磁気浸透深さδは(3) 式で
表され、 周波数が大きくなるのに対応して比例的に小さ
くなる。 δ= δi ・・・(3) ここで、 fc:臨界周波数( Hz) δ :実際の磁気浸透深さ (m) δi:理論磁気浸透深さ δi =( πf μσ)-0.5 f :電気コイルに流す交流電流の周波数( Hz) μ :溶鋼の透磁率 μ=4π×10-7 (H/m) σ :溶鋼の電気伝導度 σ=7×105 (1/ Ωm) である。
【0026】(2) 一方、 周波数が前記臨界周波数より十
分小さい場合には、 実際の磁気浸透深さδは(4) 式で表
され、 周波数とは無関係となる。 δ= p ・・・(4) ここで、 p :突極ピッチ(m) である。
分小さい場合には、 実際の磁気浸透深さδは(4) 式で表
され、 周波数とは無関係となる。 δ= p ・・・(4) ここで、 p :突極ピッチ(m) である。
【0027】(3) 上記臨界周波数fc(Hz)は、(3)式と(4)
式の交点を求める条件から、(2)式で計算することができ
る。 fc= 1/πp2 μσ ・・・(2)
式の交点を求める条件から、(2)式で計算することができ
る。 fc= 1/πp2 μσ ・・・(2)
【0028】リニアモーターの電磁力を高めるためには
周波数を大きくすることが望まれるが、 周波数が大き過
ぎると、 実際の磁気浸透深さが低減し、 表層を十分に洗
い流すことができなくなる場合がある。 従って、 突極ピ
ッチがある値に定まった場合には、 上記臨界周波数に近
い周波数を用いることにより、 実際の磁気浸透深さが低
減しない範囲で最大の電磁力を得る様に努める。 この様
な適正周波数の条件は(1) 式で表すことができる。 0.3 ×fc ≦ f ≦ 3.0 ×fc ・・・(1)
周波数を大きくすることが望まれるが、 周波数が大き過
ぎると、 実際の磁気浸透深さが低減し、 表層を十分に洗
い流すことができなくなる場合がある。 従って、 突極ピ
ッチがある値に定まった場合には、 上記臨界周波数に近
い周波数を用いることにより、 実際の磁気浸透深さが低
減しない範囲で最大の電磁力を得る様に努める。 この様
な適正周波数の条件は(1) 式で表すことができる。 0.3 ×fc ≦ f ≦ 3.0 ×fc ・・・(1)
【0029】また突極ピッチは洗い流しを期待する深さ
によって決めることができる。 例えば、 突極ピッチを12
0mm とし、(2)式で計算される臨界周波数に等しい25Hz
の周波数を利用すれば、 実際の磁気浸透深さは約94mmと
なるので、 鋳片表面から5mmまでの表層部が凝固する過
程(湯面から深さ100mm までの領域)の溶鋼を十分に攪
拌することができる。 一方7本の突極を直線上に配置し
た従来型の3 相交流リニアモーターにおいて、 突極ピッ
チを120mm とするならば、 リニアモーター1 基当たりの
全長は750mm 程度に達し、 幅が1650mm以上の広いスラブ
連続鋳造でなければこの方法を適用することができな
い。
によって決めることができる。 例えば、 突極ピッチを12
0mm とし、(2)式で計算される臨界周波数に等しい25Hz
の周波数を利用すれば、 実際の磁気浸透深さは約94mmと
なるので、 鋳片表面から5mmまでの表層部が凝固する過
程(湯面から深さ100mm までの領域)の溶鋼を十分に攪
拌することができる。 一方7本の突極を直線上に配置し
た従来型の3 相交流リニアモーターにおいて、 突極ピッ
チを120mm とするならば、 リニアモーター1 基当たりの
全長は750mm 程度に達し、 幅が1650mm以上の広いスラブ
連続鋳造でなければこの方法を適用することができな
い。
【0030】以上の検討から、 本発明者らは、 突極を直
線上に配置した3 相交流リニアモーターについて交流電
流の周波数や突極ピッチを最適化するだけでは、 リニア
モーターの全長を十分に低減することはできないという
結論に達した。
線上に配置した3 相交流リニアモーターについて交流電
流の周波数や突極ピッチを最適化するだけでは、 リニア
モーターの全長を十分に低減することはできないという
結論に達した。
【0031】これに対して本発明に係る円環状あるいは
長方形環状の強磁性体ヨークの下に下向き突極を配置し
た環状リニアモーターでは、 突極ピッチやコイル数が従
来と同じでも、 リニアモーターの全長を従来の半分以下
に短縮することができる。 例えば本発明の実施例1 に係
る環状リニアモーターは、 突極ピッチ120mm、突極数6本
であり、 湯面から深さ100mm 程度までの溶鋼を十分に攪
拌することが期待できるものであるが、 リニアモーター
1 基の全長は耐火物厚みを含めても360mm に過ぎない。
このため、 鋳型上方に従来より大きな可視空間を残すこ
とができ、しかも鋳型長辺長さが1100mm以下の特に幅の
狭いスラブ連続鋳造についても、 低電力で効率的な電磁
攪拌を適用することが可能となる。
長方形環状の強磁性体ヨークの下に下向き突極を配置し
た環状リニアモーターでは、 突極ピッチやコイル数が従
来と同じでも、 リニアモーターの全長を従来の半分以下
に短縮することができる。 例えば本発明の実施例1 に係
る環状リニアモーターは、 突極ピッチ120mm、突極数6本
であり、 湯面から深さ100mm 程度までの溶鋼を十分に攪
拌することが期待できるものであるが、 リニアモーター
1 基の全長は耐火物厚みを含めても360mm に過ぎない。
このため、 鋳型上方に従来より大きな可視空間を残すこ
とができ、しかも鋳型長辺長さが1100mm以下の特に幅の
狭いスラブ連続鋳造についても、 低電力で効率的な電磁
攪拌を適用することが可能となる。
【0032】リニアモーターの電気コイルに通電する交
流電流の周波数についてのもう一つの制約は、 周波数が
低過ぎると磁場が鋳型銅板背面まで漏洩することであ
る。 その様な事態を避けるためには、 交流電流の周波数
を10Hz以上とすることが望ましい。
流電流の周波数についてのもう一つの制約は、 周波数が
低過ぎると磁場が鋳型銅板背面まで漏洩することであ
る。 その様な事態を避けるためには、 交流電流の周波数
を10Hz以上とすることが望ましい。
【0033】尚、 突極ピッチと適正な周波数条件に関す
る上記説明は、3相交流リニアモーターについて述べたも
のであるが、2相交流リニアモーターを採用する場合につ
いても上記とほぼ同様の条件を適用することができる。
る上記説明は、3相交流リニアモーターについて述べたも
のであるが、2相交流リニアモーターを採用する場合につ
いても上記とほぼ同様の条件を適用することができる。
【0034】また、 環状リニアモーターを2 相交流リニ
アモーターとして突極数を4 本に低減すれば、 1基の環
状リニアモーターについて鋳型長辺方向には突極が2 本
並ぶのみとなるので、 リニアモーターの全長を更に低減
することも可能となる。
アモーターとして突極数を4 本に低減すれば、 1基の環
状リニアモーターについて鋳型長辺方向には突極が2 本
並ぶのみとなるので、 リニアモーターの全長を更に低減
することも可能となる。
【0035】またリニアモーターの強磁性体ヨークの材
質は、 積層銅板を使用するのが一般的であるが、 環状リ
ニアモーターの場合には、 磁場の向きが水平面内に限定
されない為、 積層銅板の一部が誘導加熱される場合があ
る。 その様な事態を避けるためには、 強磁性体の材質を
無方向性で電気伝導度が低いもの、例えばセラミック(
最適例はソフトフェライト) とすることが望ましい。
質は、 積層銅板を使用するのが一般的であるが、 環状リ
ニアモーターの場合には、 磁場の向きが水平面内に限定
されない為、 積層銅板の一部が誘導加熱される場合があ
る。 その様な事態を避けるためには、 強磁性体の材質を
無方向性で電気伝導度が低いもの、例えばセラミック(
最適例はソフトフェライト) とすることが望ましい。
【0036】溶鋼上面の直上に環状リニアモーターを設
ける構造とすると、 溶鋼の湯面に変動がある場合には、
下向き突極の先端部が溶鋼と接触するということも起こ
り得るので、 その様な事態を避けるためには、 環状リニ
アモーターを鋳型から分離して懸架すると共に、 該環状
リニアモーターの高さ位置を該鋳型とは独立して調整可
能とする駆動部を設けることにより、 前記湯面との接触
を生じない様に、 溶鋼湯面の高さ位置に応じて該環状リ
ニアモーターの高さ位置を適宜調節することが推奨され
る。
ける構造とすると、 溶鋼の湯面に変動がある場合には、
下向き突極の先端部が溶鋼と接触するということも起こ
り得るので、 その様な事態を避けるためには、 環状リニ
アモーターを鋳型から分離して懸架すると共に、 該環状
リニアモーターの高さ位置を該鋳型とは独立して調整可
能とする駆動部を設けることにより、 前記湯面との接触
を生じない様に、 溶鋼湯面の高さ位置に応じて該環状リ
ニアモーターの高さ位置を適宜調節することが推奨され
る。
【0037】前記環状リニアモーターの懸架は、 例えば
鋳型の上部に設けられているタンディッシュ台車等にお
いて行えばよく、 該環状リニアモーターを上下動させる
駆動部としては、 例えば油圧シリンダーによる高速駆動
部と電動式の微動用駆動部からなる2 段式駆動とするこ
とができる。
鋳型の上部に設けられているタンディッシュ台車等にお
いて行えばよく、 該環状リニアモーターを上下動させる
駆動部としては、 例えば油圧シリンダーによる高速駆動
部と電動式の微動用駆動部からなる2 段式駆動とするこ
とができる。
【0038】また溶鋼攪拌のための電磁力を一定に保つ
ためには、 前記溶鋼湯面の高さ位置に応じて前記環状リ
ニアモーターの高さ位置や電気コイルに通電する電流や
周波数を適宜調節すればよい。 この目的で溶鋼湯面の高
さ位置を検知する手投としては、 前記環状リニアモータ
ーとは別の高周波渦流式センサーを用いることも可能で
あるが、 環状リニアモーター自体を湯面高さ位置検出用
のセンサーとして利用することも可能である。 後者の方
法は、 該環状リニアモーターに対して溶鋼湯面高さ位置
が相対的に変化すると、 該環状リニアモーターの見かけ
の電気抵抗が変化することを利用するものである。 すな
わち環状リニアモーターの電気コイルに一定の交流電流
を通電しつつ、 該電気コイルの交流電圧を測定すること
により、リニアモーターに対する溶鋼湯面高さ位置の相
対的な変化を検出するのである。この様な方法によれば、
別途湯面高さ位置検出用センサーを設置したり、 リニ
アモーターの突極先端に特別な検出端を設置する必要が
ない。
ためには、 前記溶鋼湯面の高さ位置に応じて前記環状リ
ニアモーターの高さ位置や電気コイルに通電する電流や
周波数を適宜調節すればよい。 この目的で溶鋼湯面の高
さ位置を検知する手投としては、 前記環状リニアモータ
ーとは別の高周波渦流式センサーを用いることも可能で
あるが、 環状リニアモーター自体を湯面高さ位置検出用
のセンサーとして利用することも可能である。 後者の方
法は、 該環状リニアモーターに対して溶鋼湯面高さ位置
が相対的に変化すると、 該環状リニアモーターの見かけ
の電気抵抗が変化することを利用するものである。 すな
わち環状リニアモーターの電気コイルに一定の交流電流
を通電しつつ、 該電気コイルの交流電圧を測定すること
により、リニアモーターに対する溶鋼湯面高さ位置の相
対的な変化を検出するのである。この様な方法によれば、
別途湯面高さ位置検出用センサーを設置したり、 リニ
アモーターの突極先端に特別な検出端を設置する必要が
ない。
【0039】また、 リニアモーターを高温溶鋼の幅射熱
から遮断し、 また鋳造開始時の溶鋼スプラッシュ等から
保護する目的で、 環状リニアモーター全体を耐火物で覆
った構造とすることもできる。
から遮断し、 また鋳造開始時の溶鋼スプラッシュ等から
保護する目的で、 環状リニアモーター全体を耐火物で覆
った構造とすることもできる。
【0040】リニアモーターの下向き突極下端と湯面と
の距離は、 リニアモーターの性能や鋳型サイズ、 所望の
溶鋼攪拌強度により適宜決めるべきであるが、 前記突極
下端と湯面との距離が小さ過ぎるとリニアモーターが溶
鋼や溶鋼上の溶融パウダーと接触する可能性が大きくな
り、 大き過ぎると溶鋼中に発生する電磁力が小さくなる
という観点から、40 〜90mm程度とすることが望ましい。
の距離は、 リニアモーターの性能や鋳型サイズ、 所望の
溶鋼攪拌強度により適宜決めるべきであるが、 前記突極
下端と湯面との距離が小さ過ぎるとリニアモーターが溶
鋼や溶鋼上の溶融パウダーと接触する可能性が大きくな
り、 大き過ぎると溶鋼中に発生する電磁力が小さくなる
という観点から、40 〜90mm程度とすることが望ましい。
【0041】また鋳型上部保護カバーについては、 リニ
アモーターとの距離が近いために、誘導加熱損失を生じ
る場合がある。 その様な事態を避けるためには、 鋳型保
護カバーの材質を一般鋼とするのでなく、 非磁性鋼とす
ることが望ましい。
アモーターとの距離が近いために、誘導加熱損失を生じ
る場合がある。 その様な事態を避けるためには、 鋳型保
護カバーの材質を一般鋼とするのでなく、 非磁性鋼とす
ることが望ましい。
【0042】また更に、 浸漬ノズル形状を最適化した
り、 該ノズルの吐き出し口から鋳型内に流入する溶鋼の
噴出角度を工夫する等すれば、 洗い流し効果は一層向上
する様になる。 本発明者らの検討によれば、 該ノズルの
吐き出し口から鋳型内に流入する溶鋼の噴出角度は、 鋳
型長辺方向と、 吐き出し口が成す角を、 水平面内に投影
した角度が5 〜30度となる様に斜めに設定しておけば、
該噴出した溶鋼が鋳型の長辺と衝突して長辺に沿った方
向に向きを変えるので、 前記リニアモーターによる溶鋼
の回転方向をこの流れに合わせる様にすれば、 洗い流し
効果をより効率的に得ることができる。
り、 該ノズルの吐き出し口から鋳型内に流入する溶鋼の
噴出角度を工夫する等すれば、 洗い流し効果は一層向上
する様になる。 本発明者らの検討によれば、 該ノズルの
吐き出し口から鋳型内に流入する溶鋼の噴出角度は、 鋳
型長辺方向と、 吐き出し口が成す角を、 水平面内に投影
した角度が5 〜30度となる様に斜めに設定しておけば、
該噴出した溶鋼が鋳型の長辺と衝突して長辺に沿った方
向に向きを変えるので、 前記リニアモーターによる溶鋼
の回転方向をこの流れに合わせる様にすれば、 洗い流し
効果をより効率的に得ることができる。
【0043】
【実施例】本発明の実施例1 に係る環状リニアモーター
を備えたスラブ連続鋳造鋳型について、 図1 に縦断面図
を、 また図2 に平面図を示す。 鋳型1 には、 浸漬ノズル
2を通して溶鋼が上方から下方に向けて注入され、 溶鋼3
上面は鋳型フラックス4で覆われる。 溶鋼3 は鋳型1 に
接する面から次第に内部へ向けて固まっていき、鋳片5
が連続的に下方へ引き抜かれるが、 鋳型内には常に新し
い溶鋼が注がれているので、 鋳型内の溶鋼湯面MFの高さ
位置はほぼ一定に保たれる。 溶鋼湯面MFの上方には浸憤
ノズル2 を挟む様にして両側に2 基の環状リニアモータ
ー6aおよび6bが配置されている。 環状リニアモーター6
a、6b は図示しないタンディッシュ台車から懸架されて
おり、 夫々駆動装置7a、7b によって昇降可能な構造とな
っている。
を備えたスラブ連続鋳造鋳型について、 図1 に縦断面図
を、 また図2 に平面図を示す。 鋳型1 には、 浸漬ノズル
2を通して溶鋼が上方から下方に向けて注入され、 溶鋼3
上面は鋳型フラックス4で覆われる。 溶鋼3 は鋳型1 に
接する面から次第に内部へ向けて固まっていき、鋳片5
が連続的に下方へ引き抜かれるが、 鋳型内には常に新し
い溶鋼が注がれているので、 鋳型内の溶鋼湯面MFの高さ
位置はほぼ一定に保たれる。 溶鋼湯面MFの上方には浸憤
ノズル2 を挟む様にして両側に2 基の環状リニアモータ
ー6aおよび6bが配置されている。 環状リニアモーター6
a、6b は図示しないタンディッシュ台車から懸架されて
おり、 夫々駆動装置7a、7b によって昇降可能な構造とな
っている。
【0044】図5 は、 本発明の実施例1 における環状リ
ニアモーターの横断面図を示す。 環状リニアモーター
は、 長方形の環状∃ーク6YK の4 隅および長辺中央の2
点に合計6 本の下向き突極を有し、 夫々の下向き突極に
は水冷銅パイプが略水平に巻き付けられ、 電気コイルCL
l 〜CL6 を構成している。 これらの電気コイルCLl 〜CL
6 に順に60度ずつ位相の異なる電流を通電することによ
り、 環状リニアモーター直下の溶鋼中に回転磁場を形成
し、 これにより該溶鋼を水平に攪拌することができる。
ニアモーターの横断面図を示す。 環状リニアモーター
は、 長方形の環状∃ーク6YK の4 隅および長辺中央の2
点に合計6 本の下向き突極を有し、 夫々の下向き突極に
は水冷銅パイプが略水平に巻き付けられ、 電気コイルCL
l 〜CL6 を構成している。 これらの電気コイルCLl 〜CL
6 に順に60度ずつ位相の異なる電流を通電することによ
り、 環状リニアモーター直下の溶鋼中に回転磁場を形成
し、 これにより該溶鋼を水平に攪拌することができる。
【0045】また環状ヨーク6YK および電気コイルCLl
〜CL6 は、 外周を肉厚約10mmのキャスタブル耐火物6Rで
覆っている。 また図示しない鋳型パウダー供給装置から
供給されるパウダーは、 環状リニアモーターの中央の縦
孔6Tを通って環状リニアモーター直下の溶鋼湯面上に供
給される。
〜CL6 は、 外周を肉厚約10mmのキャスタブル耐火物6Rで
覆っている。 また図示しない鋳型パウダー供給装置から
供給されるパウダーは、 環状リニアモーターの中央の縦
孔6Tを通って環状リニアモーター直下の溶鋼湯面上に供
給される。
【0046】実施例1における鋼スラブ連続鋳造の実施
条件は以下の通りである。 鋳造鋼種 :薄板用0.05%炭素鋼 鋳型サイズ:240mm ×lO80mm 鋳造速度 :1.8m/ 分 環状リニアモーター仕様: 電源容量: 200kVA(2基合計) 周波数: 60Hz 相数: 3 相交流 突極数: 6 突極/ 基 突極ピッチ: 120mm ヨーク材質: ソフトフェライト( セラミック) 印加電流: 720 A コイル巻き数: 12ターン/ 突極 鋳型長辺方向の長さ: 360mm 鋳型短辺方向の長さ: 220mm 浸漬ノズル脇溶鋼表面流速: 20〜40cm/ 秒 浸漬ノズル吐き出し口方向: 鋳型長辺方向。
条件は以下の通りである。 鋳造鋼種 :薄板用0.05%炭素鋼 鋳型サイズ:240mm ×lO80mm 鋳造速度 :1.8m/ 分 環状リニアモーター仕様: 電源容量: 200kVA(2基合計) 周波数: 60Hz 相数: 3 相交流 突極数: 6 突極/ 基 突極ピッチ: 120mm ヨーク材質: ソフトフェライト( セラミック) 印加電流: 720 A コイル巻き数: 12ターン/ 突極 鋳型長辺方向の長さ: 360mm 鋳型短辺方向の長さ: 220mm 浸漬ノズル脇溶鋼表面流速: 20〜40cm/ 秒 浸漬ノズル吐き出し口方向: 鋳型長辺方向。
【0047】上記条件にて鋳造したスラブ( 試料1)と、
同一の連続鋳造装置でリニアモーターに通電せず( 電磁
攪拌を行わず) に鋳造したスラブ( 試料2)の両者を圧延
し、薄板製品を製造した。 該薄板製品の表面欠陥につい
て板幅方向( 鋳型長辺方向に一致) の分布を比較した結
果を図19に示す。 図19中の縦軸に示した薄板欠陥発生指
数とは、 鋳片表層の気泡や介存物に起因する表面欠陥が
製品単位面積当たりに発生した数を指数化したものであ
る。 リニアモーターによる電磁攪拌を適用した試料1で
は、 板幅方向の中央付近および両端部に集中していた欠
陥が著しく低減していることが分かる。
同一の連続鋳造装置でリニアモーターに通電せず( 電磁
攪拌を行わず) に鋳造したスラブ( 試料2)の両者を圧延
し、薄板製品を製造した。 該薄板製品の表面欠陥につい
て板幅方向( 鋳型長辺方向に一致) の分布を比較した結
果を図19に示す。 図19中の縦軸に示した薄板欠陥発生指
数とは、 鋳片表層の気泡や介存物に起因する表面欠陥が
製品単位面積当たりに発生した数を指数化したものであ
る。 リニアモーターによる電磁攪拌を適用した試料1で
は、 板幅方向の中央付近および両端部に集中していた欠
陥が著しく低減していることが分かる。
【0048】図3 は本究明の実施例2 に係る連続鋳造鋳
型内の電磁攪拌方法を示す平面図である。 2 基の環状リ
ニアモーターによる溶鋼回転方向を一致させ、 浸漬ノズ
ルの吐き出し口の方向を鋳型長辺方向とし、 環状リニア
モーターによる溶鋼の回転方向とは逆向きに15度回転さ
せることにより、 鋳片の洗い流し効果をより効率約に得
ることができた。
型内の電磁攪拌方法を示す平面図である。 2 基の環状リ
ニアモーターによる溶鋼回転方向を一致させ、 浸漬ノズ
ルの吐き出し口の方向を鋳型長辺方向とし、 環状リニア
モーターによる溶鋼の回転方向とは逆向きに15度回転さ
せることにより、 鋳片の洗い流し効果をより効率約に得
ることができた。
【0049】図4 は本発明の実施例3 に係る環状リニア
モーターを示す見取り図である。 環状ヨーク6YK の4 本
の下向き突極には略水平に電気コイルが巻かれており、
順に90度ずつ位相が異なる様に2 相交流電流を通電(6CL
A)することにより、 溶鋼を水平に旋回攪拌することがで
きる。
モーターを示す見取り図である。 環状ヨーク6YK の4 本
の下向き突極には略水平に電気コイルが巻かれており、
順に90度ずつ位相が異なる様に2 相交流電流を通電(6CL
A)することにより、 溶鋼を水平に旋回攪拌することがで
きる。
【0050】
【発明の効果】以上説明した様に、 本究明に係る連続鋳
造鋳型内の溶鋼の電磁攪拌方法および電磁攪拌装置によ
れば、 鋳型長辺方向に短い環状リニアモーターによって
該溶鋼を攪拌することができるので、 特に幅の狭い鋳片
についても、 小さな電源容量で効率よく、 しかも鋳片幅
全域にわたって、 気泡や非金属介存物を洗い流すことが
できる。
造鋳型内の溶鋼の電磁攪拌方法および電磁攪拌装置によ
れば、 鋳型長辺方向に短い環状リニアモーターによって
該溶鋼を攪拌することができるので、 特に幅の狭い鋳片
についても、 小さな電源容量で効率よく、 しかも鋳片幅
全域にわたって、 気泡や非金属介存物を洗い流すことが
できる。
【図1】本発明の実施例1 に係る連続鋳造鋳型内の電磁
攪拌装置を示す縦断面図である。
攪拌装置を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施例1 に係る連続鋳造鋳型内の電磁
攪拌装置を示す平面図である。
攪拌装置を示す平面図である。
【図3】本究明の実施例2 に係る連続鋳造鋳型内の電磁
攪拌方法を示す横断面図である。
攪拌方法を示す横断面図である。
【図4】本発明の実施例3 に係る環状リニアモーターを
示す概略見取り図である。
示す概略見取り図である。
【図5】本発明の実施例1 に係る環状リニアモーターを
示す断面図である。
示す断面図である。
【図6】本発明に係る極間巻き環状リニアモーターにお
ける電気コイルの巻き方を示す見取り図である。
ける電気コイルの巻き方を示す見取り図である。
【図7】本発明に係る突極巻き環状リニアモーターにお
ける電気コイルの巻き方を示す見取り図である。
ける電気コイルの巻き方を示す見取り図である。
【図8】従来の極間巻き直線状リニアモーターを示す3
面図である。
面図である。
【図9】突極巻き直線状リニアモーターを示す3 面図で
ある。
ある。
【図10】従来の極間巻き直線状リニアモーター(図
8)における瞬間的な磁力線分布の計算結果を示す図で
ある。
8)における瞬間的な磁力線分布の計算結果を示す図で
ある。
【図11】突極巻き直線状リニアモーター(図9)にお
ける瞬間的な磁力線分布の計算結果を示す図である。
ける瞬間的な磁力線分布の計算結果を示す図である。
【図12】従来の直線状リニアモーターを用いた鋳型内
溶鋼の攪拌方法を示す図であり、(a)は1 組の対角位置に
配置した2 基のリニアモーターで溶鋼上面を内向きに加
速する場合、(b)は(a) と異なる1 組の対角位置に配置し
た2 基のリニアモーターで溶鋼上面を外向きに加速する
場合、(c)は(a) と(b) を組み合わせ、 両方の対角位置で
合計4 基のリニアモーターにより溶鋼上面を加速する場
合を示している。
溶鋼の攪拌方法を示す図であり、(a)は1 組の対角位置に
配置した2 基のリニアモーターで溶鋼上面を内向きに加
速する場合、(b)は(a) と異なる1 組の対角位置に配置し
た2 基のリニアモーターで溶鋼上面を外向きに加速する
場合、(c)は(a) と(b) を組み合わせ、 両方の対角位置で
合計4 基のリニアモーターにより溶鋼上面を加速する場
合を示している。
【図13】溶鋼上面鋳型長辺近傍( 図12のy=110mm)にお
ける溶鋼流速(x方向成分) の鋳型幅方向分布の計算結果
を示すグラフであり、(a)〜(c) は、 夫々図12の(a) 〜
(c)の場合に相当している。
ける溶鋼流速(x方向成分) の鋳型幅方向分布の計算結果
を示すグラフであり、(a)〜(c) は、 夫々図12の(a) 〜
(c)の場合に相当している。
【図14】本究明に係る連続鋳造鋳型内溶鋼の電磁攪拌
の攪拌方向の例を示す平面図である。
の攪拌方向の例を示す平面図である。
【図15】従来の電磁攪拌を用いた際に、 連続鋳造鋳型
内で鋳片表層部が洗い流される領域を示した平面図であ
る。(a)、(b)は夫々図12の(a)、(b) の攪拌方法に対応して
いる。
内で鋳片表層部が洗い流される領域を示した平面図であ
る。(a)、(b)は夫々図12の(a)、(b) の攪拌方法に対応して
いる。
【図16】本発明に係る電磁攪拌を用いた際に、 連続鋳
造鋳型内で鋳片表層部が洗い流される領域を示した平面
図である。
造鋳型内で鋳片表層部が洗い流される領域を示した平面
図である。
【図17】溶鋼上面からリニアモーターによって溶鋼を
電磁攪拌する際の、 溶鋼中への実際の磁気浸透深さに及
ぼす周波数とリニアモーター突極ピッチの影響を示すグ
ラフである。
電磁攪拌する際の、 溶鋼中への実際の磁気浸透深さに及
ぼす周波数とリニアモーター突極ピッチの影響を示すグ
ラフである。
【図18】鋳型内で電磁攪拌を行わない連続鋳造におい
て、 スラブ鋳片内の気泡指数( 単位鋳片表面積当たりの
気泡の数を指数化したもの) の鋳片表面からの深さ方向
分布を示すグラフである。
て、 スラブ鋳片内の気泡指数( 単位鋳片表面積当たりの
気泡の数を指数化したもの) の鋳片表面からの深さ方向
分布を示すグラフである。
【図19】実施例に記載の実験において、 試料1 および
試料2 のスラブを夫々薄板製品にしたときの表層欠陥
を、 板幅方向位置( 鋳型長辺方向位置に相当) 毎に比較
した結果を示すグラフである。
試料2 のスラブを夫々薄板製品にしたときの表層欠陥
を、 板幅方向位置( 鋳型長辺方向位置に相当) 毎に比較
した結果を示すグラフである。
1:連続鋳造鋳型 2:浸漬ノズル 3:溶鋼 4:鋳型フラックス 5:鋳片 5P: 凝固界面に平行な溶鋼流により洗い流される鋳片表
層部 5T: 凝固界面に垂直に衝突する溶鋼流により洗い流され
る鋳片表層部 6:リニアモーター 6a: 左側環状リニアモーター 6b: 右側環状リニアモーター 6YK:強磁性体ヨーク 6CL:電気コイル 6R: キャスタブル耐火物 6T: 縦孔 6CLA: 電気コイル巻き付け方向を示す矢印 6AC:リニアモーターが溶鋼を加速する方向を示す矢印 7:リニアモーター昇降用駆動装置 7a: 左側リニアモーター昇降用駆動装置 7b: 右側リニアモーター昇降用駆動装置 MF: 鋳型内溶鋼湯面 ML: 磁力線
層部 5T: 凝固界面に垂直に衝突する溶鋼流により洗い流され
る鋳片表層部 6:リニアモーター 6a: 左側環状リニアモーター 6b: 右側環状リニアモーター 6YK:強磁性体ヨーク 6CL:電気コイル 6R: キャスタブル耐火物 6T: 縦孔 6CLA: 電気コイル巻き付け方向を示す矢印 6AC:リニアモーターが溶鋼を加速する方向を示す矢印 7:リニアモーター昇降用駆動装置 7a: 左側リニアモーター昇降用駆動装置 7b: 右側リニアモーター昇降用駆動装置 MF: 鋳型内溶鋼湯面 ML: 磁力線
Claims (4)
- 【請求項1】 連続鋳造鋳型内の溶鋼をリニアモーター
によって攪拌するに当たり、 リニアモーターが発生する
移動磁場を、鋳型を構成する銅板を介することなく鋳型
内溶鋼の上面側から該溶鋼に印加する電磁攪拌方法にお
いて、 複数の下向き突極を持つ環状強磁性体ヨークに電
気コイルを巻き付けた2 基の環状リニアモーターを、 浸
漬ノズルを挟む様にして、鋳型長辺方向の両側であっ
て、鋳型短辺方向の中央に配置し、 夫々の環状リニアモ
ーター直下の溶鋼を水平方向に回転させることを特徴と
する電磁攪拌方法。 - 【請求項2】 上記環状リニアモーターの電気コイルに
通電する交流電流の周波数が、 次式を満足するものであ
る請求項1 に記載の電磁攪拌方法。 0.3 ×fc ≦ f ≦ 3.0 ×fc ・・・(1) ここで、 f: 電気コイルに流す交流電流の周波数(Hz)、 fc: 臨界周波数(Hz) fc= 1/πp2 μσ ・・・(2) μ: 溶鋼の透磁率 μ=4π×10-7(H/m) σ: 溶鋼の電気伝導度 σ=7×105 (1/ Ωm) p: 突極ピッチ( 隣り合う下向き突極の中心間距離)(m) である。 - 【請求項3】 連続鋳造鋳型内の溶鋼をリニアモーター
によって攪拌するに当たり、 リニアモーターが発生する
移動磁場を、鋳型を構成する銅板を介することなく鋳型
内溶鋼の上面側から該溶鋼に印加する様に構成した電磁
攪拌装置において、 複数の下向き突極を持つ環状強磁性
体ヨークに電気コイルを巻き付けた2基の環状リニアモ
ーターを、浸漬ノズルを挟む様にして鋳型長辺方向の両
側であって鋳型短辺方向の中央に配置し、 夫々の環状リ
ニアモーター直下の溶鋼を水平方向に回転させることを
特徴とする電磁攪拌装置。 - 【請求項4】 上記電気コイルを、 上記下向き突極周り
に略水平に巻き付けたものである請求項3に記載の電磁
攪拌装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29006597A JPH11123511A (ja) | 1997-10-22 | 1997-10-22 | 電磁攪拌方法および電磁攪拌装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29006597A JPH11123511A (ja) | 1997-10-22 | 1997-10-22 | 電磁攪拌方法および電磁攪拌装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11123511A true JPH11123511A (ja) | 1999-05-11 |
Family
ID=17751341
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29006597A Withdrawn JPH11123511A (ja) | 1997-10-22 | 1997-10-22 | 電磁攪拌方法および電磁攪拌装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11123511A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8047265B2 (en) | 2004-10-15 | 2011-11-01 | Nippon Steel Corporation | Electromagnetic stirrer coil |
CN102398005A (zh) * | 2011-11-18 | 2012-04-04 | 江苏大学 | 一种内置式电磁搅拌装置及其使用方法 |
CN107073573A (zh) * | 2014-05-21 | 2017-08-18 | 诺维尔里斯公司 | 非接触式熔融金属流动控制 |
CN111922307A (zh) * | 2020-07-20 | 2020-11-13 | 靖江市巨阳冶金设备制造有限公司 | 一种用于高速连铸机的钢水预冷却装置 |
WO2021189067A1 (en) * | 2020-03-20 | 2021-09-23 | Novelis Inc. | Mold corner heating during casting |
-
1997
- 1997-10-22 JP JP29006597A patent/JPH11123511A/ja not_active Withdrawn
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8047265B2 (en) | 2004-10-15 | 2011-11-01 | Nippon Steel Corporation | Electromagnetic stirrer coil |
CN102398005A (zh) * | 2011-11-18 | 2012-04-04 | 江苏大学 | 一种内置式电磁搅拌装置及其使用方法 |
CN107073573A (zh) * | 2014-05-21 | 2017-08-18 | 诺维尔里斯公司 | 非接触式熔融金属流动控制 |
US10118221B2 (en) | 2014-05-21 | 2018-11-06 | Novelis Inc. | Mixing eductor nozzle and flow control device |
US10464127B2 (en) | 2014-05-21 | 2019-11-05 | Novelis Inc. | Non-contacting molten metal flow control |
CN107073573B (zh) * | 2014-05-21 | 2020-05-05 | 诺维尔里斯公司 | 非接触式熔融金属流动控制 |
US10835954B2 (en) | 2014-05-21 | 2020-11-17 | Novelis Inc. | Mixing eductor nozzle and flow control device |
US11383296B2 (en) | 2014-05-21 | 2022-07-12 | Novelis, Inc. | Non-contacting molten metal flow control |
WO2021189067A1 (en) * | 2020-03-20 | 2021-09-23 | Novelis Inc. | Mold corner heating during casting |
CN115315324A (zh) * | 2020-03-20 | 2022-11-08 | 诺维尔里斯公司 | 在铸造期间的模具拐角加热 |
CN111922307A (zh) * | 2020-07-20 | 2020-11-13 | 靖江市巨阳冶金设备制造有限公司 | 一种用于高速连铸机的钢水预冷却装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050104 |