JPH11120888A - 摺動用構造体およびこれを用いた回路遮断器 - Google Patents

摺動用構造体およびこれを用いた回路遮断器

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JPH11120888A
JPH11120888A JP28663097A JP28663097A JPH11120888A JP H11120888 A JPH11120888 A JP H11120888A JP 28663097 A JP28663097 A JP 28663097A JP 28663097 A JP28663097 A JP 28663097A JP H11120888 A JPH11120888 A JP H11120888A
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film
lubricating oil
shielding film
nitrogen compound
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JP28663097A
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Hitoshi Ito
仁志 伊藤
Masayoshi Mishima
正義 三島
Teruo Toyoda
輝夫 豊田
Takayuki Hashimoto
隆幸 橋本
Hiroyuki Kakisako
弘之 柿迫
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動用構造体に用いられている鉄系部材の鉄
元素が、摺動部上に塗布される潤滑油の潤滑性能を低下
させ、摺動抵抗増大の原因となる潤滑油の酸化を促進さ
せる触媒として作用しないよう構成された摺動用構造体
を得ると共に、潤滑油の酸化促進作用を持たない摺動用
構造体を用いることにより、信頼性の高い回路遮断器を
提供することを目的とする。 【解決手段】 鉄系母材1に窒化処理して形成した摺動
部を有する部品の表面に、水蒸気処理によるFe3 4
膜4を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば回路遮断
器のラッチ機構等の摺動部を有する摺動用構造体および
これを用いた回路遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は回路遮断器を示すもので、周知の
トグルリンク機構により過電流検出時にトリップ動作を
行う。この開閉装置では、支持部材である鉄板製フレー
ム(図示せず)にカケガネ11、ラッチ12およびレバ
ー13が軸ピン14等により回動自在に軸支され、トグ
ルリンク15のメインバネ16の勢力を、カケガネ11
とラッチ12の係止により制御している。過電流検出時
には、バイメタル17または電磁装置18がトリップバ
ー19を回転させてカケガネ11とラッチ12の係止を
外し、ラッチ12はレバー13の係止を外し、メインバ
ネ16の勢力が開閉接点20を開離させて電流遮断を行
う。回路遮断器のトリップ動作後は、リセット動作によ
りカケガネ11、ラッチ12、レバー13の係止を復帰
して開閉接点20を閉じることにより、再度の電流遮断
に備えられるように構成されている。なお、カケガネ1
1およびラッチ12はバネ(図示せず)によりリセット
方向に付勢されている。
【0003】従来のフレーム、カケガネ11、ラッチ1
2、レバー13、トグルリンク15等は、通常、低炭素
鋼の冷間圧延鋼板(SPCC−SD)をプレス加工する
ことにより形成され、表面硬化、強度向上および防錆を
目的として、窒化処理(ガス軟窒化処理)が施されてい
る。また、軸ピン14による軸受部や、カケガネ11、
ラッチ12、レバー13、トグルリンク15における摺
動部には、各部品間の摺動における摩擦を小さくし円滑
に動作させるために、潤滑油やグリース等(以下、潤滑
油と総称する)が注油または塗布されている。図6は冷
間圧延鋼板をガス軟窒化処理したときの状態を示す断面
模式図である。ガス軟窒化処理により、鉄系母材1の表
層に、窒素化合物層(ε相:Fe3 Nとγ相:Fe
4 N)2と、窒素化合物層2の下層に鉄系母材1中に拡
散した窒素が固溶し強度が向上した拡散層3とが形成さ
れる。摺動部に塗布される潤滑油5は、窒素化合物層2
上に塗布される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、摺動部等に塗
布される潤滑油の基油である鉱油や炭化水素系合成油
は、高温の状態で長期間使用された場合、空気中の酸素
により酸化され、金属腐食性を有する有機酸を発生して
金属部品を腐食したり、潤滑油の粘度を上昇させる重合
物を生成して油を固化し潤滑性能を低下させることが知
られており、さらに、鉄または鉄化合物を含む鉄系部材
と潤滑油が接触している場合には、鉄元素が触媒とな
り、潤滑油の酸化を著しく促進させることが知られてい
る。また、図6に示したように、摺動部に塗布される潤
滑油5は、窒素化合物層2上に塗布され、直接鉄系母材
1とは接触していないが、実験の結果から、窒素化合物
層2に含まれる鉄元素が、潤滑油の酸化を促進させる触
媒となることが判明している。
【0005】回路遮断器では、小さな力でラッチ12を
外しメインバネ16の勢力を開放させて遮断動作が行わ
れるが、安定通電が続く場合には、回路遮断器は長期間
に渡り投入状態となるため、各部品間の摺動部は接触状
態で保持されると共に回路遮断器の通電によるジュール
熱が加わり、さらにラッチ12等の摺動部を有する鉄系
部品中の鉄元素の触媒効果により、潤滑油5の酸化が促
進されて固化が進み、摺動部の摺動抵抗が増大して回路
遮断器が動作不能になったり、遮断動作後のリセット時
に、ラッチ12を初期状態に戻すリセットバネの力より
摺動部の油の粘性が強くなりリセット不能になるなどの
問題があった。
【0006】この発明は、上記のような問題を解決する
ためになされたものであり、摺動部を有する構造体の鉄
元素が、摺動部に塗布される潤滑油の潤滑性能を低下さ
せ、摺動抵抗増大の原因となる潤滑油の酸化を促進させ
る触媒として作用しないよう構成された摺動用構造体を
得ると共に、これを用いた信頼性の高い回路遮断器を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る摺動用構
造体は、鉄または鉄化合物を含む部材を窒化処理して上
記部材の表面に形成された窒素化合物層、この窒素化合
物層の表面に形成され、上記窒素化合物層と共に他の部
材との摺動部を構成する遮蔽膜、および上記遮蔽膜の表
面に塗布されて油膜を形成する潤滑油を備えたものであ
る。また、遮蔽膜は、水蒸気処理により形成されたFe
3 4 膜である。または、遮蔽膜は、電気メッキ法によ
り形成された電気ニッケルメッキ膜である。または、遮
蔽膜は、無電解メッキ法により形成された無電解ニッケ
ルメッキ膜である。または、遮蔽膜は、無電解複合メッ
キ法により形成された無電解ニッケル−PTFE(ポリ
テトラフルオロエチレン)複合メッキ膜である。
【0008】また、この発明の回路遮断器は、上述した
構成の摺動用構造体により接点開閉用の作動力を伝達す
る伝達機構を構成するようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は、下記に示すような表面処
理が施された各試料に塗布された炭化水素系合成油を基
油とする潤滑油が、160°Cに保持された状態で所定
の粘度になるまでの時間比を示す図で、冷間圧延鋼板そ
のものの表面( 試料A) に塗布した炭化水素系合成油を
基油とする潤滑油が160°Cに保持された状態で所定
の粘度になる時間を基準としている。潤滑油の粘度変化
は、酸化によって生成される重合物による粘度上昇によ
って生ずるものであり、潤滑油の潤滑性能低下の指標と
なる。試料Aは、冷間圧延鋼板(SPCC−SD)未処
理の状態。試料Bは、冷間圧延鋼板に窒化処理(ガス軟
窒化処理)を施したもの。試料Cは、ステンレス鋼板
(SUS304)未処理の状態。試料Dは、冷間圧延鋼
板にガス軟窒化処理後に電気亜鉛メッキ膜を形成したも
の。試料Eは、冷間圧延鋼板にガス軟窒化処理後に過熱
水蒸気処理により約2μmのFe3 4 膜を形成したも
の。試料Fは、冷間圧延鋼板にガス軟窒化処理後に無電
解ニッケルメッキ膜を形成したもの。試料Gは、ガラス
板未処理の状態( ガラスは油に対して酸化促進触媒作用
を有しない) 。
【0010】図1に示すように、冷間圧延鋼板未処理の
状態( 試料A) と冷間圧延鋼板にガス軟窒化処理を施し
たものでは、粘度変化の時間比において差異はほとんど
認められないが、冷間圧延鋼板にガス軟窒化処理を施し
た後に過熱水蒸気処理によりFe3 4 膜を形成したも
の( 試料E) および冷間圧延鋼板にガス軟窒化処理を施
した後に無電解ニッケルメッキ膜を形成したもの( 試料
F) では、鉱油や炭化水素系合成油に対して酸化促進触
媒作用を有しないガラス板( 試料G) と粘度変化の時間
比においてほぼ同等であり、試料Aおよび試料Bに塗布
した潤滑油と同じ粘度になるには数十倍長い時間を必要
とするという結果が得られた。
【0011】この実験結果が示すように、鉄系素材にガ
ス軟窒化処理を施した部品の表面に形成された無電解ニ
ッケルメッキ膜、あるいは過熱水蒸気処理によるFe3
4膜は、鉄系構造体の鉄元素と潤滑油を接触させない
遮蔽膜となり、鉄系構造体の鉄元素が、潤滑油の酸化を
促進させる触媒として作用するのを抑制することができ
る。
【0012】実施の形態1.以下、この発明の一実施の
形態である摺動用構造体を図について説明する。図2は
この発明の実施の形態1による摺動用構造体の断面構成
を示す模式図である。図において、1は摺動部を有する
部品を構成する冷間圧延鋼板(SPCC−SD)等の鉄
系母材、2は鉄系母材1をガス軟窒化処理することによ
り形成された窒素化合物層(ε相:Fe3 Nとγ相:F
4 N)、3はガス軟窒化処理時に鉄系母材1中に拡散
した窒素が固溶して形成された強度の高い拡散層、4は
ガス軟窒化処理が施された鉄系母材1を、過熱水蒸気処
理することにより形成されたFe3 4 膜、5は潤滑油
である。表面層にFe3 4 膜4を有する摺動部では、
図1に示すように、摺動部上に塗布された潤滑油5の粘
度を上昇させる作用において、潤滑油に対する酸化促進
触媒作用を有しないガラス板と同等であることから、F
3 4 膜4は、鉄元素による潤滑油5の酸化促進触媒
作用を抑制する遮蔽膜としての効果がある。
【0013】この発明によれば、摺動用構造体に、ガス
軟窒化処理後、過熱水蒸気処理によるFe3 4 膜4を
形成することにより、鉄系母材1および窒素化合物層2
中の鉄元素が、潤滑油5の酸化を促進させる触媒として
作用するのを抑制することができると共に、過熱水蒸気
処理によるFe3 4 膜4の形成は、量産作業性に優れ
かつ鉄系部品の防錆効果も向上させることができる。
【0014】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形
態2による摺動用構造体の断面構成を示す模式図であ
る。図において、6はガス軟窒化処理を施した鉄系母材
1上に電気メッキ法により形成された電気ニッケルメッ
キ膜である。なお、図1と同一部分については同符号を
付し説明を省略する。表面層に電気ニッケルメッキ膜6
を有する摺動部では、図1に示すように、摺動部上に塗
布された潤滑油5の粘度を上昇させる作用において、潤
滑油に対する酸化促進触媒作用を有しないガラス板と同
等であることから、電気ニッケルメッキ膜6は、鉄元素
による潤滑油5の酸化促進触媒作用を抑制する遮蔽膜と
しての効果がある。
【0015】本実施の形態によれば、摺動用構造体に、
ガス軟窒化処理後、電気メッキ法による電気ニッケルメ
ッキ膜6を形成することにより、実施の形態1と同様の
効果が得られると共に、実施の形態1で示した過熱水蒸
気処理によるFe3 4 膜4の形成では、500°C前
後の温度での処理が必要となるが、電気ニッケルメッキ
処理では高温下での処理は必要としないため、高温処理
により変形、歪み、軟化の恐れのある部材や、焼き戻し
温度が約300°C以下の浸炭材、焼入れ・焼戻し材を
摺動部材として用いる場合には特に有効である。
【0016】実施の形態3.実施の形態2では、電気メ
ッキ法により電気ニッケルメッキ膜6を形成したが、無
電解メッキ法により無電解ニッケルメッキ膜を形成して
もよい。また、電気メッキ法によりニッケルメッキ膜6
を形成する場合には、鉄系母材を電極として通電する必
要があり、被メッキ体が小さい場合には回転メッキ法が
用いられるが、回転メッキ法では被メッキ体に変形や歪
みが発生し易い。そのため、メッキ液への浸漬処理のみ
でメッキ膜形成が可能な無電解メッキ法により無電解ニ
ッケルメッキ膜を形成することは、実施の形態2と同様
の効果が得られると共に、摺動部を有する部品の変形、
歪みの発生を防止できる。
【0017】実施の形態4.図4はこの発明の実施の形
態4による摺動用構造体の断面構成を示す模式図であ
る。図において、7はガス軟窒化処理が施された鉄系母
材1上に無電解ニッケル−PTFE(ポリテトラフルオ
ロエチレン)系複合メッキ法により形成されたニッケル
−PTFE複合メッキ膜、7aはニッケル−PTFE複
合メッキ膜7を構成するニッケルマトリックス、7bは
ニッケルマトリックス7a中に分散されているPTFE
(ポリテトラフルオロエチレン)粒子である。なお、図
1と同一部分については同符号を付し説明を省略する。
摺動部の表面層に形成されたニッケル−PTFE複合メ
ッキ膜7は、実施の形態3と同様に、鉄元素による潤滑
油5の酸化促進触媒作用を抑制する遮蔽膜としての効果
があると共に、ニッケル−PTFE複合メッキ膜7に含
まれるPTFE粒子7bは撥油性を有するため、ニッケ
ル−PTFE複合メッキ膜7上に塗布された潤滑油5が
拡散するのを防止でき、摺動部から潤滑油5が拡散し流
出することによる摺動抵抗の上昇および潤滑油5が拡散
して不要部位へ浸透することによる不具合を防ぐ効果が
ある。
【0018】ニッケル−PTFE複合メッキ膜7に含ま
れるPTFE粒子7bによる潤滑油5の拡散防止効果を
確認するため、本実施の形態である、鉄系母材(冷間圧
延鋼板)1にガス軟窒化処理を施すことにより拡散層3
および窒素化合物層2を形成後、約5μm厚の20%P
TFE含有ニッケル−PTFE複合メッキ膜7を形成し
た試料と、冷間圧延鋼板にガス軟窒化処理を施した従来
の摺動部を模した試料を作製し、鉱油または炭化水素系
合成油を基油とする潤滑油を塗布後、120°Cおよび
160°Cに保持し、潤滑油の拡散状態を評価した。そ
の結果、従来の冷間圧延鋼板にガス軟窒化処理を施した
試料では潤滑油の拡散が見られるの対し、20%PTF
E含有ニッケル−PTFE複合メッキ膜7を形成した試
料では潤滑油の拡散が見られなかった。
【0019】実施の形態5.図5はこの発明による摺動
用構造体を用いた回路遮断器を示す図である。鉄板製フ
レーム(図示せず)にカケガネ11、ラッチ12および
レバー13が軸ピン14等により回動自在に軸支され、
トグルリンク15のメインバネ16の勢力を、カケガネ
11とラッチ12の係止により制御している。過電流検
出時には、バイメタル17または電磁装置18がトリッ
プバー19を回転させてカケガネ11とラッチ12の係
止を外し、ラッチ12はレバー13の係止を外し、メイ
ンバネ16の勢力が開閉接点20を開離させて電流遮断
を行うよう構成されている。回路遮断器のトリップ動作
後は、リセット動作によりカケガネ11、ラッチ12、
レバー13の係止を復帰して開閉接点20を閉じること
により、再度の電流遮断に備えられるように構成されて
いる。なお、カケガネ11およびラッチ12はバネ(図
示せず)によりリセット方向に付勢されている。また、
カケガネ11、ラッチ12、レバー13、トグルリンク
15等の摺動部を有する部品は、実施の形態1、2、3
および4と同様の方法による表面処理が施され、遮蔽膜
が形成されている。
【0020】本実施の形態によれば、回路遮断器を構成
するカケガネ11、ラッチ12、レバー13、トグルリ
ンク15等、摺動部を有する部品を、冷間圧延鋼板(S
PCC−SD)をプレス加工で成形することにより安価
でかつ小形に形成でき、表面硬化、強度向上および防錆
を目的としたガス軟窒化処理を施した後、実施の形態
1、2、3および4のいずれかの方法により遮蔽膜を形
成することにより、各部品間の摺動における摩擦を小さ
くし円滑に動作させるために摺動部に塗布される潤滑油
の酸化による潤滑性能の低下を大幅に改善することが可
能となり、回路遮断器の動作信頼性を向上させることが
できる。
【0021】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、摺動
用構造体に、窒化処理後、過熱水蒸気処理によるFe3
4 膜や電気あるいは無電解メッキ処理によりニッケル
メッキ膜等の遮蔽膜を形成することにより、鉄系部品中
に含まれる鉄元素が、各部品間の摺動における摩擦を小
さくし円滑に動作させるために摺動部に塗布される潤滑
油と接触するのを防止し、鉄元素が潤滑油の酸化を促進
させる触媒として作用するのを防止することができる。
また、請求項3に係る発明によれば、遮蔽膜(電気ニッ
ケルメッキ膜)形成においては高温の処理を必要としな
いため、高温処理により悪影響を受ける可能性のある部
材に対しても適用できる。また、請求項4に係る発明に
よれば、浸漬処理により遮蔽膜(無電解ニッケルメッキ
膜)を形成できるため、遮蔽膜形成時の摺動部を有する
部品の変形や歪みの発生を防止できる。また、請求項5
に係る発明によれば、遮蔽膜としてPTFE粒子を含有
したニッケル−PTFE複合メッキ膜を形成することに
より、メッキ膜上に塗布された潤滑油の拡散による摺動
部からの流出を防止できる。また、請求項6に係る発明
によれば、回路遮断器の接点開閉用の作動力を伝達する
伝達機構を上述した摺動用構造体によって構成するた
め、鉄系母材中の鉄元素が潤滑油と接触するのを防止す
るための遮蔽膜を形成することにより、鉄元素が潤滑油
の酸化を促進させる触媒として作用するのを防止して、
潤滑油の寿命を大幅に延長することが可能となり、回路
遮断器の動作信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係わる表面処理が施された試料
と、各試料上に塗布された潤滑油の粘度変化の時間比の
関係を示す図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による摺動用構造体
の断面構成を示す模式図である。
【図3】 この発明の実施の形態2による摺動用構造体
の断面構成を示す模式図である。
【図4】 この発明の実施の形態4による摺動用構造体
の断面構成を示す模式図である。
【図5】 この発明の実施の形態5による回路遮断器を
示す側面図である。
【図6】 従来のこの種摺動用構造体の断面構成を示す
模式図である。
【符号の説明】
1 鉄系母材、2 窒素化合物層、3 拡散層、4 F
e3 O4 膜、5 潤滑油、6 電気ニッケルメッキ膜、
7 ニッケル−PTFE複合メッキ膜、7a ニッケル
マトリックス、7b PTFE粒子、11 カケガネ、
12 ラッチ、13 レバー、14 軸ピン、15 ト
グルリンク、16 メインバネ、17 バイメタル、1
8 電磁装置、19 トリップバー、20 開閉接点。
フロントページの続き (72)発明者 橋本 隆幸 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 柿迫 弘之 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄または鉄化合物を含む部材を窒化処理
    して上記部材の表面に形成された窒素化合物層、この窒
    素化合物層の表面に形成され、上記窒素化合物層と共に
    他の部材との摺動部を構成する遮蔽膜、および上記遮蔽
    膜の表面に塗布されて油膜を形成する潤滑油を備えたこ
    とを特徴とする摺動用構造体。
  2. 【請求項2】 遮蔽膜は、水蒸気処理により形成された
    Fe3 4 膜であることを特徴とする請求項1記載の摺
    動用構造体。
  3. 【請求項3】 遮蔽膜は、電気メッキ法により形成され
    た電気ニッケルメッキ膜であることを特徴とする請求項
    1記載の摺動用構造体。
  4. 【請求項4】 遮蔽膜は、無電解メッキ法により形成さ
    れた無電解ニッケルメッキ膜であることを特徴とする請
    求項1記載の摺動用構造体。
  5. 【請求項5】 遮蔽膜は、無電解複合メッキ法により形
    成された無電解ニッケル−PTFE(ポリテトラフルオ
    ロエチレン)複合メッキ膜であることを特徴とする請求
    項1記載の摺動用構造体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれか一項記載
    の摺動用構造体により、接点開閉用の作動力を伝達する
    伝達機構を構成するようにしたことを特徴とする回路遮
    断器。
JP28663097A 1997-10-20 1997-10-20 摺動用構造体およびこれを用いた回路遮断器 Pending JPH11120888A (ja)

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