JPH08298038A - 電気接点材料とその製造方法 - Google Patents

電気接点材料とその製造方法

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JPH08298038A
JPH08298038A JP8039846A JP3984696A JPH08298038A JP H08298038 A JPH08298038 A JP H08298038A JP 8039846 A JP8039846 A JP 8039846A JP 3984696 A JP3984696 A JP 3984696A JP H08298038 A JPH08298038 A JP H08298038A
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layer
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resistance
layer portion
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JP8039846A
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Satoshi Suzuki
智 鈴木
Mitsuru Murakawa
満 村川
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Furukawa Electric Co Ltd
Mabuchi Motor Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
Mabuchi Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性,潤滑性が優れ、また接触抵抗の経時
変化が少ない電気接点材料とその製造方法を提供する。 【解決手段】 接点基材1とその表面2aに一体的に形
成された被覆層2とから成り、その被覆層2は、Ag−
Li−La合金にAuまたは/およびPdが含有されて
いて、その表層部2Aは、Auまたは/およびPdの含
有量が内層部2Bに向かって減少していく濃度勾配層に
なっていて、かつ、表層部2Aの表面における前記Au
または/およびPdの含有量が50〜95重量%になっ
ている電気接点材料であって、上記したAg−Li−L
a合金にAuまたは/およびPd層を形成した後、全体
に加熱処理を施してAuまたは/およびPdを熱拡散し
て製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気接点材料とそ
の製造方法に関し、更に詳しくは、耐食性と潤滑性に優
れ、接触抵抗の経時変化が少なく、とくに初動時に凝着
現象を起こすことがない電気接点材料であって、小型の
スライドスイッチやモータのように、小電流領域で駆動
する電子・電気機器に組み込まれる摺動接点の材料とし
て有用な電気接点材料と、それを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】リベットやブレーカーなどに組み込まれ
る開閉接点,スライドスイッチなどに組み込まれる摺動
接点、またはモータなどに取り付けられる回転摺動接点
などの電気接点材料としては、従来から、Cuを1〜2
0wt%含有するAg−Cu合金や、Niを1〜20wt%
含有するAg−Ni合金などが広く使用されている。
【0003】しかしながら、これらの材料は、耐アーク
性や耐摩耗性が良好な材料とはいえず、とくに、Ag−
Cu合金系では、使用している過程で生成してくるCu
の酸化物によって接触抵抗が経時的に高くなっていき、
しかもその値が不安定になるという問題があった。した
がって、上記したAg−Cu系合金で摺動接点を製造
し、これを例えば小型モータの整流子の外周接点片とし
て用いた場合、その接触抵抗が経時的に変化するため、
整流子の回転速度が大きくばらついて不安定になるとい
う問題が生じてくる。また、電気接点材料を製造してか
ら、材料を使用するまでの間の輸送,保管などの過程
で、電気接点材料の表面が腐食して初動時における接触
抵抗が上昇するという問題があった。
【0004】上記したような問題を解消するために、本
発明者らは、耐アーク性,耐摩耗性が良好で、しかも接
触抵抗が小さく、かつその接触抵抗の環境変化も小さい
電気接点材料として、Ag−Li−希土類元素系合金を
開発し、既にそれを特開平3−180436号として出
願した。ところで、前記した各種の電子・電気機器の場
合、最近では、一層の小型化への要求とともに、高性能
化,高信頼性化も強く求められている。また、これら機
器の使用環境も多様化しており、例えば、微量のアンモ
ニアやホルマリンなどの有機ガス雰囲気下や高温多湿の
雰囲気下で使用される場合もある。更に、電気接点材料
を製造してから使用するまでの過程における環境下にお
ける品質変化も問題となってくる。この使用するまでの
過程における品質変化は、船舶での長期にわたる輸送な
どの場合にも起こる可能性があり、塩化物,硫化物,酸
化物などの汚染によって引き起こされる。
【0005】このようなことは、これらの機器に組み込
まれる電気接点に次のような特性を要求することにな
る。まず第一に、機器の小型化は、それに組み込む電気
接点の小型化を要求する。そして、そのことに伴い、使
用電流が小電流になり、また、接触荷重も低くなるとい
う傾向が強まってくる。例えば、多くの小型機器の場
合、電流:1mA〜100mA,荷重:49mN以下の条件で
使用されることが多い。このように、使用電流が微小
で、接触荷重も低くなると、接触部分における導通不良
が起こりやすくなるので、このことを防ぐために、使用
される接点材料の接触抵抗を小さくすることが必要にな
る。
【0006】更に、例えばマイクロモータに組み込まれ
る回転摺動接点の場合、運転中における回転数のばらつ
きを抑制するためには、当該接点の接触抵抗が経時変化
を起こしづらいことが必要になる。とくに、前記したア
ンモニアや有機ガスの雰囲気下、または高温多湿の雰囲
気下で運転する場合、長時間使用していても、接触抵抗
は経時的に劣化しないことが必要である。そのため、接
点材料には、耐酸化性,耐硫化性,耐アンモニア性,耐
有機ガス性などの耐食性が強く要求されることになる。
【0007】また、最近のマイクロモータでは例えばそ
の回転数を5000〜20000rpm 程度で高速運転す
る傾向が増しているが、この高速運転を安定して実現す
るためには、組み込まれる回転摺動接点は摩擦係数の小
さい材料からなり、潤滑性に優れていることが必要とな
ってくる。とくに、微小電流,低接触荷重,高回転数の
条件下で運転されるモータの場合は、トルクが比較的小
さいため、通電時の摩擦抵抗の影響が著しく大きく、摩
擦係数の低減化という問題が最重要課題であるといえ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐食性,潤
滑性に優れ、接触抵抗の経時変化が少なく、また初動時
に凝着現象を起こしにくい電気接点材料とその製造方法
を提供することを目的とし、また、微小電流,低接触荷
重の条件下で作動する小型の電子・電気機器に組み込ん
で有用な電気接点材料とその製造方法を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、接点基材の表面に、Ag−
Li−La合金にAuまたは/およびPdが含有されて
成り、前記被覆層の表層部はAuまたは/およびPdの
含有量が内層部側に向かって減少していく濃度勾配層に
なっており、かつ、前記表層部の表面におけるAuまた
は/およびPdの濃度は50〜95重量%である被覆層
が一体的に形成されていることを特徴とする電気接点材
料が提供される。
【0010】また、接点基材の表面にAg−Li−La
合金の層を形成し、前記Ag−Li−La合金層の表面
にAuまたは/およびPdの層を形成し、ついで、全体
に加熱処理を行うことを特徴とする電気接点材料の製造
方法が提供され、更に、Ag−Li−La合金から成る
部材の表面にAuまたは/およびPdの層を形成したの
ち全体に加熱処理を行って前記Auまたは/およびPd
を熱拡散し、ついで、得られた部材を接点基材の表面に
一体的に取り付けることを特徴とする電気接点材料の製
造方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の電気接点材料は、図1の
断面図で示すように、接点基材1の表面を被覆して、後
述する被覆層2が形成されている。接点基材1の材料は
格別限定されるものではなく、従来から接点基材として
使用されているものであれば何であってもよく、例え
ば、タフピッチ銅,無酸素銅のようなCu単体;黄銅,
リン青銅,洋泊,ベリリウム銅のようなCu合金;Fe
単体;42アロイのようなFe合金をあげることができ
る。
【0012】被覆層2は、Ag−Li−La合金にAu
または/およびPdが含有された材料から成り、大きく
は、表層部2Aと内層部2Bとをもって構成されてい
る。そして、前記した表層部2AにAuまたは/および
Pdが後述する態様で含有されており、その下に位置す
る内層部2Bは、事実上、Auまたは/およびPdを含
有せず、Ag−Li−La合金のみで構成されている。
すなわち、この被覆層2は、Ag−Li−La合金を全
体の母材とし、その表層部2Aでは、母材であるAg−
Li−La合金にAuまたは/およびPdが含有されて
成る材料で構成されているのである。
【0013】ここで、被覆層2の母材を成すAg−Li
−La合金はAgをバランス成分とし、その合金におけ
るLiは、当該合金の潤滑性と耐アーク性の向上に資す
る成分であり、また、Laは、当該合金の硬度を高めて
耐摩耗性の向上に資する成分である。これらのLi,L
a成分の組成割合が、いずれか一方でも0.01重量%よ
り少なくなると上記した効果の発揮は不十分となり、ま
た、Liの組成割合が2.0重量%より多くなったり、L
aの組成割合が0.2重量%より多くなったりすると、得
られる合金の比抵抗は増加し、また接触抵抗の経時変化
は大きくなり、製造した接触材料は、とくに小電流領域
で使用する摺動接点用の材料としての特性低下が引き起
こされる。
【0014】このようなことから、母材であるAg−L
i−La合金においては、Li,Laの組成割合は、そ
れぞれ、0.01〜2.0重量%,0.01〜0.2重量%であ
ることが好ましい。より好ましくは、Liの場合は0.0
1〜0.1重量%,Laの場合は0.02〜0.2重量%であ
り、とくに好ましくは、Liの場合は0.02〜0.1重量
%,Laの場合は0.05〜0.2重量%である。
【0015】次に、表層部2Aでは、前記したAg−L
i−La合金にAuまたは/およびPdが含有されてい
る。このAuまたは/およびPdは、それ自体が耐食性
と潤滑性に優れている。したがって、この表層部2Aの
場合は、前記したLiの潤滑性および耐アーク性への寄
与効果とLaの耐摩耗性への寄与効果の外に、Auまた
は/およびPdの耐食性や潤滑性への寄与効果も相乗的
に加味されることになっていて、被覆層2の全体は、そ
れがAg−Li−La合金だけから成る場合に比べて、
耐食性と潤滑性と耐アーク性の点で一層優れた特性を発
揮することになる。
【0016】この表層部2Aは、その製造時に後述する
製造方法が適用される結果として、表面2a(図1参
照)ではAuまたは/およびPdの含有量が多く、内層
部2B側に向かっていくほど含有量が減少していく濃度
勾配層になっている。表層部2Aが濃度勾配層になって
いることにより、本発明の接点材料は、前記したように
優れた耐食性と潤滑性を示すとともに、とくに、初動時
における凝着現象の発生が有効に抑制され、もって初期
段階から優れた摺動特性を示すことになる。
【0017】一般に、摺動初期においてはヘッドと接点
材料との間における真の接触面積が小さいため、見掛け
上の接触圧力(接触荷重/ヘッドの断面積)に対して、
実際の接触圧力は非常に大きく、凝着摩耗を起こし易い
状態になっている。そしてこの摺動初期の段階で凝着を
起こしてしまうと、以後の摩擦係数は高い値のままで推
移していく。一方、摺動初期の段階で凝着を起こさなか
った場合には、摺動部におけるヘッドと接点材料との間
に〔なじみ〕が生じ(すなわち、真の接触面積は大きく
なっている)、摩擦係数は低い値で安定し、そのままの
状態が推移していく。
【0018】上記した摺動初期時の挙動において、本発
明の接点材料の場合、その表層部2Aの表面2aは、A
uまたは/およびPdの含有量が最多量であることに基
づき、耐食性,潤滑性,耐アーク性がもっとも優れた状
態になっているので、前記した凝着はほとんど起こら
ず、ヘッドとの良好な〔なじみ〕が実現し、摩擦係数は
低い値で安定化することになる。そして、長時間の接点
動作によりこの表層部2Aの摩耗が進行しても、この表
層部2AはAuまたは/およびPdの濃度勾配層になっ
ているので、表面2aほどではないがAuまたは/およ
びPdの効果は依然として発揮され続け、最終的には消
耗して内層部2B(Ag−Li−La合金単味)との間
で、直接、接触する状態に移行した場合であっても、そ
の時点では既にヘッドと接点材料との〔なじみ〕が生じ
ているので、両者間の摩擦係数は低い値を維持すること
になる。すなわち、表層部2AがAuまたは/およびP
dの濃度勾配層になっていることにより、本発明の接点
材料は初動時から優れた摺動特性を発揮するのである。
換言すれば、この表層部2Aは、初動時の凝着を防止す
ることにより優れた摺動特性を実現し、その状態を、下
方に位置する内層部2Bにまで伝達する働きをするので
ある。
【0019】したがって、表層部2Aの上記した作用効
果は、その表面2aにおけるAuまたは/およびPdの
含有量の大小が基本的な律速因子となる。本発明におい
ては、表層部の表面2aにおけるAuまたは/およびP
dの含有量を50〜95重量%(したがって、Ag−L
i−La合金の組成割合は5〜50重量%)に規定され
る。
【0020】表面2aにおけるAuまたは/およびPd
の含有量が50重量%より少ない場合には、表層部2
A、ひいては被覆層2全体の耐食性は低下して、例え
ば、コイルモータでは接触抵抗の上昇による回転数のば
らつきなどが起こるようになり、また95重量%より多
い場合には、表層部2A、ひいては被覆層2全体の潤滑
性は低下して、摩擦係数の上昇によるモータトルクの低
下のような問題が起こりはじめるからである。好ましい
含有量は70〜95重量%、とくに好ましくは70〜9
0重量%である。
【0021】この表層部2Aの上記した作用効果は、基
本的には、その表面2aに含有されているAuまたは/
およびPdによって律速されるので、表層部2Aの厚み
は2次的な因子となる。しかし、この厚みが薄すぎる
と、耐環境性(耐食性)の関係で不安が生じ、また厚す
ぎると、後述する製造方法で使用する高価なAuまたは
/およびPdの使用量が増加して不経済となるので、そ
の厚みは、0.1〜5.0μm、好ましくは0.5〜2.0μm
であればよい。
【0022】本発明の接点材料は次のようにして製造す
ることができる。まず、所定の接点材料の表面に、所定
厚みのAg−Li−La合金の層を例えばクラッド法で
形成する。層の厚みは格別限定されるものではないが、
通常、10〜100μm程度である。ついで、Ag−L
i−La合金層の表面に、所定厚みのAuまたは/およ
びPdの層を形成する。通常、電気めっき法で形成され
る。
【0023】その後、全体に加熱処理が施される。この
処理過程で、最外層を形成するAuまたは/およびPd
はAg−Li−La合金層の内部に向かってある深さま
で拡散していき、ここに、Ag−Li−La合金層はA
uまたは/およびPdの濃度勾配層である表層部2A
と、その下に位置し、Ag−Li−La合金のみから成
る内層部2Bとの複合層に転化する。
【0024】この加熱処理時における条件としては、処
理温度は300〜800℃,処理時間は0.2〜30分で
あることが好ましい。処理温度が高くなりすぎると、A
uまたは/およびPdの熱拡散が起こることよりも、そ
もそも接点基材や被覆層を構成する材料の溶融が起こり
やすくなり、また処理温度が低すぎるとAuまたは/お
よびPdの熱拡散が起こらなくなるからである。また、
処理時間が長すぎると、Auまたは/およびPdの熱拡
散が進みすぎて、形成された表層部2Aの表面2aにお
けるAuまたは/およびPdの含有量は50重量%より
少なくなってしまい、逆に処理時間が短すぎると、Au
または/およびPdのAg−Li−La合金層への熱拡
散は進行せず、形成された表層部2Aの表面2aにおけ
るAuまたは/およびPdの含有量が95重量%より多
くなってしまうからである。
【0025】なお、このような加熱処理の終了後、得ら
れた接点材料に対し、圧延加工や引抜き加工を行うと、
全体の硬度は高くなり、また摺動特性も一層向上するの
で好適である。また、本発明の接点材料を製造する場合
には、Ag−Li−La合金から成る例えば条材のよう
な部材の表面に、前記したと同じようにAuまたは/お
よびPdの層を形成し、ついで前記した条件下で加熱処
理を行い、処理後の条材(部材)を、例えば接点基材の
全面または一部表面にクラッドしたり、リベット状に加
締めるなどの方法で一体化して製造することもできる。
【0026】
【実施例】
実施例1〜10,比較例1〜6 高周波溶解炉を用いて表1,表2に示した各種のAg合
金を溶製し、得られたインゴットを圧延加工して、厚み
0.3mm(300μm)の条材にした。ついで、各条材の
片面に、電気めっき法により表1,表2で示したAuま
たは/およびPdの表示厚みのめっき層を形成したの
ち、表1,表2で示した条件で加熱処理を行った。得ら
れた条材については、実施例5のものを除き、全て、更
に圧延加工を行って、全体の厚みを0.2mm(200μ
m)にした。
【0027】得られた各条材につき、下記の仕様で、表
層部の厚みと、表層部における濃度勾配を測定した。そ
の結果を表1,表2に示した。 表層部の厚み(μm):条材の断面を観察し、X線マイ
クロアナライザーで元素分析して測定。 表層部におけるAuまたはPdの濃度勾配:表層部の表
面に対し、X線マイクロアナライザーを用いてAuまた
はPdの含有量を分析し、その後、表面から1μmの深
さの面を露出させ、その露出面に対し、同じくX線マイ
クロアナライザーを用いてAuまたはPdの含有量を分
析した。
【0028】ついで、各条材の裏面を、無酸素銅から成
り、厚みが0.5mm(500μm)の接点基材の表面にク
ラッドして接点材料にした。得られた各接点材料につ
き、下記の仕様で、微動摩耗接触抵抗試験(Fretting試
験)後の接触抵抗,高速回転摺動試験機による通電時の
動摩擦係数および大気加熱と硫化試験による接触抵抗値
変化をそれぞれ測定した。以上の結果を表1〜表3に示
した。
【0029】摺動摩耗接触抵抗試験(Fretting試験): ヘッド :頭部半径1mmのAg−50%Pd製の棒 荷重 :49mN 通電電流:1.0A 摺動距離:0.1mm 摺動回数:20万回 摺動速度:100Hz ヘッドを20万回摺動させた時点における接点材料とヘ
ッドとの間の接触抵抗(Rc、mΩ)を測定。
【0030】高速回転摺動試験: ヘッド :頭部半径1mmのAg−50%Pd製の棒 荷重 :49mN 通電電流:0.05A 回転半径:2mm 摺動回数:100万回 回転速度:2000rpm 摺動回数0.1万回,1万回,10万回,100万回毎に
動摩擦係数(μk)を測定。
【0031】大気加熱試験:接点材料を、150℃の大
気中で100時間加熱し、試験前後において、荷重49
mN,通電電流0.1Aの条件下で接触抵抗(mΩ)を測
定。 硫化試験:接点材料を、硫化水素3ppm,温度40℃,
相対湿度80%の雰囲気に8時間放置し、その前後にお
いて、荷重49mN,通電電流0.1Aの条件下で接触抵抗
(mΩ)を測定。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】表1〜表3から以下のことが明らかとな
る。 1)まず、各実施例と比較例3を比べて明らかなように、
用いた条材の組成は同じであっても、その表面にAuめ
っき層を形成するかしないかによって、硫化試験後のRc
値は著しく異なり、本発明の被覆層のように表層部にA
uの濃度勾配を形成することが耐食性を向上させるとい
う点で極めて有効である。
【0036】2)また、実施例1と比較例6を比べて明ら
かなように、被覆層には本発明の被覆層の場合と同じよ
うなAuの濃度勾配が形成されていても、母材であるA
g合金が本発明の場合のようにAg−Li−La合金で
ない場合(Cu組成割合が10重量%)には、Fretting
試験の結果は劣り、また潤滑性も劣っている。 3)本発明の接点材料(実施例1〜10)は、いずれも、
高速摺動時の動摩擦係数が小さく、しかもその経時変化
は少なく、100万回の回転後においても、極めて優れ
た潤滑性を示している。
【0037】4)形成した表層部の表面におけるAu含有
量が100重量%の場合(比較例1)には、耐食性は良
好であるものの高速摺動時の動摩擦係数は低くなり、ま
た表層部の表面におけるAu含有量が40重量%になる
と(比較例2の場合)、Fretting試験の結果と高速摺動
試験の結果はいずれも劣り、とくに耐食性は顕著に劣化
する。このようなことから、表層部の表面におけるAu
(Pd)含有量は、50〜95重量%に設定すべきであ
ることがわかる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、耐食性,潤滑性が優れ、接触抵抗の経時変化が
少なく、また初動時に凝着現象を起こしにくく、そし
て、微小電流,低接触荷重の条件下でも作動する小型の
電気・電子機器に組み込んで有用な電気接触材料を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気接点材料の断面構造を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 接点基材 2 被覆層 2A 表層部(Auまたは/およびPdの濃度勾配層) 2a 表層部2Aの表面 2B 内層部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 5/50 C25D 5/50 7/00 7/00 H

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接点基材の表面に、Ag−Li−La合
    金にAuまたは/およびPdが含有されて成り、その表
    層部はAuまたは/およびPdの含有量が内層部側に向
    かって減少していく濃度勾配層になっており、かつ、前
    記表層部の表面におけるAuまたは/およびPdの濃度
    は50〜95重量%である被覆層が一体的に形成されて
    いることを特徴とする電気接点材料。
  2. 【請求項2】 接点基材の表面にAg−Li−La合金
    の層を形成し、前記Ag−Li−La合金層の表面にA
    uまたは/およびPdの層を形成し、ついで、全体に加
    熱処理を行って前記Auまたは/およびPdを熱拡散す
    ることを特徴とする電気接点材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 Ag−Li−La合金から成る部材の表
    面に、Auまたは/およびPdの層を形成したのち、全
    体に加熱処理を行って前記Auまたは/およびPdを熱
    拡散し、ついで、得られた接点部材の表面に一体的に取
    り付けることを特徴とする電気接点材料の製造方法。
JP8039846A 1995-02-28 1996-02-27 電気接点材料とその製造方法 Pending JPH08298038A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7589290B2 (en) 2002-10-02 2009-09-15 Robert Bosch Gmbh Electric contact
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