JPH11117074A - 薄膜の製造装置およびその製造方法 - Google Patents

薄膜の製造装置およびその製造方法

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JPH11117074A
JPH11117074A JP27868797A JP27868797A JPH11117074A JP H11117074 A JPH11117074 A JP H11117074A JP 27868797 A JP27868797 A JP 27868797A JP 27868797 A JP27868797 A JP 27868797A JP H11117074 A JPH11117074 A JP H11117074A
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thin film
plasma excitation
plasma
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JP27868797A
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Kiyoshi Takahashi
喜代司 高橋
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の薄膜の製造装置およびその製造方法で
は、成膜レートを向上させるために成膜用原料の供給を
増やしていくと、微小な異常放電が頻発するという課題
があった。 【解決手段】真空ポンプ8が、真空槽6の気体を排気
し、真空槽6の真空度が規定の真空度(1×10-2
a)となった後、原料導入管9が、ヘキサンとアルゴン
の混合ガスを放電管10に供給し、プラズマ励起用電極
11にプラズマ励起用電源12から高周波電力を供給す
ることによって、炭素のプラズマが発生する。プラズマ
励起用電極11の固有抵抗値が半導体域の抵抗値の10
-1〜105Ωcmであるため、プラズマ励起用電極11
の特定部位に電流が集中することがなく、均一に電流分
散し、微小な異常放電を低減する。さらに、プラズマ励
起用電極11の形状が半径1mm未満の角部がない形状
であるので、微小な異常放電はさらに低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属薄膜型磁気記
録媒体の保護膜として用いられるプラズマ重合膜やダイ
ヤモンド状炭素膜、半導体や液晶の回路に用いられる絶
縁膜、光電変換素子に用いられる非晶質シリコン膜、ま
たは、超伝導薄膜等の薄膜を製造する装置およびその方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の磁気記録媒体の高記録密度化や半
導体回路の高集積化にともなって、記録膜や素子本体の
みならず、記録膜を保護する保護膜や回路に用いられる
絶縁膜の性能が、製品の信頼性を決定する重要な要素と
なっている。
【0003】また、製品販売での価格競争に打ち勝つた
めには、それら製品に用いられる保護膜や絶縁膜等の薄
膜を、高速かつ安定して形成することが必須である。そ
の高速安定化した薄膜製造方法としては、成膜レートの
高いプラズマCVD法が有利である。
【0004】そのプラズマCVD法により薄膜を形成す
る方法として、各種の提案がされているが、そのうち、
薄膜形成の環境としての真空槽内、放電管内および基板
の汚染による成膜欠陥を低減する方法として、真空槽内
を放電空間とする方法および真空槽内に放電管を設ける
方法(例えば、特公昭63−026195号公報、特開
昭63−118074号公報等)や、電極あるいは放電
管壁面に不活性ガスを吹き出す方法(例えば、特開平5
−25648号公報)が提案されている。これらの方法
により、上述した成膜欠陥については、ほぼ解決済みで
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の方法では、成膜レートを向上させるために成膜
用原料の供給を増やしていくと、放電管内部にも成膜さ
れ、それが放電管内壁に付着し、やがて剥離して、実際
に形成すべき薄膜の中に混入されることがある。また、
そればかりでなく、放電管内部の圧力が上昇し、プラズ
マを発生させる要因の一つである電極が金属のような抵
抗の小さいものであると、その電極の突起や角部等の形
状や欠陥等の部分から、微少な異常放電が頻発する現象
が起こって、成膜欠陥が発生していた。その結果、薄膜
が磁気記録媒体の保護膜である場合、ドッロプアウトの
増加や耐食性の低下という問題が生じていた。また、薄
膜が半導体等の絶縁膜である場合、絶縁抵抗の低下によ
る製品の不良や耐食性の低下という問題が生じていた。
【0006】本発明は、このような従来の薄膜の製造装
置およびその製造方法では、成膜レートを向上させるた
めに成膜用原料の供給を増やしていくと、微小な異常放
電が頻発するという課題を考慮し、微小な異常放電を起
こしにくい薄膜の製造装置およびその製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の本発明は、所
定の気体を供給する真空槽、もしくは真空槽内に配置さ
れ、所定の気体を供給する放電管と、前記真空槽もしく
は前記放電管の内部に配置された電極と、前記電極に所
定の電力を供給する電源とを備え、前記電極の固有抵抗
は、10-1〜105Ωcmであり、前記電極に前記電源
から前記電力を供給することによって、前記気体のプラ
ズマを発生させ、前記電極と対向する位置に配置された
基板の上に、前記気体のプラズマに基づいた薄膜を形成
させることを特徴とする薄膜製造装置である。
【0008】請求項6の本発明は、請求項1から5のい
ずれかに記載の薄膜製造装置の真空槽、もしくは真空槽
内に配置された放電管に所定の気体を供給して、前記装
置の電極に前記装置の電源から所定の電力を供給し、前
記気体のプラズマを発生させ、前記電極と対向する位置
に配置された基板の上に、前記気体のプラズマに基づい
た薄膜を形成することを特徴とする薄膜製造方法であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面を参照して説明する。
【0010】(実施の形態1)本発明の実施の形態1の
薄膜製造装置の構成を図1を参照して説明する。
【0011】図1は、本発明の実施の形態1の薄膜製造
装置の構成図である。図1において、1は、ボビンに巻
かれた磁気記録媒体20を装着し、また、自身が回転す
ることによって、その磁気記録媒体20をほどいてパス
ローラ2に送り出す巻き出し軸である。なお、巻き出し
軸1は、パスローラ2との間の磁気記録媒体20の張力
を制御することによって、その磁気記録媒体20をパス
ローラ2に送り出している。また、磁気記録媒体20
は、後述する放電管10内で発生したプラズマが薄膜と
して形成される基板であり、後に、詳述する。2は、巻
き出し軸1からの磁気記録媒体20と接触し、自身が回
転することによって、その磁気記録媒体20をメインロ
ーラ3に送るパスローラであり、薄膜製造装置本体と絶
縁され、単独で接地されている。3は、パスローラ2か
らの磁気記録媒体20と接触し、自身の回転を制御する
ことによって、その磁気記録媒体20を一定速度でパス
ローラ4に搬送するメインローラである。そのメインロ
ーラ3の一部は、後述する放電管10と対向しており、
メインローラ3に接触している磁気記録媒体20が放電
管10と対向している部分を通過するときに、その放電
管10からのプラズマによって磁気記録媒体20上に保
護膜が形成される。そのさい、温度が上がるので、メイ
ンローラ3は、その温度上昇による磁気記録媒体20の
熱負けを防止するために、冷媒などを循環させて一定温
度に制御するものでもある。また、メインローラ3は、
薄膜製造装置本体と絶縁されている。4は、メインロー
ラ3からの保護膜を有した磁気記録媒体20と接触し、
自身が回転することによって、その磁気記録媒体20を
巻き取り軸5に送るパスローラであり、薄膜製造装置本
体と絶縁され、単独で接地されている。5は、パスロー
ラ4との間の磁気記録媒体20の張力を制御して、その
磁気記録媒体20を連続的に巻き取る巻き取り軸であ
る。6は、真空槽であり、また、保護膜の形成に必要な
部材を収納するものである。7は、必要に応じて開閉す
る真空バルブである。8は、真空槽6の真空度を規定の
真空度(1×10-2Pa)に保持するために、真空槽6
の気体を排気する真空ポンプである。9は、流量がコン
トロールされた、磁気記録媒体20の保護膜となるダイ
ヤモンド状炭素膜の原料のヘキサンとアルゴンの混合ガ
スを放電管10に供給する原料導入管であり、放電管1
0内に接続されている。10は、原料導入管9からの原
料のプラズマが飛散して真空槽6に洩れ、真空槽6が汚
染されるのを防止する放電管であり、その材料は、絶縁
材料である。11は、放電管10内部に配置され、固有
抵抗が10-1〜105Ωcmであるプラズマ励起用電極
であって、その材料は、セラミック材料である。なお、
好ましくは、プラズマ励起用電極11を、半径1mm未
満の角部がない形状とし、複数個設け、さらに、多孔質
とし、その細孔を網目状に設けることが望ましい。12
は、直流または1k〜3GHzの交流(高周波)の単
独、もしくは、それらの重畳された、例えば2kWとい
ったプラズマを発生させるための電力を出力するプラズ
マ励起用電源である。なお、プラズマ励起用電極11に
プラズマ励起用電源12から電力を供給することによっ
て、原料導入管9からの原料のプラズマが発生する。
【0012】磁気記録媒体20は、図2に示すとおり、
非磁性基板21と、強磁性金属薄膜22と、バックコー
ト層23とから構成されており、例えば幅が500m
m、長さが3000mのものであって、ボビンに巻かれ
ている。図2は、その磁気記録媒体20の断面図であ
る。非磁性基板21は、ポリエチレンテレフタレートで
あり、その厚さは、約7μmである。強磁性金属薄膜2
2は、Co−O、Co−Ni−O、Co−Cr−Ni等
のCoを主成分とするものから構成されており、その厚
さは、50〜300nmであり、反応蒸着法、反応スパ
ッター法などにより非磁性基板21上に形成されてい
る。バックコート層23は、ポリエステル樹脂とカーボ
ン等の混合体で構成されており、その厚さは0.3〜1
μmであって、上述した混合体を溶媒で希釈し、塗布乾
燥することにより形成されている。
【0013】次に、本発明の実施の形態1の薄膜製造装
置の動作を図1を参照して説明する。
【0014】先ず、真空バルブ7が開き、真空ポンプ8
が、真空槽6の真空度を規定の真空度(1×10-2
a)となるまで、真空槽6の気体を排気し、真空槽6の
真空度が規定の真空度に到達した後、巻き出し軸1が、
装着した磁気記録媒体20をほどき、パスローラ2、メ
インローラ3、パスローラ4を介して巻き取り軸5に連
続的に送り出す。
【0015】他方、原料導入管9が、流量コントロール
され、混合比が1:1のヘキサンとアルゴンの混合ガス
を放電管10に供給し、プラズマ励起用電極11にプラ
ズマ励起用電源12から300kHzで2kWの高周波
電力を供給することによって、炭素のプラズマが発生す
る。ところで、上述したように、プラズマ励起用電極1
1の固有抵抗値が半導体域の抵抗値の10-1〜105Ω
cmであるため、プラズマ励起用電極11の特定部位に
電流が集中することがなく、均一に電流分散し、微少な
異常放電を低減することができる。また、プラズマ励起
用電極11の形状を、半径1mm未満の角部がない形状
とし、複数個用いることにより、さらに電流分散が進行
し、微小な異常放電を低減することができる。さらに、
プラズマ励起用電極11を多孔質にして、細孔より原料
ガスを吹き出すことによって、プラズマ励起用電極11
周囲のガス圧が実質上均一となって、ガス圧のムラによ
る電流分散の妨げを軽減することができ、さらなる電流
分散の均一化が達成できる。 そして、磁気記録媒体2
0がメインローラ3の放電管10と対向している位置に
きたときに、放電管10からのプラズマ電流が磁気記録
媒体20とパスロール2、4を通じて流れることによ
り、図3(a)に示すように、磁気記録媒体20の強磁
性金属薄膜22上に、プラズマ中の炭素を含んだイオ
ン、ラジカル等が、ダイヤモンド状炭素膜24として堆
積する。そのダイヤモンド状炭素膜24の厚さは、3〜
50nmである。なお最終的には、図3(b)に示すよ
うに、ダイヤモンド状炭素膜24の上に、湿式塗布法あ
るいは真空蒸着法により、含フッ素潤滑剤の潤滑剤層2
5が、1〜20nmの厚さで形成される。
【0016】次に、本発明の実施の形態1の薄膜製造装
置のプラズマ励起用電極11の固有抵抗値等を変化させ
て形成されたダイヤモンド状炭素膜24を有する試験サ
ンプルと比較サンプルとを、ダイヤモンド状炭素膜24
の成膜レートとドロップアウトと耐食性について比較し
た評価結果を説明する。なお、ダイヤモンド状炭素膜2
4は、ビッカース硬度が約2500kg/mm2で、厚
さが10nmのものに統一した。また、ダイヤモンド状
炭素膜24を堆積させる強磁性金属薄膜22の厚さは、
150nmとした。ドロップアウトと耐食性の試験方法
については、後に説明する。
【0017】試験サンプルとしては、サンプルNo.1
から9の9種類、比較サンプルとしては、比較例1から
5の5種類を用意した。以下に、試験サンプルと比較サ
ンプルのサンプル作成条件を示す。
【0018】(サンプル1)プラズマ励起用電極11が
バルクで固有抵抗を10-1Ωcmとし、その形状を、角
部が半径3mmの円弧状を有する形状であるとし、原料
導入管9から放電管10の下部に成膜用原料をプラズマ
励起用電極11周辺に導入し、拡散させて成膜した。
【0019】(サンプル2)プラズマ励起用電極11の
固有抵抗を102Ωcmとした以外は、サンプル1と同
様である。
【0020】(サンプル3)プラズマ励起用電極11の
固有抵抗を105Ωcmとした以外は、サンプル1と同
様である。
【0021】(サンプル4)プラズマ励起用電極11の
固有抵抗を102Ωcmとし、そのプラズマ励起用電極
11を放電管10内に、水平かつ並列に3個設けて成膜
した以外はサンプル1と同様である。
【0022】(サンプル5)プラズマ励起用電極11の
固有抵抗を102Ωcmとし、その形状を、角部が半径
3mmの円弧状を有する形状であるとし、また、そのプ
ラズマ励起用電極11は細孔の大きさ10μmの多孔質
であるとして、その細孔より原料ガスを吹き出すことに
よって成膜した。
【0023】(サンプル6)プラズマ励起用電極11の
固有抵抗を102Ωcmとし、その形状を、角部が半径
3mmの円弧状を有する形状であるとし、また、そのプ
ラズマ励起用電極11は細孔の大きさ10μmの多孔質
であるとして、そのプラズマ励起用電極11を放電管1
0内に、水平かつ並列に3個設け、3個の電極各々より
原料ガスを吹き出すことによって成膜した。
【0024】(サンプル7)プラズマ励起用電極11の
形状を、角部が半径1mmの円弧状を有する形状とした
以外は、サンプル1と同様である。
【0025】(サンプル8)プラズマ励起用電極11の
形状を、角部が半径2mmの円弧状を有する形状とした
以外は、サンプル1と同様である。
【0026】(サンプル9)プラズマ励起用電極11の
形状を、角部が半径3.5mmの円弧状を有する形状と
した以外は、サンプル1と同様である。
【0027】(比較例1)実施の形態1と同様な薄膜製
造装置で、プラズマ励起用電極11の固有抵抗を10-6
Ωcmとした以外は、サンプル1と同様である。
【0028】(比較例2)実施の形態1と同様な薄膜製
造装置で、プラズマ励起用電極11の固有抵抗を10-2
Ωcmとした以外は、サンプル1と同様である。
【0029】(比較例3)実施の形態1と同様な薄膜製
造装置で、プラズマ励起用電極11の固有抵抗を106
Ωcmとした以外は、サンプル1と同様である。
【0030】(比較例4)実施の形態1と同様な薄膜製
造装置で、プラズマ励起用電極11の形状を、角部が実
質上直角とした以外は、サンプル1と同様である。
【0031】(比較例5)実施の形態1と同様な薄膜製
造装置で、プラズマ励起用電極11の形状を、角部が半
径0.8mmの円弧状を有するとした以外は、サンプル
1と同様である。
【0032】なお、実際に試験を行ったサンプルとして
は、上述した試験サンプルと比較サンプルの上に約30
nmの含フッ素カルボン酸からなる潤滑剤層25を湿式
塗布法で設けた後、6.35mm幅に裁断された、長さ
約70mのものを用いた。
【0033】次に、ドロップアウトと耐食性の試験方法
について説明する。ドロップアウトの測定は、裁断した
サンプルをDVCカセットに装着し、市販のDVCビデ
オカメラを改造して、3μsec8dB以上のドロップ
アウト数を10分間測定し、1分間の平均値を測定値と
した。耐食性試験は、スライドガラスにサンプルを貼り
付け、60℃90%RH環境下に10日放置した後、光
学顕微鏡で倍率400倍で1cm2当たりのピンホール
(透過)の数を観察して評価した。測定数は各サンプル
とも5箇所とした。以上述べたドロップアウトと耐食性
に加え、成膜レートついての評価結果も表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかなように、1から5のいず
れの比較サンプルに比べても、いずれの試験サンプルと
もドロップアウト、耐食性とも改善されており、特に固
有抵抗値が102Ωcmの試験サンプルでは、その改善
度合いが高いことがわかる。
【0036】また、角部の形状が半径1mm以上のプラ
ズマ励起用電極11を用いて成膜したものは、角部の形
状が半径0.8mmのプラズマ励起用電極11を用いて
成膜したものより、改善度合いが高いことがわかる。つ
まり、試験サンプル2、7、8および9は、比較例5よ
り改善度合いが高いということである。
【0037】さらに、プラズマ励起用電極11を複数個
にして成膜したもの、プラズマ励起用電極11を多孔質
としてその細孔より原料ガスを吹き出すことによって成
膜したもの、つまり、試験サンプル4、5および6で
は、その改善度合いが高いことは顕著である。
【0038】これは、プラズマ励起用電極11の固有抵
抗値が半導体域の抵抗値であるためと、プラズマ励起用
電極11周辺の原料ガスが均一に拡散されるため、電流
集中が起こらず、電流が分散されて、微少な異常放電が
大幅に減少したことによるものと考えられる。なお、試
験サンプル3では、成膜レートが低下傾向にあるが、こ
れはプラズマ励起用電極11の抵抗によって電圧降下が
発生し、基板としての磁気記録媒体20との間に十分な
電流が確保できなかったためであると考えられる。した
がって、プラズマ励起用電極11の好ましい固有抵抗値
は、102Ωcm近傍であることが推察される。
【0039】ところで、プラズマ励起用電極11の固有
抵抗値が上述した10-1〜105Ωcmより小さい場
合、一般の金属材料でプラズマ励起用電極11を製作し
たものと同様で、微小な異常放電は、ほとんど減少しな
い。また、プラズマ励起用電極11の固有抵抗値が10
-1〜105Ωcmより大きい場合、プラズマ励起用電源
12の交流周波数が、少なくとも300kHz周辺の周
波数では、急激に成膜レートが低下し、プラズマ励起用
電源12は、薄膜製造装置の電源としての機能を果たさ
なくなる。
【0040】なお、実施の形態1では、非磁性基板21
は、厚さ約7μmのポリエチレンテレフタレートである
としたが、非磁性基板21の材質は、ポリエチレンナフ
タレート、ポリアミド等の高分子材料であってもよい
し、また、その厚さは、3〜15μmであってもよい。
【0041】(実施の形態2)本発明の実施の形態2の
薄膜製造装置の構成を図4を参照して説明する。
【0042】図4は、本発明の実施の形態2の薄膜製造
装置の構成図である。本発明の実施の形態2の薄膜製造
装置と本発明の実施の形態1の薄膜製造装置の相違は、
実施の形態1の薄膜製造装置が磁気記録媒体20の保護
膜を製造する装置であったのに対し、実施の形態2の薄
膜製造装置は、半導体回路の層間絶縁膜を製造する装置
であるという点である。したがって、実施の形態2の薄
膜製造装置の構成、動作および作用については、実施の
形態1の薄膜製造装置の構成、動作および作用と同様で
あるので、詳しい説明は省略する。なお、薄膜が形成さ
れる基板は、上述した相違により、実施の形態1の磁気
記録媒体20から半導体模擬基板30に変更している。
また、実施の形態1の薄膜製造装置では、磁気記録媒体
20上に連続的に保護膜を堆積させる構造としていた
が、実施の形態2の薄膜製造装置では、半導体模擬基板
30上に連続的に層間絶縁膜を堆積させる構造とはなっ
ていない。
【0043】以上述べた実施の形態2の薄膜製造装置
が、半導体模擬基板30の上に、酸化シリコンの層間絶
縁相当膜31を堆積させる。なお、半導体模擬基板30
としてシリコン基板を使用し、層間絶縁相当膜31の原
料としてテトラエトキシシランを使用した。最後に、さ
らにその上に、スパッター法を用いてアルミニウム薄膜
の配線用相当薄膜32が形成される。図5は、上述した
層間絶縁相当膜31を有する半導体模擬基板30の断面
図である。
【0044】次に、本発明の実施の形態2の薄膜製造装
置のプラズマ励起用電極11の固有抵抗値等を変化させ
て形成された層間絶縁相当膜31を有する試験サンプル
と比較サンプルとを、層間絶縁相当膜31の成膜レート
と絶縁抵抗値について比較した評価結果を説明する。な
お、層間絶縁相当膜31の厚さを約2μm、配線用相当
薄膜32の厚さを約5μmに統一した。また、薄膜製造
装置のプラズマ励起用電極11は、角部が半径3mmの
円弧状を有する形状のものを使用した。絶縁抵抗の試験
方法については、後に説明する。
【0045】試験サンプルとしては、サンプルNo.1
0から15の6種類、比較サンプルとしては、比較例
6、7および8の3種類を用意した。以下に、試験サン
プルと比較サンプルのサンプル作成条件を示す。
【0046】(サンプル10)プラズマ励起用電極11
がバルクで固有抵抗を10-1Ωcmとし、原料導入管9
から放電管10の下部に成膜用原料をプラズマ励起用電
極11周辺に導入し、拡散させて成膜した。
【0047】(サンプル11)プラズマ励起用電極11
の固有抵抗を102Ωcmとした以外は、サンプル10
と同様である。
【0048】(サンプル12)プラズマ励起用電極11
の固有抵抗を105Ωcmとした以外は、サンプル10
と同様である。
【0049】(サンプル13)プラズマ励起用電極11
の固有抵抗を102Ωcmとし、そのプラズマ励起用電
極11を放電管10内に、水平かつ並列に3個設けて成
膜した以外はサンプル10と同様である。
【0050】(サンプル14)プラズマ励起用電極11
の固有抵抗を102Ωcmとし、また、そのプラズマ励
起用電極11は細孔の大きさ10μmの多孔質であると
し、その細孔より原料ガスを吹き出すことによって成膜
した。
【0051】(サンプル15)プラズマ励起用電極11
の固有抵抗を102Ωcmとし、また、そのプラズマ励
起用電極11は細孔の大きさ10μmの多孔質であると
し、そのプラズマ励起用電極11を放電管10内に、水
平かつ並列に3個設け、3個の電極各々より原料ガスを
吹き出すことによって成膜した。
【0052】(比較例6)実施の形態2と同様な薄膜製
造装置で、プラズマ励起用電極11の固有抵抗を10-6
Ωcmとした以外は、サンプル10と同様である。
【0053】(比較例7)実施の形態2と同様な薄膜製
造装置で、プラズマ励起用電極11の固有抵抗を10-2
Ωcmとした以外は、サンプル10と同様である。
【0054】(比較例8)実施の形態2と同様な薄膜製
造装置で、プラズマ励起用電極11の固有抵抗を106
Ωcmとした以外は、サンプル10と同様である。
【0055】次に、絶縁抵抗の試験方法について説明す
る。その試験は、上述したサンプルを、約10mm角に
切断し、80℃90%RH環境下に3日放置した後、5
0Vの直流電圧を印加したときの絶縁抵抗値を測定し、
評価した。測定数は各サンプルとも5箇所とした。以上
述べた評価結果に加え、80℃90%RH環境下に放置
する前の絶縁抵抗値と、成膜レートついての評価結果も
表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2から明らかなように、比較サンプル
6、7および8に比べて、いずれの試験サンプルとも絶
縁抵抗の劣化は改善されており、特に固有抵抗値が10
2Ωcmの試験サンプルでは、その改善度合いが高いこ
とがわかる。
【0058】さらに、プラズマ励起用電極11を複数個
にして成膜したもの、多孔質としてその細孔より原料ガ
スを吹き出すことによって成膜したもの、つまり、試験
サンプル13、14および15では、その改善度合いが
高いことは顕著である。これは、プラズマ励起用電極1
1の固有抵抗値が半導体域の抵抗値であるためと、プラ
ズマ励起用電極11周辺の原料ガスが均一に拡散される
ため、電流集中が起こらず、電流が分散され、微少な異
常放電が大幅に減少したことによるものと考えられる。
なお、試験サンプル12では、成膜レートがやや低下傾
向にあるが、これはプラズマ励起用電極11の抵抗によ
って電圧降下が発生し、基板としての磁気記録媒体20
との間に十分な電流が確保できなかったためであると考
えられる。したがって、プラズマ励起用電極11の好ま
しい固有抵抗値は、102Ωcm近傍であることが推察
される。
【0059】なお、実施の形態1および2では、放電管
10内でプラズマが発生するとしたが、本発明の薄膜製
造装置は、巻き出し軸1および巻き取り軸5とプラズマ
が接触しないような仕切りを設けさえすれば、放電管1
0を備えなくともよい。
【0060】また、実施の形態1および2では、磁気記
録媒体の保護膜としてのダイヤモンド状炭素膜、また
は、半導体に用いられる層間絶縁相当膜の製造とその効
果について詳しく説明したが、本発明の薄膜の製造装置
およびその製造方法を用いたその他の例として、液晶用
の絶縁膜あるいは光電変換素子の非晶質シリコン膜にお
ける耐食性の向上または変換効率の向上、また、超伝導
薄膜における通電容量及び寿命の向上等を認めたものが
ある。このように、本発明の産業上の適用用途は、極め
て広範囲である。
【0061】
【発明の効果】本発明は、微小な異常放電を起こしにく
い薄膜の製造装置およびその製造方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の薄膜製造装置の構成図
【図2】磁気記録媒体の断面図
【図3】磁気記録媒体の非磁性基板上にダイヤモンド状
炭素膜が堆積したものと、さらにその上に潤滑剤層が形
成されたものの断面図
【図4】本発明の実施の形態2の薄膜製造装置の構成図
【図5】半導体模擬基板上に層間絶縁相当膜が堆積した
ものの断面図
【符号の説明】
1 巻き出し軸 2 パスローラ 3 メインローラ 4 パスローラ 5 巻き取り軸 6 真空槽 7 真空バルブ 8 真空ポンプ 9 原料導入管 10 放電管 11 プラズマ励起用電極 12 プラズマ励起用電源 20 磁気記録媒体 21 非磁性基板 22 強磁性金属薄膜 23 バックコート層 24 ダイヤモンド状炭素膜 25 潤滑剤層 30 半導体模擬基板 31 層間絶縁相当膜 32 配線用相当薄膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の気体を供給する真空槽、もしくは真
    空槽内に配置され、所定の気体を供給する放電管と、前
    記真空槽もしくは前記放電管の内部に配置された電極
    と、前記電極に所定の電力を供給する電源とを備え、前
    記電極の固有抵抗は、10-1〜105Ωcmであり、前
    記電極に前記電源から前記電力を供給することによっ
    て、前記気体のプラズマを発生させ、前記電極と対向す
    る位置に配置された基板の上に、前記気体のプラズマに
    基づいた薄膜を形成させることを特徴とする薄膜製造装
    置。
  2. 【請求項2】前記電極の形状は、半径1mm未満の角部
    がない形状であることを特徴とする請求項1記載の薄膜
    製造装置。
  3. 【請求項3】前記電極は、複数であり、電気的に並列に
    配置されることを特徴とする請求項1または2記載の薄
    膜製造装置。
  4. 【請求項4】前記電極は、多孔質であり、その多孔質の
    細孔から前記所定の気体を吹き出すことを特徴とする請
    求項1から3のいずれかに記載の薄膜製造装置。
  5. 【請求項5】前記細孔の大きさは、1〜500μmであ
    り、前記多孔質は、網目状であることを特徴とする請求
    項4記載の薄膜製造装置。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載の薄膜製
    造装置の真空槽、もしくは真空槽内に配置された放電管
    に所定の気体を供給して、前記装置の電極に前記装置の
    電源から所定の電力を供給し、前記気体のプラズマを発
    生させ、前記電極と対向する位置に配置された基板の上
    に、前記気体のプラズマに基づいた薄膜を形成すること
    を特徴とする薄膜製造方法。
  7. 【請求項7】前記薄膜は、磁気記録媒体の保護膜である
    ことを特徴とする請求項6記載の薄膜製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002021611A1 (de) * 2000-09-11 2002-03-14 Siemens Aktiengesellschaft Photostrukturierbare neue organische halbleitermaterialien

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WO2002021611A1 (de) * 2000-09-11 2002-03-14 Siemens Aktiengesellschaft Photostrukturierbare neue organische halbleitermaterialien

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