JPH11116969A - 乾燥石炭のコ−クス炉への装炭方法 - Google Patents

乾燥石炭のコ−クス炉への装炭方法

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JPH11116969A JP28563697A JP28563697A JPH11116969A JP H11116969 A JPH11116969 A JP H11116969A JP 28563697 A JP28563697 A JP 28563697A JP 28563697 A JP28563697 A JP 28563697A JP H11116969 A JPH11116969 A JP H11116969A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】作業環境の悪化や操業トラブルを引き起こすこ
となく、乾燥石炭をコークス炉に装入する方法を提供す
る。 【解決手段】粉砕処理した原料石炭を乾燥処理した後予
め微粉炭と粗粉炭とに分別し、この分別した微粉炭に前
記粉砕処理した原料石炭を混合し、この混合物にバイン
ダーを添加して更に混合し、得られた混合物をそのまま
又は塊成化した後、前記分別した粗粉炭と混合してコー
クス炉に装入する。微粉炭に混合する粉砕処理した原料
石炭として、安価な劣質炭(非粘結炭、微粘結炭)を多
量に配合することも可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉用コークス製
造時における乾燥石炭のコークス炉への装炭方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】室炉式コ−クス炉は、石炭を乾留するた
めの炭化室とこの炭化室に熱を供給するための燃焼室と
が交互にサンドイッチ状に配列された構造を有してい
る。炭化室の大きさは、例えば、高さが6〜7m、長さ
が15〜17mで、幅が0.45m程度である。
【0003】このようなコ−クス炉において、例えば2
0〜40tの原料石炭が一度に炭化室に装入され、24
時間前後の乾留時間で1000℃程度にまで焼成され、
コ−クス炉から排出される。コ−クス炉から排出された
赤熱コ−クスは、散水による湿式冷却、あるいは不活性
ガスによる乾式冷却により消火、冷却される。
【0004】上記のコ−クスの製造において、コ−クス
炉へ装入される石炭の粒径は、通常、粒径3mm以下の
ものが80%程度となるように粉砕、調製されている。
また、従来は、8〜10重量%(以下、石炭中の水分の
「%」は「重量%」を意味する)の水分が含有された石
炭を装入炭として用いる湿炭装入が行われていたが、最
近では石炭中の水分量を6%程度まで低減させてコ−ク
ス炉に装入する調湿炭法が普及してきている。
【0005】原料石炭の水分を低減させることは、下記
およびの面からは好ましい。すなわち、 乾留時間の大幅な短縮が可能となる。
【0006】通常の湿炭装入の場合は、乾留時間は例え
ば24時間前後に達し、この内の前半10時間程度が脱
水のために使われる。このように乾留過程の40〜50
%程度の時間が費やされている脱水過程を省略もしくは
簡略化できれば、それだけ乾留効率の向上につながる。
【0007】 炭化室への石炭の装入密度が向上す
る。
【0008】装入密度が向上すると、それに応じてコ−
クスの品質が一般的には向上する。更にまた、炭化室へ
の石炭の装入量が増大し、生産性の向上をも達成するこ
とが可能となる。
【0009】このように、石炭の低水分化は多くの利点
を有しているが、一方では、次に述べるように、石炭の
飛散性の急激な増大、装炭直後のガス発生量の増大によ
るバブリング現象に伴う装入嵩密度の低下、コークス炉
内へのカーボンの付着、等の問題が有り、これらに対し
て十分な対策を講じることが必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】コ−クス炉へ装入する
石炭(湿炭)は、通常8〜10%程度の水分を含有して
いる。この湿炭を乾燥あるいは予熱することにより水分
を次第に低下させていくと、水分6%程度までは特に顕
著な変化は生じないが、それより更に水分を低下させる
と石炭の飛散性が急激に増大する。そのため、湿炭搬送
用に一般的に使用されているベルトコンベア−等では粉
塵の発生が著しく、作業環境を悪化させるため、その搬
送が極めて困難となる。最近導入が活発に行われている
調湿炭法において、装入炭中の水分量を6%程度に維持
するのも実はこのためであり、現在用いられている湿炭
用の設備がそのまま流用できる下限の水分値を採用した
ものである。
【0011】しかしながら、この飛散性の増大に伴う問
題点が克服できれば、水分の下限が6%という制約が取
り払われ、更に低水分化が指向されるのは確実であり、
水分4%程度の乾燥石炭あるいはそれより更に水分を減
少させた低水分炭(例えば、水分0%の予熱炭等)の採
用へと進展することが予測される。
【0012】一方、石炭の低水分化は、炭化室への装炭
に際しても新たな問題を引き起こす。すなわち、装炭時
における発塵量、キャリーオーバー量が増大する。この
キャリーオーバーの増大は炭化室の天井部あるいは上昇
管等へのカーボンの付着を促進したり、タールスラッジ
の増加を招く等、安定操業に対して支障を来たしやす
い。更に、予熱炭をコークス炉に装入すると、石炭から
の急激なガス発生によるいわゆるバブリング現象が生起
し、炭化室への石炭の装入密度が向上しにくく、コーク
スの品質が低下しやすくなる。
【0013】本発明はこのような状況に鑑みなされたも
ので、作業環境の悪化を防止するとともに、操業トラブ
ルを引き起こすことなく、コークス炉を安定して操業し
得る乾燥石炭のコークス炉への装炭方法を提供すること
を目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、乾燥石炭
のコ−クス炉への装入に関して種々検討を行い、操業ト
ラブル、作業環境の悪化、更にはコークスの品質劣化を
引き起こすことなく乾燥炭を装入できる方法を案出し、
本発明をなすに至った。
【0015】本発明の要旨は、下記のコークス炉への石
炭の装炭方法にある。
【0016】粉砕処理した原料石炭を乾燥処理した後予
め微粉炭と粗粉炭とに分別し、この分別した微粉炭に前
記粉砕処理した原料石炭を混合し、この混合物にバイン
ダーを添加して更に混合し、得られた混合物をそのまま
又は塊成化した後、前記分別した粗粉炭と混合してコー
クス炉に装入することを特徴とする乾燥石炭のコ−クス
炉への装炭方法。
【0017】ここで、微粉炭とは、粉砕処理した原料石
炭中の微粉部分で、粒径が0.3mm以下の粒子を言
い、粗粉炭とは粉砕処理した原料石炭中の微粉炭を除い
た残りの部分を言う。
【0018】なお、微粉炭に混合する粉砕処理した原料
石炭として安価な非粘結炭や微粘結炭を用いれば、コー
クス炉の経済性の向上に有効である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の乾燥石炭のコ−ク
ス炉への装炭方法(以下、「本発明方法」ともいう)に
ついて、詳細に説明する。
【0020】本発明方法において、原料石炭は、まず、
通常の湿炭装入の場合と同様に予め粉砕処理が施され
る。粉砕処理は、通常、粒径3mm以下の粒子の割合が
80〜90%程度となるように行うのが一般的である
が、本発明方法においてもこれに準じて行えばよい。
【0021】粉砕処理後の原料石炭は、予め乾燥処理し
た後、微粉炭と粗粉炭とに分別される。
【0022】乾燥処理は、チューブドライヤによる処理
あるいは流動床加熱等、従来一般的に用いられている方
法、設備により行えばよい。
【0023】乾燥処理においては、乾留効率を高め、更
に分級効率を向上させるためにも、石炭中の水分量を極
力低減させるべきで、2%以下とするのが好ましく、0
%とするのが最も好ましい。更に、この乾燥過程におい
て、加熱により上昇した石炭の温度をその状態で保持し
ておくことは、後工程(乾留)での熱負荷を小さくでき
るので好ましい。
【0024】一方、分別処理においては、粒子の飛散、
バブリング等を抑制するという観点から、粒径が0.1
mm以下の粒子のほとんどが微粉炭として分別されるよ
うに配慮して処理を行うことが望ましい。
【0025】分別処理により得られた微粉炭には、上記
の粉砕処理した原料石炭を混合し、この混合物にバイン
ダー(粘結剤)を添加して更に混合する。
【0026】通常、微粉炭は、炭化室への装炭時の発
塵、キャリーオーバー等を防止するために予め疑似粗粒
化あるいは塊成化され、そのために、一般にバインダー
が添加されるが、微粉炭に直接バインダーを添加して粗
粒化しようとすると多量のバインダーが必要となり、経
済的に不利である。ところが、上記のように、微粉炭に
予め粉砕処理した原料石炭を混合しておくことによっ
て、このバインダー量を大幅に低減することが可能とな
る。これは、混合した原料石炭中の比較的粗粒の部分が
核となり、これにバインダーを仲介として微粉炭が効率
よく付着することによるものと推察される。
【0027】微粉炭への原料石炭の混合量について特に
制約はないが、混合量が多すぎると全体としてバインダ
ー使用量が増加することになるので、原料石炭の混合量
は微粉炭と等量程度もしくはそれ以下とするのが好まし
い。
【0028】更にこの場合、微粉炭に混合する石炭とし
て、安価な劣質炭(非粘結炭、微粘結炭)を増配合する
ことが可能であり、これによってもコークス製造コスト
を削減することができる。
【0029】非粘結炭や微粘結炭は、予め脱水処理した
ものあるいは処理しないもののいずれを用いてもよい。
また、配合量は得られるコークスの品質を勘案して定め
ればよい。
【0030】このようにバインダーを添加し、混合した
微粉炭(すなわち、前記の粉砕処理した原料石炭あるい
は非粘結炭や微粘結炭を含む微粉炭)をそのまま又は塊
成化した後、前記の分別した粗粉炭と混合してコークス
炉に装入する。
【0031】微粉炭は、バインダーと混合されているの
でそのまま用いても装炭時の発塵やキャリーオーバー等
をある程度防止することができる。しかし、塊成化して
用いれば、更に効果的に発塵やキャリーオーバー等を防
止することが可能となる。なお、塊成化は、ロール成
形、造粒等の一般に用いられている手法により行えばよ
い。
【0032】以下、本発明方法を実施例により更に詳し
く説明する。
【0033】
【実施例】
(実施例1)表1に示す性状を有する石炭(粒度:3m
m以下85%)を不活性ガス雰囲気下で140℃で予熱
乾燥して水分0%とした後、その内の600kgを分取
して目開き0.3mmの篩で粗粉炭と微粉炭とに分別し
た。分別により得られた粗粉炭(篩上)量は414k
g、微粉炭(篩下)量は186kgであった。
【0034】
【表1】
【0035】分別後の微粉炭には、前記表1に示した石
炭150kgを予め添加、混合し、次いで、バインダー
としてコールタール30kgを添加し、十分に混合し
た。
【0036】その後、この混合物を前記分別した粗粉炭
と混合して試験コ−クス炉(炉温1100℃、炉幅0.
45m、炉長1.0m、炉高2.8m)に全量を装入
し、乾留試験に付した。
【0037】試験に際し、装炭開始から5分間、上昇管
からガスサンプリングを実施し、この中に含まれる固形
分量を定量してキャリ−オ−バ−量を把握した。更に、
コ−クス炉の上部空間部にカーボン付着量を測定するた
めの珪石煉瓦テストピースを吊るし、乾留前後の重量変
化を測定した。
【0038】乾留は炭中温度が950℃になった時点で
終了とし、直ちに排出して冷却し、冷却後のコ−クスに
ついてその品質(ドラム強度)をJIS K2151に
規定される方法により測定した。
【0039】一方、本発明方法を調湿炭装入法と比較す
るため、表1に示した石炭を水分6%に調整し、その7
50kgを上記と同様に試験コークス炉に装入し、乾留
した後、同様の試験を行った(従来例)。
【0040】試験結果を表3に示す。調湿炭を乾留して
得たコークスのドラム強度は80.6であり、また、こ
の程度までの水分低減では、装炭時のキャリーオーバー
は少なく、更にテストピースへのカーボン付着量も少な
くて、継続的な安定操業に対しての支障は認められなか
った。
【0041】一方、本発明方法の場合、ドラム強度は8
4.7と顕著に向上しており、かつ、キャリーオーバー
およびカーボン付着量は調湿炭装入の場合と同程度で何
ら問題がなく、本発明方法が優れた方法であることが明
らかである。
【0042】(比較例1)前記表1に示した石炭を不活
性ガス雰囲気下で140℃で予熱乾燥して水分0%とし
た後、その内の750kgを分取し、これに実施例1で
用いたバインダー30kgを添加して十分に混合した
後、実施例1の場合と同様に、試験コークス炉に装炭し
て乾留し、キャリ−オ−バ−量、カーボン付着量および
ドラム強度を測定した。
【0043】試験結果を表3に併せて示す。この結果か
ら、バインダーを原料石炭に直接添加するのでは、ドラ
ム強度が劣る上にキャリ−オ−バ−が著しく、カーボン
の付着も多大であり、本発明方法(実施例1)のよう
に、予め原料石炭を分級し、微粉炭部分にバインダーを
集中的に添加するのが効果的であることがわかる。
【0044】(比較例2)前記表1に示した石炭を不活
性ガス雰囲気下で140℃で予熱乾燥して水分0%とし
た後、その内の750kgを分取し、目開き0.3mm
の篩で粗粉炭と微粉炭とに分別した。分別により得られ
た粗粉炭(篩上)量は518kg、微粉炭(篩下)量は
232kgであった。
【0045】分別後の微粉炭には、実施例1で用いたバ
インダーを所定量(30、45または60kg)添加
し、十分に混合した後、実施例1の場合と同様に、試験
コークス炉に装炭して乾留し、キャリ−オ−バ−量、カ
ーボン付着量およびドラム強度を測定した。
【0046】試験結果を表3に併せて示す。バインダー
添加量が30kgないしは45kgではキャリーオーバ
ー量が多く、また、カーボン付着量も多大で、安定操業
を行うことは困難であり、バインダー添加量60kgで
ようやく本発明方法の場合とほぼ同等の効果が得られ
た。この結果から、添加したバインダーを効果的に機能
させるためには、本発明方法(実施例1)のように、微
粉炭に予め粗粉を含む石炭を混合し、これにバインダー
を添加する方法が有効であることがわかる。
【0047】(実施例2)分別後の微粉炭に添加する石
炭を、表2に示す非粘結炭(劣質炭)150kgとした
以外は全て実施例1の場合と同様に乾留試験を行い、キ
ャリ−オ−バ−量、カーボン付着量およびドラム強度を
測定した。
【0048】
【表2】
【0049】試験結果を表3に併せて示す。この結果か
ら、劣質の石炭を多量に使用しているにもかかわらず、
コークス品質は調湿炭装入の場合とほぼ同等であり、本
発明方法によって多量の劣質炭の使用が可能になること
がわかる。
【0050】(実施例3)バインダー添加後の混合物
を、ロール成型機を用い約12ccの成型炭に塊成した
後、分別した粗粉炭と混合して試験コ−クス炉に装炭し
た以外は全て実施例2の場合と同様に乾留試験を行い、
キャリ−オ−バ−量、カーボン付着量およびドラム強度
を測定した。
【0051】試験結果を表3に併せて示す。実施例2の
場合よりも更に良好な結果が得られており、微粉部分を
塊成化することが有効であることがわかる。
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】本発明方法によれば、作業環境の悪化を
防止するとともに、操業トラブルを引き起こすことなく
安定操業を確保しつつ、乾燥石炭をコークス炉に装入す
ることができる。更に、多量の劣質炭の使用も可能で、
コークス炉の経済性の向上を図ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉砕処理した原料石炭を乾燥処理した後予
    め微粉炭と粗粉炭とに分別し、この分別した微粉炭に前
    記粉砕処理した原料石炭を混合し、この混合物にバイン
    ダーを添加して更に混合し、得られた混合物をそのまま
    又は塊成化した後、前記分別した粗粉炭と混合してコー
    クス炉に装入することを特徴とする乾燥石炭のコ−クス
    炉への装炭方法。
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