JPH11111150A - 回路遮断器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】アーク発生に伴うガスによる回路遮断器の内部
の電機部品の電気絶縁性の劣化を防止する。 【解決手段】コンタクトアーム６の回動動作に伴ないコ
ンタクトアーム６の延在方向と交差する方向に伸縮し、
固定接点３が配設された領域と回動部（支点８）が設け
られた領域とを略隔離する遮蔽部材１５を設けたこと
で、十分な遮蔽面積を保ちつつコンタクトアーム６を回
動自在とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば負過電流が
所定の値を超えたときに回路を遮断する回路遮断器に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の回路遮断器としては、例
えば実公平５−３５５３１号公報に開示されるものが知
られている（従来技術１）。この回路遮断器は、コンタ
クトアームの一端に設けられた可動接点と、コンタクト
アームの回動動作によりそれと接触する固定接点とを有
する。そして、これら接点を覆うように消弧装置が設け
られ、可動接点が固定接点から開離したときに発生する
アークを消弧する。またこの消弧装置はアークの発生に
伴って発生するガスを回路遮断器の内部に拡散しないよ
うに一端内部に止め、その後に消弧装置に設けられた開
口からガスを排出するものである。

【０００３】また、他の従来例として、可動接点と固定
接点が設けられたアークの発生する領域を回路遮断器本
体すなわちケースと一体的に形成した遮蔽壁によって隔
離したものがある（従来技術２）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術１の回路遮断器は、コンタクトアームの周辺からアー
クに伴って発生したガスが消弧装置の外部に漏れ、さら
にはこの漏れたガスが回路遮断器の内部に拡散するとい
う問題がある。そして、このガスにより回路遮断器内部
の各所における電気絶縁部品の電気絶縁性を劣化させる
ものであった。

【０００５】また、従来技術２の回路遮断器は、遮蔽壁
にコンタクトアームを貫通させかつそれを回動させるた
めのスリットが設けられており、このスリットからアー
クに伴って発生したガスが漏れ、従来技術１と同様に電
気絶縁部品の電気絶縁性を劣化させるものであった。

【０００６】本発明は、上記の問題を回避し得る回路遮
断器を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の回路遮
断器は、内部に空間を有する回路遮断器本体と、回路遮
断器本体に設けられた一方の端子に電気的に接続され回
路遮断器本体の内部に配設された固定接点と、回路遮断
器本体に設けられた他方の端子に電気的に接続され回路
遮断器本体の内部に配設されるとともに一端側を回動部
により回動自在に保持され回動動作により他端側に設け
られた可動接点が固定接点に接触するコンタクトアーム
と、コンタクトアームを回動させる接点開閉機構と、コ
ンタクトアームの回動動作に伴ないコンタクトアームの
延在方向と交差する方向に伸縮し、固定接点が配設され
た領域と回動部が設けられた領域とを略隔離する遮蔽部
材と、上記の固定接点が設けられた領域側に配設された
消弧装置とを具備することを特徴とする。

【０００８】本請求項および請求項２に記載の回路遮断
器において、各構成は特にことわらない限り以下のとお
り定義する。

【０００９】コンタクトアームに設けられた可動接点お
よび回動部は、それぞれコンタクトアームの最端部に設
けられている必要はなく、回動部によるコンタクトアー
ム回動動作により可動接点の位置が変化するように設け
られていればよい。

【００１０】接点開閉機構は、周知の様々な形態を適用
でき、特に構造が限定されるも野ではない。

【００１１】遮蔽部材の伸縮方向は、コンタクトアーム
の延在方向に略直交する方向とするのが好ましいが、こ
れには限られない。

【００１２】「固定接点が配設された領域と回動部が設
けられた領域とを略隔離する」とは即ちコンタクトアー
ムの中間部に遮蔽部材が位置することを意味する。ま
た、「略隔離する」とは、多少の隙間が存在して固定接
点が配設された領域と回動部が設けられた領域とが完全
に隔離されていない場合も許容する。

【００１３】遮蔽部材は、耐燃性のある例えばファイバ
ー紙等を用いて形成するのが適当であるがこれには限定
されず、耐燃性の樹脂等で形成してもよい。また、その
形状も限定させるもではない。さらに、遮蔽部材はそれ
単体で伸縮性を有している必要はなく、伸縮性のない部
材をばね性を発揮するような形状に加工して伸縮性を持
たせてもよい。

【００１４】遮蔽部材を伸縮させるための遮蔽部材とコ
ンタクトアームとの連動構造は、とくに限定されない。

【００１５】また、遮蔽部材は、一体で形成されていて
も、個別の部材を組み合わせて形成されていてもよい。

【００１６】本発明によれば、遮蔽部材はコンタクトア
ームの回動動作に伴って伸縮するため、遮蔽部材の極一
部でコンタクトアームを貫通させた状態であっても、遮
蔽部材による遮蔽面積を一定に保ったままコンタクトア
ームを回動させることが可能となり、従来技術２のよう
にスリットを形成する必要がない。このとき、コンタク
トアームの回動に伴って遮蔽部材全体が揺動しないよう
に遮蔽部材の周囲を固定する必要があるが、この固定手
段としては様々な形態が許容される。

【００１７】請求項２に記載の回路遮断器は、請求項１
に記載の回路遮断器において、遮蔽部材はファイバー紙
を材料として連続する折り曲げ部を設けて蛇腹構造に形
成され折り曲げ部の角度が変化することで伸縮すること
を特徴とする。

【００１８】本発明において、遮蔽部材はその全体が蛇
腹構造になっている必要はなく、少なくとも一部を蛇腹
構造とすることで、周囲を回路遮断器本体に固定しても
それを貫通するコンタクトアームの回動動作に追従し
て、伸縮するような構造になっていればよい。

【００１９】本発明によれば、遮蔽部材をファイバー紙
で形成したので、接点の開離により発生したアークが点
火することがなく、また加工も行いやすい。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下に図１ないし図３を参照して
本発明の実施形態を説明する。

【００２１】図１は本発明の回路遮断器の一実施形態の
側壁を取り除いた状態を示す側面図、図２は同正面図、
図３は本発明の回路遮断器の一実施形態の遮蔽部材を示
す斜視図である。

【００２２】図において、１は回路遮断器本体であり、
それぞれ電気絶縁性の樹脂で形成されたベース１ａと、
このベース１ａに嵌合する図示しないカバーとで構成さ
れる。

【００２３】この回路遮断器本体１は、内部に空間が形
成されている。回路遮断器本体１の一端には電源に接続
される複数の第１端子２ａが設けられているとともに、
回路遮断器本体１の他端には付加に接続される複数の第
２端子２ｂが設けられている。そして、第１端子２ａに
は固定接点３が電気的に接続されている。また、第２端
子２ｂには、過電流引き外し装置４が電気的に接続さ
れ、さらに過電流引き外し装置４には、接続線５を介し
てコンタクトアーム６の一端に設けた可動接点７が電気
的に接続されている。またこのコンタクトアーム６は回
動部すなわち支点８を中心に回動自在に軸支され、接点
開閉機構９により回動されて可動接点７と固定接点３と
の開離を行う。そして、この開離動作により回路遮断器
の回路の開閉が行われる。また、これら固定接点３と可
動接点７を囲むようにして、アークを吸収する複数のア
ークシュートグリッド１０ａを備えた消弧装置１０が配
設されている。

【００２４】また、過電流引き外し装置４は、過電流引
き外し磁石４ａと動作部としての可動鉄片４ｂとを備
え、回路に過電流が流れたときに、可動鉄片４ｂの被吸
引部４ｃを過電流引き外し装置４の吸引面４ｄに吸引
し、支点１１を中心に回動させる。また、可動鉄片４ｂ
はコイルスプリング１２により、常時被吸引部４ｃが可
動鉄片４ｂから離間する方向に付勢されてる。そして、
この可動鉄片４ｂの動作は、リンク機構１３を介してコ
ンタクトアーム６に伝達され、コンタクトアームを回動
させる。そして、リンク機構１３には、回路を開閉を手
動で操作するための操作ハンドル１４が取り付けられて
おり、この操作ハンドル１４を操作することによっても
コンタクトアーム６を回動させることができる。

【００２５】なお、コンタクトアーム６は過電流引き外
し装置４の可動鉄片４ｂが吸引面４ｄに吸引されたとき
に図の上方に回動するようになっている。また、コンタ
クトアーム６は、バネ部材１４により、固定接点３と可
動接点７が接触した状態、すなわちコンタクトアーム６
が図における下方位置で保持させるように付勢されてい
る。

【００２６】そして、回路遮断器本体１の内部空間の固
定接点３、可動接点７および消弧装置１０が設けられた
領域は、遮蔽部材１５により隔離されている。この遮蔽
部材１５は、ベース１ａと一体に形成された間隔をおい
て重なる２枚の遮蔽壁１ｃによって構成された空間内に
配設されている。この遮蔽壁１ｃには中央部にスリット
１ｄが形成され、このスリット１ｄに対応して遮蔽部材
１５に開孔１５ａが形成されている。遮蔽部材１５はフ
ァイバー紙を材料として連続する折り曲げ部を設けて蛇
腹構造に形成されており、この蛇腹の部分の折り曲げ角
度が変化することで伸縮する。そして、コンタクトアー
ム６は遮蔽部材１５の中央部および遮蔽壁１ｃのスリッ
ト１ｄを貫通し、コンタクトアーム６の中間部が遮蔽部
材１０二接触し、コンタクトアーム６の回動動作に伴な
いコンタクトアームの延在方向と略直交する方向に伸縮
する。

【００２７】ここで、遮蔽部材１５は、固定接点３が配
設された領域とコンタクトアームの６の支点８が設けら
れた領域とをほぼ隔離している。よって、接点の開離に
よるアークの発生に伴って発生するガスが、コンタクト
アーム６の支点８側に漏れにくくなる。

【００２８】

【発明の効果】請求項１に記載の発明によれば、遮蔽部
材はコンタクトアームの回動動作に伴って伸縮するた
め、遮蔽部材の極一部でコンタクトアームを貫通させた
状態であっても、遮蔽部材による遮蔽面積を一定に保っ
たままコンタクトアームを回動させることが可能とな
り、従来技術２のようにスリットを形成する必要がな
い。よって、アークの発生に伴って発生するガスが、回
路遮断器本体の内部に拡散しにくい回路遮断器を提供で
きる。

【００２９】請求項２に記載の発明によれば、遮蔽部材
をファイバー紙で形成したので、接点の開離により発生
したアークが点火することがなく、その加工も行いやす
い回路遮断器を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の回路遮断器の一実施形態の側壁を取り
除いた状態を示す側面図。

【図２】同正面図。

【図３】本発明の回路遮断器の一実施形態の遮蔽部材を
示す斜視図。

【符号の説明】

１・・・回路遮断器本体、 ３・・・固定接点、６・
・・コンタクトアーム、 ７・・・可動接点、８・・・
支点（回動部）、 ９・・・接点開閉機構、１０・・
・消弧装置、 １５・・・遮蔽部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に空間を有する回路遮断器本体と；回
   路遮断器本体に設けられた一方の端子に電気的に接続さ
   れ、回路遮断器本体の内部に配設された固定接点と；回
   路遮断器本体に設けられた他方の端子に電気的に接続さ
   れ、回路遮断器本体の内部に配設されるとともに、一端
   側を回動部により回動自在に保持され回動動作により他
   端側に設けられた可動接点が固定接点に接触するコンタ
   クトアームと；コンタクトアームを回動させる接点開閉
   機構と；コンタクトアームの回動動作に伴ないコンタク
   トアームの延在方向と交差する方向に伸縮し、固定接点
   が配設された領域と回動部が設けられた領域とを略隔離
   する遮蔽部材と；上記の固定接点が設けられた領域側に
   配設された消弧装置と；とを具備することを特徴とする
   回路遮断器。
2. 【請求項２】遮蔽部材はファイバー紙を材料として連続
   する折り曲げ部を設けて蛇腹構造に形成され、折り曲げ
   部の角度が変化することで伸縮することを特徴とする請
   求項１に記載の回路遮断器。