JPH11111085A - エナメル線焼付炉 - Google Patents

エナメル線焼付炉

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JPH11111085A
JPH11111085A JP28134397A JP28134397A JPH11111085A JP H11111085 A JPH11111085 A JP H11111085A JP 28134397 A JP28134397 A JP 28134397A JP 28134397 A JP28134397 A JP 28134397A JP H11111085 A JPH11111085 A JP H11111085A
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JP
Japan
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chamber
baking
wire
heat
cooling
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Application number
JP28134397A
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English (en)
Inventor
Michio Takaoka
道雄 高岡
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Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼付きムラの発生を確実に防止でき、かつラ
ンニングコストの低廉化を図ることのできるエナメル線
焼付炉を提供する。 【解決手段】 素線Lを加熱して、その素線Lに対して
エナメル塗料43を焼付ける焼付室29と、焼付け処理
された素線Lを冷却する冷却室48とを備えたエナメル
線焼付炉において、焼付室29が冷却室48より上側に
配置されている。その焼付室29に、ヒートパイプ30
が蒸発部70と凝縮部80とを上下方向に向けた状態で
配設されている。更に、素線Lを焼付室29の上端部か
ら焼付室29に導入して、冷却室48の下端部から送り
出すように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属素線にエナ
メル塗料を焼付けしたエナメル線を製造するためのエナ
メル線焼付炉に関し、特に縦型の焼付炉に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】この種の焼付炉の一例を図3を参照して
説明する。炉本体1は、床面2に対してほぼ垂直に設置
されており、図3での上下方向に中空形状の長い焼付室
3を備えている。この焼付室3の内壁面には、加熱源と
なる電気ヒータ4が備えられている。また、焼付室3の
うちの下層部には、導入口5が設けられ、ここから素線
6を焼付室3に導き入れるように構成されている。導入
口5の下側(床面2側)には、ホルダー7によって炉本
体1の脚部に取り付けられたダイス8が配置されてお
り、更にそのダイス8の下側には、エナメル塗料の入る
塗料槽9およびプーリー10が設けられている。
【0003】これに対して、焼付室3の中層部から上層
部には、図3での外側に突出した燃焼室11が設けられ
ている。この燃焼室11は、エナメル塗料を燃焼させる
際に生じる溶剤ガスを焼付けの熱として再利用するため
の装置であり、具体的には、焼付室3の壁面に開口する
開口部12には、酸化触媒からなる触媒層13が配置さ
れており、この触媒層13を介して焼付室3と対向した
空間には、ブロアー14がその吸入部15を臨ませた状
態に配置されている。これに対して、ブロアー14の吐
出部16は、焼付室3の上層部に連通する送風路17と
焼付室3の外部に連通する排出路18との両方に臨まさ
れている。
【0004】更に、焼付室3の上層部の端面には、素線
6を通すための送出口19が設けられている。この送出
口19の上側には、送出口19からの熱風の吹き上げを
防止するためのエアカーテン20が設けられている。エ
アカーテン20は、送出口19と連通する吸気通路21
と、その吸気通路21の上側に形成されて吸気通路21
と連通する排気通路22と、吸気通路21に外気を強制
的に導入するブロアー(図示せず)等によって構成され
ている。
【0005】また、エアカーテン20の上部には、焼付
け処理された素線6を冷却するための冷却室23が設け
られている。この冷却室23には、外部から冷気を吸入
するための吸気口24および昇温した冷気を排出するた
めの排気口25と送風機(図示せず)とが備えられてお
り、その内部を冷気が循環するよう構成されている。ま
た、冷却室23の上部には、プーリー26が配置されて
いる。そして、このプーリー26とダイス8の下側に配
置されたプーリー10とには、素線6が巻き掛けられて
おり、その素線6の中間部は、塗料槽9および焼付室3
ならびに冷却室23等の部材を貫通した状態に配設され
ている。
【0006】したがって、上記構成の焼付炉によれば、
素線6は図3での下方から上方に向けて走行する。すな
わち、素線6は、まず塗料槽9を通過することによっ
て、その表面にエナメル塗料が塗布され、つぎに、ダイ
ス8を通過することによって均一な塗布量に調整された
後、導入口5から焼付室3に導入され、焼付室3の下層
部においてヒータ4によって加熱される。これにより、
エナメル塗料中に含まれる溶剤が蒸発して除去される。
更に、その素線6は、焼付室3の内部を上方に向けて移
動し、焼付室3の中層部および上層部においてエナメル
塗料が焼付けられた後、送出口19からエアカーテン2
0を経由して冷却室23内に通されて、そこで冷却され
た後、炉本体1からその外部に引き出される。このよう
な塗料の塗布と溶剤の除去および焼付けと冷却とからな
るサイクルは、6回ないし10回程度繰り返され、その
結果、エナメル線が完成する。
【0007】また、上記の焼付炉によれば、ブロアー1
4を動作させることによって、焼付室3内に矢印方向の
気流が形成される。すなわち、焼付室3の気体がブロア
ー14の負圧によって、開口部12および触媒層13を
通じて燃焼室11内に導かれる。その場合、溶剤の除去
工程において発生したガスが触媒によって燃焼され、こ
れに伴う発熱によりその近傍の気体が昇温される。その
高温の気体の一部は、排出路18を経由して炉本体1の
外部に排出され、残りが送風路17を通じて焼付室3の
上層部に供給される。すなわち、焼付室3の上層部およ
び中層部から燃焼室11にかけて高温の気体が循環し、
その熱が焼付けに再利用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】周知の通り、縦型の焼
付炉では、いわゆる煙突効果によって焼付室の内部に高
温の上昇気流が継続的に生じる。そこで、上記従来の焼
付炉では、前述の通り、エアカーテン20において外気
を上昇気流と直交する方向に導入して、両者を混合させ
ることにより、熱風の吹上げに起因する冷却室23の過
熱および焼付室3の温度低下を防止している。
【0009】ところで、焼付室3から冷却室23に向け
て吹き上げる熱風の温度が、通常、約450〜500℃
であるのに対して、冷却室23の内部は、数十℃程度の
低温に保たれることが好ましく、そのために、エアカー
テン20によって焼付室3の高温ガスが冷却室23に侵
入することを防止し、両者の間での熱伝達を遮断してい
る。しかしながら、エアカーテン20は、焼付室3から
吹き上げてきた高温ガスを、導入した外気と共に外部に
排出することにより熱的な遮断を行うものであるから、
熱エネルギを積極的に排除することになる。換言すれ
ば、上記従来の焼付炉では、焼付けのための熱エネルギ
の多くの部分を排出してしまうから、エネルギコストが
嵩む不都合があった。
【0010】また、焼付室3の内部では、上層部ほど高
温となるように温度分布が生じるが、焼付室3の上層部
では、高温ガスがエアカーテン20に流出するから、エ
ナメル線の焼付けに充分な高温部分が短くならざるを得
ない。そのため、焼付炉の全高を高くして焼付室3の全
長を長くし、あるいは線速を遅くして焼付け時間を確保
するなどの必要があり、その結果、焼付炉が大型化した
り、生産効率が低下したりする不都合があった。
【0011】更に、上記従来の焼付炉では、燃焼室11
を経由して焼付室3の上層部に供給される燃焼ガスの一
部と、継続して生じる高温の上昇気流とが対向流となっ
て複雑に混ざり合うため、焼付室3がその長さおよび周
方向で不均一な温度状態となり易く、したがって、素線
6に焼付けムラの生じるおそれが多分にあった。
【0012】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、焼付けムラの発生を確実に防止でき、かつランニ
ングコストの低廉化を図ることのできるエナメル線焼付
炉を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用】この発明
は上記の目的を達成するために、請求項1に記載した発
明は、素線を加熱して、該素線に対してエナメル塗料を
焼付ける焼付室と、焼付け処理された素線を冷却する冷
却室とを備えたエナメル線焼付炉において、前記焼付室
が前記冷却室より上側に配置されるとともに、前記素線
を前記焼付室の上端部から焼付室に導入して、冷却室の
下端部から送り出すように構成されていることを特徴と
するものである。
【0014】したがって、請求項1の発明によれば、素
線は、エナメル塗料の塗布された状態で焼付室の上側か
らその内部に入り、そこで加熱されて焼付けられた後、
冷却室に入り、そこで冷却されてエナメル線となる。そ
の場合、冷却室を焼付室の下側に配置しているために、
焼付室からのリーク熱によって冷却室が加熱されること
がないなど、冷却室と焼付室とのあいだの熱遮蔽が容易
であり、また両者の熱遮蔽のために焼付室の一部を積極
的に冷却するなどの必要がなので熱効率が向上する。
【0015】また請求項2あるいは3の発明では、焼付
室の上下の温度差を解消する均温手段が設けられている
ので、焼付室のうちエナメルの焼き付けに実質的に供さ
れる部分の長さが長くなり、したがってエナメル線の走
行速度を速くすることができる。換言すれば、焼付室あ
るいは焼付炉を短くしても焼き付け能力が低下すること
がない。
【0016】更に、請求項3に記載した発明は、均温手
段としてのヒートパイプの上端部に、液相の作動流体を
一時的に溜める液溜部が設けられるとともに、その液溜
部に向けて前記ヒートパイプの下端部から液相の作動流
体を汲み上げるポンプが設けられていることを特徴とす
るものである。
【0017】したがって、請求項3の発明によれば、ヒ
ートパイプの動作態様がいわゆるトップヒートモードで
あっても、ポンプによって下側の凝縮部から上側の蒸発
部に向けて作動流体が供給され、その熱輸送サイクルが
継続されるから、何等支障なく素線の焼付け処理が行わ
れる。
【0018】また、請求項4に記載した発明は、前記焼
付室の内部に生じる高温ガスと、前記焼付室に導入する
燃焼用の空気との間で熱交換させる熱交換器が備えられ
ていることを特徴とするものである。
【0019】したがって、請求項4に記載した発明によ
れば、焼付け処理に必要ないわゆるフレッシュエアーが
予熱状態で焼付室内に供給されるから、焼付室の内部温
度の急激な低下が防止される。つまり、高温ガスの有す
る熱を回収して再利用される。
【0020】また更に、請求項5に記載した発明は、前
記焼付室の内部に生じる高温ガスによって前記素線を予
熱する予熱室が、前記焼付室の上部に設けられているこ
とを特徴とするものである。
【0021】したがって、請求項5の発明によれば、焼
付室のリーク熱を利用した素線の予熱が、リーク熱の集
中し易い予熱室において行われるから、請求項1の発明
に対してより充分に素線を予熱させることができ、これ
によって、焼付け処理に要する時間を短縮することが可
能になる。
【0022】また、請求項6に記載した発明は、前記焼
付室に、前記素線を誘導加熱する誘導コイルが備えられ
ていることを特徴とするものである。
【0023】したがって、請求項6の発明では、誘導コ
イルに高周波電流を流すことにより、素線に誘導電流が
生じ、この誘導電流のジュール熱によって素線中に直接
熱が発生する。そして、この熱およびヒートパイプから
放出される熱とによって、エナメル塗料が素線に焼き付
けられる。すなわち、素線が外部のみならず内部からも
加熱されるから、焼付け処理に掛かる時間を更に短縮で
きる。
【0024】
【発明の実施の形態】つぎに、請求項1ないし請求項5
の発明に係る一具体例を、図1を参照して説明する。図
1は、エナメル線焼付炉を示す概略図であり、一例とし
て炉本体27は、床面28に対して垂直に設置されたい
わゆる縦型の炉であり、図1での上下方向に長い焼付室
29を備えている。この焼付室29は、二重管型のヒー
トパイプ30とその外面を被覆する外装31とによって
構成されている。ここでヒートパイプ30は、この発明
における均温化手段に相当している。
【0025】より詳細には、ヒートパイプ30は、一例
として外管32の内側に、円形断面の内管33を配置
し、それらの端部同士を環状の端板34で密閉した構成
の二重管構造の金属容器をコンテナ35としており、そ
のコンテナ35の内部には、真空脱気した状態で所定量
の水銀またはナトリウム等の凝縮性流体が作動流体36
として封入されている。
【0026】また、コンテナ35のうちの図1での上端
部には、液相の作動流体36を一時的に溜める液溜部3
7が形成されている。一例として、この液溜部37は、
局部的な大径箇所となるように、その全周に亘って半径
方向での外側に張り出すように形成された外管32の内
面と、図1での横方向に折り曲げられた外管32の上縁
部から立ち上がる区画壁89との間の空間によって構成
されている。なお、区画壁89の上縁部は、端板34の
内面には当接しておらず、すなわち、液溜部37は、外
管32と内管33との間の空間と連通している。
【0027】液溜部37の図1での右側の下方には、こ
の発明の加熱手段としてのバーナ47の先端部(炎口)
が配置されている。このバーナ47は、一例としてガス
あるいは軽油または重油を燃料とするものであり、液溜
部37を直接加熱することによって、液相作動流体36
を下側から加熱するように配置されている。
【0028】これに対して、コンテナ35の図1での左
側には、還流管38が設けられている。この還流管38
は、コンテナ35の下端部側の内部空間と液溜部37と
にそれぞれ連通した管路からなるものであり、作動流体
36を汲み上げるためのポンプ39を備えている。すな
わち、液相作動流体36をコンテナ35の下端部から液
溜部37に対して供給する構成となっている。なお、こ
の具体例では、コンテナ35の上端部が蒸発部70とさ
れ、下端部が凝縮部80とされる。
【0029】液溜部37の下側壁面を除く外管32の外
面の全域、および還流管28の外面は、従来知られた耐
熱材料からなる外装31によって被覆されている。ま
た、ヒートパイプ30の上端面および下端面は、内管3
3の開口部分を閉じるような状態に外装31によって被
覆されており、更に、その外装31のうち内管33の中
心軸線上の部分には、内管33よりも小径の円孔からな
る導通孔40がそれぞれ形成されている。なお、この導
通孔40は、素線Lを通すための孔である。
【0030】焼付室29のうち導通孔40の図1での真
上には、予熱室71が設けられている。この予熱室71
は、一例として一端部が導通孔40と連通した円筒形状
のものであり、焼付室29から上昇して侵入する高温ガ
スによって素線Lを予熱する構成となっている。
【0031】また、導通孔40には、排出管72の一端
部が連通した状態に連結されている。この排出管72
は、焼付室29内に生じる高温ガスの一部を所定の排気
箇所に導くための配管であり、その他端部は、図1での
上側に延ばされるとともに、熱交換器73に接続されて
いる。また、この熱交換器73には、燃焼用のフレッシ
ュエアー(外気)を炉本体27の外部から焼付室29に
供給するための空気供給管74の一端部が接続されてい
る。すなわち、熱交換器73は、焼付室29から排出さ
れる高温ガスと、フレッシュエアーとの間で熱交換させ
るためのものである。なお、空気供給管74の他端部
は、焼付室29の下側の開口箇所から内管33の内側に
配設されている。したがって、焼付室29には、熱交換
器73において予熱されたフレッシュエアーが供給され
る。
【0032】予熱室71の図1での上側には、従来知ら
れた構成のダイス42が配置されている。更に、そのダ
イス42の直上には、液状あるいは粉末状のエナメル塗
料43を入れておく塗料槽44が設けられている。な
お、特には図示しないが、この塗料槽44は、エナメル
塗料43をシールした状態で素線Lを通し、また、焼付
室29のリーク熱によるエナメル塗料43の加熱を防止
するよう構成されている。これらの塗料槽44およびダ
イス42は、焼付室29の外装31の適宜箇所に取り付
けられている。更に、図1での塗料槽44の上側および
ダイス42の右側には、プーリー45,46がそれぞれ
設けられている。これらのプーリー45,46の間に
は、これらのプーリー45,46によってガイドされる
素線Lを挿通した予熱室87が設けられている。この予
熱室87は、焼付室29の上部に設けられた予熱室71
と導入配管88を介して連通する構成であり、すなわ
ち、高温ガスによって素線Lをエナメル塗料42が塗布
される前に予熱するように構成されている。
【0033】これに対して、図1での焼付室29の下側
には、素線Lの経路となる孔を備えた断熱層76が設け
られている。この断熱層76は、焼付室29と後述の冷
却室との間での熱伝達を阻止するためのものであり、一
例としてグラスウールなど断熱材によって形成されてい
る。更に、断熱層76の図1での下側には、冷却室48
が設けられている。この冷却室48は、従来知られたも
のと同じ構成であり、外部から冷気を吸入するための吸
気口49と昇温した冷気を排出するための排気口50と
送風機(図示せず)とが備えられている。また、この冷
却室48にも素線Lを通すための孔51が所定箇所に設
けられている。
【0034】冷却室48の図1での直下および右側に
は、プーリー52,53がそれぞれ配置されている。こ
れら2個のプーリー52,53と焼付室29の上方に配
置された2個のプーリー45,46とには、予熱室87
を通した状態で素線Lが巻き掛けられており、その素線
Lの中間部は、塗料槽44およびダイス42ならびに焼
付室29(ヒートパイプ30)等の部材を貫通した状態
に配設されている。すなわち、ヒートパイプ30は、蒸
発部70と凝縮部80とを素線Lの走行方向に向けた状
態に配設されている。なお、素線Lのうち図1での上側
に示された端部は、ボビンに巻き付けられており、これ
に対して、素線Lのうち図1での下側に示された端部
は、巻取り機(共に図示せず)に接続されている。な
お、素線Lの一例としては、焼鈍処理した銅線が挙げら
れる。
【0035】つぎに、上記のように構成されたこの発明
の作用について説明する。まず、焼付室29の内部温度
を焼付けに適した温度に昇温する。すなわち、バーナ4
7に点火すると、液溜部37に溜まる液相作動流体36
が加熱されて蒸発する。その蒸気は、液溜部37から出
て、温度および圧力の低いコンテナ35の下端部に向け
て流動し、しかる後、内管33の外面および外管32の
内面に熱を奪われて(放熱して)凝縮する。つまり、ヒ
ートパイプ30の動作態様は、凝縮部80に対して蒸発
部70が高い位置に設定されたトップヒートモードとな
る。なお、コンテナ35の下端部において液相になった
作動流体36は、ポンプ39の作用によって還流管38
の内部を上方に向けて移動するとともに、液溜部37に
供給された後、再度加熱されて蒸発する。
【0036】作動流体36による上記の熱輸送サイクル
が継続されるうちに、内管33の内面の全域からその内
側の空間に向けて熱が放散され、焼付室29の内部が加
熱され、その熱によって、エナメル線の焼付けが行われ
る。つまり、ヒートパイプ30は、焼付室29の全体を
均熱化するように動作する。すなわち、焼付室29に
は、空気供給管74から燃焼用のフレッシュエアーが導
入され、しかもその内部において溶剤が燃焼させられる
から、一時的には温度のバラツキが生じるが、ヒートパ
イプ30によって均熱化される。なお、焼付室29に導
入される空気は、焼付室29のリーク熱によって予熱さ
れたものであるため、温度低下が防止される。
【0037】他方、巻取り機を動作させることにより、
ボビンに巻き取られた素線Lが図1での上方から下方
(矢印方向)に向けて走行する。素線Lは、予熱室87
において焼付室29のリーク熱によって予熱されるとと
もに、塗料槽43を通過することによって、その表面に
エナメル塗料43が塗布され、つぎに、ダイス42を通
過することによって均一な塗布量に調整された状態で、
予熱室71において焼付室29のリーク熱で予熱されつ
つ、導通孔40から焼付室29内に入る。外面にエナメ
ル塗料43の付着した素線Lは、焼付室29の上層部に
おいて内管33から放散されるバーナ47の熱によって
加熱され、エナメル塗料43中に含まれる溶剤が蒸発し
て焼付けが行われる。その場合、既に素線Lが焼付室2
9からのリーク熱によって予熱された状態であるため、
溶剤が速やかに蒸発する。なお、溶剤の燃焼により生じ
るガスは導通孔40から炉本体27の外部に排出され
る。
【0038】素線Lは、焼付室29の内部を下側に向け
て移動して、焼付室29の中層部および下層部において
エナメル塗料43が焼付けられる。前述の通り、焼付室
29の内部がほぼ均温状態となっていて、素線Lがその
長さ方向および周方向で均等に加熱されるから、焼付け
ムラが生じない。焼付け処理された高温の素線Lは、焼
付室29から出た後に、冷却室48内に通されて、そこ
で所定温度となるよう冷却された後、炉本体27の外部
に出るとともに、各プーリ52,53を介して焼付室2
9の上側に向けて移動する。そして、前述のサイクルを
必要な回数だけ繰り返すると、強固な塗膜のエナメル線
が完成する。
【0039】このように、上記のエナメル線焼付炉によ
れば、二重管型ヒートパイプの内側空間内に素線Lを走
行させつつ、焼付け処理する構成であり、素線Lがその
長さおよび周方向において均等に加熱されるために、焼
付けムラの発生を確実に防止でき、その結果、高品質の
製品を得ることができる。また、焼付室29がその上層
部から下層部に亘って充分高温に保たれるから、焼付室
29自体の長さを短く設定することができるばかりか、
線速を速めることが可能となり、ひいては生産性を向上
させることができる。更に、焼付けの熱源として、電気
よりも安価なガスあるいは軽油または重油を使用するこ
とにより、従来よりもランニングコストが低くなる利点
も生じる。
【0040】また、上記のエナメル線焼付炉によれば、
冷却室48よりも高温の焼付室29が冷却室48より上
側に配置されていて、素線Lが焼付室29の上方にリー
クする熱で予熱されるから、素線Lの単位長さに要する
処理時間を短縮させることができ、これによって、素線
Lの走行速度を速めることが可能になるから、生産性を
更に向上させることができる。また更に、上記のエナメ
ル線焼付炉によれば、焼付室29と冷却室48との境界
部分を冷却するエアカーテンなどの装置が不要となり、
この点からも炉本体27のコンパクト化およびランニン
グコストの低廉化が図られる。
【0041】つぎに、図2を参照して請求項6の発明に
係る具体例を説明する。ここに示す例は、焼付室に誘導
加熱コイルを備えた例である。なお、上記具体例と同じ
部材には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】円筒状に形成された焼付室29のうち内管
33の内側には、誘導加熱コイル54がその中心軸線を
素線Lに揃えた向きに配置されている。すなわち、誘導
加熱コイル54の中心軸線上を素線Lが非接触に通過す
る構成となっている。また、誘導加熱コイル54には、
焼付室29の外部に配置された高周波電源55が導線5
6を介して接続されている。
【0043】また、この具体例では、冷却室48が上記
の構成に替えて二重管型ヒートパイプのコンテナによっ
て形成されている。より詳細には、冷却室48は、図2
での上下方向に長い外管81の内側に円形断面の内管8
2を配置し、それらの端部同士を環状の端板83で密閉
した構成の二重管構造を成しており、その密閉された空
間内部には、真空脱気した状態で所定量の作動流体90
が封入されてヒートパイプ化されている。なお、内管8
2の両端部の開口部分は、素線Lを通す孔を備えた端板
(図示せず)によって閉じられている。
【0044】また、冷却室48の図2での上端部の外周
部には、冷却用のコイル85を内部に備えた冷却用ジャ
ケット86が設けられている。なお、冷却用ジャケット
86による外管81に対する冷却温度は、焼付け処理さ
れた状態の素線Lの温度よりも低温に設定されている。
その他の構成は、上述した具体例と同じである。
【0045】したがって、上記構成のエナメル線焼付炉
によれば、エナメル塗料43の塗布された素線Lを図2
での上側から下側に向けて走行させた状態で、誘導加熱
コイル54に高周波電流を流す。すると、素線Lに誘導
電流が生じ、この誘導電流のジュール熱によって素線L
が加熱されて、エナメル塗料43中の溶剤が蒸発すると
ともに、素線Lに対してエナメル塗料43が焼付けられ
る。すなわち、素線Lはヒートパイプ30によって外側
から加熱されるだけでなく、誘導加熱コイル54によっ
て内側からも加熱される。そのため、エナメル塗料43
の焼付けが短時間に完了する。
【0046】焼付けられた素線Lは、焼付室29の下端
部を経て冷却室48に入るとともに、内管82の内側を
下方に向けて走行する。すると、内管82の内側が素線
Lからの放熱によって昇温する。そして、冷却室48の
下端部の温度がヒートパイプの動作温度に達すると、底
部に溜る液相作動流体90が蒸発する。その蒸気は、冷
却用ジャケット86によって冷却されて内部圧力および
温度の低い上端部に向けて流動し、冷却用ジャケット8
6に熱を奪われて凝縮する。その作動流体90は、内管
82の外面および外管81の内面を伝わって流下して、
下端部で再度加熱されて蒸発する。つまり、ヒートパイ
プがボトムヒートモードで動作して、内管82の内側の
全体を素線Lの温度よりも低く均温化するように作用す
る。そのため、走行する素線Lがその長さ方向でムラな
く冷却される。したがって、素線Lを短時間で冷却する
ことができる。
【0047】このように、上記構成のエナメル線焼付炉
によれば、焼付けムラを確実に防止できるなどの前述し
た具体例と同じ効果を奏するばかりでなく、焼付けおよ
び冷却に掛かる時間が上記の具体例よりも短縮される利
点がある。そのため、図2に示す構成の焼付炉によれ
ば、線速をより一層速めることができ、ひいては、より
多量生産に適した焼付炉とすることができる。また更
に、冷却室48の全長域が素線Lよりも低温に保たれる
から、冷却室48の長さ自体を短く設定でき、この点か
ら炉本体27としてのコンパクト化をより一層図ること
ができる。
【0048】なお、上記の各具体例では、焼付室の内壁
面を実質的に兼ねた構成の二重管型ヒートパイプを例示
したが、この発明は上記各具体例に限定されるものでは
なく、ヒートパイプは、要は焼付室の上下方向に向けて
配設されていればよく、例えば複数本の単管型ヒートパ
イプを素線の外周部を取り囲むように配置した構成、あ
るいはコンテナが螺旋形状のヒートパイプの中心軸線に
沿って素線を走行させる構成とすることもできる。ま
た、加熱手段としては、上記の他に従来知られた電気ヒ
ータを採用することもできる。更に、上記具体例では、
焼付室の全長にヒートパイプを配設した構成を例示した
が、焼付室に対するヒートパイプの長さは適宜に設定す
ることができる。
【0049】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1ないし請求項6のいずれの発明によっても、焼付室が
素線の走行方向に沿ってほぼ均熱状態とされるととも
に、予熱した状態で焼付け処理されるから、焼付けムラ
が発生せず、また、線速を速く設定することが可能とさ
れ、すなわち、エナメル線の品質の向上を図ることがで
きるばかりか、生産性の向上を図ることができる。更
に、焼付室のリーク熱によって冷却室が加熱されること
がなく、両者の間の冷却装置が不要とされるから、ラン
ニングコストの低廉化およびコンパクト化を図ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1ないし請求項5の発明に係る焼付炉を
示す概略図である。
【図2】請求項6の発明に係る焼付炉を示す概略図であ
る。
【図3】従来技術の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
27…炉本体、 29…焼付室、 30…ヒートパイ
プ、 37…液溜部、39…ポンプ、 42…エナメル
塗料、 47…バーナ、 48…冷却室、 54…誘導
加熱コイル、 70…蒸発部、 80…凝縮部、 L…
素線、 71…予熱室、 73…熱交換器、 87…予
熱室。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素線を加熱して、該素線に対してエナメ
    ル塗料を焼付ける焼付室と、焼付け処理された素線を冷
    却する冷却室とを備えたエナメル線焼付炉において、 前記焼付室が前記冷却室より上側に配置されるととも
    に、前記素線を前記焼付室の上端部から焼付室に導入し
    て、冷却室の下端部から送り出すように構成されている
    ことを特徴とするエナメル線焼付炉。
  2. 【請求項2】 その焼付室に、該焼付室の上部から下部
    に熱を輸送して上下方向での温度差を解消する均温化手
    段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の
    エナメル線焼付炉。
  3. 【請求項3】 前記均温化手段が、前記焼付室に上下方
    向に向けて配置されかつ凝縮性の作動流体の潜熱によっ
    て熱輸送をおこなうヒートパイプによって構成され、そ
    の液相の作動流体を一時的にためる液溜部が前記ヒート
    パイプの上部に設けられるとともに、液相の作動流体を
    前記ヒートパイプの下端部から前記液溜部に汲み上げる
    ポンプが設けられていることを特徴とする請求項2に記
    載のエナメル線焼付炉。
  4. 【請求項4】 前記焼付室の内部に生じる高温ガスと、
    前記焼付室に導入する燃焼用の空気との間で熱交換させ
    る熱交換器が備えられていることを特徴とする請求項1
    に記載のエナメル線焼付炉。
  5. 【請求項5】 前記焼付室の内部に生じる高温ガスによ
    って前記素線を予熱する予熱室が、前記焼付室の上部に
    設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエナ
    メル線焼付炉。
  6. 【請求項6】 前記焼付室に、前記素線を誘導加熱する
    誘導コイルが備えられていることを特徴とする請求項1
    に記載のエナメル線焼付炉。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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CN107705931A (zh) * 2017-11-15 2018-02-16 湖州中洲电磁线有限公司 一种漆包线涂漆烘干冷却装置

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