JPH11109254A - 実体顕微鏡 - Google Patents

実体顕微鏡

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JPH11109254A
JPH11109254A JP9266236A JP26623697A JPH11109254A JP H11109254 A JPH11109254 A JP H11109254A JP 9266236 A JP9266236 A JP 9266236A JP 26623697 A JP26623697 A JP 26623697A JP H11109254 A JPH11109254 A JP H11109254A
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light
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同時に複数人による立体視観察が可能で、主
側,副側の観察位置の自由度の確保を可能にし、通常観
察における術部を明るく均一に照明できるシングルズー
ム型光学系の手術用顕微鏡を提供する。 【解決手段】 本発明の実体顕微鏡は、固定焦点の対物
レンズ1と、アフォーカルズーム光学系2と、観察鏡筒
3とにより構成される観察光学系と、ライトガイドファ
イバー7と、このライトガイドファイバー7からの光束
を成形するためのレンズ8及び照野絞り9と、ミラー1
0と、レンズ11と、明るさ絞り12と、明るさ絞り1
2からの照明光束の光軸を対物レンズ1の光軸と一致さ
せるために対物レンズ1とアフォーカルズーム光学系2
との間に配置された光路合成用のハーフミラー13とに
より構成される照明光学系と、ミラー4,5及びTVカ
メラ6により構成される撮影光学系とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は実体顕微鏡の照明系
に関し、特に手術用顕微鏡の照明に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療分野において手術用顕微鏡を
用いた手術が普及している。特に、最近では、患者への
負担を最小限にするために、手術機械,手術手技の開発
が進んでいる。これに従い、複数人が自由な方向から顕
微鏡像を長時間観察しながらの作業も必要となってい
る。しかしながら、現在広く用いられている手術用顕微
鏡は、観察方法自体に制約があるため、改良が望まれて
いる。
【0003】そこで、このような要望に応えるために、
ドイツ公開特許第19541237A1号や特開平6−
337351号公報により、新たな観察系方式(以下、
シングルズーム型光学系と称する)が提案されている。
【0004】図31は、ドイツ公開特許第195412
37A1号で提案された手術用顕微鏡の構成を示す部分
側面断面図である。この手術用顕微鏡では、第1乃至第
3の3つの光学成分72,73,74によりアフォーカ
ル光学系が構成されており、第1の光学成分72及び第
2の光学成分73は、夫々主対物レンズ71と共通の光
軸に沿って移動可能になっている。又、照明装置は、ラ
イトガイドファイバー75,レンズ系76,77,及び
偏向部材78からなり、レンズ系76,77を経たライ
トガイドファイバー75からの光を偏向部材78により
物体面の方向へ所定の角度偏向し対物レンズ71を介し
て照射する。
【0005】図32は、特開平6−337351号公報
に開示された実体顕微鏡の構成を示す図である。この実
体顕微鏡は、対物レンズ81とこれと共通の光軸の変倍
光学系82と接眼光学系(不図示)とを備え、変倍光学
系82は物体側から順に、正の第1レンズ群82aと負
の第2レンズ群82bと正の第3レンズ群82cとが配
置されて構成され、第1レンズ群82a及び第3レンズ
群82cを光軸に沿って移動させて変倍を行うようにし
たシングルズーム型光学系である。
【0006】ここでは、シングルズーム型光学系を、
「ズーム機能を有し1本の光軸を共有する光学系を備
え、この光学系から射出された光束から左右像を形成す
るために立体観察光束を取り出す左右開口と、これら左
右開口で取り出された光束を目視又は撮影するために結
像させる光学系を有する観察系」と定義する。この光学
系の主な特徴は、左右共通のズーム型の光学系としたた
め、同時に多方向からの立体観察が可能なことである。
図31,32に示した光学系は、これが可能になってい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】手術用顕微鏡において
は、目視又は撮影系での観察を行うため、術部に照明光
を照射して観察範囲を明るく均一に照明する照明系を備
えている必要がある。しかし、それだけでなく、例え
ば、照明方式自体の改善、術中における照明装置の
操作上の煩雑さの改善、照明装置の交換時の煩雑な作
業の改善、手術内容,分野に応じた柔軟な照明効果等
が望まれる。しかしながら、図31,32に示された顕
微鏡をはじめとして従来のシングルズーム型光学系に用
いられている照明系は、従来の照明系をそのまま用いる
か、単にそれらを組み合わせただけのものであり、前記
〜のような照明系に求められる要望を満足すること
はできない。
【0008】又、脳外科分野では、頭部に小さい穴をあ
け、この穴を通して内部の手術が行われる。このとき、
その穴の底部や側面の観察において影を生じることなく
観察したい。又、多少の血管や神経等が観察視野に入っ
ても観察系で観察可能な部位であれば、影を生ぜずに観
察したいという要望がある。しかし、図31に示された
従来のシングルズーム方式の手術用顕微鏡では、図33
に示すように、対物レンズ71の光軸から離れた位置に
照明光の偏向部材78が配置されている。従って、同図
に示すように、照明系の光軸が観察系の光軸に対して傾
き、特に凹部を観察するような場合、照明光束がけられ
て影を生じてしまう。
【0009】又、前記特開平6−337351号公報に
開示されているシングルズーム型の手術用顕微鏡では、
照明系に関する具体的な内容が示されていないため、前
述の要望を満足させることはできない。
【0010】図34は、一般に知られている対物レンズ
の光軸と同軸な位置に照明プリズムの射出面を設けて同
軸照明を実現した手術用顕微鏡の対物レンズ側から見た
図である。又、図35(a),(b)は図34の側面図
で、夫々90°異なった方向から見た図である。図35
では血管のような微小な円筒状の障害物が、対物レンズ
の光軸を横切るように存在している状態を示している。
ここに示された手術用顕微鏡では、図35(a),
(b)に示すように、観察光束は穴の底面まで届くた
め、障害物があっても底面の観察はできるが、照明光束
は障害物によって遮られて底面までは届かず、障害物に
よって影ができてしまうことになる。
【0011】以上のように、従来のシングルズーム型の
手術用顕微鏡では、無影照明を実現することはできなか
った。
【0012】加えて、眼科分野で用いられる手術用顕微
鏡では、眼底反射光の観察のために対物レンズの光軸と
同軸な照明光を照射する照明方式と、照明光による網膜
障害を避けて観察を行うために対物レンズの光軸に対し
て照明光を傾けて照射する斜照明方式との切替えが必要
である。又、その切替えも容易に行えることが好まし
い。又、眼科では、スリットランプと称されるスリット
状の平行光を用いて眼の検査が行われているが、スリッ
トランプは外付けの照明装置であり、通常の観察時には
邪魔であるため、顕微鏡への着脱が可能になっている。
しかし、この作業は煩雑であり、一体的にコンパクトに
まとめたいとの要望がある。
【0013】更に、脳外科,眼科等を含めて、手術に適
した照明パターンが望まれているが、従来のものでは照
明に自由度がなく実現し難い。例えば、対物光軸に対し
て傾いた成分のみからなる照明光により観察物の立体感
を強調した観察と、通常の観察とを切替えながら観察し
たい等の要望には応えられていない。
【0014】そこで、かかる従来技術の問題点に鑑み、
本発明は次のような目的を有している。
【0015】本発明の第1の目的は、同時に複数人によ
る立体視観察が可能で、主側,副側の観察位置の自由度
の確保を可能にし、通常観察における術部を明るく均一
に照明できるシングルズーム型光学系の手術用顕微鏡を
提供することである。第2の目的は、脳外科分野におい
て、多少の障害物があっても観察系で観察可能な部位に
は常に無影照明が供給できる手術用顕微鏡を提供するこ
とである。詳しくは、シングルズーム型光学系におい
て、ズーミングによる観察光束の間隔や光束径の変化、
フォーカシングによる観察光束の光軸間隔の変化によっ
ても、影を生じることなく、明るい照明光を供給し得る
手術用顕微鏡を提供することである。又、主側の観察位
置や観察者の姿勢の変化、副側の観察位置の変化により
観察光軸の回転方向が移動した場合にも、影のない明る
い照明光を供給し得る手術用顕微鏡を提供することであ
る。
【0016】第3の目的は、眼科分野で要求される対物
レンズの光軸と同軸な照明方式と、対物レンズの光軸に
対して傾いた斜照明方式との切替えが可能で、しかも簡
易な構成の照明系を有する手術用顕微鏡を提供すること
である。第4の目的は、眼科分野で要求される対物レン
ズの光軸に対して傾いたスリット状の平行光束を傾斜角
又は投影位置を変えて照明する照明方式と前記各照明方
式とが切替え可能で、しかも簡易な構成の照明系を有す
る手術用顕微鏡を提供することである。第5の目的は、
従来顕微鏡では実現不可能であった照明効果を組み合わ
せた照明が実現でき、しかも照明効果の切替えが容易な
手術用顕微鏡を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による実体顕微鏡は、光源と、この光源から
の光を物体面に照射するための照明光学系と、前記物体
面の像を形成する少なくとも結像性能を有する第1の結
像光学系と、第1の結像光学系の射出側に配置され左右
像を形成するための左右開口と、前記左右像を目視又は
撮影するための第2の結像光学系を有する観察光学系
と、を備え、前記照明光学系と前記観察光学系との光路
を合成するための光路合成手段を有する実体顕微鏡にお
いて、前記観察光学系の観察視野中心部へ至る観察光束
の少なくとも一部に前記照明光学系からの照明光束が常
に含まれるようにしたことを特徴とする。
【0018】又、本発明の実体顕微鏡は、前記照明光学
系に、照明光の照射角度を可変にするための明るさ絞り
と、照明範囲の形状を可変にする照野絞りが備えられて
いることを特徴する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図示した実施例に基づき、
本発明を詳細に説明する。
【0020】第1実施例 図1は本実施例にかかる実体顕微鏡の構成を示す光軸に
沿う断面図である。本実施例の実体顕微鏡では、固定焦
点の対物レンズ1と、アフォーカルズーム光学系2と、
接眼レンズを備えた観察鏡筒3とにより観察光学系が構
成されている。アフォーカルズーム光学系2は、対物レ
ンズ1側から順に、正の第1レンズ群2a,負の第2レ
ンズ群2b及び正の第3レンズ群2cが配置されて構成
されている。変倍は第1レンズ群2a及び第2レンズ群
2bを光軸に沿う方向に移動させることにより行われ
る。本実施例の実体顕微鏡においては、主側観察系とし
て観察鏡筒3のみを備えている。この観察鏡筒3内には
左右光路に相当する光学系が配置されており、左右開口
は観察鏡筒3の下面の光路入射側に設けられている。
又、観察鏡筒3は固定である。アフォーカルズーム光学
系2の倍率の変化に応じて、対物レンズ1上の観察光軸
の間隔,光束径の大きさが変化する。又、ミラー4,5
及びTVカメラ6により撮影光学系が構成されている。
【0021】本実施例の実体顕微鏡において、対物レン
ズ1とアフォーカルズーム光学系2が観察物体面上の像
を形成する第1の結像光学系、観察鏡筒内に配置された
光学系(不図示)が第2の結像光学系に相当する。ここ
では、第1の結像光学系は対物レンズ1とアフォーカル
ズーム光学系2で構成されているが、結像機能を有する
光学系、変倍機能を有する光学系というように機能を分
割することなく、結像機能及び変倍機能を併せもった対
物レンズを用いてもよい。更に、本実施例では、対物レ
ンズ1は固定焦点のものを採用したが、可変焦点ものを
用いてもよい。又、アフォーカルズーム光学系2はシン
グルズーム型の光学系であるが、この他の形態のズーム
光学系を用いることもできる。
【0022】一方、照明光学系は、ライトガイドファイ
バー7と、このライトガイドファイバー7からの光束を
成形するためのレンズ8及び照野絞り9と、ミラー10
と、レンズ11と、明るさ絞り12と、明るさ絞り12
からの照明光束の光軸を対物レンズ1の光軸と一致させ
るために対物レンズ1とアフォーカルズーム光学系2と
の間に配置された光路合成用のハーフミラー13と、に
より構成されている。ライトガイドファイバー7の射出
端面は円形である。又、照野絞り9及び明るさ絞り12
は、複数のパターンがターレット上に設けられており、
かかるターレットを回転させることにより複数の絞り形
状を選択可能にしている。
【0023】ライトガイドファイバー7から発せられた
光は、レンズ8,照野絞り9で成形された後、ミラー1
0で反射されレンズ11で明るさ絞り12の位置にライ
トガイドファイバー7の端面像を結像する。更に、ハー
フミラー13にて照明系の光軸を対物レンズ1の光軸と
略一致させて照明光を導光し、対物レンズ1を介して物
体面を照明する。本実施例では、照明開口の大きさはレ
ンズ11の口径の大きさで定まり、円形の光束となる。
【0024】ところで、焦点位置可変の対物レンズ等の
フォーカシング機能を有する構成を採用する場合には、
フォーカシングにより観察光束の間隔,光束径の大きさ
の変化を考慮して設定することになる。このようにする
ことで、観察光学系で観察可能な物体位置には、常に照
明光が導かれるため影なく観察することができる。又、
予め大きな照明開口を形成することで、明るく照明でき
ることに加えて、照明光束の一部を遮蔽することで様々
な形態の照明方式を容易に実現することができる。尚、
ここで、照明光束とは、視野中心に集光する照明光の対
物レンズ1(第1の結像光学系)の光軸とのなす角度を
定める照明光束径の大きさのことをいう。
【0025】図2は、本実施例の実体顕微鏡の観察光学
系と照明光学系との光路を合成するハーフミラー13の
位置における視野中心に相当する物体位置へ至る観察光
束,撮影光束及び照明光束の範囲を示す図であり、
(a)は低倍時,(b)は中倍時,(c)は高倍時の状
態を示している。低倍時は、観察光束が細く、左右の観
察光軸の間隔も狭い。高倍時は、観察光束は太く、左右
の観察光軸の間隔も広い。この関係は、アフォーカルズ
ーム光学系2のズーム倍率に正比例する関係にある。即
ち、観察光束径の大きさφa と、左右の観察光軸と対物
レンズ1の光軸との間隔aとは比例関係にある。
【0026】ところで、実体顕微鏡における観察で重要
なのは視野中心であり、特に、手術用顕微鏡の画角は狭
くおよそ視野中心の見えで代表して置き換えられる。よ
って、図2(a)〜(c)に示したように、視野中心へ
至る観察光束の位置に対する照明系の射出光束の関係を
考えればよい。観察光学系に対して影のない照明を実現
するためには、左右の観察光束の一部が常に照明光の成
分を含むようにすることが必要である。具体的には、左
右の観察光束と照明光束とが交わるように構成すること
で実現できる。
【0027】図2(a)〜(c)に示したように、低倍
時には、左右の観察光束の間隔は比較的狭くなり、しか
も、観察光束自体が細くなるため、観察光束は全て照明
光束に含まれ無影照明を実現できる。高倍時には、観察
光束が全て照明光束に含まれることはないが、少なくと
も一部は含まれているため、観察系においては影はでき
ない。尚、点線で示した円は照明光束である。又、本実
施例では、撮影光学系が対物レンズ1の光軸より離れた
位置に配設されているが、撮影光学系に対しても影が生
じない照明が望ましい。このため、観察光束に加えて撮
影光束をも含むように照明光束を設定している。加え
て、通常の観察時には、左右の観察光束以外の部分から
照明することで、より明るい照明が実現できるようにも
なっている。
【0028】図3(a)には、ターレット上に設けられ
た明るさ絞り12の形状の一例を示す図である。図の斜
線部は遮光部を示している。この明るさ絞り12は、照
明開口の一部の光束を遮蔽して照明系の角度特性を変え
るためのものである。本実施例の実体顕微鏡は、このよ
うな明るさ絞り12を備えたことで、眼科で必要な対物
光軸と同軸な照明光による照明と、対物光軸に対して傾
いた照明光による照明を実現できる。又、ターレットを
回転させることにより、明るさ絞り12の形状が容易に
切替え可能になっているため、絞りのみを切替えるだけ
で照明光の切替えが可能である。又、明るさ絞り12
を、遮光部を視野の中心のみとして前記対物レンズ1の
光軸から離れた周辺光束を透過する形状とすれば、立体
感のある照明効果を得ることができる。
【0029】図3(b)は、ターレット上に設けられた
照野絞り9の形状の一例を示す図である。図の斜線部は
遮光部である。この照野絞り9は照明範囲の形状を定め
るためのものであり、遮光特性を可変にすることで、更
に照明効果を高めることができる。このことにより、例
えば、明るさ絞り12にスリット形状のものを用い、照
野絞り9もスリット形状にすれば、スリット状の平行光
束を照明光として照射することができる。又、複数の絞
り形状を予め交換可能にしておくことにより、容易に通
常観察とスリット照明との切替えが可能になる。
【0030】本実施例では、数種の異なるパターンの照
野絞り9及び明るさ絞り12が予めターレット上に設け
られているため、異なる絞り形状の交換が容易にでき
る。よって、手術中であっても、必要に応じて容易に照
明の特性を変えることができる。又、この場合、絞りの
みの変更なので、術前,術中を問わず交換が容易であ
る。
【0031】第2実施例 図4は本実施例にかかる実体顕微鏡の概略構成を示す光
軸に沿う断面図である(側面方向から見た状態)。本実
施例の実体顕微鏡は、鏡体21と、鏡筒光学系22と、
接眼光学系23とにより構成されている。鏡体21は、
焦点位置を変えるための可変焦点距離の対物光学系24
と物体の観察倍率を変えるためのアフォーカルズーム光
学系25とを含む観察光学系、及び照明光学系26を備
えている。又、前記観察光学系中のアフォーカルズーム
光学系25の後側には光路分割プリズム27が配置され
ており、これにより観察光学系から光路を分割すること
ができ、更に撮影光学系28を備えることにより顕微鏡
像の撮影が可能になる。尚、この撮影光学系28は立体
視用TVカメラ29と交換可能になっている。
【0032】更に、鏡体21内において、前記観察光学
系の光軸と照明光学系26の光軸とが交わる位置には、
これらの光軸を物体面上において一致させるためのハー
フミラー30が設けられ、更にこのハーフミラー30の
近傍には、ゴースト,フレアの発生を防止するための光
吸収フィルター31が設けられている。又、鏡体21の
底面部にはカバーガラス32が設けられている。
【0033】図5は図4に示した実体顕微鏡の観察光学
系の詳細な構成を示す図である。この観察光学系では、
図示しない物体からの光束は、前記カバーガラス32を
経て光路合成手段であるハーフミラー30で反射され、
可変焦点距離の対物光学系24及び立体感補正絞り33
を介して、その後側に配置されているアフォーカルズー
ム光学系25へ導かれる。アフォーカルズーム光学系2
5を経た光束は、光路分割プリズム27にて目視観察光
路と撮影観察光路とに分割される。光路分割プリズム2
7で反射された光束は、その後側に配置されているアフ
ォーカルリレー系34へ導かれる。アフォーカルリレー
系34は、その内部で実像を形成し、その後平行光とし
て射出する作用を有している。アフォーカルリレー系3
4を経た光束は、その後側に配置されている前記観察鏡
筒23を介することによって、立体像として観察され
る。又、光路分割プリズム27を透過した光束は、撮影
光学系28へ導かれ、顕微鏡像の撮影がなされる。
【0034】図6(a)は照明光学系26の構成を示す
光軸に沿う断面図である。図6(b)は同図(a)の矢
印Aの方向に見た図である。照明光学系26は、図示し
ない光源からの光を伝達するライトガイドファイバー3
5,明るさ絞り36,集光光学系37,照野絞り38,
ズームレンズ群39,リレーレンズ40,フォーカスレ
ンズ41,リレーレンズ42,及び照明光を観察物体面
へ向けるための射出プリズム43が配置されて構成され
ている。
【0035】ズームレンズ群39は2枚の正レンズと1
枚の負レンズとからなり、光軸に沿って移動し得るよう
に構成されている。又、フォーカスレンズ41は1枚の
正レンズからなり、ズームレンズ群39と同様に光軸に
沿って移動し得るようになっている。照明光学系26の
変倍は、中倍から高倍にかけてはズームレンズ群39で
は行われずに、照野絞り38の絞り径を変化させること
により行われる。ズームレンズ群39は前記観察光学系
の観察倍率を変えるアフォーカルズーム光学系25の変
倍と連動して、観察範囲を良好に照明し得る照明範囲と
その照度を設定するためのものである。又、フォーカス
レンズ41は、前記観察光学系の焦点位置を観察物体面
に合わせる前記対物光学系24と連動して、観察物体面
に最適な照明光を提供するためのものである。尚、各光
学系を介して、ライトガイドファイバー35の射出端面
と射出プリズム43のファイバ端面結像位置とは共役に
なっている。
【0036】本実施例の実体顕微鏡では、照明光学系2
6の下部にハーフミラー30が配置され、照明光学系2
6から射出された照明光を図示しない観察物体面へ導
き、この観察物体からの観察光を対物光学系24へ導く
ことができるようになっている。又、ハーフミラー30
の近傍に設けられている光吸収フィルター31は、ハー
フミラー30によって反射された照明光学系26からの
光がゴースト光となって観察光学系へ侵入するのを防止
するためのものである。光吸収フィルター31の表面は
マルチコート処理がなされており、可視域の光線を吸収
できるようになっている。更に、光の透過率を10%以
下に抑えるとフレアー除去にも有効である。
【0037】本実施例の実体顕微鏡では、焦点距離を調
整する対物光学系24を構成する各レンズ群の移動によ
り、左右の観察光束の間隔及び各光束径の大きさが変化
する。例えば、図7は、ハーフミラー30の位置におけ
る視野中心に相当する物体位置へ至る観察光束,撮影系
及び照明光束の範囲を示す図であり、(a)は低倍時,
(b)は中倍時,(c)は高倍時の状態を夫々を示すも
のである。ここに示すように、観察倍率が高くなる程各
光束径が大きくなると共に左右の観察光束の間隔が拡が
ってしまい、照明範囲から逸脱してしまうことになる。
そこで、本実施例の実体顕微鏡では、前記対物光学系2
4の後側に立体感補正絞り33を配置することにより、
高倍時に左右の観察光束の間隔が拡がる特性に鑑み、高
倍時の太くなる左右の観察光束の外側を遮ることで立体
感の増大を押さえ込むようにした。よって、図7(c)
に示されているように、高倍時には左右の観察光束の外
側が削れて半月状になる。このことも、無影照明を維持
しながらも、必要以上に射出プリズム43の開口部を大
きくせず、鏡体21をよりコンパクトにするための効果
を生じさせている。
【0038】更に、本実施例の実体顕微鏡では、前記対
物光学系24の焦点位置調節により各光束の位置が移動
する場合にも、常に無影照明と、十分な明るさを供給可
能とするめに、観察系の光束と照明系の光束との関係が
設定されている。このため、常に観察系で観察可能な部
分には照明光が届いているため、影を生じることなく観
察できる。
【0039】但し、大きな照明光束径を確保するために
は、照明光学系26内の射出プリズム43の開口を大き
くする必要があり、顕微鏡全体のコンパクト化に逆行す
る。そこで、特にコンパクト化の強い要望のある鏡体2
1の縦方向の長さを最小限に止め、且つ全体的なコンパ
クト化を達成するために、ライトガイドファイバー35
の射出端形状を長方形にすると共に、射出プリズム43
の開口をライトガイドファイバー35の射出端面と相似
形の長方形とし、その長手方向を主側の観察者の左右方
向に相当するように配置した。これにより、主側観察者
に対して無影照明を供給しながらも顕微鏡全体の小型化
を実現した。尚、本実施例の実体顕微鏡では、照明開口
の大きさは射出プリズム43の開口の大きさ及び射出プ
リズム43と共役な位置にあるライトガイドファイバー
35の射出端面の大きさによって定まる。
【0040】一方、撮影光学系28の光軸は、対物光学
系24の光軸上に設けられている。このようにすること
で、撮影光学系28へ導かれる光束にも常に照明光が含
まれるので、影のない観察像が得られる。又、前述のよ
うに、撮影光学系28は、立体視用TVカメラ29と付
け替え可能となっている。よって、この立体視用TVカ
メラ29の左右の撮影光軸を観察光学系の観察光軸と一
致させることで観察光学系で得られるものと同様の立体
的な像を撮像できる。この場合も、立体視用TVカメラ
29において影のない画像が得られることは云うまでも
ない。又、立体視TVカメラ29は光軸を中心として回
転可能に取り付けることができるため、その内部の撮像
素子を試料に対して垂直な面内であれば自由に配置する
ことができる。従って、立体視TVカメラ29を、主側
の観察方向と同方向に配置することができるし、又主側
の観察方向に対して直角な方向に配置することもでき
る。
【0041】更に、照明光学系26に備えられている明
るさ絞り36及び照野絞り38は着脱可能に構成されて
いるが、以下これらの絞り形状とそれに対する照明効果
について図8乃至14に基づき説明する。尚、図中の斜
線部は遮光部を示している。
【0042】図8は、通常使用される明るさ絞り36の
構成を示す図である。この明るさ絞り36の形状は遮光
部がなく基本となるものある。ここには射出プリズム4
3の開口の大きさによって照明光束径の大きさが決定さ
れる様子が示されている。
【0043】図9は、眼科分野において必須とされる照
明方式を実現するための明るさ絞36の構成を示す図で
ある。ここに示された明るさ絞り36は、前記対物光学
系24の光軸に対して、傾いた照明と同軸な照明とを切
替えるためのものである。この明るさ絞り36は、四角
開口絞り44と移動絞り45とからなっている。四角開
口絞り44は、射出プリズム43からの照明光束の一部
を遮光し得るように中央に細長い四角開口部44aが形
成されている。一方、移動絞り45は、中央に円形開口
部45aを有している。従って、この移動絞り45を四
角開口絞り44と組み合わせることにより,円形開口部
45a以外を通過する光束を遮光することができる。し
かも、移動絞り45の円形開口部45aを四角開口絞り
44の四角開口44aに沿って図の矢印方向に移動させ
ることで、円形開口部45aの位置を前記対物光学系2
4の光軸に対して外れた位置から同軸の位置まで連続的
に変化させることができる。又、四角開口絞り44は、
移動絞り45の移動量を小さくし、移動絞り45をコン
パクトにする役割も有している。このように構成された
明るさ絞り36を本実施例の実体顕微鏡の照明光学系2
6に装着することで、眼科で必須とされる照明方式が実
現できる。しかも、かかる明るさ絞り36は単純な2枚
構成であり、操作性も申し分ない。
【0044】図10は、中心部に開口が形成された明る
さ絞り36の構成を示す図である。ここに示すように、
中心部以外の部分を通過する照明光を遮光する場合、前
記ハーフミラー30と観察物体面との間では観察系の光
束と重なる部分の照明光束は遮光されてしまうが、観察
物体面の必要な部分に照明光が供給されれば観察に支障
はないため、何ら問題がない。更に、この明るさ絞り3
6を用いれば、必要な明るさを確保すべく、開口形状を
自由に設定できる点有利である。
【0045】図11は、中心部に遮光部を有し、この遮
光部の周辺に開口部が形成された明るさ絞り36の構成
を示す図である。このような明るさ絞り36を用いる照
明方式は、従来は行われておらず、より立体感のある観
察像が得られる照明を実現できる。
【0046】図12は、観察物体面に対する照明角度を
限定し、しかも照明角度を連続的に変化させる場合の明
るさ絞り36の構成が示されている。この明るさ絞り3
6は細長い開口形状を有しており、図の矢印方向に移動
させることが可能になっている。このように構成された
明るさ絞り36を、眼内観察等の照明角度を変えて行わ
れる観察に用いる場合、観察物体内の内部散乱の影響を
考慮しながら観察できるといった従来なかった照明効果
が得られる。
【0047】図13は、通常の観察に用いられる照野絞
り38の構成を示す図である。この照野絞り38は顕微
鏡の観察光学系の倍率と同期させて高倍観察時に絞り込
むことが可能な構成になっている。
【0048】図14は、一般的な照明を行う場合とスリ
ット照明を行う場合との開口形状が切替え可能な照野絞
り38の構成を示す図である。この照野絞り38は、図
の矢印方向に移動させることにより、中央部に細長い開
口38aが形成された絞り38bと全く遮光部のない絞
り38cとの切替えが可能になっている。特に、開口3
8aを有する絞り38bを図12に示した明るさ絞りと
共に用いることにより、良好なスリット照明を供給でき
る。これにより、従来外付けのスリットランプを用いず
とも、絞りの操作のみにより眼科分野で用いられるスリ
ットランプと同等の照明を実現できる。
【0049】以下、本実施例の実体顕微鏡の照明光学系
26を構成する各光学部材等の数値データを示す。
【0050】ライトガイドファイバー35の射出端面
3.27mm×5.42mm ライトガイドファイバー35の開口数 0.66 射出プリズム43の開口 30mm×51mm
【0051】 r0 =∞(ライトガイドファイバー35の端面位置) d0 =0.7500 r1 =17.7220 d1 =3.0000 n1 =1.51633 ν1 =64.15 r2 =-9.1110 d2 =1.0000 r3 =-16.4460 d3 =3.6000 n3 =1.51633 ν3 =64.15 r4 =-9.7010 d4 =0.3000
【0052】r5 =8.7020 d5 =2.8000 n5 =1.56883 ν5 =56.33 r6 =38.6870 d6 =2.6000 r7 =∞ d7 =D18 =∞ d8 =8.0000 n8 =1.56883 ν8 =56.33 r9 =-26.0520 d9 =1.0000
【0053】r10=35.4270 d10=10.0000 n10=1.56883 ν10=56.33 r11=-87.7460 d11=10.0000 r12=-24.8310 d12=5.0000 n12=1.71736 ν12=29.51 r13=56.0140 d13=D214=-237.0410 d14=10.0000 n14=1.56883 ν14=56.36
【0054】r15=-35.3020 d15=D316=∞ d16=5.0000 n16=1.51633 ν16=64.15 r17=145.4120 d17=D418=∞ d18=12.0000 n18=1.56883 ν18=56.33 r19=-53.1530 d19=2.0000
【0055】r20=∞ d20=19.2300 n20=1.51633 ν20=64.15 r21=∞ d21=19.2300 n21=1.51633 ν21=64.14 r22=∞ d22=31.1000 r23=∞ d23=9.3000 n23=1.51633 ν23=64.15
【0056】r24=∞ d24=44.6000 r25=∞ d25=1.5000 n25=1.51633 ν25=64.15 r26=∞ d26=3.0000 r27=∞
【0057】以下、変倍と各移動レンズとの関係につい
て表1,2に示す。
【0058】
【0059】
【0060】第3実施例 図15は、本実施例にかかる実体顕微鏡の観察光学系の
概略構成を示す光軸に沿う断面図である。本実施例で
は、図5に示された第2実施例の実体顕微鏡の観察光学
系とアフォーカルリレー系34の最終レンズまでの構成
は同様であるため、ここでは省略されている。又、目視
観察における主側,副側に自由度をもたせるため、複数
のプリズムが配置されている。本実施例の実体顕微鏡の
観察光学系は、アフォーカルリレー系34の後側に光路
分割プリズム51が配置されている。分割された一方の
光路には、プリズム52を介して接眼光学系を備えた主
側観察鏡筒53が設けられている。又、分割されたもう
一方の光路には、プリズム54,プリズム55,イメー
ジローテーター56及び楔型プリズム57を介して接眼
光学系を備えた副側観察鏡筒58が設けられている。こ
のようにして、シングルズーム型光学系を実現してい
る。
【0061】本実施例の実体顕微鏡では、観察光学系の
主側観察鏡筒53を矢印59で示される方向に±30°
回転させることができる自由度を有している。このた
め、主側でもかかる回転の自由度を利用して、観察者が
観察しやすいように主側観察鏡筒53を回転させてセッ
ティングすることが可能である。更に、主側観察鏡筒5
3は図の上下方向に180°回転して反転状態にもでき
る構成となっているため、観察者の眼の位置を反転に伴
い上下方向に移動可能で、観察者がより楽な姿勢で観察
できるような状態に設定できる。
【0062】一方、副側観察鏡筒58も矢印60で示す
ように±30°の範囲で回転可能であるうえ、傾きを変
えることが可能になっている。このため、副側で立体視
観察できることに加えてより楽な姿勢での観察を可能に
している。更に、副側の観察系において、プリズム54
に対してプリズム55以降が矢印61で示される方向に
±180°回転可能であり、又、プリズム55に対して
イメージローテーター56以降が矢印62で示される方
向に±180°回転可能になっている。
【0063】この構成において、副側の観察系は、矢印
60で示される方向への副側観察鏡筒58の回転に応じ
て、イメージローテーター56が副側観察鏡筒58の回
転角度の半分の角度で回転し、正立像を得ることができ
る。又、楔型プリズム57は、イメージローテーター5
6のピラミダル加工のエラーによって生じる像の位置移
動を補正するために設けられたものである。楔型プリズ
ム57を回転させて補正量を最適に調整した後、イメー
ジローテーター56又はイメージローテーター56と楔
型プリズム57とを一体的に移動させることにより、像
位置の移動を補正することができる。
【0064】図16乃至24は、本実施例の実体顕微鏡
の観察光学系の構成を示す光軸に沿う断面図である。こ
こでは、主側観察系を示している。アフォーカルリレー
系34以降に配置された各プリズムの構成以外は同様で
あるため、副側観察系は省略した。図16乃至18は低
倍、図19乃至21は中倍、図22乃至24は高倍の状
態を夫々示している。尚、これらのうち、図16,1
9,22に示された状態の作動距離(WorkingDistanc
e:以下、WDと称する)は、221.2mm、図1
7,20,23に示された状態のWDは291.6m
m、図18,21,24に示された状態のWDは35
1.9mmである。又、WDは、カバーガラス32から
物体側に6.375mm離れた位置を仮想の物体位置と
し、かかる物体位置を基準に測定したものである。
【0065】図16乃至24に示すように、本実施例の
実体顕微鏡では、観察光学系は、図示しない物体側から
順に、カバーガラス32,可変焦点距離の対物光学系2
4,アフォーカルズーム光学系25,アフォーカルリレ
ー系34,光路分割プリズム51,プリズム52,及び
主側観察鏡筒53が配置されている。主側観察鏡筒53
内には明るさ絞り53aが設けられている。尚、カバー
ガラス32と対物光学系24との間には図示しない観察
物体面上において前記観察光学系と後述する照明光学系
の光軸を一致させるためのハーフミラー30が配置され
ている。又、アフォーカルズーム光学系25の前後には
複数のプリズムが配置されている。
【0066】図25(a)は本実施例の実体顕微鏡に配
置される照明光学系の構成を示す光軸に沿う断面図であ
る。図25(b)は同図(a)を矢印B方向に見た図で
ある。この照明光学系の構成は第2実施例とほぼ同様で
あるが、集光光学系37を2枚のレンズで構成した上、
照明光学系の各レンズを固定とし、又、図26(a),
(b)に示すように、明るさ絞り61及び照野絞り62
が夫々数種類ターレット上に配設され、このターレット
を回転させることにより異なる絞り形状のものを交換可
能にした点が相違する。尚、同図、斜線部は何れも遮光
部を示している。
【0067】本実施例の実体顕微鏡では、前述のような
観察光学系の主側,副側の自由度により、観察系の光束
位置が変化する。この様子を図27乃至30に示す。図
27乃至30は、本実施例の実体顕微鏡の観察光学系と
照明光学系との光路を合成するハーフミラー30の位置
における視野中心に相当する物体位置へ至る観察光束及
び照明光束の範囲を示す図であり、何れも(a)は低倍
時,(b)は中倍時,(c)は高倍時の状態を示してい
る。尚、図27は主側の通常の観察状態、図28は主側
観察鏡筒53を±30°回転させた状態の様子を示すも
のである。又、図29は副側の通常の観察状態、図30
は副側観察鏡筒53を±30°回転させた状態の様子を
示すものである。
【0068】本実施例の実体顕微鏡では、前述した観察
光学系の主側,副側の自由度に対しても常に十分な明る
さを備えた無影照明を供給することを目的としている。
そこで、本実施例の実体顕微鏡では、可変焦点距離の対
物光学系24の移動による観察光束の位置の移動,アフ
ォーカルズーム光学系25による光束径の大きさの変
化,観察系の左右の光軸間隔の変化,及び主側の回転に
よる光束位置の移動,副側の回転,傾きの変化を考慮し
て、前記目的が達成できるように観察光束と照明光束と
の関係が設定される。
【0069】ところで、本実施例の実体顕微鏡の場合、
観察光学系の主側の回転に対して、低倍時では、常に観
察光束を含むように照明光束径の大きさが設定されてい
るが、高倍時には、観察光束の一部を含むように照明光
束の大きさが設定される。なぜなら、常に観察光束を全
てを含むように照明光束径の大きさを設定すると、照明
系内の射出プリズム43を大きくする必要があり、コン
パクト化に逆行するからである。そこで、本実施例で
は、顕微鏡鏡体の縦方向の長さを最小限にし、且つ、全
体をコンパクトにまとめるために、ライトガイドファイ
バー35の射出端面形状を長方形にすると共に、射出プ
リズム43の開口形状をライトガイドファイバー35の
射出端面と相似形の長方形とし、その長手方向を主側観
察者の左右方向と平行な位置に配置したことで、主側の
観察光束に対して優先的に無影照明を供給することがで
きる。又、副側の観察光学系の位置的な自由度に対して
も、その自由度の範囲で、観察光束の一部に照明光束が
常に含まれるように射出プリズム43の開口形状が形成
されている。尚、本実施例では、照明開口の大きさは射
出プリズム43の開口の大きさにより定まる。
【0070】更に、本実施例の実体顕微鏡においても、
撮影光学系の設置が可能となっている。このとき、撮影
光学系は、その光軸が対物光学系24の光軸と一致する
ように配置される。又、照明光学系の光軸はハーフミラ
ー30により対物レンズ系24の光軸と観察物体面上に
おいて一致させている。
【0071】又、撮影光学系は、第2実施例に示したも
のと同様に、立体視用のTVカメラと交換可能で、左右
の観察光軸の間隔を、観察光学系の光軸間隔と一致させ
ると、良好な立体像を観察できる。
【0072】以下、本実施例の実体顕微鏡に配置される
観察光学系を構成する各光学部材等の数値データを示
す。
【0073】 ズーム比 4倍 主側観察鏡筒53及び副側観察鏡筒59の左右光軸間隔 21mm 明るさ絞り53aの口径 9mm φ
【0074】r1 =∞ d1 =1.5000 n1 =1.52287 ν1 =59.89 r2 =∞ d2 =42.4000 r3 =∞ d3 =35.0000 r4 =95.0080 d4 =12.0000 n4 =1.58313 ν4 =59.38 r5 =-279.8890 d5 =6.7000 n5 =1.57501 ν5 =41.50
【0075】r6 =87.0480 d6 =6.5000 r7 =179.0640 d7 =6.5000 n7 =1.54814 ν7 =45.79 r8 =59.9810 d8 =14.7000 n8 =1.49700 ν8 =81.61 r9 =-185.9430 d9 =0.2000 r10=137.8900 d10=6.5000 n10=1.58913 ν10=61.18
【0076】r11=-541.7630 d11=D112=-214.4780 d12=5.0000 n12=1.63930 ν12=44.88 r13=44.8460 d13=5.0000 n13=1.78472 ν13=25.68 r14=89.1110 d14=D215=∞ d15=45.0000 n15=1.73348 ν15=51.70
【0077】r16=∞ d16=1.5000 r17=∞ d17=23.5000 n17=1.56883 ν17=56.33 r18=∞ d18=0.5000 r19=∞ d19=47.0000 n19=1.73348 ν19=51.70 r20=∞ d20=3.0000
【0078】r21=147.1920 d21=7.4000 n21=1.49700 ν21=81.61 r22=-78.2270 d22=4.8000 n22=1.67790 ν22=50.72 r23=548.9690 d23=1.1000 r24=193.1230 d24=7.4000 n24=1.51633 ν24=64.15 r25=-162.3200 d25=D3
【0079】r26=-111.9960 d26=2.7000 n26=1.67790 ν26=55.33 r27=37.2480 d27=6.2000 r28=-34.9040 d28=4.0000 n28=1.63930 ν28=44.87 r29=52.4420 d29=7.0000 n29=1.85026 ν29=32.29 r30=-77.6050 d30=D4
【0080】r31=-105.9010 d31=6.5000 n31=1.51633 ν31=64.15 r32=-76.9470 d32=0.9000 r33=188.9930 d33=4.6000 n33=1.71736 ν33=29.51 r34=89.8590 d34=7.4000 n34=1.49700 ν34=81.61 r35=-103.7990 d35=D5
【0081】r36=∞ d36=3.8500 r37=∞ d37=48.0000 n37=1.51633 ν37=64.15 r38=∞ d38=0.5000 r39=∞ d39=11.5000 n39=1.56883 ν39=56.36 r40=∞ d40=53.0000 n40=1.56883 ν40=56.36
【0082】r41=∞ d41=8.3598 r42=161.2030 d42=7.5000 n42=1.48794 ν42=70.23 r43=-161.2030 d43=3.2000 r44=85.2950 d44=10.5000 n44=1.49700 ν44=81.61 r45=-270.1540 d45=5.7000 n45=1.71850 ν45=33.52
【0083】r46=196.5430 d46=30.5000 r47=-215.4780 d47=4.8000 n47=1.78800 ν47=47.37 r48=273.9820 d48=6.5000 n48=1.71736 ν48=29.51 r49=∞ d49=73.4402 r50=∞ d50=132.5000
【0084】r51=∞ d51=49.5000 r52=∞ d52=44.0000 n52=1.56883 ν52=56.33 r53=∞ d53=1.5000 r54=173.9160 d54=4.5000 n54=1.72000 ν54=41.98 r55=75.9240 d55=9.5000 n55=1.49700 ν55=81.61
【0085】r56=-116.6930 d56=3.60 r57=∞ d57=31.0000 n57=1.56883 ν57=56.36 r58=∞ d58=9.0000 r59=∞ d59=106.9300 n59=1.51633 ν59=64.14 r60=∞ d60=28.5000
【0086】r61=∞ d61=8.5000 r62=36.5300 d62=1.9000 n62=1.60342 ν62=38.03 r63=∞ d63=5.1000 r64=75.2450 d64=2.4000 n64=1.51633 ν64=64.14 r65=-30.3850 d65=1.6000 n65=1.58144 ν65=40.75
【0087】r66=30.3850 d66=2.0000 r67=∞ d67=19.5000 r68=∞ d68=25.6070 n68=1.56883 ν68=56.36 r69=∞ d69=1.1320 r70=∞ d70=45.2390 n70=1.56883 ν70=56.36
【0088】r71=∞ d71=8.0000 r72=∞ d72=55.4260 n72=1.51633 ν72=64.14 r73=∞ d73=1.0000 r74=∞ d74=22.0000 n74=1.56883 ν74=56.36 r75=∞ d75=7.9310
【0089】r76=∞ d76=58.5000 n76=1.56883 ν76=56.36 r77=∞ d77=3.5302 r78=∞
【0090】以下、変倍と各移動レンズとの関係を表
3,4に示す。
【0091】
【0092】
【0093】以下、本実施例の実体顕微鏡の照明光学系
を構成する各光学部材等の数値データを示す。
【0094】ライトガイドファイバー35の射出端面
3.27mm×5.42mm ライトガイドファイバー35の開口数 0.66 射出プリズム43の開口 30mm×51mm 結像位置 カバーガラス32から221mm の位置 照明光学系の焦点距離 -131.791
【0095】 r0 =∞(ライトガイドファイバー35の端面位置) d0 =0.7500 r1 =17.7220 d1 =3.0000 n1 =1.51633 ν1 =64.15 r2 =-9.1110 d2 =4.4000 r3 =8.7020 d3 =2.8000 n3 =1.56883 ν3 =56.33 r4 =38.6870 d4 =2.6000
【0096】r5 =∞ d5 =16.2000 r6 =∞ d6 =8.0000 n6 =1.56883 ν6 =56.33 r7 =-26.2300 d7 =1.0000 r8 =40.2140 d8 =10.0000 n8 =1.56883 ν8 =56.33 r9 =-60.9660 d9 =12.5000
【0097】r10=-24.5670 d10=5.0000 n10=1.71736 ν10=29.51 r11=54.0030 d11=12.3000 r12=-254.4980 d12=10.0000 n12=1.56883 ν12=56.36 r13=-34.2440 d13=7.0000 r14=∞ d14=5.0000 n14=1.51633 ν14=64.15
【0098】r15=137.9070 d15=10.0000 r16=∞ d16=12.0000 n16=1.56883 ν16=56.33 r17=-53.5080 d17=2.0000 r18=∞ d18=19.2300 n18=1.51633 ν18=64.15 r19=∞ d19=19.2300 n19=1.51633 ν19=64.15
【0099】r20=∞ d20=32.7800 r21=∞ d21=8.1600 n21=1.51633 ν21=64.15 r22=∞ d22=42.4000 r23=∞ d23=1.5000 n23=1.52287 ν23=59.89 r24=∞ d24=6.3000 r25=∞
【0100】尚、前述した各実施例の数値データにおい
て、r1 ,r2 ,・・・・は各レンズ面等の曲率半径、
1 ,d1 ,・・・・は各レンズ等の肉厚又はそれらの
間隔、n1 ,n2 ,・・・・は各レンズ等の屈折率、ν
1 ,ν2 ,・・・・は各レンズ等のアッベ数を示してい
る。
【0101】以上説明したように、本発明による実体顕
微鏡は、特許請求の範囲に記載された特徴と併せ、以下
(1)〜(6)に示すような特徴も備えている。
【0102】(1)前記第1の結像光学系の光軸と前記
照明光学系の光軸とを略一致させていることを特徴とす
る請求項1に記載の実体顕微鏡。
【0103】(2)2組以上の左右の立体観察光学系が
備えられていることを特徴とする請求項1に記載の実体
顕微鏡。
【0104】(3)前記アフォーカルズーム光学系の光
軸上に撮影光学系の光軸を配置したことを特徴とする請
求項1に記載の実体顕微鏡。
【0105】(4)前記第1の結像光学系は変倍機能を
有することを特徴とする請求項1に記載の実体顕微鏡。
【0106】(5)前記第1の結像光学系は対物レンズ
とアフォーカルズーム光学系とを備えていることを特徴
とする請求項1に記載の実体顕微鏡。
【0107】(6)略平行なスリット状の光束を生じる
ために、前記明るさ絞りと前記照野絞りとが共にスリッ
ト状に変化し得るようにしたことを特徴とする請求項3
に記載の実体顕微鏡。
【0108】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、シング
ルズーム型光学系において、対物光学系の光軸と同軸な
照明と対物光学系の光軸に対して傾いた照明との切り替
えが可能であると共に、無影照明を実現できる。又、ス
リット照明をはじめとした様々な照明効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例にかかる実体顕微鏡の構成を示す光
軸に沿う断面図である。
【図2】図1に示されたハーフミラー13の位置におけ
る視野中心に相当する物体位置へ至る観察光束,撮影光
束及び照明光束の範囲を示す図であり、(a)は低倍
時,(b)は中倍時,(c)は高倍時の状態を示してい
る。
【図3】(a)はターレット上に設けられた明るさ絞り
12の形状の一例を示す図である。(b)はターレット
上に設けられた照野絞り9の形状の一例を示す図であ
る。
【図4】第2実施例にかかる実体顕微鏡の概略構成を示
す光軸に沿う断面図である。
【図5】図4に示された実体顕微鏡の観察光学系の詳細
な構成を示す図である。
【図6】(a)は図4に示された照明光学系26の構成
を示す光軸に沿う断面図である。(b)は(a)を矢印
Aの方向に見た図である。
【図7】図4に示されたハーフミラー30の位置におけ
る視野中心に相当する物体位置へ至る観察光束,撮影系
及び照明光束の範囲を示す図であり、(a)は低倍時,
(b)は中倍時,(c)は高倍時の状態を夫々を示して
いる。
【図8】第2実施例の実体顕微鏡における照明光学系2
6に用いられる明るさ絞り36の構成を示す図である。
【図9】第2実施例の実体顕微鏡における照明光学系2
6に用いられる明るさ絞り36の構成を示す図である。
【図10】第2実施例の実体顕微鏡における照明光学系
26に用いられる明るさ絞り36の構成を示す図であ
る。
【図11】第2実施例の実体顕微鏡における照明光学系
26に用いられる明るさ絞り36の構成を示す図であ
る。
【図12】第2実施例の実体顕微鏡における照明光学系
26に用いられる明るさ絞り36の構成を示す図であ
る。
【図13】第2実施例の実体顕微鏡における照明光学系
26に用いられる照野絞り38の構成を示す図である。
【図14】第2実施例の実体顕微鏡における照明光学系
26に用いられる照野絞り38の構成を示す図である。
【図15】第3実施例にかかる実体顕微鏡の観察光学系
の概略構成を示す光軸に沿う断面図である。
【図16】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図17】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図18】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図19】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図20】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図21】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図22】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図23】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図24】第3実施例の実体顕微鏡の観察光学系の構成
を示す光軸に沿う断面図である。
【図25】(a)は第3実施例の実体顕微鏡における照
明光学系の構成を示す光軸に沿う断面図である。(b)
は(a)を矢印Bの方向に見た図である。
【図26】(a)は第3実施例の実体顕微鏡の照明光学
系に配置される明るさ絞り61の構成を示す図である。
(b)は第3実施例の実体顕微鏡の照明光学系に配置さ
れる照野絞り62の構成を示す図である。
【図27】図25(a)に示されたハーフミラー30の
位置における視野中心に相当する物体位置へ至る観察光
束及び照明光束の範囲を示す図であり、(a)は低倍
時,(b)は中倍時,(c)は高倍時の状態を示してい
る。
【図28】図25(a)に示されたハーフミラー30の
位置における視野中心に相当する物体位置へ至る観察光
束及び照明光束の範囲を示す図であり、(a)は低倍
時,(b)は中倍時,(c)は高倍時の状態を示してい
る。
【図29】図25(a)に示されたハーフミラー30の
位置における視野中心に相当する物体位置へ至る観察光
束及び照明光束の範囲を示す図であり、(a)は低倍
時,(b)は中倍時,(c)は高倍時の状態を示してい
る。
【図30】図25(a)に示されたハーフミラー30の
位置における視野中心に相当する物体位置へ至る観察光
束及び照明光束の範囲を示す図であり、(a)は低倍
時,(b)は中倍時,(c)は高倍時の状態を示してい
る。
【図31】従来の手術用顕微鏡の構成を示す部分側面断
面図である。
【図32】従来の手術用顕微鏡の構成を示す図である。
【図33】図31に示された手術用顕微鏡における照明
方式を説明するための図である。
【図34】一般的な手術用顕微鏡における同軸照明の構
成を示す図である。
【図35】(a),(b)は図34に示された同軸照明
により生じる不具合を説明するための図である。
【符号の説明】
1,71,81 対物レンズ 2,25 アフォーカルズーム光学系 2a,82a 第1レンズ群 2b,82b 第2レンズ群 2c,82c 第3レンズ群 3 観察鏡筒 4,5,10 ミラー 6 TVカメラ 7,35,75 ライトガイドファイバー 8,11 レンズ 9,38 照野絞り 12,36,53a 明るさ絞り 13,30 ハーフミラー 21 鏡体 22 鏡筒光学系 23 接眼光学系 24 対物光学系 26 照明光学系 27,51 光路分割プリズム 28 撮影光学系 29 立体視用TVカメラ 31 光吸収フィルター 32 カバーガラス 33 立体感補正絞り 34 アフォーカルリレー系 37 集光光学系 39 ズームレンズ群 40,42 リレーレンズ 41 フォーカスレンズ 43 射出プリズム 44 四角開口絞り 44a 四角開口部 45 移動絞り 45a 円形開口部 52,54,55 プリズム 53 主側観察鏡筒 56 イメージローテーター 57 楔型プリズム 58 副側観察鏡筒 59,60,61,62 矢印 72,73,74 光学成分 76,77 レンズ系 78 偏向部材 82 変倍光学系

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源と、該光源からの光を物体面に照射
    するための照明光学系と、前記物体面の像を形成する少
    なくとも結像性能を有する第1の結像光学系と、該第1
    の結像光学系の射出側に配置され左右像を形成するため
    の左右開口と、前記左右像を目視又は撮影するための第
    2の結像光学系を有する観察光学系と、を備え、 前記照明光学系と前記観察光学系との光路を合成するた
    めの光路合成手段を有する実体顕微鏡において、前記観
    察光学系の観察視野中心部へ至る観察光束の少なくとも
    一部に前記照明光学系からの照明光束が常に含まれるよ
    うにしたことを特徴とする実体顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記照明光学系には、照明光の照射角度
    を可変にするための明るさ絞りが備えられていることを
    特徴とする請求項1に記載の実体顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記照明光学系には、照明範囲の形状を
    可変にする照野絞りが備えられていることを特徴する請
    求項1又は2に記載の実体顕微鏡。
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